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【発明の名称】 加熱蒸散薬剤用インジケータ
【発明者】 【氏名】山▲崎▼ 聡

【要約】 【課題】薬剤の薬効成分が消滅したことを使用者がはっきりと認識できる加熱蒸散薬剤用インジケータとする。

【解決手段】ベース層31と変色層32と印刷層33を重ね合わせて密着したフィルムラミネート構成で、前記印刷層33に、変色層32の終点色で「はじめ」の文字、変色層32の始点色で「おわり」の文字を印刷し、薬剤加熱時間の経過とともに「はじめ」の文字が徐々にうすく、「おわり」の文字が徐々に濃く変化するようにしたインジケータである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 加熱による不可逆反応で起こる色変化を利用した薬剤使用期限を表示するインジケータであって、前記色変化によって、視認可能なマークを視認不可能なマークへ、視認不可能なマークを視認可能なマークへ、の二つの変化を同時に起こすことで、薬剤始点から薬剤終点に到る経過とともに薬剤使用状態を表現することを特徴とする加熱蒸散薬剤用インジケータ。
【請求項2】 視認可能から視認不可能へ変化する第1のマークが薬剤終点色で表現され、視認不可能から視認可能へ変化する第2のマークが薬剤始点色で表現されたことを特徴とする請求項1記載の加熱蒸散薬剤用インジケータ。
【請求項3】 前記色変化は、突然ではなく加熱時間の経過に伴って徐々に進行することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の加熱蒸散薬剤用インジケータ。
【請求項4】 変色物質を保持した変色層を挟持する形で、表側に、5〜30ミクロンの透明フィルムを基材とした印刷層、裏側に隠蔽性の高い50ミクロン以上の不透明フィルムを基材としたベース層でフィルムラミネート構成とした請求項1記載の加熱蒸散薬剤用インジケータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として薬剤加熱蒸散容器にセットし、加熱蒸散薬剤の薬剤始点、薬剤終点を表示する加熱蒸散薬剤用インジケータに関する。
【0002】
【従来の技術】薬剤加熱蒸散容器に加熱蒸散薬剤を設け、発熱体で加熱蒸散薬剤を加熱して蒸散する薬剤加熱蒸散装置が種々提案されている。この薬剤加熱蒸散装置においては、薬剤加熱蒸散容器にインジケータをセットし、このインジケータで薬剤の始点と薬剤の終点を表示し、薬剤の薬効成分が消滅したことを使用者が認識できるようにしている。
【0003】前述のインジケータとしては、加熱することで変色する物、例えば特開昭55−152059号公報に示す熱変色性積層物を用い、加熱時間の経過とともに無色から着色に変化させ、その変色と薬剤の薬効成分の消滅(薬剤終点)を合わせたものが提案されている。また、変色を利用して「おわり」の文字を表示したり、シート全体が終点色に変色するようにしたインジケータが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、無色から着色への変色、別の色への変色だけでは、薬剤終点の時の色、つまり終点色の判別があいまいで分かり難く、使用者が薬剤の薬効成分が消滅したことを認識し難い。
【0005】そこで、本発明は前述の課題を解決できるようにした加熱蒸散薬剤用インジケータを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、加熱による不可逆反応で起こる色変化を利用した薬剤使用期限を表示するインジケータであって、前記色変化によって、視認可能なマークを視認不可能なマークへ、視認不可能なマークを視認可能なマークへ、の二つの変化を同時に起こすことで、薬剤始点から薬剤終点に到る経過とともに薬剤使用状態を表現することを特徴とする加熱蒸散薬剤用インジケータである。
【0007】第2の発明は、第1の発明において、視認可能から視認不可能へ変化する第1のマークが薬剤終点色で表現され、視認不可能から視認可能へ変化する第2のマークが薬剤始点色で表現された加熱蒸散薬剤用インジケータである。
