| 【発明の名称】 |
植物生長調節剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 久之
【氏名】舘 巌
【氏名】寺尾 啓二
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| 【要約】 |
【課題】入手性が容易で、施用方法も簡便で、かつ植物に対して広い作用スペクトルを有する植物生長調節剤、ならびにこのような植物生長調節剤を用いた植物の生長促進方法、植物の病気の予防方法および果実の糖度の増加方法を提供する。
【解決手段】ヨウ素−シクロデキストリン包接化物全質量に対して、5〜35質量%のヨウ素を含有するヨウ素−シクロデキストリン包接化物を含む植物生長調節剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ヨウ素−シクロデキストリン包接化物全質量に対して、5〜35質量%のヨウ素を含有するヨウ素−シクロデキストリン包接化物を含む植物生長調節剤。 【請求項2】 ヨウ素−シクロデキストリン包接化物におけるヨウ素の含有量が、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物全質量に対して、19〜25質量%である、請求項1記載の植物生長調節剤。 【請求項3】 該シクロデキストリンはβ−シクロデキストリン及びこれらの化学修飾体からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2記載の植物生長調節剤。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の植物生長調節剤を含む溶液中に植物の種子を予め浸漬することからなる、植物の生長促進方法。 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の植物生長調節剤を含む溶液を、植物を生育させる土壌または植物の茎、葉若しくは根元に噴霧することからなる、植物の生長促進方法。 【請求項6】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の植物生長調節剤を含む溶液を、植物を生育させる土壌または植物の茎、葉若しくは根元に噴霧することからなる、果実の糖度の増加方法。 【請求項7】 ヨウ素−シクロデキストリン包接化物全質量に対して、5〜35質量%のヨウ素を含有するヨウ素−シクロデキストリン包接化物を含む収穫向上剤。 【請求項8】 穀物類の収穫の向上に使用される、請求項7に記載の収穫向上剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、植物生長調節剤、ならびにそれを用いた植物の生長促進方法、植物の病気の予防方法および果実の糖度の増加方法に関するものである。詳しくは、本発明は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物を有効成分として含有する植物生長調節剤、具体的には植物生長促進剤、種子処理剤、種子コート剤、発芽促進剤、生長補助剤、収穫向上剤、光合成促進剤、病原菌抑制剤、糖度向上剤、茎葉処理剤、灌注処理剤および肥料組成物等、ならびにそれを用いた植物の生長促進方法、植物の病気の予防方法および果実の糖度の増加方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】植物の様々な生理現象に影響を与える物質を総称して、植物生長調節物質と呼んでおり、例えば、植物の生長を促進させる植物生長促進剤、種子処理剤、種子コート剤、発芽促進剤、生長補助剤、収穫向上剤、光合成促進剤、病原菌抑制剤、糖度向上剤、茎葉処理剤などがこれに含まれる。また、これらの中には、高等植物に広く分布し、それらの基本的な生理現象を微量で制御している植物ホルモンをはじめ、植物ホルモンとして認められていないが自然界に存在し植物に対して種々の生理活性を示す物質や、農業生産面で作物などの生理現象の制御に用いられている植物化学調節剤など、応用面で重要な物質群も含まれている。 【0003】人類は、その生存を維持するために必要な食料を確保するために、意識的に高等植物を栽培するようになり、今日に至るまで農業が盛んに行なわれている。この過程で、人類は高等植物の示す生理現象を巧みに利用し、その生産性を高めてきたが、この農業生産の場で見出された知識や技術が、生物学、植物生理学、植物病理学などの研究分野に、重大なかつ示唆に富んだ問題を提起してきた。例えば、かつて稲作の重要な病害であったイネ馬鹿苗病の病原性を追究していく過程で、植物ホルモンの一種であるジベレリンが発見され、また、生長抑制型の植物ホルモンであるアブシジン酸はワタの幼果の落果を促進する物質として単離されたものである。さらに、最も構造の簡単な植物ホルモンであるエチレンは、果実の登・成熟という問題のなかからその重要性が認められたものである。 【0004】このように、多種多様の植物生長調節物質が農業生産の場から見出されたばかりでなく、植物の生理現象に関与する物質についての知識の蓄積はそれらの農業面への応用へと発展してきている。 【0005】しかしながら、上記したように植物ホルモンを植物生長調節剤として用いる場合には、植物ホルモンを植物を抽出・単離・精製することによって一般的に得るが、このような方法では植物ホルモンは微量でしか得られない。また、このような問題を克服するために、植物ホルモンを化学的合成方法によって製造することが考えられるが、この場合でも化学的合成方法は多工程を要するものが多く、副生成物によっては安全性などに問題が生じる。このような欠点に加えて、植物ホルモンは、植物の一部にのみ特異的に発現して作用したり、施用する時期、量及び方法等により植物ホルモンの作用機序が異なる場合があり、実用性に欠けるという問題もあった。例えば、アブシジン酸は、冬芽等の植物の休眠現象の誘導、葉や果実の脱離、気孔の開閉の制御、離層形成に関与しており、この他に、細胞分裂の誘起、細胞増殖の促進及び不定芽形成の促進等が知られているが、特定の植物種でのみ見られる効果も多い。不定芽形成においては、形態異常の抑制や休眠の誘起が知られており、人工種子の作製時において有益であると考えられている。また、アブシジン酸で処理された培養細胞は、耐凍性を示すことが報告されており、細胞、組織、種子、球根および幼苗等の長期保存への利用が考えられている。しかしながら、アブシジン酸の化学合成が困難であり高価なため、一般的に利用されるには至っていない。 【0006】したがって、このような経緯から、入手性が容易で、施用方法も簡便で、かつ植物に対して広い作用スペクトルを有する植物生長調節剤の開発は、長く植物関係者から強く望まれていた。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の目的は、入手性が容易で、施用方法も簡便で、かつ植物に対して広い作用スペクトルを有する植物生長調節剤を提供することである。 【0008】本発明の他の目的は、このような植物生長調節剤を用いた植物の生長促進方法、植物の病気の予防方法および果実の糖度の増加方法を提供することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヨウ素に対するシクロデキストリン量を適宜調整してシクロデキストリン中にヨウ素を包接したヨウ素−シクロデキストリン包接化物について詳細に検討した結果、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物は、特異の臭気や刺激性を持たず、またこのようなヨウ素−シクロデキストリン包接化物を含む溶液中に予め浸漬した植物の種子は無処理のものに比して、発芽は抑制されるものの、発芽後はより迅速にかつより多くの収穫量で生育すること、およびヨウ素−シクロデキストリン包接化物を含む溶液を噴霧しながら生育させた植物は噴霧されないものに比して良好に生育することを見出した。 