| 【発明の名称】 |
防黴防虫シート |
| 【発明者】 |
【氏名】坪井 清浩
【氏名】坪井 圭一郎
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| 【要約】 |
【課題】人やペットすなわち人畜に安全で、黴の発生や菌の繁殖を抑制でき、かつ、虫害を防止することができ消臭が可能な防黴防虫シートを提供する。
【解決手段】シート状基材4に対し、松ヤニ2を熱融着、含浸、又はバインダーと共に接着一体化すると共に、炭3を保持手段により保持させてなる防黴防虫シートであり、炭の保持手段はシート状基材を構成する繊維による包囲、シート状基材の複数層間に形成した収容間隙、溶融松ヤニによる接着、或いはバインダー接着のいずれかである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シート状基材に対し、松ヤニを熱融着、含浸、又はバインダーと共に接着一体化してなる防黴防虫シート。 【請求項2】 シート状基材に対し、松ヤニを熱融着、含浸、又はバインダーと共に接着一体化すると共に、炭を保持手段により保持させてなる防黴防虫シート。 【請求項3】 炭の保持手段が、シート状基材を構成する繊維による包囲、シート状基材の複数層間に形成した収容間隙、溶融松ヤニによる接着、或いはバインダー接着のいずれかである請求項2記載の防黴防虫シート。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、包装に使用したり、各種物品に添わせておくことによって、内容物或いは付近に存在する物品(台所、トイレの便座、バスや浴室の壁、椅子、ソファーなどの家具、靴底等、直接皮膚に触れる物も含む)に対し、黴(かび)の発生や菌の繁殖による腐敗、異臭の発生、虫による害などを防止することができる防黴防虫シートに関するものである。 【0002】 【従来の技術】防黴や防菌のために使用される薬剤として、最近では、無機又は合成された有機化合物の防腐剤が多く採用されている。古くから使用されているものには、ソルビン酸塩、ショウコウ水、ホルマリン、アルコール、クレゾールなどである。 【0003】特開平9-187482号公報には、吸水加工された、抗菌性を有する熱可塑性繊維層と防水層が積層された複合シートが開示されている。用いる抗菌剤としては、無機系抗菌剤の中の銀系抗菌剤、天然系抗菌剤のキトサン、ヒノキチオール、竹・茶・柑橘類種子・柑橘類表皮・カラシ・ワサビ抽出物、ポリリジン、プロタミン等が挙げられている。銀系抗菌剤とは、銀を無機担体に担持させたものであり、担体としてはゼオライトをはじめ、シリカゲル、ガラス、アパタイト、チタニア、リン酸ジルコニウムなど無機化合物を用い、これら無機化合物の一部を銀で置き換えている。この銀が水に溶出し、イオン化することで抗菌性を発揮するとしている。銀系抗菌剤は、特徴としては安全性が高いこと、耐熱性が高いことが挙げられ、特に耐熱性が高いことからポリマーのチップ状態や溶融状態で添加することができ、繊維に練り込むことができるとされている。しかし、価格が高いことが難点である。一方、天然系抗菌剤は、その由来が天然抽出物であることから安全性が高いとされ、特に抗菌効果の高さと抗菌スペクトルの広さとから、青森ヒバから抽出したヒバ油中に含まれるヒノキチオール、柑橘類種子抽出物、アミノ酸L−リジンのホモポリマーであるポリリジン等が有効とされている。しかしながら、抗菌性を有する熱可塑性繊維のみで吸着剤を使用していないので脱臭性に劣る難点がある。 【0004】特開2001-057931号には、脱臭機能を有し、抗菌により排泄物の分解を抑え、分解によるガスの発生を防止する液体吸収性、脱臭抗菌特性を有する脱臭抗菌シートの提供が試みられている。この特開2001-057931号で提案されている発明は、抗菌防黴剤と吸着剤を含有する少なくとも2枚の不織布の間に吸水性ポリマーを熱エンボス加工で封入したシートを液体透過性のシートと液体不透過性のシートとの間に入れ、少なくとも両端部の全面ヒートシール加工により一体化したものであり、水中へ溶出する成分により抗菌防黴性を発現しようとする脱臭抗菌シートである。 