トップ :: A 生活必需品 :: A21 ベイキング;生地製造または加工の機械あるいは設備;ベイキングの生地

【発明の名称】 菓子パン類の製造方法
【発明者】 【氏名】日吉三明

【氏名】岡元正弘

【要約】 【課題】耐熱性の内包フィリングと非耐熱性の充填フィリングとの両方のフィリングを有するとともに被覆素材の利用も図って、表面は通常の焼き色がついた硬い表皮の部分がないか、もしくは少なくて、全体的に大変柔らかいのに潰れにくくボリューム感のある新しい高級菓子パン類を提供できるようにする。

【解決手段】(1)パン類生地Kで内包フィリングFaを包み込み成形する成形工程(A)と、(2)包み込み成形したパン類生地Kを焼成型枠1内に載置する載置工程(B)と、(3)焼成型枠1内に載置したパン類生地Kのホイロをとるホイロ工程(C)と、(4)ホイロ後のパン類生地Kの上面の全部又は一部に被覆素材Tを被覆する被覆工程(D)と、(5)パン類生地Kを焼成処理する焼成工程(E)と、(6)焼成処理されたパン類生地Kを冷却する冷却工程(L)と、(7)焼成処理したパン類生地Kの内部に充填フィリングFbを充填する充填工程(F)とを備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 パン類生地で内包フィリングを包み込み成形する成形工程(A)と、該包み込み成形したパン類生地を焼成型枠内に載置する載置工程(B)と、該焼成型枠内に載置したパン類生地のホイロをとるホイロ工程(C)と、該ホイロ後のパン類生地の上面の全部又は一部に被覆素材を被覆する被覆工程(D)と、該パン類生地を焼成処理する焼成工程(E)と、該焼成処理したパン類生地の内部に充填フィリングを充填する充填工程(F)とを有することを特徴とする菓子パン類の製造方法。
【請求項2】 パン類生地で内包フィリングを包み込み成形する成形工程(A)と、該包み込み成形したパン類生地を焼成型枠内に載置する載置工程(B)と、該焼成型枠内に載置したパン類生地の上面の全部又は一部に被覆素材を被覆する被覆工程(G)と、該被覆素材を被覆したパン類生地のホイロをとるホイロ工程(H)と、該パン類生地を焼成処理する焼成工程(E)と、該焼成処理したパン類生地の内部に充填フィリングを充填する充填工程(F)とを有することを特徴とする菓子パン類の製造方法。
【請求項3】 パン類生地で内包フィリングを包み込み成形する成形工程(A)と、該包み込み成形したパン類生地の上面の全部又は一部に被覆素材を被覆する被覆工程(I)と、該被覆素材を被覆したパン類生地を焼成型枠内に載置する載置工程(J)と、該焼成型枠内に載置したパン類生地のホイロをとるホイロ工程(K)と、該パン類生地を焼成処理する焼成工程(E)と、該焼成処理したパン類生地の内部に充填フィリングを充填する充填工程(F)とを有することを特徴とする菓子パン類の製造方法。
【請求項4】 上記被覆工程において、用いる被覆素材を各種トッピングで構成したことを特徴とする請求項1,2または3記載の菓子パン類の製造方法。
【請求項5】 上記被覆工程において、用いる被覆素材を小麦粉を原料とした上掛け生地で構成したことを特徴とする請求項1,2または3記載の菓子パン類の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は菓子パン類の製造方法に係り、特に、内部にフィリングを有した菓子パン類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】昔からパン類の種類として所謂菓子パン類がある。これは欧米では見られない我が国独特のパン類である。この菓子パン類は長年我が国の消費者に好まれてきており、最近ではあらためて菓子パンブームとも言うべき現象が起きている。菓子パン類の製造方法においては、従来、以下のような態様のものが挙げられる。
■ パン類生地で内包フィリングを包み込み成形し、平板状か平板に若干の窪み部を設けた天板(展板)に載置してホイロをとり、焼成処理することからなる菓子パン類の製造方法。これは通常のあんパン、クリームパン、ジャムパン等々の製造方法である。