【0010】本発明者らはまた、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物は水などに溶解されると中に包接されたヨウ素と水分子とが置換して、ヨウ素が水中に遊離し、これにより細菌等に対して強い殺菌・抗菌特性を発揮でき、これにより子嚢菌類ウドンコカビ科の病原菌によるうどんこ病が有効に予防できることをも知得した。 【0011】本発明者らはさらに、このようなヨウ素−シクロデキストリン包接化物は、不安定で長期保存に適さないヨウ素が長期間安定した形態で包接している上、極めて広範囲に異なるヨウ素量を含有しているため、ヨウ素の本来の機能である抗菌・防黴効果に加えてシクロデキストリンの本来の機能である消臭効果をヨウ素とシクロデキストリンの混合比率によって適宜調節できるため、重炭酸カリウムなどと組合わせて土壌に混合することにより、シクロデキストリンにより土壌に何等異臭をはなたずに、重炭酸カリウムが本来有している光合成促進効果や病原菌抑制効果を相乗的に合わせ持った植物の生長補助作用を発揮できることをも見出した。 【0012】本発明者らは、上記知見に加えて、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物を含む溶液を花やその周辺の葉に噴霧しながら生育させると、その果実の甘味(糖度)や甘味比が有意に増すことを見出した。 【0013】上記知見に基づいて、本発明は完成されるに至った。 【0014】すなわち、上記諸目的は、下記(1)〜(14)によって達成される。 【0015】(1) ヨウ素−シクロデキストリン包接化物全質量に対して、5〜35質量%のヨウ素を含有するヨウ素−シクロデキストリン包接化物を含む植物生長調節剤。 【0016】(2) ヨウ素−シクロデキストリン包接化物におけるヨウ素の含有量が、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物全質量に対して、19〜25質量%である、前記(1)記載の植物生長調節剤。 【0017】(3) 前記シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン及びこれらの化学修飾体からなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記(1)または(2)記載の植物生長調節剤。 【0018】(4) 前記シクロデキストリンは、β−シクロデキストリン及びこれらの化学修飾体からなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記(3)記載の植物生長調節剤。 【0019】(5) 前記ヨウ素−シクロデキストリン包接化物は、ヨウ素をヨウ素溶解助剤含有溶液中に、ヨウ素1モル:ヨウ素溶解助剤1.5〜5モルの割合で溶解した後、これにヨウ素1モルに対して0.42〜4.2モルのシクロデキストリンを添加してヨウ素−デキストリン包接化合物を析出させることによって製造される、前記(1)〜(4)のいずれか一に記載の植物生長調節剤。 【0020】(6) 前記ヨウ素−シクロデキストリン包接化物は、シクロデキストリンを添加して得たスラリーを温度80〜100℃に加熱した後に冷却して前記ヨウ素−デキストリン包接化合物を析出させることによって製造される、前記(1)〜(5)のいずれか一に記載の植物生長調節剤。 【0021】(7) 前記ヨウ素溶解助剤は、水素原子またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属とハロゲン原子とのハロゲン化物である、前記(5)または(6)に記載の植物生長調節剤。 【0022】(8) 前記ハロゲン原子は、塩素、臭素またはヨウ素である、前記(7)に記載の植物生長調節剤。 【0023】(9) 前記ハロゲン化物は、ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムである、前記(7)に記載の植物生長調節剤。 【0024】(10) 前記(1)〜(9)のいずれか一に記載の植物生長調節剤を含む溶液中に植物の種子を予め浸漬することからなる、植物の生長促進方法。 【0025】(11) 前記(1)〜(9)のいずれか一に記載の植物生長調節剤を含む溶液を、植物を生育させる土壌または植物の茎、葉若しくは根元に噴霧することからなる、植物の生長促進方法。 【0026】(12) 前記(1)〜(9)のいずれか一に記載の植物生長調節剤を含む溶液を、植物を生育させる土壌または植物の茎、葉若しくは根元に噴霧することからなる、果実の糖度の増加方法。 【0027】(13) ヨウ素−シクロデキストリン包接化物全質量に対して、5〜35質量%のヨウ素を含有するヨウ素−シクロデキストリン包接化物を含む収穫向上剤。 【0028】(14) 穀物類の収穫の向上に使用される、前記(13)に記載の収穫向上剤。 【0029】 【発明の実施の形態】本発明の第一は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物全質量に対して、5〜35質量%、特に好ましくは19〜25質量%のヨウ素を含有するヨウ素−シクロデキストリン包接化物を含む植物生長調節剤である。 【0030】本発明の第一の植物生長調節剤は、ヨウ素の包接量の保持および放出の制御が容易であり、用途に応じてヨウ素及びシクロデキストリンの存在比を適宜調節して、所望とする効果、例えば、植物の生長促進効果、病気の予防効果や果実の糖度の増加効果を調整することができる。なお、本発明によるヨウ素−シクロデキストリン包接化物は、シクロデキストリンの添加量を調整することで所望の包接量のヨウ素−シクロデキストリン包接化物が得られ、ヨウ素の包接量によって着色の程度には若干の相違があるもの、いずれもヨウ素特有の臭気はほとんど持たないので、土壌などに混合されてもヨウ素特有の臭気は発生しない。 【0031】また、本発明の第一の植物生長調節剤は、哺乳動物においては必須栄養素の一つであるヨウ素及び食品添加物として認可されているシクロデキストリンからなるヨウ素−シクロデキストリン包接化物を含むため、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物は高い安全性を有するものである。したがって、本発明によるヨウ素−シクロデキストリン包接化物、水などとの接触によりこれから放出されたヨウ素またはシクロデキストリンが植物中に吸収されたとしても、その植物はヒトやウシ、ブタ、ヒツジ等の哺乳動物やニワトリ等の家畜により安全に食されることができ、さらにこのような植物を食した家畜(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ニワトリなど)の肉も安全に食することができる。 【0032】本明細書において、「植物生長調節剤」とは、上記したように、植物の様々な生理現象に影響を与える物質を意味し、例えば、植物生長促進剤、種子処理剤、種子コート剤、発芽促進剤、生長補助剤、収穫向上剤、光合成促進剤、病原菌抑制剤、糖度向上剤、茎葉処理剤、灌注処理剤および肥料組成物などを包含する。 【0033】本発明によるヨウ素−シクロデキストリン包接化物は、特定の割合のヨウ素及びシクロデキストリンからなるものである。この際、ヨウ素は、特に制限されるものではなく、市販品をそのまま使用しても;ヨウ化カリウムと重クロム酸カリウムとを加熱蒸留する若しくはヨウ化カリウム溶液を硫酸銅溶液で酸化することによる等の合成によって得ても;海藻を焼いた灰の中に存在するヨウ化物を電解する、酸化マンガン(IV)と硫酸とを加えて酸化する若しくは塩素を通じて酸化することによって得ても;またはチリ硝石若しくは鉱泉中に含まれるヨウ素酸塩を亜硫酸水素ナトリウムで還元する、若しくは亜硫酸水素ナトリウム及び硫酸銅を用いてヨウ化銅(I)の形態として沈殿させ、これを酸化マンガン(IV)及び硫酸、若しくは酸化鉄(III)及び硫酸を用いて酸化するなどの公知の方法によって製造してもよい。 