| 【発明の名称】 |
水稲又は野菜類に対する、除草剤の薬害を軽減する処理剤及び除草剤の薬害を軽減する方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】服部 俊雄
【氏名】佐々木 茂雄
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| 【要約】 |
【課題】除草剤本来の作用には影響せず、除草剤の水稲や野菜などの成育を妨げる作用を軽減する処理剤及び除草剤の水稲や野菜などに対する薬害軽減方法を提供すること。
【解決手段】活性炭を分散剤を用いて水中に分散させてなる水稲又は野菜類に対する除草剤の薬害を軽減する処理剤及び苗を畑又は水田に植え付けた後に畑又は水田の全面を除草剤で処理し、又は除草剤で全面処理した畑又は水田に苗を植え付け、除草剤の除草効果を失わせることなく苗に対する除草剤の薬害を軽減する方法において、上記の処理剤で根圏域を処理した苗を畑又は水田に植え付ける水稲又は野菜類に対する除草剤の薬害を軽減する方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 活性炭を分散剤を用いて水中に分散させてなる水稲又は野菜類に対する除草剤の薬害を軽減する処理剤。 【請求項2】 活性炭の平均粒径が100μm以下である請求項1に記載の水稲又は野菜類に対する除草剤の薬害を軽減する処理剤。 【請求項3】 活性炭の含有量が1〜50重量%である請求項1又は2に記載の水稲又は野菜類に対する除草剤の薬害を軽減する処理剤。 【請求項4】 苗を畑又は水田に植え付けた後に畑又は水田の全面を除草剤で処理し、又は除草剤で全面処理した畑又は水田に苗を植え付け、除草剤の除草効果を失わせることなく苗に対する除草剤の薬害を軽減する方法において、請求項1に記載の処理剤で根圏域を処理した苗を畑又は水田に植え付けることを特徴とする苗の薬害を軽減する方法。 【請求項5】 除草剤未処理又は除草剤処理畑に播種或いは野菜類の苗を植え付け、除草剤の効果を失わせることなく苗に対する除草剤の薬害を軽減する方法において、播種或いは野菜類の苗の植え付けの前又は後に、播種穴又は溝若しくは苗植え付け穴又は溝に請求項1に記載の処理剤を付与することを特徴とする苗の薬害を軽減する方法。 【請求項6】 除草剤未処理畑に播種或いは野菜類の苗を植え付け、その後に除草剤処理される請求項5に記載の苗の薬害を軽減する方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、除草剤の効果を低下させずに、除草剤による水稲や野菜類の成育が阻害されることを防止し、これらの成育を促進させる除草剤の薬害軽減処理剤及び除草剤の薬害軽減方法に関する。 【0002】 【従来の技術】水稲や野菜などの苗を移植した後、雑草でこれらの苗の成育が阻害されることを防止するために、除草剤が使用されることが多い。除草剤の本来の使用目的は、水田や畑の雑草を防除することである。しかしながら、除草剤は、水稲や野菜類の成育を阻害する場合があり、除草剤を使用しないことが望ましいが、農業従事者の高年齢化を考えると、労力軽減のうえから使用せざるを得ないのが実情である。また、長期に渡り同種又は複数種の除草剤を連用することにより、除草剤の未分解物及び中間分解物が土壌中に蓄積し、これらが水稲や野菜類の成育を阻害することが問題になりつつある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、除草剤本来の作用には影響せず、除草剤の水稲や野菜などの成育を妨げる作用を軽減する処理剤及び除草剤の薬害軽減方法を提供することである。 【0004】 【課題を解決するための手段】上記の目的は以下の本発明によって達せられる。即ち、本発明の第一は、活性炭を分散剤を用いて水中に分散させてなる水稲又は野菜類に対する除草剤の薬害を軽減する処理剤である。本発明の第二は、苗を畑又は水田に植え付けた後に畑又は水田の全面を除草剤で処理し、又は除草剤で全面処理した畑又は水田に苗を植え付け、除草剤の除草効果を失わせることなく苗に対する除草剤の薬害を軽減する方法において、上記の処理剤で根圏域を処理した苗を畑又は水田に植え付けることを特徴とする苗の薬害を軽減する方法及び除草剤未処理又は除草剤処理畑に播種或いは野菜類の苗を植え付け、除草剤の効果を失わせることなく苗に対する除草剤の薬害を軽減する方法において、播種或いは野菜類の苗の植え付けの前又は後に、播種穴又は溝若しくは苗植え付け穴又は溝に請求項1に記載の処理剤を付与することを特徴とする苗の薬害を軽減する方法である。 