| 【発明の名称】 |
植物病害を抑制する機能性有機資材 |
| 【発明者】 |
【氏名】花川 哲夫
【氏名】藤原 多見夫
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| 【要約】 |
【課題】生物的防除により植物病害を抑制するために、植物系コンポストと動物系コンポストを配合調製した混合コンポストを担体として、抗菌性物質生産菌を保持する。
【解決手段】木質廃棄物を主原料とする植物系コンポストと水産加工廃棄物を主原料とする動物系コンポストを配合して混合コンポストを調製するとともに、バーコルデリア(Burkholderia) 属に属し、かつ、植物病原菌に対して抗菌活性を有する一又は複数の抗菌性物質生産菌を担体保持させて機能性コンポンストを製造する。ここで、一の抗菌性物質生産菌は、バーコルデリア セパシア(Burkholderia cepacia) である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植物病害を抑制する機能性有機資材の改善において、木質廃棄物を主原料とする植物系コンポストと水産加工廃棄物を主原料とする動物系コンポストを配合して混合コンポストを調製するとともに、バーコルデリア(Burkholderia) 属に属し、かつ、植物病原菌に対して抗菌活性を有する一又は複数の抗菌性物質生産菌を担体保持してなることを特徴とする植物病害を抑制する機能性有機資材。 【請求項2】 混合コンポスト100重量部に対して、植物系コンポスト90重量部以上、及び動物系コンポスト10重量部以下の配合割合を有する請求項1記載の植物病害を抑制する機能性有機資材。 【請求項3】 一の抗菌性物質生産菌がバーコルデリア セパシア(Burkholderia cepacia) である請求項1記載の植物病害を抑制する機能性有機資材。 【請求項4】 植物病原菌がリゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani)である請求項1記載の植物病害を抑制する機能性有機資材。 【請求項5】 植物病原菌がフザリウム オキシスポルム(Fusarium oxysporum) である請求項1記載の植物病害を抑制する機能性有機資材。 【請求項6】 植物病害を抑制する機能性有機資材の改善において、木質、動植物性残渣を含む食品加工汚泥その他の有機廃棄物に由来する植物系コンポストと、水産加工汚泥、魚類の水溶性蛋白質その他の有機廃棄物に由来する動物系コンポストをそれぞれ用意し、前記植物系コンポストから植物病原菌に対して抗菌活性を有する一又は複数の抗菌性物質生産菌を分離抽出して液体培養し、該培養後の抗菌性物質生産菌を前記植物系コンポスト及び動物系コンポストを配合調製した1次混合コンポストに投入し撹拌処理することにより得られる中間資材であって、以下の性質を有することを特徴とする植物病害を抑制する機能性有機資材。 (1)一の抗菌性物質生産菌がバーコルデリア セパシア(Burkholderia cepacia) である。 (2)植物病原菌がリゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani) 又はフザリウム オキシスポルム(Fusarium oxysporum) である。 (3)抗菌密度〔cfu/g〕が少なくとも1010オーダーである。 (4)種コンポストとして使用される。 【請求項7】 植物病害を抑制する機能性有機資材の改善において、請求項6記載の資材を種コンポストとして用い、前記1次混合コンポストと同一配合で調製した数十倍量の2次混合コンポストに投入して稀釈・混合処理することにより得られる製品資材であって、以下の性質を有することを特徴とする植物病害を抑制する機能性有機資材。 (1)一の抗菌性物質生産菌がバーコルデリア セパシア(Burkholderia cepacia) である。 (2)植物病原菌がリゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani) 又はフザリウム オキシスポルム(Fusarium oxysporum) である。 (3)種コンポストに対する稀釈倍率が数十倍であって、抗菌密度〔cfu/g〕が少なくとも107 オーダーを確保するものである。