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半焼成パンの保存方法 - 特開2002−17242 | j-tokkyo
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【発明の名称】 半焼成パンの保存方法
【発明者】 【氏名】進野 厚幸

【氏名】渡辺 雄一

【氏名】仲川 和秀

【要約】 【課題】長期保存が可能で、再焼成後のパンの外観及び風味も損なわれることなく、しかも簡便に再焼成ができる半焼成パンの保存方法の提供。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 混捏したパン生地を半焼成した後、酸素遮断性を有する包装容器内に脱酸素剤とともに充填密封することを特徴とする半焼成パンの保存方法。
【請求項2】 混捏したパン生地を半焼成した後、酸素遮断性を有しかつ酸素吸収性を有する包装容器内に充填密封することを特徴とする半焼成パンの保存方法。
【発明の詳細な説明】【産業上の利用分野】
【0001】本発明は、冷蔵温度にて長期間保存できる半焼成パンの保存方法に関する。更に詳しくは、混捏したパン生地を半焼成(白焼き)した後、酸素遮断性を有する包装容器内に脱酸素剤とともに充填密閉するか、あるいは酸素遮断性を有しかつ酸素吸収性を有する包装容器内に充填密閉することによって、冷蔵温度での長期保存が可能であり、保存中の腐敗、酸敗が起こりにくく、長期保存した後に再焼成してもパンの外観、風味が損なわれることなく、しかも簡便に再焼成ができる半焼成パンの保存方法を提供することにある。
【従来の技術】
【0002】食生活が多様化し豊かになるに従って、作り立て、焼き立てのおいしいパンに対する消費者の欲求が益々増大している。パンのおいしさは、香ばしさ、パリッとしたクラフト感とソフトなクラム感、味わいなどによって決まるが、製造直後は外観、風味ともにすぐれていたものが、製造後数日で硬くなり、さらには微生物による腐敗、空気中の酸素による酸敗が起こり商品価値を失っていく。従って、パンメーカー、レストラン、小売り業者等パンを供給する側では、いかにフレッシュなものを製造し消費者の要求に応えて行くかが重要な課題となっている。
【0003】しかしながら、パンは高度な加工製品で工程も複雑であり、また製造に要する時間も長いことから、今日広く普及している中種法でも、製パン時間は焼き上げまでで約7時間、冷却、包装工程も含めると仕込み開始から約8時間を要する。この作業を毎日繰り返すことは働く人に大きな負担を強いることになり、近年の労働事情や物流事情から、フレッシュなものを供給せんがために深夜労働や多頻度配送を行うことはますます難しくなってきている。
【0004】一方、上述したように、焼きたてのパンの香り、食感、風味は経時的に低下し、製造日プラス3日程度の期間しか賞味期間がないため、その期間を過ぎたものは廃棄されることとなり、貴重な農産物資源を無駄遣いすることになるばかりか製品コストをアップする要因ともなっている。
【0005】これらの問題を解決しようとする方法としてパン生地を冷凍した上で末端小売り店に配送し、そこで焼き上げると言ったベークオフシステムが行われているが、焼成にあたって解凍に多くの時間を要し、場合によっては中心温度の上昇が不十分なため生焼け状態となったり、凍結保存中に起こる生地からの脱水や氷晶の生成によってふっくらとした形に焼き上がらず、パンの外観が低下すると言った欠点を有している。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】その解決法の一つとして、混捏したパン生地を外皮に焼き色がつかない程度に白焼きすることにより半焼成状態とし、食に供する前にレストランの調理場や家庭内のオーブンを用いて焼き色がつくまで再焼成し、出来立ての暖かいパンを味わう方法が提案されている。具体的には、成形、焙炉したパン生地を焼釜に入れ、例えば、約170〜210℃程度の温度で約10〜15分間程度焼成することによって半焼成状態とした後、さらに放冷することによって余剰な水分を除き、必要に応じて含気、ガス置換、真空包装を行い、常温から冷凍に至る各種の温度条件で保存流通させ、再焼成に供する方法である。
【0007】しかしながら、このように外皮に焼き色がつかない程度の焼成条件で製造される半焼成パンは、内相の加熱が十分でない場合が多く、加熱による殺菌が不十分であるため、保存流通段階で腐敗を起こし、常温では勿論のこと、冷蔵温度でも長期の保存ができないという問題点を有している。また、冷凍温度で保存した場合には、微生物による腐敗問題は回避できるが、前記ベークオフシステムにおける冷凍生地の場合と同様に、解凍に時間を要したり、保存中に脱水や氷晶の生成を起こすという問題点を有している。
【0008】一方、包装方法の観点から見ると、含気包装の場合は、微生物による腐敗の問題や、パンに含まれる油脂が酸化され酸敗を起こすと言う問題点がある。また、窒素ガスや窒素ガスと炭酸ガスとの混合気等を用いるガス置換包装や、脱気による真空包装では、半焼成パン内の酸素が残存してしまったり、脱気する際に半焼成パンが圧縮され変形する問題点を有している。
