| 【発明の名称】 |
銀系抗菌剤及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】中尾 幸道
【氏名】鈴木 三男
【氏名】室 力
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| 【要約】 |
【課題】粒径が小さく、長期間にわたって使用しても抗菌力の低下が認められない銀コロイド粒子を有効成分とした銀系抗菌剤を提供する。
【解決手段】銀コロイド粒子及びカチオン性界面活性剤を担持した無機質吸着剤からなる銀系抗菌剤であって、銀の水溶性塩を溶かした水溶液に、カチオン性界面活性剤及び複合金属水素化物を加えて反応させることにより銀ヒドロゾルを形成させたのち、この中に無機質吸着剤粉末を加え、これに銀コロイド粒子及びカチオン性界面活性剤を吸着させることにより製造する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 銀コロイド粒子及びカチオン性界面活性剤を担持した無機質吸着剤からなる銀系抗菌剤。 【請求項2】 無機質吸着剤がゼオライト、ケイソウ土、タルク、シリカゲル、活性アルミナ、アロフェン及び粒状炭の中から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の銀系抗菌剤の製造方法。 【請求項3】 銀の水溶性塩を溶かした水溶液に、カチオン性界面活性剤及び複合金属水素化物を加えて反応させることにより銀ヒドロゾルを形成させたのち、この中に無機質吸着剤粉末を加え、これに銀コロイド粒子を吸着させることを特徴とする銀系抗菌剤の製造方法。 【請求項4】 銀の水溶性塩が、硝酸銀、亜硝酸銀、塩素酸銀、過塩素酸銀、酢酸銀及び硫酸銀の中から選ばれた少なくとも1種である請求項3記載の銀系抗菌剤の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、新規な銀系抗菌剤及びその製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】銀が殺菌力を有し、飲料水や食品の腐敗防止に有効であることは、以前から知られている。また、コロイド状銀についても、これが強力な殺菌作用を有し、人体に対する毒性が低いことから、治療薬、予防薬として用いられている。 【0003】ところで、このコロイド状銀の製造方法としては、これまで銀塩水溶液に還元炎を吹き付ける方法、硝酸銀の希薄溶液を還元炎で還元する方法、酸化銀をタンニンの希薄溶液で処理する方法、酸化銀を水素ガスで還元する方法などが知られている。 【0004】しかしながら、これらの方法で得られるコロイド状銀は、いずれも粒径50nm以上の比較的大きいコロイド粒子を形成するため、有効表面積が小さく、長時間にわたって使用している間に殺菌力が低下するのを免れない。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような事情のもとで、粒径が小さく、長期間にわたって使用しても抗菌力の低下が認められない銀コロイド粒子を有効成分とした銀系抗菌剤を提供することを目的としてなされたものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、微細な銀コロイド粒子の生成方法について種々研究を重ねた結果、銀の水溶性塩の水溶液にカチオン性界面活性剤と複合金属水素化物を加えて反応させると、微細な銀コロイド微粒子が安定した状態で得られること、及びこれをカチオン性界面活性剤とともに無機質吸着剤に担持させたものは、殺菌力が相乗的に増大し、しかも長期間にわたって安定した抗菌性を示すことを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。 【0007】すなわち、本発明は、銀コロイド粒子及びカチオン性界面活性剤を担持した無機質吸着剤からなる銀系抗菌剤、及び銀の水溶性塩を溶かした水溶液に、カチオン性界面活性剤及び複合金属水素化物を加えて反応させることにより銀ヒドロゾルを形成させたのち、この中に無機質吸着剤粉末を加え、これに銀コロイド粒子及びカチオン性界面活性剤を吸着させることを特徴とする銀系抗菌剤の製造方法を提供するものである。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明の抗菌剤は、銀コロイド粒子とカチオン性界面活性剤とを無機質吸着剤粉末に担持させたものである。上記の銀コロイド粒子としては、粒径20nm以下の微粒状のものが好ましい。 