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【発明の名称】 水田用除草剤組成物および水田雑草防除法
【発明者】 【氏名】倉持 仁志

【氏名】橋本 俊一

【氏名】掘出 文男

【要約】 【課題】イネに対する高い安全性を有し、かつ水田に生育する各種雑草に対し、高い除草効力を有する水田用除草剤組成物を提供すること。

【解決手段】本発明は、除草剤有効成分として、ベンタゾンナトリウム塩とベンゾフェナップとを含み、水田の各種雑草に対し、優れた相乗効果による高い除草効力を有すと同時に、イネに対しては安全性の高い水田用除草剤組成物、及び該組成物による水田雑草を防除する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】3−イソプロピル−1H−2,1,3−ベンゾチアジアジン−4(3H)−オン=2,2−ジオキシド=ナトリウム塩と2−〔4−(2,4−ジクロロ−m−トルオイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ〕−4’−メチルアセトフェノンとを有効成分として含有することを特徴とする水田用除草剤組成物。
【請求項2】3−イソプロピル−1H−2,1,3−ベンゾチアジアジン−4(3H)−オン=2,2−ジオキシド=ナトリウム塩と2−〔4−(2,4−ジクロロ−m−トルオイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ〕−4’−メチルアセトフェノンとが重量比で1:0.03〜1:8の割合で含有されてなる請求項1記載の水田用除草剤組成物。
【請求項3】3−イソプロピル−1H−2,1,3−ベンゾチアジアジン−4(3H)−オン=2,2−ジオキシド=ナトリウム塩と2−〔4−(2,4−ジクロロ−m−トルオイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ〕−4’−メチルアセトフェノンとが重量比で1:0.06〜1:4の割合で含有されてなる請求項1記載の水田用除草剤組成物。
【請求項4】請求項1、2または3に記載の水田用除草剤組成物を水田に施用する雑草の防除方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水田用除草剤組成物および水田の雑草防除方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、水田用除草剤としては種々の除草剤が開発され、実用化されている。最近では、一発除草剤と称する複数の除草成分からなる広い殺草スペクトラムを持つ混合除草剤が広く用いられている。しかしながら、水田難防除雑草である多年生カヤツリグサ科のクログワイやミズガヤツリ、最近北海道をはじめとして問題になっているスルホニルウレア系除草剤抵抗性雑草のアゼナ、ミズアオイ、イヌホタルイ等については、これら一発除草剤でも効果が不十分な場合が多い。特に現在広く使用されているスルホニルウレア系除草成分を含む一発除草剤の効果は不十分と言わざるをえない。又、一年生雑草のコナギ等に対する効果も必ずしも十分ではない。そこで、これらの雑草に卓効を示すとともに、イネに対する安全性が高く、従来の除草剤より環境負荷の少ない、即ちより低薬量で有効な除草剤の開発が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はイネに高い安全性を有し、且つ水田に生育する各種の雑草に対して、優れた相乗作用による高い除草効果を示す新規な水田用除草剤組成物および該組成物を用いる水田の雑草防除方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、除草剤有効成分として3−イソプロピル−1H−2,1,3−ベンゾチアジアジン−4(3H)−オン=2,2−ジオキシド=ナトリウム塩(以下、ベンタゾンナトリウム塩と記す)と2−〔4−(2,4−ジクロロ−m−トルオイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ〕−4’−メチルアセトフェノン(以下、ベンゾフェナップと記す)を含む本発明の水田用除草剤組成物が、水田に生育する各種雑草に対し、各々の有効成分単独施用では期待できぬ程著しい相乗効果を示し、その結果、低薬量でこれらの雑草を防除でき、かつイネに対し何ら薬害を生じることのない高い安全性を有することを見い出し、本発明を完成した。
【0005】上記の除草剤有効成分は共に既知の除草剤化合物であり、例えば「農薬ハンドブック」1998年版(平成10年12月15日社団法人日本植物防疫協会発行)に記載されており、市販されている。
【発明の実施の形態】
【0006】本発明によれば、除草剤有効成分としてベンタゾンナトリウム塩とベンゾフェナップとを含む本発明組成物は水田に生育する雑草に対し高い除草効果を有するが、とりわけ後述の水中拡散性組成物は、イネに対する高い安全性を維持しつつ、かつ、雑草に対して強力な除草効果を示す。
【0007】本発明組成物は、除草剤有効成分であるベンタゾンナトリウム塩とベンゾフェナップの他に、通常、不活性担体、必要により界面活性剤、その他の製剤用補助剤などを含有する。本発明組成物中にはベンタゾンナトリウム塩とベンゾフェナップとが合計量にして通常0.1〜60重量%含有される。本発明組成物中のベンタゾンナトリウム塩とベンゾフェナップとの含有量は重量割合にして通常1:0.03〜1:8、好ましくは1:0.06〜1:4の範囲内である。
