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【発明の名称】 工業用殺菌剤組成物および殺菌方法
【発明者】 【氏名】中島 英博

【氏名】平尾 重延

【氏名】上薗 祐一

【氏名】牟田口 博子

【氏名】重枝 英之

【要約】 【課題】広範な工業用材料に、少い添加量で強力な殺菌および抗菌効果を奏する、新規組成の殺菌剤組成物を提供する。

【解決手段】1以上の一般式Iのイソチアゾロン化合物および1以上の一般式IIのクレゾール化合物を、0.5:10〜10:0.5の質量比で含む殺菌剤組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式(I):【化1】

(式中、XおよびYは、同一または異なって、ハロゲン原子もしくは水素原子または一緒になって環構造を形成し、ここでR1は水素原子もしくは炭素数1〜8のアルキル基である)で示される1以上のイソチアゾロン化合物、および一般式(II):【化2】

(式中、Zはハロゲン原子であり、R2は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R3は水素原子またはアルカリ金属である)で示される1以上のクレゾール化合物を、0.5:10〜10:0.5の質量比で含む、殺菌剤組成物。
【請求項2】 前記イソチアゾロン化合物は、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンまたは2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンであり、前記クレゾール化合物は、p−クロロ−m−クレゾールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】 請求項1または2に記載の組成物を含んでなり、前記イソチアゾロン化合物および前記クレゾール化合物を、5〜5,000ppmの濃度で含むことを特徴とする、工業用材料。
【請求項4】 請求項1または2に記載の組成物を含んでなり、前記イソチアゾロン化合物および前記クレゾール化合物を、5〜5,000ppmの濃度で含むことを特徴とする、コンクリート添加剤。
【請求項5】 工業用材料に、一般式(I):【化3】

(式中、XおよびYは、同一または異なって、ハロゲン原子もしくは水素原子または一緒になって環構造を形成し、ここでR1は水素原子もしくは炭素数1〜8のアルキル基である)で示される1以上のイソチアゾロン化合物を含む組成物A、および一般式(II):【化4】

(式中、Zはハロゲン原子であり、R2は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R3は水素原子またはアルカリ金属である)で示される1以上のクレゾール化合物を含む組成物Bを、同時にまたは別個に添加する段階を含み、ここでAおよびBは、0.5:10〜10:0.5の質量比で、かつ工業用材料に対して5〜5,000ppmの濃度であることを特徴とする、殺菌方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工業用殺菌剤に関し、特にイソチアゾロン化合物およびクレゾール化合物を含有する殺菌剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えばラテックスエマルジョン、エマルジョン塗料、繊維油剤、コンクリート添加剤などの工業用組成物は、水を含むために保存中に微生物が増殖して品質が劣化するという問題がある。そこで一般的には、このような工業用組成物に、殺菌剤、防腐剤、防カビ剤、抗菌剤等の微生物の増殖を抑制する物質を添加することによって、保存性を高めている。
【0003】このような物質として、イソチアゾロン化合物またはクレゾール化合物が従来使用されてきた(防菌防黴剤事典(日本防菌防黴学会編)を参照)。しかしながらいずれも、特定の微生物に対しては効果が不十分であり汎用性が低い、添加されうる工業組成物に制限がある、などの問題があった。
【0004】またイソチアゾロン化合物は、ある種の他の活性成分と混合すると、相乗作用を示すことがわかっている。例えば、特開平第11−130603号公報では、イミダゾール系化合物とイソチアゾロン化合物との組み合わせが開示されている。また特開平第8−92016号公報では、トリアジン系化合物またはスルホンアミド系化合物との組み合わせが開示されている。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】従って本発明の目的は、広範な工業用材料に対して、極めて少量の添加量で強力な殺菌、抗菌効果を奏する、新規組成の殺菌剤組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、イソチアゾロン化合物とクレゾール化合物とを組み合わせると高い相乗性の殺菌および抗菌効果を奏することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】従って本発明は、一般式(I):【0008】
【化5】

【0009】(式中、XおよびYは、同一または異なって、ハロゲン原子もしくは水素原子または一緒になって環構造を形成し、ここでR1は水素原子もしくは炭素数1〜8のアルキル基である)で示される1以上のイソチアゾロン化合物、および一般式(II):【0010】
【化6】

