トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 ゼリー状体液漏出防止材及びそれを使用した体液漏出防止方法
【発明者】 【氏名】西原 司

【要約】 【課題】体腔に軽い力で滑らかに注入でき、かつ体腔内で体液を吸収して膨潤し、体腔を封止するとともに体液漏出を防止できる体液漏出防止材を提供することを狙いとする。

【解決手段】体液漏出封止剤として、内部に粉体が分散混合されたゼリー状の体液漏出防止材を生成し、この体液漏出防止材を使用すること及び体腔に装填する体液漏出防止方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 遺体の体腔に装填される体液漏出防止材が、ゼリ−の中に高吸水性粉体が多数分散してなることを特徴とするゼリー状体液漏出防止材。
【請求項2】 高吸水性粉体が微粉体からなり、ゼリーの中に5,000個以上/ml分散していることを特徴とする請求項1記載のゼリー状体液漏出防止材。
【請求項3】 高吸水性粉体が微粉体からなり、ゼリーの中に15,000個/ml〜30,000個/ml分散していることを特徴とする請求項1記載のゼリー状体液漏出防止材。
【請求項4】 高吸水性粉体が60〜200メッシュの粉体からなり、ゼリーの中に18,000個/ml〜25,000個/ml分散していることを特徴とする請求項1記載のゼリー状体液漏出防止材。
【請求項5】 ゼリーがエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、メタノール、エタノール、グリセリンの少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載のゼリー状体液漏出防止材。
【請求項6】 ゼリーはアルコール系を主成分とし、アクリル酸重合体、中和剤が含まれることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載のゼリー状体液漏出防止材。
【請求項7】 アルコール系主成分100重量部に対し、アクリル酸重合体が0.01〜1.0重量部、中和剤が0.03〜0.7重量部含まれることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか記載のゼリー状体液漏出防止材。
【請求項8】 ゼリー状体液漏出防止材の粘度が8,000〜40,000CPであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか記載のゼリー状体液漏出防止材。
【請求項9】 ゼリー状体液漏出防止材のPHが7〜9であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか記載のゼリー状体液漏出防止材。
【請求項10】 該体液漏出防止材に薬液が含まれることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか記載のゼリー状体液漏出防止材。
【請求項11】 請求項1ないし10のいずれか記載のゼリー状体液漏出防止材を注入シリンダに入れ、注入シリンダの先端に取り付けた注入管の先端を体腔に投入し、注入シリンダ内のゼリー状体液漏出防止材を注入管を介して、体腔の所定位置に投入し、ゼリー状体液漏出防止材が体液を吸収することで体液漏出を防止することを特徴とする体液漏出防止方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遺体からの体液漏出を防止するために、遺体の体腔に装填される体液漏出防止材及びその体液漏出防止材を使用した体液漏出防止方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】人体は、死亡後に胃液、肺液、腹水、排泄物などの体液を漏出させることがある。このため、例えば病院では、死亡確認後、遺体の口、鼻、耳、肛門、女性の膣等の体腔にガーゼ、脱脂綿等を装填し、体液の漏出を防ぐことが行なわれている。また、事故や手術後の遺体の開口部にも同様な処置がとられている。
