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【発明の名称】 微生物の発生防止用器具及びその使用方法
【発明者】 【氏名】本間 信吾

【氏名】若林 昭友

【氏名】平沢 清

【要約】 【課題】エアコン等における微生物の発生を防止するための器具及びかかる器具の使用による微生物の発生を防止する方法を提案する。

【解決手段】銅板をナトリウムピリチオン水溶液に浸漬した後、これを乾燥させて微生物の発生を防止するための器具を得ることとした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 銅板をナトリウムピリチオン水溶液中に浸漬し、乾燥させてなることを特徴とする微生物の発生防止用器具。
【請求項2】 銅板を不織布で包み、これをナトリウムピリチオン水溶液中に浸漬し、乾燥させてなることを特徴とする微生物の発生防止用器具。
【請求項3】 銅板の形状が、凹凸状、メッシュ状、網目状のいずれかであり、丸型、正方形、長方形、三角形、線状、棒状、楕円形からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の微生物及び藻類の発生防止用器具。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の器具を微生物が発生しやすい場所に置くことを特徴とする微生物の発生を防止する方法。
【請求項5】 エアーコンディショナーのドレンパン、あるいは台所の三角コーナー等の微生物の発生しやすい場所に使用することを特徴とする請求項4に記載の微生物の発生を防止する方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物の発生を防ぐための器具及びそれを用いて、微生物の発生を防止する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エアーコンディショナー(以下、エアコンともいう)、風呂場、空気清浄機、洗濯機、台所等は、カビや酵母等の微生物の増殖に適した温度、湿度となっているため、例えば、エアコン内部では、カビや酵母や増殖しやすく、電源を入れると増殖しているカビ等が、室内の空気口出口から吹き出して室内に充満する。その結果、健康に悪影響を与えたり、悪臭を発するので衛生面でも問題とされていた。また、エアコンのドレンパンの排水孔付近は特に、温度、湿度が高く、細菌によるスライム、カビにより排水孔がつまる等問題も生じている。
【0003】こうしたことは、密閉性の高い住宅構造に問題があるが、エアコン、洗濯機、台所の三角コーナー等の材質や構造にも原因があり、また、日本の高温、多湿な気象条件も関係している。こうしたエアコン、洗濯機、台所の三角コーナー等の防カビ等の処理方法としては、これまで、エアコン自体を形成しているABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の各種の防カビ剤等、例えば、チアベンダゾール(TBZ)、ジンクピリチオン、パラクロロメタキシレノール(PCMX)等を練り込むか、それらの樹脂表面に防カビ剤等をコーティングする等の方法が施されている。また、他の方法として、防カビ処理した上記したごとくの樹脂の一部をカビ類の増殖しやすい場所に置き、防カビ処理する方法も提案されている(特開昭63−6330号公報)。しかし、この方法は、樹脂中の防カビ剤等の持続的効果が短く、それ自体がやがてカビ等により劣化するため、所期の目的を十分に達成できない。
【0004】また、カビ類の発生しやすい台所の三角コーナーや壁等に対しては、防カビ剤等を含有した薬剤をスプレーする方法が広く行われている。この方法は、スプレーしやすい場所や壁等の表面への防カビ処理方法としては簡便なため、利用しやすい。しかし、この方法は常に高温、多湿下でカビ等が発生しやすくなっているエアコン等に対しては、エアコンの内部の発生状況をチェックしながら、スプレーするわずらわしさがあり、しかも、防カビ効果等の持続期間が短いという欠点がある。また、防カビ剤等の薬剤を含有した塗料を塗布して防カビ処理する方法も広く行われている。
