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【発明の名称】 トリフェニルボロン含有ポリマーおよびそれを含む水棲付着生物による汚損防止剤
【発明者】 【氏名】吉丸 正哲

【氏名】古原 正則

【氏名】古賀 裕二

【要約】 【課題】トリフェニルボロン含有ポリマーおよびその用途に関し、腔腸動物、貝類、管棲多毛類等の水棲汚損生物に対する優れた付着防止効果を示す防汚成分、並びに当該成分を含有し、長期にわたって効果が持続する汚損防止剤を提供。

【解決手段】新規なトリフェニルボロンとジアミノ置換第2級アミンの付加物およびカルボン酸残基を有するポリマーとの塩を含有する水中防汚剤により、水中汚損生物が定置網、養殖用漁網および船舶の船底に付着し繁殖することを防止することができた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】一般式(1):【化1】

〔式中、R、RおよびRは、それぞれ水素原子および1〜4個の炭素原子を有するアルキル基よりなる群から選択され、R、Rは、各々同一または異なって、−C(=O)−または−O−構造を含んでいてもよい炭素数1〜18のアルキレン基、−C(=O)−または−O−構造を含んでいてもよい炭素数2−18のアルケニレン基、アリーレン基、アラルキレン基、アラルケニレン基を示し、Xは炭素数1〜18のアルキレン基、フェニレン基、ベンジレン基、−C(=O)−基、−C(=O)−O−R−基、−O−R−基、または−C(=O)−O−R−O−C(=O)−基(ここでRは炭素数1〜18のアルキレン基もしくはフェニレン基を示す)を、mは0または1を示す〕で表されるトリフェニルボロン含有構成単位を含むポリマー。
【請求項2】重量平均分子量が1,000〜1,000,000である、請求項1記載のポリマー。
【請求項3】さらに、一般式(1)で表される構成単位以外の重合性不飽和モノマー由来の構成単位を含む、請求項1記載のポリマー。
【請求項4】重合性不飽和モノマーが一般式(2):【化2】

(式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、Mは金属原子または珪素原子を示し、Mが金属原子のとき、R、RおよびR10はそれぞれ同一または異なってもよい有機酸残基を示し、Mが珪素原子のとき、R、RおよびR10はそれぞれ同一または異なって、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基またはシクロアルキル基を示し、pおよびqは、Mが2価の金属原子のとき、ともに0を示し、Mが3価の金属原子のとき、pが1、qが0を示し、Mが4価の珪素原子のとき、ともに1を示す)で表される、請求項3記載のポリマー。
【請求項5】金属原子が、亜鉛、銅、マグネシウムである、請求項4記載のポリマー。
【請求項6】請求項1〜5記載のポリマーとシリコーンオイル、溶出調整剤および請求項1記載のポリマー以外の防汚成分からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する組成物。
【請求項7】請求項1〜5記載のポリマーとシリコーンオイル、溶出調整剤および請求項1記載のポリマー以外の防汚成分からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する汚損防止剤。
【請求項8】漁網防汚剤用である、請求項6または7記載の汚損防止剤。
【請求項9】水中防汚塗料用である、請求項6または7記載の汚損防止剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トリフェニルボロン含有ポリマーおよびその用途に関し、より詳しくは、養殖用または定置用の漁網に水棲汚損生物が付着し、繁殖することを防止する漁網防汚剤や、船舶の船底、漁網に使用される浮き子やロープ等の資材、原子力および火力発電所の復水器冷却用水路等に水棲汚損生物が付着し、繁殖することを防止する水中防汚塗料(例えば、船底防汚塗料)等の水棲汚損生物の付着による汚損の防止剤(以下、汚損防止剤ともいう)に関する。
【0002】
【従来の技術】船舶の船底または養殖用もしくは定置用の漁網等に、ヒドロ虫、オベリア等の腔腸動物、貝類、管棲多毛類、海藻類、コケムシ、軟体動物類等の水棲生物が付着すると、船舶や漁網に大きな経済的損失を与えるので、これらの水棲生物は水棲汚損生物と呼ばれる。例えば、漁網にフジツボ等が付着すると網目が塞がれるため、潮の流通が阻害されて水中酸素が不足して養殖魚を窒息死させたり、波浪抵抗が大きくなって台風時には網の破損等を引き起こすことがある。また、船底にこれらの水棲生物が付着すると、船の推進効率を低下させて燃費が上昇し経済的損失を被ることになる。そのため汚損対象物の保守に努め経済的損失の低減を計るのに多大の労力と保守費用をかけているのが現状である。
【0003】これまで水棲生物の付着防止策として種々の研究や提案がなされてきた。実用的には一連の有機錫化合物が有効であるが、有機錫化合物は概して毒性が強く、これらを含有する商品を不用意に取り扱うと取扱者に障害を及ぼす恐れがあるうえに、環境汚染につながる可能性もある。この様な理由から低公害性の漁網防汚剤、水中防汚塗料(例えば、船底防汚塗料等)等の水棲汚損生物の付着による汚損の防止剤、すなわち汚損防止剤の出現が望まれている。
【0004】例えば、特公昭51−10849号にはベンゾチアゾール化合物を有効成分とする水中防汚塗料が、特開昭60−38306号、特開昭63−284275号、特公平1−11606号には、テトラアルキルチウラムジスルフィッド化合物とその他の化合物とを組み合わせた種々の漁網用防汚剤、防汚塗料組成物が、特公昭61−50984号には3−イソチアゾロン化合物を有効成分とする海洋構築物の汚染防止剤が、特公平1−20665号、特公平2−24242号、特開昭53−9320号、特開平5−201804号、特開平6−100405号、特開平6−100408号等にはマレイミド化合物を有効成分とする水中防汚塗料がそれぞれ開示されている。
【0005】しかし、これらの防汚剤は、いずれもヒドロ虫、オベリア等の腔腸動物に対する付着防止効果が弱く、東北地方や北海道沿岸等の腔腸動物棲息海域では使用できなかった。さらに、フジツボやイガイ等の貝類やカサネカンザシ等の管棲多毛類が多く棲息する東海、西日本海域等では従来の防汚剤ではその付着防止効果が弱く、これらの水棲汚損生物の付着を有効に防止することはできなかった。
【0006】従来より、亜酸化銅が貝類に対し有効であることが知られており、また、銅ピリチオン等の有機銅系の防汚剤が貝類と管棲多毛類に対し効果があることが確認されている。しかし、亜酸化銅は管棲多毛類や腔腸動物の付着防止には効果が弱く、また、有機銅系の防汚剤は、塗料に混合すると塗料を増粘、ゲル化することが多いので、塗料に混合し難いといった欠点があった。
【0006】また、特開平8−295608号にはトリフェニルボランアルキルアミン付加化合物を有効成分とする漁網防汚剤が、特開平8−295609号にはトリフェニルボランオクタデシルアミン付加化合物を含有する溶液、WO98/33892号にはトリフェニルボロン含有アリルアミン型ポリマーが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の欠点を解決しようとするものであり、その目的は、腔腸動物、貝類、管棲多毛類等の水棲汚損生物に対する優れた付着防止効果を示す防汚成分、並びに当該成分を含有し、長期にわたって効果が持続する汚損防止剤を提供することにある。さらに、他の防汚成分、塗料樹脂等との混和性に優れ、かつバインダー(結着剤)としての機能も有しており、環境に与える悪影響が少ない防汚成分、並びに当該成分を含有する汚損防止剤を提供することも併せて目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した従来の漁網防汚剤、水中防汚塗料等の汚損防止剤の諸欠点を克服するために、鋭意研究に努力した結果、環境汚染の恐れが少なく、水棲汚損生物に対して優れた付着防止効果を長期にわたって示す、新規なトリフェニルボロン含有ポリマーおよびこれを含有する汚損防止剤を発明した。すなわち、新規なトリフェニルボロン含有ポリマーが、ヒドロ虫、オベリア等の腔腸動物;フジツボ、ムラサキイガイ、カキ、セルプラ等の貝類;カサネカンザシ、ヒトエカンザシ、ヤッコカンザシ、ウズマキゴカイ等の管棲多毛類;あるいはその他の水棲汚損生物に対して優れた付着防止効果を長期にわたって示すことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】本発明のトリフェニルボロン含有ポリマーは、トリフェニルボロン化合物単量体を含むものであり、同一分子内に塗膜形成能を有する樹脂部分を持つために、有効成分としてのみあらずバインダーとしての機能を併せてもたせることができ、他の塗料用樹脂との混和性もよく、しかも環境に与える悪影響が少ないという特徴をもっている。すなわち、本発明は、■ 一般式(1):【化3】