【0005】しかし、抗菌性を有する有機化合物が、現在市販されているビグアナイド系、アルコール系、フェノール系、アニリド系、ヨウ素系、イミダゾール系、チアゾール系、イソチアゾロン系、トリアジン系、ニトリル系、フッ素系、トロポリン系、有機金属系、無機金属系のもの、例えば、ピロール系、ピリジン系、ピリミジン系、ピラゾール系、イミダゾール系、ベンズイミダゾール系、1,3,5-トリアジン系、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン系、トリアゾール系、イソオキサゾール系、チアゾール系、ベンゾチアゾール系、チアゾロン系、ベンゾチアゾロン系、イソチアゾロン系、ベンゾイソチアゾロン系、テトラヒドロチアジアジンチオン系などを基本骨格とするものを挙げている。 【0006】また、脱臭抗菌シートで使用される抗菌防黴剤の金属塩の例として、銀、銅、亜鉛、錫、マンガン、コバルト、鉄塩等が挙げられている。この従来例の発明では、前述した含窒素複素環、硫黄原子の少なくともいずれかを含む有機化合物の金属塩である抗菌防黴剤を繊維構造内もしくは表面に密に形成させるのである。 【0007】これらの薬剤は、除菌後の残存率が高く、人の皮膚にとって優しいものでなかつたり、安全度の高いものではない。そこで、特開2000-355506号には、アルコールと水との混合物に保湿剤と消臭・付香剤を所定量配合させたものが提案されている。しかし、アルコールと水との混合物は、乳幼児に対しても安全性が比較的高いし、誰でも簡単に、素早く除菌、消臭、付香ができる利点を有するものの、アルコールがシートから短時間で揮散するため、製品保管時の気密性が問題となるし、使用時にも長時間効果が持続するものではない。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者等は、人やペットすなわち人畜に安全で、黴の発生や菌の繁殖を抑制でき、かつ、虫害を防止することができ、加えて、消臭が可能な防黴防虫シートについて検討した。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記課題を検討した結果、シート状基材に対し、松ヤニを熱融着、含浸、又はバインダーと共に接着一体化してなる防黴防虫シートとした。また、シート状基材に対し、松ヤニを熱融着、含浸、又はバインダーと共に接着一体化すると共に、炭を保持させてなる防黴防虫シートとしたのである。ここにいうシート状基材は、不織布、織布、編布、紙、合成樹脂シート等であって、これらは単独であっても、また、これら素材の中から選択された複数のものをラミネートしても構わない。合成樹脂シートの使用にあたっては、通気性を持たせるために穿孔するとか、連続発泡構造のものを使用することができる。不織布が特に好ましく、スパンボンド法、サーマルボンド法、カード法、エアーレイ法、湿式法等の不織布が用いられ得る。 【0010】シート状基材は包装基材、例えば食品包装、衣類の包装等で用いる場合には、三方又は四方シールされた袋状として使用される。建築基材、例えば、壁紙、天井材、その他の建材、畳、絨毯の内部や、その他の日用品、例えば防虫シート、靴底、家具内配置シートとしての使用目的を持つものでは平面状態のシートを適宜のサイズにして用いる。防虫シートはダニのみならず、白蟻に対しても有効である。 【0011】松ヤニは熱融着、含浸、又はバインダーと共に接着一体化する。松ヤニは融点の75℃付近よりもやや高めに熱して溶融状態とするか、又は適当な溶剤、例えばテレピン油等で溶液とし、シート状基材に塗布、或いは、シート状基材を松ヤニ液中へ浸漬して含浸させる。松ヤニを固形の粉体のままでシート状基材に保持させるには、松ヤニの表面を溶融させて接着するか、又は松ヤニをバインダーを介してシート状基材に接着する。バインダーとしては、例えば、EVA、アクリル系ラテックス、酢ビ系ラテックス、ウレタン系ラテックス、エポキシ系ラテックス、ポリエステル系ラテックス、SBR系ラテックス、NBR系ラテックス、エポキシ系バインダー、フェノール系バインダー、PVA、澱粉等を用いることができる。