【0005】 【発明の実施の形態】次に本発明を更に詳細に説明する。本発明で使用する活性炭は特に制限されず、例えば、木炭、木材、おがくず、動物の骨、ヤシ殻、石炭等を原料とし、炭化して製造され、薬品又は水蒸気で賦活した活性炭が挙げられる。又、粉末炭として市販されているもの、粒状炭を粉砕したもの、繊維状のもの等が挙げられる。 【0006】活性炭は、その内部に無数の微細孔を有する多孔質の炭素で、非常に大きな内部表面積を持ち、各所の分子を吸着する性能を有している。活性炭内部の炭素原子の引力により(ファンデアワールス(Wan der Waals))、各種の分子が吸着保持される。 【0007】本発明の水稲及び野菜類に対する除草剤の薬害を軽減するために使用する処理剤は、活性炭を分散剤を用いて水中に分散させた活性炭の水性分散液である。水性分散液中の活性炭の含有量(濃度)は、特に限定されないが、水性分散液の全重量基準で1〜50重量%が好ましく、更に好ましくは10〜30重量%である。使用に際しては水で適当な濃度に希釈して使用される。対象とする水稲や野菜類の種類によって、又、除草剤の種類によっても違いはあるが、例えば、活性炭の含有量が25重量%の水性分散液では、これを10〜100倍、好ましくは25〜50倍に希釈して使用する。 【0008】活性炭は分散剤を用いて水中に分散させるが、本発明で使用する分散剤としては、活性炭の分散効果に優れ、且つ安全衛生上の問題がないものであれば、特に制限なく使用することができる。このような分散剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、シリカゾル等が挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。又、分散剤の使用量も特に限定されないが、分散液中の濃度が0.01〜20重量%(水性分散液の全重量基準)となる量が好ましい。活性炭を水中に分散させるためには、ビーズミルやサンドミル等の従来公知の分散手段が使用される。活性炭は、分散液中の平均粒径が100μm以下となるように分散させることが好ましい。 【0009】水稲や野菜類が雑草によって成育を阻害されることを防止するために、種々の除草剤が使用されるが、除草剤により水稲や野菜類の成育が阻害されることなく、畑又は水田の全面に除草効果を発現させるために、本発明の処理剤である活性炭の水性分散液で水稲や野菜類等の根圏域のみを処理することが重要である。水稲や野菜類の成育の場(畑や水田等)においては、その全体に除草剤が使用されるが、苗(植え付けた苗及び播種からの苗も含む)に対する除草剤の薬害を軽減する処理剤の使用態様は、水稲や野菜類の根圏域のみが処理剤で処理される態様であればどのような態様でもよく、特に制限されない。例えば、畑又は水田の全面を除草剤で均一に処理(例えば、散布等により)した後、処理剤で根圏域が処理された苗を植え付ける態様;処理剤で根圏域が処理された苗を植え付けた後に除草剤で畑や水田を処理する態様;播種や野菜類の苗の植え付けに際し、除草剤処理前の畑の播種穴又は溝あるいは苗植え付け穴又は溝に処理剤を付与(例えば、処理剤を潅注する等)した後に播種又は植え付ける態様;畑の播種穴又は溝あるいは苗植え付け穴又は溝に処理剤を付与した後に播種し又は苗を植え付け、その後に除草剤で処理する態様;これらの態様を組み合わせた態様等が挙げられる。 【0010】 【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中の部及び%は重量基準である。 【0011】実施例1本実施例では、水稲催芽米の水耕栽培における活性炭の水性分散液の、除草剤の存在下及び不存在下の水稲の初期成育に及ぼす効果を示す。粉末活性炭(太閤活性炭S:二村化学工業社製)25部、アニオン性界面活性剤(デモールP:花王社製)2.5部及び水72.5部をビーズミルで活性炭の平均粒径が10μm以下となるまで分散させ、活性炭の水性分散液を得た。 【0012】2000年5月23日に、直径6cmのガラスシャーレに蒸留水又は蒸留水で25倍又は50倍に希釈した活性炭の水性分散液を10ml、又はこれらに除草剤を入れ、それぞれのシャーレに水稲(コシヒカリ)催芽米を10粒浸漬し、25℃の照明付きインキュベーター内で水耕栽培試験を5月29日まで行い、水稲の成育状態を調査した。各処理区についての反復数は3である。結果を表1に示す。 【0013】
