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【発明の名称】 写真廃液処理用の改良されたコンポジット材料
【発明者】 【氏名】オリビエール ジャン ポンスレ

【氏名】ダニール マリー ウェットリン

【要約】 【課題】設定量の活性有機化合物を排水中に徐々に放出させることができ、また包装が容易な材料を提供する。

【解決手段】本発明は、活性有機化合物が分散された、改良された構造を有するコンポジット材料及び排液、特に写真排液の処理方法に関する。本発明は、少なくとも2つの別の繊維が、少なくとも2つの共有結合により相互連結されて不可逆化学ゲルを形成している、繊維の形態のアルミノケイ酸塩重合体マトリックス及びマトリックス中に分散された活性有機化合物を含み、構造化ゲルの形態をとるコンポジット材料に関する。マトリックスの架橋の程度の選択によって、親水性活性有機化合物の拡散を制御することが可能になる。本発明は、更に、このようなコンポジット材料の製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも2つの別の繊維が、少なくとも2つの共有結合により相互連結されて不可逆化学ゲルを形成している、繊維から作られたイモゴライトゲルの形態のアルミノケイ酸塩重合体マトリックス及びそのマトリックス中に分散された活性有機化合物を含んでなる、構造化ゲルの形態のコンポジット材料。
【請求項2】 活性有機化合物及び表面上に活性ヒドロキシル基を含む繊維から作られたイモゴライトの形態のアルミノケイ酸塩重合体の水溶液の存在下に、少なくとも1種の構造化剤の、塩基性媒体中での加水分解を含んでなり、その構造化剤が前記活性ヒドロキシル基と反応して、少なくとも2つの別のイモゴライト繊維の間に、少なくとも2つの共有結合を形成させて不可逆化学ゲルを生成せしめる少なくとも2つの離脱基を含む請求項1に記載の構造化ゲルの形態でのコンポジット材料の製造方法。
【請求項3】 請求項1に記載のコンポジット材料と媒体を接触状態にすることを含んでなる活性有機化合物による媒体の処理方法。
【請求項4】 活性有機化合物に対して浸透性である支持体からなり、中に請求項1に記載のコンポジット材料を配置せしめてなる、制御された量の活性有機化合物を供給する装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、活性有機化合物をその中に分散せしめて有する、改良された構造を有するコンポジット材料及び排液処理方法、特に写真排液処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多数の製造及び処理工程を水相で実施することにより水性排液が発生している。これの一つの例は写真工業であり、そこでは露光されたハロゲン化銀写真フィルム及び印画紙が幾つかの水性処理浴を通過する。写真処理は、一般的に、数個の処理浴並びに1個又はそれ以上の洗浄及び(又は)安定化浴を含む。
【0003】これらの処理は、高い水の消費を伴う。新しいより厳しい環境法令のために、新しい基準は、廃水を前処理することなく下水道の中に直接廃棄することを禁止し、特に、写真処理用の水の消費量を減少させることを要求している。問題は、水の体積を減少させることによって、細菌汚染が助長されることである。水溶液中、特に、前浴、安定化浴及び洗浄浴中での微生物の増殖はよく知られており、消費水量が減少すると直ぐに悪くなる。微生物の増殖は、制御しないと、装置を詰まらせ、処理浴に悪影響を与え、そうして得られる写真画像の品質を悪くするスラッジの形成を引き起こす。例えば、従来の医学画像形成の分野に於いて、細菌は現像されたフィルム上に欠陥を生ずるので、できるだけ多く細菌増殖を減少させることが望ましい。このような欠陥は診断の誤ちを生ずるおそれがある。更に、細菌増殖は、処理タンクの壁上並びにローラ及びフィルム駆動スプロケット上に生体膜の形成を起こし、そのクリーニングのために機械を停止せざるを得なくなる。
【0004】処理溶液内の生物学的増殖を防止又は制限するために、細菌増殖制御剤が一般的に使用されている。より大きい安全性のために、理論的に必要とされるものを越えた量が使用されている。その結果、環境中に廃棄される廃水には、大量の細菌増殖制御剤が含有され、これは廃水を処理するために微生物の作用を使用する下水処理センターで問題を起こす。