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、植物病原菌に対して抗菌活性を有する一又は複数の抗菌性物質生産菌を担体保持して植物病害を抑制する機能性有機資材に係り、詳しくは、植物系コンポストと動物系コンポストを配合調製した混合コンポストを担体として、バーコルデリア セパシア(Burkholderia cepacia) を保持した植物病害を抑制する機能性有機資材に関する。 【0002】ここで、バーコルデリア セパシア(Burkholderia cepacia) は、少なくともホウレンソウ株腐病の病原菌であるリゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani) やトマト根腐萎凋病の病原菌であるフザリウム オキシスポルム(Fusarium oxysporum) に対して抗菌活性を有する抗菌性物質生産菌であることが判明している。以下、抗菌活性(機能)と拮抗作用と抗菌作用は互換的に使用する。 【0003】 【従来の技術】従来より、植物に対しては病原性を示さないが、植物病原菌に対しては拮抗作用(抗菌活性)を有する環境由来の抗菌性物質生産菌の存在が知られており、植物病害に対する生物的防除手段としての有効性(利用性)が提案されている。 【0004】例えば、特許第2955642号に提案されているように、特定の植物病原菌に対して抗菌作用を有する新規な(従来知られていない)抗菌性物質生産菌を発見(同定)するとともに、その再現性を示して発明の完成に至ったものがある。 【0005】一方、公知の抗菌性物質生産菌がどのような植物病原菌に対して抗菌作用を有するかを検証してゆき、発明の完成に至るものもある。 【0006】いずれにしても、生物的防除が安定的に実施可能であること、及びヒトへの暴露において非病原性を示すことが確保されなければならない。 【0007】こうしたなかで、バーコルデリア セパシア(Burkholderia cepacia) 〔以下、セパシア菌。〕が、植物病害を抑制する農産物の成長促進菌として注目されてきた。ただし、セパシア菌(及びその類縁菌)は環境由来菌〔環境微生物〕でありながら、疾病由来菌〔ヒト病原微生物〕としてもリストされているという現状があり、農業現場でヒトがセパシア菌に暴露される機会が多くなることから、その接点(相互作用)が問題視されている。 【0008】しかしながら、自然環境から分離したセパシア菌が抗菌作用を示す特定的な植物病原菌を検証するとともに、安全性確認に基づく培養条件を確立したうえで、セパシア菌を安定的に保持する担体を開発することは産業上の利用可能性において有意味であることに疑いはない。なお、微生物農薬の安全性評価法やバイオコントロールの枠内で開発を進めるのは当然のことである。本発明の背景を以下に要約する。 【0009】本発明者らは、従来より未利用生物系廃棄物の有効利用(再利用)の一環として該廃棄物を主原料とするコンポストの研究開発を行なってきた。ここでは、土づくりや肥料としてのコンポストの開発が主目的であった。 【0010】一方、コンポストの施用(施肥)という実施面において、ホウレンソウ株腐病の病原菌がリゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani) であり、トマト根腐萎凋病の病原菌がフザリウム オキシスポルム(Fusarium oxysporum) であるとの知見を有していた。 【0011】そもそもコンポストには、大別して三つの機能が求められてきた。第一には土壌の物理性改善機能であり、水はけや水持ちを良くし土壌を膨軟にする等である。第二には化学性改善機能であり、保肥力及び肥沃度を増補し緩衝能を高める等である。第三には生物性改善機能であり、施用に伴い必然的に結果する微生物の多様化である。 【0012】今日、化学農薬の弊害を排し環境調和型農業が推進される状況下で、有用微生物遺伝子資源を発見し評価しようとする試みが加速している。ことコンポストに関しても、上記生物性改善機能がより重要性を増してきたといえる。 【0013】そこで、環境由来の微生物群のなから有用な機能、すなわち土壌病原菌又は植物病原菌に対して拮抗作用(抗菌活性機能)を有する抗菌性物質生産菌を抽出し、これを付加した機能性有機資材を着想し、まず、植物病原菌に対し対峙試験により拮抗作用を有する複数の抗菌性物質生産菌を探索・単離した。 【0014】そして、リゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani) に有意に作用する抗菌性物質生産菌を同定したところ、セパシア菌と判明した。