| 【発明の名称】 |
抗菌防黴助剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】勝山 雅子
【氏名】秋山 尚範
【氏名】大野 貴司
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| 【要約】 |
【課題】バイオフィルムの抑制手段となる、新たな有効成分を見出して、これを抗菌防黴剤の助剤として用いることにより、バイオフィルム形成菌による感染症患者の回復や器具消毒の徹底化を即し、また、無駄のない処方を行うことを助けることにより、耐性菌の新たな出現を抑制すること。
【解決手段】ファルネソール、好適には、ファルネソール及びキシリトールをにより、細菌及び/又は黴類のバイオフィルムの形成を抑制することが可能であることを見出し、これらを有効成分とする抗菌防黴助剤を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】ファルネソールを有効成分とする、抗菌防黴助剤。 【請求項2】ファルネソール及びキシリトールを有効成分とする、抗菌防黴助剤。 【請求項3】抗菌防黴助剤が、細菌及び/又は黴類のバイオフィルムの形成を抑制することにより、抗菌防黴剤の抗菌防黴効果を向上させる、バイオフィルム抑制剤である、請求項1又は2記載の抗菌防黴助剤。 【請求項4】抗菌防黴対象が、黄色ブドウ球菌である、請求項1〜3のいずれかの請求項記載の抗菌防黴助剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌防黴剤の働きを助ける、抗菌防黴助剤に関する発明である。 【0002】 【従来の技術】近年、抗生物質等の乱用により、抗生物質等に対して抵抗性を有する耐性菌が出現するスピードが爆発的に早くなり、医療現場は、耐性菌による院内感染等により、今や、危機的な状況にあるといっても過言ではない。 【0003】耐性菌に対して対抗するには、耐性菌の、未だ耐性を有さない要素に対してアタックする新たな抗生物質や合成抗菌剤を開発したり、抗生物質等の乱用を避けること、つまり、患者の症状に応じた無駄のない処方を徹底すること等が挙げられる。 【0004】特に、無駄のない処方を行うことは、耐性菌の出現を食い止めるためには非常に有効な手段である。すなわち、例えば、病原菌の特定も十分に行わずに、やみくもに、広い抗菌スペクトルを有する抗生物質等を過度に重点的に使用したり、多種類の抗生物質を使用すると、これらの抗生物質に対する耐性菌の出現を助長することになる故、病原菌の種類に応じた抗生物質を無駄なく選択的に用いることが好ましい。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、用いるべき抗生物質等の種類が決まっても、その抗生物質等が、ターゲットとなる細菌に的確に接触することができなければ、余分な抗生物質等を用いなければならないばかりか、抗生物質等と細菌が緩慢に接触することになるので、なかなか細菌が致死的な状態とならずに、その抗生物質等に対する耐性菌の出現を助長することにもなりかねない。また、このような抗生物質等の接触阻害状態が続くことにより、患者の回復自体が遅延し、細菌の種類や患者の容体によっては、命にかかわることも想定される。 【0006】このような抗生物質等と細菌との接触を妨げる要因の一つとして、細菌が形成するバイオフィルムが挙げられる。バイオフィルムとは、細菌や黴等の微生物が物体や生体組織の表面に付着して増殖する際に、分泌物や沈着物と共に、菌体表面を覆ってしまう膜のことをいう。バイオフィルム形成菌は、形成されたバイオフィルムで、抗生物質と菌体との直接的な接触を妨げることにより、抗生物質等に対して抵抗性を示し、バイオフィルム菌に対しては、浮遊菌の1000〜1500倍の濃度の抗生物質を必要とすることも報告されている(「黄色ブドウ球菌に関する最近の話題」,日皮会誌:109(13),2095-2102,1999 )。このため、バイオフィルム形成菌による感染症を根治することは、浮遊菌による感染症を治療する場合に比べて、非常に困難である。また、医療器具等において付着したバイオフィルム形成菌の徹底的な殺菌が困難であるため、院内感染の原因菌となりやすい。 【0007】このように、病原菌の種類によっては、バイオフィルムの形成をいかに抑えるかが、その病原菌の感染症治療にとって、非常に重要な要素となるので、現在、バイオフィルム形成の抑制手段が検討され、その成果も認められる。 【0008】例えば、特定の金属酸化物(酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等)、高浸透圧、低pH(pH5.0以下)、紫外線照射、銀等が、病原菌のバイオフィルム形成を抑制することが突き止められている(「黄色ブドウ球菌に関する最近の話題」,日皮会誌:109(13),2095-2102,1999 )。 