【0005】ヨーロッパ特許出願公開第937393号(EP−A−937393)には、コンポジット材料並びに塩基性媒体中で、式RSiR1x(OR23-x (式中、RはSH又は−S(−CH2n −S−官能基(式中、nは0〜4である)を含むアルキル基であり、R1 及びR2 は、独立に、メチル又はエチルであり、xは0又は1である)のアルキルアルコキシシランを、活性有機化合物及び繊維表面に活性ヒドロキシル基を含む繊維形態の無機イモゴライトゲルの水溶液の存在下に加水分解することからなる、その製造方法が記載されている。
【0006】この方法によって得られるコンポジット材料は、洗浄水中に存在する銀を捕捉するための硫黄含有分子がその上にグラフト化されている繊維形態のイモゴライトゲルである、有機−無機重合体マトリックスを含む。このマトリックス中には、細菌増殖制御剤のような活性有機化合物が分散されている。このコンポジット材料は、中に活性有機化合物が捕獲されているゲルの形態をとっている。これを水性排液と接触させると、捕獲された活性有機化合物は、排液の中にゆっくり放出される。この材料に於いて、イモゴライト繊維は、化学的水素結合によって相互連結され、物理的ゲルを生ずる。しかしながら、この物理的ゲルは、そのマトリックス中に親水性活性有機化合物を保有するのに十分な高密度ではなく、それで、活性有機化合物が排液中に過度に速く拡散するおそれがある。次いで、排液中に拡散する活性有機化合物の量を制御することはもはや不可能である。更に、この物理的ゲルはチキソトロピー性であり、それを取り扱うときこれは比較的移動性であり、それ故続く商業化のために包装することが困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、設定量の活性有機化合物を、特にこの活性有機化合物が親水性であるとき、排液中に徐々に放出させることが可能な新規な材料を提供することを目的とする。本発明は、また、包装することが容易な材料を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも2つの別の繊維が、少なくとも2つの共有結合により相互連結されて不可逆化学ゲルを形成している、繊維から作られたイモゴライトゲルの形態のアルミノケイ酸塩重合体マトリックス及び、その中に分散された活性有機化合物を含んでなる、構造化ゲルの形態をとるコンポジット材料に関する。前記共有結合のために、本発明の材料は構造化ゲルの形態をとり、そうして活性有機化合物、特にマトリックス中に捕獲された親水性化合物を一層有効に保有し、それによってそれらのマトリックスからの拡散放出をより良く制御する。これはまた、一層コンパクトであり、市場取引のために一層容易に包装することができる。
【0009】更に、本発明は、このようなコンポジット材料の取得方法に関する。この方法は、活性有機化合物及び表面上に活性ヒドロキシル基を含む繊維から作られた無機イモゴライトゲルの水溶液の存在下に、少なくとも1種の構造化剤の、塩基性媒体中での加水分解を含んでなり、その構造化剤を、前記活性ヒドロキシル基と反応させて、少なくとも2つの別のイモゴライト繊維の間に、少なくとも2つの共有結合を形成させて不可逆化学ゲルを生成せしめる少なくとも2つの離脱基を含む。
【0010】用語「活性ヒドロキシル基」は、本明細書に於いて、水性媒体中で構造化剤と反応することができる基を意味する。
【0011】本発明は、また、前記活性有機化合物による媒体の処理方法及びその方法を実施するための装置に関する。この処理方法は、本発明のコンポジット材料を前記媒体と接触させることを含んでなる。本発明の方法は、写真浴の処理のために、特に、写真浴の中に設定量の細菌増殖制御剤を放出するために、特にその制御剤が親水性であるとき特に有効である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のコンポジット材料は、繊維の表面上に活性ヒドロキシル基を含む繊維形態のアルミノケイ酸塩重合体の任意の水溶液から得ることができる。
