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【発明の名称】 アントシアン抑制用農園芸用組成物
【発明者】 【氏名】新美 信哉

【要約】 【課題】植物の生育を促進すると同時にアントシアンを抑制する農園芸用組成物及び植物の着色を防止又は軽減する方法を見出すこと。

【解決手段】亜リン酸又はその塩を有効成分として含有する、アントシアン抑制用農園芸用組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】亜リン酸又はその塩を有効成分として含有する、アントシアン抑制用農園芸用組成物。
【請求項2】亜リン酸又はその塩が、亜リン酸又はその、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩若しくはアンモニウム塩である、請求項1に記載のアントシアン抑制用農園芸用組成物。
【請求項3】亜リン酸又はその塩が、亜リン酸又は亜リン酸カリウムである、請求項1に記載のアントシアン抑制用農園芸用組成物。
【請求項4】請求項1乃至3のいずれか1つに記載の組成物を芝生に施用することにより、芝生の着色を防止又は軽減する方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物の生育を促進すると同時にアントシアンを抑制する農園芸用組成物及び植物の着色を防止又は軽減する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】イグサなどのイグサ科植物、キャベツ、レタス、ブロッコリー、メキャベツなどのアブラナ科植物、クローバー、アルファルファなどの豆類、大葉などのシソ科植物及び芝生などのイネ科植物等においては、秋期から冬期に移行する時期などに葉に赤色色素を発現するアントシアンが合成され、クロロフィルの緑色と組み合わさって暗紫色を呈し、作物の商品価値を著しく損なう場合や、ゴルフ場グリーン等の美観を著しく損なう場合があり、これまで夜間に覆いをかけるなどにより防寒するなどの方法を採用したり、着色剤を使用するなどで対処していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、このような状況に対応する薬剤やその処理方法の開発に鋭意検討を続けた結果、亜リン酸又はその塩が、アントシアンの発現及び蓄積を抑制し、植物の着色を防止又は軽減することを見出し、本発明を完成させた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、亜リン酸又はその塩を有効成分として含有する、アントシアン抑制用農園芸用組成物及びそれを芝生などの植物に施用することにより、植物の着色を防止又は軽減する方法である。
【0005】本発明の亜リン酸又はその塩は、特に限定はなく、例えば、亜リン酸及びその、カリウム塩、ナトリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等であり得、好適には、亜リン酸又はその、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩若しくはアンモニウム塩であり、より好適には、亜リン酸又は亜リン酸カリウムである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の有効成分である亜リン酸又はその塩の量は、比較的広い範囲で変えることができるが、通常、農園芸用組成物中、0.1〜100質量%であり、好ましくは、5〜50質量%である。
【0007】本発明の農園芸用組成物の施用は、通常の肥料の施用方法に準じ行うことができる。例えば、本発明物の農園芸用組成物は、そのままで若しくは水で希釈し、植物体若しくは水面に施用するか、又は土壌に施用することができる。また、道具又は機械を用いて散布する場合は、例えば、じょうろ、動力噴霧器又はスプリンクラーを用いることができる。
【0008】本発明の農園芸用組成物を水で希釈する場合、散布液の希釈倍率は、通常、2〜10000倍であり、好適には、10〜5000倍であり、より好適には、100〜1000倍である。また、散布液の量は、1m2当たり、通常、10ml〜10000mlであり、好適には、50ml〜1000mlであり、より好適には、100〜500mlである。
【0009】本発明の農園芸用組成物は、植物の全生育ステージで使用することができるが、秋から初冬にかけて施用することが好ましい。また、施用回数は、好適には2〜5回である。
【0010】本発明の農園芸用組成物は、アントシアンが発生する多くの植物に使用することもできる。そのような植物としては、例えば、イグサなどのイグサ科植物、キャベツ、レタス、ブロッコリー、メキャベツなどのアブラナ科植物、クローバー、アルファルファなどの豆類、大葉などのシソ科植物及び芝生などのイネ科植物が挙げられる。
【0011】本発明の農園芸用組成物は、他の農業用資材、例えば堆肥、農薬、肥料、土壌改良材などと併用又は混用することができる。また、本発明の農園芸用組成物は、通常農薬に用いられる担体、界面活性剤等の補助剤を含有することができる。
【0012】以下に、実施例及び試験例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に用いる%及び部は、特に記載がない限り、全て質量に関する%及び部を示す。
【0013】
【実施例】
【0014】
【実施例1】亜リン酸を含有する水和剤亜リン酸(25部)、リグニンスルホン酸カルシウム(3部)、ラウリル硫酸ナトリウム(2部)及び合成含水酸化珪素(残部)をよく粉砕混合して、有効成分を25%含有する水和剤を得た。
【0015】
【実施例2】亜リン酸塩を含有する液剤亜リン酸(15部)、水酸化カリウム(10部)、水酸化アンモニウム(5部)及び水(残部)をよく混合溶解して、有効成分を15%含有する液剤を得た。
【0016】
【実施例3】亜リン酸カリウムを含有する液剤亜リン酸カリウム(35部)を水(残部)によく混合溶解して、有効成分を35%含有する液剤を得た。
【0017】
【試験例1】キャベツのアントシアン発現抑制試験実施例2に準じて調製した液剤を水に希釈し、露地植えのキャベツ(1区5株、3反復)に、有効成分量が亜リン酸として計算して、250ppm、500ppm及び1000ppmとなるように散布した(キャベツ植付け時)。またキャベツ植付け30日後及び60日後に前記と同様の散布を行い(合計3回散布)、キャベツ植付け90日後にアントシアンの発現程度を観察調査した。その結果を表1に表す。なお、アントシアンの発現程度は、記号で表し、発生なしを−とし、アントシアニンの発生が激発したものを++++とした。
【0018】
【表1】