【0009】しかしながら、バイオフィルムといっても、多種多様なタイプがあることが知られており、今後も、さらなるバイオフィルムの形成の抑制手段が望まれている。 【0010】そこで、本発明が解決すべき課題は、バイオフィルムの抑制手段となる新たな有効成分を見出して、これを抗菌防黴剤の助剤として用いることにより、バイオフィルム形成菌による感染症患者の回復や器具消毒の徹底化を即し、また、無駄のない処方を行うことを助けることにより、耐性菌の新たな出現を抑制することにある。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】本発明者は、この課題の解決のために、バイオフィルムの形成を抑制する物質の検索を行ったところ、驚くべきことに、従来から抗菌香料として用いられているファルネソールに、所望するバイオフィルム抑制作用が認められることを認め、これを抗菌防黴助剤の有効成分として用いることが可能であることを見出し、本発明を完成した。 【0012】すなわち、本発明は、ファルネソールを有効成分とする、抗菌防黴助剤(以下、本抗菌助剤ともいう)を提供する発明であり、本抗菌助剤は、細菌及び/又は黴類のバイオフィルムの形成を抑制することにより、抗菌防黴剤の抗菌防黴効果を向上させる、バイオフィルム抑制剤である。 【0013】また、さらに、本発明者は、ファルネソールとキシリトールを組み合わせて有効成分として用いると、本抗菌助剤のバイオフィルム抑制作用が、一層向上することを見出した。 【0014】本発明において、バイオフィルムの抑制には、文字通り、バイオフィルムの形成を抑制することの他に、一旦形成されたバイオフィルムを減少させ、又は除去することも含まれる。 【0015】また、後述するように、例えば、ファルネソールを、さらには、ファルネソール及びキシリトールを本抗菌助剤の有効成分として、バイオフィルムの形成を抑制しつつ、抗生物質等のより強い殺菌力を有する抗菌剤を用いて、病原菌を攻撃することにより、的確に病原菌の除去を行うことが可能となる。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。上述のように、本抗菌助剤の有効成分は、ファルネソール(3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエン−1−オール)である。ファルネソールは、抗菌合成香料として用いられており(市販品入手も可能)、新鮮なグリーンノートでフローラル様の香気を持ち、香粧品への配合が認められる。 【0017】また、本抗菌助剤に、キシリトールを配合すると、バイオフィルムの形成抑制効果を、一層向上させることができる。キシリトールは、糖でありながら、ほとんどの細菌には栄養源にならないために、虫歯予防のための口腔内製品に用いられている。また、すっきりとした使用感を有する故、化粧品用の保湿剤としても用いられている。 【0018】ファルネソールもキシリトールも、上記用途に汎用されているので、容易に市販品を入手して、本発明において用いることができる。本抗菌助剤は、バイオフィルム形成菌のバイオフィルムの形成を抑制することにより、バイオフィルムによる薬剤に対する抵抗性を弱めて、抗菌剤や防黴剤の働きを向上させることができる。 【0019】なお、本抗菌助剤は、バイオフィルム形成菌であれば、全ての細菌類や黴類を適用対象とすることが可能であるが、特に、スタフィロコッカス(Staphiococcus)属やストレプトコッカス(Streptococcus) 属に属する細菌類、例えば、黄色ブドウ球菌(Staphiococcus aureus)、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(coagulase-negative Staphiococci:CNS) 、A群化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)等に対して有効である。殊に、耐性菌(MRSA、VRSA等)による、深刻な院内感染等の原因菌として知られている黄色ブドウ球菌を好適な適用対象とすることができる。 【0020】■本抗菌助剤の態様として、まず、医療器具等の消毒助剤として用いる態様を挙げることができる。黄色ブドウ球菌等のバイオフィルム形成菌は、一旦バイオフィルムを形成してしまうと、抗菌剤等に対して抵抗性を有し、通常の院内消毒のみでは不十分な場合も想定され、院内感染が発生してしまう可能性も否定できない。 【0021】そこで、本抗菌助剤を、医療器具等に対して作用させて、バイオフィルムの形成を抑制した後や抑制すると同時に、通常の消毒剤等で処理することにより、消毒による殺菌効果を飛躍的に高めることが可能である。 【0022】この場合の本抗菌助剤におけるファルネソールの配合量は、自由に選択をすることが可能であるが、通常、剤に対して0.001〜10質量%程度が好ましい。0.001質量%未満であると、一般的に十分なバイオフィルム抑制効果を十分に発揮させることが困難であり、10質量%を超えて配合しても、配合量の増大に見合ったバイオフィルム抑制効果の向上を期待できない。 