【0003】■ 焼成処理したパン類に充填フィリングを充填することからなる菓子パン類の製造方法。例えば、特公昭61−52653号公報、特公平4−78254号公報、特開昭55−54846号公報、特開昭60−24143号公報等参照。詳しくは、それぞれパン類生地にマシュマロ類似物、カプセル状油脂、含気油脂組成物、チーズ等蛋白加工食品を包み込んでホイロ及び焼成することにより焼成パン類の内部に空洞を形成し、該空洞に充填フィリングを充填するというものであり、空洞を形成するために、パン類生地以外の特別な食品素材を使用している。
【0004】■ パン類生地で内包フィリングを包み込み成形し、上記天板(展板)に載置してホイロをとり、焼成処理した後、該焼成処理したパン類に充填フィリングを充填することからなる菓子パン類の製造方法。例えば、特開昭57−166929号公報、特開昭58−158124号公報掲載。詳しくは、図7に示すように、餡,ジャム,クリーム等の内包フィリングFaをパン類生地Kに包み込み、ホイロをとり、焼成する(図7(a))。それから、この焼成によって生じた内包フィリングFaの上側に形成された空洞Sに、マーガリン等の流動状の充填フィリングFbを充填する(図7(b))ものである。
■ 内部にフィリングを有しない菓子パン類ではあるが、焼成処理したパン類にトッピング等の被覆素材を掛けて被覆することからなる菓子パン類の製造方法も知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の菓子パン類の製造方法において、■のパン類生地で内包フィリングを包み込み成形して焼成処理することからなる菓子パン類の製造方法にあっては、多量の内包フィリングを包み込むと、内包フィリングの下側のパン類生地の膨張と火通りが抑制され、また、フィリングが焼成処理されるので、生クリーム等の非耐熱性フィリングの使用はできず、内包フィリングとしてフラワーペースト等の耐熱性内包フィリングしか使用することができないという欠点がある。これに対して、■の焼成処理したパン類に充填フィリングを充填する菓子パン類の製造方法にあっては、生クリーム等の非耐熱性フィリングを充填することはできるが、パン類生地にマシュマロ類似物、カプセル状油脂、含気油脂組成物、チーズ等蛋白加工食品を包み込んでホイロ及び焼成することにより焼成パン類の内部に空洞を形成し、該空洞に充填フィリングを充填するというものであるので、パン類生地以外の特別な食品素材を使用する必要があることから食品素材点数が増え、特別な食品素材が焼成パン類の食感及び味に何らかの影響を及ぼしているということもある。
【0006】また、上記■及び■の菓子パン類を組合せたものとして、■のパン類生地Kで内包フィリングFaを包み込み成形し焼成処理した後充填フィリングFbを充填する菓子パン類があるが、この菓子パン類にあっても、前記■の従来の技術のように内包フィリングの下側のパン類生地の膨張と火通りが抑制され、また、空洞Sを形成するための特別な食品素材を使用しないので、前記■の従来の技術と異なり空洞Sが小さくなり、比較的少量の充填フィリングFbしか充填することができない。更に、充填量を増やそうとして空洞Sに無理に充填フィリングFbを充填しようとするとパン類生地Kが破損し易くなるという欠点もある。更に、上記■の焼成処理したパン類にトッピング等の被覆素材を掛けて被覆することからなる菓子パン類の製造方法にあっては、焼成店舗で販売するいわゆる焼き立てパンであれば別として、包装して流通に置かれるホールセール用製品であればトッピングが包装裏面を汚し、また、潰れて美観を損なう。