【0034】また、本発明によるヨウ素−シクロデキストリン包接化物において、シクロデキストリンもまた、特に制限されるものではなく、市販品をそのまま使用しても、またはデンプンにBacillus macerans由来のアミラーゼを作用させることなどの公知の方法によって製造してもよい。なお、本明細書において、「シクロデキストリン」は、それぞれ6、7及び8個の環状α−(1→4)結合したD−グルコピラノース単位から構成されるα−、β−及びγ−シクロデキストリンを包含するのみならず、例えば、メチル体、プロピル体、モノアセチル体、トリアセチル体及びモノクロロトリアジニル体等の、これらの化学修飾体をも包含するものである。本発明において使用されるシクロデキストリンの市販品の具体例としては、CAVAMAX W6及びCAVAMAX W6 Pharma(いずれも、ワッカーケミカルズ イーストアジア株式会社製)として市販されるα−シクロデキストリン;CAVAMAX W7及びCAVAMAX W7 PHARMA(いずれも、ワッカーケミカルズ イーストアジア株式会社製)として市販されるβ−シクロデキストリン;CAVAMAX W8、CAVAMAX W8 Food及びCAVAMAX W8 Pharma(いずれも、ワッカーケミカルズ イーストアジア株式会社製)として市販されるγ−シクロデキストリン;CAVASOL W7 M、CAVASOLW7 M Pharma及びCAVASOL W7 M TL(いずれも、ワッカーケミカルズ イーストアジア株式会社製)として市販されるメチル−β−シクロデキストリン;CAVASOLW7 HP及びCAVASOL W7 HP Pharma(いずれも、ワッカーケミカルズ イーストアジア株式会社製)として市販されるヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン;CAVASOL W7 A(いずれも、ワッカーケミカルズ イーストアジア株式会社製)として市販されるモノアセチル−β−シクロデキストリン;CAVASOL W7 TA(いずれも、ワッカーケミカルズ イーストアジア株式会社製)として市販されるトリアセチル−β−シクロデキストリン;ならびにCAVASOL W7 MCT(いずれも、ワッカーケミカルズ イーストアジア株式会社製)として市販されるモノクロロトリアジニル−β−シクロデキストリンなどが挙げられる。これらのうち、安全性などを考慮すると、食品添加物として認可されるβ−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンならびにこれらの化学修飾体が好ましく使用され、特にヨウ素−シクロデキストリン包接化物内へのヨウ素の包接量の調整が容易である点を考慮すると、β−シクロデキストリン及びこの化学修飾体がシクロデキストリンとして最も好ましく使用される。 【0035】また、本発明の第一において、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物全質量に対して、5〜35質量%のヨウ素を含有するものであるが、好ましくはヨウ素の含有量は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物全質量に対して、好ましくは10〜30質量%、より好ましくは19〜25質量%である。なお、「ヨウ素−シクロデキストリン包接化物全質量に対して、19〜25質量%のヨウ素を含有するヨウ素−シクロデキストリン包接化物」とは、ヨウ素をシクロデキストリン中に、ヨウ素1モル:シクロデキストリン0.67〜1モルの割合で包接されるヨウ素−シクロデキストリン包接化物に相当する。 【0036】本発明において、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の製造方法は、本発明の第一の植物生長調節剤で好適に使用されるヨウ素−シクロデキストリン包接化物が製造できる方法であれば特に制限されるものではなく、公知の方法またはこれらの組合わせが同様にして使用できる。以下、本発明によるヨウ素−シクロデキストリン包接化物の製造方法の好ましい一実施態様を説明するが、本発明は下記実施態様に限定されるものではないことはいうまでもない。 【0037】すなわち、ヨウ素をヨウ素溶解助剤含有溶液中に、ヨウ素1モル:ヨウ素溶解助剤1.5〜5モルの割合で溶解した後、これにヨウ素1モルに対して0.42〜4.2モルのシクロデキストリンを添加してヨウ素−デキストリン包接化合物を析出させることによって、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物を製造する。 【0038】上記実施態様では、ヨウ素(I2)1モルに対してヨウ素溶解助剤を1.5〜5モル使用してヨウ素を溶解させる。このように、ヨウ素溶解助剤の使用量をヨウ素の1.5モル比以上5モル比以下という一定範囲内に調節することによって、従来(例えば、ヨウ素溶解助剤1モルに対して1モルのヨウ素を溶解した場合、常温で2日以上)に比して、短時間で(例えば、常温で30〜60分)ヨウ素を全て溶解することができる。 【0039】また、従来では、例えば、ヨウ素溶解助剤1モルに対して1モルのヨウ素を溶解した溶液にシクロデキストリンを添加した場合のヨウ素の包接量も不明であったため、例えば、ヨウ素溶解助剤としてヨウ化カリウムを使用した場合には、KIとI2によってKI3が形成され、これがそのままシクロデキストリン内に包接されると考えることもできた。これに対して、ヨウ素とヨウ素溶解助剤量を上記範囲に調整して溶解し、これにシクロデキストリンを添加すると、結果的にI2がシクロデキストリンに包接されることが判明した。しかも、ヨウ素とシクロデキストリンの包接量は等モルに限られず、シクロデキストリン量を調整することによって、ヨウ素をシクロデキストリン内に包接される量を制御できることが判明したのである。すなわち、ヨウ素とβ−シクロデキストリンとが等モル比である場合には、ヨウ素の最高濃度が、約18.3質量%[I2/(シクロデキストリン+I2)]となるはずであるが、上記実施態様によれば、19質量%を超えるヨウ素含量のヨウ素−シクロデキストリン包接化物が得られるのである。しかも該ヨウ素−シクロデキストリン包接化物は、ヨウ素特有の臭気を持たないものである。このようなことは従来全く知られていなかったことである。この理由については明確でないが、従来と異なり、シクロデキストリン1モルに対して1モルのヨウ素がそのまま包接される場合に限られず、例えば2モルのシクロデキストリンが互いに向き合ってより大きな籠状体を形成し、この中にヨウ素が3モル包接される場合が考えられる。 【0040】このようなヨウ素溶解助剤としては、水素原子、またはリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、またはマグネシウム、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属と、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子とのハロゲン化物が好ましく、該ハロゲン原子が塩素、臭素またはヨウ素であることがより好ましい。このようなヨウ素溶解助剤としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化バリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化バリウム等が挙げられる。これらのうち、ヨウ素の溶解性に優れる点で、ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムを使用することが好ましい。上記ヨウ素溶解助剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよいが、好ましくは単独で使用される。 【0041】上記実施態様では、ヨウ素溶解助剤をヨウ素の1.5〜5モル倍、より好ましくは1.5〜3.0モル倍、特に好ましくは1.8〜2.2モル倍の量で使用される。