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【発明の名称】 ハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー
【発明者】 【氏名】黒宮 友美

【要約】 【課題】長期間の貯蔵による品質劣化及び取扱性低下が少ないハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーを提供する。

【解決手段】(A)ハロゲン化ヒダントイン化合物、(B)モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び/又は共重合体、(C)アニオン性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤、並びに(D)多糖類高分子、多価アルコール系高分子、及びスメクタイト系無機物より成る群から選ばれる1種以上の増粘剤を含むハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)一般式(1)
【化1】

(式中、X1及びX2は、少なくとも一方が塩素原子又は臭素原子であり、他方が塩素原子、臭素原子又は水素原子のいずれかであり、かつR1及びR2は各々独立に水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示す)で表されるハロゲン化ヒダントイン化合物、(B)スルホン酸基、ホスホン酸基、又はホスフィン酸基を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体、並びにこれら重合体及び共重合体の塩より成る群から選ばれる1種以上のモノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び/又は共重合体、(C)アニオン性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤、並びに(D)多糖類高分子、多価アルコール系高分子、及びスメクタイト系無機物より成る群から選ばれる1種以上の増粘剤を含むハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー。
【請求項2】 (A)が、ブロモクロロジメチルヒダントイン、ジクロロジメチルヒダントイン、及びジブロモジメチルヒダントインより成る群から選ばれる1種以上である請求項1記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー。
【請求項3】 (B)が、ポリ(2−カルボキシルエチル)スルホン酸、ポリ(1,2−ジカルボキシルエチル)スルホン酸、及びポリ(2−カルボキシルエチル)(1,2−ジカルボキシルエチル)スルホン酸のスルホン酸基を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体、ポリ(2−カルボキシルエチル)ホスホン酸、ポリ(1,2−ジカルボキシルエチル)ホスホン酸、及びポリ(2−カルボキシルエチル)(1,2−ジカルボキシルエチル)ホスホン酸のホスホン酸基を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体、並びにビス−ポリ(2−カルボキシエチル)ホスフィン酸、ビス−ポリ(1,2−ジカルボキシエチル)ホスフィン酸、及びビス−ポリ(2−カルボキシルエチル)(1,2−ジカルボキシルエチル)ホスフィン酸のホスフィン酸基を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体より成る群から選ばれる1種以上である請求項1又は2記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー。
【請求項4】 (C)が、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩より成る群から選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれか一つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー。
【請求項5】 (D)が、キサンタンガム、ラムザンガム、ウェランガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酸性白土、ベントナイト、及びヘクトライトより成る群から選ばれる1種以上である請求項1〜4のいずれか一つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー。
【請求項6】 (A)100重量部に対して、(B)1〜50重量部、(C)0.01〜5重量部、及び(D)0.01〜5重量部を含む請求項1〜5のいずれか一つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工業用冷却水系、製紙工程水系など一般工業用水系における微生物障害を抑制するのに有用なハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種工場の冷却水系あるいは紙・パルプ抄紙系では、細菌、糸状菌、藻類などの微生物の分泌した粘質物質が水中の土砂、鉄錆、その他の有機物を含んでスライムと呼ばれる泥状物を形成し、配管、装置の壁面及び流水路壁面などに付着して、しばしば操業上の障害を引き起こすことがある。
【0003】例えば、冷却水系ではスライムが系内に発生し、熱効率の低下、配管の閉塞、腐食などの問題が生じることが知られている。また、紙・パルプ抄紙系では、工程水中の有機物、デンプンなど各種添加物が栄養源となり、微生物が増殖しスライムによる問題が生じる。特に、スライムが壁面から剥離することにより、製品中に異物として混入して、製品の品質を低下させたり、紙切れを誘発し生産効率を低下させる原因となる。近年、抄紙機の腐蝕防止、紙の保存性の改善、コスト低減などの要求から酸性抄紙に代わって中性抄紙が急速に増加してきた。しかし、中性抄紙の条件は、微生物の生育に一層適しているため、微生物によるスライム問題はより深刻になってきている。