表1から、活性炭が水稲の初期成育を促進し、除草剤による成育阻害を防止することがわかる。 【0014】実施例2本実施例では活性炭分散液で処理した水稲(コシヒカリ)稚苗を移植し(2000年5月26日)、除草剤を散布した場合の稲の生育及び除草効果(移植後18日目及び28日目に調査)を示す。水稲稚苗箱に実施例1の活性炭分散液の25倍希釈液を箱(60cm×30cm枠 )あたり500ml潅注した後、代かきした水田に移植深さ3cmで手植え(2本/株、6株/区)し、移植直後に慣行量の2倍の水稲用除草剤を散布した。 水田:試験用20cm×40cm(0.08m2 )枠、土壌:沖積埴壌土(腐植含料2.26%、陽イオン交換容量17.4meq/乾土100g) 試験場所:温室内試験数:2反復調査結果を表2に示す。 【0015】
表2から、除草剤は水稲の成育を阻害する傾向にあるが、活性炭は除草効果を低下させることなく水稲の成育を促進する傾向にあることがわかる。 【0016】実施例3本実施例では、除草剤の存在下の大根(品種:夏みの早生三号)の初期成育に及ぼす活性炭分散液の効果を示す。濾紙を敷いた直径6cmのガラスシャーレに、水で25倍に希釈した実施例1の活性炭分散液を3ml入れ、大根の種子を10粒置床し(2000年5月23日)、25℃の照明付きインキュベーター中で水耕し、初期成育状態を調査した(同年5月29日)。反復数は3である。結果を表3に示す。 【0017】
表3から、活性炭が大根の初期成育を促進することがわかる。除草剤は濃度によっては大根の初期成育を阻害する傾向にあるが、活性炭はこれを防止する。 【0018】実施例4大根(品種:夏みの早生三号)を播種し、除草剤を散布した後の苗の成育に及ぼす活性炭水性分散液の効果を確認した。2000年9月14日播種(畝間60cm、株間25cmに2粒播いた)し、各播種穴に実施例1の処理剤の25倍希釈液を穴当り50ml潅注し、1cmの厚さに覆土した。作物発生前の播種2日後(9月16日)に除草剤(カーブ水和物)を各区(1区画0.6m×2m=1.2m2)に80g/aの割合で散布した。9月28日(2葉期)に間引きを行い、11月19日(播種58日後)に各区5株を抜き取り、異常株を除いた株について最長葉長、大根長、大根径、葉部生重量及び大根生重量部を測定し、平均値を表4に示した。 【0019】
表4の結果から、活性炭水性分散液は、苗の成育を促進する効果があり(No.1(コントロール)とNo.2(参考例)の対比)、除草剤に対する薬害を軽減する効果を有している(No.3(比較例)とNo.4(本実施例)の対比)ことが分かる。又、除草剤の除草効果には活性炭水性分散液は影響せず、比較例と実施例には除草効果の差は認められなかった。 【0020】 【発明の効果】以上の本発明によれば、水稲や野菜類の成育の阻害が軽減され、除草剤本来の除草効果が発現され水稲及び野菜類に対する除草剤の薬害を軽減する処理剤及び軽減方法が提供される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002820 【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年5月11日(2001.5.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077698 【弁理士】 【氏名又は名称】吉田 勝広 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−338406(P2002−338406A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月27日(2002.11.27) |
| 【出願番号】 |
特願2001−142126(P2001−142126) |
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