また、必要に応じて、各種の繊維状バインダーを用いることができる。繊維状バインダーとしては、芯鞘タイプ、並列タイプなどの複合繊維が挙げられる。例えば、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせなどを挙げることができる。また、ビニロンバインダー繊維などの熱水溶融タイプなども使用できる。 【0012】本発明では、更に、炭を保持手段によって保持させて除湿、脱臭、消臭効果を付加させている。炭は、竹炭、木炭、籾殻炭、椰子殻炭、これらの活性炭等を粒状、粉状として用いる。炭を保持させるための手段としては、シート状基材に松ヤニを熱融着、含浸した後又はその前に三方シールする等により袋状とし、内部に炭を充填する。また、シート状のままで使用する建材、畳、絨毯の内部に配置するタイプのものにあっては、炭をバインダーを介してシート状基材に接着してもよい。バインダーとしては、例えば、EVA、PVA、澱粉等を用いることができる。また、前述した各種の繊維状バインダーも必要に応じて用いることができる。更に保持手段として、シート状基材を構成する繊維による包囲もその一つである。例えば紙を構成するセルロース繊維を水中で解繊状態とし、これに粒状の炭を分散した後、抄紙して繊維による包囲を行う。不織布製造過程で繊維間に炭を包囲させることもできる。この後に松ヤニを熱融着又は含浸させることもできる。また、溶融又は溶剤に溶解した松ヤニによる接着保持も炭の保持手段となり得る。 【0013】 【発明の実施の形態】以下実施例によって本発明を詳細に説明する。図1は本発明の防黴防虫シート1の実施例の断面図である。この防黴防虫シート1はポリプロピレン繊維製不織布のシート状基材4に対し、松ヤニ2を80℃で溶融して液状としたものを含浸させ、松ヤニ2の溶液が固化しないようほぼ80℃に保温した状態で、表面へ炭3として粒状の竹炭を付着させた構造である。この場合炭の保持手段は溶融状態にある松ヤニの粘着力と固化後の接着力によるものであるが、粒状の炭(竹炭)3の付着を更に強固にするために、必要に応じて前記バインダーのいずれか(例えばEVA)を使用する。この構造のものは建築基材の例えば壁紙等に使用できる。ここで、炭3を用いない場合でも、松ヤニ2のみで充分防黴、防虫シートとしての性能を発揮する。 【0014】図2の例は、古紙由来のセルロース繊維を水中で解繊状態とし、抄紙する過程でセルロース繊維層5が所定の厚みとなったところで、これに粒状の炭(木炭)3を分散した後、更に抄紙してセルロース繊維5による包囲を行ってシート状基材4とし(使用対象によっては、バインダーとして例えばPVAを添加する)、その後85℃に加熱した液状の松ヤニ2を表面に流して融着させて防黴防虫シート1とした。この構造のものは炭3がシート表面に露出しない構造であるから、人やペットを含む他のものとの接触が考えられるものの基材に使用可能である。 【0015】図3は、松ヤニ2を溶融状態で含浸させた不織布のシート状基材4の上下2層間に形成した収容間隙6に炭(竹炭)3を充填保持させた防黴防虫シート1の実施例の拡大断面図を示す。収容間隙6の大小は炭3の保持量に関係するので、使用目的によって大小調整した仕様とすることができる。防黴防虫シート1が剛性を必要とする場合には、図4に示すように更に表面又は裏面へ補強シート7を貼り合わせることができる。補強シート7としては、通気性が必要とされる場合には、段ボール紙、繊維集積板、連続発泡合成樹脂板、合成樹脂多孔板、金属多孔板等のシート状のものを用いることができる。 【0016】次に本発明の防黴防虫シートを使用態様によって説明する。図5は建築基材として壁紙8に用いた例の一部破断斜視図である。家屋の壁下地9に対し、表面材10と本発明の防黴防虫シート1とからなる壁紙8が張られている。防黴防虫シート1はこの例では図1又は2に示す構造のものが使用でき、壁下地9に対し粘着材、例えば、酢ビ系ラテックス、ウレタン系ラテックス、NBR系ラテックス等で貼ることができる。問題となる壁面での虫の害と黴の発生を松ヤニが防ぎ、かつ、結露や部屋の臭いを炭が無くする特徴を有している。