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【発明の名称】 銀系抗菌剤用の変色防止剤、それを含む銀系抗菌剤および抗菌方法
【発明者】 【氏名】川口 芳広

【要約】 【課題】銀系抗菌剤の優れた抗菌活性を低下させないで、銀系抗菌剤およびこれで処理した抗菌性付与対象物、特にシートの変色を防止し得る変色防止剤を提供することを課題とする。

【解決手段】チオール基を有する化合物からなる銀系抗菌剤用の変色防止剤により、上記の課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 チオール基を有する化合物からなる銀系抗菌剤用の変色防止剤。
【請求項2】 チオール基を有する化合物が、システインおよびその誘導体、還元型グルタチオンならびにチオグリコール酸およびその塩から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の銀系抗菌剤用の変色防止剤。
【請求項3】 請求項1または2に記載の変色防止剤が配合された銀系抗菌剤。
【請求項4】 銀系抗菌剤が、蛋白質中の活性チオール基の含有割合が0.1〜200μモル/gである水可溶性の蛋白質と銀塩とを水中で接触させることにより得られる水不溶性の銀含有複合蛋白質である請求項3に記載の銀系抗菌剤。
【請求項5】 水可溶性の蛋白質が、ホエー蛋白質またはその加水分解物もしくは水可溶化物であるか、あるいは卵殻膜蛋白質の加水分解物もしくは水可溶化物である請求項4に記載の銀系抗菌剤。
【請求項6】 変色防止剤が、チオール基を有する化合物が銀系抗菌剤中の銀イオン1molに対して0.125〜1molになるように配合されてなる請求項3〜5のいずれか1つに記載の銀系抗菌剤。
【請求項7】 請求項3〜6のいずれか1つに記載の銀系抗菌剤でシートを処理して、シートに抗菌性を付与することを特徴とするシートの抗菌方法。
【請求項8】 請求項3〜6のいずれか1つに記載の銀系抗菌剤で処理されたシート。
【請求項9】 銀系抗菌剤で処理されたシートを、請求項1または2に記載の変色防止剤で処理したシート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、銀系抗菌剤用の変色防止剤およびそれを含む銀系抗菌剤ならびにそれを用いた抗菌方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、医療用機械器具、文具類、繊維製品、紙製品、日用雑貨品や浴室製品などにおいて、健康衛生面に配慮して、かびや細菌などの各種微生物が繁殖しないように抗菌・抗かび剤で抗菌・抗かび処理を施したものが多く用いられている。
【0003】このような抗菌・抗かび剤としては、銀、銅、亜鉛などの金属無機化合物を無機多孔質担体に吸着させた無機系抗菌・抗かび剤が汎用されている。また、水不溶性の硬蛋白質、例えば卵殻膜、羽毛、羊毛、絹およびこれらから分離したコラーゲン、絹フィブロイン、エラスチンなどに、銀、銅、亜鉛などの抗菌性金属を吸着させた蛋白質抗菌・抗かび剤が提案されている(特開平6−65013号公報、特開平8−188513号公報および特開平8−258235号公報参照)。
【0004】また、抗菌・抗かび剤としては、この発明の発明者によって提案された水不溶性の銀含有複合蛋白質が挙げられる(国際出願公開WO00/59937号公報参照)。この銀含有複合蛋白質は、銀含有率を高め、蛋白質からの銀の脱離を抑制して、上記の蛋白質抗菌・抗かび剤の抗菌活性を改善したものであり、紙や不織布をはじめとした繊維製品に付着させやすく、樹脂などとの優れた相溶性も期待されている。
【0005】しかしながら、このような銀系抗菌剤により抗菌性が付与された対象物、特に紙は時間と共に変色するという問題があった。また、このような変色が起こるために、抗菌性付与対象物に添加される銀系抗菌剤の量が制限されるという問題があった。
【0006】特開平8−27306号公報には、銀系抗菌剤を配合した樹脂組成物に、2価以上のカチオン性金属イオンを有する金属塩のような無機化合物を配合することにより、樹脂組成物に変色防止性を付与する技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、銀系抗菌剤の優れた抗菌活性を低下させないで、銀系抗菌剤およびこれで処理した抗菌性付与対象物、特にシートの変色を防止し得る変色防止剤を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明者は、チオール基を有する化合物を銀系抗菌剤に添加することにより、銀系抗菌剤の優れた抗菌活性を低下させないで、銀系抗菌剤およびこれで処理した抗菌性付与対象物、特にシートの変色を意外にも防止し得ることを見出し、この発明を完成するに到った。