この際、ヨウ素溶解助剤の使用量がヨウ素の1.5モル倍を下回ると、ヨウ素の溶解性に劣り、その一方、ヨウ素の5モル倍を超えてもヨウ素の溶解性に変化が少なく経済的に好ましくない。 【0042】上記実施態様では、上記範囲でヨウ素を溶解したヨウ素溶解助剤含有溶液に、ヨウ素1モルに対して0.42〜4.2モルのシクロデキストリンを添加する。従来ではシクロデキストリンに対するヨウ素の包接量は等モルと考えられていたが、上記実施態様によるようにシクロデキストリンの添加量を調整することによって、ヨウ素の包接量を広範囲に制御できることが判明した。シクロデキストリンの添加量は、ヨウ素1モルに対して、より好ましくは0.5〜2モル、特に好ましくは0.67〜1モルである。この際、シクロデキストリンの添加量が4.2モルを超えても、得られたヨウ素−シクロデキストリン包接化物内のヨウ素の包接量が少なくなり、その一方、0.42モルを下回っても包接量を更に増加させることが困難だからである。なお、シクロデキストリンを添加すると目的物たるヨウ素−シクロデキストリン包接化物がスラリー中に析出するが、溶解を促進するために撹拌することが好ましい。なお、溶液中に析出したヨウ素−シクロデキストリン包接化物は沈殿するため、これを瀘別し、または遠心分離などによって分取し、乾燥するとヨウ素−シクロデキストリン包接化物を結晶又は粉末状で得ることができる。 【0043】この遠心分離は、目的物を分離できればよく、一般には400〜900Gで、10〜40分、より好ましくは500〜800Gで、20〜50分、特に好ましくは600〜700Gで、30〜60分である。 【0044】一方、上記実施態様では、シクロデキストリンを添加した溶液を80〜100℃の温度に加温すると、その後の沈殿物のダイラタンシーを極めて効果的に抑制できることが判明した。シクロデキストリンを添加した溶液を、より好ましくは85〜95℃、特に好ましくは88〜92℃の温度に加温する。該温度が80℃未満の場合には、加熱による効果が十分でなく、ダイラタンシーの抑制が不十分である。その一方、該温度が100℃より高い場合には、蒸発したヨウ素蒸気が器壁にふれて冷却されヨウ素が析出固着し操作に支障をきたす。ダイラタンシーは、比較的大きい粒子のペーストが、急激な強い外力の作用で液体を内部に吸い込んで膨脹し固化する現象であり、外力を除けば再び流動性を回復する。すなわち、粒子のパッキング状態が急激な外力によって一時的に変わることから起こる現象である。上記加温処理を怠ると、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物を分離する際にヨウ素−シクロデキストリン包接化物の湿ケーキのダイラタンシーを起こし容易にサラサラの湿結晶を得ることができないばかりか、このまま乾燥機で乾燥すると大きなインゴットとなり多大な手間が必要となる。このため、単に加熱処理を行うだけで次工程の操作が簡便になることは、生産効率の向上に対する貢献度が高い処理といえる。 【0045】このような加熱は、反応器外周を加熱ジャケットで被覆し、これに上記液温となるように熱媒を循環させるなどの方法で容易に行うことができる。この加熱時間は、該高温になってから0〜3時間、より好ましくは0〜2時間、特には、0〜1時間である。3時間を超えてもダイラタンシー抑制効果に変化が少なく、生産効率をおとす。 【0046】また、加熱後の析出物を含むスラリーは、沈殿物を析出させるために、0〜40℃、より好ましくは5〜30℃、特に好ましくは10〜20℃の温度にまで冷却する。冷却後に得た析出物は、上記と同様に遠心分離によって分取することができる。また、分取後の析出物を水洗してもよく、付着するヨウ素やヨウ素溶解助剤を除去することができる。 【0047】上記実施態様では、更に、該ヨウ素−デキストリン包接化合物を析出させて得た分離液を、ヨウ素溶解助剤含有溶液として再使用することができ、これは環境上及び経済上の観点から好ましいことである。上記のように、上記実施態様ではヨウ素とヨウ素溶解助剤とを特定範囲で溶解し、これにシクロデキストリンを所望量添加することによって、所望の包接量のヨウ素を包接するヨウ素−シクロデキストリン包接化物を得ることができる。この際重要なことは、該ヨウ素−シクロデキストリン包接化物は、シクロデキストリン内にヨウ素のみを包接するものであることが明確となり、これはヨウ素の包接量やヨウ素溶解助剤の使用量によっても変化しないのである。このことによって、上記析出物を分取した後の分離液には、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の製造工程の当初に添加したのと同量のヨウ素溶解助剤が含まれることが判明し、よってこれを連続的な製造工程で再利用すると、新たにヨウ素とシクロデキストリンとを供給するだけで、極めて生産性の高いヨウ素−シクロデキストリン包接化物を製造できるのである。しかも、上記のように、シクロデキストリンに対するヨウ素の包接量は、ヨウ素溶解助剤の使用量には何ら影響を生じないため、同一ラインで、添加するシクロデキストリン量を変化させるだけで、異なる包接量のヨウ素−シクロデキストリン包接化物を製造することができるのである。 【0048】本発明の第一の植物生長調節剤は、上記したようにしてヨウ素−シクロデキストリン包接化物全質量に対して、5〜35質量%のヨウ素を含有するようにして製造されるヨウ素−シクロデキストリン包接化物を必須成分として含むものである。この際、本発明の第一の植物生長調節剤は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物のみからなるものであってもあるいは他の成分をさらに含むものであってもよい。後者の場合、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の含有量は、植物生長調節剤の全質量に対して、10〜90質量%、好ましくは50〜80質量%である。この際、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の含有量が10質量%未満であると、本発明によるヨウ素−シクロデキストリン包接化物による植物の生長促進効果、病気の予防効果や果実の糖度の増加効果が十分発揮されず、好ましくない。 【0049】また、本発明の植物生長調節剤中に添加されてもよい他の成分としては、ビタミンA、B、C、D、E、K等のビタミン類;セルロース、デンプン、イヌリン等の糖類;ロイシン、イソロイシン、バリン、スレオニン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン等のアミノ酸類;DNA、RNA等の核酸類;有機酸類;アルコール;窒素、リン、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、イオウ、鉄、銅、マンガン、亜鉛、塩素、ホウ素、モリブデン、モリブデン酸、珪素、コバルト、ナトリウム等の他の肥料成分;ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロースなどの賦形剤;希釈剤、充填剤、担体、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱油等の潤滑剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、ヒドロキシ安息香酸メチル及びヒドロキシ安息香酸プロピル等の防腐剤、甘味剤ならびに着香料などが挙げられる。また、本発明の植物生長調節剤は、例えば、うどんこ病等の植物の病気の予防を目的として使用される場合には、必要であれば、ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系及びモノバクタム系抗生物質等のβ−ラクタム系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、クロラムフェニコール、リンコマイシン、ホスホマイシンならびにペプチド系抗生物質などの、他の公知の抗生物質を含んでいてもよい。