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【発明の名称】 抗菌消臭用加工液
【発明者】 【氏名】室伏 康行

【氏名】徳田 有美

【氏名】渡辺 一正

【要約】 【課題】光触媒として二酸化チタンを使用して繊維に加工するときに、繊維が白くなったり、白い濃淡ができたりすることを抑制し、充分な光触媒効果を得られる量の光触媒を塗布できる抗菌消臭の持続性の高い抗菌消臭用加工液を提供する。

【解決手段】光触媒粉末と、この粉末を水に分散するための分散安定剤と、表面張力を低下させて繊維への加工液の浸透力を高めるための界面活性剤を少なくとも含むことで、光触媒が繊維内部にまで拡散し、繊維が白くなったり白い濃淡ができることを抑制する。これにより抗菌消臭効果を発揮するのに充分な光触媒を付着させることができるようになる。さらに光触媒活性成分である二酸化チタン粒子の一部が、光不活性な無機化合物で覆われた光触媒粉末を用い、該光触媒粉末を固定するための有機バインダー成分をさらに含んでなる加工液を調製することで、耐久性を向上させ抗菌消臭効果の持続性を高めることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 編織物や不織布などの繊維に、活性成分として二酸化チタンを含む光触媒を塗布するための加工液であって、光触媒粉末と、この粉末を水に分散するための分散安定剤と、表面張力を低下させて繊維への加工液の浸透力を高めるための界面活性剤を少なくとも含むことからなる抗菌消臭用加工液。
【請求項2】 光触媒活性成分である二酸化チタン粒子の一部が、光不活性な無機化合物で覆われた光触媒粉末を用い、該光触媒粉末を固定するための有機バインダー成分をさらに含んでなる、請求項1記載の抗菌消臭用加工液。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光触媒を噴霧または浸漬により繊維製品に塗布するための加工液に関し、更に詳しくは、カーテン、壁紙、ソファやカーシート、衣服などの生地や不織布などの繊維製品に光触媒を塗布することで消臭効果、抗菌効果が発揮されるようにするための抗菌消臭用加工液に関するものである。
【0002】
【従来技術】近年、清潔志向の高まりや院内感染の問題などにより、抗菌、消臭に対する関心が高くなってきており、様々な抗菌、消臭剤が提案されている。その中で、安全性と自然志向の面から天然物質系の消臭成分が主に使用されている。これらの天然物質系成分は、中和や酸化、還元といった化学的な作用によるものとみられている。この化学的な作用による抗菌、消臭はある程度の速効性は期待できるが、一度作用した成分は抗菌、消臭効果を失うため、持続的な効果は望めないという問題点がある。
【0003】一方、持続効果のある抗菌、消臭成分として、光触媒が提案されている。光触媒は、光のエネルギーを利用して水や酸素から強力な酸化、還元成分を作り出し、細菌や匂い成分などの有機物を分解することで抗菌、消臭効果が得られるものである。光触媒そのものは変化せず、また水や酸素は空気中に存在するため、持続的に効果を発揮することができる。このような光触媒としては二酸化チタンが使われている。二酸化チタン粉末を水に分散し、場合によってはさらに二酸化チタン粉末を固定するためのバインダーを加えることで、繊維製品に浸漬あるいは噴霧加工するための加工液を調製することができる。
【0004】この光触媒は光が当たることで機能を発揮するため、光触媒の加工液を塗布する場合、従来は加工液の浸透性を高めることはせず、触媒粉末がなるべく繊維の表面近傍に配置されるようにしている。このとき二酸化チタンは塗料の白色顔料として使われているように、塗布したものを白くみせる働きがあるため、製品の色合いを損なわないように使用量を制限する必要がある。そのために光触媒の抗菌、消臭効果が充分得られない問題点がある。さらに、わずかでも液が不均一に塗布されると白さに濃淡ができてしまい、製品の外観を損なうという問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題点を解決し、製品の風合いを損なうことのない、光触媒の抗菌、消臭効果に優れた抗菌消臭用加工液を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、編織物や不織布などの繊維に、活性成分として二酸化チタンを含む光触媒を塗布するための加工液であって、光触媒粉末と、この粉末を水に分散するための分散安定剤と、表面張力を低下させて繊維への加工液の浸透力を高めるための界面活性剤を少なくとも含むことからなる抗菌消臭用加工液を内容とする。
【0007】本発明の第二は、光触媒活性成分である二酸化チタン粒子の一部が、光不活性な無機化合物で覆われた光触媒粉末を用い、該光触媒粉末を固定するための有機バインダー成分をさらに含んでなる、請求項1記載の抗菌消臭用加工液を内容とする。
【0008】本発明に用いられる光触媒粉末は、光触媒活性成分として二酸化チタンを含むものであり、特に光触媒活性に優れたものとしてアナターゼ型の結晶構造を持つ二酸化チタンがよい。また、この二酸化チタンに、金、白金、パラジウム、銅、酸化ニッケルなどの金属及び金属酸化物を担持させることで、光触媒活性を促進させてもよい。
【0009】この光触媒粉末に、水に分散するための分散安定剤と、繊維への浸透性を高める浸透剤を加えることで、繊維に加工し易い抗菌消臭用加工液を調製することができる。浸透剤の添加により、加工液が素早く繊維内部にまで拡散し、繊維表面が白くなったり白さに濃淡ができてしまうことを抑制できる。