〔式中、R、RおよびRは、それぞれ水素原子および1〜4個の炭素原子を有するアルキル基よりなる群から選択され、R、Rは、各々同一または異なって、−C(=O)−または−O−構造を含んでいてもよい炭素数1〜18のアルキレン基、−C(=O)−または−O−構造を含んでいてもよい炭素数2−18のアルケニレン基、アリーレン基、アラルキレン基、アラルケニレン基を示し、Xは炭素数1〜18のアルキレン基、フェニレン基、ベンジレン基、−C(=O)−基、−C(=O)−O−R−基、−O−R−基、または−C(=O)−O−R−O−C(=O)−基(ここでRは炭素数1〜18のアルキレン基もしくはフェニレン基を示す)を、mは0または1を示す〕で表されるトリフェニルボロン含有構成単位を含むポリマー。
■ 重量平均分子量が1,000〜1,000,000である■記載のポリマー。
■ さらに、一般式(1)で表される構成単位以外の重合性不飽和モノマー由来の構成単位を含む、■記載のポリマー。
■ 重合性不飽和モノマーが一般式(2):【化4】

(式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、Mは金属原子または珪素原子を示し、Mが金属原子のとき、R、RおよびR10はそれぞれ同一または異なってもよい有機酸残基を示し、Mが珪素原子のとき、R、RおよびR10はそれぞれ同一または異なって、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基またはシクロアルキル基を示し、pおよびqは、Mが2価の金属原子のとき、ともに0を示し、Mが3価の金属原子のとき、pが1、qが0を示し、Mが4価の珪素原子のとき、ともに1を示す)で表される、■記載のポリマー。
■ 金属原子が、亜鉛、銅、マグネシウムである、■記載のポリマー■〜■記載のポリマーとシリコーンオイル、溶出調整剤および■記載のポリマー以外の防汚成分からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する組成物。
■〜■記載のポリマーとシリコーンオイル、溶出調整剤および■記載のポリマー以外の防汚成分からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する汚損防止剤。
■ 漁網防汚剤用である、■または■記載の汚損防止剤■ 水中防汚塗料用である、■または■記載の汚損防止剤。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において、一般式(1)におけるR、RおよびRの炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の直鎖または分岐鎖アルキル基が挙げられ、中でもメチルが好ましい。R、RおよびRとしては、それぞれ水素原子、メチルが好ましい。一般式(1)におけるR、Rの、−C(=O)−または−O−構造を含んでいてもよい炭素数1〜18のアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、3−メチルテトラメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン、オクタデカメチレン等の直鎖または分岐鎖アルキレン基が挙げらる。一般式(1)におけるR、Rの−C(=O)−または−O−構造を含んでいてもよい炭素数2〜18のアルケニレン基としては、例えば、ビニレン、プロペニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレン、3−メチル−1−ブテニレン、1−オクテニレン、1−ドデセニレン、1−オクタデセニレン等の直鎖または分岐鎖アルケニレン基が挙げられる。一般式(1)におけるR、Rのアリーレン基としては、例えば、o−フェニレン、m−フェニレン、p−フェニレン、1,8−ナフチレン、1,7−ナフチレン、1,6−ナフチレン、1,4−ナフチレン、1,3−ナフチレン、1,2−ナフチレン、2,3−ナフチレン、2,6−ナフチレン、2,7−ナフチレン等が挙げられる。一般式(1)におけるR、Rのアラルキレン基とは、−Ar−Alk−または−Alk−Ar−(ここでArはアリーレン基をいい、Alkはアルキレン基をいう。)をいい、例えば、ベンジレン(−C−CH−または−CH−C−)、フェネチレン(−C−C−または−C−C−)等が挙げられる。一般式(1)におけるR、Rのアラルケニレン基とは、−Ar−Alke−または−Alke−Ar−(ここでArはアリーレン基をいい、Alkeはアルケニレン基をいう。)をいい、例えば、スチリレン(−C−CH=CH−または−CH=CH−C−)等が挙げられる。一般式(1)におけるR、Rとしては、メチレン、エチレン、トリメチレンが好ましい。一般式(1)におけるXの炭素数1〜18のアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、3−メチルテトラメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン、オクタデカメチレン等の直鎖または分岐鎖アルキレン基が挙げられる。 一般式(1)におけるXの、−C(=O)−O−R−基、−O−R−基、または−C(=O)−O−R−O−C(=O)−基におけるRの炭素数1〜18のアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、3−メチルテトラメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン、オクタデカメチレン等の直鎖または分岐鎖アルキレン基が挙げられる。一般式(1)におけるXとしては、存在しない(すなわちmが0)か、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましい。
【0011】一般式(2)におけるRの炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の直鎖または分岐鎖アルキル基が挙げられ、中でもメチルが好ましい。Rとしては、水素原子、メチルが好ましい。一般式(2)におけるR、RおよびR10の有機酸残基とは、有機酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残りをいい、有機酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、プロピオン酸、オクチル酸、バーサチック酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、モノクロロ酢酸、モノフルオロ酢酸等の置換基を有していてもよい炭素数1〜18の飽和および不飽和脂肪族カルボン酸;安息香酸、α−ナフトエ酸、β−ナフトエ酸、ニトロ安息香酸、ニトロナフタレンカルボン酸、サリチル酸、クレソチン酸等の置換基を有していてもよい芳香族カルボン酸;2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸等の置換基を有していてもよい芳香族脂肪族カルボン酸;キノリンカルボン酸等の複素環カルボン酸、ピルビン酸等が挙げられる。一般式(2)におけるR、RおよびR10の炭素数1〜18のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−メチルプロピル、3−メチルプロピル、t−ブチル、n−オクチル、n−ドデシル、n−オクタデシル等の直鎖または分岐鎖アルキル基が挙げられる。一般式(2)におけるR、RおよびR10のアリール基としては、例えば、フェニル、ナフチルトリル、キシリル等の置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。一般式(2)におけるR、RおよびR10のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロデシル等の炭素数3〜10のものが挙げられる。一般式(2)におけるMの金属原子としては、Cu、Zn、Fe、Ni、Co,Pb、Al、Mg等が挙げられ、好ましくは、Cu、Zn、Mgである。
【0012】Mが金属原子のとき、R、RおよびR10としては、炭素数1〜18の脂肪族カルボン酸残基が好ましく、Mが珪素原子のとき、R、RおよびR10としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0013】本発明の一般式(1)で表されるトリフェニルボロン含有構成単位を含むポリマー(以下、トリフェニルボロン含有ポリマーともいう)における、当該一般式(1)で表されるトリフェニルボロン含有構成単位は、一般式(3):【化5】