【0004】このような工程中の微生物を抑制する目的で、殺菌効果が高く、生分解性も高いうえに分解性生物の毒性が低いハロゲン化ヒダントイン化合物の使用が提案されている。例えば、特開平8−176996号公報にはハロゲン化ヒダントイン化合物を使用するスライム障害防止方法、特開平11−47755号公報にはハロゲン化ヒダントイン化合物とイソチアゾロン化合物を併用するスライムコントロール方法、特開平8−26917号公報にはハロゲン化ヒダントイン化合物と塩素化イソシアヌール酸の併用による殺菌洗浄剤組成物が開示されている。
【0005】ハロゲン化ヒダントイン化合物は、水に対して0.1〜0.2重量%の溶解度しかないことから長時間かけても低濃度の溶液しか得られず、工程水中へ一定濃度で添加するためには、大きい溶解装置や貯蔵タンク、注入ポンプが必要になるなど、溶液として扱うには非常に効率が悪い。この対策として、ハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー製剤が検討されてきた。しかし、スラリー状態を保持させるための界面活性剤や増粘剤が、ハロゲン化ヒダントイン化合物に由来する次亜ハロゲン酸により酸化分解され、またその分解のためにハロゲン化ヒダントイン化合物が消費されるという不具合があり、満足し得る水性スラリー製剤を得るには至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題点を改善し、長期間の貯蔵による品質劣化及び取扱性低下が少ないハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、ハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー製剤の貯蔵安定性を改善するために、鋭意研究を重ねた。その結果、下記のように、ハロゲン化ヒダントイン化合物と、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び/又は共重合体、界面活性剤並びに増粘剤とを配合することにより、長期間の貯蔵による品質劣化及び取扱性低下が少ないハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーを調製し得ることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】即ち、本発明は、(1)(A)一般式(1)
【化2】

(式中、X1及びX2は、少なくとも一方が塩素原子又は臭素原子であり、他方が塩素原子、臭素原子又は水素原子のいずれかであり、かつR1及びR2は各々独立に水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示す)で表されるハロゲン化ヒダントイン化合物、(B)スルホン酸基、ホスホン酸基、又はホスフィン酸基を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体、並びにこれら重合体及び共重合体の塩より成る群から選ばれる1種以上のモノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び/又は共重合体、(C)アニオン性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤、並びに(D)多糖類高分子、多価アルコール系高分子、及びスメクタイト系無機物より成る群から選ばれる1種以上の増粘剤を含むハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーである。
【0009】本発明者は、既に(A)一般式(1)
【化3】

(式中、X1及びX2は、少なくとも一方が塩素原子又は臭素原子であり、他方が塩素原子、臭素原子又は水素原子のいずれかであり、かつR1及びR2は各々独立に水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示す)で表されるハロゲン化ヒダントイン化合物、(B)アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、アルキルスルホコハク酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、アルキルリン酸塩類及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩類より成る群から選ばれる1種以上の界面活性剤、並びに(C)多糖類高分子及び/又は多価アルコール系高分子を含むハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーを出願した(特願2000−41818号)。本発明は、該先願の水性スラリーに更に、上記所定のモノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び/又は共重合体を加えることにより、スラリーの分離がより少なくなって製品の安定性がより向上し、より長期に亘る保存が可能となり、加えてより広範囲の界面活性剤の使用が可能となることから、スラリー調製がより容易になる。