【0007】本発明は、上記従来の製造方法の問題点に鑑みてなされたもので、耐熱性の内包フィリングと非耐熱性の充填フィリングとの両方のフィリングを有するとともに被覆素材の利用も図った少なくとも3種類のフィリング等(被覆素材を含む)を加味した菓子パン類の製造方法を提供するものである。また、この際、表面は通常の焼き色がついた硬い表皮の部分がないか、もしくは少なくて、全体的に大変柔らかいのに潰れにくいボリューム感のある新しい高級菓子パン類の製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決するための本発明の菓子パン類の製造方法は、第一に、パン類生地で内包フィリングを包み込み成形する成形工程(A)と、該包み込み成形したパン類生地を焼成型枠内に載置する載置工程(B)と、該焼成型枠内に載置したパン類生地のホイロをとるホイロ工程(C)と、該ホイロ後のパン類生地の上面の全部又は一部に被覆素材を被覆する被覆工程(D)と、該パン類生地を焼成処理する焼成工程(E)と、該焼成処理したパン類生地の内部に充填フィリングを充填する充填工程(F)とを有する構成としている。
【0009】また、第二に、パン類生地で内包フィリングを包み込み成形する成形工程(A)と、該包み込み成形したパン類生地を焼成型枠内に載置する載置工程(B)と、該焼成型枠内に載置したパン類生地の上面の全部又は一部に被覆素材を被覆する被覆工程(G)と、該被覆素材を被覆したパン類生地のホイロをとるホイロ工程(H)と、該パン類生地を焼成処理する焼成工程(E)と、該焼成処理したパン類生地の内部に充填フィリングを充填する充填工程(F)とを有する構成としている。
【0010】更に、第三に、パン類生地で内包フィリングを包み込み成形する成形工程(A)と、該包み込み成形したパン類生地の上面の全部又は一部に被覆素材を被覆する被覆工程(I)と、該被覆素材を被覆したパン類生地を焼成型枠内に載置する載置工程(J)と、該焼成型枠内に載置したパン類生地のホイロをとるホイロ工程(K)と、該パン類生地を焼成処理する焼成工程(E)と、該焼成処理したパン類生地の内部に充填フィリングを充填する充填工程(F)とを有する構成としている。
【0011】これらの製造方法によれば、パン類生地で内包フィリングを包み込み、焼成処理前に上面の全部又は一部に被覆素材を被覆し、それから焼成処理して、この焼成処理したパン類生地の内部に充填フィリングを充填するものであり、かつ、パン類生地のホイロ及び焼成処理はパン類生地を焼成型枠内に載置して行なうものである。この製法において、パン類生地で内包フィリングを包み込み成形してホイロおよび焼成することにより、上記従来の技術■のように特別な食品素材を使用することなく、パン類生地のホイロおよび焼成処理工程において、パン類生地の膨張、内包フィリングの包み込み成形時に一緒に包み込まれた空気の膨張、含水性フィリングの水分蒸発による体積縮小、該フィリング中の水分に由来する蒸気の発生等によってパン類の内部に空洞が形成されるが、この場合、パン類生地のホイロおよび焼成処理はパン類生地を焼成型枠内に載置して行なうものであるため、後述するとおりパン類生地は焼成型枠の内壁面に沿って高さ方向へ大きく膨張しボリューム感のある菓子パン類ができ上がる。特に、上記第一の製造方法においては、ホイロ工程においてパン類生地の醗酵膨張が被覆素材の質量によって阻害されることがないため、高さ方向への膨張、したがってボリューム感が著しくなる。また、焼成はパン類生地を焼成型枠内に載置しその上面の全部または一部に被覆素材を被覆して行なうものであるため、パン類生地への火通りが控えめであることから、焼成後のパン類は表面が通常の焼き色がついた硬い表皮部分がないか、もしくは少なくて、全体的に大変柔らかいにもかかわらず、短い略円柱状あるいは筒状に焼き上がるため潰れにくい。
【0012】そして、充填工程において、焼成後のパン類には大きな空洞が形成されているので、多量の充填フィリングが空洞に充填される。更に、トッピングが焼成処理されて粘着性や流動性が除去されているので、その保形性がよくなり、包装上便利である。また、パン類生地の上面側が丈夫になることから、充填される充填フィリングによって押されても容易に破れたりしにくくなり、それだけ、充填フィリングの充填量を増加させることができる。そしてまた、パン類生地で内包フィリングを包み込み、焼成処理前に上面の全部又は一部に被覆素材を被覆し、それから焼成処理して、この焼成処理したパン類生地の内部に充填フィリングを充填するので、耐熱性の内包フィリングと非耐熱性の充填フィリングとの両方のフィリングを有するとともに、トッピング等の被覆素材を被覆した少なくとも3種類のフィリング等(被覆素材を含む)を加味した今までにない新規な菓子パン類を提供できる。