【0013】好ましい態様に従えば、本発明のコンポジット材料は、イモゴライトから得られる。イモゴライトは、それらの外側表面上に活性ヒドロキシル基を含む繊維の形態で産出するアルミノケイ酸塩重合体である。イモゴライトは天然に産出する。これは、J.Soil Sci.,1979年、第30(2)巻、第347−355頁に、Wadaによって最初に記載された。イモゴライトは異なった方法を使用して合成することができる。高純度のイモゴライトゲルを得る方法は、米国特許第5,888,711号に記載されている。
【0014】本発明に有用な構造化剤は、少なくとも2つの塩基性媒体中で加水分解性である離脱基を含み、化合物A又はA′の中から選択される。
【0015】ここで、Aは、式(CH3n M(R)4-n (式中、Mは元素周期表の第III族及び第IV族の遷移金属及び元素から選択された4価の原子であり、そしてRは水素、ハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、カルボキシル基又はアセトキシ基であり、そしてnは0,1又は2であり、異なった基Rは同一でも異なっていてもよい)を有する。
【0016】A′は、式(CH3n M′(R)3-n (式中、M′は、元素周期表の第III族及び第IV族の遷移金属及び元素の中から選択された3価の原子であり、Rは前記定義された通りであり、そしてnは0又は1であり、異なった基Rは同一でも異なっていてもよい)を有する。
【0017】好ましくは、Mはケイ素、チタン又はジルコニウムであり、M′はアルミニウム又はホウ素である。上で定義し、本発明の範囲内で使用する構造化剤は、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、四酢酸ケイ素、四塩化ケイ素、塩化アルミニウム、三塩化ホウ素である。
【0018】ホウ素又はアルミニウムのアルコキシド又はクロロアルコキシドを使用することもできる。
【0019】テトラエトキシシランのような水中に僅かに可溶性である化合物は、予めエタノールと混合させることができる。
【0020】本発明の方法に従えば、構造化剤は活性有機化合物及び繊維の表面上にヒドロキシル基を含み、この基が水溶液中で活性である、繊維形態の無機アルミノケイ酸塩重合体の水溶液の存在下に、加水分解される。この加水分解は、7より高いpHで行われる。このようなpHは、反応媒体に塩基、例えばNH4 OH,NaOH,KOHを添加することによって得られる。反応媒体に塩基を添加することによって、アルミノケイ酸塩をゲル化させることができる。
【0021】この方法により得ることができる材料は構造化ゲルの形態をとる。このゲルの赤外スペクトルは、共有O−M又はO−M′結合(但し、M及びM′は前記定義の通りである)が形成されたことを示している。
【0022】更に、得られたゲルは不可逆化学ゲルである。得られた材料に塩酸を添加して、pHをイモゴライトのゲル化限界値(threshold)よりも下げたとき、本発明に従うコンポジット材料は、そのゲル状態を保有し、水の粘度に近いイモゴライトの初期粘度を回復しない。
【0023】この構造化ゲルは、イモゴライト繊維の間で不可逆的に形成される共有結合による、イモゴライト繊維の架橋の結果として得られると推定することができる。例えば構造化剤Aがテトラメトキシシランであるときには、−OCH3 離脱基は、アルミノケイ酸塩のヒドロキシル基と反応して、安定なO−Si共有結合を形成し、少なくとも2つの別のイモゴライト繊維の間の、−O−Si−O−鎖からなる多数の橋を生成し、それによって高密度構造化網状組織を形成する。3つ又は4つの加水分解性離脱基を有する構造化剤は、共有結合を三次元で形成することができるので、最高の潜在的構造化力を有する。同じ論考を、例えば−O−Al−O−又は−O−B−O−ブリッジを生じる構造化剤A′に適用することができる。この加水分解反応は、その間に活性化有機化合物が構造化網状組織のマトリックス内に捕獲されるアルミノケイ酸塩のゲル化によって達成される。それによって、不可逆化学ゲルが得られ、これは本発明のコンポジット材料を構成する。本発明のコンポジット材料を水性排液と接触状態にしたとき、捕獲された活性有機化合物は、それがマトリックス又は構造化網状組織によってどの程度強く保有されているかに依存する速度で放出されるであろう。