【0010】好ましい態様として、(2)(A)が、ブロモクロロジメチルヒダントイン、ジクロロジメチルヒダントイン、及びジブロモジメチルヒダントインから選ばれる1種以上である上記(1)に記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(3)(B)が、末端にスルホン酸基を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体、末端にホスホン酸基を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体、分子中にホスフィン酸基を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体、並びにこれら重合体及び共重合体の塩より成る群から選ばれる1種以上のモノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び/又は共重合体である上記(1)又は(2)記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(4)(B)が、ポリ(2−カルボキシルエチル)スルホン酸、ポリ(1,2−ジカルボキシルエチル)スルホン酸、及びポリ(2−カルボキシルエチル)(1,2−ジカルボキシルエチル)スルホン酸のスルホン酸基を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体、ポリ(2−カルボキシルエチル)ホスホン酸、ポリ(1,2−ジカルボキシルエチル)ホスホン酸、及びポリ(2−カルボキシルエチル)(1,2−ジカルボキシルエチル)ホスホン酸のホスホン酸基を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体、並びにビス−ポリ(2−カルボキシエチル)ホスフィン酸、ビス−ポリ(1,2−ジカルボキシエチル)ホスフィン酸、及びビス−ポリ(2−カルボキシルエチル)(1,2−ジカルボキシルエチル)ホスフィン酸のホスフィン酸基を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体より成る群から選ばれる1種以上である上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(5)(C)が、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、アルキルスルホコハク酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、アルキルリン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩類より成る群から選ばれる1種以上である上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(6)(D)が、キサンタンガム、ラムザンガム、ウェランガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酸性白土、ベントナイト、及びヘクトライトより成る群から選ばれる1種以上である(1)〜(5)のいずれか一つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(7)(A)100重量部に対して、(B)1〜50重量部を含む上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(8)(A)100重量部に対して、(B)5〜25重量部を含む上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー(9)(A)100重量部に対して、(C)0.01〜5重量部を含む上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(10)(A)100重量部に対して、(C)0.1〜3重量部を含む上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(11)(A)100重量部に対して、(D)0.01〜5重量部を含む上記(1)〜(10)のいずれか1つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(12)(A)100重量部に対して、(D)0.1〜3重量部を含む上記(1)〜(10)のいずれか1つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーを挙げることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の(A)ハロゲン化ヒダントイン化合物は、下記の一般式(1)
【化4】

で表されるハロゲン化ヒダントイン化合物である。ここで、X1及びX2は、少なくとも一方が塩素原子又は臭素原子であり、他方が塩素原子、臭素原子又は水素原子のいずれかである。R1及びR2は各々独立に水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基を示す。例えば、(A)ハロゲン化ヒダントイン化合物としては、例えば、ブロモクロロジメチルヒダントイン、ジクロロジメチルヒダントイン、ジブロモジメチルヒダントイン等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0012】水性スラリー中のハロゲン化ヒダントイン化合物の濃度は、取り扱い性を考慮して、水性スラリー全量に対して、上限が好ましくは70重量%、より好ましくは60重量%、更に好ましくは50重量%であり、下限が好ましくは10重量%、より好ましくは20重量%、更に好ましくは30重量%である。上記上限を超えると水性スラリー製品の粘度が高くなり、取り扱い性が悪くなることがあり、上記下限未満ではハロゲン化ヒダントイン化合物の濃度が低く、経済的にメリットが得られないことがある。
【0013】水性スラリー中の(A)ハロゲン化ヒダントイン化合物の殺微生物作用及び酸化作用をハロゲン化ジメチルヒダントインを例として説明する。ハロゲン化ジメチルヒダントインは、水に溶解すると、次式(2)
【化5】