キャベツのアントシアン発現程度調査結果───────────────────────────────────試験番号 有効成分量(ppm) キャベツ植付け90日後のアントシアン発現程度───────────────────────────────────1 1000 −2 500 −3 250 +─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─4 0(無処理) +++───────────────────────────────────【0019】
【試験例2】芝生のアントシアン発現抑制試験コウライシバを200cm2のワグネルポットに植え付け、ポットを屋外に置き、芝生を生育させた。
【0020】実施例2に準じて調製した液剤を水に希釈し、有効成分量が亜リン酸として計算して、7.2g/m2、3.6g/m2及び1.8g/m2となるように、植付け20日後及び80日後の2回ポットに散布した。
【0021】植付け1年後に、コウライシバをポットから掘り出し、水洗した後、直立茎、ほふく茎及び根に切り分けてその重量を調査した。また植付け 100日後、150日後及び200日後にアントシアンの発現程度を観察調査した。その結果を表2及び3に表す。なお、発現程度は、記号で表し、発生なしを−とし、アントシアニンの発生が激発したものを++++とした。
【0022】
【表2】
コウライシバの各器官別乾物重量調査結果───────────────────────────────────試験 有効成 無施肥区の平均値を減じた乾物重(g)区の 分量 ──────────────────────────番号 (g/m2) 直立茎 ほふく茎 根 総乾物重───────────────────────────────────1 7.2 16.27±1.00 10.15±1.15 5.80±0.24 32.22±1.882 3.6 15.30±0.67 10.06±0.92 5.19±0.29 30.53±1.843 1.8 9.53±0.41 7.59±1.18 3.78±0.27 20.91±0.80─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─4 0(無処理) 4.82±0.42 1.97±0.39 1.44±0.22 8.23±0.70───────────────────────────────────【0023】
【表3】
コウライシバのアントシアン発現程度調査結果───────────────────────────────────試験 有効成 アントシアン発現程度区の 分量 ───────────────────────番号 (g/m2) 植付け100日後 150日後 200日後───────────────────────────────────1 7.2 − − ±2 3.6 − − +3 1.8 + ++ ++─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─4 0(無処理) +++ ++++ ++++ ───────────────────────────────────【0024】
【試験例3】芝生のアントシアン発現抑制試験アントシアン発現系統のベントグラスを200cm2のワグネルポットに植え付け、ポットを屋外に置き、ベントグラスを生育させた。
【0025】実施例3に準じて調製した液剤を水に希釈し、亜リン酸カリウムの散布量が、3.5g/m2、7.0g/m2又は14.0g/m2となる量だけ、植付け30日後から30日間隔で3回ポットに散布した。また、施肥は一般液肥を用い、2週間間隔で6回に分けて施用した。
【0026】植付け100日後(第1回調査)及び150日後(第2回調査)に、アントシアンの発現量を、発現程度とアントシアン含有量について調査した。その結果を表4及び5に示す。
【0027】なお、発現程度は、記号で表し、着色なしを−とし、アントシアニンによる着色が激発したものを++++とした。また、アントシアン含有量は、ベントグラス生葉0.2gを乳鉢にて磨砕し、3%HCl水溶液20mlで抽出容器に洗い込み、冷暗所で24時間静置後、No.6ろ紙でろ過し、530nmで吸光度を測定し、シアニジン 3−グルコシドを標品として作成した検量線から、サンプルのアントシアン濃度を算出した。試験はそれぞれの濃度で3区ずつ行い、結果は3区の平均で表した。
【0028】
【表4】
アントシアンの発現量(第1回調査)
───────────────────────────────────番号 有効成分量 アントシアンの発現量 (g/m2) ─────────────────────── 発現程度 アントシアン含有量(mg/100g新鮮重)───────────────────────────────────1 3.5 ± 19.352 7.0 ± 16.643 14.0 − 15.20─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─4 0(無処理) ++ 32.59───────────────────────────────────【0029】
【表5】
アントシアンの発現量(第2回調査)
───────────────────────────────────番号 有効成分量 アントシアンの発現量 (g/m2) ─────────────────────── 発現程度 アントシアン含有量(mg/100g新鮮重)───────────────────────────────────1 3.5 ++ 21.102 7.0 + 23.343 14.0 + 15.36─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─4 0(無処理) ++++ 47.58───────────────────────────────────【0030】
【発明の効果】本発明組成物を、植物のアントシアン発現及び蓄積に関して、秋口などアントシアンが通常発現する時期に先立ち、適切な量を施用することで、アントシアンの発現及び蓄積を抑制し、植物の着色を防止又は軽減することができる。これにより、植物を健全に育成することができ、美観を保つことができる。
【出願人】 【識別番号】000001856
【氏名又は名称】三共株式会社
【出願日】 平成13年4月17日(2001.4.17)
【代理人】 【識別番号】100081400
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 彰夫 (外1名)
【公開番号】 特開2002−316907(P2002−316907A)
【公開日】 平成14年10月31日(2002.10.31)
【出願番号】 特願2001−118263(P2001−118263)