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【発明の名称】 電子レンジ加熱適応調理パン
【発明者】 【氏名】河瀬 勝典

【氏名】原田 成喜

【要約】 【課題】電子レンジ加熱によって食用に供せられる調理パンを提供する。

【解決手段】パン部分は、原料小麦粉の少なくとも一部分が白小麦粉である小麦粉へ、イーストと、米麹と、ビタミンCを添加してパン生地をつくり、これを膨化焼成してつくる。このパンへ具材を挿入し、マイクロ波適応包材で包装し、冷凍状態で出荷する。電子レンジ加熱によりパン部分は焼きたてのパンの食感を取り戻す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくとも一部分が白小麦粉である小麦粉と、イーストと、米麹およびビタミンCを含んでいるパン生地の膨化および焼成によってつくったパンと、該パンに挿入された具材肉製品よりなる調理パンが、マイクロ波加熱適応包材中に常温、冷蔵又は冷凍状態で包装されていることを特徴とする電子レンジ加熱適応調理パン。
【請求項2】原料小麦粉の少なくとも30%は白小麦粉が占める請求項1の調理パン。
【請求項3】小麦粉100重量部に対し、米麹0.1〜1.0重量、ビタミンC0.0005〜0.05重量部が添加されている請求項1の調理パン。
【請求項4】前記パン生地は、イーストフード又はブロメート、および乳化剤を含まない請求項1の調理パン。
【請求項5】前記パン生地は、調味料、油脂および粉乳をさらに含んでいる請求項1の調理パン。
【請求項6】少なくとも30%の白小麦粉と残余の赤小麦粉よりなる小麦粉100重量部、米麹0.1〜1.0重量部、ビタミンC0.0005〜0.05重量部、膨化に有効量のイーストを含んでいるパン生地。
【請求項7】イーストフード又はブロメート、および乳化剤を含まない請求項6のパン生地。
【請求項8】さらに調味料、油脂および粉乳を含んでいる請求項6のパン生地。
【請求項9】請求項6ないし8のいずれかのパン生地を膨化、整形、焼成してなるパン。
【請求項10】少なくとも30%の白小麦粉と残余の赤小麦粉よりなる小麦粉100重量部、米麹0.1〜1.0重量部、ビタミンC0.0005〜0.05重量部よりなる請求項5のパン生地製造用プレミックス。
【発明の詳細な説明】【0001】
【技術分野】本発明は、電子レンジによる加熱に適応したホットドッグ、ハンバーガーのような調理パンに関する。本発明はさらにそのような調理パン用のパン、そのパン生地およびパン生地用の小麦粉プレミックスにも関する。
【0002】
【従来技術及び課題】一般にパンは、食塩、砂糖、油脂、乳化剤、粉乳などの副原料と、イーストおよびイーストフード(又はブロメート)を小麦粉へ加え、水で練合してパン生地をつくり、発酵によって膨化し、整形、焼成等の工程を経て製造される。
【0003】ホットドッグ、ハンバーガーなどの調理パンは、焼きたてのパンからつくりたての状態にある間が最高に美味であるが、一旦冷えるとその食感および風味は減少する。このような冷えたパンを電子レンジ中で加熱すると、具材が適温に達するまでにパン部分が過度に加熱され、容積の収縮、表面のシワの発生、パン組織の部分的破壊などにより品質が劣化し、独特の食感および風味が失われる。
【0004】そのため冷えた後も電子レンジによる加熱によってつくりたての状態の食感および風味を取り戻すことのできる調理パンの提供が望まれる。そのような調理パンは、冷凍または冷蔵した状態で出荷し、家庭または店頭で電子レンジを用いて加熱し、つくりたての状態の食感および風味を持つ調理パンのように食用に供することができる。
【0005】
【課題の解決方法】具材を含んだ調理パンが電子レンジによる加熱に適応しない原因は、具材が適温へ達する前にそのパン部分が加熱によって劣化することにある。そこで本発明は調理パンに用いるパンに改良を加えることによって上で論じた欠点を回避する。
【0006】本発明によれば、原料小麦粉の少なくとも一部分に白小麦粉を使用する。パンは、この小麦粉を原料とし、イースト、米麹およびビタミンCを含んでいるパン生地をつくり、これを膨化、焼成することによってつくられる。完成したパンは、ソーセージ、ハンバーガーステーキなどの肉製品具材が挿入され、マイクロ波加熱適応包装中にそのまま、冷蔵又は冷凍状態で包装され、出荷される。本発明の調理パンは、家庭または店頭において電子レンジによって解凍および/または加熱し、食用に供される。その際に冷えた又は凍結したパン部分は、具材が適温へ加熱される前に劣化することなく、焼きたての状態の食感および風味を取り戻すことができる。
【0007】本発明の1具体例は、前記電子レンジによる加熱に適応した調理パン用のパン生地に関する。このパン生地は、少なくとも30%の白小麦粉と残余の赤小麦粉よりなる小麦粉100重量部、米麹0.1〜1.0重量部、ビタミンC0.0005〜0.05重量部、膨化に有効量のイーストを含んでいる。このパン生地は膨化後、冷凍して保管又は出荷され、本発明による電子レンジ加熱に適応した調理パンの製造に用いられる。
【0008】本発明の他の具体例は、少なくとも30%の白小麦粉と残余の赤小麦粉よりなる小麦粉100重量部、米麹0.1〜1.0重量部、ビタミンC0.0005〜0.05重量部よりなる、パン製造用プレミックスに関する。このプレミックスは、適量のイーストおよび調味料などの副原料を加え、水で混捏することによって本発明の電子レンジ加熱に適応した調理パンの製造に用いられる。
