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【発明の名称】 固形農薬組成物及びその製造法
【発明者】 【氏名】鈴木 雅博

【氏名】山中 誉

【要約】 【課題】固形状農薬組成物の水和剤の希釈時の自己分散性、崩壊性及び懸垂性に優れた固形農薬組成物を提供する。

【解決手段】(1)常温で固体の農薬活性成分の少なくとも1種、(2)アルキルナフタレンスルホン酸塩、(3)平均分子量が6,000以上でナトリウム塩含有率が80重量%以上のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩のホルマリン縮合物、(4)変性リグニンスルホン酸塩、及び(5)キャリヤーを含有してなる固形農薬組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】(1)常温で固体の農薬活性成分の少なくとも1種、(2)アルキルナフタレンスルホン酸塩、(3)平均分子量が6,000以上でナトリウム塩含有率が80重量%以上のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩のホルマリン縮合物、(4)変性リグニンスルホン酸塩、及び(5)キャリヤーを含有してなる固形農薬組成物。
【請求項2】前記変性リグニンスルホン酸塩は、脱糖処理されたリグニンスルホン酸ナトリウム塩である請求項1記載の固形農薬組成物。
【請求項3】前記キャリヤーは、鉱物質担体又は無機酸塩である請求項1記載の固形農薬組成物。
【請求項4】前記無機酸塩は、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の塩酸塩、アルカリ金属の硫酸塩及びアルカリ金属のアンモニウム塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の固形農薬組成物。
【請求項5】前記常温で固体の農薬活性成分は、ベンゾイミダゾール系殺菌剤及びアニリノピリミジン系殺菌剤である請求項1記載の固形農薬組成物。
【請求項6】前記ベンゾイミダゾール系殺菌剤は、チオファネートメチル、ベノミル、MBC及びチアベンダゾールからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項5記載の固形農薬組成物。
【請求項7】前記アニリノピリミジン系殺菌剤は、メパニピリム、ピリメタニル又はシプロジニルである請求項5記載の固形農薬組成物。
【請求項8】押し出し造粒法で製造されてなる請求項1〜7のいずれかに記載の固形農薬組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自己分散性、崩壊性及び懸垂性に優れた固形農薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、殺虫剤、殺菌剤、除草剤等の農薬活性成分は、その物性や目的により水和剤、乳剤、懸濁剤、粉剤等に製剤化され、実用化されている。しかしながら、これらの製剤のうち、乳剤は農薬活性成分を有機溶媒に溶解させて製造されるが、有機溶媒を用いる為、環境汚染や人体に対する安全性の問題がある。また、懸濁剤は農薬活性成分を水中で湿式粉砕することにより製造されるが、農薬活性成分が水中で分散している為、製剤を長期保存する場合に相分離を引き起こす問題がある。さらに、水和剤や粉剤は固体の農薬成分と鉱物性の無機キャリヤー及び界面活性剤を混合し、乾式粉砕することにより製造されるが、粉砕物の粒径は5〜10μmとなっているため、水等で希釈する際の計量時に粉立ちし、人体に対する安全性の問題がある。
【0003】そこで、これらの問題を解決すべく、近年においては、押し出し造粒法で製造する固形状水和剤が開発されている。この固形状水和剤は、固体状の農薬活性成分、鉱物質微粉末担体及び界面活性剤等を混合し、乾式粉砕した後、結合水を添加し、ニーダーで練り込み、直径0.5mm〜2.0mmの多穴板を通過させることによって製造される。
【0004】しかしながら、押出し造粒法により固形状水和剤を製造する場合においては、多穴板を高圧で押し出すため、顆粒硬度が硬くなる。そのため、希釈時の固形状水和剤の自己分散性、崩壊性に悪影響を与え、散布液の調製に手間がかかり、散布時においてはスプレーノズルのつまり等の問題を引き起こしていた。
【0005】この問題を解決すべく、種々の界面活性剤の組み合わせや界面活性剤とキャリヤーとの組み合わせにより、固形状水和剤の希釈物性を改良する方法が提案されている。
【0006】例えば、(a)特開平3−264502号公報には、キャリヤーとしてカオリン系クレーを用い、アルキルナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸塩及びアルキルナフタレンスルホン酸塩等の組み合わせにより、固形状水和剤を製造する旨が記載されている。また、(b)特開平6−219903号公報には、水溶性の無機酸塩、水溶性の有機酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等の組み合わせて調製する固形状水和剤が記載されている。さらに、(c)特開平8−34702号公報には、高純度部分脱スルホン化リグニンスルホン酸塩を用いて調製された固形状水和剤が記載されている。
【0007】しかしながら、上述した(a)〜(c)の固形農薬組成物は、分子量が小さくナトリウム塩含量が低いアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムと、高純度化されていないリグニンスルホン酸ナトリウム又は高純度部分脱スルホン化リグニンスルホン酸塩とを組み合わせて用いるものであり、農薬活性成分の種類によっては、固形状水和剤の希釈時における自己分散性、崩壊性及び懸垂性に優れた製剤を製造することが困難な場合があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる実状に鑑みてなされたものであり、希釈時の自己分散性、崩壊性及び懸垂性に優れた固形農薬組成物を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれば、(1)常温で固体の1種類以上の農薬活性成分、(2)アルキルナフタレンスルホン酸塩、(3)平均分子量が6,000以上でナトリウム塩含有率が80重量%以上のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩のホルマリン縮合物、(4)変性リグニンスルホン酸塩、及び(5)キャリヤーを含有してなる固形農薬組成物が提供される。
【0010】本発明の固形農薬組成物においては、前記変性リグニンスルホン酸塩は脱糖処理された高純度のリグニンスルホン酸ナトリウム塩であり、前記キャリヤーは鉱物質担体又は無機酸塩であり、前記無機酸塩はアルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の塩酸塩、アルカリ金属の硫酸塩及びアルカリ金属のアンモニウム塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上であるのがそれぞれ好ましい。
【0011】また、本発明の固形農薬組成物においては、前記常温で固体の農薬活性成分は、ベンゾイミダゾール系殺菌剤及びアニリノピリミジン系殺菌剤が好ましい。前記ベンゾイミダゾール系殺菌剤としては、チオファネートメチル、ベノミル、MBC及びチアベンダゾールからなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、前記アニリノピリミジン系殺菌剤としては、メパニピリム、ピリメタニル及びシプロジニルから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。さらに、本発明の固形農薬組成物は、押し出し造粒法で製造されてなるのがより好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の固形農薬組成物は、(1)常温で固体の1種類以上の農薬活性成分、(2)アルキルナフタレンスルホン酸塩、(3)平均分子量が6,000以上でナトリウム塩含有率が80重量%以上のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩のホルマリン縮合物、(4)変性リグニンスルホン酸塩、及び、(5)キャリヤーを必須成分として含有してなる。
【0013】前記(1)の農薬活性成分は、常温で固体のものであれば特に制約されない。該農薬活性成分の好ましい具体例としては、チオファネートメチル、ベノミル、MBC、チアベンダゾール等のベンゾイミダゾール系殺菌剤;メパニピリム、ピリメタニル、シプロジニル等のアニリノピリミジン系殺菌剤等が挙げられる。これらの農薬活性成分は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられ得る。これらの中でも、植物病害に対する相乗的な防除効果が得られる点から、ベンゾイミダゾール系殺菌剤の少なくとも1種と、アニリノピリミジン系殺菌剤の少なくとも1種の組み合わせが特に好ましい。
【0014】前記(2)のアルキルナフタレンスルホン酸の塩としては、例えば、ナトリム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
【0015】前記(3)のアルキルナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物としては、平均分子量が6,000以上で、ナトリウム塩含有率が80重量%以上のものであれば特に制約されない。
【0016】前記(4)の変性リグニンスルホン酸塩としては、リグニンスルホン酸のアルカリ金属塩であって、脱糖処理がなされて高純度化されたものであれば特に制約されない。
【0017】前記(5)のキャリヤーとしては、例えば、塩化カリウム、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等の無機塩;珪藻土、ベントナイト、パイロフィライト系クレー及びカオリナイト系クレー等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられ得る。