【0013】ここで、上記主要な要素について説明する。「パン類生地」とは、少なくとも小麦粉、イースト及び水からなる原料を混捏し、好ましくは更に塩、糖類、脱脂粉乳等の乳製品、油脂、卵、イーストフード等の生地改良剤、乳化剤等の原料のうちの一つ又は任意に選択した二つ以上のものを混捏し、必要に応じて醗酵させて作成した生地を広く意味する。例えば、食パン、ホールホイート(全粒粉)・グラハム・ライ麦パン、フランスパン・ドイツパン等のハースブレッド(直焼きパン)、ロールパン、菓子パン、バンズ、スイートロール・コーヒーケーキ等のペイストリー、その他の小麦粉生地焼成処理品を製造するための生地である。
【0014】「内包フィリング」とは、前記パン類生地による包み込み成形が可能であり、且つ後記焼成処理に適するような食品素材であれば何でもよい。例えば、餡、餡ペースト、フラワーペースト、ジャム、果実等のプレザーブ(シロップ漬け等)、栗・胡桃等の木の実、ピーナッツ・落花生・アーモンド、マカデミアナッツ、カシューナッツ等のナッツ類、チョコレートその他であるが、これらに限定されない。
【0015】「被覆素材」とは各種トッピング、小麦粉を原料とした上掛け生地などを含む。「トッピング」とは、前記包み込み成形したパン類生地又は該パン類生地のホイロをとったものの上面に掛けることが可能であり、且つ後記焼成処理に適するような食品素材であれば何でもよい。その性状はペースト状、クリーム状(流動状を含み液状は除く)、固形状、粉体状、顆粒状その他のものが可能であるが、液状は不可である。トッピングとしては、例えば、上記内包フィリングとして例示した食品素材であるが、これらに限定されない。「小麦粉を原料とした上掛け生地」としては、例えば、メロンパンの上掛け生地、クッキー生地、ビスケット生地、シュー生地、パイ生地等であるが、これらに限定されない。
【0016】「充填フィリング」とは、後記焼成処理したパン類内に充填、注入することが可能な食品素材であれば何でもよい。例えば、充填フィリングとしては、バタークリーム、生クリーム、ホイップクリーム、あんペースト、フラワーペースト、ジャム、バター、マーガリン、ピーナツバター、アイスクリーム等のペースト状、クリーム状(液状は除く)食品素材である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る菓子パン類の製造方法について説明する。図1には、第一の実施の形態に係る菓子パン類の製造方法の製造工程を示している。この製造方法を工程順に説明する。
(1)成形工程(A)
パン類生地Kで内包フィリングFaを包み込み成形する。詳しくは、予め最終製品の生地質量に分割したパン類生地Kで内包フィリングFaを包み込み成形し、例えば、円盤状に形成したパン類生地Kの中央に内包フィリングFaを入れて内包フィリングFaを包み込むとともにパン類生地Kの周縁同士を接合して成形を行なう。あるいは、混捏後または大分割後の未だ最終製品の生地質量に分割する前のパン類生地Kで内包フィリングFaを包み込み成形するとともに、最終製品の生地質量に分割するものである。いずれにせよ、包み込み成形をした後にはパン類生地Kが完全に内包フィリングFaを被覆して、内包フィリングFaがパン類生地Kから露出しないようにすることが望ましい。この工程は、手作業で、または、機械装置を使用して実施可能である。この機械装置としては、例えば、特公平1−42652号、特公平5−53453号、特公平5−9051号、特開平4−11844号、特公平8−4443号、特公平7−114677号、特公平8−24523号等の各公報に記載のもの、その他の機械装置が使用可能である。
【0018】この工程においては、包み込み成形する形状は特に問わない。例えば、餡パン・バンズのような丸型、クリームパン・ジャムパンのような短冊型、コッペパン・ホットドッグのような長いロール型、四角型、三角型その他である。しかし、最終製品の形状に沿った形状に成形することが望ましい。このようにパン類生地Kで内包フィリングFaを包み込み成形することにより、少なくとも一種類目のフィリングを加味することができ、また、フィリングとしてパン類生地Kの焼成処理後の充填には適さない固形状、顆粒状、粉状等のフィリングを内包させることができる。