【0005】しかし、いずれにしても、これまでの種々の防カビ剤等の使用方法では、例えばエアコンのドレンパン付近の排水孔付近は、温度、湿度の両面から常に微生物が発生しやすい環境となっているため、十分な防カビ等の効果が発揮されていない。したがって、従来の方法に代わり、簡便な方法でしかも防カビ等の効果が持続的に発揮される技術の開発と実用化が要求されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、こうした要求に合致し、エアコン等における微生物の発生を防止するための器具及びかかる器具の使用による微生物の発生を防止する方法を提案することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、こうした要求に応えるために鋭意研究を重ねた。その結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、一つの側面において微生物の発生防止用器具であり、銅板をナトリウムピリチオン水溶液に浸漬した後、これを乾燥させて得られることを特徴とする。また、本発明は、他の側面において該発生防止用器具の使用方法であり、上記銅板をエアコンのドレンパンの排水孔近く等の微生物が発生しやすい場所にそのまま置いておくことにより、ほぼ完全にこれらの微生物の発生を防止しうることを特徴としている。
【0008】そして、本発明に係る微生物の発生防止用器具は、その一実施の形態において、あらかじめ銅板を不織布に包んでおき、これをそのままナトリウムピリチオン水溶液に浸漬し、乾燥させて得ることができる。そして、本発明に係る微生物の発生防止用器具の使用方法では、その一実施の形態において、このような実施の形態に係る発生防止用器具を、上記と同様に用いることにより、より長期間にわたり微生物の発生を防止しうる。また、上記銅板の形状も種々変えて用いることができる。
【0009】なお、本明細書中で「微生物」の語は、一般的に、直径1mm以下の単細胞生物や、形態的・機能的分化のほとんどない多細胞生物をいう。細胞構造的には、真核微生物として真菌類(fungus)のカビ(糸状菌:mold)及び酵母(yeast)、さらに藻類(algae)等を含み、原核微生物として細菌(bacteria)等を含む概念である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明に係る微生物の発生防止用器具及びその使用方法について、その実施の形態をさらに詳細に説明する。
1.第1の本発明(微生物の発生防止用器具)
(1)まず、上記した銅板は入手容易な銅板であり、特殊な加工を施したものである必要は必ずしもない。そして、形状は平板であったとしても、凹凸を付けたり、メッシュ状、あるいは網目状等として表面積を広くしたもの等、いずれの形状のものでもよい。また、その長さ、厚さ等も特定のものに限定されない。
【0011】また、大きさは任意のものでもよく、形状も丸型、正方形、長方形、三角形、楕円形、棒状(太さは任意のものでよいが、例えば直径5〜10mmの物)、線状(幅、長さは任意のものでもよいが、例えば幅1cm×長さ1mのもの)等でもよく、これらをそのまま用いてもよいが、動物や植物の形状にした物や立方体、球状、螺旋状等に加工したものでもよい。また、銅板の厚さも限定されないが、厚さはあまり防カビ効果等に影響しないので、薄くして加工しやすいもの、例えば、通常0.01〜1mmのものが安価で使用しやすい。
【0012】(2)このような各種の形状の銅板(ここでは、上記の形状のものを広義に銅板という)をナトリウムピリチオン水溶液に浸漬すればよい。このナトリウムピリチオン水溶液は市販の防カビ剤をそのまま使えばよいが、ナトリウムピリチオンを水に溶解して用いてもよい。この場合のナトリウムピリチオン水溶液の濃度は0.01〜40重量%、好ましくは0.1〜1重量%のものを用いればよいが、特定の濃度に限定されない。また不織布で包んで浸漬するときも、同様な使用方法でよい。
【0013】(3)また、ナトリウムピリチオン水溶液中への浸漬時間は、ナトリウムピリチオン濃度、浸漬する銅板の形状等により、適宜変えればよいが、一般的には1分〜24時間、好ましくは10分〜3時間である。この時間は、銅板を不織布で包んでいるときも同様である。