(式中、X−DMHはハロゲン化ジメチルヒダントインを示し、DMHはジメチルヒダントインを示し、HOXは次亜ハロゲン酸を示す)のように一部メチルヒダントインと次亜ハロゲン酸、例えば次亜臭素酸(HOBr)、次亜塩素酸(HOCl)となり、これらはハロゲン化ジメチルヒダントインと可逆平衡系にある。殺微生物作用及び酸化作用をするのは、次亜ハロゲン酸であり、ハロゲン化ジメチルヒダントインは式(2)が右に進んで、次亜ハロゲン酸となって消費されていく。
【0014】スラリー化に供するハロゲン化ヒダントイン化合物の粒径は、上限が、好ましくは100μm、より好ましくは50μmであり、下限が、好ましくは1μm、より好ましくは5μmである。粒子径が上限を越えると、工程水に注入する時の目詰りや水性スラリーの安定性が低下することがある。
【0015】本発明の(B)モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び/又は共重合体は、スルホン酸基(−SO3H)を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体、ホスホン酸基(−PO32)を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体、ホスフィン酸基(−PO2H−)を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体、並びにこれら重合体及び共重合体の塩より成る群から選ばれる。これらは、次亜ハロゲン酸の酸化作用による劣化が少ないため好ましい。
【0016】上記本発明の重合体及び/又は共重合体を構成するモノエチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸等が挙げられる。これらのうち、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が好ましい。また、本発明のモノエチレン性不飽和カルボン酸の共重合体には、上記のモノエチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能なモノエチレン性不飽和カルボン酸誘導体、例えば、スルホアルキル(メタ)アクリレートエステル、スルホアルキル(メタ)アリルエーテル、(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレートエステル、アルキル(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシ置換アルキル(メタ)アクリレートエステル、ヒドロキシ置換アルキル(メタ)アリルエーテル、(メタ)アリルアルコール等を含むことができる。
【0017】上記本発明の(B)を製造する方法に特に制限はなく、従来公知の方法を使用することができる。一般には、上記モノエチレン性不飽和カルボン酸、任意的に上記モノエチレン性不飽和カルボン酸誘導体及び連鎖移動剤として亜硫酸塩類、亜リン酸塩類又はホスフィン酸塩類を存在せしめて、重合又は共重合することにより製造することができる。例えば、末端にスルホン酸基を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体の製造を、アクリル酸を例にとれば下記式の通りである。
【0018】
【化6】

【0019】このようにして得られた(B)モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び/又は共重合体は、好ましくは水溶性又は水分散性であり、より好ましくは水溶性である。その平均分子量は、好ましくは500〜10000であり、より好ましくは500〜5000であり、更に好ましくは700〜3000である。上記下限未満では、重合体の合成、入手が困難で好ましくなく、上記上限を超えては、本発明の効果を得ることができない場合がある。
【0020】スルホン酸基を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体としては、例えば、末端にスルホン酸基を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体、例えば、ポリ(2−カルボキシルエチル)スルホン酸、ポリ(1−カルボキシルエチル)スルホン酸、ポリ(1,2−ジカルボキシルエチル)スルホン酸、ポリ(2−カルボキシルエチル)(1,2−ジカルボキシルエチル)スルホン酸、ポリ(1−カルボキシルエチル)(1,2−ジカルボキシエチル)スルホン酸、ポリ(2−カルボキシルエチル)(1−カルボキシルエチル)スルホン酸等が挙げられる。これらのうち、ポリ(2−カルボキシルエチル)スルホン酸、ポリ(1,2−ジカルボキシルエチル)スルホン酸、及びポリ(2−カルボキシルエチル)(1,2−ジカルボキシルエチル)スルホン酸が特に好ましく使用される。
【0021】ホスホン酸基を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体としては、例えば、末端にホスホン酸基を有する、モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体、例えば、ポリ(2−カルボキシエチル)ホスホン酸、ポリ(1−カルボキシエチル)ホスホン酸、ポリ(1,2−ジカルボキシエチル)ホスホン酸、ポリ(2−カルボキシエチル)(1,2−ジカルボキシエチル)ホスホン酸、ポリ(1−カルボキシエチル)(1,2−ジカルボキシエチル)ホスホン酸、ポリ(2−カルボキシエチル)(1−カルボキシエチル)ホスホン酸等が挙げられる。これらのうち、ポリ(2−カルボキシルエチル)ホスホン酸、ポリ(1,2−ジカルボキシルエチル)ホスホン酸、及びポリ(2−カルボキシルエチル)(1,2−ジカルボキシルエチル)ホスホン酸が特に好ましく使用される。
