| 【発明の名称】 |
植物生長促進剤および植物生長促進資材 |
| 【発明者】 |
【氏名】野間 正名
【氏名】内藤 秀樹
【氏名】田母神 繁
【氏名】草野 都
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| 【要約】 |
【課題】農産物の副産物たる籾殻の有効な利用を提供すること、特に廃棄物として扱われていた籾殻を平易な手段で有効利用して再資源化し、これを農業資材に利用することにより、環境負荷の低い農業資材を提供すると共に、これを植物の栽培に利用して、農作物の有効な生産に資すること。
【解決手段】籾殻をメタノール或いは熱水のような水性溶媒抽出処理した抽出物或いは抽出残渣が植物生長促進作用を有し、これを植物生長促進剤として利用する。この植物生長促進剤を育苗や植物の栽培における代替土壌のような農業資材に含有させ、植物生長促進資材として利用する。更に、これらの植物生長促進剤及び植物生長促進資材を利用して、植物を栽培する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 籾殻を水性溶媒抽出処理してなる植物生長促進剤。 【請求項2】 水性溶媒抽出処理が熱水抽出処理であることを特徴とする請求項1に記載の植物生長促進剤。 【請求項3】 植物生長促進剤が熱水抽出物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の植物生長促進剤。 【請求項4】 水性溶媒抽出処理がアルコール抽出処理である請求項1に記載の植物生長促進剤。 【請求項5】 アルコール抽出処理がメタノール抽出処理である請求項4に記載の植物生長促進剤。 【請求項6】 水性溶媒抽出処理がアルコール抽出処理及び熱水抽出処理を併用した処理であることを特徴とする請求項1に記載の植物生長促進剤。 【請求項7】 籾殻を水性溶媒抽出処理することを特徴とする植物生長促進剤の製造方法。 【請求項8】 水性溶媒抽出処理がオートクレーブを使用した熱水抽出処理であることを特徴とする請求項7に植物生長促進剤の製造方法。 【請求項9】 請求項1〜6のいずれかに記載の植物成長促進剤を含有することを特徴とする植物生長促進資材。 【請求項10】 植物生長促進資材が育苗土壌及又は土壌代替物であることを特徴とする請求項9に記載の植物生長促進資材。 【請求項11】 請求項9に記載の植物生長促進資材又は請求項1〜6のいずれかに記載の植物生長促進剤を含有する培養液を用いて植物を栽培することを特徴とする植物の栽培方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、籾殻を用いた植物生長促進剤およびその製造法、更には該植物生長促進剤を含有する植物生長促進資材、それを用いた植物の栽培方法に関し、特には籾殻を水性溶媒抽出処理したものを用いた植物生長促進剤、及び該植物生長促進剤を含有する植物生長促進資材、更には該植物生長促進剤或いは植物生長促進資材を用いた植物の栽培方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】籾殻は、稲藁等と共に農作物生産の際の副産物として産出されるものであるが、籾殻自体発酵性の悪いものであり、又家畜等が摂取した場合も消化性が悪いことなどから、稲藁のように、肥料、飼料としての利用が難しい面があった。従って、一部にはそのまま或いは燃焼(炭化)して、育苗や植物栽培用の培養土の基材として用いられたり、炭化して融雪剤として再資源化等が行われてはいたが、その多くは廃棄或いは焼却処分がなされてきた。近年、籾殻等の有効利用として、籾殻等を乾留し、酢液として植物生長促進剤或いは農作物の育成促進用助剤として利用することが提案されている(特開平7−216362号公報、特開平5−239467号公報)。しかし、これらの利用のためには籾殻を酢液化する必要があり、そのための処理が簡易でないことなど、これらの副産物の再資源化としての有効利用が効果的に進められない状況にあった。