さらに、この菌株について培養条件を確立した後、試作コンポスト(担体)に接種して栽培試験をおこない、所期の抗菌性を確認してきた。こうして、植物病原菌に対する抗菌活性機能を付加した機能性有機資材の発明を完成するに至ったのである。 【0015】 【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事項に鑑みなされたものであって、生物系有機廃棄物をコンポスト化して再利用(資源回収)し、かつ、該コンポストを担体として抗菌性物質生産菌を保持することにより植物病原菌に対する抗菌活性機能を付加し、もって生物的防除手段の実用化に寄与することが期待できる植物病害を抑制する機能性有機資材を提供するものである。 【0016】 【課題を解決するための手段】課題を解決するために本発明は、植物病害を抑制する機能性有機資材の改善であって、木質廃棄物を主原料とする植物系コンポストと水産加工廃棄物を主原料とする動物系コンポストを配合して混合コンポストを調製するとともに、バーコルデリア(Burkholderia) 属に属し、かつ、植物病原菌に対して抗菌活性を有する一又は複数の抗菌性物質生産菌を担体保持してなることを特徴とするものである。 【0017】ここで、一の抗菌性物質生産菌がバーコルデリア セパシア(Burkholderia cepacia) である。 【0018】また、植物病原菌がリゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani) である。 【0019】また、植物病原菌がフザリウム オキシスポルム(Fusarium oxysporum) である。 【0020】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態は、上記構成の有機資材のひとつは、木質、動植物性残渣を含む食品加工汚泥その他の有機廃棄物に由来する植物系コンポストと、水産加工汚泥、魚類の水溶性蛋白質その他の有機廃棄物に由来する動物系コンポストをそれぞれ用意し、前記植物系コンポストから植物病原菌に対して抗菌活性を有する一又は複数の抗菌性物質生産菌を分離抽出して液体培養し、該培養後の抗菌性物質生産菌を前記植物系コンポスト及び動物系コンポストを配合調製した1次混合コンポストに投入し撹拌処理することにより得られる中間資材であって、以下の性質を有することを特徴とするものである。 (1)一の抗菌性物質生産菌がバーコルデリア セパシア(Burkholderia cepacia) である。 (2)植物病原菌がリゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani) 又はフザリウム オキシスポルム(Fusarium oxysporum) である。 (3)抗菌密度〔cfu/g〕が少なくとも1010オーダーである。 (4)種コンポストとして使用される。 【0021】また、製品(最終製品)として流通に置かれる有機資材は、上記中間資材を種コンポストとして用い、前記1次混合コンポストと同一配合で調製した数十倍量の2次混合コンポストに投入して稀釈・混合処理することにより得られる製品資材であって、以下の性質を有することを特徴とするものである。 (1)一の抗菌性物質生産菌がバーコルデリア セパシア(Burkholderia cepacia) である。 (2)植物病原菌がリゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani) 又はフザリウム オキシスポルム(Fusarium oxysporum) である。 (3)種コンポストに対する稀釈倍率が数十倍であって、抗菌密度〔cfu/g〕が少なくとも107 オーダーを確保するものである。 【0022】 【実施例】本発明の一実施例を以下の項目順序で添付図面を参照して説明する。 【0023】1.設計及び試作1−1)抗菌性物質生産菌の探索と培養条件1−2)抗菌性物質生産菌の同定と安全性評価1−3)抗菌性物質生産菌の増殖操作1−4)種コンポスト(中間資材)の設計及び試作1−5)製品コンポスト(製品資材)の設計及び試作【0024】2.実施及びその評価2−1)供試植物及び培土2−2)圃場試験1と結果2−3)圃場試験2と結果2−4)考察2−5)機能性コンポスト(本発明の機能性有機資材)の評価2−6)製造システムの構築と産業上の利用可能性(展望) 【0025】1.