【0010】本発明において、分散安定剤を使用することで光触媒粉末が沈殿することを抑制し、均一に光触媒が分散した品質の安定した加工液を得ることができる。このような分散安定剤としてはポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステルなどが市販されている。これらを単独あるいは混合して用いられる。ただし、使用する分散安定剤はこれらに限られるものではない。本発明における分散安定剤の添加量は、加工後の繊維に残留する量をなるべく減らすようにするために最低限の添加量にすべきであり、加工液中の濃度は1重量%以下にするのが好ましい。
【0011】さらに本発明によれば、浸透剤を加えることで加工液がすばやく繊維内部に拡散し、繊維の表面が白くなったり白さに濃淡ができてしまうことを抑制できる。衣類やカーテンなどに通常使われている繊維においては、その繊維内部に付着した光触媒も触媒反応を行うことができている。これは光が繊維の網目で散乱しながら繊維内部にまで到達するためと考えられる。
【0012】このように本発明によれば、繊維内部にまで光触媒を塗布することができるため、光触媒の付着量を増やすことができ、充分な触媒活性を得ることができる。このときの浸透剤としてはアルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどが市販されており、これらを単独あるいは混合して用いられる。ただし、使用する浸透剤はこれらに限られるものではない。本発明における浸透剤の使用量は、加工する繊維が限られている場合はその繊維に合わせて選択するべきである。また、様々な種類の繊維に加工する場合はなるべく浸透性を高めておく必要があるが、残留した浸透剤が一時的に光触媒に悪影響を及ぼす可能性があるので、浸透剤は加工液中の濃度として0.001から0.1重量%の範囲で加えるのが好ましい。
【0013】本発明における光触媒の量は、充分な光触媒活性を得ることと、液の取り扱い易さや価格を考慮し、加工液中の濃度として0.1から5.0重量%の範囲、より好ましくは0.2から1重量%の範囲で加えるべきである。また光触媒粉末として、光活性成分の表面の一部が光不活性な無機化合物で覆われたものを用い、さらにこれを固定するための有機バインダーを用いることができる。このことにより光触媒による繊維や有機バインダーの劣化を抑制し、かつ光触媒の脱落が減少し耐久性を向上することができる。有機バインダーは、光触媒粉末1に対して0.1から5の範囲で使用するのが好ましい。
【0014】本発明の加工液を噴霧、あるいは浸漬することで繊維に容易に光触媒を付着せしめ、抗菌、消臭効果を発揮させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】市販の平均粒子径0.5μmのアナターゼ型二酸化チタン粉末を、市販のポリオキシエチレン誘導体系の非イオン界面活性剤を用い、水に分散することで触媒粉末の濃度が0.5重量%になるように水分散液を調製した。さらにこの液に市販のジアルキルスルホコハク酸塩からなる浸透剤を0.03重量%加え、実施例1となる抗菌消臭用加工液Aを得た。
【0017】アナターゼ型二酸化チタンの表面の一部にアパタイトを形成した光触媒粉末を、市販のポリオキシエチレン誘導体系の非イオン界面活性剤を用い、水に分散することで触媒粉末の濃度が0.6重量%になるように水分散液を調製した。さらにこの液に市販のジアルキルスルホコハク酸塩からなる浸透剤を0.04重量%加え加工液Bを得た。この加工液B50gと、ポリエステル系エマルジョンが30重量%分散した繊維用バインダー溶液10gを混合し、実施例2となる抗菌消臭用加工液Cを得た。
【0018】実施例2となる加工液Cを調製する際に、浸透剤を添加せず、他は同様に調製しすることで、比較例1となる抗菌消臭用加工液Dを得た。
【0019】前記抗菌消臭用加工液A、C、Dを、黒色の綿布(1平方mあたりの生地重量200g)に1平方mあたりそれぞれ20g噴霧した。このとき比較例1の加工液を噴霧した綿布では白色が目立ち、さらに白さに濃淡ができてしまった。加工液A、Cを塗布した綿布では白色はほとんど目立たなかった。
【0020】さらに前記と同様に加工液A、Cを塗布した白色の綿布を5cm四方に切り出し、メチレンブルーを5mg/L溶解した水溶液30ccの入ったシャーレの中に置き、ブラックライト(20W)を使い紫外線を照射することで、メチレンブルーの脱色状態を観察した。このときブラックライトと綿布の間は約5cmであった。約4時間後にはどちらの綿布でもメチレンブルーがほぼ脱色し、光触媒効果を確認することができた。
【0021】
【発明の効果】以上本発明によれば、光触媒粉末に、水に分散するための分散安定剤と、繊維への浸透性を高める浸透剤を加えることで、繊維に加工し易い抗菌消臭用加工液を調製することができる。これにより、加工液が素早く繊維内部にまで拡散し、繊維表面が白くなったり白さに濃淡ができてしまうことを抑制しながら、抗菌消臭効果を得るのに充分な量の光触媒を付着させることができる。
【出願人】 【識別番号】501168250
【氏名又は名称】株式会社ガイア
【出願日】 平成13年3月23日(2001.3.23)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−284614(P2002−284614A)
【公開日】 平成14年10月3日(2002.10.3)
【出願番号】 特願2001−128416(P2001−128416)