(式中、各記号は前記と同義である。)で表されるカルボキシル基含有構成単位と、一般式(4):【化6】

(式中、各記号は前記と同義である。)で表されるトリフェニルボロンのジアミノ置換第2級アミン付加物とからなる。
【0014】一般式(3)で表されるカルボキシル基含有構成単位としては、アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、2−エチルアクリル酸、2−n−プロピルアクリル酸、2−イソプロピルアクリル酸、2−n−ブチルアクリル酸、2−sec−ブチルアクリル酸、2−tert−ブチルアクリル酸、2−エチル−2−ブテン酸、2−n−プロピル−2−ブテン酸、2−イソプロピル−2−ブテン酸、2−n−ブチル−2−ブテン酸、2−sec−ブチル−2−ブテン酸、2−tert−ブチル−2−ブテン酸、2−ペンテン酸、2−メチル−2−ペンテン酸、3−メチル−2−ペンテン酸、4−メチル−2−ペンテン酸、2−エチル−2−ペンテン酸、2−n−プロピル−2−ペンテン酸、2−イソプロピル−2−ペンテン酸、2−n−ブチル−2−ペンテン酸、2−sec−ブチル−2−ペンテン酸、2−tert−ブチル−2−ペンテン酸、3−ペンテン酸、4−メチル−3−ペンテン酸、2−ヘキセン酸、2−メチル−2−ヘキセン酸、2−エチル−2−ヘキセン酸、2−n−プロピル−2−ヘキセン酸、2−イソプロピル−2−ヘキセン酸、2−n−ブチル−2−ヘキセン酸、2−sec−ブチル−2−ヘキセン酸、2−tert−ブチル−2−ヘキセン酸、3−ヘキセン酸、4−ヘキセン酸、5−ヘキセン酸、2−ヘプテン酸、2−メチル−2−ヘプテン酸、2−エチル−2−ヘプテン酸、2−n−プロピル−2−ヘプテン酸、2−イソプロピル−2−ヘプテン酸、2−n−ブチル−2−ヘプテン酸、2−sec−ブチル−2−ヘプテン酸、2−tert−ブチル−2−ヘプテン酸、3−ヘプテン酸、4−ヘプテン酸、5−ヘプテン酸、6−ヘプテン酸、4−メチル−2−ヘキセン酸、5−メチル−2−ヘキセン酸、4,4−ジメチル−2−ペンテン酸、2,4−ジメチル−2−ペンテン酸、2,4−ジメチル−2−ヘキセン酸、2,5−ジメチル−2−ヘキセン酸、2,4,4−トリメチル−2−ペンテン酸、3−メチル−2−ブテン酸、2,3−ジメチル−2−ブテン酸、3−メチル−2−ペンテン酸、2,3−ジメチル−2−ペンテン酸、3−メチル−2−ヘキセン酸、2,3−ジメチル−2−ヘキセン酸、3,4−ジメチル−2−ペンテン酸、2,3,4−トリメチル−ペンテン酸、3−メチル−2−ヘプテン酸、2,3−ジメチル−2−ヘプテン酸、3,4−ジメチル−2−ヘキセン酸、2,3,4−トリメチル−2−ヘキセン酸、3,5−ジメチル−2−ヘキセン酸、2,3,5−トリメチル−2−ヘキセン酸、3,4,4−トリメチル−2−ペンテン酸、2,3,4,4−テトラメチル−2−ペンテン酸、7−オクテン酸、11−ドデセン酸、15−ヘキサデセン酸、17−オクタデセン酸、2−メチル−3−ブテン酸、2−メチル−4−ペンテン酸、2−メチル−5−ヘキセン酸、2−メチル−6−ヘプテン酸、2−メチル−7−オクテン酸、2−メチル−11−ドデセン酸、2−メチル−15−ヘキサデセン酸、2−メチル−17−オクタデセン酸、4−ビニル安息香酸、4−(1−プロペニル)安息香酸、4−(イソプロペニル)安息香酸、4−(1−メチル−1−プロペニル)安息香酸、4−(2−メチル−1−プロペニル)安息香酸、4−ビニルフェニル酢酸、4−(1−プロペニル)フェニル酢酸、4−(イソプロペニル)フェニル酢酸、4−(1−メチル−1−プロペニル)フェニル酢酸、4−(2−メチル−1−プロペニル)フェニル酢酸、2−オキソ−3−ブテン酸、3−オキソ−4−ペンテン酸、4−オキソ−5−ヘキセン酸、アクリル酸カルボキシメチルエステル、アクリル酸−2−カルボキシエチルエステル、アクリル酸−3−カルボキシプロピルエステル、アクリル酸−4−カルボキシブチルエステル、アクリル酸−5−カルボキシペンチルエステル、アクリル酸−6−カルボキシヘキシルエステル、アクリル酸−7−カルボキシヘプチルエステル、アクリル酸−8−カルボキシオクチルエステル、アクリル酸−12−カルボキシドデシルエステル、アクリル酸−18−カルボキシオクタデシルエステル、アクリル酸o−カルボキシフェニルエステル、アクリル酸m−カルボキシフェニルエステル、アクリル酸p−カルボキシフェニルエステル、2−ビニルオキシ酢酸、3−ビニルオキシプロピオン酸、シュウ酸モノアクリロイルオキシメチルエステル、シュウ酸モノ−3−アクリロイルオキシプロピルエステル、マロン酸モノアクリロイルオキシメチルエステル、マロン酸モノ−3−アクリロイルオキシプロピルエステル等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー由来の構成単位が挙げられ、中でも、アクリル酸、メタクリル酸由来の構成単位が好ましい。これらの構成単位は、ポリマー中に単独で含まれても、2種以上組み合わせて含まれてもよい。
【0015】一般式(4)で表されるトリフェニルボロンのジアミノ置換第2級アミン付加物における、後述する一般式(5)で表されるジアミノ置換第2級アミンは、イミノビス(メチルアミン)、2,2’−イミノビス(エチルアミン)、3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、4,4’−イミノビス(ブチルアミン)、5,5’−イミノビス(ペンチルアミン)、6,6’−イミノビス(ヘキシルアミン)、8,8’−イミノビス(オクチルアミン)、12,12’−イミノビス(ドデシルアミン)、18,18’−イミノビス(オクタデシルアミン)等の置換基を有していてもよい、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖飽和脂肪族ジアミノ置換第2級アミン類;2,2’−イミノビス(ビニルアミン)、3,3’−イミノビス(アリルアミン)等の置換基を有していてもよい、炭素数2〜18の直鎖または分岐鎖不飽和脂肪族ジアミノ置換第2級アミン類;4,4’−イミノビス(フェニルアミン)、4,4’−イミノビス(ナフチルアミン)等の置換基を有していてもよい芳香族ジアミノ置換第2級アミン類;4,4’−イミノビス(フェネチルアミン)、4,4’−イミノビス(スチリルアミン)等の置換基を有していてもよい、芳香族脂肪族ジアミノ置換第2級アミン類;が挙げられる。
【0016】本発明のトリフェニルボロン含有ポリマーは、例えば、下記の方法により合成することができる。
【化7】