設計及び試作1−1)抗菌性物質生産菌の探索と培養条件本発明者の一人(藤原多見夫)が製造に関与している植物系コンポスト(商品名「豊穰」)を試料採取した。この植物系コンポストは、バーク(樹皮)、剪定枝葉、山林伐採廃材等の木質原料を主体にして、窒素源として食品産業汚泥(乳飲料業、製菓・製パン業、製麺業、醸造業などからの廃棄物汚泥)、動植物性残さ、廃乳、糖密等を融合し、6か月以上発酵・熟成させた完熟コンポストである。〔以下、植物系供試コンポスト。〕 【0026】対象とした植物病害はホウレンソウ株腐病であり、その病原菌であるリゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani Kuhn) を広島県立農業技術センターより入手した。〔以下、対象病原菌。〕 【0027】対峙試験(抗菌性の検出)に用いる培地は、病原菌と抗菌の両方に適するPDA培地(ポテトデキストロース寒天培地)を用いた。PDA培地は、PDA3.9gを溶解した100ml を、121 ℃で15分滅菌後、各シャーレに20mlを移しそれぞれ固化した。 【0028】植物系供試コンポスト約1gを26ml溶の試験管に採取し、滅菌生理食塩水10mlを入れてボルテックスミキサーで約5分間撹拌混合した。約20分間室温放置し、上澄液に円形濾紙(φ8mm,厚手)を浸した。これをPDA培地の中央に置き、対象病原菌を四方等間隔(濾紙周囲4等配位置)に接種し、25℃の恒温室で2日間培養した。 【0029】円形濾紙を浸した植物系供試コンポストの懸濁液中に抗菌性物質を生産する微生物群が存在すれば、接種した病原菌は、濾紙の周囲を避けて生育するので、阻止円が形成される。阻止円から採取した抗菌群について画線塗抹培養を繰り返し、純粋化(単離)した抗菌を斜面培養に移した。 【0030】ここで、後述の細菌学的性質(表1)及び16SrRNA分析から、抗菌群は、バーコルデリア セパシア(Burkholderia cepacia)の他に、その近縁のバーコルデリア グルマエ(Burkholderia glimae)、バーコルデリア ヴァンディ(Burkholderia vandii) 、バーコルデリア プランタリィ(Burkholderia plantarii)、バーコルデリア ココヴェネナンス(Burkholderia cocovenenans) 、バーコルデリア グラジオリィ(Burkholderia gladioli) 、バーコルデリア アンチミクロビカ(Burkholderia antimicrobica)、バーコルデリア グラセイ(Burkholderia glathei)、バーコルデリア カリオフィリィ(Burkholderia caryophylli)、及びバーコルデリア フェナジニウム(Burkholderia phenazinium)であると推認された。 【0031】ついで、斜面培養した抗菌を用いて、新たに対峙試験をおこない、明確な阻止円を形成したものを抗菌株として、以後取り扱うものとした。〔以下、供試抗菌株。〕 【0032】1−2)抗菌性物質生産菌の同定と安全性評価供試抗菌株の細菌学的性質を表1に示す。ここで、供試抗菌株はバーコルデリア(Burkholderia)に属することが判明した。 【0033】 【表1】
【0034】あわせて、供試抗菌株の16SrRNA分析をおこなった結果、供試抗菌株はセパシア菌(Burkholderia cepacia) であると同定された。〔遺伝子塩基配列のデータは省略する〕 【0035】さらに、供試抗菌株(セパシア菌)をポリメラーゼ連鎖反応法(以下、PCR。)により安全性評価をおこなった。すなわち、genomovar 同定により疾病病原菌Burkholderia cepacia<genomovar III>であるか否かを判別した。三対のプライマーを用いたPCRの結果、PC−SSFとPC−SSRの対(genomovarI,III,IVを認識)、BC・GIIとBC−Rの対(genomovar IIを認識)では増幅されず、BC−GVとBC−Rの対(genomovar Vを認識)のプライマーで増幅され、genomovar Vと判定された。したがって、供試抗菌株は自然環境由来のセパシア菌であって、その取扱いにおいてヒトに暴露する可能性があるとしても、その病原性については当面否定してよいものと評価した。 【0036】1−3)抗菌性物質生産菌の増殖操作ジャーファーメンターにNB培地(NUTRIENT BROTH;NB13g+AGAR15g/l)3lを入れ、振とう培養後遠心分離により集菌した供試抗菌株を150ml(培地量の5%)添加し、所定方法で24時間液体培養した。