【0009】かかる実状において、本発明者らは、冷蔵温度による長期保存が可能で、再焼成後のパンの外観及び風味も損なわれることなく、しかも簡便に再焼成ができる半焼成パンの保存方法を提供するべく鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、半焼成後、酸素遮断性を有する包装容器内に脱酸素剤とともに充填密閉するか、あるいは酸素遮断性を有しかつ酸素吸収性を有する包装容器内に充填密閉することによって、微生物による腐敗、空気中酸素による酸敗、水分・香気成分の揮散などを起こしにくい、冷蔵保存性に優れた半焼成パンを提供できることを見いだし本発明を完成した。
【問題を解決する手段】
【0010】本発明で言う混捏したパン生地とは、小麦粉を主原料とし、これに水等を加え、更に油脂、糖類、乳製品、卵、乳化物、イースト、各種酵素類、各種乳化剤、各種生地改良材等の原料を必要に応じて添加したものであって、混捏工程を経て得られる一般的なパン生地を言う。該半焼成用パン生地を常法により混捏成形し、最終発酵した後、例えば約170〜210℃程度の温度で約10〜15分間程度焼成することによって、パン表面に焼き色がつかない程度に半焼成する。このようにして本発明に供する半焼成パンの製造が可能である。
【0011】次に、この半焼成パンを酸素遮断性のある包装容器に充填する。当該包装容器としては、酸素遮断性の高いものが使用される。例えば、酸素の透過度が100ml/m2・24hrs・atm(20℃)以下の材料からなる容器が好ましく、50ml/m2・24hrs・atm(20℃)以下の材料からなる容器がより好ましい。具体的には、例えば、ガラス製、プラスチック製または陶磁器製等の各種ビン類、金属製またはプラスチック製等の各種缶類などの容器の他、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、NY(ナイロン)、PET/PE(ポリエチレン)、NY/PE、 KON(ポリ塩化ビニリデンコート延伸ポリプロピレン)/PE、KON/CP、ON(延伸ナイロン)/PE、PET/PE、KPT(ポリ塩化ビニリデンコートポリエチレンテレフタレート)/PE、KPET/CP、PET/Al蒸着/PE、Al箔/PE、ON/Al箔/PE、PET/Al箔/PE、BOVLON(商品名、日本合成化学(株)製)/PE、OV(商品名、ユニチカ(株)製)/PE等で例示される単層材料または二層以上の多層材料から製造された袋、ボトルまたはボックス等が好ましい包装容器としてあげられる。
【0012】脱酸素剤としては、酸素吸収性を有する製剤を通気性材料で包装した小袋状脱酸素剤や、酸素吸収性を有する製剤を樹脂等に配合したシート状脱酸素剤等が使用される。酸素吸収性を有する製剤としては、硫酸第一鉄等の第一鉄塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ピロガロール、没食子酸、ロンガリット、アスコルビン酸および/またはその塩、ソルボース、グルコース、リグニン等を含有する組成物、あるいは、鉄粉等の金属粉を含有する組成物が用いられ、これらの脱酸素剤のうち、鉄粉および電解質、特に塩化ナトリウム等のハロゲン化金属を含有するものが臭気および衛生面で好ましい。
【0013】また、酸素吸収は菌増殖が本格化する前のできる限り早い時期から行うことが望ましいから、ノーチャンバー式のガス充填機を使用して、容器中に窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを充填し、酸素吸収性を有する製剤と併用する方法をとってもよい。また、脱酸素剤とともに、密閉容器内の炭酸ガスや水分量を調節することを目的に、炭酸ガスの吸収剤や発生剤、水分の吸収剤や発生剤を併用してもよいし、抗菌効果を有するエタノール等の発生剤を併用してもよい。なお、容器密封充填後の袋内酸素濃度は低い程よく、特に制限はないが、通常0.01%(v/v)以下に保つことが好ましい。
【0014】酸素遮断性のある包装容器と脱酸素剤との組み合わせに代えて、酸素遮断性を有しかつ酸素吸収性を有する包装容器を使用することができる。このような容器としては、酸素吸収性を有する製剤を樹脂等に配合した層を内側層とし、ガスバリア性材料からなる層を外側層とする多層体を使用した包装容器が用いられる。具体的には、ポリエチレン/脱酸素剤配合ポリエチレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ポリエチレンテレフタレートからなる多層フィルムが例示される。
【0015】半焼成したパンを酸素遮断性を有する包装容器内に脱酸素剤とともに充填密封した包装体、あるいは、半焼成したパンを酸素遮断性を有しかつ酸素吸収性を有する包装容器内に充填密封した包装体は、通常−5〜25℃、好ましくは0〜10℃の冷蔵温度で保存する。0〜10℃の冷蔵温度で保存した場合には、脱水や氷晶の生成を伴わず、異臭や異味の発生と言ったパン品質の劣化を効果的に抑止できる。
【0016】なお、半焼成したパンを、酸素遮断性を有するか、酸素遮断性を有しかつ酸素吸収性を有する包装容器に充填密封する際に、無菌的雰囲気下で充填密封したり、充填密封前あるいは充填密封後に再加熱してさらなる殺菌を図ったり、充填密封後冷蔵温度までできる限り速やかに冷却する等の方法を講ずることによって、更に保存性を高めることもできる。本発明の方法により保存された半焼成したパンは、再焼成することにより、良好な外観及び風味を有する焼き立てパンとして提供される。
【0017】
【実施例】本発明の効果を実施例を挙げて説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
【表1】