【0008】不活性担体としては、タルク、クレー、ベントナイト、カオリン、珪藻土、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン等の固体担体等が挙げられる。また、界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩)、アルキルナフタレンスルホン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩)、リグニンスルホン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩)、ジアルキルスルホサクシネート、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルアリールフェニルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェート、高級脂肪酸塩、ポリカルボン酸系界面活性剤及びその塩等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアリキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエステル等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。該不活性担体および界面活性剤は、本発明組成物中に通常、各々5〜99重量%および0.1〜30重量%含有される。その他の製剤用補助剤としては、結合剤、崩壊剤、拡展剤等が挙げられ、具体例としてはアラビアガム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩等が挙げられる。
【0009】本発明組成物は、粒剤、粉剤、水和剤、フロアブル剤等の形態をとることができ、通常の手法により製剤化される。本発明組成物は、次に示す水中拡散性組成物の構成をとることが好ましい。該水中拡散性組成物は、有効成分であるベンタゾンナトリウム塩とベンゾフェナップとの他に、界面活性剤、水溶性担体および水溶性結合剤を含有する粒状組成物であり、通常、該有効成分を合計量にして0.1〜60重量%、界面活性剤、水溶性担体および水溶性結合剤を各々、0.1〜30重量%、5〜99重量%および1〜30重量%含有する。界面活性剤の具体例としては上述のものが挙げられ、水溶性担体としては、例えば、尿素、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、蔗糖、乳糖等が挙げられる。水溶性結合剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース塩(例えばナトリウム塩)、ポリアクリル酸塩(例えばナトリウム塩)、ポリビニルアルコール、デキストリン、キタンサンガム、化工澱粉、アラビアガム、アルギン酸塩(例えばナトリウム塩)等の塗膜形成要素として知られている結合剤が挙げられる。該水中拡散性組成物は、上述の各成分を混合し、これに水を加えて常法により造粒、乾燥して得ることができる。
【0010】本発明組成物は、通常の水田用除草剤と同様の方法で水田に施用され、例えばコナギ、アゼナ、タカサブロウ、イヌホタルイ、ミズガヤツリ、クログワイ、ウリカワおよびオモダカ等の水田雑草を防除するのに用いられる。本発明組成物の施用量は、使用される除草剤有効成分の製剤中の含有量、防除対象雑草、雑草発生状況及び、気象条件によって変わり得るが、一般的には、除草剤有効成分量にして10アール当り1g〜600g、好ましくは50g〜250gの範囲から適宜選択するのが好ましい。
【実施例】
【0011】本発明の該組成物に関する製剤例及び試験例を挙げて、さらに具体的に説明するが、本発明は以下の例のみに限定されるものではない。以下の説明において「部」は重量部を意味する。
【0012】製剤例1ベンゾフェナップ8部、ホワイトカーボン10部、ポリアクリル酸ナトリウム1.5部、カルボン酸型高分子活性剤1部、キタンサンガム0.5部及び、塩化カリウム粉砕品67.0部をミキサーで混合する。この混合物にベンタゾンナトリウム塩11部、ジアルキルスルホコハク酸塩1部及び水10部を加えて乳鉢でよく混練し、直径1.2mmのスクリーンを装着した横型造粒機により押出造粒後、これを湿式整粒し、流動層乾燥機で60〜70℃の熱風を吹き込んで乾燥し、水中拡散性組成物である粒剤を得た。
【0013】製剤例2ベンゾフェナップ8部、ホワイトカーボン5部、タルク30部、クレー39部及び界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸塩とリン酸塩の混合物)3部をミキサーで混合する。この混合物に、ベンタゾンナトリウム塩11部、ポリカルボン酸系高分子活性剤2部、澱粉分解物2部及び水17部の混合物を加え、乳鉢で十分混練した後、直径1.2mmのスクリーンを装着した横型造粒機で押出造粒し、湿式整粒後、流動層乾燥機で60〜70℃の熱風を吹き込んで乾燥して粒剤を得た。
【0014】製剤例3水63.9部にベンタゾンナトリウム塩11部、ベンゾフェナップ8部、リグニンスルホン酸ナトリウム2部、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸アンモニウム4部、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル0.5部、キタンサンガム0.1部、ベントナイト0.5部、エチレングリコール10部を加え、高速攪拌機で混合、湿式粉砕機で粉砕し、フロアブル剤を得た。
【0015】次に試験例を挙げて、本発明組成物の効果を具体的に説明する。
【0016】試験例1.除草効果試験温室内(平均気温25℃)で1/5000アールワグネルポットに埴壌土を詰め、浅水の湛水状態にしてミズガヤツリ塊茎をそれぞれのポットに4個体植付けた。植付け後14日目に水深を5〜6cmに保って、製剤例1に準じて調製した粒剤を処理した。処理時のミズガヤツリは4〜5葉期であった。処理後21日目に除草効果の程度を観察した。除草効果は以下のように%表示で評価した。100%:完全枯死 0%:効果無しその結果を表1に示す。
【0017】