【0003】ガーゼ、脱脂綿等に代えて高吸水性の樹脂粉末を口、鼻、耳、咽喉などに装填することが知られている。例えば、特開平7−265367号公報では、安定化二酸化塩素を含む吸水性樹脂粉末を咽喉には粉末のまま、耳孔、鼻孔には水溶性シートに包んで使用することが知られている。また、特開平10−298001号公報のように、注射器を使って口、鼻、耳に高吸水性樹脂粉末を装填することが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般的に行なわれている遺体の口鼻、耳等の体腔にガーゼ、脱脂綿等を装填する方法では、漏出体液が多い場合には、ガーゼ、脱脂綿等では不十分であって体外に漏れ出たりしている。漏出した体液の処理時に病原菌に感染する恐れがあり、作業者からは嫌われている。また新しいガーゼ、脱脂綿等と交換する必要があり、煩わしいだけでなく、遺体体液を介して病原菌が感染する危険性があり、交換時にはその周辺に漏出体液の悪臭が残るなどの問題がある。
【0005】特開平7−265367号公報のように咽喉部に高吸水性樹脂粉末を装填しようとしても、装填するための手段がなくては、狭い間隔の体腔例えば咽喉部、肛門等では装填することが困難である。
【0006】特開平10−298001号公報では、出来るだけ流動性を確保するために、高吸収ポリマの微粉末を使用することを述べている。しかし、鼻孔や耳孔の入口部分に入れるのであれば、この公報のように微粉末を注射器のようなシリンダで投入しても充填できるが、奥までは充填できない。特に、奥まで充填するために、急速にシリンダを動かすと、先端から出る微粉末が飛び散るだけで、かえって遺体周辺を汚すだけである。
【0007】即ち、特開平7−265367号公報や特開平10−298001号公報のように粉末をそのまま遺体に充填する方法では、粉末を押圧しても粉末自体の密度が上がるだけで、充填器内をスムーズに流れないので、シリンダを使用しても充填することが困難である。また、飛び出る粉末が拡散するので、粉末を固めて栓をしたい所に粉末を留めることが困難であり、場合によっては、遺体外に出て遺体周辺を汚す恐れがある。さらに、粉末をそのまま遺体に装填する場合には、体液の少ない遺体に対しては微粉末がこぼれ出たり、又はゲルが溶けて漏れ出る可能性がある。
【0008】特に、粉末としては、体液を吸収して膨潤することに主眼が置かれ、各種の樹脂粉末の開発が行なわれている。いずれも親水性樹脂粉末であり、この種の樹脂粉末は体液を吸収して膨潤してゲル化する機能は優れている。しかし、この種の樹脂粉末は吸収量が多いとゾル状になり、更に進むと溶けるものが多い。また、体液が、胃酸などの強酸性体液や胆汁などのアルカリ性体液を含んでいると、ゲル状態を維持できないものが多い。
【0009】また、粉体でなく、ゼリーを用いるものとして、特開平08−133901号公報のものが知られている。この公報では、消臭剤入りの粉末ポリマーを適当量の水で溶かし適当に混合してゼリーにし、遺体の鼻腔の奥、口腔の奥、耳穴の奥に注入器等で圧入し充満させ、ゼリーで止血し、その外側に更に衛生綿で栓をするものである。
【0010】この公報のものでは、ゼリーに消臭剤を混合して異臭を防止するようにし、ゼリー自体で栓をすることを狙いとしている。その上、ゼリーだけでは封止が十分でないので、衛生綿等で更に封止するようにしている。この公報のように、粉末ポリマーを水に溶かしてゼリー状にすれば、流動性が良くなるので、鼻孔等の奥にも注入しやすく、注入器を使って注入しても、粉体のように飛散することも無く、注入管を伝って滑らかに注入できる。しかし、既に水に溶かしているために、本来ポリマーが有する給水性能はほとんどなくなっている。したがって、ゼリーは鼻孔の隙間を埋める栓としての機能でしか使われなく、鼻孔を十分に封止することができない。
【0011】粉体では鼻孔等の体腔に充填しにくい、ゼリーでは吸水性能が不足し、体腔を封止できない。そのために、実際の現場では、相変わらずガーゼや脱脂綿で応急処置しているだけであり、ガーゼや脱脂綿に代わる体液漏出防止技術の実現が強く望まれている。
【0012】本発明の第1の目的は、今までの樹脂粉末では遺体の体液漏出を防止できないので、新規な体液漏出防止材を開発したことを特徴とする。特に、ゼリーでありながら高い吸水性を有する体液漏出防止材を開発したことを特徴とする。
【0013】第2の目的は、ポリマーが粉体の状態でゼリーの中に分散しているゼリー状の体液漏出防止材を使用して、体腔を封止することを特徴とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、遺体の体腔に装填される体液漏出防止材が、ゼリ−の中に高吸水性粉体が多数分散してなるので、体液漏出防止材の流動性が高く、鼻孔、耳穴等の狭い体腔であっても充填されやすく、注入器で圧入しても飛散することがない。その上ゼリーにポリマーが分散しているので、ポリマーが吸水性能を維持しており、このポリマーが体腔から漏出する体液を吸収し、外部へ漏出することを防止する。