【0022】また、ホスフィン酸基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体としては、例えば、分子中にホスフィン酸基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体及び共重合体、例えば、ビス−ポリ(2−カルボキシエチル)ホスフィン酸、ビス−ポリ(1−カルボキシエチル)ホスフィン酸、ビス−ポリ(1,2−ジカルボキシエチル)ホスフィン酸、ビス−ポリ(2−カルボキシエチル)(1,2−ジカルボキシエチル)ホスフィン酸、ビス−ポリ(1−カルボキシエチル)(1,2−ジカルボキシエチル)ホスフィン酸、ビス−ポリ(1−カルボキシエチル)(2−カルボキシエチル)ホスフィン酸等が挙げられる。これらのうち、ビス−ポリ(2−カルボキシエチル)ホスフィン酸、ビス−ポリ(1,2−ジカルボキシエチル)ホスフィン酸、及びビス−ポリ(2−カルボキシエチル)(1,2−ジカルボキシエチル)ホスフィン酸が特に好ましく使用される。
【0023】上記のいずれにおいても、各重合体及び共重合体は塩を形成していてもよい。上記の重合体又は共重合体の塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられ、好ましくはカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。
【0024】本発明のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーにおいて、(B)の配合量は、(A)100重量部に対して、上限が好ましくは50重量部、より好ましくは25重量部であり、下限が好ましくは1重量部、より好ましくは5重量部である。上記上限を超えると、配合量に見合うだけの水性スラリーの安定性向上が得られず、経済的にメリットが得られないことがある。上記下限未満では、本発明の効果が得られないことがある。
【0025】本発明の(C)界面活性剤は、ハロゲン化ヒダントイン化合物の湿潤性を向上し、さらに水性溶媒中での分散性を向上させるために使用するものである。アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸塩類、アルキルリン酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、アルキルスルホコハク酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩類、アルキルフェニルエーテル硫酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩類、アルキルベンゼンスルフォン酸塩類、アルキルナフタレンスルフォン酸塩類、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物類、高級アルコール硫酸塩類、高級アルコールリン酸塩類等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、及びグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。好ましくはアルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、アルキルスルホコハク酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、アルキルリン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩類より成る群から選ばれる1種以上の界面活性剤が使用される。
【0026】ここで、アルキル硫酸塩類としては、アルキル基の炭素数が好ましくは8〜20のアルキル硫酸塩類、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム;アルキルスルホン酸塩類としては、アルキル基の炭素数が好ましくは5〜30のアルキルスルホン酸塩類、例えば、α‐オレフィンスルホン酸塩の「リポランLJ−441」(商標、ライオン株式会社製);アルキルスルホコハク酸塩類としては、アルキル基の炭素数が好ましくは6〜12のアルキルスルホコハク酸塩類、例えば、オクチルスルホコハク酸ナトリウム;ジアルキルスルホコハク酸塩類としては、アルキル基の炭素数が好ましくは6〜12のジアルキルスルホコハク酸塩類、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類としては、アルキル基の炭素数が好ましくは8〜20であって、かつエチレンオキサイドが好ましくは3〜30モル付加したポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、例えば、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド3モル付加)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド15モル付加)ステアリルエーテル硫酸ナトリウム;アルキルリン酸塩類としては、アルキル基の炭素数が好ましくは8〜20のアルキル硫酸塩類、例えば、オクチルリン酸ナトリウム、ジオクチルリン酸ナトリウム;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩類としては、アルキル基の炭素数が好ましくは8〜20であって、かつエチレンオキサイドが好ましくは3〜30モル付加したポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩類、例えば、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド5モル付加)ラウリルリン酸エステル、ジポリオキシエチレン(エチレンオキサイド5モル付加)ラウリルリン酸エステルである。
【0027】上記の各物質を構成する塩類は、好ましくはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等より成る群から選ばれる1種以上からなるものである。本発明においては、上記の界面活性剤を2種以上混合して用いても差し支えない。