【0024】特に高密度の構造化コンポジット材料を得るために、テトラメトキシシランが好ましく選択される。それは、テトラメトキシシランの4つのメトキシ離脱基が加水分解して、1つのSi原子から4つの共有O−Si結合を形成し、少なくとも2つのイモゴライト繊維の間の−O−Si−O−ブリッジを生じるからである。
【0025】網状組織の密度は、選択された構造化剤の官能基により適合させることができるが、使用する構造化剤の量にも依存する。前記定義の構造化剤の濃度は、好ましくはイモゴライトの〔Al+SI〕含有量の10重量%より低い。このパーセントは、活性有機化合物の拡散をなお可能にしながら、十分にコンパクトであるゲルをもたらす。
【0026】本発明で使用される活性有機化合物は、処理する排液中に可溶性であり、マトリックスとの共有結合を形成せずに、そうでなければそれは材料内に捕獲されたままである有機化合物である。
【0027】一つの態様に従えば、前記活性有機化合物は親水性細菌増殖制御剤である。この場合に、本発明のコンポジット材料は、大量の細菌増殖制御剤の環境中への廃棄を回避しながら、排液中の微生物の増殖を減少させるか又は停止させる。明らかに、親水性細菌増殖制御剤は、水性排液中の過度に速い拡散の問題に対して感受性が低い疎水性制御剤と共に使用することができる。
【0028】この細菌増殖制御剤は、殺虫剤、アルジサイド(algicide)、防かび剤又は殺菌剤であってよい。本発明の範囲内で、親水性細菌増殖制御剤は、1,000ppmより大きい水溶解度を有する任意の制御剤として定義される。反対に、疎水性制御剤は、1,000ppmに等しいか、それ未満の水溶解度を有する。
【0029】多数の親水性又は疎水性細菌増殖制御剤が先行技術で公知である。一般的知識から、当業者であれば、本発明のコンポジット材料を得るための親水性細菌増殖制御剤及び疎水性細菌増殖制御剤を容易に選択することができる。
【0030】本発明に有用な親水性及び、適当なときには、疎水性細菌増殖制御剤は、例えばイソチアゾロンのようなチアゾール誘導体、ベンゾトリアゾール及びベンズイミダゾールのようなアゾール誘導体、スルファニルアミドのようなスルファミド型試薬、10−10′−オキシビス−フェノキシアルシンのような有機ヒ化物、安息香酸、ソルビン酸、ベンザルコニウム第四級アンモニウム塩、ニトロアルコール、式R5 (R6 )N+ (R7 )R8- (式中、R5 ,R6 ,R7 及びR8は、独立に、脂肪族、複素環式、炭素環又はカルボキシル基であり、そしてX-は一価のアニオンである)の第四級アンモニウム塩並びにアルキル−アンホアセテート(alkyl−amphoacetates)の中から選択することができる。これらの誘導体は、誘導体を親水性又は疎水性にするための置換基を含んでいてよい。
【0031】親水性細菌増殖制御剤を与える置換基は、例えば、好ましくは1〜3個の炭素原子、ハロゲン又はヒドロキシル基を含有する低級アルキル基である。
【0032】疎水性細菌増殖制御剤を与える置換基は、例えば炭素数が3より多いアルキル基、炭素数4以上の分枝アルキル基、炭素数が3より多いアルキル基を有する直鎖又は分枝鎖のフルオロアルキル基及び炭素数が3より多い直鎖又は分枝鎖のアルキル基を有するペルフルオロアルキル基である。
【0033】好ましい態様に従えば、細菌増殖制御剤の混合物には、少なくとも1種の親水性イソチアゾロン型の制御剤及び少なくとも1種の疎水性イソチアゾロン型の制御剤が含まれる。
【0034】イソチアゾロンは、式:【0035】
【化1】

【0036】(式中、Yは水素原子、置換若しくは非置換のアルキル若しくはシクロアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基又は置換若しくは非置換のアルキニル基であり、R1 及びR2 は、独立に、水素原子、ハロゲン原子若しくはアルキル基であるか又はR1 及びR2 は一緒にベンゼン部分を形成する)によって表すことができる。
【0037】好ましくは、細菌増殖制御剤が親水性制御剤であるときには、Yはメチル又はエチルであり、R1 及びR2 はクロリド、メチル又はエチルである。細菌増殖制御剤が疎水性制御剤であるとき、Yは例えばオクチルであり、R1 及びR2 は炭素数が3より多いアルキル基である。
