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【発明の名称】 油脂添加小麦粉の製造法
【発明者】 【氏名】福留 真一

【氏名】榊原 通宏

【氏名】金子 幸司

【氏名】小玉 絢子

【要約】 【課題】本発明は、天ぷら粉に適した油脂添加小麦粉を提供するものである。

【解決手段】小麦粉に油脂を0.1〜1.5重量%添加した後40〜90℃の条件下で加熱し、小麦粉の水分含量を6.0〜14.9重量%に調整する、油脂添加小麦粉の製造法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 小麦粉に油脂を0.1〜1.5重量%添加した後40〜90℃の条件下で加熱し、小麦粉の水分含量を6.0〜14.9重量%に調整することを特徴とする油脂添加小麦粉の製造法。
【請求項2】 加熱により小麦粉の水分含量を0.5〜5重量%減少させる請求項1記載の油脂添加小麦粉の製造法。
【請求項3】 請求項1で得られた油脂添加小麦粉を含有することを特徴とする天ぷら粉。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油脂添加小麦粉の製造法およびこの製法により得られた油脂添加小麦粉を含有する天ぷら粉に関する。
【0002】
【従来の技術】従来油脂添加小麦粉としては、小麦粉粒子の少なくとも一部が、固体脂含有指数(SFI)値が20℃で65以上、30℃で40以上、40℃で25以下である油脂で被覆された小麦粉組成物(特開平2−174644号公報参照)、穀粉に食用油脂を添加し、加温熟成する油脂コーティング穀粉(特開平11−98969号公報参照)、粉体混合物と脂質とを含む天ぷら衣ミックスの製造に際して、前記粉体混合物を混合しながら前記脂質を噴霧し微滴状にして添加する、天ぷら衣ミックスの製造方法(特開平6−113775号公報参照)等が知られている。しかしながら、特開平2−174644号の発明は、至適油脂含有量が15〜20%と多く、菓子用小麦粉は別として、天ぷらに利用した場合水と油の置換が良すぎて衣がガリガリと硬い食感になりやすく、また使用する油のSFI値が高すぎて、冷えた天ぷらの衣は口溶けが悪い欠点があった。また特開平11−98969号の発明は穀粉水分が低くなりすぎ、天ぷら粉に用いた場合、穀粉の吸水と糊化が速すぎ、衣内部への火通りが逆に悪くなる欠点があった。さらに特開平6−113775号の発明は天ぷらが硬くなる欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者等は、天ぷらとして用いた場合、揚がり斑がなく、揚げ色、花咲き等の外観が良好で、食感面でも極めてソフトなサクミを有する油脂添加小麦粉について種々研究を重ねた結果本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、小麦粉に油脂を0.1〜1.5重量%添加した後、40〜90℃の条件下で加熱し、小麦粉の水分含量を6.0〜14.9重量%に調整する、油脂添加小麦粉である。
【0005】
【発明の実施の形態】次に本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、まず小麦粉と油脂を混合する。小麦粉に対する油脂の添加量は、小麦粉に対し0.1〜1.5重量%、好ましくは0.3〜1.0重量%の範囲である。油脂の添加量が0.1重量%未満の場合は、本発明の目的とする効果が得られず、また5重量%を超えると衣の食感が硬くなり好ましくない。
【0006】油脂の添加方法としては、使用する小麦粉に直接油脂を添加する方法、粉末油脂として小麦粉に添加する方法、小麦粉の一部、澱粉等と予め混合し、その混合物を小麦粉に添加する方法等、種々の添加方法が採用できる。
【0007】前記小麦粉と油脂との混合手段としては例えばリボンミキサー、ヘンシェルミキサー、シュギミキサー等が用いられる。
【0008】本発明において使用し得る小麦粉としては薄力粉、中力粉、強力粉、デュラム粉等が挙げられ、これらの小麦粉を単独で、または適宜混合して使用することができる。前記小麦粉の水分含量は季節等によっても異なるが、一般的には11〜15重量%の範囲にある。また本発明において使用し得る油脂としては、菜種油、大豆油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、パーム油等の植物性油脂、牛脂、豚脂、乳脂等の動物性油脂が挙げられる。
【0009】油脂を添加した小麦粉は次いで乾燥する。乾燥温度は40〜90℃、好ましくは60〜90℃の範囲が好適である。加熱温度が40℃未満であると乾燥処理時間が長くなり、製造効率が低下し好ましくない。また90℃を超えると衣の食感が硬くなり好ましくない。乾燥時間は使用する小麦粉の水分含量、添加された油脂量によっても異なるが通常は40〜180分が好適である。加熱乾燥手段としては例えば通気乾燥機、流動層乾燥機、棚乾燥機、回転式乾燥機等を用いて行うことができる。
【0010】前記の加熱乾燥条件は油脂の添加量および小麦粉の水分含量によっても異なるが、油脂添加小麦粉の水分含量を6.0〜14.9重量%に調整することが必要である。そして前記水分含量に調整するためには通常0.5〜5重量%の水分を除去することによって達成される。
【0011】前記の方法で得られた油脂添加小麦粉は天ぷら粉の原材料として用いることができる。天ぷら粉として用いる場合、油脂添加小麦粉に膨張剤を添加し、その他必要により澱粉、卵粉、大豆粉、乳化剤、調味料、色粉等を加えてもよい。
【0012】
【実施例】次に本発明をさらに具体的に説明するために実施例を掲げるが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0013】実施例1〜3、比較例1〜7薄力小麦粉(水分含量13.0%)に菜種油を表1に示す所定量を添加後、65℃に設定した棚乾燥機で約30分乾燥し油脂添加小麦粉を得た。得られた油脂添加小麦粉98.5重量部および膨張剤1.5重量部からなる天ぷら粉100重量部に対し水を170重量部加え天ぷらバッターを調製した。この天ぷらバッターをイモに付けて175℃の大豆白絞油中で3分間揚げて、イモ天ぷらを調製した。また比較例として、油脂無添加で乾燥した小麦粉、油脂を添加して加熱を行なわない小麦粉、乾燥した後油脂を添加した小麦粉を用いて実施例と同様にしてイモ天ぷらを調製した。得られた各イモ天ぷらの衣を15名のパネラーにより表2および表3に示す評価基準に従って評価した。その評価結果を示せば表1のとおりである。
【0014】
【表1】