【0023】また、この態様の本抗菌助剤にキシリトールを配合する場合の、キシリトールの配合量も、自由に選択することが可能であるが、通常、剤に対して0.01〜30質量%程度が好ましい。0.01質量%未満であると、一般的に、十分にファルネソールのバイオフィルム抑制効果を増強することが困難であり、30質量%を超えて配合しても、ファルネソールのバイオフィルム抑制効果のさらなる増強を期待できない。 【0024】この態様の本抗菌助剤の剤型は、液剤が一般的である。すなわち、ファルネソール、又は、ファルネソール及びキシリトールを溶解可能で、かつ、好ましくはファルネソールやキシリトールを経時的に安定に保存可能な形態、例えば、陰イオン性界面活性剤等の界面活性剤や両親媒性物質を用いた可溶化物や乳化物として、ファルネソールやキシリトールを含有させた本抗菌助剤(用時調製型でも可)を、目的箇所において散布等を行うことで、本発明の目的を達成することができる。 【0025】■次に、外用剤としての態様を挙げることができる。バイオフィルム形成菌は、例えば、傷口や火傷箇所に定着しつつ、バイオフィルムを形成して、治療に対して抵抗性を表し、最悪の場合、薬剤耐性菌に置き変わって非常に厄介な状況になってしまうことが認められている。 【0026】そこで、本抗菌助剤を、まず、皮膚上の目的箇所(傷口や火傷箇所)に用いて、かかる箇所におけるバイオフィルムの形成を抑制した後や抑制すると同時に、抗菌剤等を作用させることにより、目的箇所の治癒を早め、耐性菌の出現も抑制することが可能である。 【0027】この態様の本抗菌助剤におけるファルネソールの配合量は、自由に選択をすることが可能であるが、通常、剤に対して0.001〜10質量%程度が好ましい。0.001質量%未満であると、一般的に十分なバイオフィルム抑制効果を十分に発揮させることが困難であり、10質量%を超えて配合しても、配合量の増大に見合ったバイオフィルム抑制効果の向上を期待できない。 【0028】また、この態様の本抗菌助剤にキシリトールを配合する場合の、キシリトールの配合量も、自由に選択することが可能であるが、通常、剤に対して0.01〜30質量%程度が好ましい。0.01質量%未満であると、一般的に、十分にファルネソールのバイオフィルム抑制効果を増強することが困難であり、30質量%を超えて配合しても、ファルネソールのバイオフィルム抑制効果のさらなる増強を期待できない。 【0029】この場合の本抗菌助剤の使用量は、患者の症状や剤の使用形態等に応じて適宜選択することが可能であるが、一般には、有効成分であるファルネソールが、一日成人当り、約0.00001〜0.1g 程度が皮膚に塗布されるように、一日1回又は数回に分けて用いるのが好適である。また、キシリトールを用いる場合には、キシリトールは、約0.0001〜0.3g 程度が皮膚に塗布されるように用いるのが好適である。 【0030】この態様の本抗菌助剤の剤型は、外用剤がとりえる全ての剤型、具体的には、軟膏剤、液剤、クリーム剤、塗布剤等を選択することができる。かかる剤型に応じて、この態様の本抗菌助剤には、通常公知の基剤成分、例えば、油分、界面活性剤、高級アルコール、防腐剤、保湿剤、増粘剤、キレート剤、色素、香料等を配合することができる。 【0031】■また、内服剤としての態様を挙げることもできる。バイオフィルム形成菌が、体内にバイオフィルムを形成した場合や、爪の内側等の外用剤を塗布することが困難な箇所にバイオフィルムを形成した場合には、本抗菌助剤を、内服剤として用いて、これらの箇所のバイオフィルムの形成を抑制した後や抑制すると同時に、抗菌剤等を作用させることにより、バイオフィルム形成菌による感染症の治療を効率的に行うことが可能であり、耐性菌の出現を抑制することもできる。この場合の本抗菌助剤におけるファルネソールの配合量は、自由に選択をすることが可能であるが、通常、剤に対して0.001〜10質量%程度が好ましい。0.001質量%未満であると、一般的に十分なバイオフィルム抑制効果を十分に発揮させることが困難であり、10質量%を超えて配合しても、配合量の増大に見合ったバイオフィルム抑制効果の向上を期待できない。 【0032】また、この態様の本抗菌助剤にキシリトールを配合する場合の、キシリトールの配合量も、自由に選択することが可能であるが、通常、剤に対して0.01〜30質量%程度が好ましい。0.01質量%未満であると、一般的に、十分にファルネソールのバイオフィルム抑制効果を増強することが困難であり、30質量%を超えて配合しても、ファルネソールのバイオフィルム抑制効果のさらなる増強を期待できない。 【0033】この場合の本抗菌助剤の使用量は、患者の症状や剤の使用形態等に応じて適宜選択することが可能であるが、一般には、有効成分であるファルネソールが、一日成人当り、約0.00001〜0.1g 程度となるように、一日1回又は数回に分けて用いるのが好適である。また、キシリトールを用いる場合には、キシリトールは、約0.0001〜0.3g 程度が皮膚に塗布されるように用いるのが好適である。 