【0038】例えば、親水性イソチアゾロンは1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンであってよい。
【0039】例えば、疎水性イソチアゾロンは、2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−N−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンであってよい。
【0040】マトリックス中に分散させることができる細菌増殖制御剤の量は、制御剤の混合物、処理する溶液、微生物による汚染の可能性のある程度及び微生物の増殖をどのくらいの長さ制限するかに従って広く変動する。無機マトリックスの、細菌増殖制御剤の混合物に対するモル比は、10:1と1:200との間であってよい。疎水性細菌増殖制御剤は、細菌増殖制御剤の全量に対して計算して少なくとも50重量%で存在してよい。
【0041】上記から分かるように、本発明に従ったコンポジット材料は、使用する構造化剤の選択及び量に従って密度が変化する網状組織を形成する。即ち、使用する活性有機化合物が、非常に水溶性である細菌増殖制御剤であるときには、テトラメトキシシランが好ましく選択され、これによって、排液中の細菌増殖制御剤の迅速な拡散を防止する高度に構造化した無機マトリックスが得られる。細菌増殖制御剤の拡散をなお可能にする十分にコンパクトなゲルを生じる、前記定義されたような構造化剤の有効量は、制御剤自体にも依存する。即ち、制御剤が疎水性であり、そうして無機マトリックス中に残留する傾向があるときには、イモゴライトの[Al+Si]含有量に対して、1重量%に等しい量の前記定義されたような構造化剤が、コンパクトなゲルを得るために十分である。制御剤が親水性であり、そうして、よい大きいマトリックスから外に拡散する傾向を有するときには、コンポジット材料のゲル構造と細菌増殖制御剤の拡散の動力学との間の良好な妥協を達成するために、イモゴライトの[Al+Si]含有量に対して、5重量%に等しい量の前記定義されたような構造化剤を使用することができる。その包装性を改良するためにゲルのチキソトロピー特性を低下させることのみを望むときには、非常に少量(イモゴライトの[Al+Si]含有量に対して1重量%未満)の構造化剤を、細菌増殖制御剤の拡散特性を変えることなく使用できる。
【0042】そうして、本発明に従ったコンポジット材料の配合によって、排液中に非常に溶解性である種の拡散に完全な制御が与えられる。その結果、それらが過度に速く拡散するためにこれまで使用できなかった、非常に水溶性である細菌増殖制御剤を使用することが可能である。そうして、本発明のコンポジット材料中で使用できる細菌増殖制御剤の範囲は広げられ、異なった環境規制を満たすようにコンポジット材料を適合させることが一層容易になる。
【0043】本発明の排液処理方法を実施するために、本発明のコンポジット材料と処理する排液との間の接触を最適化することが必要である。
【0044】本発明のコンポジット材料は、構造化ゲルの形態をとり、コンパクトであり、そうして商業化のために容易に包装することができる。このコンパクトなゲルは、排液に対して透過性である容器、例えば透析袋、不織材料等の中に容易に入れることができる。この処理方法を実施することを可能にする装置は、使用者の要求に従って適合させることができる。例えば、(劣った水品質及び(又は)非常に汚れた処理装置の場合に)治療効果が特に求められるときには、非常に水溶性の細菌増殖制御剤を使用しなくてはならない。この状況で、本発明に従った非常にコンパクトなコンポジット材料を処理装置の中に入れ、そうして親水性細菌増殖制御剤の完全に制御された量を付与するようにする。
【0045】本発明の方法は、それらの間に洗浄及び(又は)安定化浴が挿入され、これらの浴が本発明の処理方法によって処理される一連の処理浴に、写真材料を通過させることからなる、写真処理方法で有利に使用することができる。
【0046】本発明の活性有機化合物が細菌増殖制御剤であるときには、このコンポジット材料を、水の細菌学的品質を制御しなくてはならない任意の応用で使用することができる。例えば、写真分野で、本発明のコンポジット材料を、洗浄浴の処理のために有利に使用することができる。
