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【発明の名称】 パン類の製造方法
【発明者】 【氏名】齋藤 裕彦

【氏名】金谷 規弘

【氏名】本間 悦子

【要約】 【課題】

【解決手段】小麦粉を水分とともに混捏して55〜98℃程度の温度の中麺に捏ね上げる工程と、捏ね上げられた中麺と小麦粉及びイーストを含む副材料とを混捏してパン生地を捏ね上げる工程と、捏ね上げられたパン生地を発酵させた後に焼成する工程とを包含することを特徴とするパン類の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 小麦粉を水分とともに混捏して55〜98℃程度の温度の中麺に捏ね上げる工程と、捏ね上げられた中麺と小麦粉及びイーストを含む副材料とを混捏してパン生地を捏ね上げる工程と、捏ね上げられたパン生地を発酵させた後に焼成する工程とを包含することを特徴とするパン類の製造方法。
【請求項2】 パン類製造のために使用する小麦粉全量に対する中麺を捏ね上げるために使用する小麦粉の量が3〜40重量%である請求項1記載のパン類の製造方法。
【請求項3】 中麺が、小麦粉と熱湯を使用して混捏することにより捏ね上げられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパン類の製造方法。
【請求項4】 中麺が、小麦粉と常温の水を使用し、これらを加熱しつつ混捏することによって捏ね上げられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパン類の製造方法。
【請求項5】 中麺が、小麦粉を常温の水とともに電子レンジにて加熱した後に混捏することによって捏ね上げられる請求項1〜4のいずれかに記載のパン類の製造方法。
【請求項6】 中麺が、中麺の粗熱が取られた後にパン生地に捏ね上げられる請求項1〜5のいずれかに記載のパン類の製造方法。
【請求項7】 中麺が、冷蔵保存又は/及び冷凍保存されたのちパン生地捏ね上げ工程に付されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のパン類の製造方法。
【請求項8】 小麦粉を水分とともに混捏して55〜98℃程度の温度に捏ね上げられた中麺を使用して請求項1〜7のいずれかに記載の方法で製造したパン類。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は小麦粉を主原料とする食パン、菓子パン、ロールパン、中華饅頭、イーストドーナツ等のパン類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】小麦粉を主原料として製造される例えば食パン、菓子パン、ロールパン、中華饅頭、イーストドーナツ等のパン類は、通常、全使用量の70重量%程度の小麦粉に対して、イーストの全量又は一部と、各種副材料とを加えて、通常の水とともに混捏し、中種を捏ね上げた後に、捏ね上げられた中種に対して、残りの小麦粉と、イーストを含む各種副材料とを加えて、常温の水とともに混捏してパン生地を捏ね上げ、発酵させた後に焼成することによって製造されている。
【0003】製造されるパン類の性状等を改善するためには、小麦粉に対して各種副材料が添加されている。例えば、パン類の食感をソフトにするためには、ステアリン酸モノグリセライド、ジアセチル酒石酸モノグリセライド、シュガーエステル、ステアリル乳酸カルシウム等乳化剤が添加され、又、保湿性を改善するためには、増粘物質等が添加される。
【0004】特開平11−56219号公報等には、製パン改良剤として、多くの酸化剤(古くは臭素酸カリウム、ヨウ素酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)、還元剤(システイン等)、酵素(グルコースオキシダーゼ、カタラーゼ)等を使用してパン類を製造する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】最近では、食材が多様化するに伴って、例えば上記例示のパン類に対する好みも多様化しており、新たな風味及び食感を有するパン類の開発が望まれている。しかしながら、小麦粉に対して各種副材料を添加すると、小麦粉本来の風味や旨味が損なわれるおそれがあり、又、添加される副材料の種類、添加量によっては経済性が大きく損なわれるおそれもある。
