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【発明の名称】 クルトンの製造方法
【発明者】 【氏名】安田 裕一

【氏名】小田木 貴志

【氏名】兼松 祐二

【要約】 【課題】

【解決手段】吸水性の低い乾燥クルトンを用い、疎水作用をもつ油脂及び澱粉にて皮膜を形成するようコーティングを実施し、粉末澱粉を固定化することにより、クルトン内部への水分の吸水性を低下させ、その結果、長時間カリカリした食感を持続できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 小麦粉重量に対して、1〜10重量%の油脂、20〜40重量%のコーンスターチを配合し、得られたパン生地を用いて、焼成後比容積2〜3ml/gのパンを製造し、次いでこのパンを冷却後、細断または粉砕し、必要に応じて加熱乾燥したクルトンに対して、溶解した固形油脂をコーティング、またはα化澱粉溶液にてコーティングし、さらに粉末澱粉を固定化することを特徴とするクルトンの製造法。
【請求項2】 コーティングする固形油脂として、融点が25℃以上、乾燥クルトンに対し5〜30重量%のコーティング添加量とすることを特徴とする請求項1記載のクルトンの製造法。
【請求項3】 コーティングするα化澱粉溶液として、濃度が10〜30重量%、乾燥クルトンに対して澱粉含量に換算して5〜20重量%のコーティング添加量であることを特徴とする請求項1記載のクルトンの製造法。
【請求項4】 固定化する粉末澱粉量として、乾燥クルトンに対して5〜15重量%とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のクルトンの製造法。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で製造してなるクルトン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸水性が低く、カリカリとした食感を持続させることができるクルトンの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】クルトンは、スープの浮き身やサラダのトッピング等に利用されており、そのカリカリとした食感が楽しまれてきた。しかし、スープやサラダドレッシング等の水分の吸水により、クルトン本来のカリカリとした食感は長い時間持続しないという欠点があった。この問題を解決することを目的として、パン生地にコーンフラワーを添加する(特開昭49−101555)、パン生地に常温固形脂を配合する(特開昭54−92648)、一定量の油脂を含有し、厚い膜構造を形成する(特開平1−179639)、30〜120℃の植物油脂を浸漬する(特開平1−187044)、未油ようクルトンの表面に固体脂でコーティングする(特開平2−255035)、パン生地にトランスグルタミナーゼを添加し作用させる(特開平7−327584)、が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来公知のクルトンは、その何れもが吸水性及び食感両方において満足するものが得られていない。吸水性を少なくするために常温固形脂をクルトン中に配合したり(特開昭54−92648)、浸漬したり(特開平1−187044)する方法があるが、油脂含量が多くなり食感及び味が損なわれる。さらには、油脂が多いため酸化劣化の兆候が顕著に表れる。また、一定量の油脂を含有し、厚い膜構造を有するクルトン(特開平1−179639)は、パン内部の気泡が少ない、つまり密な構造のため、吸水性に関しては低くなるが、パンクルトン本来の食感を持たずあられ様のクルトンとなってしまう。また、カリカリした食感を与えるため、パン生地にコーンフラワーを添加したり(特開昭49−101555)、トランスグルタミナーゼを添加したり(特開平7−327584)する方法があるが、どちらも食感に関しての改良はなされているが、吸水性が高いため長時間カリカリした食感を持続することができない。さらには、クルトン表面に固形油脂にてコーティングする(特許公報:第2995480号)方法も公示されているが、カリカリした食感は有するものの持続することができない。