【0009】かくして、この発明によれば、チオール基を有する化合物からなる銀系抗菌剤用の変色防止剤が提供される。
【0010】また、この発明によれば、上記の変色防止剤が配合された銀系抗菌剤が提供される。
【0011】さらに、この発明によれば、上記の銀系抗菌剤でシートを処理して、シートに抗菌性を付与することを特徴とするシートの抗菌方法が提供される。
【0012】さらにまた、この発明によれば、上記の銀系抗菌剤で処理されたシート、および銀系抗菌剤で処理されたシートを、上記の変色防止剤で処理したシートが提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】この発明における変色防止成分であるチオール基を有する化合物としては、1,1,3,3−テトラデカンチオール、1,1,3,3−テトラメチルブタン−1−チオール、1,10−デカンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1−オクタンチオール、1−デカンチオール、1−ドデカンチオール、1−ブタンチオール、1−ブタンチオール銅(II)塩、1−プロパンチオール、1−ヘキサデカンチオール、1−ヘキサンチオール、1−ヘプタンチオール、1−ペンタンチオール、2−ジエチルアミノエタンチオール塩酸塩、2−ブタンチオール、2−プロパンチオール、2−プロペン−1−チオール、2−メチル−1−プロパンチオール、2−メチル−2−プロパンチオール、2−メチル−2−プロペン−1−チオール、n−ノナンチオール、t−テトラデカンチオール、t−ドデカンチオール、t−ノナンチオール、t−ヘキサデカンチオール、エタンチオール、グルタチオン、還元型グルタチオン、システアミン塩酸塩、システアミン硫酸塩、システイン(L−システイン、D−システインとこれらの混合物)、システイン誘導体(例えば、N−アセチル−L−システイン)、システイン酸、システイン酸エチルエステル塩酸塩、ジチオエリトリトール、チオアセチル酸、チオグリコール酸、チオグリコール酸塩(例えば、チオグリコール酸ナトリウム)、チオリンゴ酸、フェノチオール、メチルメルカプタン、メルカプトアセチル酸、メルカプトエタノールなどの脂肪族化合物;
【0014】1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼン−ジメタンチオール、2,5−ジクロロベンゼンチオール、2−アミノチオフェノール、2−ナフタレンチオール、2−ブロモチオフェノール、2−メトキシベンゼンチオール、3,4−ジクロロベンゼンチオール、3−フェニル−1−プロパンチオール、3−メトキシベンゼンチオール、4−メトキシ−α−トルエンチオール、4−メトキシベンゼンチオール、o−メルカプト安息香酸、p−クロロフェニルメタンチオール、p−シクロヘキシルメタンチオール、p−メトキシベンジル−S−(4,6−ジメチルピリジン−2−ニル)チオールカーバネート、シクロヘキシルメタンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、トリフェニルメタンチオール、トルエン−α−チオール、ヒノキチオールなどの脂環式化合物または芳香族化合物;および【0015】1−メチル−1,2,3,4−テトラゾール−5−チオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チジアゾール、2−アミノ−5−メルカプトピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、2−フランメタンチオール、2−メチル−1,3,4−チアゾール−5−チオール、2−メルカプトチアゾリン、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、2−メルカプトベンゾキシアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−チオール、3−メルカプトベンズイミダゾール、6−メルカプトブリンモノ水和物、テトラチアフルバレンなどの複素環式化合物などが挙げられる。
