| 【発明の名称】 |
ヒダントイン安定化組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】乾 圭一郎
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| 【要約】 |
【課題】ハロゲン化ヒダントイン化合物の、取り扱いの容易な安定化組成物を提供する。
【解決手段】一般式1のハロゲン化ヒダントイン化合物を有効成分とし、これにスルホランを主体とし、さらにハロゲン酸塩を含有する溶剤に溶解してなる殺菌剤組成物および安定化方法。特にハロゲン化ヒダントイン化合物が1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントインである殺菌組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式(1)
(式中XおよびYは同一または相異なり水素またはハロゲンを示し、XまたはYの少なくとも一方はハロゲンを示す)で表されるハロゲン化ヒダントイン化合物の少なくとも一種を有効成分とし、これにスルホランまたはスルホランを主体とする溶剤を含有することを特徴とする殺菌組成物。 【請求項2】 一般式(1)
(式中XおよびYは同一または相異なり水素またはハロゲンを示し、XまたはYの少なくとも一方はハロゲンを示す)で表されるハロゲン化ヒダントイン化合物の少なくとも一種を有効成分とし、これにスルホランまたはスルホランを主体とする溶剤を含有し、さらにハロゲン酸塩を含有することを特徴とする請求項1記載の殺菌組成物。 【請求項3】 ハロゲン化ヒダントイン化合物が1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントインである請求項1および2記載の殺菌組成物。 【請求項4】 一般式(1)
(式中XおよびYは同一または相異なり水素またはハロゲンを示し、XまたはYの少なくとも一方はハロゲンを示す)で表されるハロゲン化ヒダントイン化合物をスルホランまたはスルホランを主体とする溶剤に溶解させることを特徴とする殺菌組成物の安定化方法 |
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、紙パルプ工業用分野における抄紙工程中の細菌・真菌をはじめとする微生物に由来するスライムの付着を防止するため、また塗料、ラテックス、デンプンスラリー液、紙用コーティングカラー、洗浄水、冷却水、接着剤、金属加工油等の水をベースに作成されている工業用水系組成物が微生物汚染による腐敗、変色、物性劣化を受けることを防止するための殺菌組成物および殺菌方法に関するものである。 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】紙パルプ工業分野における抄紙工程では、紙を生産するために大量の水を使用しており、その水には紙を生産するために必要な各種有機物が分散・溶解しているため、細菌、真菌等の微生物の栄養源となりやすい。製紙工程中で細菌・真菌等の微生物がそれら栄養源を基にして繁殖し、粘液状の代謝産物を産出し、パルプ、填料等製紙工程中に分散している製紙原料を取り込んで、水流の淀んだチェスト内の壁面やフローボックス等にスライムを形成する。形成されたスライムは、徐々に増大しやがて離脱しパルプ等の製紙原料と共に紙に抄き込まれ紙上の異物となってあらわれ、品質の低下をまねく。また最近では、紙をかなり高速で抄くため、最悪の場合断紙となり、生産性の低下を引き起こす。また、塗料、ラテックス、デンプンスラリー液等水をベースに作成されている工業用水系組成物についても、細菌に汚染されることによって腐敗が生じ、臭気の発生や粘度低下、pH変動等の物性劣化を引き起こし、また真菌(糸状菌)が繁殖することによってストレーナーの目詰まり、着色、異物混入等も引き起こす。 【0002】抄紙工程における微生物要因によるスライムの発生防止するために殺菌剤として各種の薬剤が使用されてきた。またそれは各種水系組成物の腐敗防止を目的とした殺菌剤においても同様である。たとえば抄紙工程においては、殺菌力の非常に強い2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドをはじめ4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オンや静菌力に優れたメチレンビスチオシアネート、1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテンまたは1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタン等がよく使用されている。水系組成物の腐敗防止には防腐という性格上、静菌力に優れ、水系組成物中での安定性に優れた5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール等がよく使用されている。 【0003】これらの殺菌剤の中で、ハロゲン化ヒダントイン化合物は優れたもののひとつであり、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントインはスライムコントロール剤として知られている。しかし、これらのヒダントイン化合物は、安定性に乏しく、溶剤に溶解し液剤とした場合には速やかに分解を起こし、事実上実用とすることは非常に困難である。従って、これらを例えば製紙工程内に添加する場合には、粉末状のまま添加する必要がある。粉末の状態で添加する場合には、非常に扱いにくく、粉末を添加する特殊な装置が必要となり非常なコスト高となる。また、粉末が系内の湿気によってブロッキングを起こし、正常に添加できないトラブルが頻繁に起こる可能性がある。特開平4−59707には、このヒダントイン化合物とイソチアゾリン化合物を含有する組成物が提案されている。しかし、この組成物は安定性に非常に劣るものであり、安定な製剤の例は挙げられていない。従ってこれらの組み合わせの組成物を使用するには、系内に薬剤を別々に添加する必要があった。また、特開平10−101511にはこのヒダントイン化合物とジブロモニトリロプロピオンアミドを含有する組成物が提案されている。これらの成分を含有する例として、溶剤にジメチルホルムアミドとエステル類を用いたものが示されている。しかし、これらの製剤例においても安定性は不十分であり、しかも安全性に問題のあるジメチルホルムアミドを用いるという点においても実用的ではない。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者は前記欠点を改良すべく鋭意研究の結果、前記の欠点が改良されることを見いだし、本発明を完成した。すなわち本発明は、一般式(1)