(式中、各記号は前記と同義である。)
すなわち、一般式(4)で表されるトリフェニルボロンのジアミノ置換第2級アミン付加物またはその溶液を、一般式(3)で表されるカルボキシル基含有構成単位を含むポリマー(以下、カルボキシル基含有ポリマーと略すこともある)の溶液に滴下して反応させ、次いで溶媒を減圧下にて留去して除去することによって得られる。トリフェニルボロンのジアミン付加物またはその溶液をカルボン酸残基を有するポリマー溶液に滴下、反応させ、溶媒を減圧下において留去して除去することによって得られる。
【0017】なお、一般式(3)で表されるカルボキシル基含有構成単位を含むポリマーは、上記のカルボキシル基含有不飽和モノマーを含む重合性不飽和モノマーを従来公知の方法により重合させることにより得られる。また、一般式(4)で表されるトリフェニルボロンのジアミノ置換第2アミン付加物は、例えば、下記の式に示す方法により合成することができる。
【化8】

(式中、各記号は前記と同義である。)
すなわち、トリフェニルボロンの水酸化ナトリウム付加物の水溶液に、一般式(5)で表されるジアミノ置換第2級アミンまたはその溶液を滴下し、目的物が不溶物として析出したならば、その析出した不溶物を濾過して分取し、水洗後乾燥することによって、また、目的物が溶解しているならば、分液した後、溶媒を減圧下に留去することによって得られる。
【0018】上記トリフェニルボロン含有ポリマーは、上記製造法以外にも、以下の方法によって製造することができる。すなわち、上記トリフェニルボロン含有ポリマーは、一般式(7):【化9】

(式中、各記号は前記と同義である。)で表されるトリフェニルボロン含有ビニルモノマーを単独重合させるか、またはこれと他の重合性不飽和モノマーとを共重合させることによって合成することができる。
【0019】上記一般式(7)で表されるトリフェニルボロン含有ビニルモノマーは、以下に示す方法によって合成することができる。
【化10】

(式中、各記号は前記と同義である。)
すなわち、一般式(8)で表されるビニル化合物と一般式(4)で表されるトリフェニルボロンのジアミノ置換第2級アミン付加物とを反応させることによって得られる。
【0020】本発明で使用するトリフェニルボロンは市販品を用いてもよく、また、三フッ化ホウ素とフェニルマグネシウムブロマイドを反応させることにより製造することもできる。
【0021】本発明のトリフェニルボロン含有ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましく3,000〜500,000、さらに好ましくは、3,000〜100,000である。当該分子量が1,000未満であると形成されると膜が脆弱となり、逆に1,000,000を越えると重合体溶液の粘度が増し、その取り扱いが困難となり、好ましくない。
【0022】本発明のトリフェニルボロン含有ポリマー中の、一般式(1)で表されるトリフェニルボロン含有構成単位の含有量は、好ましくは1.0重量%以上、より好ましくは5〜95重量%、さらに好ましくは5〜70重量%である。当該含有量が1.0重量%未満であると、水棲汚損生物に対する付着防止効果が不足するため、好ましくない。本発明のトリフェニルボロン含有ポリマー中の、トリフェニルボロンの含有量は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは2〜70重量%、さらに好ましくは2〜45重量%である。当該含有量が0,5重量%未満であると、水棲汚損生物に対する付着防止効果が不足するため、好ましくない。
【0023】本発明のトリフェニルボロン含有ポリマーは、一般式(1)で表されるトリフェニルボロン含有構成単位以外の重合性不飽和モノマー由来の構成単位を含んでいてもよい。このような構成単位を含むことにより、トリフェニルボロン含有ポリマー中のトリフェニルボロン含有量を調整することができる。従って、一般式(3)で表されるカルボキシル基含有構成単位を含むポリマーは、ホモポリマーでもコポリマーでもよく、コポリマーの場合は、前述のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマーと当該カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー以外の重合性不飽和モノマーとを共重合させて得られたものである。
【0024】一般式(1)で表されるトリフェニルボロン含有構成単位以外の重合性不飽和モノマー由来の構成単位としては、例えば、ボロンを含まない重合性不飽和モノマー由来の構成単位が挙げられる。このような重合性不飽和モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、インデン等のビニル系炭化水素類;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のアクリロニトリル類;アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メタアクリル酸、ビニル酢酸、ビニルプロピオン酸、ビニル酪酸、p−ビニル安息香酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和カルボン酸無水物;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルカルバゾール等の複素環ビニル化合物類;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルクロライド、ビニリデンクロライド等のハロゲン化ビニル類;ビニルアミン類;アリルアミン類;ビニルアルコール類;アリルアルコール類;メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ビニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、グリセロールアクリレート、ブチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジブチルアミノエチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−(2−エチルヘキサオキシ)エチルアクリレート、1−メチル−2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、3−メチル−3−メトキシブチルアクリレート、o−メトキシフェニルアクリレート、m−メトキシフェニルアクリレート、p−メトキシフェニルアクリレート、o−メトキシフェニルエチルアクリレート、m−メトキシフェニルエチルアクリレート、p−メトキシフェニルエチルアクリレート等のアクリル酸エステル類;メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、n−プロピルメタアクリレート、i−プロピルメタアクリレート、n−ブチルメタアクリレート、i−ブチルメタアクリレート、t−ブチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレート、ラウリルメタアクリレート、ステアリルメタアクリレート、ビニルメタアクリレート、ベンジルメタアクリレート、フェニルメタアクリレート、イソボルニルメタアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレート、グリシジルメタアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタアクリレート、グリセロールメタアクリレート、ブチルアミノエチルメタアクリレート、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ジエチルアミノエチルメタアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタアクリレート、ジメチルアミノブチルメタアクリレート、ジブチルアミノエチルメタアクリレート、2−メトキシエチルメタアクリレート、2−エトキシエチルメタアクリレート、フェノキシエチルメタアクリレート、2−(2−エチルヘキサオキシ)エチルメタアクリレート、1−メチル−2−メトキシエチルメタアクリレート、3−メトキシブチルメタアクリレート、3−メチル−3−メトキシブチルメタアクリレート、o−メトキシフェニルメタアクリレート、m−メトキシフェニルメタアクリレート、p−メトキシフェニルメタアクリレート、o−メトキシフェニルエチルメタアクリレート、m−メトキシフェニルエチルメタアクリレート、p−メトキシフェニルエチルメタアクリレート等のメタアクリル酸エステル類;アクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアクリル酸アミド類;メタアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド等のメタアクリル酸アミド類;シアノアクリル酸エステル類;アクロレイン、クマロン、インデン、テトラフルオロエチレン、ビニルホルマール、ビニルホルムアミド等が挙げられ、中でも、エチレンや、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ブチルメタアクリレート、イソブチルメタアクリレート、t−ブチルメタアクリレート等のアクリル酸もしくはメタクリル酸由来エステル類が好ましい。
【0025】また、一般式(2)
【化11】