【0009】また、銀コロイド粒子と併用されるカチオン性界面活性剤としては、長鎖アルキルアンモニウム塩、例えばステアリルアンモニウムクロリド、オレイルアンモニウムクロリド、長鎖カルボン酸とアミンとの縮合物、例えばヤシ油脂肪酸とジエタノールアミンとの縮合物、長鎖アルキル第四級アンモニウム塩、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミドなどがある。この場合、長鎖アルキル第四級アンモニウム塩を用いると殺菌力が向上するので有利である。このカチオン性界面活性剤は、銀100質量部当り、10〜2000質量部、好ましくは50〜500質量部の範囲で用いられる。 【0010】これらを担持させる無機質吸着剤としては、天然又は合成ゼオライト、ケイソウ土、タルク、シリカゲル、活性アルミナ、アロフェン又は粒状炭が好適である。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上混合して用いてもよい。この無機質吸着剤の使用量は、得られる銀系抗菌剤の使用目的に応じて、銀コロイド粒子の担持量が0.1〜100mg/g、好ましくは1〜50mg/gの範囲になるように適宜選択される。 【0011】次に、本発明方法によると、この銀系抗菌剤は、銀の水溶性塩を溶かした水溶液に、カチオン性界面活性剤及び複合金属水素化物を加えて反応させることにより銀ヒドロゾルを形成させたのち、この中に無機質吸着剤粉末を加え、これに銀コロイド粒子を吸着させることによって製造される。 【0012】この際の銀コロイド粒子を生成させる原料としては、銀の水溶性塩が用いられるが、このような銀の水溶性塩としては、例えば硝酸銀AgNO3、亜硝酸銀AgNO2、塩素酸銀AgClO3、過塩素酸銀AgClO4、酢酸銀Ag(CH3CO2)、硫酸銀Ag2SO4などを挙げることができる。そのほか[Ag(NH3)2]Clのような錯銀も用いることができる。これらの銀の水溶性塩は、0.05〜5mM、好ましくは0.1〜2mMの範囲の濃度で水に溶かし、水溶液として用いられる。 【0013】次に、この銀の水溶性塩の水溶液に添加される複合金属水素化物としては、例えば水素化ホウ素ナトリウムNaBH4、水素化ホウ素カリウムKBH4、水素化アルミニウムリチウムLiAlH4など、各種反応において還元剤として慣用されているものを用いることができる。これらは、銀の水溶性塩に基づき、2〜50倍モル量の範囲で用いられる。これよりも少ない量では、銀の還元が不十分になるし、またこれよりも多い量では後処理が厄介である。 【0014】本発明方法においては、前記の銀の水溶性塩の水溶液にカチオン性界面活性剤及び複合金属水素化物を加えて反応させることにより、銀ヒドロゾルを生成させる。この反応は室温下、例えば20℃で十分に進行するが、所望ならば30〜60℃に加熱して反応を促進することもできる。反応時間は、使用する各成分の種類や反応条件により変わるが、通常は5〜30分の範囲である。反応が完了すると粒径10nm以下の銀コロイド粒子を含む淡黄色ないし暗褐色の銀ヒドロゾルが得られる。 【0015】次に、この銀ヒドロゾルに無機質吸着剤粉末を加え、5〜30分間かきまぜると、銀コロイド粒子がこれに吸着され、液は無色になる。 【0016】このようにして得られた銀系抗菌剤は所望により球状、顆粒状、板状、ロッド状などに成形することもできる。 【0017】 【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。 【0018】実施例10.05mM−硝酸銀水溶液94mlに、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド10mgを水1mlに溶かした水溶液と、0.2mM−水素化ホウ素ナトリウム水溶液5mlとを、かきまぜながら順々に添加して反応させることにより、黄色透明な銀ヒドロゾル100mlを得た。電子顕微鏡観察により、このヒドロゾル中の銀コロイド粒子の平均粒径を測定したところ、約10nmであった。次に、このようにして得た銀ヒドロゾルに、ゼオライト(日東粉化工業社製、製品名「SP#600」)5.4gを加え、10分間かきまぜたところ、ヒドロゾル中の銀コロイド粒子はすべてゼオライトに吸着され、無色透明の液となった。このゼオライトをろ別し、減圧乾燥することにより、銀含有量0.1質量%の銀系抗菌剤が淡黄色ゼオライト粉末として得られた。 【0019】実施例21mM−硝酸銀水溶液280mlに、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド200mgを水20mlに溶かした水溶液と、4mM−水素化ホウ素ナトリウム水溶液100mlとを、かきまぜながら順々に添加して反応させることにより、暗褐色透明な銀ヒドロゾル400mlを得た。