【0004】こういった欠点を補うべく、吸水性及び食感両方において満足し、長時間カリカリした食感を持続するクルトンを開発する必要があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述のような課題を解決すべく鋭意研究の結果、小麦粉重量に対し1〜10重量%の油脂、20〜40重量%のコーンスターチを配合し、得られるパン生地を用いて、焼成後比容積2〜3ml/gのパンを製造し、次いでこのパンを冷却後、細断または粉砕し、必要に応じて加熱乾燥したクルトンに対して、加熱溶解した固形油脂をコーティング、またはα化澱粉溶液にてコーティングし、さらに粉末澱粉を固定化することを特徴とするクルトンを製造することにより、クルトン内部への水分の吸水性を低下させ、その結果、長時間カリカリした食感を持続できるクルトンの開発に至った。
【0006】本発明の方法により製造されたクルトンは、油脂コーティングまたはα化澱粉溶液コーティング後に粉末澱粉を固定化しており、スープに浮遊させた際、固定化した澱粉粒子が水分及び熱によりα化しクルトンの周囲を覆う。それにより、クルトン内部への水分の吸水性が著しく低下し、その結果、長時間カリカリした食感を持続できる。
【0007】以下に詳細を示す。原料として小麦粉、固形油脂、コーンスターチ、食塩、上白糖、イースト、イーストフード、ビタミンC、乳製品、卵、その他常用される原料及び水を加え十分にミキシングしパン生地を生成する。
【0008】ここでいう固形油脂とは、常温にて固体のものを示し、ショートニング、マーガリン、バター等である。パン生地に練り込む固形油脂量は、小麦粉重量に対して1〜10重量%、好ましくは、3〜7重量%である。その理由として、1%未満である場合、添加効果が得られにくく、10%を超えるとパン自体脆くなり、細断または粉砕し、必要に応じて加熱乾燥する際に割れ欠けを生じ易くなる。
【0009】パン生地に練り込むコーンスターチ量は、小麦粉重量に対して20〜40重量%、好ましくは、25〜35重量%である。その理由として、20%未満である場合、添加効果が得られにくく、40%を超えるとクルトン自体にカリカリとした食感が生じるものの、パン粉様の食感となり食味する上で良好ではない。目的のサイズのクルトンを歩留り良く得るためには、10%以下にすることが好ましい。
【0010】次いで、1次発酵、分割、2次発酵、焼成、冷却という通常の製パン工程と同様の製法にて焼成後比容積2〜3ml/gのクルトン用パンを生成する。焼成後比容積2〜3ml/gにする理由として、2ml/g未満の場合、パンの木目が粗くなり、本発明による方法を用いても十分な効果が得られない。また、3ml/gを超えるとパンの木目は細かくなるが、非常に硬い食感のクルトンとなり、これも食するに適さない。
【0011】上記内容にて得られたクルトン用パンを目的のサイズに細断または粉砕し、必要に応じて加熱乾燥する。
【0012】こうして得られた乾燥クルトンに対して、加熱溶解又はエタノール等の溶媒で溶解した固形油脂をコーティング、またはα化澱粉溶液にてコーティングする。ここでいう固形油脂とは、常温にて固体のものを示し、融点は、25℃以上、好ましくは30℃以上である。その理由として、25℃未満の場合、クルトンをスープに浮遊した際、クルトンから油脂が分離する傾向が非常に強くなり、スープ表面に油滴や油膜を形成し、外観上においても食味する上においても品質上問題が生じる。
【0013】固形油脂としては、植物又は動物由来の常温で固形の油脂がすべて使用され、液状のものは水素を添加して硬化油として使用することができる。油脂の非限定例としては、次のものが挙げられる:バター、牛脂、豚脂、鯨油、卵油、イワシ油、イカ油、各種魚油、ヤシ油、オリーブ油、ヒマシ油、ピーナツ油、菜種油、ゴマ油、大豆油、綿実油、パーム油、パーム核油等のほか、マーガリン、ショートニング等も使用可能である。
【0014】また、ここでいうα化澱粉溶液とは、例えば、馬鈴薯澱粉、とうもろこし澱粉、さつまいも澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉等を用いα化させた澱粉溶液のことであり、濃度が10〜30重量%、好ましくは濃度が15〜25重量%である。
【0015】固形油脂又はα化澱粉溶液のコーティング量は、皮膜を厚く形成する上では、多い方が好ましいが、食感においてべたついた食味、又は粉っぽさを感じさせるため、固形油脂に関しては、乾燥クルトンに対して5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%、α化澱粉溶液に関しては、乾燥クルトンに対して澱粉含量に換算して5〜20重量%、好ましくは5〜10重量%である。コーティング方法としては、スプレー、浸漬、塗布等が利用できる。