【0006】本発明では上記のような副材料を使用してもよいが、ことさら使用しなくとも、小麦粉本来の風味や旨味を有しており、しかも、ソフトであるにもかかわらず、しっとりしたモチモチ感のある独特の食感を有するパン類を経済的に製造することができる方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のパン類の製造方法は、小麦粉を水分とともに混捏して55〜98℃程度の中麺に捏ね上げる工程と、捏ね上げられた中麺に対して、小麦粉及びイーストを含む副材料を混捏してパン生地を捏ね上げる工程と、捏ね上げられたパン生地を発酵させた後に焼成する工程と、を包含することを特徴とする。本発明においては、中麺捏ね上げのための原料としてイースト以外の副材料を必ずしも必要としない。
【0008】前記中麺は、小麦粉を、熱湯を使用して混捏することにより捏ね上げられる。
【0009】前記中麺は、小麦粉と、常温の水を使用して加熱しつつ混捏することによって捏ね上げられる。
【0010】又は、前記中麺は、小麦粉と、常温の水とともに電子レンジにて加熱した後に混捏することによって捏ね上げられる。
【0011】前記中麺は、粗熱が取られた後にパン生地に捏ね上げられる。
【0012】前記中麺は、冷蔵保存される。前記中麺は、冷凍保存される。
【0013】前記中麺は、冷蔵保存された後に冷凍保存される。すなわち本発明は、(1)小麦粉を水分とともに混捏して55〜98℃程度の温度の中麺に捏ね上げる工程と、捏ね上げられた中麺と小麦粉及びイーストを含む副材料とを混捏してパン生地を捏ね上げる工程と、捏ね上げられたパン生地を発酵させた後に焼成する工程とを包含することを特徴とするパン類の製造方法、(2)パン類製造のために使用する小麦粉全量に対する中麺を捏ね上げるために使用する小麦粉の量が3〜40重量%である前記(1)記載のパン類の製造方法、(3)中麺が、小麦粉と熱湯を使用して混捏することにより捏ね上げられることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のパン類の製造方法、(4)中麺が、小麦粉と常温の水を使用し、これらを加熱しつつ混捏することによって捏ね上げられることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のパン類の製造方法、(5)中麺が、小麦粉を常温の水とともに電子レンジにて加熱した後に混捏することによって捏ね上げられる前記(1)〜(4)のいずれかに記載のパン類の製造方法、(6)中麺が、中麺の粗熱が取られた後にパン生地に捏ね上げられる前記(1)〜(5)のいずれかに記載のパン類の製造方法、(7)中麺が、冷蔵保存又は/及び冷凍保存されたのちパン生地捏ね上げ工程に付されることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載のパン類の製造方法、及び(8)小麦粉を水分とともに混捏して55〜98℃程度の温度に捏ね上げられた中麺を使用して製造されたパン類、に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】例としては、食パン、菓子パン、ロールパン、中華饅頭、イーストドーナツ等が挙げられる。以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】本発明のパン類の製造方法は、通常のパン類の製造方法と異なり、小麦粉を、熱湯とともに混捏することにより、あるいは、小麦粉を、常温の水とともに例えば電子レンジで加熱した後に混捏することにより、55〜98℃程度の温度の中麺に捏ね上げられる。
【0016】中麺を捏ね上げる際に使用される小麦粉は、小麦粉の全使用量の約3〜40重量%程度、好ましくは約10〜30重量%程度である。又、熱湯あるいは水の量は、中麺の捏ね上げに使用される小麦粉100重量%に対して、約50〜400重量%程度である。