上表に見られるように、ベンゾフェナップ80gではわずかに20%の除草効果しか認められず、また、ベンタゾンナトリウム塩80gでも不充分な防除効果しか得られないのに対し、ベンゾフェナップ10gとベンタゾンナトリウム塩40gの計50gで完全な防除効果が認められる。即ち、優れた相乗的な除草効果が示されている。
【0018】試験例2.除草効果および水稲薬害試験水田圃場(埴壌土)に2.2葉期の水稲苗(品種:日本晴)を条間30cm、株間20cmで移植した。移植後、波板で1区当たり3.1m(1.4m×2.2m)の枠を設けた。枠内にコナギ、アゼナ、タカサブロウ、イヌホタルイの雑草種子を播種し、クログワイ塊茎を植付け、水深は常時5〜6cmになるように保った。移植後26日目に製剤例1に準じて調製した粒剤を枠内に手で均一処理した。薬剤処理5日後に水稲薬害をまた、23日後に除草効果の程度を観察した。その結果、10アールあたり1.0Kgの製剤(有効成分量にして10アールあたりベンタゾンナトリウム塩110gおよびベンゾフェナップ80g)処理により、上記雑草全てに優れた防除効果を示し、かつ、水稲への薬害は認められなかった。
【0019】
【発明の効果】有効成分としてベンタゾンナトリウム塩とベンゾフェナップを含む本発明の水田用除草剤組成物は、水田に発生する各種雑草に対し、優れた相乗効果により卓効を示し、イネに対しては高い安全性を有するという特徴を合わせ持ち、農業従事者の労力を軽減するもので、水田用除草剤として有用である。
【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学工業株式会社
【出願日】 平成13年6月1日(2001.6.1)
【代理人】 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆 (外2名)
【公開番号】 特開2002−363011(P2002−363011A)
【公開日】 平成14年12月18日(2002.12.18)
【出願番号】 特願2001−205418(P2001−205418)