【0015】請求項2の発明は、請求項1記載のゼリー状体液漏出防止材において、高吸水性粉体が微粉体からなり、ゼリーの中に5,000個以上/ml分散している構成であり、体液漏出防止材の流動性を確保しつつ、吸水性を確保できるので、体腔を確実に封止できる。
【0016】請求項3の発明は、請求項1記載のゼリー状体液漏出防止材において、高吸水性粉体が微粉体からなり、ゼリーの中に15,000個/ml〜30,000個/ml分散している構成であり、体液漏出防止材の流動性を確保しつつ、吸水性を確保できるので、体腔を更に確実に封止できる。
【0017】請求項4の発明は、請求項1記載のゼリー状体液漏出防止材において、高吸水性粉体が60〜200メッシュの粉体からなり、ゼリーの中に18,000個/ml〜25,000個/ml分散している構成であり、体液漏出防止材の流動性を確保しつつ、吸水性を確保できるので、体腔封止機能が非常に高い。
【0018】請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれか記載のゼリー状体液漏出防止材において、ゼリーがエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、メタノール、エタノール、グリセリンの少なくとも1種からなる構成であり、ゼリー状の中に粉体を分散して保持できる。
【0019】請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれか記載のゼリー状体液漏出防止材において、ゼリーはグリコール系を主成分とし、アクリル酸重合体、中和剤が含まれる構成であり、粉体の吸水性を維持した状態でゼリー状の中に分散して保持できる。
【0020】請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれか記載のゼリー状体液漏出防止材において、アルコール系主成分100重量部に対し、アクリル酸重合体が0.01〜1.0重量部、中和剤が0.03〜0.7重量部含まれる構成であり、粉体の吸水性を維持した状態でゼリー状の中に分散して保持できる機能に優れている。
【0021】請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれか記載のゼリー状体液漏出防止材において、ゼリー状体液漏出防止材の粘度が8,000〜40,000CPである構成であり、ゼリーの流動性が良いので、耳孔、鼻孔、肛門、女性の膣・尿道などの狭い体腔通路もスムーズに投入でき、適確に封止できる。
【0022】請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれか記載のゼリー状体液漏出防止材において、ゼリー状体液漏出防止材のPHが7〜9である構成であり、粉体の吸水性を維持した状態でゼリー状の中に分散して保持でき、体液漏出防止機能に優れている。
【0023】請求項10の発明は、請求項1ないし9のいずれか記載のゼリー状体液漏出防止材において、該体液漏出防止材に薬液が含まれる構成であり、異臭を吸収したり、作業中に作業者が病原菌に感染することを防止できる。
【0024】請求項11の発明は、請求項1ないし10のいずれか記載のゼリー状体液漏出防止材を注入シリンダに入れ、注入シリンダの先端に取り付けた注入管の先端を体腔に投入し、注入シリンダ内のゼリー状体液漏出防止材を、注入管を介して体腔の所定位置に投入し、ゼリー状体液漏出防止材が体液を吸収することで体液漏出を防止する方法であり、滑らかに体腔に体液漏出防止材を装填でき、かつ漏出する体液を十分に吸収できる。また、体腔に注入する際に、ゼリーが飛散しないし、漏出もしないので周辺を汚す恐れもない。
【0025】本発明で使用する高吸水性ポリマーは、ゼリー中に粉体で分散混在しているが、体液を吸収して確実に漏出を防止するためには、ゼリーの中に5,000個以上/ml分散していることが好ましい。特に、高吸水性ポリマーが微粉体からなり、ゼリーの中に15,000個/ml〜30,000個/ml分散していることが更に好ましい。その上更に、高吸水性粉体が60〜200メッシュの粉体からなり、ゼリーの中に18,000個/ml〜25,000個/ml分散していると体液漏出効果が非常に高い。