(式中、各記号は前記と同義である。)で表される重合性不飽和モノマーも挙げられる。上記一般式(2)においては、(メタ)アクリル酸金属塩や(メタ)アクリル酸シリルエステルが好ましく、Mとしては亜鉛、銅、マグネシウムの金属原子と、珪素原子が好ましい。このような重合性不飽和モノマーの具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0026】アクリル酸亜鉛、安息香酸亜鉛アクリレート、プロピオン酸亜鉛アクリレート、オクチル酸亜鉛アクリレート、バーサチック酸亜鉛アクリレート、ステアリン酸亜鉛アクリレート、イソステアリン酸亜鉛アクリレート、パルミチン酸亜鉛アクリレート、クレソチン酸亜鉛アクリレート、α−ナフトエ酸亜鉛アクリレート、β−ナフトエ酸亜鉛アクリレート、モノクロロ酢酸亜鉛アクリレート、モノフルオロ酢酸亜鉛アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸亜鉛アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸亜鉛アクリレート、キノリンカルボン酸亜鉛アクリレート、ニトロ安息香酸亜鉛アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸亜鉛アクリレート、ピルビン酸亜鉛アクリレート等のアクリル酸亜鉛塩類;メタアクリル酸亜鉛、安息香酸亜鉛メタアクリレート、プロピオン酸亜鉛メタアクリレート、オクチル酸亜鉛メタアクリレート、バーサチック酸亜鉛メタアクリレート、ステアリン酸亜鉛メタアクリレート、イソステアリン酸亜鉛メタアクリレート、パルミチン酸亜鉛メタアクリレート、クレソチン酸亜鉛メタアクリレート、α−ナフトエ酸亜鉛メタアクリレート、β−ナフトエ酸亜鉛メタアクリレート、モノクロロ酢酸亜鉛メタアクリレート、モノフルオロ酢酸亜鉛メタアクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸亜鉛メタアクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸亜鉛メタアクリレート、キノリンカルボン酸亜鉛メタアクリレート、ニトロ安息香酸亜鉛メタアクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸亜鉛メタアクリレート、ピルビン酸亜鉛メタアクリレート等のメタアクリル酸亜鉛塩類;、アクリル酸銅、安息香酸銅アクリレート、プロピオン酸銅アクリレート、オクチル酸銅アクリレート、バーサチック酸銅アクリレート、ステアリン酸銅アクリレート、イソステアリン酸銅アクリレート、パルミチン酸銅アクリレート、クレソチン酸銅アクリレート、α−ナフトエ酸銅アクリレート、β−ナフトエ酸銅アクリレート、モノクロロ酢酸銅アクリレート、モノフルオロ酢酸銅アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸銅アクリレート2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸銅アクリレート、キノリンカルボン酸銅アクリレート、ニトロ安息香酸銅アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸銅アクリレート、ピルビン酸銅アクリレート等のアクリル酸度銅塩類;メタアクリル酸銅、安息香酸銅メタアクリレート、プロピオン酸銅メタアクリレート、オクチル酸銅メタアクリレート、バーサチック酸銅メタアクリレート、ステアリン酸銅メタアクリレート、イソステアリン酸銅メタアクリレート、パルミチン酸銅メタアクリレート、クレソチン酸銅メタアクリレート、α−ナフトエ酸銅メタアクリレート、β−ナフトエ酸銅メタアクリレート、モノクロロ酢酸銅メタアクリレート、モノフルオロ酢酸銅メタアクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸銅メタアクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸銅メタアクリレート、キノリンカルボン酸銅メタアクリレート、ニトロ安息香酸銅メタアクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸銅メタアクリレート、ピルビン酸銅メタアクリレート等のメタアクリル酸度銅塩類;、アクリル酸マグネシウム、安息香酸マグネシウムアクリレート、プロピオン酸マグネシウムアクリレート、オクチル酸マグネシウムアクリレート、バーサチック酸マグネシウムアクリレート、ステアリン酸マグネシウムアクリレート、イソステアリン酸マグネシウムアクリレート、パルミチン酸マグネシウムアクリレート、クレソチン酸マグネシウムアクリレート、α−ナフトエ酸マグネシウムアクリレート、β−ナフトエ酸マグネシウムアクリレート、モノクロロ酢酸マグネシウムアクリレート、モノフルオロ酢酸マグネシウムアクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸マグネシウムアクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸マグネシウムアクリレート、キノリンカルボン酸マグネシウムアクリレート、ニトロ安息香酸マグネシウムアクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸マグネシウムアクリレート、ピルビン酸マグネシウムアクリレート等のアクリル酸マグネシウム塩類;メタアクリル酸マグネシウム、安息香酸マグネシウムメタアクリレート、プロピオン酸マグネシウムメタアクリレート、オクチル酸マグネシウムメタアクリレート、バーサチック酸マグネシウムメタアクリレート、ステアリン酸マグネシウムメタアクリレート、イソステアリン酸マグネシウムメタアクリレート、パルミチン酸マグネシウムメタアクリレート、クレソチン酸マグネシウムメタアクリレート、α−ナフトエ酸マグネシウムメタアクリレート、β−ナフトエ酸マグネシウムメタアクリレート、モノクロロ酢酸マグネシウムメタアクリレート、モノフルオロ酢酸マグネシウムメタアクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸マグネシウムメタアクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸マグネシウムメタアクリレート、キノリンカルボン酸マグネシウムメタアクリレート、ニトロ安息香酸マグネシウムメタアクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸マグネシウムメタアクリレート、プルビン酸マグネシウムメタアクリレート等のメタアクリル酸マグネシウム塩類;、トリメチルシリルアクリレート、トリエチルシリルアクリレート、トリ−n−プロピルシリルアクリレート、トリイソプロピルシリルアクリレート、トリ−n−ブチルシリルアクリレート、トリイソプロピルシリルアクリレート、トリフェニルシリルアクリレート、ジメチルブチルシリルアクリレート、ジメチルヘキシルシリルアクリレート、ジメチルオクチルシリルアクリレート、ジメチルシクロヘキシルシリルアクリレート、ジメチルフェニルシリルアクリレート、ジブチルフェニルシリルアクリレート、メチルジブチルシリルアクリレート、エチルジブチルシリルアクリレート、ジブチルシクロヘキシルシリルアクリレート、ジブチルフェニルシリルアクリレート等のアクリル酸シリルエステル類;トリメチルシリルメタアクリレート、トリエチルシリルメタアクリレート、トリ−n−プロピルシリルメタアクリレート、トリイソプロピルシリルメタアクリレート、トリ−n−ブチルシリルメタアクリレート、トリイソプロピルシリルメタアクリレート、トリフェニルシリルメタアクリレート、ジメチルブチルシリルメタアクリレート、ジメチルヘキシルシリルメタアクリレート、ジメチルオクチルシリルメタアクリレート、ジメチルシクロヘキシルシリルメタアクリレート、ジメチルフェニルシリルメタアクリレート、ジブチルフェニルシリルメタアクリレート、メチルジブチルシリルメタアクリレート、エチルジブチルシリルメタアクリレート、ジブチルシクロヘキシルシリルメタアクリレート、ジブチルフェニルシリルメタアクリレート等のメタアクリル酸シリルエステル類。
【0027】上記具体例の中でも、(メタ)アクリル酸亜鉛塩類、(メタ)アクリル酸銅塩類、(メタ)アクリル酸マグネシウム塩類が好ましく、さらには(メタ)アクリル酸亜鉛塩類が好ましい。
【0028】上記の一般式(1)で表されるトリフェニルボロン含有構成単位以外の重合性不飽和モノマー由来の構成単位の含有量は、本発明のトリフェニルボロン含有ポリマー中、好ましくは0〜99重量%、より好ましくは5〜95重量%である。当該含有量が99重量%を越えると、水棲汚損生物に対する付着防止効果が不足し、好ましくない。
【0029】上記の重合性不飽和モノマーの導入は、一般式(3)で表されるカルボキシル基含有構成単位を含むポリマーの合成時、あるいは一般式(7)で表されるトリフェニルボロン含有ビニルモノマーの重合時に行われる。また、上記の重合性不飽和モノマーは、単独でも使用しても2種以上を併用してもよい。
【0030】本発明のトリフェニルボロン含有ポリマーは、通常の方法、例えば以下の方法により、漁網防汚剤や水中防汚塗料(例えば船底防汚塗料)等の汚損防止剤に調整することができる。
【0031】A.漁網防汚剤本発明の漁網防汚剤は、低毒性で安全性が高く、かつ長期にわたってヒドロ虫、オベリア等の腔腸動物;フジツボ、ムラサキイガイ、カキ、セルプラ等の貝類;カサネカンザシ、ヒトエカンザシ、ヤッコカンザシ、ウズマキゴカイ等の管棲多毛類、およびその他の水棲汚損生物に対して優れた付着防止効果を示す。
【0032】本発明の漁網防汚剤は、トリフェニルボロン含有ポリマーをキシレン等の有機溶剤で分散または溶解させることにより調製される。本発明の漁網防汚剤中、トリフェニルボロン含有ポリマーの含有量は、その適用環境によって任意に変更できるが、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは3〜25重量%である。当該含有量が1重量%未満であると、水棲汚損生物に対する付着防止効果が不足し、逆に50重量%を越えると漁網防汚剤の粘度が大きくなり、取り扱いが困難となり、好ましくない。
【0033】本発明の漁網防汚剤に使用される有機溶剤としては、芳香族化合物系有機溶剤、ケトン化合物系有機溶剤、脂肪族化合物系有機溶剤等が挙げられるが、より具体的には、例えば、キシレン、トルエン、プソイドクメン、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、メシチレン、ソルベントナフサ、ブタノール、イソプロパノール、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。また、これらの溶剤は単独で使用してもよく、または2種以上混合して使用してもよい。また、必要に応じて、アクリル樹脂、合成ゴム、ロジン樹脂、シリコン系樹脂、ポリブテン樹脂、塩化ゴム樹脂、塩化ビニル樹脂、アルキッド樹脂、クマロン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エポキシ系樹脂等の各種樹脂を配合してもよい。これらの樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。
【0034】本発明におけるトリフェニルボロン含有ポリマーを漁網防汚剤として使用する場合、当該ポリマーだけでも水棲汚損生物に対する優れた付着防止効果を発揮するが、シリコーンオイル、溶出調整剤、本発明におけるトリフェニルボロン含有ポリマー以外の防汚成分を配合することにより、より優れた付着防止効果を発揮できる。
【0035】本発明の漁網防汚剤で使用されるシリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイル、(高級)脂肪酸変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等が挙げられ、中でも、ポリエーテル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル等が好ましい。これらは単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。これらのシリコーンオイルの含有量は、その適用環境によって任意に変更できるが、漁網防汚剤中、好ましくは、0.1〜50重量%、より好ましくは0.5〜25重量%である。当該含有量が0.1重量%未満であると、その併用効果は望めず、逆に50重量%を越えると塗膜物性を低下させ、好ましくない。
【0036】本発明の漁網防汚剤で使用されるトリフェニルボロン含有ポリマー以外の防汚成分としては、公知の防汚成分が挙げられ、例えば、1,3−ジシアノテトラクロロベンゼン、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)銅、2−第3級ブチルアミノ−4−シクロプロピルアミノ−6−メチルチオ−1,3,5−トリアジン、亜酸化銅、チオシアン酸銅(CuSCN)、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3−イソチアゾロン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、ジメチルジチオカーバメイト亜鉛塩、ビス(ジメチルジチオカルバモイル)ジンクエチレンビスジチオカーバメイト、ピリジン−トリフェニルボロン、トリフェニルボロン−アルキル(炭素数3〜30)アミン(例えば、トリフェニルボロン−n−オクタデシルアミン、トリフェニルボロン−n−ヘキサデシルアミン、トリフェニルボロン−n−オクチルアミン等)、トリフェニルボロン−ロジンアミン、ロダン銅、水酸化銅、ナフテン酸銅、マンガニーズエチレンビスジチオカーバメイト、ジンクエチレンビスジチオカーバメイト、N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルフィド、3−ヨード−2−プロピニールブチルカーバメート、ジヨードメチルパラトリルスルファン、2−(4−チアゾリル)−ベンゾイミダゾール等や、その他の非錫系防汚化合物が挙げられる。
【0037】また、一般式(8)
【化12】

