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【発明の名称】 殺ダニ用精油混合物、殺ダニ剤及び殺ダニスプレー
【発明者】 【氏名】三島 方隆

【氏名】太田 英明

【氏名】末冨 明孝

【要約】 【課題】充分な殺ダニ効果が得られる量にて散布しても、使用者に不快感を与えにくい殺ダニ剤を提供すること。

【解決手段】ユーカリ油又はローズマリー油の一方もしくはこれらの混合物とミント油とを質量比で1:4〜1:99の範囲内の量にて含む殺ダニ用精油混合物、及び該殺ダニ用精油混合物が溶媒に溶解されてなる殺ダニ剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ユーカリ油又はローズマリー油の一方もしくはこれらの混合物とミント油とを質量比で1:4〜1:99の範囲内の量にて含むことを特徴とする殺ダニ用精油混合物。
【請求項2】 ミント油がペパーミント油であることを特徴とする請求項1に記載の殺ダニ用精油混合物。
【請求項3】 請求項1もしくは2に記載の殺ダニ用精油混合物が溶媒に溶解されてなる殺ダニ剤。
【請求項4】 殺ダニ用精油混合物の含有量が3〜20質量%の範囲内の量にある請求項3に記載の殺ダニ剤。
【請求項5】 噴霧口を有する密閉容器に、請求項3もしくは4に記載の殺ダニ剤が充填されてなる殺ダニスプレー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然精油を有効成分とする殺ダニ剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ある種の香料素材物質や天然精油、及びこれに含まれているテルペン化合物がダニの忌避効果、もしくは殺ダニ効果を有することは知られている。
【0003】例えば、特開平5−178712号公報には、ベンジルホルメート、ベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、ベンジルブチレート、ベンジルバレレート、ベンジルカプロエート、ベンジルフェニルケトン、ベンゾフェノンなどの香料素材物質、リナロール、リモネンなどのテルペン化合物、及びレモングラス油、ゼラニウム油、ローズマリー油、ローレル油、ペパーミント油、スペアミント油、ラベンダー油、キャラウェイ油、カッシャ油、カラムス油、フェンネル油、タイム油などの天然精油によるダニの忌避効果が開示されている。
【0004】天然精油は人体に対して極めて安全性が高い物質であるから、天然精油を用いてダニを駆除できれば望ましい。しかしながら、本発明者の研究によれば、高い殺ダニ効果が得られる量の天然精油をダニの生息地に散布すると、その周囲は天然精油の匂いが過度に強くなり、使用者及びその近傍に居る人に不快感を与える傾向にあることが明らかになった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、十分な殺ダニ効果が得られる量にて散布しても、使用者に不快感を与えにくい殺ダニ剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ユーカリ油又はローズマリー油の一方もしくはこれらの混合物とミント油とを質量比で1:4〜1:99の範囲内の量にて含むことを特徴とする殺ダニ用精油混合物にある。
【0007】本発明はまた、上記の殺ダニ用精油混合物が溶媒に溶解されてなる殺ダニ剤にもある。
【0008】本発明はさらに、噴霧口を有する密閉容器に、上記殺ダニ剤が充填されてなる殺ダニスプレーにもある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の殺ダニ用精油混合物は、ユーカリ油又はローズマリー油の一方もしくはこれらの混合物とミント油とを含むことを特徴している。すなわち、天然精油の中でも殺ダニ効果の優れたミント油と、ミント油の匂いを効果的に希釈し、かつミント油の殺ダニ効果を助長するユーカリ油及びローズマリー油とを含むことを特徴としている。
【0010】ユーカリ油又はローズマリー油の一方もしくはこれらの混合物とミント油との混合割合は、質量比で1:4〜1:99(ユーカリ油又はローズマリー油の一方もしくはこれらの混合物:ミント油)の範囲内、好ましくは1:4〜1:30の範囲内、より好ましくは1:5〜1:25の範囲内である。