(式中XおよびYは同一または相異なり水素またはハロゲンを示し、XまたはYの少なくとも一方はハロゲンを示す)で表されるハロゲン化ヒダントイン化合物の少なくとも一種を有効成分とし、これにスルホランまたはスルホランを主体とする溶媒と、安定剤としてハロゲン化酸塩を用いた殺菌組成物およびスルホランまたはスルホランを主体とする溶剤に溶解させることを特徴とするハロゲン化ヒダントイン化合物の安定化方法である。 【0005】 【発明の実施の形態】本発明で使用するヒダントイン化合物は殺菌、殺カビ物質で前記一般式(1)中のXおよびYは同一または相異なり水素またはハロゲンを示す。ハロゲンとしては塩素、臭素およびヨウ素が挙げられるが、殺菌力および殺カビ力から塩素または臭素が好ましい。その代表的なものとしては1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントインが挙げられ、殺菌組成物中でこれらの一種あるいは二種以上の混合物を用いることができる。 【0006】本発明の殺菌組成物中で使用するスルホランは、これを単独で用いてもハロゲン化ヒダントイン化合物またはスルホランの溶解性および安定性に影響を与えない他の溶剤と混合して用いても差し支えない。溶剤は特に限定するものではないが、例えば水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、酢酸、プロピオン酸、アセトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等の水溶性溶剤、また、ジメチルナフタレン、ドデシルベンゼン、流動パラフィン、イソホロン、灯油、アジピン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレンカーボネート、椰子油、菜種油、綿実油、ヒマシ油、大豆油等の親油性溶剤を適宜使用することができる。これらの水溶性溶剤、親油性溶剤は一種を単独に用いても二種以上を併用してもよい。 【0007】また、本発明の殺菌組成物中の、ハロゲン化ヒダントイン化合物の溶解性および安定性に影響を与えない程度の界面活性剤や他の添加剤と混合して用いても差し支えない。界面活性剤としては非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤等が使用できる。これらの界面活性剤は特に限定するものではないが、非イオン系界面活性剤として例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、陰イオン系界面活性剤としてアルキルベンゼン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ジアルキルコハク酸硫酸塩等が挙げられ、陽イオン系界面活性剤では脂肪族アミン塩およびその4級アンモニウム塩等が挙げられ、両イオン系界面活性剤ではベタイン型界面活性剤、アミノカルボン酸塩等が挙げられる。また、これらの非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤および両イオン系界面活性剤は一種を単独に用いても二種以上を併用してもよい。また、必要に応じてキレート剤、防錆剤、スケール防止剤、等を添加することも可能である。 【0008】本発明のハロゲン化ヒダントイン安定化組成物における上記一般式(1)で示されるハロゲン化ヒダントイン系化合物は、0.5〜50重量%となるように含有させるのが良く、2〜20重量%とするのが好ましい。また、本発明で使用するスルホランは殺菌組成物中20〜99重量%となるように含有させるのが良く、50〜90%とするのがさらに好ましい。 【0009】本発明に使用するハロゲン酸塩は、ABOn(Aはアルカリ金属、Bは塩素、臭素またはヨウ素、nは1〜4の整数)で表され、アルカリ金属は特に制限されないが、通常ナトリウム塩またはカリウム塩を用いる。これらの例としては、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム、過塩素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム等が挙げられるが、臭素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウムが好ましい。ハロゲン酸塩の含有率は通常0〜10重量%であり、より好ましくは0.1〜2重量%である。 【0010】 【実施例】次に本発明の実施例および比較例をあげて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下に示した配合比率はすべて重量%である。また、各実施例の殺菌組成物は各実施例に示す各成分をそれぞれ示す割合で常温において通常の撹拌によって調製した。 【0011】 【実施例1〜7および比較例1〜7】ハロゲン化ヒダントイン化合物を表1および2に示す配合で製剤し、殺菌組成物を得た。なお、表中のハロゲン化ヒダントイン化合物の表示は以下の略語にて表す。これらの殺菌組成物についての安定性試験およびスライム付着防止効果確認試験を行った。 【0012】1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン :DCDH1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン :DBDH1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン :BCDH【0013】 【表1】実施例 【0014】 【表2】比較例 MDG:ジエチレングリコールモノメチルエーテルDMAC:ジメチルアセトアミド【0015】 【試験例1】経時安定性試験実施例1〜7および比較例1〜7の殺菌組成物を45℃の恒温器中に放置し、一定期間毎にハロゲン化ヒダントイン化合物の含有率を、高速液体クロマトグラフィーを用いて分析した。残存率をパーセントで表示した。結果を表3に示す。 【0016】 【表3】経時変化試験結果(45℃)
【0017】 【試験例2】 製紙工程白水でのスライム付着防止効果確認試験某製紙会社より採取した板紙抄造白水を、2cm×10cmの16メッシュ金網を浸漬した容量100mlの容器に毎分0.5mlで注入しオーバーフローさせた。液温を30℃に保持し、45℃において7日間保管した薬剤(実施例3、5および比較例3、7)を8時間おきに25μl添加し、5日間連続運転を行う。金網に付着したスライムを調査した。スライムの付着率は、金網に付着したスライムの面積をパーセントで表示した。 【0018】 【表4】製紙工程白水でのスライム付着防止試験結果
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| 【出願人】 |
【識別番号】397070417 【氏名又は名称】シントーファイン株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月15日(2001.3.15) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−275008(P2002−275008A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月25日(2002.9.25) |
| 【出願番号】 |
特願2001−73387(P2001−73387) |
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