これらの他の成分は、単独で添加されてもあるいは2種以上の混合物の形態で添加されてもよい。 【0050】また、本発明の植物生長調節剤は、植物ホルモン、殺菌剤、殺虫剤、殺鼠、除草剤、誘引剤、忌避剤、化学不妊剤、補助剤などの農薬や堆肥、厩肥、下肥、緑肥など有機質の自給肥料、無機質の化学肥料、金肥、窒素肥料、燐酸肥料、カリ肥料、珪酸肥料、石灰肥料、複合肥料、アルカリ性肥料、酸性肥料等の肥料と併用されてもよい。 【0051】本発明の植物生長調節剤は、特に限定するものではないが、葉面散布処理、根元散布処理、土壌混合処理、土壌潅注処理、種子への処理、水耕栽培、組織培養用の培養液への添加処理等により植物に適用できる。 【0052】本発明の植物生長調節剤の使用形態は、植物の種類、適用する目的(例えば、発芽促進作用、生長促進作用、生長補助作用、収穫向上作用、光合成促進作用、病原菌抑制作用、糖度向上作用など)などによって異なり、固形物であってもあるいは水溶液などの溶液の形態であってもよい。より具体的には、乳剤(有機溶媒に溶かし、界面活性剤を加えた液状の製剤で水で希釈すると乳濁液になる)、水和剤(粘土鉱物や界面活性剤と混合した粉末状の製剤。懸濁液となる)、水溶剤(水溶性の有効成分を増量剤と界面活性剤に混合した粉末状の製剤。水溶液になる)、溶剤(油溶性の有効成分を増量剤と界面活性剤に混合した粉末状の製剤。溶液になる)、粉剤(粘土鉱物と混合した製剤)、粒剤(粘土鉱物と混合して粒状に成形した製剤)、錠剤、及び油剤などが挙げられる。 【0053】また、本発明において、植物生長調節剤の使用量は、植物の種類、使用形態(例えば、塗布、噴霧、葉面散布、土壌散布など)、適用する目的(例えば、発芽促進作用、生長促進作用、生長補助作用、収穫向上作用、光合成促進作用、病原菌抑制作用、糖度向上作用など)などによって異なり、例えば、本発明の植物生長調節剤を水溶液の形態で使用する場合には、植物生長調節剤は、0.1〜20mg/ml、好ましくは5〜10mg/mlの濃度で使用される。また、本発明の植物生長調節剤を土壌中に使用する場合には、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物が0.1〜2kg/反、好ましくは0.5〜1kg/反、土壌に混合される(固形物を土壌に混合する場合に加えて、茎葉に散布したり、この水溶液などを土壌に灌注する場合などを含む)ような量で適用できる。 【0054】本発明の植物生長調節剤の適用対象となる植物は、特に限定するものではなく、草または木のいずれであってもよく、すべての植物に適用できるが、例えば、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ヒエ、アワ、トウモロコシ、モロコシ、ダイズ、アズキ、エンドウ、ラッカセイ、インゲン、ソラマメ、ナタマメ、ササゲ、フジマメ、エダマメ等の穀物類;タケノコ、大根、牛蒡、人参、しょうが等の根菜類;ほうれん草、レタス、キャベツ、ネギ、白菜、セロリ、パセリ、おおば、ミョウガ、シュンギク、小松菜等の葉菜類;桃、イチゴ、レモン、夏甘、青ウメ、ビワ、リンゴ、梨、スイカ、メロン、柿、無花果、葡萄、グレープフルーツ、マンゴー、みかん等の果樹類;パンジー、ユリ、チューリップ、花菖蒲、ボタン、シクラメン、バラ等の花卉類;コウライシバ、ベントシバ、オニシバ等の芝類;インドゴムノキ、クロトン、ドラセナ、アナナス類、ヤシ、モンステラ、ヤシ、ベンジャミン、フェニックス、ベゴニア、ポインセチア、アンスリウム等の観葉植物;トマト、キュウリ、ヘチマ、ウリ、ムキインドウ、ピーマン、オクラ、ナス、カボチャ、インゲン、アスパラガス、ブロッコリー、カリフラワー、モロヘイヤ、枝豆などが挙げられる。特に植物生長調節剤が収穫向上剤である場合には、穀物類、特に好ましくはイネ、コムギやオオムギの収穫を向上するのに好ましく使用される。 【0055】本発明において、植物生長調節剤の施用時期は、播種前、播種時、苗、成長期、開花期および成熟期等、特に限定されるものではない。 【0056】本発明の植物生長調節剤はまた、加熱(加温)などによりヨウ素−シクロデキストリン包接化物中に含まれるヨウ素の残存量を制御することができる。これは、土壌中などに本発明の植物生長調節剤/その溶液を予め混合/噴霧した後、太陽熱などで土壌の温度が上昇すると、植物生長調節剤におけるヨウ素−シクロデキストリン包接化物からのヨウ素の放出量を増す。このような現象を利用して、土壌の温度を適宜制御することによって、植物の生長がより効率良く促進されたり、果実の糖度を改善したり、さらにはヨウ素による優れた殺菌・防黴効果を発揮させて、細菌や黴などによる植物の病気が有効に防止できるものである。上記利点に加えて、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の他方の成分であるシクロデキストリンによる消臭効果により、長期間貯蔵された後であっても土壌や植物の茎、葉若しくは根元には異臭が少ないまたは全くしない。 【0057】このように、温度制御によりヨウ素−シクロデキストリン包接化物中からのヨウ素の放出量(即ち、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物中のヨウ素の残存量)を制御してもよい。この場合の土壌の温度は、ヨウ素が土壌に所望の特性、例えば、殺菌・防黴腐特性を付与できる程度には放出されるが土壌の臭いには影響を与えない程度であるような条件であれば、特に制限されるものではない。具体的には、土壌温度は、20〜70℃、特に好ましくは40〜60℃である。このような土壌温度を達成する手段としては、特に制限されないが、例えば、夏場であれば圃場表面をマルチフィルム等のフィルムで覆い太陽熱を利用して土壌温度を上昇させる方法;予め土壌中に埋設した配管にスチームまたは加熱ガスを導入することにより土壌温度を上昇させる方法;および土壌に石灰窒素と有機物を添加して発酵熱や水分との接触による発熱作用を利用して土壌温度を上昇させる方法などが挙げられる。 【0058】本発明の植物生長調節剤、特に必須成分として含まれるヨウ素−シクロデキストリン包接化物には、下記実施例でより詳細に述べるように、種子からの植物の生長を促進する効果があることが判明した。したがって、本発明の第二は、本発明の第一の植物生長調節剤を含む溶液中に植物の種子を予め浸漬することからなる、および/または本発明の第一の植物生長調節剤を含む溶液を、植物を生育させる土壌または植物の茎、葉若しくは根元に噴霧することからなる、植物の生長促進方法である。本発明においては、上記種子の浸漬及び溶液の噴霧は双方とも、植物の生長を効率良く促進できるため、上記2工程を単独で使用してもあるいは上記2工程を組合わせて使用してもよい。 【0059】本発明において、植物生長調節剤は、溶剤中に溶解、分散または懸濁されて、植物生長調節剤を含む溶液(分散液、懸濁液を含む)が調製されるが、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物が種子と均一にかつ最大限に接触できることを考慮すると、植物生長調節剤を溶剤中に溶解することが好ましい。この際使用できる溶剤としては、植物生長調節剤を溶解できるものであれば特に制限されないが、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールなどが挙げられる。これらのうち、水が特に好ましい。これは、水が存在すると、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物から一部のヨウ素が放出して土壌中に遊離し、または茎、葉若しくは根表面に吸収されて、その結果、土壌へは臭い等の影響を与えずに微量のヨウ素が水分子と置換されて放出され、これにより、植物の生長促進効果、抗菌・防黴特性(病気の予防効果)や糖度の向上効果が発揮されるからである。この際、水分は、土壌中に本来含まれるあるいは一般的に植物の育種を目的として添加される水分で十分であり、特にこれを目的として外部より別途添加する必要はないが、必要であれば、適宜水を加えてもよい。