【0014】(4)こうして得た銅板は、空中で乾燥させるか、温風で乾燥させる等により、微生物の繁殖を防止しうる銅板とすることができる。
【0015】2.第2の本発明(微生物の発生を防止する方法)
第2の本発明は、次のごとくに実施される。すなわち、上記の方法で得た各種の形状の銅板(不織布で包んだものを含む)を、カビや酵母等の微生物や藻類が発生しやすい場所に貼り付けるか、または、そのまま置くか、針金、フック、磁石等を付けてつるす等により、これまでカビや酵母等の微生物や藻類の発生していた場所付近を微生物等の発生から防ぎ、きれいに保つことができる。
【0016】より具体的に例示すると、例えばエアコンの場合には、ドレンパンの排水孔近くに例えば、大きさが1cm×4cmで厚さが1.0mmの銅板を置くと、ドレンパンにおける微生物の発生を防ぎ、ドレン管を詰まらせたり、悪臭を発生させることも抑える。また、台所の生ゴミを入れるプラスチック製の三角コーナーには、その内側の三面にその形と同様な形状の銅板を置くか、三角コーナーの内側の三面に銅板をつるしておくことにより、生ゴミから悪臭を発生させることがなく、その効果を持続させることができる。
【0017】
【実施例】次に本発明の実施例、試験例を示し、さらに具体的に本発明を説明する。
【0018】実施例1市販の銅板(平面)(40mm×10mm、厚さ1mm)を、市販のナトリウムピリチオン水溶液(商品名「ナトリウムオマジン」40%の4倍希釈液)を入れた500ml容器のビーカーに完全に銅板が浸漬してしまうように入れ、30分間放置する。そしてこれを取り出して風乾する。こうして本発明に係る微生物の発生防止用器具を得た。
【0019】実施例2実施例1と同じ大きさの銅板を不織布で包んで、これを実施例1と同様に処理して、本発明に係る微生物の発生防止用器具を得た。
【0020】実験例3本発明に係る微生物の発生防止用器具とその使用の効果を確かめるために次の試験を実施した。
試験方法平面トレー(90cm×40cm、高さ5cm)の中央部に実施例1、または実施例2のサンプルを入れ、固定した。水を1cmの高さに入れ、上部をビニールで覆い室温で保存する。2週間おきに0.5cmまで水を抜き、新しい水を1cmまで入れ交換した。この操作を繰り返し、4か月保存した。比較例として、銅板を入れない不織布にナトリウムピリチオン水溶液を浸漬し、風乾したものを使用した。
【0021】なお、効果は、次の方式で肉眼的に測定した。
−:カビ、藻類、スライム等の発生がない。
±:カビ、藻類、スライム等の発生がわずかに認められる。
+:わずかにスライムの発生が認められる。
++:カビ、藻類、スライム等の発生があきらかに認められる。
+++:カビ、藻類、スライム等の発生がかなりの量認められる。
結果を以下の表1に示す。
【0022】
【表1】

【0023】表1に示すとおり、本発明に係る実施例1、2を用いた場合には、4か月を経過してもカビ、藻類、スライム等の発生がなく、良好な結果を確認できた。これに対し、比較例等では、4か月経過後、多くの発生を見た。
【0024】
【発明の効果】上記したところから明らかなように、本発明を実施すると、次のごとくの卓越した効果がもたらされる。すなわち、(1)第1に、用いる器具は単純な構造であり、簡単に作れる。
(2)第2に、微生物の発生を防止したい場所に置くか、つるすだけでよいので使い方が簡便である。
(3)第3に、使い方が簡単であるが、防カビ効果等は他の類似の防カビ剤等を処理した場合に比べて卓越しており、その持続効果も優れている。
【出願人】 【識別番号】000242002
【氏名又は名称】北興化学工業株式会社
【出願日】 平成13年3月27日(2001.3.27)
【代理人】 【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一 (外2名)
【公開番号】 特開2002−284611(P2002−284611A)
【公開日】 平成14年10月3日(2002.10.3)
【出願番号】 特願2001−89058(P2001−89058)