| 【発明の名称】 |
ハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー |
| 【発明者】 |
【氏名】黒宮 友美
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| 【要約】 |
【課題】長期間に亘り安定かつ高濃度を維持し得る、ハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーを提供する。
【解決手段】(A)ハロゲン化ヒダントイン化合物、(B)アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、アルキルスルホコハク酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、アルキルリン酸塩類及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩類より成る群から選ばれる1種以上の界面活性剤、(C)多糖類高分子及び/又は多価アルコール系高分子、(D)スメクタイト系無機増粘剤を含むハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)一般式(1)(式中、X1及びX2は、少なくとも一方が塩素原子または臭素原子であり、他方が塩素原子、臭素原子又は水素原子のいずれかであり、かつR1及びR2は各々独立に水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示す)で表されるハロゲン化ヒダントイン化合物と、【化1】
(B)アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、アルキルスルホコハク酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、アルキルリン酸塩類及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩類より成る群から選ばれる1種以上の界面活性剤と、(C)多糖類高分子及び/又は多価アルコール系高分子、並びに(D)スメクタイト系無機増粘剤を含むハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー。 【請求項2】 (A)成分100重量部に対して、(B)成分が0.01〜5重量部、(C)成分が0.01〜5重量部、(D)成分が0.01〜5重量部を含む請求項1記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー。 【請求項3】 (A)成分のハロゲン化ヒダントイン化合物が、ブロモクロロジメチルヒダントイン、ジクロロジメチルヒダントイン及びジブロモジメチルヒダントインからなる群から選ばれる1種以上である請求項1又は2記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー。 【請求項4】(C)成分の多糖類高分子及び/又は多価アルコール系高分子が、キサンタンガム、ラムザンガム、ウェランガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースよりなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー。 【請求項5】 (D)成分のスメクタイト系無機増粘剤が、酸性白土、ベントナイト、ヘクトライトよりなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜4のいずれか一つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、工業用冷却水系、製紙工程水系など一般工業用水系における微生物障害を抑制するのに有用なハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーに関するものである。 【0002】 【従来の技術】各種工場の冷却水系あるいは紙・パルプ抄紙系では、細菌、糸状菌、藻類などの微生物の分泌した粘質物質が水中の土砂、鉄錆、その他の有機物を含んでスライムと呼ばれる泥状物が形成され、配管、装置の壁面及び流水路壁面などに付着し、しばしば操業上の障害を引き起こすことがある。 【0003】例えば、冷却水系ではスライムが系内に発生し、熱効率の低下、配管の閉塞、腐食などの問題が生じることが知られている。また、紙・パルプ抄紙系では、工程水中の有機物、デンプンなど各種添加物が栄養源となり、微生物が増殖しスライムによる問題が生じる。特に、スライムが壁面から剥離することにより、製品中に異物として混入し、製品の品質を低下させたり、紙切れを誘発し生産効率を低下させる原因とする。近年、抄紙機の防食防止、紙の保存性の改善、コスト低減などの要求から酸性抄紙に変わって中性抄紙が急速に増加してきた。しかし、中性抄紙の条件は、微生物の生育により適しているため、微生物によるスライム問題はより深刻になってきている。 【0004】このような工程中の微生物を抑制する目的で、殺菌効果が高く、生分解性も高いうえに分解性生物の毒性が低いハロゲン化ヒダントイン化合物の使用が提案されている。例えば、特開平8−176996号公報にはハロゲン化ヒダントイン化合物を使用するスライム障害防止方法、特開平11−47755号公報にはハロゲン化ヒダントイン化合物とイソチアゾロン化合物を併用するスライムコントロール方法、特開平8−26917号公報にはハロゲン化ヒダントイン化合物と塩素化イソシアヌール酸の併用による殺菌洗浄剤組成物が開示されている。 