【0047】図1は、写真浴の処理に適用される本発明の処理方法の態様を示す。図1に於いて、写真処理機の処理タンクであってよいタンク10には、配管12を通して水が供給される。このタンク10には、タンク10内に保持される溶液の体積を一定に保つようにできるオーバーフロー14が取り付けられている。このタンクには、また、配管18によって、本発明のコンポジット材料を含む処理装置20に連結された出口16が取り付けられており、コンポジット材料内で、活性有機材料は親水性細菌増殖制御剤と疎水性細菌増殖制御剤との混合物である。処理装置20は、処理済みの溶液をタンク10に送り戻すポンプ24に連結されている。処理装置20は、数個の処理ユニット26からなっている。図1の具体的態様に於いて、処理装置20は3個の処理ユニット26からなっている。
【0048】具体的態様に従って、少なくとも2個のユニットには、本発明に従ったコンポジット材料が含まれている。第三のユニットには、異なった特性の材料、例えば溶液から除去すべき化合物を捕獲するように設計された材料が含まれていてよい。例えば、第三の単位には、処理すべき溶液中に含有されている銀を捕獲することができる材料が含まれていてよい。
【0049】具体的態様に従って、それぞれのユニットは他のユニットとは独立に置き換えることができる。
【0050】細菌のすみかとなりやすい処理すべき溶液は、本発明のコンポジット材料を含有する少なくとも1個の処理ユニットを含む処理装置20を通過する。この材料を通過することによって、溶液は細菌増殖制御剤を取り込む。次いで、細菌増殖制御剤を含有するこの溶液は、処理タンク10に送られる。それによって、溶液中の細菌増殖は制限される。コンポジット材料は、これらの親水性細菌増殖制御剤の拡散への完全な制御を達成するような方式で、細菌増殖制御剤の親水性に従って配合される。
【0051】
【実施例】下記の実施例は、本発明を詳細に例示するものである。
【0052】例1:イモゴライトの水溶液の製造この例のアルミノケイ酸塩は、特許出願WO第96/13459号からの教示を使用して製造した。1,000mLの脱イオン水に、16.7ミリモルのテトラエチルオルトシリケートSi(OC254 を添加した。この反応混合物を環境温度で1時間攪拌し、次いでこの溶液を、1,000mLの純水中に溶解させた31.2ミリモルのAlCl3 ・6H2 Oに添加した。この混合物を20分間攪拌し、1M NaOHによってpHを4.5に調節した。この溶液は濁ってきた。溶液が再び透明になったとき、1M NaOHをpHが6.8に達するまで添加した。白色のゲルが得られ、これを2,000rpm で20分間遠心分離した。このゲルを集め、5mLの1M HCl及び2M酢酸の混合物中に再溶解させた。この体積を水で2Lにした。この溶液には、30ミリモルのAl,16.6ミリモルのSi,5ミリモルのHCl及び10ミリモルの酢酸が含有されていた。この溶液を5℃で貯蔵した。
【0053】次いで、この溶液を脱イオン水で希釈して、10ミリモル/LのAlの濃度を得た。この希釈した溶液を96℃で5日間加熱し、次いで10,000ダルトンの分離力を有する限界濾過膜(アミコン社(AMICON)によって製造された膜)を通して濾過した。2g/Lの[Al+Si]含有量で、1.8のAl:Si比でAl及びSiを含有する透明な溶液が得られた。
【0054】例2(本発明)構造化剤としてテトラメトキシシランでのコンポジット材料の製造、活性有機化合物は細菌増殖制御剤である。
【0055】a)ローム・アンド・ハース社(Rohm & Haas)によって供給される疎水性細菌増殖制御剤であるカトン(Kathon)287T(登録商標)を含有するゲルを、下記の操作手順に従って製造した。
【0056】
【化2】

【0057】40gの純粋のカトン287T(登録商標)を、強く攪拌しながら80mLのメタノール中に50℃で溶解させた。完全に溶解した後、20mLのテトラメトキシシランを攪拌しながら添加した。即ち、イモゴライトの[Al+Si]含有量に対して10重量%。この混合物に、例1の操作手順を使用して製造したイモゴライトの2g/L溶液100mLを添加した。この添加は、「ウルトラチュラックス(Ultraturax)」乳化機−ホモジナイザーを使用して急速に行って、均質な分散液を得た。次いで、100mLのイモゴライトを機械的に攪拌しながら添加した。次いで、この混合物を攪拌しながら冷却させた。温度が25℃に達したとき、アンモニアNH4 OH(8.4mL)を添加して、その中に疎水性カトン287T(登録商標)が分散されている水性ゲルの形態でのイモゴライトを含有するコンパクトな架橋したゲルを得た。