【0011】(式中、Zはハロゲン原子であり、R2は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R3は水素原子またはアルカリ金属である)で示される1以上のクレゾール化合物を、0.5:10〜10:0.5の質量比で含む、殺菌剤組成物である。
【0012】さらに本発明は、前記イソチアゾロン化合物は、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンまたは2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンであり、前記クレゾール化合物は、p−クロロ−m−クレゾールである、前記組成物である。
【0013】さらに本発明は、前記組成物を含んでなり、前記イソチアゾロン化合物および前記クレゾール化合物を、5〜5,000ppmの濃度で含むことを特徴とする、工業用材料である。
【0014】さらに本発明は、前記組成物を含んでなり、前記イソチアゾロン化合物および前記クレゾール化合物を、5〜5,000ppmの濃度で含むことを特徴とする、コンクリート添加剤である。
【0015】さらに本発明は、工業用材料に、一般式(I):【0016】
【化7】

【0017】(式中、XおよびYは、同一または異なって、ハロゲン原子もしくは水素原子または一緒になって環構造を形成し、ここでR1は水素原子もしくは炭素数1〜8のアルキル基である)で示される1以上のイソチアゾロン化合物を含む組成物A、および一般式(II):【0018】
【化8】

【0019】(式中、Zはハロゲン原子であり、R2は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R3は水素原子またはアルカリ金属である)で示される1以上のクレゾール化合物を含む組成物Bを、同時にまたは別個に添加する段階を含み、ここでAおよびBは、0.5:10〜10:0.5の質量比で、かつ工業用材料に対して5〜5,000ppmの濃度であることを特徴とする、殺菌方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明は、イソチアゾロン化合物およびクレゾール化合物を含む殺菌剤組成物である。その特徴は、これら二種の化合物を併用することにより、それぞれを単独で用いるより優れた抗菌効果を示すことにある。
【0021】本発明のイソチアゾロン化合物は、一般式(I):【0022】
【化9】

【0023】で示される。式中、XおよびYは、同一または異なって、ハロゲン原子もしくは水素であり、または、一緒になって縮合環構造を形成することができる。このような縮合環構造として例えば、ベンゼン環との縮合環構造やトリメチレン基が挙げられる。具体的な構造式を以下に示す。
【0024】
【化10】

【0025】XまたはYは、殺菌効果の点でハロゲン原子、特に塩素原子であることが好ましい。
【0026】R1は、水素原子もしくは炭素数1〜8のアルキル基である。該アルキル基として具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、シクロヘプチル、オクチル、イソオクチル、シクロオクチル等であり、好ましくは、メチル、オクチルである。
【0027】本発明のイソチアゾロン化合物としては、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン;
【0028】
【化11】

【0029】が挙げられ、単独でも、複数を組み合わせて用いても良い。ここで、殺菌力が優れていることから、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンまたは2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0030】本発明のクレゾール化合物は、一般式(II):【0031】
【化12】