【0005】ハロゲン化ヒダントイン化合物は、水に対して0.1〜0.2重量%の溶解度しかないことから長時間かけても低濃度の溶液しか得られず、工程水中へ一定濃度で添加するためには、大きい溶解装置や貯蔵タンク、注入ポンプが必要になるなど、溶液として扱うには非常に効率が悪い。この対策として、ハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー製剤化が検討されてきた。しかし、スラリー状態を保持させるための界面活性剤や増粘剤が、ハロゲン化ヒダントイン化合物に由来する次亜ハロゲン酸により酸化分解されて製品の分離を起こしたり、界面活性剤や増粘剤の分解のために有効成分のハロゲン化ヒダントイン化合物が消費される不具合があり、満足し得る水性スラリー製剤を得るには至っていない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題点を改善し、長期間の貯蔵による製品の効果の劣化が小さく、製品安定性が維持されたハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーを提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、ハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー製剤化について鋭意研究を重ねた結果、ハロゲン化ヒダントイン化合物に特定の界面活性剤、多糖類高分子及び/又は多価アルコール系高分子、無機系増粘剤を配合することで長期間の貯蔵による製品の製品の効果の劣化が小さく、製品安定性が維持されたハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーを調製し得ることを見出し、この知見に基いて本発明を完成するに到った。 【0008】すなわち、請求項1に係る発明は、(1)(A)一般式(1) 【0009】 【化2】
【0010】(式中、X1及びX2は、少なくとも一方が塩素原子または臭素原子であり、他方が塩素原子、臭素原子又は水素原子のいずれかであり、かつR1及びR2は各々独立に水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示す)で表されるハロゲン化ヒダントイン化合物と、(B)アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、アルキルスルホコハク酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、アルキルリン酸塩類及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩類より成る群から選ばれる1種類以上の界面活性剤と、(C)多糖類高分子及び/又は多価アルコール系高分子、(D)スメクタイト系無機増粘剤を含むハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーである。 【0011】好ましい態様として、(2)(A)成分100重量部に対して、(B)成分0.01〜5重量部を含む上記(1)記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(3)(A)成分100重量部に対して、(B)成分0.1〜3重量部を含む上記(1)記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(4)(A)成分100重量部に対して、(C)成分0.01〜5重量部を含む上記(1)〜(3)いずれか一つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(5)(A)成分100重量部に対して、(C)成分0.1〜3重量部を含む上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(6)(A)成分100重量部に対して、(D)成分0.01〜5重量部を含む上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(7)(A)成分100重量部に対して、(D)成分0.1〜3重量部を含む上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(8)(A)成分のハロゲン化ヒダントイン化合物が、ブロモクロロジメチルヒダントイン、ジクロロジメチルヒダントイン及びジブロモジメチルヒダントインから選ばれる1種以上である上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(9)(B)成分の界面活性剤が、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩類より成る群から選ばれる1種類以上の界面活性剤である上記(1)〜(8)のいずれか一つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(10)(C)成分の多糖類高分子及び/又は多価アルコール系高分子が、キサンタンガム、ラムザンガム、ウェランガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースより成る群から選ばれる1種以上である上記(1)〜(9)のいずれか一つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(11)(C)成分の多糖類高分子及び/又は多価アルコール系高分子が、キサンタンガム、ラムザンガム、ウェランガムより成る群から選ばれる1種以上である上記(1)〜(10)のいずれか一つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリー、(12)(D)成分のスメクタイト系無機増粘剤が、ベントナイト、酸性白土、ヘクトライトより成る群から選ばれる1種以上のである上記(1)〜(11)のいずれか一つに記載のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーをあげることができる。 