【0018】本発明の固形農薬組成物には、所望により他の界面活性剤を添加することができる。他の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンのブロックコーポリマー、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンが付加したアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンが付加した脂肪族アミン、ポリオキシエチレンが付加した脂肪属アルコール、ポリオキシエチレンが付加したソルビタンモノ又はトリオレエート等のツイーン系界面活性剤、ソルビタンモノ又はトリオレエート等のスパン系界面活性剤、ポリオキシエチレンが付加したヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンが付加したトリ又はジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンが付加したトリスチリルフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンが付加したジスチリルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンが付加したアルコールエーテル、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物、フェノールスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリカルボン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム及びアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物、フェノールスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物、イソブチレン−無水マレイン酸の共重合体やポリカルボン酸ナトリウム、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム、高級アルコール硫酸エステルナトリウム等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられ得る。
【0019】また、本発明の固形農薬組成物には、湿式粉砕時の泡立ち、希釈時の泡立ちを少なくするために、シリコン系の界面活性剤、高級脂肪酸のナトリウム塩やカルシウム塩又はこれらの混合物、アセチレン系の界面活性剤等の1種又は2種以上をさらに添加することができる。
【0020】本発明の固形農薬組成物中の各成分の組成物全体に対する配合割合は、農薬活性成分の種類によって異なるが、全農薬活性成分が0.01〜90重量%、好ましくは0.01〜80重量%;アルキルナフタレンスルホン酸塩が0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%;平均分子量が6,000以上でナトリウム塩含有率が80重量%以上のアルキルナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物が1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%;変性リグニンスルホン酸塩が1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%;キャリヤーが1〜90重量%、好ましくは1〜70重量%の範囲である。また、他の界面活性剤の配合量は、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下である。さらに、本発明の固形農薬組成物には、所望により5重量%以下、好ましくは3重量%以下の消泡剤が添加されていてもよい。
【0021】本発明の固形農薬組成物は、次のようにして製造することができる。すなわち、先ず、農薬活性成分、アルキルナフタレンスルホン酸塩、平均分子量が6,000以上でナトリウム塩含有率が80重量%以上のアルキルナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、変性リグニンスルホン酸塩、キャリヤー及び所望により他の界面活性剤、消泡剤等を所定量混合して乾式粉砕し、平均粒子径が3〜20μmの微粉体を調製する。次いで、結合水を加えて、ニーダーで練り込み、押し出し造粒することにより製造することができる。この押出し造粒法によれば、本発明の固形農薬組成物を、簡便且つ効率よく製造することができる。
【0022】
【実施例】次に、実施例及び比較例により、本発明を更に詳しく説明する。本発明は下記の実施例に何ら制限されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で各成分の種類及びその配合割合を自由に変更することが可能である。
【0023】実施例1チオファネートメチル600g、メパニピリム150g、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム10g、平均分子量が35,000でナトリウム塩含有率が91%のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物50g、変性リグニンスルホン酸ナトリウム25g、炭酸カルシウム100g及び塩化カリウム65gを混合し、横型ジェットミル(直径3.5インチ)で乾式粉砕し、平均粒子径が6μmの微粉体を得た。次いで、この微粉体1000gに蒸留水を230g加え、BENCH KNEADER(入江商会(株)製)で練り込み、ミクロ型顆粒製造機(筒井理化学器械(株)製)で、平均粒径0.7mmのそうめん状の造粒湿品を作り、送風乾燥機で50℃で12時間乾燥して、実施例1の固形農薬組成物を得た。
【0024】実施例2チオファネートメチル500g、メパニピリム200g、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム10g、平均分子量が6,500でナトリウム塩含有率が89%のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物60g、変性リグニンスルホン酸ナトリウム30g、炭酸カルシウム100g及び塩化カリウム100gを混合し、実施例1と同様に乾式粉砕し、平均粒子径が7μmの微粉体を得た。次いで、この微粉体1000gに蒸留水を250g加え、実施例1と同様にして実施例2の固形農薬組成物を得た。
【0025】比較例1チオファネートメチル600g、メパニピリム150g、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム10g、平均分子量が35,000でナトリウム塩含有率が39%のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物50g、変性リグニンスルホン酸ナトリウム25g、炭酸カルシウム100g及び塩化カリウム65gを混合し、実施例1と同様に乾式粉砕し、平均粒子径が6μmの微粉体を得た。次いで、この微粉体1000gに蒸留水を230g加え、実施例1と同様にして比較例1の固形農薬組成物を得た。
【0026】比較例2チオファネートメチル600g、メパニピリム150g、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム10g、平均分子量が35,000でナトリウム塩含有率が89%のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物50g、リグニンスルホン酸のナトリウム塩とカルシウム塩との混合物(脱糖されていないもの)25g、炭酸カルシウム100g及び塩化カリウム65gを混合し、実施例1と同様に乾式粉砕し、平均粒子径が6μmの微粉体を得た。次いで、この微粉体1000gに蒸留水を230g加え、実施例1と同様にして比較例2の固形農薬組成物を得た。
【0027】比較例3チオファネートメチル500g、メパニピリム200g、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム10g、平均分子量が6,500でナトリウム塩含有率が45%のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物60g、変性リグニンスルホン酸ナトリウム30g、炭酸カルシウム100g及び塩化カリウム100gを混合し、実施例1と同様に乾式粉砕し、平均粒子径が7μmの微粉体を得た。次いで、この微粉体1000gに蒸留水を250g加え、実施例1と同様にして比較例3の固形農薬組成物を得た。
【0028】比較例4チオファネートメチル500g、メパニピリム200g、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム10g、平均分子量が6,500でナトリウム塩含有率が89%のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物60g、リグニンスルホン酸のナトリウム塩とカルシウム塩との混合物(脱糖されていない)30g、炭酸カルシウム100g及び塩化カリウム100gを混合し、実施例1と同様に乾式粉砕し、平均粒子径が7μmの微粉体を得た。次いで、この微粉体1000gに蒸留水を250g加え、実施例1と同様にして比較例4の固形農薬組成物を得た。
【0029】以上のようにして得られた実施例及び比較例の固形農薬組成物を用いて、以下の評価試験を行った。
【0030】試験例100mlの先細スピッチ管に水道水を100ml入れ、上記実施例及び比較例の固形農薬組成物をそれぞれ0.1g投下し、各固形農薬組成物の自己分散性、崩壊性及び懸垂性を評価した。自己分散性は、固形農薬組成物がスピッチ管底部まで落下するときの粒の崩れる様子を目視観察して評価した。崩壊性は、固形農薬組成物投下30秒後にスピッチ管を倒立し、粒が完全に分散するのに必要な倒立回数を測定した。また懸垂性は、固形農薬組成物投下後経時的に沈降量を測定した。
【0031】測定結果を第1表に示す。第1表中、自己分散性は、雲状に分散した場合には◎、全く分散しなかった場合には×、その中間は○、△とし、分散性の度合いを◎>○>△>×の順として評価した。
【0032】
【表1】