【0028】本発明の(C)の配合量は、(A)100重量部に対して、上限が好ましくは5重量部、より好ましくは3重量部、下限が好ましくは0.01重量部、より好ましくは0.1重量部である。上記下限未満では安定な水性スラリーが得られないことがあり、上記上限を超えては配合量に見合うだけの水性スラリーの安定性向上が得られないことがある。
【0029】本発明の(D)は、多糖類高分子、多価アルコール系高分子、及びスメクタイト系無機物より成る群から選ばれる。これら物質は、本発明の水性スラリー中で増粘剤として作用する。
【0030】多糖類高分子としては、グルコース、フコース、マンノース、ラムノース、グルクロン酸及びその他の単糖類の1種以上を構成単位としている、直鎖及び側鎖を持つ天然多糖類高分子並びに天然多糖類高分子を加工した半合成多糖類高分子が挙げられる。例えば、天然多糖類高分子としては、キサンタンガム、ラムザンガム、ウェランガム、プルラン、ローカストビンガム、グァーガム、カラギーナン、アラビアゴム、デキストラン、ゲランガム、並びにこれら以外の微生物産生多糖類、例えば、アルカラン及びアルカガム(いずれも商標、伯東株式会社製)が挙げられる。半合成多糖類高分子としては、天然セルロースにアルキル基あるいはカルボキシメチル基を導入して得られたメチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース;天然セルロースにアルキレンオキサイドを付加して得られたヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;及び天然多糖類高分子にアルキレンオキサイドを付加あるいはカルボキシメチル基を導入して得られたヒドロキシプロピルグァーガム、カルボキシメチルグァーガム等が挙げられる。これらのうち、好ましくは側鎖を持つ天然多糖類高分子、とりわけキサンタンガム、ラムザンガム、ウェランガム、及びメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース並びにヒドロキシプロピルメチルセルロースより成る群から選ばれる1種以上が使用される。
【0031】多価アルコール系高分子として、例えば、合成ポリアルコール系高分子である水溶性の部分ケン化あるいは完全ケン化ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0032】スメクタイト系無機物は、水中でハロゲン化ヒダントイン化合物により酸化の影響を受け難い無機系増粘剤であり、多糖類高分子及び/又は多価アルコール系高分子と併用して使用されることがある。スメクタイト系無機物は膨潤する格子構造を持つ粘土鉱物であり、水中では高度に水和し、高粘度のコロイド状分散液を与え、シュードプラスチック性やチクソトロピー性を付与する。
【0033】スメクタイト系無機物としては、例えば、ベントナイト、酸性白土及びこれらの構成単位であるモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、さらにヘクトライトなどが挙げられる。また、これらの精製品、合成品、さらには有機物、例えば陽イオン性界面活性剤やアミンで表面を化学修飾し親水性を調整した変性品等のスメクタイト系無機物であってよい。入手のしやすさ、コストパフォーマンスから、ベントナイト、酸性白土及びこれらの構成単位であるモンモリロナイト、ヘクトライトが好適であり、ナトリウムイオンの多いナトリウムベントナイト、活性化ベントナイト(カルシウムベントナイトのカルシウムイオンをナトリウムイオンで置換したもの)、ナトリウムモンモリロナイトがより好適である。カルシウムイオンが多く含まれるベントナイト(カルシウムベントナイト)では、水中で膨潤するがコロイド状に分散しないため好ましくない。
【0034】本発明の(D)の配合量は、(A)100重量部に対して、上限が好ましくは5重量部、より好ましくは3重量部、下限が好ましくは0.01重量部、より好ましくは0.1重量部である。上記下限未満では安定な水性スラリーが得られないことがあり、上記上限を超えては配合量に見合うだけの水性スラリーの安定性向上が得られないことがある。
【0035】本発明の水性スラリーの調製方法に特に制限はなく、従来から公知の方法を使用することができる。例えば、予め(B)重合体及び/又は共重合体並びに(C)界面活性剤を、水及び所望により水溶性有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ジエチレングリコール、ブチルセルソルブ等のアルコール類、ジオキサン、又はプロピレンカーボネート等に加え、室温下、プロペラ翼付き攪拌機で攪拌しながら溶解し水溶液を調製する。次いで該水溶液を300〜500rpmで攪拌しつつ、(A)ハロゲン化ヒダントイン化合物の粉体を加えて約1時間攪拌する。さらに(D)増粘剤の水分散液を加えて均一になるまで撹拌し、目的とする水性スラリーを調製する。その間、粒度分布計、例えばレーザー回析式粒度分布計〔例えば、堀場製作所(株)製、LA−500型〕にてハロゲン化ヒダントイン化合物の分散粒子径を測定し、粒子の会合が解かれ、所定の粒径に分散されていることを確認することが好ましい。
【0036】また、任意成分である有機ハロゲン化物系殺菌剤を配合使用するに際して、限定されるものではないが、予め、有機ハロゲン化物系殺菌剤を水溶性有機溶剤、例えばジエチレングリコール、ブチルセルソルブ等のアルコール類、ジオキサン、又はプロピレンカーボネート等に溶解し、これをハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーに配合することができる。