【0012】 【実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。 【0013】本発明は、(A)ハロゲン化ヒダントイン化合物、(B)特定の界面活性剤、(C)多糖類高分子及び/又は多価アルコール系高分子、(D)スメクタイト系無機増粘剤を含むハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーである。 【0014】本発明の(A)成分のハロゲン化ヒダントイン化合物は、下記の一般式(1) 【0015】 【化3】
【0016】で表されるハロゲン化ヒダントイン化合物である。ここで、X1及びX2は、少なくとも一方が塩素原子または臭素原子であり、他方が塩素原子、臭素原子又は水素原子のいずれかである。R1及びR2は各々独立に水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示すし、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基を示す。(A)ハロゲン化ヒダントイン化合物としては、例えば、ブロモクロロジメチルヒダントイン、ジクロロジメチルヒダントイン、ジブロモジメチルヒダントイン等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組合わせて用いてもよい。 【0017】水性スラリー中の(A)ハロゲン化ヒダントイン化合物の殺微生物作用及び酸化作用をハロゲン化ジメチルヒダントインを例として説明する。ハロゲン化ジメチルヒダントインは、水に溶解すると、次式(II) 【0018】 【化4】
【0019】(式中、X−DMHはハロゲン化ジメチルヒダントインを示し、DMHはジメチルヒダントインを示し、HOXは次亜ハロゲン酸を示す)のように一部メチルヒダントインと次亜ハロゲン酸、例えば次亜臭素酸(HOBr)、次亜塩素酸(HOCl)となり、これらはハロゲン化ジメチルヒダントインと可逆平衡系にある。殺微生物作用及び酸化作用をするのは、次亜ハロゲン酸であり、ハロゲン化ジメチルヒダントインは式(II)が右に進んで、次亜ハロゲン酸となって消費されていく。 【0020】スラリー化に供するハロゲン化ヒダントイン化合物の粒径は、上限が、好ましくは100μm、より好ましくは50μmであり、下限が、好ましくは1μm、より好ましくは5μmである。粒子径が上限を越えると、工程水に注入する時の目詰りや水性スラリーの安定性が低下することがある。 【0021】水性スラリー中のハロゲン化ヒダントイン化合物の濃度は、取り扱い性を考慮して、水性スラリー全量に対して、上限が好ましくは70重量%、より好ましくは60重量%、更に好ましくは50重量%であり、下限が好ましくは10重量%、より好ましくは20重量%、更に好ましくは30重量%である。上記上限を超えると水性スラリー製品の粘度が高くなり、取り扱い性が悪くなることがあり、上記下限未満ではハロゲン化ヒダントイン化合物の濃度が低く、経済的にメリットが得られないことがある。 【0022】本発明の(B)成分の界面活性剤は、水中でハロゲン化ヒダントイン化合物により酸化を受け難い界面活性剤が選ばれる。好ましくは、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、アルキルスルホコハク酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、アルキルリン酸塩類及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩類より成る群から選ばれる1種以上の界面活性剤が使用される。 【0023】ここで、アルキル硫酸塩類としては、アルキル基の炭素数が好ましくは8〜20のアルキル硫酸塩類、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム;アルキルスルホン酸塩類としては、アルキル基の炭素数が好ましくは5〜30のアルキルスルホン酸塩類、例えば、α‐オレフィンスルホン酸塩の「リポランLJ−441」(商標、ライオン株式会社製);アルキルスルホコハク酸塩類としては、アルキル基の炭素数が好ましくは6〜12のアルキルスルホコハク酸塩類、例えば、オクチルスルホコハク酸ナトリウム;ジアルキルスルホコハク酸塩類としては、アルキル基の炭素数が好ましくは6〜12のジアルキルスルホコハク酸塩類、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類としては、アルキル基の炭素数が好ましくは8〜20であって、かつエチレンオキサイドが好ましくは3〜30モル付加したポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、例えば、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド3モル付加)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド15モル付加)ステアリルエーテル硫酸ナトリウム;アルキルリン酸塩類としては、アルキル基の炭素数が好ましくは8〜20のアルキルリン酸塩類、例えば、オクチルリン酸エステル、ジオクチルリン酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩類としては、アルキル基の炭素数が好ましくは8〜20であって、かつエチレンオキサイドが好ましくは3〜30モル付加したポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩類、例えば、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド5モル付加)ラウリルリン酸エステル、ジポリオキシエチレン(エチレンオキサイド5モル付加)ラウリルリン酸エステル等が挙げられる。