【0017】混捏に熱湯を使用する場合には、混捏して捏ね上げられた中麺が、約55〜98℃程度、好ましくは約55〜80℃になるように、高温であることが好ましく、特に、沸騰直後の熱湯が好ましい。このような熱湯を使用することにより、製造されるパン類に、小麦粉独特の風味及び旨味が、より効果的に付与される。上記の約55〜98℃程度の範囲内で混捏して捏ね上げられた中麺を使用して製造されたパン類は約55〜98℃の範囲外の温度に捏ね上げられた中麺を使用して製造されたパン類に比較して、予想外のことであるが、風味と旨味、特にもっちり感(モチモチ感)において有意の差をもって優れている。
【0018】又、常温の水を使用する場合には、小麦粉とともに、電子レンジによって加熱した後に混捏されて、中麺に捏ね上げられる。この場合には、常温の水に対して、小麦粉を、分散させて、電子レンジによって、約55〜98℃程度に加熱される。加熱された材料は、一部が半固体状態になっており、クリーム状になるまで混捏されて、約55〜80℃程度の温度になった中麺に捏ね上げられる。
【0019】又、55〜98℃程度の温度に捏ね上げられた中麺は、4時間以上にわたって保存した後に、パン生地に捏ね上げてもよい。中麺の保存は、常温であってもよいが、中麺が凍結しない−7℃〜+10℃程度の温度による冷蔵保存、又は/及び−7℃以下の温度帯にて凍結しての保存のいずれであってもよい。又、4時間以上にわたって冷蔵保存した後に、−7℃以下の温度帯にて冷凍保存するようにしてもよい。
【0020】このように、約55〜98℃程度の温度に捏ね上げられた中麺は、粗熱が取られると、通常のパン類の製造方法と同様に、残りの小麦粉と、イーストを含む各種副材料とともに、常温の水とともに混捏されて、パン生地に捏ね上げられる。例えば砂糖、食塩、脱脂粉乳、ショートニング、生イースト等副材料の種類、使用割合等は、通常のパン類の製造方法に使用される各種副材料の種類、割合と同様とされる。
【0021】中麺をパン生地に捏ね上げる工程には、通常のパン類の製造方法と同様である。
【0022】捏ね上げられたパン生地は、通常のパン類の製造方法と同様に、発酵させ、所望のパンの形状に成形後に焼成される。これにより、小麦粉の風味及び旨味を有し、しかも、ソフトであるにもかかわらず、しっとりとしたモチモチ感のある食感を有するパン類が得られる。
【0023】
【実施例】〔実施例〕小麦粉100重量%のうち、40重量%に対して、20重量%の熱湯を加え、混捏して中麺を捏ね上げた。捏ね上げ温度は60℃程度であった。中麺は常温下に8時間放置して保存した。次に中麺に対して、残りの小麦粉60重量%及び副材料として砂糖5重量%、食塩2重量%、脱脂粉乳2重量%、ショートニング4重量%、生イースト3重量%を添加して60重量%の常温の水と共に混捏して、パン生地とした。得られたパン生地を常法により28℃の室温下で60分間発酵させ、分割、成型後、38℃の室温下で約60分最終発酵を行ない、200℃で45分焼成し、食パンを得た。
【0024】〔比較例〕小麦粉100重量%のうち、40重量%に対して20重量%の常温水を加え、混捏して中麺を捏ね上げた。捏ね上げ温度は30℃程度であった。次に中麺に対して実施例と同配合、同工程により食パンを得た。
【0025】〔対比テスト方法〕パン製品焼き上げ後2時間室温で放置した後、ビニール袋に入れ、さらに20時間後に、18〜34歳の女性16名と22〜43歳の男性18名の合計34名のパネルによって、対比テストを行い、対比テスト結果は表1のようになった。
【0026】
【表1】

【0027】
【発明の効果】本発明のパン類の製造方法は、このように、種となる中麺を混捏する際に55〜98℃程度の温度にすることにより、小麦粉独特の風味及び旨味を有するとともに、独特の食感を有するパン類を製造することができる。
【出願人】 【識別番号】591018534
【氏名又は名称】奥本製粉株式会社
【出願日】 平成12年7月19日(2000.7.19)
【代理人】 【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
【公開番号】 特開2002−34436(P2002−34436A)
【公開日】 平成14年2月5日(2002.2.5)
【出願番号】 特願2000−218785(P2000−218785)