一方、昨今イネの栽培における育苗箱や植物栽培用として土壌の需要が増大しているが、従来農家等が近隣の山林等から採取していた土壌がほぼ採取しつくされて、これらに使用する土壌の供給が問題となっている。したがって、これらの育苗や植物栽培に用いる天然土壌に替え得るものとして、有効な物性や機能を持つ代替え土壌を提供することが、これからの農業における育苗や植物の栽培上重要な課題となっている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、農作物の副産物たる籾殻の有効な利用を提供することにある。特に、基本的に廃棄物として扱われていた籾殻を平易な手段で有効利用して再資源化し、更にこれを農業資材に利用することにより、環境負荷の低い農業資材を提供すると共に、これを植物の栽培に利用して、農作物の有効な生産に資することを目的とするものである【0004】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、籾殻を水性溶媒抽出処理したものを植物生長促進剤として利用し、この植物生長促進剤を含有させたものを植物生長促進資材として、更には該植物生長促進剤及び植物生長促進資材を植物の栽培に利用することよりなるものである。即ち、本発明者らは稲の栽培における主要な副産物である籾殻の有効利用について鋭意研究した結果、籾殻を熱水やアルコールのような水性溶媒抽出処理したものが植物の生育を促進する効果のあることを見い出し、本発明をなしたものである。本発明は、更にこの水性溶媒抽出処理した籾殻を代替え土壌に添加して植物生長促進資材として利用し、更にこれらの水性溶媒抽出処理した籾殻又はその抽出液を利用して植物を栽培するものである。 【0005】具体的には、本発明は、籾殻を水性溶媒抽出処理してなる植物生長促進剤(請求項1)や、水性溶媒抽出処理が熱水抽出処理であることを特徴とする請求項1に記載の植物生長促進剤(請求項2)や、植物生長促進剤が熱水抽出物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の植物生長促進剤(請求項3)や、水性溶媒抽出処理がアルコール抽出処理である請求項1に記載の植物生長促進剤(請求項4)や、アルコール抽出処理がメタノール抽出処理である請求項4に記載の植物生長促進剤(請求項5)や、水性溶媒抽出処理がアルコール抽出処理及び熱水抽出処理を併用した処理であることを特徴とする請求項1に記載の植物生長促進剤(請求項6)や、籾殻を水性溶媒抽出処理することを特徴とする植物生長促進剤の製造方法(請求項7)や、水性溶媒抽出処理がオートクレーブを使用した熱水抽出処理であることを特徴とする請求項7に植物生長促進剤の製造方法(請求項8)や、請求項1〜6のいずれかに記載の植物成長促進剤を含有することを特徴とする植物生長促進資材(請求項9)や、植物生長促進資材が育苗土壌及又は土壌代替物であることを特徴とする請求項9に記載の植物生長促進資材(請求項10)や、請求項9に記載の植物生長促進資材又は請求項1〜6のいずれかに記載の植物生長促進剤を含有する培養液を用いて植物を栽培することを特徴とする植物の栽培方法(請求項11)からなるものである。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明における籾殻の水性溶媒抽出処理は、熱水或いはアルコールのような水性溶媒で行われる。熱水抽出処理は、通常10℃〜120℃、15分〜72時間の処理で行い、好ましくは110℃〜120℃、15分〜240分である。アルコールを用いた水性溶媒抽出処理は、通常エタノール、メタノールが用いられるが、特にメタノールが好ましい。アルコール溶媒は通常50%〜100%のアルコール水溶液が好ましい。抽出処理は適宜の装置を用いて実施できるが、熱水抽出処理においては、オートクレーブにより効果的に実施することができる。本発明においては、アルコール抽出処理と熱水抽出処理を併用し、より効果的な抽出処理を行うことができる。本発明の水性溶媒抽出処理で処理した抽出処理物は、そのまま籾殻が混入した状態で使用することも出来るし、場合により、抽出濾過し、濾液を分離した抽出物の状態にして利用することもできる。また、抽出物を分離した残渣を利用することもできる。