【0034】この態様の本抗菌助剤の剤型は、内服剤がとりえる全ての剤型、具体的には、錠剤、粉末剤、顆粒剤、丸剤等の固剤や液剤、懸濁剤、乳剤等の注射剤とすることができる。また、用時調製剤とすることも可能である。 【0035】かかる剤型に応じて、この態様の本抗菌助剤には、通常公知の医薬製剤担体、例えば、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、界面活性剤等の賦形剤や希釈剤等を自由に選択して配合することができる。 【0036】この内服剤態様の本抗菌助剤は、その態様に応じて適切な投与経路、例えば、注射剤形態の場合には、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内投与等により、固剤形態の場合には、経口や経腸投与等により投与され得る。 【0037】本抗菌助剤には、その有効成分であるファルネソールと共に、直接、病原微生物を攻撃して死滅させるための薬剤、例えば、抗生物質、合成抗菌剤、防黴剤等を配合することが可能である。これらの薬剤の種類は、死滅させる対象微生物の種類に応じて選択することが可能である。 【0038】 【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、これにより、本発明の範囲が限定されるものではない。 〔試験例1〕バイオフィルム形成抑制試験(1) ヒト血清とソイビーンカゼインダイジェスト(SCD)培地(日本製薬社製)を、質量比で1:1の割合で、無菌的に混合し、この混合培地を24穴プレートに、1mLずつ分注した。4型コラーゲンコーティングフィルム(Celldesk:住友ベークライト製)を、これらのプレート穴に浸した後、予め、SCD培地において、37℃で24時間培養した黄色ブドウ球菌(Staphiococcus aureus :アトピー性皮膚炎患者分離株) を、1.0×108 cfu/mLとなるように添加した。添加後、0.5%Tween80で可溶化した被験物質〔ファルネソール(DRGOCO社製)〕を、最終濃度が0.2%又は0.02%となるように、プレート穴に添加した。37℃で24時間培養後、バイオフィルム形成の有無を目視で確認し、菌数を測定し、走査型電子顕微鏡で観察した。結果を、第1表に示した。 【0039】 第 1 表──────────────────────────────────── バイオフィルム形成 24時間後の菌数(cfu/celldesk)────────────────────────────────────コントロール(無添加) + 2.9×108 ファルネソール(0.2 %) − 4.0×102 ファルネソール(0.02%) − 1.7×108 ──────────────────────────────────── +:バイオフィルムが形成された、−:同形成されない【0040】この結果、ファルネソールは、0.2%の濃度で菌の増殖を抑制し、バイオフィルムも形成させないことが判明し、0.02%の濃度では、菌の増殖には殆ど影響しないが、バイオフィルムの形成は抑制することが明らかとなった。 【0041】なお、第1図において(1)は、被験物質添加前の黄色ブドウ球菌の電子顕微鏡写真(6000倍)で、(2)は、被験物質無添加(コントロール)の電子顕微鏡写真(8000倍)で、(3)は、0.02%ファルネソール群の電子顕微鏡写真(8000倍)である。(2)において、菌体を覆い隠すようにバイオフィルムが形成されているのに対し、(3)ではバイオフィルムの形成が認められないことがわかる。 【0042】〔試験例2〕 バイオフィルム形成抑制試験(2) ヒト血清とソイビーンカゼインダイジェスト(SCD)培地(日本製薬社製)を、質量比で1:1の割合で、無菌的に混合し、この混合培地を24穴プレートに、1mLずつ分注した。4型コラーゲンコーティングフィルム(Celldesk:住友ベークライト製)を、これらのプレート穴に浸した後、予め、SCD培地において、37℃で24時間培養した黄色ブドウ球菌(Staphiococcus aureus JCM2151標準菌株)を、1.0×108 cfu/mLとなるように添加した。添加後、0.5%Tween80で可溶化したファルネソール(DRGOCO社製)を、最終濃度が0.2%となるように、また、キシリトール(カルター・フードサイエンス社製)を添加する場合には、予め滅菌したキシリトール50%水溶液を、最終濃度が5%となるように、プレート穴に添加した。37℃で72時間培養後、バイオフィルム形成の有無を目視で確認し、菌数を測定し、走査型電子顕微鏡で観察した。結果を、第2表に示した。 