上記の各物質を構成する塩類は、好ましくはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等より成る群から選ばれる1種以上からなるものである。本発明においては、上記の界面活性剤を2種以上混合して用いても差し支えない。 【0024】本発明の(B)成分の界面活性剤の配合量は、ハロゲン化ヒダントイン化合物(A)100重量部に対して、上限が好ましくは5重量部、より好ましくは3重量部であり、下限が好ましくは0.01重量部、より好ましくは0.1重量部である。上記下限未満では本発明の安定な水性スラリー製品が得られないことがあり、上記上限を超えては配合量に見合うだけの水性スラリーの安定性向上が得られないことがある。 【0025】本発明の(C)成分の多糖類高分子及び/又は多価アルコール系高分子は、水性スラリー中で増粘剤として作用する。多糖類高分子としては、好ましくは、グルコース、フコース、マンノース、ラムノース、グルクロン酸及びその他の単糖類の1種以上を構成単位としている、直鎖及び側鎖を持つ天然多糖類高分子並びに天然多糖類高分子を加工した半合成多糖類高分子が挙げられる。また、多価アルコール系高分子として、好ましくは、合成ポリアルコール系高分子である水溶性の部分ケン化あるいは完全ケン化ポリビニルアルコールが挙げられる。天然多糖類高分子としては、例えば、キサンタンガム、ラムザンガム、ウェランガム、プルラン、ローカストビンガム、グァーガム、カラギーナン、アラビアゴム、デキストラン、ゲランガム、並びにこれら以外の微生物産生多糖類、例えば、アルカラン及びアルカガム(いずれも商標、伯東株式会社製)が挙げられる。半合成多糖類高分子としては、例えば、天然セルロースにアルキル基あるいはカルボキシメチル基を導入して得られたメチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース;天然セルロースにアルキレンオキサイドを付加して得られたヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;及び天然多糖類高分子にアルキレンオキサイドを付加あるいはカルボキシメチル基を導入して得られたヒドロキシプロピルグァーガム、カルボキシメチルグァーガム等が挙げられる。これらのうち、好ましくは側鎖を持つ天然多糖類高分子、とりわけキサンタンガム、ラムザンガム、ウェランガム、及びメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース並びにヒドロキシプロピルメチルセルロースより成る群から選ばれる1種以上が使用される。本発明においては、上記の多糖類高分子及び/又は多価アルコール系高分子を2種以上混合して用いても差し支えない。 【0026】(C)成分の多糖類高分子及び/又は多価アルコール系高分子の配合量は、(A)ハロゲン化ヒダントイン化合物100重量部に対して、上限が好ましくは5重量部、より好ましくは3重量部であり、下限が好ましくは0.01重量部、より好ましくは0.1重量部である。上記下限未満では水性スラリーの安定性が不充分なことがあり、上記上限を超えては粘度が高くなりすぎて取扱いが難しくなることがある。 【0027】本発明の(D)成分は、スメクタイト系無機増粘剤であり、水中でハロゲン化ヒダントイン化合物により酸化の影響を受け難い増粘剤であり、(C)多糖類高分子及び/又は多価アルコール系高分子の増粘剤と併用する。スメクタイト系無機増粘剤は膨潤する格子構造を持つ粘土鉱物であり、水中では高度に水和し、高粘度のコロイド状分散液を与え、シュードプラスチック性やチクソトロピー性を付与する。 【0028】(D)成分のスメクタイト系無機増粘剤としては、水中に分散してコロイド分散液となるスメクタイト系無機物で、例えば、ベントナイト、酸性白土及びこれらの構成単位であるモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、さらにヘクトライトなどがあり、これらの精製品、合成品、さらには有機物、例えば陽イオン性界面活性剤やアミンで表面を化学修飾し親水性を調整した変性品等のスメクタイト系無機物であり、これらからなる群から選ばれた少なくとも1種以上のスメクタイト系無機増粘剤である。入手のしやすさ、コストパフォーマンスから、ベントナイト、酸性白土及びこれらの構成単位であるモンモリロナイト、ヘクトライトが好適であり、ナトリウムイオンの多いナトリウムベントナイト、活性化ベントナイト(カルシウムベントナイトのカルシウムイオンをナトリウムイオンで置換したもの)、ナトリウムモンモリロナイトがより好適である。カルシウムイオンが多く含まれるベントナイト(カルシウムベントナイト)では、水中で膨潤するがコロイド状に分散しないため、好ましくない。 【0029】(D)成分のスメクタイト系無機増粘剤の配合量は、(A)ハロゲン化ヒダントイン化合物100重量部に対して、上限は、好ましくは5重量部、より好ましくは3重量部であり、下限は、好ましくは0.01重量部、より好ましくは0.1重量部である。上記下限未満では水性スラリーの安定性が不充分なことがあり、上記上限を超えては粘度が高くなりすぎて取扱いが難しくなることがある。 