【0009】
【最良の実施形態】本発明においては、小麦粉原料の主要部分に白小麦より製粉した白小麦粉を使用する。製パン用途に一般に使用される小麦粉は赤小麦(hard red wheat)から製粉された赤小麦粉である。白小麦粉は従来単独又は赤小麦粉とミックスして主として製麺用途に使用されて来た。しかしながら白小麦粉は製パン適性に問題がないこと、色相が赤小麦粉に比べて明るいこと、全粒粉の食味に苦味が少ないこと等の理由により製パン用途も拡大しつつあり、アメリカではカンザス州を中心に作付面積が増加する傾向がある。
【0010】白小麦粉は、通常のパンに用いられている赤小麦粉と比較して含有するグルテンの性質が大きく異なっている。このことは棒状に成形したそれぞれの小麦粉から製した生地を一定時間ねかせてからエクステンソグラフにより生地の伸長度および抗張力を比較することにより明瞭である。この比較において、同じグルテン含有量において白小麦粉は赤小麦粉に比較して伸長度および抗張力において低い値を示す。すなわち、白小麦粉ベースのパン生地の網目構造は赤小麦粉ベースのパン生地のそれよりも脆弱である。
【0011】この白小麦粉を用い、イーストフード(またはブロメート)および乳化剤に代えて米麹とビタミンCを品質改良剤として使用することにより、パン生地の網目構造が一層緻密でかつ均質になる。このため、網目構造に含まれる水は自由水ではなく、結合水に近い状態で拘束されるため、凍結しても針状の氷の結晶が生成され難くなり、マイクロ波加熱によっても元の網目構造の損傷は少ないものと推測される。
【0012】本発明においては、小麦粉原料の少なくとも一部分、好ましくは30%以上、より好ましくは70%以上に白小麦粉を使用する。残りは赤小麦粉である。
【0013】単に原料を白小麦粉とするだけでは電子レンジによる加熱に適応した調理パン用のパンは得られない。先に述べたように、パン生地には膨化のためのイーストのほか、イーストフード、またはブロメート(臭素酸カリウム)および乳化剤が添加される。本発明においてはイーストフード、またはブロメートおよび乳化剤を使用せず、その代りに米麹およびビタミンCをパン生地へ添加する。
【0014】米麹は、良く知られたように、蒸煮した白米にコウジカビ(Aspergillus oryzae)の分生子を接種し、培養により米粒に菌糸を豊富に生やしたものである。日本では古来、酒、甘酒、醤油、味噌などの発酵食品の製造に使用されている。米麹にはデンプン、蛋白質、脂質を分解する酵素が含まれ、それぞれの食品に特有の味や香りをつくり出す。米麹をパン製造に使用すると、酵素活性によってイーストの発酵を助け、小麦蛋白であるグルテンの生成を促進するため食感および風味のよいパンが得られる。
【0015】ビタミンC(アスコルビン酸およびその塩類)はその酸化作用によってジスルフィド結合−s−s−の生成を促進し、パン生地にガス保持力と弾力性を付与する働きを持つ。
【0016】イーストフード又はブロメートは生地の発酵と改良を促進する助剤として、グリセリン脂肪酸エステルに代表される乳化剤は、小麦粉等の親水性原料とショートニング(油脂)との均一な混和およびデンプンの老化によるパンの劣化を抑制するために従来は製パンの必須成分であった。
【0017】本発明においてはこれら従来製パンの必須成分と考えられていたイーストフード又はブロメート、および乳化剤を使用せず、その代りに米麹およびビタミンCを使用する。その添加量は原料小麦粉100重量部に対し、米麹0.1〜1.0重量部好ましくは0.2〜0.5重量部、ビタミンC0.0005〜0.05重量部好ましくは0.001〜0.01重量部である。
【0018】水および砂糖、食塩、鶏卵、粉乳などの他の副原料の種類、添加量および添加方法は従来の製パン方法と同じでよい。
【0019】本発明の製パン方法は中種法および直接法のいずれにも適用可能である。また電子レンジで加熱する前に、完成したパンからつくったホットドッグ、ハンバーガーなどの調理パンを電子レンジ加熱に適応したラップで包装し、冷蔵または冷凍した状態で家庭用、業務用、または電子レンジ内蔵自動販売機用として出荷することができる。またデンプンが糊化して冷却後も形を保つ程度の半完成品を冷凍状態で供給し、家庭または店頭で通常のオーブン温度で焼き上げて調理パンとして食用に供することもできる。
【0020】さらに少なくとも30%は白小麦粉が占め、残りは赤小麦粉が占める小麦粉100重量と、米麹0.01〜1.0重量部と、ビタミンC0.0005〜0.05重量部と、膨化有効量のイーストを含んでいるプレミックスは、家庭またはベーカリーにおいて本発明の調理パンを製造するために有用であろう。
【0021】本発明の調理パンの包材は、マイクロ波加熱に耐えられるものでなければならない。特に電子レンジ内蔵の自動販売機では、内容物は冷凍状態から急激に加熱、調理されるので、これに耐えられるように複合プラスチックフィルムを使用すると良い。
【0022】
【実施例】以下の限定を意図しない実施例により、本発明を具体的に例証する。
【0023】実施例1白小麦粉であるアメリカカンザス州産Hard White Wheat(蛋白質12%、水分14%)1,000gを使用し、中種法にて下記の配合及び工程で製パンを行い、バンズを得た。
【0024】