【0008】第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記色変化は、突然ではなく加熱時間の経過に伴って徐々に進行する加熱蒸散薬剤用インジケータである。
【0009】第4の発明は、第1の発明において、変色物質を保持した変色層を挟持する形で、表側に、5〜30ミクロンの透明フィルムを基材とした印刷層、裏側に隠蔽性の高い50ミクロン以上の不透明フィルムを基材としたベース層でフィルムラミネート構成とした加熱蒸散薬剤用インジケータである。
【0010】
【作 用】第1の発明によれば、インジケータ中に、視認可能なマークが視認不可能なマークへ変化して消滅していく第1のマークと、視認不可能なマークが視認可能なマークへ変化して現出してくる第2のマークの、二つのマークが存在するため、薬剤終点となって薬効成分が消滅したことを使用者がはっきりと認識できる。
【0011】第2の発明によれば、第1のマークと第2のマークの視認上の変化で薬剤終点となって薬効成分が消滅したことを使用者がはっきりと認識できる。
【0012】第3の発明によれば、加熱時間の経過に伴って、徐々に第1のマークが消滅し、第2のマークが現出してくる変化を観察することで、薬剤使用状態、つまり薬剤の薬効成分残存量を使用者がはっきりと認識できる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1に示すように、薬剤加熱蒸散容器1と、薬剤含有体保持容器2と、薬剤含有体3で薬剤加熱蒸散装置を形成する。前記薬剤加熱蒸散容器1は、下部容器10と上部容器11をビス12で連結した形状である。前記下部容器10は一側面に開口した薬剤含有体挿入部13と、この薬剤含有体挿入部13の下部を下面に開口する空気取入部14を有し、発熱体15が取付けてある。この発熱体15の最高表面温度は50℃〜250℃である。この発熱体15の発熱面15aは水平に対して斜めで、前記薬剤含有体挿入部13に開口している。前記下部容器10にスイッチ部16、押釦17、ランプ18が取付けてある。この押釦17を押すことでスイッチ部16がONして発熱体15に通電されて発熱し、ランプ18が点灯する。
【0014】前記薬剤含有体保持容器2は、上面板20と下面板21と前面板22と後面板23と両側面板24で略箱形状で、前面板22に空気出口25が形成され、後面板23に空気入口26が形成してある。前記下面板21と前面板22との間に隙間27が有り、その下面板21は着脱自在である。この薬剤含有体保持容器2は、薬剤含有体挿入部13内に挿入され、下面板21が発熱体15の発熱面15aに接すると共に、ストッパ19に当たる。
【0015】前記薬剤含有体3は加熱することで蒸散する薬剤が含浸された矩形板状で、前記下面板21を外すことで薬剤含有体保持容器2内に設けられる。この薬剤含有体3の内面と薬剤含有体3の表面との間に空気流通用の隙間があり、発熱体15を発熱することで矢印で示すように空気が流れ、蒸散した薬剤がスムーズに拡散される。
【0016】前記加熱することで蒸散する薬剤とは、発熱体15の最高温度が常温より5℃以上の時に空気中に放出される薬剤である。この薬剤としては、殺虫剤、殺ダニ剤、殺菌剤、防虫剤、芳香剤、消臭剤、害虫忌避剤等である。
【0017】前記薬剤含有体保持容器2の前面板22にインジケータ30が取付けてある。このインジケータ30は薬剤含有体挿入部13から目視可能である。
【0018】前記インジケータ30は、加熱による不可逆反応で起こる色変化を利用した薬剤使用期限を表示するもので、前記色変化によって視認可能なマークを視認不可能なマークへ、視認不可能なマークを視認可能なマークへの二つの変化を同時に起こす、すなわち2ヶ所以上、色の視認変化を同時に起こすことで薬剤始点から薬剤終点に到る経過とともに薬剤使用状態を表現するものである。詳しくは、加熱による不可逆反応で起こる色変化を利用して始点色から終点色に色変化する変色部と、この終点色で薬剤始点を表現する第1のマークと、前記始点色で薬剤終点を表現する第2のマークを有するインジケータである。