【0058】b)ローム・アンド・ハース社によって供給される、水中に完全に溶解する親水性細菌増殖制御剤の混合物であるカトンLX(登録商標)を含有するゲルを、下記の操作手順に従って製造した。
【0059】カトンLX(登録商標):13.7重量%の式:【0060】
【化3】

【0061】のイソチアゾロン(但し、クロロイソチアゾロン:イソチアゾロン比は3:1である)を含有する水溶液。
【0062】2mLのカトンLX(登録商標)を、1mLのメタノールと磁気攪拌しながら混合し、次いで10mLのテトラメトキシシランを添加した(即ち、イモゴライトの[Al+Si]含有量に対して10重量%)。この混合物を、イモゴライトの2g/L溶液100mLに添加した。カトンLX(登録商標)及びテトラメトキシシランの混合物のイモゴライトへの添加は、環境温度でゆっくり機械的に攪拌しながら行った。次いでアンモニア(0.4mL)を添加した。ゲル塊が現れたと直ぐに攪拌を停止した。数分後に、コンパクトな架橋したゲルが得られた。
【0063】(c)本発明のコンポジット材料を、機械的に非常にゆっくり攪拌しながら、その中にカトン287T(登録商標)(水溶解度5mg/L)が分散されている前記で製造したゲルa)及びその中にカトンLX(登録商標)が分散されている前記で製造したゲルb)を混合することによって得た。比率は、カトンLX(登録商標)を含有するゲル1/3対カトン287T(登録商標)を含有するゲル2/3であった。
【0064】イモゴライトが架橋していたこと及び本発明のコンポジット材料が不可逆化学ゲルからなっていたことを示すために、下記の実験を行った。例1に従って得られた物理的イモゴライトゲルに、3mLのHCl(37%)を添加して、そのpHをゲル化限界値より下の3にまで下げた。イモゴライトは、水の粘度に近い粘度でその初期の均質液体状態にまで戻った。この実験を本発明のコンポジット材料で行ったとき、後者は、イモゴライト繊維の間の共有結合の不可逆形成のためにそのゲル状態を保持した。
【0065】例3(比較)カトン287T(登録商標)を含有するゲルを、テトラメトキシシランを添加しなかった以外は、例2の工程a)に於けるようにして製造した。
【0066】カトンLX(登録商標)を含有するゲルを、テトラメトキシシランを添加しなかった以外は、例2の工程b)に於けるようにして製造した。
【0067】1/3のカトンLX(登録商標)を含有する得られたゲル及び2/3のカトン287T(登録商標)を含有する得られたゲルの混合物を作った。水を失ったコンパクトでない比較的移動性のゲルが得られた。
【0068】例42個の透析袋(ROTH社によって供給された、ネイダー(Nadir)、細孔サイズ2.5〜3.0ナノメートルを有するセルロースチューブ)の中に、例2に従って製造したコンポジット材料の2種の10gサンプル(試験A及びB)を入れた。
【0069】もう一つの透析袋の中に、例3に従って、即ちテトラメトキシシラン無しで製造したゲルの混合物10g(試験C)を入れた。
【0070】各袋を、400mLの浸透水の中に浸漬させた。通常の間隔(30分毎)で、浸透水を補充した。回収した水を、UV−可視分光光度法により分析した。測定した光学濃度は、浸透水中に存在する細菌増殖制御剤の量の特性を示す。274nmの波長はカトンLX(登録商標)の特性値であり、280nmの波長はカトン287T(登録商標)の特性値であり、その中間はカトンLX(登録商標)及びカトン287T(登録商標)の混合物の特性値である。カトン287T(登録商標)の吸収ピークは、測定するためには近すぎ且つ弱すぎ、カトンLX(登録商標)の吸収ピークによって部分的に隠されたので、カトンLX(登録商標)単独の拡散を追跡した。
【0071】カトンLX(登録商標)の既知濃度の溶液を使用する較正により、光学濃度と濃度との間の関係を求めることが可能であり、それで浸透水中に拡散したカトンLX(登録商標)の濃度を、後者の光学濃度から得ることができるのである。その結果を下記の表Iに報告し、図2に図で表す。
【0072】