【0011】ミント油としては、ペパーミント油、取卸油(ハッカを蒸留して得た精油)、脱脳油(取卸油からハッカ脳を析出させた後の精油)、スペアミント油をそれぞれ単独で、あるいは二種類以上を混合して用いることができる。これらのミント油の中でも、ペパーミント油又はスペアミント油を用いることが好ましく、ペパーミント油を用いることが特に好ましい。
【0012】本発明の殺ダニ用精油混合物は、上記の天然精油以外の天然精油、及びテルペン化合物を含有してもよい。
【0013】天然精油の例としては、アルモンドビター油、キャラーウエ油、芳油、ベイ油、クローブ油、カシア油、イランイラン油、ゼラニウム油、ウイキョウ油、セイジ油、ベリラ油、ボアドローズ油を挙げることができる。
【0014】テルペン化合物の例としては、リナロール、アネトール、カルボン、ベンツアルデヒド、ベンジルアルコール、オイゲノール、ジヒドロミルセノール、シネオール、カンファ、メチルアンスラニレート、ゲラニオール、リモネン、チモール、パライソプロピルアニソール、シトラール、ボルネオールを挙げることができる。
【0015】本発明の殺ダニ用精油混合物をダニの生息地に散布する場合は、溶媒に溶解させて散布することが好ましい。
【0016】溶媒には、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどのアルコール類の一種以上、あるいはそれら溶媒と水との混合溶液を用いることができる。
【0017】溶媒中の殺ダニ用精油混合物の含有量は、通常は、3〜20質量%の範囲内、好ましくは5〜20質量%の範囲内、より好ましくは9〜12質量%の範囲内の量である。
【0018】上記本発明の殺ダニ用精油混合物を含む溶媒(殺ダニ剤)は、通常は、噴霧口を有する密閉容器(スプレー缶)に充填して使用する。噴射剤には、メチルフルオライド、イソブタン、炭酸ガス、液化石油ガス、ジメチルエーテルなど公知のガスが使用できる。
【0019】
【実施例】[実施例1]下記の精油溶液(A)〜(C)について殺ダニ効果を評価した。
【0020】(1)精油溶液(A)
ユーカリ油とペパーミント油とを重量比で1:5の割合で混合して精油混合物を得た。次いで、この精油混合物12質量部を95容量%のエタノール水溶液88質量部に混合して、精油溶液(A)を得た。
【0021】(2)精油溶液(B)
ローズマリー油とペパーミント油とを重量比で1:5の割合で混合して精油混合物を得た。次いで、この精油混合物12質量部を95容量%のエタノール水溶液88質量部に混合して、精油溶液(B)を得た。
【0022】(3)精油溶液(C)
ペパーミント油13質量部を95容量%のエタノール水溶液87質量部に混合して、精油溶液(C)を得た。
【0023】[殺ダニ効果の評価方法]10cm×10cmの濾紙(アドバンテック(株)製、No.5C)に50個体の供試ダニ(ヤケヒョウヒダニ:雌)を這わせた。供試ダニを這わせた側の濾紙の表面に、精油溶液を噴霧した。噴霧後、直ちに濾紙の重量を量り増加重量を精油溶液の噴霧量とした。次いで、濾紙を2つ折りにし、開いている3方を目玉クリップでとめた。精油溶液を噴霧してから30分後、24時間後に、濾紙を開いて静止状態のダニの個体数(ノックダウン数)を計数した。
【0024】24時間後のノックダウン数を計数した後、静止状態のダニを、精油溶液の付着していない別の濾紙に移した。そして、24時間静置した後のノックダウン数(静止状態のままでいるダニの数)を計数し、これを死亡数とした。試験期間中の試験室内の温度は、23.9〜27.8℃(平均24.6℃)、湿度は52〜64%RH(平均57.3%RH)であった。対照区では、濾紙に精油溶液を噴霧しない以外は同様の操作を行った。なお、試験は3回ずつ行った。
【0025】表1に、各試験毎の精油溶液噴霧量、及び下記式により算出したノックダウン率(%)、死亡率、及び平均死亡率(%)を示す。
ノックダウン率(%)=ノックダウン数/供試ダニ数(50個体)×100死亡率(%)=死亡数/供試ダニ数(50個体)×100【0026】
【表1】
表1──────────────────────────────────── 精油溶液 試 精油溶液 ノックタ゛ウン率(%) 死亡率 平均死亡率 験 噴霧量 ────────── (%) (%)