【0019】(2)載置工程(B)
包み込み成形したパン類生地Kを焼成型枠I内に載置する。この場合、内包フィリングFaを包み込んだパン類生地Kの周縁同士の接合部を下側にしてパン類生地Kを載置する。即ち、包み込み成形したパン類生地Kに包み込み成形時の接合部が形成されているときには、この部分を下側にして載置することが望ましく、パン類生地Kを焼成型枠内の中央部に載置することが望ましい。焼成型枠Iとしては、底面と、該底面の周囲から立ち上がり周囲を取り囲む連続した枠状の側壁からなる凹状の焼成型や、図2に示すように、底面のない連続した枠状の側壁だけからなる焼成枠体が使用可能である。このとき凹状の焼成型や枠状の焼成枠体が複数連なった焼成型枠Iを使用すると連続又は大量生産のときに便利である。焼成型枠Iとしては、図2に示すような後者の枠状の焼成枠体を使用することが望ましい。焼成処理後にパン類を凹状焼成型から取り出す必要がなく、該パン類を天板(展板)やコンベア上に搭置したまま焼成枠体を取り外せばよく、該パン類の移載等に便利である。
【0020】(3)ホイロ工程(C)
焼成型枠I内に載置したパン類生地Kのホイロをとる。焼成型枠I内に載置したパン類生地Kを最終醗酵させて該パン類生地K中に十分なガスを生成・内包させて膨張させるものであるが、このときに該パン類生地Kが該焼成型枠Iの内壁面に達して内壁面に沿って膨張するようにする。尚、該ホイロ工程は製造しようとする菓子パン類の種類ごとに常法か又は公知の技術に従い実施することが可能である。こうすることにより、被覆素材の質量によって阻害されることなく、パン類生地Kは大きく、特に横方向への膨張が抑制されて高さ方向へ大きく膨張することが可能となり、その後の焼成処理工程まで横崩れすることなく、翻って十分なホイロにおける醗酵を実現することが可能となり、その結果焼成処理後の最終製品のボリューム、食感及び風味を向上させることができる。
【0021】(4)被覆工程(D)
ホイロ後のパン類生地Kの上面の全部又は一部に被覆素材Tを被覆する。用いる被覆素材Tは、各種トッピングで構成され、あるいは、小麦粉を原料とした上掛け生地で構成されている。こうすることにより、パン類に少なくとも2種類目のトッピング等の被覆素材を加味することができ、また、前記ホイロ工程前に被覆素材を掛けることにより被覆素材の質量で前記ホイロ工程におけるパン類生地Kの醗酵膨張が阻害されることを防止するとともに、該パン類生地Kが該焼成型枠I内に載置された状態で被覆素材を掛けることにより、前記ホイロ工程で醗酵膨張し、グルテン膜が薄く、柔らかく、弱くなっているパン類生地Kを周囲から補強することになり、被覆素材の質量で該パン類生地Kが崩壊したり、潰れたりすることを抑制しながら次の焼成処理工程へ移行させることが可能となる。
【0022】(5)焼成工程(E)
パン類生地Kを焼成処理する。即ち、焼成型枠I内に載置してホイロをとりトッピング等の被覆素材を掛けたパン類生地Kを焼成型枠I内に載置した状態で焼成処理して焼成製品とするものである。こうすることにより、該パン類生地Kが該焼成型枠Iの内壁面に沿って大きく、特に高さ方向へ大きくオーブンスプリングを実現することが可能となり、これにより焼成処理後の最終製品のボリューム、食感及び風味を向上させることが可能となる。また、焼成によって内包フィリングFaの上側に空洞Sが生成される。詳しくは、パン類生地Kで内包フィリングFaを包み込み成形してホイロおよび焼成することにより、特別な食品素材を使用することなく、パン類生地のホイロおよび焼成処理工程において、パン類生地の膨張、内包フィリングの包み込み成形時に一緒に包み込まれた空気の膨張、含水性フィリングの水分蒸発による体積縮小、該フィリング中の水分に由来する蒸気の発生等によってパン類の内部に空洞が形成される。
(6)冷却工程(L)