【表1】

【0073】表I及び図2は、浸透水中に拡散したカトンLX(登録商標)の濃度が、カトンLX(登録商標)を架橋したイモゴライトマトリックス中に分散させたときよりも低かったことを示している。架橋したゲルからなる本発明のコンポジット材料は、架橋していないイモゴライトゲルよりも遥かに遅い、親水性細菌増殖制御剤の拡散を可能にする。
【0074】このコンポジット材料は、包装するのに十分にコンパクトであり、親水性細菌増殖制御剤の遅延した拡散を確実にするが、親水性細菌増殖制御剤の拡散を過度に遅くすることはない。
【0075】その結果、このコンポジット材料を含む拡散器は、より長い間有効なままであり、細菌増殖制御剤、特に親水性制御剤の拡散速度への制御を可能にし、そうして必要なときコンポジット材料の適切な配合によって、これを特別のケースに適合できる。
【0076】例5種々のコンポジット材料の合成を、イモゴライトの[Al+Si]含有量に対して5%及び10%のテトラメトキシシランを有するように、修正したテトラメトキシシラン含有量にした以外は、例2に従って実施した。これらの架橋したコンポジット材料からの細菌増殖制御剤の拡散を、例3に従って得られたテトラメトキシシランを有しない物理的ゲルからのものと比較した。
【0077】各組成物について、10gのゲルを透析袋の中に入れ、この袋を400mLの浸透水の中に入れた。活性カトンLX(登録商標)の連続拡散の時間経過を、UV−可視分光光度法により追跡した。その結果を下記の表IIに報告し、図3に図で表す。
【0078】
【表2】

【0079】表II及び図3は、時間内に浸透水中に拡散したカトンLX(登録商標)の濃度が、テトラメトキシシラン(TMOS)で架橋したイモゴライトゲルを使用したときには、特に、TMOS含有量がイモゴライトの[Al+Si]含有量に対して10%に等しかったときには、より低かったことを示している。コンポジット材料中のテトラメトキシシランが多いほど、親水性細菌増殖制御剤カトンLX(登録商標)が浸透水中によりゆっくり拡散した。これはコンポジット材料がより多く架橋し、高密度になるほど、無機マトリックス中に捕獲された親水性制御剤がより強く保有されるためである。
【0080】例62種の架橋したゲルの合成を、イモゴライトの[Al+Si]含有量に対してテトラメトキシシランの1重量%、2重量%、5重量%及び10重量%を得るように、テトラメトキシシラン含有量を変化させた以外は、例2の工程a)及びb)に従って実施した。
【0081】各組成物について、10gのゲルを透析袋の中に入れ、この袋を400mLの浸透水の中に浸漬させた。
【0082】カトンLX(登録商標)のみを含有するゲルからの連続拡散及びカトン287T(登録商標)のみを含有するゲルからの連続拡散を、UV−可視分光光度法によりモニターした。
【0083】その結果を下記の表III 及びIVに報告し、図4及び5に図で表す。
【0084】
【表3】

【0085】
【表4】

【0086】表III 及び図4は、ゲル構造と拡散動力学との間の良好な妥協を得るために、カトンLX(登録商標)単独を含有するゲルは、テトラメトキシシラン含有量がイモゴライトの[Al+Si]含有量に対して5重量%より低いときには十分に構造化されないことを示している。しかしながら、表IV及び図5は、カトン287T(登録商標)単独及びイモゴライトの[Al+Si]含有量に対して1重量%のテトラメトキシシランを含有するゲルが、十分に架橋して、ゲル構造と核酸動力学との間の良好な妥協を達成することを示している。それで、本発明のコンポジット材料は、テトラメトキシシラン含有量を変化させることによって、それを、使用する細菌増殖制御剤に最も良く適合させるように配合することができる。
【出願人】 【識別番号】590000846
【氏名又は名称】イーストマン コダック カンパニー
【出願日】 平成14年3月13日(2002.3.13)
【代理人】 【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬 (外4名)
【公開番号】 特開2002−363001(P2002−363001A)
【公開日】 平成14年12月18日(2002.12.18)
【出願番号】 特願2002−68735(P2002−68735)