数 (g) 30分後 24時間後──────────────────────────────────── 精油溶液(A) 1 0.463 100 96 96 [ミント油−ユーカリ油 2 0.398 100 94 94 溶液] 3 0.424 100 96 96 95.3──────────────────────────────────── 精油溶液(B) 1 0.412 100 94 94 [ミント油−ロース゛マリ 2 0.398 100 98 98 油溶液] 3 0.418 100 90 90 94.0──────────────────────────────────── 精油溶液(C) 1 0.440 100 94 94 [ミント油溶液] 2 0.431 100 100 100 3 0.436 100 90 90 94.7──────────────────────────────────── 対照区 1 − 0 0 0 2 − 0 0 0 3 − 0 0 2 0.7────────────────────────────────────【0027】[実施例2]前記実施例1の精油溶液(A)〜(C)の官能試験を行った。官能試験は、5人の被験者(イ、ロ、ハ、ニ、ホ)に、精油溶液(A)〜(C)の香りを好ましい順に順位を付けてもらい、その順位の合計(合計が小さい程好ましい)により評価した。その結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
表2──────────────────────────────────── 各被験者が付けた順位 順位の合計 ──────────── イ ロ ハ ニ ホ──────────────────────────────────── 精油溶液(A) 2 1 2 3 1 9 [ミント油−ユーカリ油溶液]
──────────────────────────────────── 精油溶液(B) 1 3 1 1 2 8 [ミント油−ロース゛マリー油溶液]──────────────────────────────────── 精油溶液(C) 3 2 3 2 3 13 [ミント油溶液]────────────────────────────────────【0029】[実施例3]ユーカリ油とペパーミント油とを重量比で1:23の割合で混合して精油混合物を得た。次いで、この精油混合物12質量部を95容量%のエタノール水溶液88質量部に混合して、精油溶液(D)を得た。この精油溶液(D)の殺ダニ効果を評価したことろ、前記精油溶液(A)〜(C)と同様の効果が得られた。また、5人の被験者による官能試験の結果、4人の被験者が精油溶液(C)[ミント油溶液]よりも好ましい香りがすると回答した。
【0030】[実施例4]ユーカリ油とペパーミント油とを重量比で1:11の割合で混合して精油混合物を得た。次いで、この精油混合物12質量部を95容量%のエタノール水溶液88質量部に混合して、精油溶液(E)を得た。この精油溶液(E)の殺ダニ効果を評価したことろ、前記精油溶液(A)〜(C)と同様の効果が得られた。また、5人の被験者による官能試験の結果、4人の被験者が精油溶液(C)[ミント油溶液]よりも好ましい香りがすると回答した。
【0031】[実施例5]ローズマリー油とペパーミント油とを重量比で1:11の割合で混合して精油混合物を得た。次いで、この精油混合物12質量部を95容量%のエタノール水溶液88質量部に混合して、精油溶液(F)を得た。この精油溶液(F)の殺ダニ効果を評価したことろ、前記精油溶液(A)〜(C)と同様の効果が得られた。また、5人の被験者による官能試験の結果、4人の被験者が精油溶液(C)[ミント油溶液]よりも好ましい香りがすると回答した。
【0032】以上、ミント油にペパーミント油を用いた例について説明したが、ペパーミント油の代わりに取卸油、脱脳油、スペアミント油を用いた場合も同様の効果が得られる。
【0033】
【発明の効果】本発明の殺ダニ用精油混合物及び殺ダニ剤は、天然精油を有効成分とすることから人体に対する安全性が高く、殺ダニ効果を奏するまで散布しても使用者に不快感を与えにくい。従って、本発明の殺ダニ用精油混合物及び殺ダニ剤は、畳、絨毯、カーペット、ソファ、マットレス、布団などの人体と直接的に接触するものに生息しているダニの駆除に好適に使用できる。
【出願人】 【識別番号】000169466
【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
【識別番号】000119988
【氏名又は名称】宇部マテリアルズ株式会社
【出願日】 平成13年4月11日(2001.4.11)
【代理人】 【識別番号】100074675
【弁理士】
【氏名又は名称】柳川 泰男
【公開番号】 特開2002−308715(P2002−308715A)
【公開日】 平成14年10月23日(2002.10.23)
【出願番号】 特願2001−112185(P2001−112185)