【0030】上記の本発明の水性スラリーには、本発明の効果を損なわない範囲で、他の増粘剤、例えば、従来から使用されているポリアクリル酸系高分子、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルエーテル系高分子、更に他の界面活性剤、例えば、非イオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等を併用することを妨げるものではない。また、従来から使用されてきた有機系殺菌剤、例えば、ブロモニトロプロパンジオール(BNPD)、ジブロモニトロエタン(DBNE)、第4級アンモニウム塩類等の有機ハロゲン化物系殺菌剤を併用することもできる。 【0031】本発明の水性スラリーの調製方法に特に制限はなく、従来から公知の方法を使用することができる。例えば、下記のようにして調製することができる。予め(B)界面活性剤及び(C)無機増粘剤を水及び所望により水溶性有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ジエチレングリコール、ブチルセルソルブ等のアルコール類、ジオキサン又はプロピレンカーボネート等に溶解し、室温下、プロペラ翼付き攪拌機で攪拌しながら水溶液を作る。これを300〜500rpmで攪拌しつつ、(A)成分のハロゲン化ヒダントイン化合物の粉体を加え、約1時間攪拌する。次いで、これに、水及び所望により上記水溶性有機溶剤に溶かした(C)多糖類高分子及び/又は多価アルコール系高分子を加えて攪拌し、均一な水性スラリーとする。水性スラリー調製の最終段階では、粒度分布計、例えばレーザー回析式粒度分布計〔例えば、堀場製作所(株)製、LA−500型〕にてハロゲン化ヒダントイン化合物の分散粒子径を測定し、粒子の会合が解かれ、所定の粒径に分散されていることを確認することが好ましい。 【0032】また、任意成分である有機ハロゲン化物系殺菌剤を配合使用するに際して、限定されるものではないが、予め、有機ハロゲン化物系殺菌剤を水溶性有機溶剤、例えばジエチレングリコール、ブチルセルソルブ等のアルコール類、ジオキサン、又はプロピレンカーボネート等に溶解し、これをハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーに配合することができる。 【0033】ハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーは、微生物コントロールの目的に適用することができ、例えば工程中で微生物障害が発生している箇所より上流部、あるいは、微生物障害が発生している箇所の前工程等へ添加される。このときの該水性スラリーの添加量は、対象とする工程水により異なり、一概に決められないが、対象とする工程水中の遊離ハロゲン濃度が好ましくは0.1〜1.0mg/Lになるように添加する。 【0034】このように、ハロゲン化ヒダントイン化合物を水性スラリーにすることにより、溶液よりも遥かに高濃度にすることができ、殺微生物剤として工程水に注入する時には、注入ポンプや貯蔵タンクの小型化ができる。またハロゲン化ヒダントイン化合物を溶液として注入すると、水中に存在する易酸化性の化合物に消費され易いが、微粉体であると徐々に溶解するために効率良く水中の微生物に作用し殺菌効果の向上が達成できる。この他、ハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーは安定に保存、取扱いが出来るので使用する工程の近くで調製する必要がなく、また水性スラリーとして貯蔵出来るなどの利益が得られる。 【0035】 【実施例】以下、実施例により、本発明の実施の形態を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。 【0036】実施例及び比較例において使用した各物質は以下の通りである。 (A)ハロゲン化ヒダントイン化合物A−1:ブロモクロロジメチルヒダントイン(試薬:関東化学株式会社製) A−2:ジクロロジメチルヒダントイン(試薬:関東化学株式会社製) A−3:ジブロモジメチルヒダントイン(試薬:関東化学株式会社製) (B)界面活性剤B−1:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(アデカコールEC8600(商標)、旭電化株式会社製) B−2:ポリオキシエチレン(3モル付加)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(エマール20C(商標)、花王株式会社製) B−3:オレフィン(炭素数14)硫酸ナトリウム(リポランLJ−441(商標)、ライオン株式会社製) B−4:ポリオキシエチレン(3モル付加)アルキル(炭素数12)エーテルリン酸カリウム(エレクトロストリッパーF(商標)、花王株式会社製) B−5:ラウリル硫酸ナトリウム(アデカホープLS−35(商標)、花王株式会社製) [比較に用いた界面活性剤] B−6:ポリオキシエチレン(10モル付加)オクチルフェニルエーテル(和光純薬株式会社製) B−7:ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩(デモールN(商標)、花王株式会社製) B−8:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオペレックスNo.6Fパウダー(商標)、花王株式会社製) (C)多糖類高分子C−1:キサンタンガム(「KELZAN ASX」(商標)、三晶株式会社製) C−2:ラムザンガム(KIA112(商標)、三晶株式会社製) C−3:ウェランガム(KIA96(商標)、三晶株式会社製) C−4:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ90SH−10000(商標)、信越化学工業株式会社製) (D)スメクタイト系無機増粘剤D−1:精製ベントナイト[「ビーガム・グラニュー」(商品名)、三晶(株)社製]D−2:合成ヘクトライト[「ラポナイトRDS」(商品名)、三晶(株)社製]D−3:ヘクトライト[「ベントンEW」(商品名)、三晶(株)社製](実施例−1)表1に示す各成分含有量(重量%)を有するブロモクロロジメチルヒダントインの水スラリーを製造した。 