【0026】本発明で使用するゼリーの粘液基材としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、メタノール、エタノール、グリセリンの中から選ばれた少なくとも一種を用いることが好ましい。特に、グリコール系はアクリル酸系ポリマーを粉体の状態で分散して保持している状態が安定しており、好ましい。エチレングリコールが取り扱いが容易であって、半年以上放置しても、内部に分散している微粉体が溶けることなく、長期間安定して粉体の状態を維持することができた。
【0027】ゼリーとしては、粘液基材としてのアルコール系主成分100重量部に対し、アクリル酸重合体が0.01〜1.0重量部、中和剤が0.03〜0.7重量部含まれることが好ましい。特に、アクリル酸は、安定したゼリーを生成するために必要であり、0.01重量部未満では粘度が不足する。一方1.0重量部より多くなると、粘度が飽和点に達し、それ以上は多くしても粘度は上がらない。
【0028】中和剤はゼリーのPHを適正な値に維持するために必要であり、0.03重量部未満では、PHが下がり、その結果ゼリーの粘性が不足し、粘度の有効な範囲を外れる。一方、0.7重量部より多くなると、ゼリーの粘性が安定しなくなり、調整が困難となる。
【0029】ゼリー状体液漏出防止材の粘度は8,000〜40,000CPであることが好ましい。この値よりも粘度が低いとさらさらとなり、体腔には入りやすいが、所定位置に留まることがなく、封止効果が期待できない。一方、40,000CPよりも多すぎると粘性が高すぎて、体腔に注入することが難しくなる。
【0030】ゼリー状体液漏出防止材のPHは7〜9に調整することが好ましい。PHが7よりも少なくなると、ゼリーの粘性が不足し、粘度の有効な範囲を外れる。一方PHが9より高くなると、粘度が変動して不安定となり、体腔に注入することが難しくなるので、好ましくない。PHはゼリーの粘度を適正な値にするバロメーターとして使われる。
【0031】該体液漏出防止材には、二酸化安定塩素、消臭剤、殺菌剤、防腐剤等の薬液を添加しても良い。
【0032】本発明に係わるゼリー状体液漏出防止材の製造方法を説明する。攪拌機に粘液基材であるエチレングリコールを入れる。このエチレングリコールを攪拌しながら、アクリル酸重合体を少量づつ加えていく。2〜8時間攪拌して、分散液を生成する。この分散液を攪拌しながら、中和剤を少量づつ滴下していく。これにより、ゼリーが生成される。このゼリーにゲル粉末である高吸水性ポリマーを加え、十分に攪拌する。これにより、ポリマーが分散したゼリーが生成される。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1により、本発明に係わるゼリー状体液漏出防止材を鼻孔奥の咽喉部に充填する場合の充填方法を説明する。ゼリー状の体液漏出防止材8を注入器1に入れる。注入器1は、その先端に保護キャップ3を被せた注入口2を備え、フイルムパック(図示せず)で包んでシールした状態にしておく。それと、咽喉部B等の体腔に挿入される挿入管4を用意しておく。挿入管4は、一端に注入器1の注入口2に接続される接続部5を有し、他端に鼻孔Aに挿入される開口部6を有する。挿入管4は挿入しやすいように先端が先細に形成され、開口部6を挿入方向及び側方に開口している。
【0034】図1は、このようにして用意された体液漏出防止装置を遺体に使用する状態を示す。Aは鼻孔、Bは咽喉部、Cは舌、Dは気管、Eは食道、Fは頚椎である。使用時には、フイルムパックから注入器1を取り出し、注入器1の注入口2の保護キャップ3を取り外し、代わりに挿入管4の接続部5を被せて接続する。挿入管4の開口部6を鼻孔Aから咽喉部Bに向けて挿入し、挿入管4のストッパ部7が鼻先Bに当たった時点で挿入を中止する。そして、注入器1のピストン1aを押圧し、注入器1内のゼリー状の体液漏出防止材8を挿入管4を経由して咽喉部Bに注入する。挿入管4の開口部6は挿入方向先端だけでなく、側面にも開口しているので、一部開口部が詰まっても咽喉部Bに導入される。注入器1内の体液漏出防止材8を押出した後は、注入器1と挿入管4を鼻孔Aから取り除く。
【0035】この実施例では、複数の開口部6から咽喉部Bに集中的に体液漏出防止材8が流し込まれる。特に、ゼリーの状態で流し込まれるので流動性が非常によく、軽い力で滑らかに充填できる。粉末のように拡散して鼻孔Aから飛び出たりすることがなく、この体液漏出防止材8が咽喉部Bに留まり、咽喉部Bが封止される。本発明のゼリーは、粉体と違って非常に流動性があるので、鼻奥の咽喉部でも細い挿入管4を介して必要部位に投入でき、耳孔の奥、肛門、女性の膣などにも楽に充填でき、体液の漏出を封止できる。また、充填時の音が比較的静かであり、作業者は周囲の人たちを気にせずに作業できる。