【0019】前記変色部は、加熱時間の経過に伴って、始点色から終点色に徐々に色変化する。これによって、薬剤使用状態、つまり薬剤の薬効成分残存量を使用者がはっきりと認識できる。
【0020】前記色変化の程度が、色差Δ(デルタ)E=10以上である。これによって、見た目の視認性が良い。つまり、前記色差がΔE=10以下であると見た目の視認性が極端に落ちる。
【0021】前記変色部の変色する最高温度は35℃〜200℃である。
【0022】前記インジケータ30の具体形状を図2に基づいて説明する。ベース層31と変色層32と印刷層33を重ね合わせたフィルムラミネート構成で、印刷層33の表面にプレート34が設けられる。前記ベース層31と変色層32と印刷層33は図2で分離して図示してあるが、これらはあらかじめ変色層32を挟持する形で重ね合わせて密着してある。この重ね合わせて密着したベース層31、変色層32、印刷層33が前記薬剤含有体保持容器2の前面板22に形成した凹部22aに嵌め込みして取付けられる。前記プレート34は一対のピン34aを有し、そのピン34aを前記前面板22の孔22bに嵌合することで取付けられる。
【0023】前記ベース層31は、隠蔽性の高い50ミクロン以上の不透明フィルムを基材とする。このベース層31は、インジケータを設置したときの薬剤含有体保持容器などの色の影響が、インジケータの色見に影響を及ぼし難くするための隠蔽機能と、打ち抜きやカッティングや整列、吸引、押出しといった製造に係わる基本物性を調整する役割を有している。
【0024】前記変色層32は熱変色物質を保持する。この変色層32が変色部である。前記変色層32の変色前の色(始点色)はベース層31と同じ色である。
【0025】前記熱変色物質としては、例えば混合もしくは接触により呈色反応もしくは変色反応を示す2つの薬剤の一方を含浸もしくは被覆させた支持体あるいは皮膜形成成分中に溶解もしくは分解させて得られる皮膜である第1層、第1層上に設けられた所望温度にて2つの薬剤の少なくとも一方を拡散移行せしめる樹脂皮膜である第2層および第2層上に設けられたもう一方の薬剤を含む第3層からなり、前記呈色反応もしくは変色反応は、酸塩基物質あるいは酸塩基指示薬、酸化−還元剤および酸化還元指示剤、金属化合物とキレート化剤などの混合もしくは接触により起き、前記第1層と第3層を隔てる加熱により拡散移行せしめる第2層である樹脂皮膜は、ポリエステル、ポリアミド、アクリル系樹脂である熱変色性積層物が用いられる。
【0026】前記印刷層33は5〜30ミクロンの透明フィルムを基材とする。この透明フィルム、一般的には裏面(変色層32側の面)に表示マークが印刷されている。前記透明フィルムは変色層32の保護機能、適度な酸素透過機能を有する。
【0027】前記プレート34は透明フィルムで、紫外線吸収剤が混合してある。このプレート34で紫外線が変色層32に当たることを防止し、紫外線で変色しないようにしてある。また、印刷層33の基材フィルムに紫外線吸収剤をねり込み、又は塗布することもできる。
【0028】次に第1の具体例を説明する。ベース層31は白色である。変色層32は変色前が白色で、変色後が赤色である。印刷層33には図2に示すように、赤色で「はじめ」の文字(つまり、薬剤始点を表現する第1のマーク)、白色で「おわり」の文字(つまり、薬剤終点を表現する第2のマーク)、「はじめ」の文字から「おわり」の文字に向う矢印が印刷してある。前記矢印は「はじめ」の文字側部が赤色で、「おわり」の文字に向けて順次色がうすくなり、「おわり」の文字側部が白色のグラデーション印刷である。
【0029】インジケータ30の薬剤加熱蒸散開始時は、図3(a)に示すように、「はじめ」の文字と「はじめ」の文字寄りの矢印が視認できる外観である。薬剤加熱時間の経過とともに図3(b)に示すように変色層32がうすい赤色に変色し、「おわり」の文字がぼんやりと視認できる外観となる。前記「おわり」の文字と変色層32の赤色の濃淡の差は小である。薬剤加熱時間がさらに経過すると図3(c)に示すように変色層32がやや濃い赤色に変色し、「おわり」の文字がややはっきりと視認できる外観となる。
【0030】このように外観が変化するので、「はじめ」の文字と変色層32の赤色の濃淡の差によって、薬剤加熱時間、つまり薬剤含有体3に含有されている薬剤の残量を使用者が認識できる。