【0016】これらの化合物のうち、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、1,4−ブタンジチオール、メルカプトエタノール、システインおよびその誘導体(例えば、N−アセチル−L−システイン)、還元型グルタチオンならびにチオグリコール酸およびその塩(例えば、チオグリコール酸ナトリウム)などの脂肪族化合物が好適に用いられ、システインおよびそれらの誘導体、還元型グルタチオンならびにチオグリコール酸およびその塩が工業的に利用しやすく、コストの点などにおいて好ましい。これらのチオール基を有する化合物は単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。
【0017】この発明で変色防止の対象となる銀系抗菌剤は、例えば、有機系もしくは無機系の銀化合物、多孔性構造をもった物質(多孔性構造体)に銀化合物および/または銀錯塩を担持させたもの、あるいは多孔性構造体に銀イオンをイオン交換させたものなどが挙げられる。中でも、前記の国際出願公開WO00/59937号公報に記載の銀含有複合蛋白質を用いるのが、安全性の点、抗菌効果の持続性の点などにおいて特に好ましい。
【0018】この銀含有複合蛋白質は、蛋白質中の活性チオール基の含有割合が0.1〜200μモル/gである水可溶性の蛋白質と銀塩とを水中で接触させることにより得ることができる。具体的には、銀含有複合蛋白質は、水可溶性の蛋白質と、蛋白質1gに対して、銀塩0.005〜3g程度の硝酸銀、酢酸銀などの銀塩とを水中で接触させる、例えば、水中で蛋白質を攪拌しつつ、この中に水に溶解した銀塩を徐々に加えて、水中の銀イオン濃度を徐々に上げることにより得ることができる。
【0019】「水可溶性の蛋白質」としては、活性チオール基の含有割合が上記の範囲内にある蛋白質であれば特に限定されないが、ホエー蛋白質、ホエー蛋白質の加水分解物、ホエー蛋白質の水可溶化物、卵殻膜蛋白質の加水分解物および卵殻膜蛋白質の水可溶化物が好ましい。
【0020】「ホエー蛋白質」は、元来シスチンを比較的多量に含有する蛋白質であり、チーズ製造時に副生する乳清(ホエー)中に多く存在する。また、「卵殻膜蛋白質」は、鳥類の卵の卵殻の内膜を構成する水不溶性の蛋白質であり、食品工業などにおいて大量に消費されている鶏卵やウズラの卵などから得られる。ホエー蛋白質や卵殻膜蛋白質の加水分解物または水可溶化物は、それらをアルカリ分解、酵素分解または還元剤処理などに付すことにより得られる。
【0021】この発明で変色防止の対象となる銀系抗菌剤に用いられる銀含有複合蛋白質以外の有機系もしくは無機系の銀化合物としては、コロイダル状の銀(コロイダル銀)、炭酸銀、塩素酸銀、過塩素酸銀、臭素酸銀、ヨウ素酸銀、過ヨウ素酸銀、リン酸銀、二リン酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、タングステン酸銀、バナジン酸銀、チオシアン酸銀、アミド硫酸銀、ホウ酸銀、チオ硫酸銀、酸化銀、過酸化銀、硫化銀、フッ化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、酢酸銀、安息香酸銀、乳酸銀、ピロリン酸銀、クエン酸銀、ベヘン酸銀、ジエチルカルバミン酸銀、ステアリン酸銀、カルボン酸銀、酒石酸銀、メタスルホン酸銀、トリフルオロ酢酸銀、リン酸もしくは亜リン酸のアルキルエステル、フェニルエステルもしくはアルキルフェニルエステルの銀塩、リンフッ化銀、フタロシアニン銀、エチレンジアミンテトラ酢酸銀、プロテイン銀などが挙げられる。
【0022】また、銀系抗菌剤は他の抗菌性を有する金属、金属化合物、金属錯塩、金属イオンなどを併用したものでもよい。ここで使用される他の抗菌性を有する金属としては、銅、亜鉛、マグネシウム、水銀、スズ、鉛、ビスマス、カドミウム、クロム、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン、砒素、アンチモン、バリウムなどが挙げられる。
【0023】この発明で変色防止の対象となる銀系抗菌剤としては、上記の銀含有複合蛋白質以外に、イオン溶出型で銀化合物と亜鉛化合物をゼオライトに担持させたもの(登録商標:Zeomic、株式会社シナネンゼオミック製)、イオン非溶出型で銀化合物をリン酸ジルコニウムに担持させたもの(商品名:Novaron、東亞合成化学株式会社製)などが挙げられる。