【0016】さらに粉末澱粉を固定化する。ここでいう粉末澱粉は、例えば、馬鈴薯澱粉、とうもろこし澱粉、さつまいも澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉等が挙げられる。固定化に用いる粉末澱粉量は、乾燥クルトンに対して5〜15重量%、好ましくは7〜12重量%が適当である。その理由として、5%未満の場合、クルトン表面を粉末澱粉にて覆うことが困難であり、クルトン内部への水分の吸水性を低下させるという効果を十分得ることが出来ない。また、15%超えると粉っぽさが非常に強くなり、食味する上において品質上問題がある。このような製造方法により、クルトン内部への水分の吸水性を低下させ、長時間カリカリした食感を持続できるクルトンを開発するのに成功した。
【0017】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に説明する。
【0018】
【実施例1】小麦粉100部に対し、コーンスターチ30部、イースト2部、イーストフード0.1部、砂糖3部、ショートニング5部、食塩2部、水60部をミキシングし、第1発酵を行った。次ぎに、各500gずつ分割し、20分間ベンチタイムをとった。ベンチタイム終了後圧延処理を行い、型詰め、ホイロへの移動を行い、第2発酵を行った。最終発酵条件は、38℃、湿度85%にて80分行った。こうして得られたパン生地をオーブンにて焼成を行った。得られたパンの比容積は2.5ml/gであった。
【0019】これを1次、2次冷却を実施後、スライサーにて7mm角に切断し、流動層乾燥機にて水分4%になるまで乾燥しクルトンを得た。このクルトン100部に対し、硬化パーム油(融点35℃)15部を加熱溶解しクルトン表面にクルトンを流動させながら噴霧コーティングを実施した。さらに、馬鈴薯澱粉10部を流動層内に添加しクルトン表面に付着させ、本発明の新規のクルトンを得た。
【0020】
【実施例2】実施例1と同様の方法にて乾燥クルトンを得て、このクルトン100部に対し、α化馬鈴薯澱粉溶液(濃度25重量%)30部をクルトン表面にクルトンを流動させながら噴霧コーティングを実施した。さらに、馬鈴薯澱粉10部を流動層内に添加しクルトン表面に付着させ、本発明の新規のクルトンを得た。
【0021】(比較例1)実施例1と同様の方法にて乾燥クルトンを得て、このクルトン100部に対し、硬化パーム油(融点43℃)10部を加熱溶解しクルトン表面にクルトンを流動させながら、噴霧コーティングを実施した。
【0022】(比較例2)実施例1と同様の方法にて乾燥クルトンを得て、クルトン100部に対し加熱溶解した硬化パーム油(融点45℃)が35部吸油されるように浸漬した。
【0023】実施例1、2、比較例1、2の湿潤状況及び食感を表1にまとめた。その結果から明らかなように、本発明に係るクルトンは、7分もの長時間浮遊することができ、食感もすぐれていることが確認された。なお、湿潤状況(非吸水度)及び食感(味含む)の表示は次の意味を表わす。
良好 5← →1 不良(※):澱粉コーティング7.5部、粉末澱粉10部を示す。添加油脂量、添加澱粉量は、いずれも、乾燥クルトン100部に対する添加量を「部」で示したものである。
【0024】
【表1】

【0025】
【発明の効果】本発明では、クルトン表面に疎水作用をもつ油脂及び澱粉にて皮膜を形成するようコーティングを実施し、これらを結着皮膜として粉末澱粉を固定化することにより、クルトン内部への水分の浸透性を低下させ、その結果、長時間カリカリした食感を持続できるクルトンを得ることが出来た。本クルトンは、スープの浮き身やサラダのトッピング等各種の用途に広く利用することができる。
【出願人】 【識別番号】591134199
【氏名又は名称】株式会社ポッカコーポレーション
【出願日】 平成12年8月7日(2000.8.7)
【代理人】 【識別番号】100075775
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 親男
【公開番号】 特開2002−51692(P2002−51692A)
【公開日】 平成14年2月19日(2002.2.19)
【出願番号】 特願2000−238385(P2000−238385)