なお、上記したように土壌の加温中には水が存在しない場合であっても、微量ではあるが、加温処理などにより、ヨウ素が当該包接物から適宜放出されて、これによりやはり植物の生長促進効果、抗菌・防黴特性(病気の予防効果)や糖度の向上効果が発揮される。 【0060】本発明において、溶液における植物生長調節剤の濃度は、対象となる植物の生長を有効に促進できる濃度であればよく特に制限されないが、好ましくは0.1〜20mg/ml、より好ましくは5〜10mg/mlである。 【0061】また、植物生長調節剤の使用量は、対象となる植物の生長を有効に促進できる濃度であればよく特に制限されないが、好ましくは、1日に0.5〜100mg、好ましくは10〜20mgの量のヨウ素−シクロデキストリン包接化物が添加されるような量である。この際、植物生長調節剤の使用量が0.5mg未満であると、植物生長調節剤の量が少なすぎて効率良く種子あるいは茎、葉、根などと接触できず、ゆえに植物の生長促進効果が十分得られない。逆に、100mgを超えても、添加に見合う効果が得られず、経済的でない上、溶剤に溶けきらずに沈殿物が生じてしまう恐れもある。なお、ヨウ素は加熱によりヨウ素の蒸気圧の上昇に伴って当該包接化物から放出されるため、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の添加量は、必ずしも上記した範囲とはならず、当該ヨウ素の放出量などを考慮して決定される必要がある。 【0062】本発明の生長促進方法の一態様としては、植物生長調節剤を含む溶液中に植物の種子を予め浸漬する工程を含む。この場合の種子処理方法の具体例としては、植物生長調節剤を水中に上記所定の濃度で溶かして水溶液を調製し、この水溶液中に、種子を数分〜数日間浸漬する方法;植物生長調節剤の水溶液中に、種子を数分〜数日間浸漬した後、種子を乾燥して、さらに樹脂等により種子を被覆して、本発明の植物生長調節剤にヨウ素−シクロデキストリン包接化物の徐放性を付与してもよい。後者の方法で使用される樹脂としては、本発明の目的を阻害しないものであれば、特に限定されるものではなく、より効果を促進するために、本発明の植物生長調節剤を含ませてもよい。例えば、珪藻土、炭酸カルシウムおよびタルク等の無機物と植物生長調節剤を混合してなる混合物で種子を、デンプン、ゼラチンおよびポリビニールアルコール等の結合剤を用いて被覆することができる。 【0063】本発明の生長促進方法の他の態様としては、植物生長調節剤を含む溶液を、植物を生育させる土壌または植物の茎、葉若しくは根元に噴霧する工程を含む。この場合の具体例としては、植物生長調節剤を水中に上記所定の濃度で溶かして水溶液を調製し、この水溶液を土壌または植物の茎、葉若しくは根元に、1日に0.1〜20mg/cm2表面積、好ましくは5〜10mg/cm2表面積の量のヨウ素−シクロデキストリン包接化物が添加されるように、噴霧する。この際、噴霧は、上記所定量の水溶液を一度に噴霧してもあるいは数回(例えば、2、3または4回)に分けて噴霧してもよい。この際、必要であれば、水溶液中に、上記したような他の成分を含ませてもよい。なお、ヨウ素は加熱によりヨウ素の蒸気圧の上昇に伴って当該包接化物から放出されるため、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の添加量は、必ずしも上記した範囲とはならず、当該ヨウ素の放出量などを考慮して決定される必要がある。 【0064】このように、植物生長調節剤を含む溶液中に植物の種子を予め浸漬するまたは植物生長調節剤を含む溶液を植物を生育させる土壌または植物の茎、葉若しくは根元に噴霧するという簡単な処理方法によって、植物の生長が有意に促進できる。この際の植物の種類は、特に限定するものではなく、草または木のいずれであってもよく、具体的には上記列挙した例が挙げられる。 【0065】本発明の植物生長調節剤、特に必須成分として含まれるヨウ素−シクロデキストリン包接化物には、下記実施例でより詳細に述べるように、うどんこ病等の植物の病気を予防する作用があることとも判明した。したがって、本発明の第三は、本発明の第一の植物生長調節剤を含む溶液を、植物を生育させる土壌または植物の茎、葉若しくは根元に噴霧することからなる、植物の病気の予防方法である。なお、以下の説明において、本発明の第一または第二における説明、定義と同様である箇所については、ここでは記載を省略する。 【0066】本発明の第二の方法の正確なメカニズムは不明であり、以下により本発明が制限されるものではないが、本発明の植物生長調節剤を水などの水性媒体中に導入すると、植物生長調節剤中に含まれるヨウ素−シクロデキストリン包接化物に包接されたヨウ素と水分子とが置換し、その結果、臭いなどには影響を与えない程度の微量のヨウ素が土壌中に、または植物の茎、葉若しくは根元表面に放出・吸収され、これによりヨウ素による抗菌特性が発揮されて、細菌によって引き起こされる植物の病気を有意に予防(抑制)できると考えられる。また、本発明の植物生長調節剤が乾燥状態で使用される場合であっても、上記したように加温等により、ヨウ素が望ましくない細菌や黴などの有機生物体の混入を防ぐ程度であって土壌に臭いなどを付加しない程度の量のヨウ素が当該包接物から放出され、これによりやはり抗菌特性が発揮されて、その結果、細菌によって引き起こされる植物の病気を有意に予防(抑制)できると考えられる。 【0067】本発明の植物の病気の予防方法の具体例としては、植物生長調節剤を水中に0.1〜20mg/ml、好ましくは5〜10mg/mlの濃度で溶かして水溶液を調製し、この水溶液を土壌または植物の茎、葉若しくは根元に、1日に0.1〜20mg/cm2表面積、好ましくは5〜10mg/cm2表面積の量のヨウ素−シクロデキストリン包接化物が添加されるように、噴霧する。この際、噴霧は、上記所定量の水溶液を一度に噴霧してもあるいは数回(例えば、2、3または4回)に分けて噴霧してもよい。この際、必要であれば、水溶液中に、上記したような他の成分を含ませてもよい。なお、ヨウ素は加熱によりヨウ素の蒸気圧の上昇に伴って当該包接化物から放出されるため、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の添加量は、必ずしも上記した範囲とはならず、当該ヨウ素の放出量などを考慮して決定される必要がある。 【0068】本発明において、特に植物の病気がうどんこ病である場合には、植物生長調節剤を含む溶液に重炭酸カリウムをさらに含ませることが好ましい。重炭酸カリウムは、乳化剤との組合わせによって、葉などのカビに侵されるうどんこ病に効果があることが既知であり、重炭酸カリウム自体に病原菌や害虫を駆除する殺菌力はないものの、病原菌の細胞にカリウムを過剰に入れることによって結果的には病気を抑制する効果が発揮されるが、この際、本発明によるヨウ素−シクロデキストリン包接化物が乳化剤の代わりに機能すると考えられるためである。この際、重炭酸カリウムの添加量は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物との相乗効果が有意に得られる量であれば制限されないが、植物生長調節剤中に含まれるヨウ素−シクロデキストリン包接化物に対して、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは50〜80質量%である。 