溶存酸素量(DO)の推移からピーク時間を推定し、1時間毎に培養液10mlを抜取り、吸光度(OD660)を計測するとともに、後述の増殖装置に添加する分量を4℃の低温室で16時間保存した。〔以下、培養試料。〕 【0037】培養試料1mlを採り、10mlの滅菌生理食塩水(0.9%NaCl) で10段階稀釈して、PDA平板培地に塗抹接種し、30℃で2日間培養して生育した集落(コロニー)の密度を測定し、培養試料中の生菌数とした。最大抗菌密度1013cfu/mlを得た。 【0038】1−4)種コンポストの設計及び試作種コンポストを1t規模に設定し、供試コンポスト(植物系)900kgと動物系コンポスト100kgを配合して混合コンポストを調製した。ここで、動物系コンポストは栄養源として配合するものであって、本発明者の他の一人(花川哲夫)が製造に関与している水産加工汚泥、魚類の水溶性蛋白質その他の有機廃棄物に由来するコンポスト(商品名「ハマユーキ」)である。窒素4〜5%、燐酸9〜11%、カリ1〜1.5%を含有している。 【0039】この混合コンポストを増殖装置に投入し、かつ、培養試料1000mlを投入して、35℃、pH7を維持しながら72時間回転撹拌し、サンプル抽出した種コンポストの抗菌密度を測定した。材令7日までは抗菌密度1010cfu/gを確保していた。なお、種コンポストを流通に置く場合がある。 【0040】1−5)製品コンポストの設計及び試作施用されるコンポストの有効抗菌密度は107 cfu/gを指標としていることから、製品コンポストの容量に対し1%の種コンポストを投入して均一に稀釈すれば、108 オーダーの抗菌密度が保証できるものと推考した。そこで、製品コンポストを100t規模に設定し、まず供試コンポスト(植物系)98tと動物系コンポスト1tを配合した混合コンポスト99tを調製した。ここで、製品コンポストの設定容量に対して所定量の培養試料を直接投入せず、種コンポストの投入により稀釈することにしたのは、製品コンポストの容量を自在に設定できるという製造管理上の利点からである。 【0041】そして、混合コンポスト(99t)と種コンポスト(1t)を混合装置(ミキサー)に投入し、サンプル抽出した製品コンポストの抗菌密度を測定した。材令18日までは抗菌密度108 cfu/gを確保していた。なお、製品コンポストを市場提供する場合、1か月程度の有効期限があればよいので、108 オーダーの抗菌密度を有する製品コンポストを出荷すれば施用時の有効抗菌密度107 cfu/gは十分保証されるものと考える。 【0042】2.実施及びその評価2−1)供試植物及び培土供試植物としてホウレンソウ[ 品種:おかめ(Spinacia oleracea L.)] を用い、プランターにて土耕栽培した。培土(原土又は対照土壌)は、プランター当り硬質酸性土壌(まさ土)10kgおよびパーライト3.5 Lを混合したものを用いた。施肥は、硫酸アンモニウム(300kgN/ha相当) 、過燐酸石灰(344kg P2O5 /ha相当) 、硫酸カリウム(120kgK2 O/ha相当) および苦土石灰(4000kg/ha相当) を培土へ混合した。 【0043】2−2)圃場試験1と結果■処理対象病原菌(以下、単に病原菌)を三角フラスコ(100ml) 内でバーミュキュライトに増殖した後、プランター当り三角フラスコ1本分を接種した。供試コンポストとして製品コンポスト(以下、機能性コンポスト。)を用い、プランター当り200gを肥料の投入時に添加混合した。なお、機能性コンポストを投与した処理区では硫酸アンモニウムは半量投与するものとした。処理区は、対照区(原土のみ)、病原菌接種区(原土のみ)、機能性コンポスト投与区、病原菌接種及び機能性コンポスト投与区とし、それぞれ1区2連とした。〔後述の表2参照〕 【0044】■播種および栽培播種は時期をずらして計3回おこなった。第1回目は株間約3cmで15株を1株2〜3粒づつ播種した。第2および第3回目は各15株でそれぞれ1株1粒づつ播種した。播種後、それぞれグロースキャビネット内〔(昼28℃/夜25℃)、自然光、相対湿度70%〕で栽培した。 【0045】■結果播種時期、発芽個体数(全株数)、罹病個体数等の調査結果を表2に示し、該データに基づき播種時期をみないで通算した罹病率のグラフを図1に示す。また、播種時期別の罹病率について再集計した結果を表3に示し、そのグラフを図2に示す。 【0046】 【表2】