このようにして焼成処理が終了した焼成製品は、直ちに次の充填工程(F)へ移行させてもよいが、冷却工程を経てからFの工程へ移行させることが望ましく、更には冷却工程に先立ち前記焼成枠体を除去し、又は前記焼成型枠Iから取り出して、その後冷却工程を経て前記Fの工程へ移行させることがより一層望ましい。該冷却には自然放冷も含まれ、常温における自然放冷が望ましい。
【0023】(7)充填工程(F)
焼成処理したパン類生地Kの内部に充填フィリングFbを充填する。充填は、ノズル2のある充填機(図示せず)で行なう。このノズル2を例えば空洞Sに差し込み、ノズル2から充填フィリングFbを吐出させて充填する。この場合、大きな空洞Sが形成されているので、多量の充填フィリングFbが空洞Sに充填される。更に、この場合、トッピング等の被覆素材が焼成処理されて粘着性や流動性が除去されているので、その保形性がよくなり包装上便利である。また、パン類生地Kの上面側が丈夫になることから、充填される充填フィリングFbによって押されても容易に破れたりしにくくなり、それだけ、充填フィリングFbの充填量を増加させることができる。これにより、図3に示すような菓子パン類が製造される。
【0024】また、この充填は必ずしも、空洞Sに充填することに限定されない。例えば、図4に示すように、ノズル2を、内包フィリングFa中に差し込み、または、内包フィリングFaを貫通させて内包フィリングFaと下側のパン類との間に差し込み、充填フィリングFbを注入するようにする。この場合、パン類中の内包フィリングFaの上側に空洞Sがあるので、この空洞Sが縮小することで充填フィリングFbが吸収されていく。この空洞Sが多量の充填フィリングFbの注入を吸収することができ、多量の充填フィリングFbの充填が可能になる。しかしながら、充填フィリングFbの注入は空洞S内に注入することが望ましい。
【0025】このように製造された製品は、少なくとも3種類目のフィリング等(この場合、トッピング等の被覆素材も含む)をパン類に加味することが可能となる。また、多量の充填フィリングFbが空洞Sに充填されているとともに、更に、トッピングが焼成処理されているので、トッピングの保形性を向上させたり、粘着性や流動性を除去したりすることが可能となり、製造される最終製品がホールセール製品であるときには、該製品を包装してもトッピングが潰れにくいし、表側の包装の裏面がトッピング等の被覆素材によって汚れるおそれが小さいため包装上便利であるし、又該パン類自体が潰れにくく、トッピング等の被覆素材の賞味期間も長期化するため流通上も便利である。この場合、パン類生地のホイロおよび焼成処理はパン類生地を焼成型枠内に載置して行なうものであるため、パン類生地は焼成型枠の内壁面に沿って高さ方向へ大きく膨張しボリューム感のある菓子パン類ができ上がる。また、特にこの製造方法においては、ホイロ工程においてパン類生地の醗酵膨張が被覆素材の質量によって阻害されることがないため、高さ方向への膨張、したがってボリューム感が著しくなる。更に、焼成はパン類生地を焼成型枠内に載置しその上面の全部または一部に被覆素材を被覆して行なうものであるため、パン類生地への火通りが控えめであることから、焼成後のパン類は表面が通常の焼き色がついた硬い表皮部分がないか、もしくは少なくて、全体的に大変柔らかいにもかかわらず、短い略円柱状あるいは筒状に焼き上がるため潰れにくい。
【0026】図5には、第二の実施の形態に係る菓子パン類の製造方法の製造工程を示している。この製造方法は、上記第一の実施の形態に係る菓子パン類の製造方法と略同様であるが、第一の実施の形態と異なって、被覆工程とホイロ工程とを逆にしている。即ち、(1)成形工程(A)
(2)載置工程(B)
(3)被覆工程(G)
(4)ホイロ工程(H)
(5)焼成工程(E)
(6)冷却工程(L)
(7)充填工程(F)
の順にしている。この第二の実施の形態に係る菓子パン類の製造方法によれば、ホイロ前のパン類生地Kの上面にトッピング等の被覆素材を掛けてからホイロを採ることにより、上記第一の実施の形態よりも被覆素材の質量によりホイロにおけるパン類生地の膨張が抑制される傾向になるが、パン類生地のホイロおよび焼成処理はパン類生地を焼成型枠内に載置して行なうものであるため、パン類生地は焼成型枠の内壁面に沿って高さ方向へ大きく膨張しボリューム感のある菓子パン類ができ上がる。被覆素材はホイロ後のパン類生地Kに埋没したり、一体化したりして、焼成処理後の最終製品はより被覆素材とパン類生地Kとが馴染んだ風味を醸し出す。他の作用,効果は、上記と同様である。