本発明における水性溶媒抽出処理物は、抽出処理により籾殻に含まれる植物生長促進物質が植物に利用されやすい状態に変化しているものと考えられる。本発明における生長促進物質は、籾殻を熱水で抽出処理した場合には、一部は熱水に溶出するが、一部は籾殻に残存している。 【0007】本発明の植物生長促進物質は、イネのような単子葉植物の生育を促進するが、ミツバ、ゴボウ、トマトのような双子葉植物の生長も促進する。本発明の水性溶媒抽出処理物を育苗或いは植物生育用の土壌に混入することにより、植物生長促進効果のある農業用資材を提供することができる。籾殻をアルコールや熱水で抽出処理して、抽出液を分離した抽出残渣を利用して、植物生長促進効果を有する土壌代替物を製造することができ、該抽出残渣を利用して土壌改良材を製造することができる。本発明の抽出残渣を添加した土壌代替物は、植物生長促進効果を有すると共に、天然土壌に比較して、より軽量化した、更に通気性等の良好な物性を有する土壌代替え物とすることができる。又、抽出処理して分離した抽出液は、例えばミツバのように水耕栽培可能な作物を栽培する場合その培養液へ添加することにより、天然物由来で易分解性の安全且つ安価な生育促進剤を保持した培養液として利用することができる。本発明の植物生長促進剤を育苗用の土壌或いは植物生育用の土壌に添加して、植物を栽培することにより、その育苗期間或いは生育期間の短縮を図ることが可能となる。 【0008】 【実施例】以下に、実施例を揚げてこの発明を更に具体的に説明するが、この発明の範囲はこれらの例示に限定されるものではない。 【0009】実施例1(イネに対する生長促進効果) (1)籾殻熱水抽出処理物の検定−1イネに対する籾殻熱水抽出処理物の抽出物(wf)及び抽出残渣(wp)の生長促進活性を評価した。評価試料として、芽だし済み玄米(玄米)を用いた。籾殻を120℃、15分、あるいは120℃240分処理して得た抽出液を9cmのシャーレに30ml注ぎ、寒天300mgを添加し固化させた。このゲルから直径13mmの円柱ゲルを打ちぬき、これを培養管(直径24mm、高さ150mm)の1%寒天ゲル(高さ50mm)上に載せた。芽だしした玄米を試料含有寒天層に埋め込み、連続光下、30℃、72時間培養した後、草丈、種子根長を測定した。抽出残渣である籾殻の生育促進効果については、30mlの水に所定量の籾殻を懸濁させ、寒天によりゲル化させた円柱を用いて検定した。その結果を、表1に示す。なお、表中「wf」、「wp」の左辺の数値は籾殻の処理時間を(15’は15分、240’は240分を表す)、右辺の数値は抽出処理に用いた籾殻のmg数を表す(例えば、wp300は300mg、wp600は600mg)。 【0010】 【表1】
【0011】(2)籾殻アルコール抽出処理及び熱水抽出処理物の検定−2上記検定1と同様にして、籾殻アルコール抽出処理物、この処理物から熱水抽出して得られた抽出物及び抽出残渣について、それぞれイネ(玄米)に対する促進活性を評価した。アルコール処理は、所定の籾殻を室温で3日間メタノールに浸漬処理することにより行った。アルコール処理した籾殻からの熱水抽出物については、籾殻100mg、200mg、400mgから抽出される物質がそれぞれ10mlに含有されるように9cmシャーレにとり、その中に芽だしした玄米12粒をいれ、30℃連続光で、72時間生育させた後、草丈及び根長を測定した。処理物、および抽出残さについては、9cmシャーレに蒸留水10mlとともに、100mg、200mg、400mgの籾殻をそれぞれ懸濁させ、そこに芽だし玄米をいれて、上記と同じ条件で生育させ草丈及び根長を測定した。結果を表2に示す。 【0012】 【表2】