【0018】実施例及び比較例表1に示す配合に基づき調製した半焼成パンを用いて保存性の評価を行った。即ち30Q縦型ミキサーを用い、低速3分、中速5分、高速3分、捏上げ温度25±0.5℃にて混捏し生地を調製した。この生地を約15分、温度28±1℃にて第一次発酵した後、50gずつ分割し、更に約15分、同じく28±1℃にて休ませた。次いで棒状に成形し、焙炉を行った。焙炉条件は、約40分、温度32±1℃とした。このようにして調製した生地をオーブンにて、約10分、200±3℃の条件で焼き、半焼成の状態にした。
【0019】これをオーブンから取り出し30分間放冷した後、圧延ナイロンに塩化ビニリデンをコーティングし、ポリエチレンをラミネートした酸素遮断性の容器に入れ、半数は脱酸素剤(三菱瓦斯化学株式会社製エージレスFX−100、1個)とともに密封し、半数はそのまま密封し対照サンプルとした。
【0020】次いで、上記の充填密封した半焼製パンを冷蔵庫に移し冷却した後、5℃及び10℃の冷蔵温度にて最長56日間保存した。保存性の評価は、経日的に容器内より半焼成パンを取り出し、オーブンを用いて、約8分間、190±3℃で表面に焼き色が付くまで再焼成し、焼き立ての状態にて、外観、風味の官能テストを行った。官能テストは、専門パネラによる評価を5段階法で行い平均化した。点数は良好と認められるものを5、やや良好を4、どちらとも言えないを3、やや悪いを2、悪いを1とした。
【0021】1)再焼成前のカビ、酵母、細菌の発生状況【表2】

冷蔵保存下での、微生物による腐敗状況を評価した。対照区は5℃では28日後、10℃では10日後にカビの発生が認められた(+)。これに対して、本発明の方法を用いた試験区では、5℃、10℃保存区とも試験終了の56日目まで、カビの発生、酵母、細菌による腐敗が認められず良好(−)な保存状態を示した。
【0022】2)再焼成前の異臭の発生状況【表3】

再焼成前での異臭の有無を評価した。対照区は5℃では28日後から、10℃では10日後から異臭の発生(+)を見たが、本発明の方法を用いた試験区では試験終了の56日目までカビ臭、腐敗臭、酸敗臭等の異臭は感じられず良好(−)な保存状態を示した。
【0023】3)再焼成後の外観【表4】

再焼成後の外観を評価した。対照区は5℃、10℃ともに10日後より、焼きむら及び表面の凹凸の発生を認めたが、本発明の方法を用いた試験区では試験終了の56日目まで明らかな焼きむら及び表面の凸凹の発生は認められなかった。
【0024】4)再焼成後の香り【表5】

再焼成後の香りを評価した。対照区の10℃、10日後のサンプルで、カビの発生に関連すると思われるパン加熱香気以外の臭いを伴ったが、本発明の方法を用いた試験区では5℃、10℃保存とも試験終了の56日目まで良好な焼き立ての香りを保持した。
【0025】5)再焼成後の風味【表6】

再焼成後の風味を評価した。対照区の10℃、10日後のサンプルで、カビの発生に関連すると思われる異味を感じたが、本発明の方法を用いた試験区では5℃、10℃保存とも試験終了の56日目まで良好な焼き立ての風味を保持した。
【0026】
【発明の効果】以上のように、本特許出願の方法によって保存した半焼成パンは、再焼成した際に、従来の方法によって保存された物に比較して、極めて優れた外観及び風味を有する焼き立てパンとして提供される。本発明によれば、長期保存が可能で、再焼成後のパンの外観及び風味も損なわれることなく、しかも簡便に再焼成ができる半焼成パンの製造方法が提供される。
【出願人】 【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
【出願日】 平成12年6月30日(2000.6.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−17242(P2002−17242A)
【公開日】 平成14年1月22日(2002.1.22)
【出願番号】 特願2000−198674(P2000−198674)