【0027】図6には、第三の実施の形態に係る菓子パン類の製造方法の製造工程を示している。この製造方法は、上記第二の実施の形態に係る菓子パン類の製造方法と略同様であるが、第二の実施の形態と異なって、被覆工程と載置工程とを逆にしている。即ち、(1)成形工程(A)
(2)被覆工程(I)
(3)載置工程(J)
(4)ホイロ工程(K)
(5)焼成工程(E)
(6)冷却工程(L)
(7)充填工程(F)
の順にしている。この第三の実施の形態に係る菓子パン類の製造方法によれば、ホイロ前のパン類生地Kの上面にトッピング等の被覆素材を掛けてからホイロを採ることにより、上記第一の実施の形態よりも被覆素材の質量によりホイロにおけるパン類生地の膨張が抑制される傾向になるが、パン類生地のホイロおよび焼成処理はパン類生地を焼成型枠内に載置して行なうものであるため、パン類生地は焼成型枠の内壁面に沿って高さ方向へ大きく膨張しボリューム感のある菓子パン類ができ上がる。被覆素材はホイロ後のパン類生地Kに埋没したり、一体化したりして、焼成処理後の最終製品はより被覆素材とパン類生地Kとが馴染んだ風味を醸し出す。その他の作用,効果は上記と同様である。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例に係る菓子パン類の製造方法を示す。
[実施例1]この実施例1は、上記第一の実施の形態に対応した工程を有し、先ず、パン類生地Kとして、以下の組成と工程で作成した。
(1)組成(1−1)中種小麦粉(強力粉) 70(単位 質量%)
イースト 3イーストフード 0.05生地改良剤 0.05乳化剤 0.2水 20(1−2)本捏小麦粉(強力粉) 30(単位 質量%)
糖類 20液卵 5油脂 5塩 2水 45(2)工程中種発酵 28℃、2時間本捏生地捏上温度 25℃フロアータイム 28℃、20分【0029】そして、以下の工程に従って作成した。
(1)成形工程前記フロアータイム後のパン類生地Kをディバイダーを使用して60gの生地に分割し、ラウンダーを使用して丸める。28℃で20分間ベンチタイムを採る。三段モルダーを使用してガス抜きをする。該ガス抜き後の楕円形・平板状のパン類生地Kを使用して栗粒入りマロンフラワーペーストを手作業により包み込んで丸型に成形する。これにより、パン類生地Kに2種類のフィリングを加味する。すなわちマロンフラワーペーストを加味し、及び固形状の栗粒を内包する。
(2)載置工程該包み込み成形後のパン類生地Kを、前記枠状焼成枠体を複数連結したものを載置した天板(展板 焼成型枠I)上の該枠内の中央部に、その接合部を下側にして載置する。
(3)ホイロ工程該天板(展板)上の焼成型枠I内に載置したパン類生地Kについて38℃、60分間ホイロを採る。これにより、該パン類生地Kは該焼成型枠Iの内壁面に達して内壁面に沿って膨張するため、該パン類生地Kは大きく、特に横方向への膨張が抑制されて高さ方向へ大きく膨張する。
【0030】(4)被覆工程該ホイロ工程で焼成型枠I内に載置されてその内壁面に沿って醗酵膨張したパン類生地Kが該焼成型枠I内に載置された状態でその上面の全体に渦巻き状に栗餡ペーストを掛ける。これにより、前記ホイロ工程で醗酵膨張し、グルテン膜が薄く、柔らかく、弱くなっているパン類生地Kを周囲から補強することになり、該トッピング掛けによって該醗酵膨張したパン類生地Kが崩壊したり、潰れたりすることなく、パン類生地Kに3種類目のトッピングを加味する。
(5)焼成工程該トッピング掛けしたパン類生地Kを連続オーブンを使用して220℃で15分間焼成する。これにより、該パン類生地Kは該焼成型枠Iの内壁面に沿って大きく膨張し、特に高さ方向へ大きくオーブンスプリングを達成し、内部に大きな空洞Sが形成される。
(6)冷却工程該焼成パンを枠状焼成枠体を除去してから自然放冷する。
(7)充填工程そして、該焼成パンの内部へホイップクリームを充填する。これにより、4種類目のフィリングを加味する。