天井材、床材等にも同様に使用できる。更に、炭の持つ遠赤外線放射作用と、マイナスイオン効果によって、快適な生活空間を提供することができる。 【0017】図6は本発明の防黴防虫シート1を畳11の畳表12とクッションボード13との間に用いた例を示す。防黴防虫シート1が炭を有している場合は、適度に吸湿して表面の乾きを維持し、松ヤニが除菌の働きをするので、黴の発生や異臭の発生を防ぐことができる。更に家ダニの繁殖を排除することができる。炭を有しているだけでは、黴の発生が避けられないのを本発明の防黴防虫シート使用によって解決している。また、従来の化学薬品による防虫加工では健康面への影響が懸念されていたのを松ヤニという天然品の安全なものの使用によって防黴防虫を可能にしたのである。 【0018】図7は衣類を収納するタンスの抽出(ひきだし)14の内部に本発明の防黴防虫シート1を配置した場合の一部破断正面図である。抽出14内に松ヤニの香気が充満して衣類15の虫害を防ぎ、炭が適度に乾燥状態を保つので、衣類を守ると共に、生活空間の安全を維持することができる。 【0019】図8は衣服の包装カバー(保管カバー)16の前布17に本発明の防黴防虫シート1を用いた例である。前布17の基材は薄手の不織布の繊維内に炭の粉を保持させると共に、炭の粉が飛散しないようにバインダーで固定保持させ、更に不織布の片側表面から松ヤニのテレピン油溶液を吹き付け処理し、80℃で乾燥させたものである。衣服を長期間に亘って虫害と黴の発生から保護することができる。 【0020】図9は本発明の防黴防虫シート1を用いた靴の中敷18の一部破断斜視図である。防黴防虫シート1は図2の実施例の構造のものを縁取りしている。汗を炭とセルロース繊維が吸収すると共に、松ヤニが細菌の繁殖を防ぐので、靴を脱いだ時の臭いもしないし、たとえ、靴中に臭気が発生しても炭がそれを吸着して外部に出さない。更に、炭の遠赤外線放射作用と、マイナスイオン効果によって、快適な履き心地が得られるのである。 【0021】次に、シート中に松ヤニを10g/m2を保持させた場合の黴抵抗性試験の結果を示す。シートの素材はポリエステル不織布である。試験方法は、JIS Z 2911 6.2.2(繊維製品の試験;湿式法)によるもので、無機塩寒天培地平板上に試料を貼付し、指定の黴4株の胞子懸濁液を噴霧し、27±1℃で14日間培養した。その結果を表1に示す。 【0022】 【表1】
【0023】表1にみられるように、不織布が松ヤニを付与されることによって、表示3の「黴の発生を認めない」といった、驚異的な作用を得ている。このことは、天然で得られる防黴剤に殆どみられないものである。 【0024】 【発明の効果】本発明によって、人やペットすなわち人畜に安全で、黴の発生や菌の繁殖を抑制でき、かつ、虫害を防止することができ、しかも、炭を併用することによって、消臭が可能な防黴防虫シートの提供を可能にした。この防黴防虫シートは使用態様が多岐にわたって可能である。炭の持つ遠赤外線放射作用と、マイナスイオン効果によって、快適な生活空間を提供することもできるのである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】397051070 【氏名又は名称】株式会社ツボイ
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| 【出願日】 |
平成13年4月24日(2001.4.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075960 【弁理士】 【氏名又は名称】森 廣三郎 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−322012(P2002−322012A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月8日(2002.11.8) |
| 【出願番号】 |
特願2001−125705(P2001−125705) |
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