【0047】 【表3】
【0048】播種時期をみないで通算した罹病率(図1)と播種時期別の罹病率(図2)からそれぞれみてとれるように、病原菌接種をしなかった機能性コンポスト投与区(横軸の符号3)では罹病率0%であって完全に抑制されており、病原菌接種をした機能性コンポスト投与区(横軸の符号2+3)では有意に抑制されることが認められる。また、病原菌接種をした機能性コンポスト投与区(横軸の符号2+3)で播種時期別の罹病率に有意差がないことから、堆肥効果も損なわれないものと認められる。 【0049】2−3)圃場試験2と結果別途、機能性コンポストの発芽(個体数)に及ぼす効果を圃場試験2として実施したが、処理、播種、及び栽培は上記圃場試験1とほぼ同様なので詳細は省略し、図3とともに結果のみ述べる。図3中、滅菌土壌(対照区)は供試土壌を滅菌したもの、コンポストAは非滅菌土壌に実験室で調整した機能性コンポストを投与した試験区、コンポストBは非滅菌土壌に増殖装置で試作した機能性コンポストを投与した試験区、及びコンポストCは非滅菌土壌に混合コンポスト(抗菌添加しないもの)を投与した試験区であり、符号(+−)は病原菌接種の有無である。 【0050】機能性コンポストの投与により、病原菌接種の有無を問わず発芽個体数に有意な増大が認められるとともに、病原菌接種による発芽個体数の減少は有意に抑制された。しかも、罹病率は顕著に低下し、発芽個体の生育不良(阻害)はほどんど認められなかった。 【0051】2−4)考察本発明の機能性コンポストの施用は、ホウレンソウ株腐病の抑制に有効であることが認められた。しかも、健全な発芽個体については生育が旺盛であり、特に葉の伸長及び面積の拡大が著しく、堆肥効果も発揮されるものと推認された。 【0052】2−5)機能性コンポストの評価本発明の機能性コンポストは、抗菌性物質生産菌を好適環境下に担体保持し、所望の抗菌機能を発揮するものであり、生物的防除手段として有効であると評価される。 【0053】しかも、担体としての混合コンポストは、土壌微生物の支持体(土壌ミネラル供給等のエネルギー供給源)として、本来の堆肥効果を損なわないばかりか増補するものとなっていると評価される。 【0054】したがって、農薬による土壌汚染や作物汚染を回避し、耕地生態系を含む物質循環を本来的な姿に回復するために寄与するものと評価される。 【0055】2−6)製造システムの構築と産業上の利用可能性(展望)植物系コンポストの主原料である未利用の木質廃棄物は、剪定枝葉や山林伐採廃材であって、C/N比が40〜70程度であり、製材廃材バークの200〜300に比して格段に小さいため、コンポスト化における技術的問題(困難性)はほとんどないといってよい。この種の原料資源は大量入手が容易であり、製品コンポストも少なくとも百トン規模で逐次的に生産・供給可能であるので、広大な耕地土壌の生物的防除に資する供給量と経済性を兼備している。 【0056】実施関連上の当面の課題は、原料の発生場所(蒐集を含む)とコンポスト化工場の物流コストであると予想されるが、近年、自治体等が推進する資源循環型社会システムの一環として、ローカル・リサイクルの輪(処理品目)に取り入れることができれば、大いに前進するであろうことが期待できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】501117155 【氏名又は名称】有限会社エッチ.イー.シー 【識別番号】501117144 【氏名又は名称】久米肥料株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月23日(2001.3.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074055 【弁理士】 【氏名又は名称】三原 靖雄
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| 【公開番号】 |
特開2002−275012(P2002−275012A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月25日(2002.9.25) |
| 【出願番号】 |
特願2001−84094(P2001−84094) |
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