【0037】ハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーは、微生物コントロールの目的に適用することができ、例えば工程中で微生物障害が発生している箇所より上流部、あるいは、微生物障害が発生している箇所の前工程等へ添加される。このときの該水性スラリーの添加量は、対象とする工程水により異なり、一概に決められないが、対象とする工程水中の遊離ハロゲン濃度が好ましくは0.1〜1.0mg/Lになるように添加する。
【0038】このように、ハロゲン化ヒダントイン化合物を水性スラリーにすることにより、溶液よりも遥かに高濃度にすることができ、殺微生物剤として工程水に注入する時には、注入ポンプや貯蔵タンクの小型化ができる。またハロゲン化ヒダントイン化合物を溶液として注入すると、水中に存在する易酸化性の化合物に消費され易いが、微粉体であると徐々に溶解するために効率良く水中の微生物に作用し殺菌効果の向上が達成できる。この他、ハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーは安定に保存、取扱いが出来るので使用する工程の近くで調製する必要がなく、また水性スラリーとして貯蔵出来るなどの利益が得られる。
【0039】以下、実施例により、本発明の実施の形態を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0040】
【実施例】実施例及び比較例において使用した各物質は以下の通りである。
【0041】(A)ハロゲン化ヒダントイン化合物A−1:ブロモクロロジメチルヒダントイン(試薬:関東化学株式会社製)
A−2:ジクロロジメチルヒダントイン(試薬:関東化学株式会社製)
A−3:ジブロモジメチルヒダントイン(試薬:関東化学株式会社製)
【0042】(B)モノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体又は共重合体B−1:ホスフィノカルボン酸共重合体(固形分50重量%)[「ベルクレン400」(商標)、FMC株式会社製]B−2:ビス(ポリ−2−カルボキシエチル)ホスフィン酸(固形分40重量%)[「ベルスパース164」(商標)、FMC株式会社製]B−3:末端にスルホン酸基を有するアクリル酸系重合体(固形分20重量%)攪拌装置、還流冷却器、温度計及び窒素ガス通気孔を付した500mLの4ツ口フラスコに、水50gを入れ、窒素ガスの通気下で100℃に加熱した後、過硫酸ナトリウム3gを水15gに溶解した水溶液、アクリル酸20g、35重量%亜硫酸ナトリウム9gを夫々別々の口から同時に2時間かけて添加した。添加終了後、さらに100℃で2時間加熱して反応を完結させ、次いで冷却した後、末端にスルホン酸基を有するアクリル酸系重合体の水溶液を得た。重合体の活性分含量は20重量%、重量平均分子量は2,500であった。
B−4:末端にホスホン酸基を有するアクリル酸系重合体(固形分20重量%)35重量%亜硫酸ナトリウム9gに代えて、亜リン酸2gを使用したことを除き、上記B−3と同様にして実施し、末端にホスホン酸基を有するアクリル酸系重合体水溶液を得た。重合体の活性分含量は20重量%、重量平均分子量は2,500であった。
【0043】(C)界面活性剤C−1:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(アデカコールEC8600(商標)、旭電化株式会社製)
C−2:ポリオキシエチレン(3モル付加)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(エマール20C(商標)、花王株式会社製)
C−3:オレフィン(炭素数14)硫酸ナトリウム(リポランLJ−441(商標)、ライオン株式会社製)
C−4:ポリオキシエチレン(3モル付加)アルキル(炭素数12)エーテルリン酸カリウム(エレクトロストリッパーF(商標)、花王株式会社製)
C−5:ラウリル硫酸ナトリウム(アデカホープLS−35(商標)、花王株式会社製)
C−6:ポリオキシエチレン(10モル付加)オクチルフェニルエーテル(和光純薬株式会社製)
C−7:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオペレックスNo.6Fパウダー(商標)、花王株式会社製)
【0044】(D)増粘剤D−1:キサンタンガム(KELZAN ASX(商標)、三晶株式会社製)
D−2:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ90SH−10000(商標)、三晶株式会社製)
D−3:スメクタイト[「ビーガム・グラニュー」(商品名)、三晶(株)社製]【0045】(E)比較物質E−1:末端にイソプロピル基を有するアクリル酸系重合体攪拌装置、還流冷却器、温度計及び窒素ガス通気孔を付した500mLの4ツ口フラスコに、水50gを入れ、窒素ガスの通気下で100℃に加熱した後、過硫酸ナトリウム3gを水15gに溶解した水溶液、アクリル酸20g、イソプロピルアルコール4gを夫々別々の口から同時に2時間かけて添加した。添加終了後、さらに100℃で2時間加熱してアクリル酸系重合体を得た。アクリル酸系重合体の活性分含量は20重量%、重量平均分子量は2,000であった。E−2:ポリマレイン酸(分子量800)の50重量%水溶液【0046】
【実施例1】表1に示す各成分含有量(重量%)を有するブロモクロロジメチルヒダントインの水スラリーを製造した。
【0047】1,000mLのビーカーに水467gを取り、直径10cmのプロペラ翼付き攪拌機スリーワンモータ(商標、新東科学株式会社製)を使用して400rpmで攪拌しながら、ホスフィノカルボン酸共重合体(B−1)30g、及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(C−1)1.0gを添加した。これが完全に溶解及び分散した後、攪拌下、ブロモクロロジメチルヒダントイン(A−1)300gを少量ずつ添加し、約1時間攪拌した。次いで、キサンタンガム(D−1)2.0gを水200gに溶解・分散させた溶液をゆっくり添加して更に1時間撹拌した。その間にレーザー回析式粒度分布計LA−500型(商標、堀場製作所株式会社製)にて、ブロモクロロジメチルヒダントインの分散粒子径を測定し、メジアン粒子径が約10μmになるまで攪拌を継続してブロモクロロジメチルヒダントインの水スラリーを得た。