【0024】この発明の変色防止剤は、前記のようなチオール基を有する化合物を有効成分として含む。この変色防止剤を銀系抗菌剤に配合することにより、銀系抗菌剤の優れた抗菌活性を低下させないで、その変色を防止することができる。この観点から、変色防止剤が配合された銀系抗菌剤およびそれを用いた抗菌方法が提供される。
【0025】この発明の変色防止剤は、有効成分であるチオール基を有する化合物が銀系抗菌剤中の銀イオン1molに対して0.0125〜100mol、好ましくは0.0625〜10mol、より好ましくは0.25〜1molになるように銀系抗菌剤に配合される。チオール基を有する化合物の配合量が上記の範囲であれば、優れた変色防止効果が得られる。
【0026】この発明の銀系抗菌剤は、銀系抗菌剤、例えば水不溶性の銀含有複合蛋白質の水懸濁液に本発明の変色防止剤を加えて、ホモミキサーなどの撹拌分散機で撹拌分散することにより得られる。
【0027】この発明の銀系抗菌剤には、組成物の粘度調整、分散安定性付与のために、必要に応じて多価アルコール、糖アルコールなどを配合してもよい。多価アルコールとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられ、糖アルコールとしては、ソルビトール、マルチトール、キシリトールなどが挙げられる。これらのアルコール類のうち、例えば、ポリビニルアルコールは、水に対する溶解度を考慮して、水に対して0.1〜15重量%程度配合するのが好ましい。
【0028】また、この発明の銀系抗菌剤は、この発明の効果を阻害しない範囲で、上記の成分以外に他の乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、キラヤサポニン、レシチンなど)、増粘安定剤(キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、アルギン酸およびでんぷん加水分解物などの加工でんぷんなど)、でんぷん、乳蛋白などの蛋白、防腐剤、着色剤、香料などを含んでいてもよい。
【0029】この発明の銀系抗菌剤は、抗菌性を付与すべき対象物、特にシートに含有させることにより、銀系抗菌剤が本来有している継続的な抗菌効果を発揮させるとともに、銀系抗菌剤の変色による抗菌性付与対象物の変色を防止することができる。このような観点から、シートの抗菌方法および変色が防止されたシートが提供される。
【0030】具体的には、この発明の抗菌方法は、変色防止剤が配合された銀系抗菌剤をそのまま、または必要により水もしくは水性媒体で希釈して、塗付、浸漬、噴霧などの公知の方法でシートに含浸または付着させたり、パルプスラリーに添加して抄紙することにより行われる。
【0031】本発明において、「シート」とは、長さおよび幅に比較して厚さの極めて小さい形状のものを意味し、その材質は特に限定されない。すなわち、植物から得られるセルロース性繊維を水中に分散し湿式抄紙して得られる紙だけでなく、紙と類似の繊維絡合状の構造と物性をもつ合成紙のようなシート状材料、不織布ならびにこれらの複合材料シートを含む。具体的には、新聞紙や板紙などの古紙、印刷紙、コピー紙、ライナー紙、不織布、合成樹脂フィルムなどが挙げられる。また、これらのシートはガラス繊維などの強化剤を配合することにより機械的に強化されていてもよい。
【0032】この発明の銀系抗菌剤をシートに塗付する場合、好ましい塗付量は、シートの種類やその用途などによっても異なるが、通常、1平方メートルあたり抗菌有効成分が0.01〜10gとなるよう、より好ましくは0.1〜5gとなるように塗布される。
【0033】あるいは、変色防止剤が配合されていない銀系抗菌剤で処理して抗菌性が付与された対象物、特にシートに、この発明の変色防止剤を含浸または付着させることによっても、銀系抗菌剤が本来有している継続的な抗菌効果を低下させないで、銀系抗菌剤の変色によるシートの変色を防止することができる。このような観点から、銀系抗菌剤で処理されたシートを変色防止剤で処理したシートもこの発明により提供される。
【0034】かかるシートは、具体的には、銀系抗菌剤で処理されたシートに、この発明の変色防止剤をそのまま、または必要により水もしくは水性媒体で希釈して、塗付、浸漬、噴霧などの公知の方法でシートに含浸または付着させることにより得られる。
【0035】この発明の変色防止剤を銀系抗菌剤で処理されたシートに塗付する場合、好ましい塗付量は、シートの種類やその用途などによっても異なるが、通常、変色防止有効成分が、シートに含まれる銀系抗菌剤中の銀イオン1molに対して、0.0125〜100mol、好ましくは0.0625〜10mol、より好ましくは0.25〜1molになるように塗布すればよい。