(式中、R11は各々同一または異なって炭素数1〜4個のアルキル基を示す)で表されるテトラアルキルチウラムジスルフィッド類も挙げられる。一般式(8)におけるR11の炭素数1〜4個のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル等の直鎖または分岐鎖のものが挙げられ、中でも、エチル、ブチルが好ましい。
【0038】一般式(8)で表されるテトラアルキルチウラムジスルフィッド類の具体例としては、テトラメチルチウラムスルフィッド、テトラエチルチウラムジスルフィッド、テトライソプロピルチウラムジスルフィッド、テトラ−n−ブチルチウラムジスルフィッド等が挙げられる。
【0040】また、一般式(9)
【化13】

(式中、R12は水素原子、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基、ハロゲン置換フェニル基、ベンジル基、アルキル置換ベンジル基またはハロゲン置換ベンジル基を示す)により表される2,3−ジクロロマレイミド類も挙げられる。
【0041】一般式(9)におけるR12のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル等の炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖のものが挙げられる。ハロゲン置換アルキル基としては、ジクロロメチル、ジクロロエチル、トリクロロエチル等が挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロヘキシル等が挙げられる。アルキル置換フェニル基としては、ジメチルフェニル、ジエチルフェニル、メチルエチルフェニル等が挙げられる。ハロゲン置換フェニル基としては、ジクロロフェニル等が挙げられる。アルキル置換ベンジル基としては、メチルベンジル、ジメチルベンジル、ジエチルベンジル、α−メチルベンジル等が挙げられる。ハロゲン置換ベンジル基としては、クロロベンジル、ジクロロベンジル等が挙げられる。R12としては、エチル、ブチル、ジエチルフェニル、メチルエチルフェニル、ベンジルが好ましい。
【0042】一般式(9)で表される2,3−ジクロロマレイミド類の具体例としては、例えば、2,3−ジクロロ−N−エチルマレイミド、2,3−ジクロロ−N−イソプロピルマレイミド、2,3−ジクロロ−N−n−ブチルマレイミド、2,3−ジクロロ−N−第3級ブチルマレイミド、2,3−ジクロロ−N−n−オクチルマレイミド、2,3−ジクロロ−N−シクロヘキシルマレイミド、2,3−ジクロロ−N−ベンジルマレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2−クロロベンジル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(4−クロロベンジル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2−メチルベンジル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2,4−ジメチルベンジル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(3,4−ジメチルベンジル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−α−メチルベンジルマレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2,4−ジクロロベンジル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2−エチル−6−メチルフェニル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2,6−ジメチルフェニル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2,4−ジエチルフェニル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2,4,6−トリメチルフェニル)マレイミド等が挙げられる。
【0043】上記のトリフェニルボロン含有ポリマー以外の防汚成分の中でも、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)銅、2−第3級ブチルアミノ−4−シクロプロピルアミノ−6−メチルチオ−1,3,5−トリアジン、亜酸化銅、チオシアン酸銅(CuSCN)、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3−イソチアゾロン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、ジメチルジチオカーバメイト亜鉛塩、ビス(ジメチルジチオカルバモイル)ジンクエチレンビスジチオカーバメイト、ピリジン−トリフェニルボロン、トリフェニルボロン−アルキル(炭素数3〜30)アミン(例えば、トリフェニルボロン−n−オクタデシルアミン、トリフェニルボロン−n−ヘキサデシルアミン、トリフェニルボロン−n−オクチルアミン等)、トリフェニルボロン−ロジンアミン、ロダン銅、テトラエチルチウラムジスルフィッドが好ましい。
【0044】上記のトリフェニルボロン含有ポリマー以外の防汚成分は単独で使用してもよく、または2種以上併用してもよい。また、上記のトリフェニルボロン含有ポリマー以外の防汚成分と本発明のトリフェニルボロン含有ポリマーとの重量比は、その適用環境によって任意に変更できるが、好ましくは1:50〜50:1、より好ましくは1:25〜25:1、さらに好ましくは1:10〜10:1の範囲である。上記の防汚成分が上記範囲より多いと塗膜物性を低下させ、逆に少ないと併用効果が望めず、好ましくない。
【0045】本発明の漁網防汚剤に使用される溶出調整剤としては、一般式(10):【化14】