【0032】で示される。式中、Zはハロゲン原子であり、好ましくは塩素、臭素である。R2は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。該アルキル基として具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルであり、好ましくは、メチルである。R3は、水素原子またはアルカリ金属である。該アルカリ金属として具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどであり、好ましくはナトリウムまたはカリウムである。当該クレゾール化合物がこのような金属塩の場合、予め金属塩であるクレゾール化合物を用いても良く、水酸化ナトリウム等を加えることによって組成物中で金属塩にしても良い。
【0033】本発明のクレゾール化合物としては、p−クロロ−m−キシレノール、p−クロロ−m−クレゾールなどが、殺菌力、抗菌力、入手容易性の点で好ましく使用されうる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0034】上述のイソチアゾロン化合物およびクレゾール化合物は本発明において組み合わせて用いられるが、具体的には、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよびP−クロロ−m−キシレノール、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびP−クロロ−m−クレゾール、2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよびP−クロロ−m−クレゾール、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよびP−クロロ−m−クレゾール、ならびに、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびP−クロロ−m−キシレノールの組み合わせが、優れた相乗効果を奏することから好適である。特に、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよびP−クロロ−m−キシレノール、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびP−クロロ−m−クレゾール、ならびに、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよびP−クロロ−m−クレゾールの組み合わせがさらに好適である。
【0035】本発明の殺菌剤組成物の好ましい実施形態は、上述のイソチアゾロン化合物およびクレゾール化合物を適切な溶剤に溶解してなる液剤である。ここで用いられ得る溶剤として、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンカーボネート、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、キシレン、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよく、さらに水を混合して用いても良い。ここで、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールが、入手が容易かつ安価であり、人体および環境に対する毒性が低いという理由で好ましい。
【0036】本発明の殺菌剤組成物は、上述のイソチアゾロン化合物およびクレゾール化合物を、0.5:10〜10:0.5の質量比で含むものである。好ましくは、1:0.05〜2.5、さらに好ましくは1:0.25〜0.7の質量比である。ここで質量比が上記範囲を外れると、相乗効果が低くなり好ましくない。
【0037】また本発明において、有効成分であるイソチアゾロン化合物およびクレゾール化合物は、工業用材料に対して5〜5,000ppmの濃度で混合されることが好ましい。ここで上記濃度は、イソチアゾロン化合物およびクレゾール化合物の総量の濃度である。
【0038】さらに本発明の殺菌剤組成物は、上述の成分のほかに、例えば界面活性剤、防錆剤、乳化剤、安定化剤のような当業界で周知の補助成分を含んでもよい。界面活性剤としては、これらに限定されないが、陰イオン型(アルキルベンゼンスルホン酸塩など)、陽イオン型(アルキルアミン塩など)、非イオン型(ポリオキシエチレンアルキルエーテルなど)が挙げられる。これらの成分を用いることにより、より安定した懸濁液または乳濁液を調整することができる。
【0039】また、上記クレゾール化合物のいくつかはそのままでは溶剤に溶けないことがある。その場合、水酸化ナトリウムを添加することによりクレゾール化合物の金属塩の状態にすることにより溶解させることが好ましい。
【0040】本発明の殺菌剤組成物は、保存中に腐敗やカビ発生の恐れのあるほとんどの工業用材料を対象としうる。このような工業用材料としては、例えば、工業用の原材料、添加剤、中間材料、製品である。具体的には、製紙材料(例えばパルプ、ピグメントスラリー、紙力増強剤、サイズ剤、ラテックスエマルジョン、塗工液)、コンクリート添加剤(例えば、リグニン系、ポリカルボン酸系、ナフタレン系、グルコン酸系)、塗料(例えば、水性塗料、エマルジョン塗料)、接着剤(例えば、酢酸ビニル系、ポリ酢酸ビニル系、デンプン系)が挙げられる。
【0041】さらに本発明の殺菌剤組成物は、さらにその他の殺菌成分を配合しても良い。このような化合物として例えば、3,3,4,4−テトラクロロチオフェン−1,1−ジオキシド、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール、メチレンビスチオシアネート、1,4−(ビスブロモアセトキシ)−2−ブテン、オルトフタルアルデヒド、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、グルタルアルデヒド、ピリチオンナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリジン、4−(2−ニトロブチル)モルホリンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。これらの化合物の組成物に対する溶解度はそれぞれ異なるため、好ましい含有量はそれぞれ適宜調節される。
【0042】本発明の殺菌剤組成物は、計量された各成分を混合し、イソチアゾロン化合物やクレゾール化合物が完全に溶剤に溶解するまで混合することによって製造される。
【0043】他の好ましい実施形態として、上記成分を含んでなる粉末状が挙げられる。これらは使用時に適切な濃度に溶剤に溶解させるかまたはそのまま工業用材料に加えて使用され得る。また、ゲル状、スラリー状の殺菌剤組成物も可能である。
【0044】上述した様々な実施形態の殺菌剤組成物は、工業用材料に添加する用途が最も一般的であるが、それ以外にも、殺菌剤組成物を噴霧、塗布、浸漬することによって、工業用材料だけでなく機械、装置、作業環境(壁、床等)等の様々な対象物を殺菌および抗菌することができる。
【0045】
【実施例】次に実施例および比較例によって本発明を詳細に説明する。
【0046】実施例1〜5および比較例1〜6の殺菌剤組成物を、表1に示す配合量(質量部)に従い調製した。表中の略称の意味は以下のとおりである。
【0047】Cl−MIT:5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンMIT:2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンBIT:1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンOIT:2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンPCMC:P−クロロ−m−クレゾールPCMX:P−クロロ−m−キシレノール【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】実施例および比較例の殺菌剤組成物について、コンクリート混和剤の成分であるリグニンスルホン酸マグネシウムを用いて以下の試験を行った。
【0051】<試験1:リグニンスルホン酸マグネシウム水溶液に対する防腐効果確認試験>リグニンスルホン酸マグネシウム水溶液100gをポリビンに入れここに微生物の混合物(細菌類、真菌類を含む)を添加し35℃で7日間、静置培養し、前培養液を調製した。この前培養液を、新鮮なリグニンスルホン酸マグネシウム水溶液1900gを仕込んだポリビンに、19g(1%)添加した。この溶液80gに、実施例1〜6および比較例1〜5で調製した殺菌剤組成物を300ppmまたは600ppmの濃度になるように添加し、各種サンプルを調製した。さらに殺菌剤組成物を含まないものをブランクとして調製した。各溶液を35℃で静置培養した。各溶液中に発生した微生物数は、経過日数ごとにサンプリングし、適宜希釈して栄養培地にプレーティングし、発生したコロニー数をカウントすることによって、1mlあたりの生菌数を記録した。試験結果を表3に示す。
【0052】
【表3】