【0015】
【表2】

【0016】
【表3】

【0017】前記表1より明らかなように、本発明方法により得られた油脂添加小麦粉を用いた天ぷら粉にて調製された天ぷらの衣は、比較例の小麦粉を用いて調製された天ぷらの衣に比べ揚げ斑が少なく、ソフトでサクミのある食感を示すことがわかる。
【0018】実施例4〜5、比較例8〜9薄力小麦粉(水分含量13.0%)に菜種油を表4に示す所定量を添加後以下実施例1〜3と同様にして油脂添加小麦粉およびイモ天ぷらを調製した。得られたイモ天ぷらを実施例1〜3と同様にして前記表2および表3に示す評価基準に従って評価した。その評価結果を示せば表4のとおりである。
【0019】
【表4】

【0020】実施例6〜10、比較例10薄力小麦粉(水分含量13.0%)に菜種油0.5重量%を添加し、その後表5に示した所定温度に設定した棚乾燥機にて所定時間乾燥して油脂添加小麦粉を得た。得られた油脂添加小麦粉を用い、以下実施例1〜3と同様にしてイモ天ぷらを調製し、表2および表3に示す評価基準に従って評価した。その評価結果を示せば表5のとおりである。
【0021】
【表5】

【0022】前記表5より明らかなよう油脂添加後の加熱温度は90℃以下が好ましいことが判る。
【0023】実施例11〜13、比較例11〜12薄力小麦粉(水分含量13.0%)に菜種油0.5重量%を添加し、その後65℃に設定した棚乾燥機で水分を0.2〜7重量%の範囲で乾燥した油脂添加小麦粉を得た。得られた油脂添加小麦粉を用い、実施例1〜3と同様にしてイモ天ぷらを調製した。イモ天ぷらを実施例1〜3と同様にして表2および表3に示す評価基準に従って評価した。その評価結果を示せば表6のとおりである。
【0024】
【表6】

【0025】前記表6より明らかなように、油脂添加後の小麦粉を加熱して水分を除去する範囲は0.5〜5重量%が好適であることが判る。
【0026】実施例14〜16薄力小麦粉(水分含量13.0%)に表7に示す各種油脂を0.5重量%添加した後、65℃に設定した棚乾燥機にて乾燥して油脂添加小麦粉を得た。得られた油脂添加小麦粉を用い、実施例1〜3と同様にしてイモ天ぷらを調製した。イモ天ぷらを実施例1〜3と同様にして表2および表3に示す評価基準に従って評価した。その評価結果を示せば表7のとおりである。
【0027】
【表7】

【0028】
【発明の効果】本発明方法によって得られた油脂添加小麦粉は特に天ぷら粉として用いると、衣の揚がり斑が少なく、揚げ色、外観が良好で、かつ極めてソフトなサクミを有する食感を呈する。
【出願人】 【識別番号】000226998
【氏名又は名称】株式会社日清製粉グループ本社
【出願日】 平成12年6月19日(2000.6.19)
【代理人】 【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸 (外4名)
【公開番号】 特開2002−168(P2002−168A)
【公開日】 平成14年1月8日(2002.1.8)
【出願番号】 特願2000−182464(P2000−182464)