【0033】第1表より、実施例1,2の固形農薬製剤は、比較例1〜4の固形農薬製剤に比して優れた自己分散性、崩壊性及び懸垂性を有していることがわかった。
【0034】(試験例2)インゲン灰色かび病防除試験(圃場試験)
ベンゾイミダゾール耐性灰色かび病菌が混在する圃場条件で、実施例1に相当する固形農薬製剤及び市販の各単剤(比較例1、2)の効力確認試験を行った。また、以下に示す手法にて相乗効果の有無を判定した。
【0035】
試験場所:日本曹達(株)榛原農業研究所作物 :インゲン(品種:初みどり2号)
試験規模:1区4.5m2、3反復薬剤処理:インゲンの開花8日後から約10日間隔で3回、実施例1の固形農薬製剤及び市販の各単剤(比較例1:チオファネートメチル70%含有水和剤、比較例2:メパニピリム40%含有乳剤)を所定濃度に水で希釈し、肩掛け式散布器で散布した。最終散布8日後、全株の発病程度を以下の基準で調査し、発病度、防除価を算出した。
【0036】(発病基準と基準値)
発病基準 発病指数発病なし 0莢、茎の病斑面積率:<10% 1莢、茎の病斑面積率:11−25% 2莢、茎の病斑面積率:26−50% 3莢、茎の病斑面積率:>51% 4【0037】
【数1】