(式中、R13は、各々同一または異なって炭素数1〜20個のアルキル基を示し、rは2〜10の整数を示す)で表されるジアルキルポリスルフィッド類が挙げられる。
【0046】一般式(10)において、R13で示される炭素数1〜20のアルキル基としては、エチル、プロピル、t−ブチル、t−アミル、t−ノニル、t−ドデシル、ノナデシル等の炭素数2〜19の直鎖または分岐鎖のものが好ましい。rとしては3〜8が好ましい。一般式(10)で表されるジアルキルポリスルフィッド類の具体例としては、例えば、ジエチルペンタスルフィッド、ジプロピルテトラスルフィッド、ジ第3級ブチルジスルフィッド、ジ第3級ブチルテトラスルフィッド、ジ第3級アミルテトラスルフィッド、ジ第3級ノニルペンタスルフィッド、ジ第3級オクチルペンタスルフィッド、ジ第3級ドデシルペンタスルフィッド、ジノナデシルテトラスルフィッド等が挙げられる。
【0047】また、平均分子量が200〜1,000のポリブテン、パラフィン類、ワセリン、グリセリン、多価アルコール類、脂肪酸エステル類も溶出調整剤として使用できる。平均分子量が200〜1,000のポリブテンとしては、例えば、日本石油(株)製のLV−5、LV−10、LV−25、LV−50、LV−100、HV−15、HV−35、HV−50、HV−100、HV−300等が挙げられる。パラフィン類としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、塩化パラフィン等が挙げられる。ワセリンとして、白色ワセリン、黄色ワセリン等が挙げられる。多価アルコール類としては、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール等が挙げられる。
【0048】上記の溶出調製剤の中でも、ジ第3級ノニルペンタスルフィッド、ジ第3級オクチルペンタスルフィッド、ポリブテン、流動パラフィン、白色ワセリン、黄色ワセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールが好ましい。上記の溶出調整剤は単独で使用しても、または2種以上混合して使用してもよい。
【0049】上記の溶出調製剤の含有量は、その適用環境によって任意に変更できるが、漁網防汚剤中、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜10重量%である。当該含有量が1重量%未満であるとその併用効果が望めず、逆に30重量%を越えると塗膜物性を低下させ、好ましくない。
【0050】B.水中防汚塗料本発明の水中防汚塗料は、低毒性で安全性が高く、かつ長期にわたってヒドロ虫、オベリア等の腔腸動物;フジツボ、ムラサキイガイ、カキ、セルプラ等の貝類;カサネカンザシ、ヒトエカンザシ、ヤッコカンザシ、ウズマキゴカイ等の管棲多毛類、およびその他の水棲汚損生物に対して優れた付着防止効果を示す。
【0051】本発明の水中防汚塗料は、トリフェニルボロン含有ポリマーを水溶性樹脂または非水溶性樹脂に配合し、ペイントコンディショナー、ホモミキサー等を用いて混合分散することにより調製される。その他塗料に一般的に用いられる成分、溶剤(キシレン、メチルイソブチルケトン、n−ブタノール、酢酸ブチル等)、顔料(ベンガラ、酸化チタン、酸化亜鉛等)、可塑剤、充填剤(タルク、微粉シリカ等)、硬化促進剤等の添加剤を必要に応じて配合することもできる。
【0052】本発明の水中防汚剤中、トリフェニルボロン含有ポリマーの含有量は、その適用環境によって任意に変更できるが、好ましくは1〜80重量%、より好ましくは3〜40重量%である。当該含有量が1重量%未満であると、水棲汚損生物に対する付着防止効果が不足し、逆に80重量%を越えると塗料の粘度が大きくなり、取り扱いが困難となり、好ましくない。
【0053】本発明のトリフェニルボロン含有ポリマーを水中防汚剤として使用する場合、当該ポリマーだけでも水棲汚損生物に対する優れた付着防止効果を発揮するが、シリコーンオイル、溶出調整剤、本発明におけるトリフェニルボロン含有ポリマー以外の防汚成分を配合することにより、より優れた付着防止効果を発揮できる。シリコーンオイル、溶出調製剤、トリフェニルボロン含有ポリマー以外の防汚成分等は、漁網防汚剤の説明において記載したようなものが挙げられる。また、必要に応じて、漁網防汚剤の説明において記載したような各種樹脂を配合してもよい。
【0054】シリコーンオイルの含有量は、その適用環境によって任意に変更できるが、水中防汚塗料中、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは0.5〜25重量%である。当該含有量が0.1重量%未満であるとその併用効果は望めず、逆に50重量%を越えると塗膜物性を低下させ、好ましくない。
【0055】トリフェニルボロン含有ポリマー以外の防汚成分と本発明のトリフェニルボロン含有ポリマーとの重量比は、その適用環境によって任意に変更できるが、好ましくは1:50〜50:1、より好ましくは1:25〜25:1、さらに好ましくは1:10〜10:1の範囲である。上記の防汚成分が上記範囲より多いと塗膜物性を低下させ、逆に少ないと併用効果が望めず、好ましくない。
【0056】溶出調製剤の含有量は、その適用環境によって任意に変更できるが、漁網防汚剤中、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜10重量%である。当該含有量が1重量%未満であるとその併用効果が望めず、逆に30重量%を越えると塗膜物性を低下させ、好ましくない。
【0057】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に明記しない限り配合は重量%を示す。また、表中、トリフェニルボロンはTPBと略す。
【0058】実施例1 <ジ(トリフェニルボロン)−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)付加物(トリフェニルボロン付加物A)の合成>メカニカルスターラー、冷却管、滴下ロート、温度計を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、トリフェニルボロンの水酸化ナトリウム付加物水溶液(東京化成株式会社製;9%水溶液)860.5gを仕込み、撹拌を開始した。3,3’−イミノビス(プロピルアミン)(和光純薬工業(株)試薬)の18.4gを蒸留水18.4gに溶解した水溶液を、室温にて、滴下ロートから徐々に滴下する。滴下終了後、50℃で3時間撹拌した。析出物を濾取し、水洗した後、乾燥すると、白色粉体物質81.6gを得た。得られた化合物を元素分析およびIR(赤外線)スペクトルにて分析した結果、目的物のジ(トリフェニルボロン)−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)付加物(トリフェニルボロン付加物A)であることが確認された。融点は167〜169℃であった。
【0059】実施例2 <トリフェニルボロン含有ポリマーAの合成>メカニカルスターラー、冷却管、滴下ロート、温度計を取り付けた300mLの四つ口フラスコに、メタクリル酸/メチルメタアクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート共重合体(Mw=約1万、樹脂固形分酸価46.0mgKOH/g)の40%キシレン/n−BuOH溶液90.5gを仕込み、攪拌を開始した。50℃に昇温した後、実施例1で合成したトリフェニルボロン−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)付加物(トリフェニルボロン付加物A)18.5g投入し、キシレン166gを加えた。完溶確認後、同温度で3時間撹拌し、反応を完結させた。反応終了後、減圧下にて溶媒を留去して除去し、乾燥して淡黄白色樹脂状物(TPB含有ポリマーA)を得た。IR(赤外線)スペクトルにて分析した結果、目的物であることが確認された。
【0060】実施例3 <トリフェニルボロン含有ポリマーBの合成>メカニカルスターラー、冷却管、滴下ロート、温度計を取り付けた300mLの四つ口フラスコに、アクリル酸/メチルメタアクリレート/エチルアクリレート共重合体(Mw=5千、樹脂固形分酸価53.6mgKOH/g)の50%キシレン/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)=80/20(wt/wt%)溶液61.9gを仕込み、攪拌を開始した。50℃に昇温した後、実施例1で合成したトリフェニルボロン−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)付加物(トリフェニルボロン付加物A)18.5g投入し、キシレン/PGM混合溶媒167gを加えた。完溶確認後、同温度で3時間撹拌し、反応を完結させた。反応終了後、減圧下にて溶媒を留去して除去し、乾燥して淡黄白色樹脂状物(TPB含有ポリマーB)を得た。IR(赤外線)スペクトルにて分析した結果、目的物であることが確認された。
【0061】実施例4 <トリフェニルボロン含有ポリマーCの合成>メカニカルスターラー、冷却管、滴下ロート、温度計を取り付けた300mLの四つ口フラスコに、アクリル酸/メチルメタアクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート共重合体(Mw=5千、樹脂固形分酸価53.6mgKOH/g)の50%キシレン/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)=80/20(wt/wt%)溶液61.9gを仕込み、攪拌を開始した。50℃に昇温した後、実施例1で合成したトリフェニルボロン−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)付加物(トリフェニルボロン付加物A)18.5g投入し、キシレン/PGM混合溶媒167gを加えた。完溶確認後、同温度で3時間撹拌し、反応を完結させた。反応終了後、減圧下にて溶媒を留去して除去し、乾燥して淡黄白色樹脂状物(TPB含有ポリマーC)を得た。IR(赤外線)スペクトルにて分析した結果、目的物であることが確認された。
【0062】実施例5〜13および比較例1〜3 <漁網防汚剤の処方例>実施例2〜4で得たポリマー溶液A〜Cを用いて、本発明の漁網防汚剤を表1に示す配合により調製した。また、同様に比較例1〜3の漁網防汚剤を調製した。
【表1】