【0048】
【実施例2〜19】表1に示す各成分含有量(重量%)となるように、各成分の種類及び配合量を変えた以外は、実施例1と同様に実施した。
【0049】
【比較例1】表1に示す各成分含有量(重量%)を有するブロモクロロジメチルヒダントインの水スラリーを製造した。
【0050】1,000mLのビーカーに水670gを取り、直径10cmのプロペラ翼付き攪拌機スリーワンモータ(商標、新東科学株式会社製)を使用して400rpmで攪拌しながら、ホスフィノカルボン酸共重合物(B−1)30gを添加した。これが完全に溶解した後、攪拌下、ブロモクロロジメチルヒダントイン(A−1)300gを少量ずつ添加し、約1時間攪拌して、ブロモクロロジメチルヒダントインの水スラリーを得た。
【0051】
【比較例2〜25】表1に示す各成分含有量(重量%)となるように、各成分の種類及び配合量を変えた以外は、比較例1又は実施例1と同様に実施した。
【0052】
【参考例1〜2】表1に示す各成分含有量(重量%)となるように、各成分の種類及び配合量を変えた以外は、実施例1と同様に実施した。
【0053】
【表1】


【0054】保存安定性試験上記の実施例及び比較例で製造した水スラリーについて、製造直後及び2ヶ月静置後の粘度及び保存安定性(分離度)を調べた。
【0055】製造直後の水スラリーを直径4cm×高さ12cmの目盛り付き円筒状試料瓶に入れ、35℃の恒温槽に2ヶ月間静置した。
【0056】粘度は、製造直後及び上記静置後の各水スラリーを回転粘度計(B型回転粘度計;30rpmで回転開始より30秒後に測定)により測定したものである。
【0057】保存安定性(分離度:体積%)は、2ヶ月後の水スラリーに生じた上澄み部分の体積を測定し、水スラリーの分離度(体積%)を次式にて算出し、評価した。
【0058】
【数1】分離度(体積%)=[上澄み部分の体積(mL)]/[水スラリーの体積(mL)]×100【0059】評価基準は下記の通りである。
分離度が10体積%未満:○分離度が10体積%以上:×【0060】また、水スラリー中のハロゲン化ヒダントイン化合物の安定性は、製造直後及び上記静置後の水スラリーからハロゲン化ヒダントイン化合物濃度が0.01重量%の水溶液を調製し、JIS K0101−1991に準じて残留全塩素濃度(残留塩素濃度及び残留臭素濃度の合計)をジエチル−p−フェニレンジアンモニウム(DPD)比色法にて定量した。上記保存安定性試験の結果を表2に示した。
【0061】
【表2】


*1:分離、沈降するために粘度測定できず。
*2:1カ月後、分離した沈降物が硬くなり粘度測定できず。
*3:1カ月後の残留全塩素濃度(mg/L)測定値を示す。
*4:1カ月後の粘度を示す。2カ月後、分離した沈降物が硬くなり粘度測定できず。
【0062】実施例1〜19のヒダントイン化合物の水スラリーは、35℃にて2ケ月間安定に保管でき、粘度変化が少なく、かつ有効塩素濃度も維持されることが分った。
【0063】殺菌試験上記の各実施例で製造した水スラリー及びブロモクロロジメチルヒダントイン(A−1)について下記の殺菌試験を実施した。
【0064】殺菌試験新聞古紙原料を用いた中性中質紙抄造の抄紙工程から、抄紙機のワイヤー下白水(pH=7.2、温度:40℃、生菌数:8×108個/mL)を採取した。300mLの三角フラスコに該ワイヤー下白水を100mL採取した。次いで、スラリー中のハロゲン化ヒダントイン化合物が1.5mgとなるように、製造直後の水性スラリー及び25℃で1ヶ月間静置した後の水性スラリーを三角フラスコに加え、該三角フラスコを振とう機にて30分間振とうし、接触させた。これをTGY培地〔トリプトン、イーストエキストラクト、グルコースをイオン交換水に溶解し、pHを7に調整した培地〕に接種し、32℃で3日間培養し、白水1mL当りの生菌数を測定した。ここに用いた培養温度の32℃は、微生物の繁殖が最も盛んに行なわれるとされている温度である。
【0065】上記殺菌試験の結果を表3に示した。
【表3】

【0066】実施例1〜19のハロゲン化ヒダントイン化合物の水スラリーは、2ケ月静置後にもハロゲン化ヒダントイン化合物の沈降が抑制され、スラリー状態を維持し、更に殺菌効果も維持されていた。
【0067】
【発明の効果】本発明は、長期間に亘り安定かつ高濃度を維持し得る、ハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーを提供する。本発明により、大型の設備を使用することなく高濃度の水性スラリーを得ることができ、かつ殺微生物剤として工程水に注入する時には、注入ポンプ及び貯蔵タンクの小型化ができる。また、従来のようにハロゲン化ヒダントイン化合物を溶液として注入すると、水中に存在する易酸化性の化合物にハロゲン化ヒダントイン化合物が消費され易く、良好な殺菌効果が維持できなかったが、本発明では、ハロゲン化ヒダントイン化合物が微粉体で存在することから、これが徐々に溶解して効率良く水中の微生物に作用し殺菌効果の向上が達成できる。この他、ハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーは安定に保存かつ取扱いが可能ゆえ、使用する工程の近くで調製する必要がなく、また水性スラリーとして貯蔵できるなど大きな利益が得られる。
【出願人】 【識別番号】000234166
【氏名又は名称】伯東株式会社
【出願日】 平成13年6月1日(2001.6.1)
【代理人】 【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
【公開番号】 特開2002−363009(P2002−363009A)
【公開日】 平成14年12月18日(2002.12.18)
【出願番号】 特願2001−167136(P2001−167136)