【0069】このように、植物生長調節剤を含む溶液を植物を生育させる土壌または植物の茎、葉若しくは根元に噴霧するという簡単な処理方法によって、植物の病気を有意に予防することができるが、この際の植物の病気としては、萎縮病(イネ、ムギ類)、縞葉枯病(イネ)、天狗巣病(ジャガイモ)、モザイク病(ジャガイモ、タバコ、トマト、ダイコン)等の植物ウィルス病;メイチュウ、ヨコバイ等のような、農作物に直接・間接の害を及ぼす農業害虫による病気;ならびに立枯れ病(サツマイモ、ホウレンソウ、タバコ、カーネーション)、つる割れ病(サツマイモ、ウリ類)、紫紋羽病(サツマイモ)、黒あざ病(サツマイモ、ジャガイモ)、そうか病(ジャガイモ)、苗立枯れ病(ウリ類)、疫病(ウリ類、イチゴ、タバコ)、黒点根腐れ病(メロン)、半身萎凋病(ナス、トマト)、青枯れ病(ナス)、白絹病(トマト、インゲン)、萎凋病(トマト、ホウレンソウ、パセリ、カーネーション)、青枯れ病(トマト)、萎黄病(イチゴ、アブラナ科野菜、セルリー)、根腐れ病(ホウレンソウ、ニンジン、エンドウ)、根こぶ病(アブラナ科野菜)、根くびれ病(アブラナ科野菜)、黄化病(アブラナ科野菜、セルリー)、乾腐病(ニンジン)、黒根病(タバコ)、矮化病(タバコ)、うどんこ病(ムギ類、ウリ類、アズキ、ソバ、タバコ、モモ、ブドウ)、いもち病(イネ)等の糸状菌、子嚢菌等の細菌によって起こる病気などが挙げられる。これらのうち、本発明の植物生長調節剤は、多くの植物に害を与え、葉や幼い枝の表面に、うどん粉をまき散らしたような病変を生じるうどんこ病や不完全菌類ビリクラリア・オリザエの寄生によるいもち病に特に有効である。 【0070】本発明の植物生長調節剤、特に必須成分として含まれるヨウ素−シクロデキストリン包接化物には、下記実施例でより詳細に述べるように、スイカ、イチゴやレモン等の果実の糖度を増加する作用があることとも判明した。したがって、本発明の第三は、本発明の第一の植物生長調節剤を含む溶液を、植物を生育させる土壌または植物の茎、葉若しくは根元に噴霧することからなる、果実の糖度の増加方法である。 【0071】本発明の果実の糖度の増加方法の具体例としては、植物生長調節剤を水中に0.1〜20mg/ml、好ましくは5〜10mg/mlの濃度で溶かして水溶液を調製し、この水溶液を土壌または植物の茎、葉若しくは根元に、1日に0.1〜20mg/cm2表面積、好ましくは5〜10mg/cm2表面積の量のヨウ素−シクロデキストリン包接化物が添加されるように、噴霧する。この際、噴霧は、上記所定量の水溶液を一度に噴霧してもあるいは数回(例えば、2、3または4回)に分けて噴霧してもよい。この際、必要であれば、水溶液中に、上記したような他の成分を含ませてもよい。なお、ヨウ素は加熱によりヨウ素の蒸気圧の上昇に伴って当該包接化物から放出されるため、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物の添加量は、必ずしも上記した範囲とはならず、当該ヨウ素の放出量などを考慮して決定される必要がある。 【0072】このように、植物生長調節剤を含む溶液を植物を生育させる土壌または植物の茎、葉若しくは根元に噴霧するという簡単な処理方法によって、果実の糖度を有意に増加できるが、この際糖度が増すことのできる果実としては、スイカ、イチゴ、レモン、モモ、夏甘、青ウメ、ビワ、リンゴ、ナシ、メロン、カキ、イチジク、ブドウ、グレープフルーツ、マンゴー、ミカンなどが挙げられる。 【0073】 【実施例】以下に、実施例により本発明を詳細に説明する。 【0074】実施例1200lGL反応機に水100リットル及びヨウ化カリウム9.88kg(59.5モル)を仕込み常温で溶解した。次いで粉末ヨウ素7.56kg(29.8モル)を仕込み60分間撹拌して溶解した。 【0075】これにβ−シクロデキストリン22.68kg(20モル)を仕込み、常温で30分間撹拌した後90℃まで加温し直ちに冷却して20℃とした。 【0076】析出したヨウ素−β−シクロデキストリン包接化物を遠心分離し付着している分離液を水洗し得られた湿結晶ヨウ素−β−シクロデキストリン包接化物を200lGLコニカルドライヤー中、4.7kPa、75℃、2時間乾燥した。これによって乾品ヨウ素−β−シクロデキストリン包接化物(以下、「CDI」と称する)28.92kg(収率95.6質量%)を得た。このもののヨウ素量は、22.4質量%であり、ヨウ素特有の臭気は感じられなかった。 【0077】実施例2実施例1で得られたCDIを、10mg/mlの濃度になるように水に溶解した(以下、「CDI水溶液」と称する)。下記表1に示されるように、このCDI水溶液または蒸留水中に、小麦及び大麦の種子を、それぞれ、計72時間浸漬して、72時間後の茎及び根の長さを測定した。同様の実験を数ヶ月の間隔をおいて、計3回繰り返し、茎及び根の平均長さを下記表1に示す。なお、下記表1中、「−」は、種子を蒸留水中に浸漬したことを示し、「○」は、種子をCDI水溶液中に浸漬したことを示す。 【0078】 【表1】
【0079】上記表1に示される結果から、、小麦及び大麦の種子共に、CDI水溶液中に浸漬すると、種子の発育が抑制されることが分かる。 【0080】実施例3実施例1で得られたCDIを、10mg/mlの濃度になるように水に溶解した(以下、「CDI水溶液(1)」と称する)。このCDI水溶液(1)中に、小麦及びライ麦の種子を、それぞれ、72時間浸漬した。次に、これらの種子を土壌に蒔き、グリーンハウス内で21日間発育させた。この際、1日に1回、水を撒いた。21日間後、発育した小麦及びライ麦を、それぞれ、抜き、茎及び根の重量を測定した。なお、CDI水溶液(1)の代わりに蒸留水を用いたものを比較対照とした。結果を下記表2に示す。 【0081】 【表2】
【0082】上記表1及び表2に示される結果から、CDI水溶液中に浸漬された種子は、CDI水溶液に浸漬されている間はその発育が抑制されるが、土壌に撒かれた後は、コントロールの植物の生長を超えて生長し、短期間で高率で生長することが示される。 【0083】実施例4実施例3と同様にして、小麦の種子をCDI水溶液(1)中に72時間浸漬した後、4週間グリーンハウス内で生育させ、小麦の茎及び根の長さ及び乾燥重量を測定した。なお、乾燥重量は、小麦の茎及び根の長さを計った後、茎及び根をそれぞれ90℃で15時間、減圧で加熱・乾燥した際の重量として表わす。結果を下記表3に示す。 【0084】 【表3】
【0085】実施例5実施例3と同様にして、春麦の種子をCDI水溶液(1)中に72時間浸漬した後、4週間グリーンハウス内で生育させ、各春麦について、葉数の枚数を数え、穂の重量を測定した。なお、上記実験は4回行ない、その平均値を結果とした。結果を下記表4に示す。 【0086】 【表4】
【0087】これから、CDI水溶液で処理された春麦は、CDI水溶液で処理されないコントロールに比して、葉数及び穂の重量の増加が認められることから、CDIには収穫量を向上する作用があると考察される。 【0088】実施例6実施例1で得られたCDIを、2g/100mlの濃度になるように水に溶解した(以下、「CDI水溶液(2)」と称する)。このCDI水溶液(2)中に、オートムギ及び大麦の種子を72時間浸漬した。次に、このようにして処理したオートムギ及び大麦の種子を、それぞれ、1haの土地に蒔き、通常と同様にして、10週間生育させた。このようにして生育させたオートムギ及び大麦の収穫量を測定した。この結果、オートムギ及び大麦の収穫量は、それぞれ、1ha当たり、約1.2%及び約2.4%の増加が認められた。 【0089】実施例7ヘルシーアース(株)製の花と野菜の土(これには、初期の発育に最低限必要な栄養素は含まれている)50リットル及び赤玉土50リットルを混合して、これをベース土とした。このベース土を約8リットルずつ、プランター12個に入れた。これらのうち、4個のプランターに、カルシウム配合有機質肥料(商品名:プロユース、製造元:KYOKUTO(有)、販売元:フジ有機(株))200gずつ加え、このプランターを「プロユース」と称した。また、別の4個のプランターには、フミン酸配合有機質肥料(商品名:アースセイバア、製造元:KYOKUTO(有)、販売元:フジ有機(株))200gずつを加え、このプランターを「アースセイバア」と称した。さらに、これらのプランターを、それぞれ、有機質肥料の種類の違う3種のプランターを1組として、4組に分けた。このうち、2組のプランターには、それぞれ、キスミー二十日大根の種子を100粒を適宜間隔をあけて撒いた。また、残りの2組のプランターには、それぞれ、ホワイトチェリッシュ(二十日大根)の種子を100粒を適宜間隔をあけて撒いた。 【0090】別途、実施例1で得られたCDIを、1g/100mlの濃度になるように水に溶解した(以下、「CDI水溶液(3)」と称する)。 【0091】各組のプランター1個ずつに、このようにして調製されたCDI水溶液(3)を20mlずつ、毎週、上記プランターに噴霧した。また、比較対照として、CDI水溶液(3)の代わりに水を使用した。4週間後、各プランターに発芽した二十日大根の芽の数を数えて、発芽率を算出した。結果を下記表5に示す。 【0092】 【表5】