【0053】<試験2:リグニンスルホン酸ナトリウム水溶液に対する防腐効果確認試験>リグニンスルホン酸マグネシウム水溶液の代わりに、リグニンスルホン酸ナトリウム水溶液を用いた以外は上記試験1と同様にして試験を行った。試験結果を表4に示す。
【0054】
【表4】

【0055】上記試験2および3において、本発明の殺菌剤組成物を添加された組成物は、培養7日目においてまったく微生物がカウントされていないことから、初発に添加された細菌類または真菌類などの微生物が死滅していることがわかる。さらに28日を経過しても微生物は増殖していない。すなわち本発明の殺菌剤組成物は、多様な微生物に対して高い殺菌力および抗菌力を有していることがわかる。
【0056】<試験3:各種微生物に対する殺菌効果確認試験>イソチアゾロン化合物およびクレゾール化合物を併用することによる相乗効果を、黄色ブドウ球菌、大腸菌緑膿菌を用いたレーウェ法にて試験した。
【0057】(試験方法)本発明のイソチアゾロン化合物およびクレゾール化合物を、それぞれが所定の質量比になるように混合し、これを滅菌した普通寒天培地に一定量添加し、固化させ、培地を調製した。これに予めブイヨン培地で前培養した上記微生物を108/mlになるよう調整した生理食塩水を10μl接種し、35℃で24時間培養した。培養中定期的に微生物の増殖を観察した。その結果、微生物の増殖が認められない濃度を最低発育阻止濃度(MIC)とした。得られたMIC値を図1に従ってプロットし、その相乗効果を確認した。
【0058】ここで図1は相乗作用について一般的に説明している図である。図1においてX軸として二成分のうち一成分の配合比率、Y軸として殺菌剤組成物の最低発育阻止濃度(ppm)を示したグラフである。グラフ中、各配合比率における最低発育阻止濃度を結んだ線より上側の領域は増殖阻止域を示し、下側の領域は増殖域を示す。二種の化合物をそれぞれ単独で用いた場合の最低発育阻止濃度を結んだ直線(a)より、下方に曲線がある場合に相乗作用(b)、上方に曲線がある場合には拮抗作用(c)を表す。
【0059】各種微生物で得られた実験結果を図2〜図10に示す。この結果より、本発明の殺菌剤組成物は、イソチアゾロン化合物およびクレゾール化合物による高い相乗効果によって、各種微生物の増殖を抑制することがわかった。
【0060】
【発明の効果】本発明は、イソチアゾロン化合物およびクレゾール化合物のこれまでにない組み合わせによって、それぞれ単独で用いるよりも優れた殺菌効果、抗菌効果、防腐効果を奏する工業用殺菌剤組成物である。本発明の殺菌剤組成物は、わずかな添加量で高い殺菌力および抗菌力によって多様な微生物の増殖を抑制することができ、長期間の安定した保存を可能にするものである。また本発明の殺菌剤組成物は、溶液状、粉状、スラリー状等の実施形態が可能であり、様々な工業用組成物に広く用いられうる。
【出願人】 【識別番号】390035873
【氏名又は名称】東京ファインケミカル株式会社
【出願日】 平成13年5月16日(2001.5.16)
【代理人】 【識別番号】100072349
【弁理士】
【氏名又は名称】八田 幹雄 (外4名)
【公開番号】 特開2002−338412(P2002−338412A)
【公開日】 平成14年11月27日(2002.11.27)
【出願番号】 特願2001−146781(P2001−146781)