【0063】実施例14〜19および比較例4〜7 <船底防汚塗料の処方例>実施例2〜3で得たポリマーA〜Cを用いて、本発明の船底塗料を表2に示す配合により調製した。また、同様に比較例4〜7の船底防汚塗料を調製した。
【表2】

【0064】漁網防汚剤効果試験例本発明の実施例5〜13および比較例1〜3に示した漁網防汚剤を、それぞれポリエチレン製無結節網(6節、400デニール/60本)に浸漬塗布して風乾した後、金枠にセットした。これらの試験網を高知県宿毛市沖の海面下約1.5mに浸海して水棲生物の付着による試験網の汚損状態を観察した。以下に示した基準により網の汚損状況を評価し、結果を表3に示した。網の汚損状況の評価基準評価A:漁網の汚損面積0%。付着生物なし。
評価B:漁網の汚損面積0〜10%。わずかに付着生物が存在するが、実用上差し支えない。
評価C:漁網の汚損面積10〜50%。付着生物が多く、もはや漁網として使用できない。
評価D:漁網の汚損面積50%以上。著しく多量に生物が付着。
【表3】

【0065】比較例1〜3、および無処理網には、1ヶ月〜2ヶ月後には、フジツボやカサネカンザシをはじめとする多数の生物が付着した。一方、実施例5〜13では、少なくとも4ヶ月間、浸海した網に貝類、管棲多毛類、およびその他の水棲生物の付着は全く認められなかった。
【0066】船底塗料効果試験例本発明の実施例14〜19および比較例4〜7に示した船底塗料を50×100×2mmの硬質塩化ビニル板の両面に約100ミクロンの乾燥塗膜が得られるように塗布した。1日風乾した後、これらの試験板を高知県宿毛市沖の海面下約1.5mに浸海して水棲生物の付着による試験板の汚損状態を観察した。以下に示した基準により網の汚損状況を評価し、結果を表4に示した。試験板の汚損状況の評価基準評価A:試験板の汚損面積0%。付着生物なし。
評価B:試験板の汚損面積0〜10%。わずかに付着生物が存在するが、実用上差し支えない。
評価C:試験板の汚損面積10〜50%。付着生物が多く、船底塗料としての用をなさず。
評価D:試験板の汚損面積50%以上。著しく多量に生物が付着。
【表4】

【0067】比較例4〜7、および無処理板には、1ヶ月〜4ヶ月後には、フジツボやカサネカンザシをはじめとする多数の生物が付着した。一方、実施例14〜19では、6ヶ月間浸海した試験板に貝類、管棲多毛類、およびその他の水棲生物の付着は全く認められなかった。
【0068】
【発明の効果】本発明のトリフェニルボロン含有ポリマーを含有する水棲汚損生物による付着防止剤、例えば、漁網防汚剤、船底防汚塗料を用いることによって、漁網や船底等に、ヒドロ虫、オベリア等の腔腸動物、フジツボ、ムラサキイガイ、カキ、セルプラ等の貝類、および、カサネカンザシ、ヒトエカンザシ、ヤッコカンザシ、ウズマキゴカイ等の管棲多毛類、あるいはその他の水棲生物の付着が極めて少なく、優れた防汚効果を示すことが判明した。
【0069】また、本発明のトリフェニルボロン含有ポリマーは、有効成分のみならずバインダー(結着剤)としての機能を有し、他の防汚成分や塗料樹脂との混和性に優れ、環境に与える悪影響も少ない。
【0070】
【出願人】 【識別番号】396020464
【氏名又は名称】吉富ファインケミカル株式会社
【出願日】 平成13年6月7日(2001.6.7)
【代理人】 【識別番号】100066304
【弁理士】
【氏名又は名称】高宮城 勝
【公開番号】 特開2002−363014(P2002−363014A)
【公開日】 平成14年12月18日(2002.12.18)
【出願番号】 特願2001−211386(P2001−211386)