【0093】これから、キスミー二十日大根及びホワイトチェリッシュは、双方とも、CDI水溶液で処理されることによって、発芽率の向上が認められた。 【0094】また、発芽したキスミー二十日大根5本について、それぞれ、重量及び直径を測定したところ、1%CDI水溶液を噴霧したプランターから抜いた大根5本の重量の平均は20.9gであり、直径の平均は1.55cmであった。これに対して、水のみを噴霧したプランターから抜いた大根5本の重量の平均は11.89gであり、直径の平均は0.57cmであり、CDI水溶液で処理することによって、大根の重量及び直径が有意に増加していることが示された。 【0095】実施例8実施例7と同様にして、ベース土のみの入ったプランター、プロユースのプランター及びアースセイバアのプランターを、それぞれ、2個ずつ調製した。 【0096】これらのプランター6個に、山城黒三度菜豆の種及び三尺ささげの種(いずれも、(株)トーホク製)を、それぞれ、14粒及び10粒を蒔いた。これらのうち、各種1個のプランターに、別途、実施例1で得られたCDIを、1g/100mlの濃度になるように水に溶解したCDI水溶液(4)を20mlずつ、毎週、上記プランターに噴霧した。また、比較対照として、CDI水溶液(4)の代わりに水を使用した。2週間後には、すべての種が発芽していたので、これらの地上にでている茎の長さを測定した。 【0097】その結果、ベース土による生長にはCDIによる生長促進効果は認められなかったものの、有機質肥料が添加されたプロユースのプランター及びアースセイバアのプランターでは、CDIによる茎の生長促進効果が認められた。 【0098】実施例9実施例7と同様にして、ベース土のみの入ったプランター、プロユースのプランター及びアースセイバアのプランターを、それぞれ、2個ずつ調製した。 【0099】これらのプランター6個に、大葉春菊の種を、100粒を蒔いた。これらのうち、各種1個のプランターに、別途、実施例1で得られたCDIを、1g/100mlの濃度になるように水に溶解したCDI水溶液(5)を20mlずつ、毎週、上記プランターに噴霧した。また、比較対照として、CDI水溶液(5)の代わりに水を使用した。2週間後には、各プランターに発芽した大葉春菊の芽の数を数えて、発芽率を算出した。結果を下記表6に示す。 【0100】 【表6】
【0101】表6の結果から、CDIを添加しない条件下に比べて、CDIを添加した条件の方が、すべての条件において、大葉春菊の発芽率の向上が認められた。 【0102】実施例10実施例7と同様にして、プロユースのプランターを3個調製した。 【0103】別途、実施例1で得られたCDIを、1g/100mlの濃度になるように水に溶解したCDI水溶液(6)を調製した。 【0104】これに、それぞれ、1)CDI水溶液(6)20ml;2)重炭酸カリウム及びCDI水溶液(6)をそれぞれ10mlずつ;ならびに3)コントロールとして水20mlを、スレンダー子葱の種蒔き直後から、週に一度の割合で4週間(4回、計80ml)を植物全体に(根元を含む)噴霧した。なお、本実施例において、水は、毎日すべてのプランターの十分量与えた。スレンダー子葱を、30日ごとに無作為に20本ずつ抜き、それぞれの総乾燥質量を測定した。その結果を下記表7に示す。 【0105】 【表7】
【0106】表7から、CDIと重炭酸カリウムを組合わせることによって、スレンダー子葱の収穫量が向上できることが分かった。 【0107】実施例11実施例10において、九条太葱の種子をスレンダー子葱の種子の代わりに使用して、5ヶ月間生育させ、1ヶ月後及び5ヶ月後の葱本体及び根部分の総乾燥重量及び平均長さをそれぞれ測定した。結果を下記表8に示す。 【0108】 【表8】
【0109】表8から、CDIと重炭酸カリウムを組合わせることによって、九条太葱の重量及び長さが有意に向上できることが分かった。 【0110】実施例12スイカとイチゴの種を、それぞれ5粒ずつ、畑(2坪)2箇所ずつに蒔き、一方の畑には、別途、実施例1で得られたCDIを、1g/100mlの濃度になるように水に溶解したCDI水溶液(7)を固形分換算で125g量を毎週均一に噴霧し、他方の畑には同量の水を同様にして毎週噴霧した。スイカ及びイチゴがなったら、これらの糖度を測定したところ、平均で、スイカの糖度は、CDIで処理することによって、10Brix%から14Brix%に増加し、また、イチゴの糖度は、CDIで処理することによって、8Brix%から11Brix%に増加したことから、CDIには果実の糖度を増加させる作用があると考えられる。 【0111】実施例13実施例1で得られたCDIの0.1質量%水溶液を500リットル/アール、レモンの開花時から15日間隔で、計5回、花に噴霧した。このようにしてなったレモンのCDI処理及び無処理の群について、それぞれ10個ずつ、糖度及び酸度を測定したところ、レモンの酸度は、CDIの処理の有無にかかわらずほぼ同じ値を示したが、レモンの糖度は、平均で約7(Brix%)から約10.5(Brix%)に増加した。これから、CDIにはレモンの酸度は変えずに糖度を増加させる、即ち、甘味比(=糖度/酸度)を向上する作用があると考えられる。 【0112】 【発明の効果】本発明は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物全質量に対して、5〜35質量%のヨウ素を含有するヨウ素−シクロデキストリン包接化物を含む植物生長調節剤;当該植物生長調節剤を含む溶液中に植物の種子を予め浸漬することからなる、および/または当該植物生長調節剤を含む溶液を、植物を生育させる土壌または植物の茎、葉若しくは根元に噴霧することからなる、植物の生長促進方法;当該植物生長調節剤を含む溶液を、植物を生育させる土壌または植物の茎、葉若しくは根元に噴霧することからなる、植物の病気の予防方法;ならびに当該植物生長調節剤を含む溶液を、植物を生育させる土壌または植物の茎、葉若しくは根元に噴霧することからなる、果実の糖度の増加方法に関するものである。 【0113】本発明の植物生長調節剤は、ヨウ素に対するシクロデキストリン量が適宜調整されてシクロデキストリン中にヨウ素が包接されたヨウ素−シクロデキストリン包接化物を含むので、不安定で長期保存に適さないヨウ素が長期間安定した形態で存在できる上、ヨウ素とシクロデキストリンの混合比率によって、ヨウ素の本来の機能である植物の生長促進効果、抗菌・防黴特性(病気の予防効果)や糖度の向上効果、ならびにシクロデキストリンの本来の機能である消臭効果を適宜調節して同時に発揮させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000227652 【氏名又は名称】日宝化学株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年4月25日(2001.4.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100072349 【弁理士】 【氏名又は名称】八田 幹雄 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−322008(P2002−322008A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月8日(2002.11.8) |
| 【出願番号】 |
特願2001−127929(P2001−127929) |
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