【0036】
【実施例】この発明を以下の実施例、比較例および試験例によりさらに詳しく説明するが、これらの実施例および試験例によりこの発明が限定されるものではない。
【0037】実施例1ホエー蛋白質(New Zealand Daily Board社製、商品名:アラセン895、蛋白質含有率:約98%、活性チオール基の含有割合:47μモル/g)5gを脱イオン水45gに溶解した。この蛋白質水溶液に、硝酸銀0.354gを脱イオン水35gに溶解した硝酸銀水溶液を添加し、1時間攪拌混合した。その後、予め用意しておいたポリビニルアルコール(クラレ株式会社製、商品名:PVA−217、PVA)水溶液10gをさらに添加混合した。このPVA水溶液は、PVA2gを濃度20%(w/w)になるように脱イオン水に加熱溶解することにより得た。次いで、得られた混合溶液に、変色防止剤として、N-アセチル-L-システイン0.341g(銀イオンに対して等モル)を添加混合し、塗工液とした。
【0038】実施例2〜13変色防止剤として、N-アセチル-L-システイン0.341gの代わりに、表1に記載の化合物をその重量(銀イオンに対するモル比)で用いる以外は、実施例1と同様にして塗工液を得た。
【0039】比較例1〜4変色防止剤に代わる化合物として、N-アセチル-L-システイン0.341gの代わりに、表1に記載の化合物をその重量(銀イオンに対するモル比)で用いる以外は、実施例1と同様にして塗工液を得た。
【0040】比較例5変色防止剤として、N-アセチル-L-システイン0.341gを用いない以外は、実施例1と同様にして塗工液を得た。
【0041】試験例1〔塗工不織布による変色防止効果確認試験〕
実施例1〜13および比較例1〜5で得られた塗工液をそれぞれ脱イオン水で20倍に希釈した。それぞれの希釈液に市販の不織布(ハビックス株式会社製、商品名:パルプ不織布、50mm×50mm)を漬浸し、風乾して塗工不織布とした。得られた塗工不織布の白色度を目視により観察し、自記分光光度計(日立株式会社製、HITACHI U−3200 150φ積分球付属装置)を用いて、ハンター白色度(%)を測定した。また、未塗工の不織布についても上記と同様にして、白色度を評価した。得られた目視による観察結果(外観観察)およびハンター白色度(%)を、変色防止剤中の化合物およびその重量(g)と銀イオンに対するモル比と共に表1に示す。なお、試験1〜13および比較試験1〜5では、実施例1〜13および比較例1〜5で得られた塗工液がそれぞれ用いられた。
【0042】
【表1】

【0043】表1に示された結果から、この発明の変色防止剤が優れた変色防止効果を有することがわかる。
【0044】試験例2〔塗工不織布による抗菌効果確認試験〕
実施例1、2および比較例5で得られた塗工液をそれぞれ脱イオン水で20倍に希釈し、試験例1と同様にして、塗工不織布を得た。得られた塗工不織布について、JIS L 1902に準拠してSEK抗菌性試験を実施した。試験結果を用いた塗工液と共に表2に示す。
【0045】
【表2】

【0046】表2に示された結果から、この発明の変色防止剤が添加されても、銀系抗菌剤の抗菌効果がほとんど低下していないことがわかる。
【0047】試験例3〔塗工不織布による抗菌効果確認試験〕
実施例3〜15で得られた塗工液を用いて、試験例2と同様にして塗工不織布を得、抗菌性試験を実施した。試験結果は、すべての塗工不織布について、静菌活性値>3.7、殺菌活性値>1.1、増減値差>3.7であった。この結果からも、この発明の変色防止剤が添加されても、銀系抗菌剤の抗菌効果がほとんど低下していないことがわかる。
【0048】
【発明の効果】この発明の変色防止剤は、銀系抗菌剤の優れた抗菌活性を低下させないで、銀系抗菌剤およびこれで処理した抗菌性付与対象物、特にシートの変色を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000154727
【氏名又は名称】株式会社片山化学工業研究所
【出願日】 平成13年4月12日(2001.4.12)
【代理人】 【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
【公開番号】 特開2002−308708(P2002−308708A)
【公開日】 平成14年10月23日(2002.10.23)
【出願番号】 特願2001−114172(P2001−114172)