【0025】

【0026】得られたバンズを5〜10℃にて48時間保管後トレーにのせ、電子レンジ(出力1500W)で15秒間加熱した。加熱後のバンズの表面に収縮は見られず、食感も米麹およびビタミンCを用いずにイーストフード、又はブロメートおよび乳化剤を用いた通常の製造法で得られた焼成後のバンズとほぼ同様であった。一方、市販のバンズを5〜10℃にて48時間保管後、上記と同一条件にて処理したところ、バンズの表面が収縮するのみならず、内層の組織そのものが軟化し、時間経過とともに固化する現象が生じた。
【0027】実施例2白小麦粉であるオーストラリア産Australian Hard(蛋白質12.5%、水分14%)を700gと赤小麦粉であるアメリカ産Hard Red Wheat(蛋白質13%、水分14%)300gを使用し、ストレート法にて下記配合及び工程で製パンを行い、ロールパンを得た。
【0028】

【0029】得られたロールパンを常温(20℃)にて24時間保管後トレーにのせ、電子レンジ(出力1500W)を用いて12秒間加熱した。加熱後のロールパンの表面に収縮は見られず、食感も米麹およびビタミンCを用いずにイーストフード又はブロメートおよび乳化剤を用いた通常の製造法で得られた焼成後のロールパンとほぼ同一であった。市販のロールパンを常温(20℃)にて24時間保管後上記と同一条件にて処理した結果は、実施例1で得られた結果と同一のものであった。
【0030】実施例3実施例1で得られたバンズ70g、牛肉ベースのハンバーグ42g、オニオン8g、ケチャップ10gを使用し、ビーフハンバーガー(130g)を得た。次いでこれを電子レンジ対応のポリエチレンフィルムで包装し、1週間、−25℃にて凍結した後、冷凍のまま電子レンジ(出力1500W)で70秒加熱し、調理されたビーフハンバーガーを得た。バンズ部の表面、内層とも通常のバンズとほぼ同一の品質であるが、ケチャップ等具材部の水分の一部がバンズとの接触部分に移行する現象が見られたが、食感的には何ら問題は生じなかった。
【0031】実施例4実施例2で得られたロールパン70g、ポークソーセージ62g、マスタード8g、ケチャップ12gを使用しホットドッグを得た。次いでこれを電子レンジ対応のポリエチレンフィルムで包装し、3日間、5℃にて冷蔵した後、冷蔵のまま電子レンジ(出力1500W)で30秒加熱し、調理されたホットドッグを得た。ロールパン部の表面、内層とも通常のロールパンとほぼ同一の品質であるが、ケチャップ等、具材等の水分の一部がロールパンとの接触部分に移行する現象が見られたが、食感的には何ら問題は生じなかった。
【0032】実施例5実施例1及び2でバンズとロールパンを得るに当たり、小麦粉、米麹、ビタミンCを記載した割合で均一に混合したプレミックス粉を使用したことろ、それぞれの実施例と全く同一の結果が得られた。
【0033】実施例2で得られたホイロ後(焼成前)のロールパン用生地80gを30日間、−25℃にて冷凍保管後、解凍庫にて常温に戻し、オーブンで210℃、10分間焼成し、ロールパンを得た。得られたロールパンをトレーにのせ、電子レンジ(出力1500W)を用いて12秒間加熱した。加熱後のロールパンの表面に収縮は見られず、食感も生地を直ちに焼成して得たものと大差は見られなかった。
【出願人】 【識別番号】591035195
【氏名又は名称】ユニコロイド株式会社
【出願日】 平成12年8月25日(2000.8.25)
【代理人】 【識別番号】100060368
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 迪夫
【公開番号】 特開2002−65148(P2002−65148A)
【公開日】 平成14年3月5日(2002.3.5)
【出願番号】 特願2000−255470(P2000−255470)