【0038】
【数2】

【0039】また、この試験において使用した活性化合物間の相乗効果を、コルビー(Weeds.,15,20−22(1967))の式にて評価した。
【0040】
【数3】

【0041】上記式中、X、Y及びEは次の意味を表す。
X=有効成分薬量pの場合の化合物1による防除価Y=有効成分薬量qの場合の化合物2による防除価E=p+qの場合の化合物1+2による予想防除価(コルビーの理論値)
実際の防除価が理論値(E)より高い場合、この組み合わせ混合物は相乗作用を有するといえる。試験結果及びコルビーの理論値(E)を下記第2表に示す。
【0042】
【表2】

【0043】第2表より、実施例1の固形農薬製剤の防除価はコルビーの理論値(E)より高い防除価を示しており、本発明の有害生物防除組成物は優れた相乗作用を有することがわかる。また、昨今問題となってきているベンゾイミダゾール系殺菌剤に対して耐性を有する灰色かび病菌(ベンゾイミダゾール耐性灰色かび病菌)が混在する圃場においても、相乗効果を有する本実施例の顆粒水和剤を使用することにより、十分な防除効果が得られている。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、希釈時における自己分散性、崩壊性及び懸垂性に優れた固形農薬組成物が提供される。本発明の固形農薬製剤を使用すれば、散布液調製時における労力の省力化を図ることができ、散布時のスプレーノズルのつまり等の問題をなくすことができる。また、本発明の固形農薬製剤を実際に水で希釈して圃場試験で散布した場合にも、室内試験(簡易製剤にて少量散布)した場合と同様に優れた殺菌活性を発揮する。さらに、本発明の固形農薬製剤が農薬活性成分としてベンゾイミダゾール系殺菌剤及びアニノリノピリミジン系殺菌剤の組合せを含有する場合には、これらの殺菌剤の相乗効果により、従来防除が困難であったベンゾイミダール耐性灰色カビ病菌が混在する圃場においても優れた殺菌効果を発揮する。
【出願人】 【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
【出願日】 平成13年9月3日(2001.9.3)
【代理人】 【識別番号】100108419
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 治仁
【公開番号】 特開2002−338402(P2002−338402A)
【公開日】 平成14年11月27日(2002.11.27)
【出願番号】 特願2001−266562(P2001−266562)