【0043】 第 2 表──────────────────────────────────── バイオフィルム形成 72時間後の菌数(cfu/celldesk)────────────────────────────────────コントロール(無添加) + 3.2×109 ファルネソール(0.2 %) ± 2.2×104 ファルネソール(0.02%) +キシリトール(5%) − 1.2×104 ──────────────────────────────────── +:バイオフィルムが形成された、±:同ほとんど形成されない、 −:同形成されない【0044】この結果、72時間培養においても、ファルネソールを、最終濃度0.2%で添加することにより、菌の増殖を抑制すると共に、バイオフィルムの形成を抑制する作用が認められ、さらに、ファルネソールにキシリトールを組み合わせて添加することにより、著しくバイオフィルム形成抑制効果が増強されることが明らかとなった。 【0045】なお、第2図において(1)は、被験物質添加前の黄色ブドウ球菌の電子顕微鏡写真(6000倍)で、(2)は、被験物質無添加(コントロール)の電子顕微鏡写真(6000倍)で、(3)は、0.2%ファルネソール群の電子顕微鏡写真(6000倍)で、(4)は、0.2%ファルネソール+5%キシリトール群の電子顕微鏡写真(6000倍)である。上記第1図と同様に、(2)においては、菌体を覆い隠すようにバイオフィルムが形成されていた。これに対し、(3)ではバイオフィルムの形成が抑制され、(4)では、バイオフィルムの形成自体が認められないことがわかる。 【0046】〔試験例3〕 バイオフィルム除去試験ヒト血清とSCD培地を、質量比で1:1の割合で、無菌的に混合し、この混合培地を24穴プレートに、1mLずつ分注した。4型コラーゲンコーティングフィルム(Celldesk:住友ベークライト製)を、これらのプレート穴に浸した後、予め、SCD培地において、37℃で24時間培養した黄色ブドウ球菌(Staphiococcus aureus :アトピー性皮膚炎患者分離株) を、1.0×108 cfu/mLとなるように添加した。添加後、37℃で24時間培養を行い、各プレート穴におけるバイオフィルム形成を確認し、これに、0.5%Tween80で可溶化した被験物質〔ファルネソール(DRGOCO)〕を、最終濃度が0.2%又は0.02%となるように、プレート穴に添加した。37℃で72時間培養後、バイオフィルム形成の有無を目視で確認し、菌数を測定し、走査型電子顕微鏡で観察した。結果を、第3表に示した。 【0047】 第 3 表──────────────────────────────────── バイオフィルム形成 72時間後の菌数(cfu/celldesk)────────────────────────────────────コントロール(無添加) + 1.5×109 ファルネソール(0.2 %) − 9.0×102 ファルネソール(0.02%) − 5.2×108 ──────────────────────────────────── +:バイオフィルムが形成された、−:同形成されない【0048】この結果、ファルネソールは、0.2%でバイオフィルム形成後であっても、菌を殺菌し、バイオフィルムを消滅させ、0.02%では、菌の増殖には影響を与えないが、バイオフィルムを消滅させ得ることが判明した。 【0049】これらの試験例の結果から、ファルネソールは、MICに満たない低濃度であっても、バイオフィルム形成菌のバイオフィルムの発生を抑制し、かつ、一旦発生したバイオフィルムを消滅させることが可能であり、少量配合でも、抗菌助剤の有効成分として用いることが可能であることが判明した。また、ファルネソールとキシリトールを組み合わせて用いることにより、上記のバイオフィルム形成抑制作用を著しく増強可能であることが明らかとなった。 【0050】 【発明の効果】本発明により、バイオフィルム形成菌のバイオフィルムの形成を抑制することにより、抗菌剤等の働きを効率化して、さらに、耐性菌の発生も抑制することが可能な、抗菌防黴助剤が提供される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001959 【氏名又は名称】株式会社資生堂
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| 【出願日】 |
平成13年3月29日(2001.3.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100103160 【弁理士】 【氏名又は名称】志村 光春
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| 【公開番号】 |
特開2002−284604(P2002−284604A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月3日(2002.10.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−94870(P2001−94870) |
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