【0031】このようにして製造した菓子パンは、ボリュームがあり、食感及び風味も良好であり、固形状のフィリングを含む4種類のフィリング・トッピングを加味したものであり、その量も十分であり、特に充填フィリングFbも多量に充填されており、通常の焼き色がついた硬い表皮がほとんどなくて全体的に大変柔らかいのに腰持ちも良好であり、高級感のある菓子パンであった。
【0032】次に、別の実施例を示す。
[実施例2]この実施例2は、上記の第一の実施の形態に対応した工程を有し、内包フィリング,被覆素材及び充填フィリングを以下の組合せにしたものである。
内包フィリング メロン果肉入りメロンフラワーペースト 被覆素材(上掛け生地) メロン皮生地(メロンパン用)
充填フィリング ホイップクリーム【0033】[実施例3]この実施例3は、上記の第二の実施の形態に対応した工程を有し、内包フィリング,被覆素材及び充填フィリングを以下の組合せにしたものである。
内包フィリング イチゴ果肉入りイチゴジャム 被覆素材(トッピング) イチゴフラワーペースト 充填フィリング ホイップクリーム【0034】[実施例4]この実施例4は、上記の第三の実施の形態に対応した工程を有し、内包フィリング,被覆素材及び充填フィリングを以下の組合せにしたものである。
内包フィリング 固形チーズ入りチーズフラワーペースト 被覆素材(トッピング) チーズクッキー生地 充填フィリング チーズホイップクリーム【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の菓子パン類の製造方法によれば、パン類生地で内包フィリングを包み込み、焼成処理前に上面の全部又は一部に被覆素材を被覆し、それから焼成処理して、この焼成処理したパン類生地の内部に充填フィリングを充填するので、耐熱性の内包フィリングと非耐熱性の充填フィリングとの両方のフィリングを有するとともに、トッピング等の被覆素材を被覆した少なくとも3種類のフィリング等(被覆素材を含む)を加味した今までにない新規な菓子パン類を提供できる。また、被覆素材は焼成処理されているので、粘着性や流動性を除去したりすることが可能となり、パン類生地の上面側が丈夫になることから、破れたり通気孔ができたりしにくくなり、そのため、充填フィリングの充填量を増すことができる。更に、被覆素材が焼成処理されているので、粘着性や流動性を除去したり保形性を向上させたりすることが可能となり、製造される最終製品がホールセール製品であるときには、製品を包装しても被覆素材が潰れにくいし、表側の包装の裏面に被覆素材が付着して汚れるおそれが小さいため包装上便利になる。また、パン類自体が潰れにくく、被覆素材の賞味期間も長期化するため流通上も便利である。さらに、パン類生地のホイロ及び加熱処理は、パン類生地を焼成型枠内に載置して行なうものであることから、パン類生地は焼成型枠の内壁面に沿って高さ方向へ大きく膨張し、ボリューム感のある菓子パン類を提供できるようになる。特に、上記第一の製造方法においては、ホイロ工程においてパン類生地の醗酵膨張が被覆素材の質量によって阻害されることがないため、高さ方向への膨張、したがってボリューム感が著しくなる。また、焼成はパン類生地を焼成型枠内に載置しその上面の全部または一部に被覆素材を被覆して行なうものであるため、パン類生地への火通りが控えめであることから、焼成後のパン類は表面が通常の焼き色がついた硬い表皮部分がないか、もしくは少なくて、全体的に大変柔らかいにもかかわらず、短い略円柱状あるいは筒状に焼き上がるため潰れにくい。
【出願人】 【識別番号】000178594
【氏名又は名称】山崎製パン株式会社
【出願日】 平成12年8月30日(2000.8.30)
【代理人】 【識別番号】100069866
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 十四雄 (外1名)
【公開番号】 特開2002−65147(P2002−65147A)
【公開日】 平成14年3月5日(2002.3.5)
【出願番号】 特願2000−261058(P2000−261058)