電子顕微鏡観察により、このヒドロゾル中の銀コロイド粒子の平均粒径を測定したところ、約8nmであった。次に、このようにして得た銀ヒドロゾルに、ケイソウ土(関東化学社製)5.4gを加え、10分間かきまぜたところ、ヒドロゾル中の銀コロイド粒子はすべてケイソウ土に吸着され、無色透明の液となった。このケイソウ土をろ別し、減圧乾燥することにより、銀含有量2質量%の銀系抗菌剤が黄褐色粉末として得られた。 【0020】実施例30.1mM−硝酸銀水溶液28mlに、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド20mgを水2mlに溶かした水溶液と、0.4mM−水素化ホウ素ナトリウム水溶液10mlとを、かきまぜながら順々に添加して反応させることにより、暗褐色透明な銀ヒドロゾル40mlを得た。電子顕微鏡観察により、このヒドロゾル中の銀コロイド粒子の平均粒径を測定したところ、約15nmであった。次に、このようにして得た銀ヒドロゾルに、タルク(関東化学社製)5.4gを加え、10分間かきまぜたところ、ヒドロゾル中の銀コロイド粒子はすべてタルクに吸着され、無色透明の液となった。このタルクをろ別し、減圧乾燥することにより、銀含有量0.2質量%の銀系抗菌剤が淡黄色タルク粉末として得られた。 【0021】比較例10.1mM−硝酸銀水溶液28mlに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム20mgを水2mlに溶かした水溶液と0.4mM−水素化ホウ素ナトリウム水溶液10mlとを、かきまぜながら順々に添加して反応させることにより、暗褐色透明な銀ヒドロゾル40mlを得た。次に、このようにして得た銀ヒドロゾルに硫酸バリウム粉末(和光純薬社製)5.4gを加え、10分間かきまぜたところ、ヒドロゾル中の銀コロイド粒子はすべて硫酸バリウム粉末に吸着され、無色透明の液となった。この硫酸バリウム粉末をろ別し、減圧乾燥することにより、銀含有量0.2質量%の銀系抗菌剤が淡黄色粉末として得られた。 【0022】試験例1市販カゼイン・ソイ混合ペプトンブイヨン培地に、大腸菌NIHJ株及び黄色ブドウ球菌209P株を、2cm画線塗抹し、37℃において20時間培養することにより、大腸菌NIHJ株約109/ml及び黄色ブドウ球菌209P株約108/mlを含む測定用培地を調製する。次に、前記実施例1ないし3及び比較例1で得られた銀系抗菌剤及び比較のためのステアリルトリメチルアンモニウムクロリド200mgを、ケイソウ土(関東化学社製)5.4gに担持させた試料(比較例2)及び市販の銀コロイド製剤(比較例3)について最小発育阻止濃度を測定した。その結果を表1に示す。この表から分るように、カチオン性界面活性剤単独又は銀系抗菌剤とアニオン性界面活性剤との組合せを用いた場合には、抗菌性が劣る。 【0023】 【表1】
【0024】試験例2実施例1ないし3の銀系抗菌剤を大気中において1か月間静置後、試験例1と同様の効力試験を行ったところ、その効力はほとんど低下しなかった。次に比較のために市販の銀コロイド製剤を同様にして1か月静置したのち、効力試験を行ったところ、その効力は約1/2に低下していた。 【0025】 【発明の効果】本発明方法によると、高い効力を有する安定な銀系抗菌剤を簡単に得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】301021533 【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所 【識別番号】599067503 【氏名又は名称】特許キャピタル株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月29日(2001.3.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071825 【弁理士】 【氏名又は名称】阿形 明
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| 【公開番号】 |
特開2002−293705(P2002−293705A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月9日(2002.10.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−97408(P2001−97408) |
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