【0037】1,000mLのビーカーに水497gを取り、直径10cmのプロペラ翼付き攪拌機スリーワンモータ(商標、新東科学株式会社製)を使用して400rpmで攪拌しながら、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(B−1)1g及び精製ベントナイト(D−1)1gを添加した。これが完全に溶解及び分散した後、攪拌下、ブロモクロロジメチルヒダントイン(A−1)400gを少量ずつ添加して、約1時間攪拌した。その間、レーザー回析式粒度分布計LA−500型(商標、堀場製作所株式会社製)にて、ブロモクロロジメチルヒダントインの分散粒子径を測定し、メジアン粒子径が約10μmになったときにキサンタンガム(C−1)の0.1重量%水溶液100mLを加えた。さらに均一になるまで攪拌を継続してブロモクロロジメチルヒダントインの水スラリーを得た。 (実施例−2)表1に示す各成分含有量(重量%)を有するブロモクロロジメチルヒダントインの水スラリーを製造した。 【0038】1,000mLのビーカーに水597gを取り、直径10cmのプロペラ翼付き攪拌機スリーワンモータ(商標、新東科学株式会社製)を使用して400rpmで攪拌しながら、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(B−1)1g及び精製ベントナイト(D−1)1gを添加した。これらが完全に溶解及び分散した後、攪拌下、キサンタンガム(C−1)1gを添加し、完全に溶解させた。次いで攪拌下、ブロモクロロジメチルヒダントイン(A−1)400gを少量ずつ添加して、約1時間攪拌し均一なスラリーとした。その間、レーザー回析式粒度分布計LA−500型(商標、堀場製作所株式会社製)にて、ブロモクロロジメチルヒダントインの分散粒子径を測定し、メジアン粒子径が約10μmになるまで攪拌し、均一なブロモクロロジメチルヒダントインの水性スラリーを得た。 (実施例3〜19及び比較例1〜15)表1に示す各成分含有量(重量%)となるように、各成分の種類及び配合量を変えた以外は、実施例−1と同様に実施した。 【0039】 【表1】
【0040】(保存安定性試験)上記の実施例1〜19及び比較例1〜15で製造したハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーについて保存安定性を調べた。 【0041】製造直後の各水性スラリーを直径4cm×高さ12cmの目盛り付き円筒状試料瓶に入れ、35℃の恒温槽に1ヶ月間静置した。1ヶ月静置後の水性スラリーに生じた上澄み部分の体積を測定し、水性スラリーの分離度(分離体積率:%)を次式にて算出し、以下のように評価した。 A:水性スラリー体積(ml) B:水性スラリーの上澄み分離部分の体積(ml) 分離度(%)=(A/B)×100分離度が10体積%未満ならば良:○分離度が10体積%以上ならば不良:×また、製造直後及び上記静置後の各水性スラリーの回転粘度(B型回転粘度計;30rpmで回転開始より30秒後に測定)を測定した。 【0042】更に、製造直後及び上記静置後の各水性スラリーから、ハロゲン化ヒダントイン化合物の濃度が0.01重量%の水溶液を製造した。該水溶液について、残留塩素濃度及び残留臭素濃度をJIS K0101−1991に規定されているジエチル−p−フェニレンジアンモニウム(DPD)比色法に従って定量し、ハロゲン化ヒダントイン化合物の分解の程度を評価した。上記保存安定性試験の結果を表2に示した。 【0043】 【表2】
【0044】実施例1〜19のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーは、35℃にて2ケ月間安定に保管でき、粘度変化が少なく、かつ有効塩素濃度も維持され有効成分の損失が少ないことが分った。 【0045】 【発明の効果】本発明のハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーにより、長期間に亘り安定かつ高濃度を維持し得るハロゲン化ヒダントイン化合物の水性スラリーが提供され、ハロゲン化ヒダントイン化合物を殺微生物剤として工程水に注入する時には、大型の設備を使用することがなく、注入ポンプ及び貯蔵タンクの小型化ができる。また、従来のようにハロゲン化ヒダントイン化合物を溶液として注入すると、水中に存在する易酸化性の化合物にハロゲン化ヒダントイン化合物が消費され易く、良好な殺菌効果が維持できなかったが、本発明では、ハロゲン化ヒダントイン化合物が微粉体で存在することから、これが徐々に溶解して効率良く水中の微生物に作用し殺菌効果の向上が達成できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000234166 【氏名又は名称】伯東株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年4月27日(2001.4.27) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−322005(P2002−322005A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月8日(2002.11.8) |
| 【出願番号】 |
特願2001−132215(P2001−132215) |
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