【0031】薬剤加熱時間が終了して薬剤終了、つまり薬剤含有体3に含有されている薬剤の残量が有効量を下回った時は、図3(d)に示すように「はじめ」の文字の赤色と変色層32の赤色が同じ濃度となるので、「はじめ」の文字は視認できずに「おわり」の文字がはっきりと視認できる外観となる。
【0032】このようであるから、使用者は薬効成分が消滅したことをはっきりと認識することができる。
【0033】次に第2の具体例を説明する。ベース層31は白色である。変色層32は変色前が白色で、変色後が赤色である。印刷層33には図4(a)に示すように、赤色で「はじめ」の文字、白色で「おわり」の文字、白色の第1帯状部35、うすい赤色の第2帯状部36、やや濃い赤色の第3帯状部37、「はじめ」の文字と同じ濃さの赤色の第4帯状部38が連続して印刷してある。
【0034】薬剤加熱開始時は、図4(a)に示すように、「はじめ」の文字と第2・第3・第4帯状部36,37,38が視認できる外観である。薬剤加熱時間の経過とともに図4(b)に示すように、変色層32がうすい赤色に変色し、第1・第3・第4帯状部35,37,38が視認できると共に、第2帯状部36が視認できなくなる。薬剤加熱時間がさらに経過すると図4(c)に示すように、変色層32がやや濃い赤色に変色し、第1・第2・第4帯状部35,36,38が視認され、第3帯状部37が視認できなくなる。
【0035】薬剤加熱時間が終了して薬剤終了した時には、図4(d)に示すように、「おわり」の文字と第1・第2・第3帯状部35,36,37が視認でき、第4帯状部38が視認できなくなる。
【0036】このように、薬剤加熱時間を第1・第2・第3・第4帯状部35,36,37,38を視認することで認識できる。なお、「はじめ」の文字、「おわり」の文字の視認は第1の具体例と同様に変化する。
【0037】次に第3の具体例を説明する。図5に示すように、透明なフィルムより成る印刷層33の左半分33aを「す」の文字形を除いて、赤色に印刷し、右半分33bを「せん」の文字形を除いて白色に印刷する。前記左半分33aの赤色印刷層の中で透明に抜かれた「す」の文字の前に、更に白色で「使用できま」の文字を印刷する。
【0038】薬剤加熱開始時には図6(a)に示すように、「使用できます」の文字が視認できる。薬剤加熱時間の経過とともに変色層32が赤色に徐々に変色するので、図6(b)、図6(c)に示すように「す」の文字が徐々にうすく視認され、「せん」の文字が徐々にはっきりと視認される外観となる。
【0039】薬剤加熱時間が終了し薬剤終了すると、図6(d)に示すように「す」の文字が視認できずに、「せん」の文字がはっきりと視認できる外観となるので、使用者は「使用できません」の文字を視認できる。
【0040】前記インジケータ30は薬剤加熱蒸散容器1の発熱体15の近くで外部から目視可能な位置を設けるのが好ましい。
【0041】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、2ヶ所以上、色の視認変化を起こすので、薬剤終点となって薬効成分が消滅したことを使用者がはっきりと認識できる。
【0042】請求項2に係る発明によれば、第1のマークと第2のマークの色の視認変化で薬剤終点となって薬効成分が消滅したことを使用者がはっきりと認識できる。
【0043】請求項3に係る発明によれば、加熱時間の経過に伴って、徐々に一つのマークが消滅していき、他方のマークが現出してくる変化を観察することで、薬剤使用状態、つまり薬剤の薬効成分残存量を使用者がはっきりと認識できる。
【出願人】 【識別番号】000112853
【氏名又は名称】フマキラー株式会社
【出願日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【代理人】 【識別番号】100073818
【弁理士】
【氏名又は名称】浜本 忠 (外2名)
【公開番号】 特開2002−293703(P2002−293703A)
【公開日】 平成14年10月9日(2002.10.9)
【出願番号】 特願2001−199091(P2001−199091)