【0013】実施例2(トマトに対する生長促進効果) トマトに対するメタノール抽出処理籾殻(MeOH extraction)、メタノール抽出処理籾殻の熱水抽出物(wf)およびその残さ(MeOH extraction&water)の生長促進活性を評価した。試料として、サンロード(タキイ種苗株式会社)を用い、9cmシャーレに22粒を蒔き、25℃連続光で312時間成育させ、草丈、根長を測定した。メタノール抽出処理殻の熱水抽出物(wf)の検定には、籾殻200mg、400mg、800mgから、それぞれ10mlの水によって溶出される物質が含有するように調製した液10mlを用いて試験した。メタノール抽出処理籾殻(MeOH extraction)、メタノール抽出処理籾殻の熱水抽出残さ(MeOH extraction & water)の検定には、水10mlあたり、それぞれ200mg、400mg、800mgの籾殻を懸濁させ試験を行った。結果を、表3に示す。 【0014】 【表3】
【0015】実施例3(ごぼうに対する生長促進効果) ごぼうに対するメタノール抽出処理籾殻の熱水抽出物(wf)およびその残さ(wp)の生長促進活性を評価した。試料として、滝ノ川(タキイ種苗株式会社)を用い、9cmシャーレに22粒を蒔き、25℃連続光で168時間生育させ、草丈、根長を測定した。メタノール抽出処理の熱水抽出物(wf)の検定には、籾殻200mg、400mg、800mgから、それぞれ10mlの水によって溶出される物質が含有するように調製した液10mlを用いて試験した。メタノール抽出処理籾殻の熱水抽出残さ(wp)の検定には、水10mlあたり200mg、400mg、800mg籾殻をそれぞれ懸濁させ試験を行った。結果を、表4に示す。 【0016】 【表4】
【0017】実施例4(ミツバに対する生長促進効果) ミツバに対するメタノール抽出処理籾殻の熱水抽出物(wf)およびその残さ(wp)の生長促進活性を評価した。試料として、白茎ミツバ(タキイ種苗株式会社)を用い、9cmシャーレに22粒を蒔き、25℃連続光で336時間成育させ、草丈、根長を測定した。メタノール抽出処理籾殻の熱水抽出物(wf)の検定には、籾殻200mg、400mg、800mgから、それぞれ10mlの水によって溶出される物質が含有するように調製した液10mlを用いて試験した。メタノール抽出処理籾殻の熱水抽出残さ(wp)の検定には、水10mlあたり200mg、400mg、800mg籾殻をそれぞれ懸濁させ試験を行った。結果を、表5に示す【0018】 【表5】
【0019】 【発明の効果】本発明により、産業廃棄物として扱われていた籾殻を安価、平易な手段により再資源化して、有効利用を図ることができる。本発明の植物生長促進剤はイネのような単子葉植物や、トマト、ゴボウ、三つ葉等の双子葉植物など巾広い植物に対して生長促進作用を有し、幅広い植物の育苗や栽培における生長促進に有効に利用することができる。本発明の植物生長促進剤を育苗や植物栽培における代替土壌等の農業資材に用いることにより、植物生長促進効果があり、なおかつ天然土壌に比較して、土壌の物性の改善された農業用資材を提供することができる。また、本発明の熱水抽出物を、三つ葉等の水耕栽培に利用して、成育期間を短縮化し、水耕栽培装置の効率的利用を図ることも可能となる。本発明の農業用資材は、廃棄物として扱われていた籾殻を有効利用し、且つ環境負荷が低い農業資材提供することを可能としている点で、利用性の高いものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】396020800 【氏名又は名称】科学技術振興事業団
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| 【出願日】 |
平成13年5月15日(2001.5.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107984 【弁理士】 【氏名又は名称】廣田 雅紀
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| 【公開番号】 |
特開2002−338420(P2002−338420A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月27日(2002.11.27) |
| 【出願番号】 |
特願2001−145439(P2001−145439) |
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