【0036】挿入抵抗を軽減するために、挿入管4に潤滑剤を塗布しても良い。挿入管4と注入器1とを接続して鼻孔Aに挿入したが、挿入管4を先に鼻孔Aに挿入し、それから挿入管4に注入器1を接続しても良い。注入器と挿入管とをいっしょにフイルムパックで包んでも良い。注入器と挿入管は初めから接続されたものでも、または一体に作られたものでも良い。ストッパの代わりにマークを付与したものでも、挿入位置のばらつきを防止できる。
【0037】図2は第2実施例を示す。第1実施例と同様な体液漏出防止材8が充填された注入器を肛門に挿入される肛門封止部材10に使用する実施例である。肛門封止部材10は、射出成形樹脂材からなり、芯部材11、案内部材13及びストッパ部材16を備えている。芯部材11が中空の円筒形状であって、内部に前後方向に貫通する中空部12が形成されている。案内部材13は内部に中空部が形成され、この中空部を囲む筒部14が長手方向後方に延びて設けられている。筒部14の前方は挿入時の案内部15として曲線状に先細に形成されており、筒部14の外周に間隙17を開けて延長部18が前方から長手方向後方かつ外方に延びるように設けられている。芯部材11の前部が間隙17に挿入されるように、芯部材11の中空部12に案内部材13の筒部14が挿入嵌合される。ストッパ部材16の前部には、芯部材11の中空部12に嵌合される筒部19が設けられ、ストッパ部材16の後部には、幅広のフランジ形状の当て部材20が一体に形成されている。芯部材11の中空部12と案内部材13の筒部14、芯部材11の中空部12とストッパ部材16の筒部19との間には、互いに嵌り合う凸部21と凹部22が形成されている。
【0038】芯部材11を包むように巻かれるゴム部材23が上記凸部21と上記凹部22で挟持されるようになっている。筒部14の外径が先端方向に向けて幅広になるようにテーパーになっており、芯部材11の前部の内径も同様にテーパ−になっている。また、筒部19の外径は当て部材20方向に向けて幅広になるようにテーパーになっており、芯部材11の後部の内径も同様にテーパ−になっている。このテーパーによりゴム部材23が巻き込まれた時にゴム部材23のたるみが少なくなるようになっている。
【0039】芯部材11の外周に、小径の段部24が設けられ、そこに4つのスリット孔25が形成されている。この段部24にゴム製のバンド26が巻かれている。バンド26はスリット孔25を閉めるように、段部24の外径より少し小径のものが伸ばされて巻かれている。
【0040】ストッパ部材16の筒部19の内部には導入通路27が貫通して形成されている。当て部材20は筒部19の途中から略直行する方向に滑らかな曲線で延びて、先端が楕円形状になるように設けられている。当て部材20の外周、即ち肛門周辺の皮膚と接触する面に接触面材28が貼り付けてある。接触面材28としては、スポンジ、フェルト、吸収剤層、ゲル剤層、接着剤層、接着テープ等が用いられる。当て部材20の内周には、筒部19の先端を覆うようにカバー部材29が貼り付けられている。このカバー部材29の中央部、即ちストッパ部材16の筒部19の先端に対面する部分には、十字形状の切込み30またはスリットが開けられており、注入器(図示せず)を筒部19の先端にセットする時には、妨げにならず、通常は筒部19の先端を隠すようになっており、見栄えを良くしている。
【0041】可撓性部材として膨張するゴム部材23が、芯部材11の外周に調整室31を設けて芯部材11に被せられている。ゴム部材23は両方が開口した筒状部材であって、一方の開口部分が芯部材11の中空部12とストッパ部材16の筒部19との間で挟持され、他方の開口部分が芯部材11の中空部12と案内部材13の筒部14との間で挟持される。
【0042】したがって、芯部材11の中空部12とストッパ部材16の導入通路27との連通がゴム部材23で塞がれることが無い。なお、この実施例では、筒状のゴム部材で説明したが、袋状のゴム部材いわゆるゴム風船であってもよい。
【0043】この実施例では、互いに嵌り合う凸部21と凹部22は周方向には数個設けられているが、適当な数設ければよいものである。凸部21と凹部22は1列であるが、複数列にしても良く、凸部と凹部は反対に設けても良い。この実施例では4箇所にスリット孔25を設けているが、これに限られるものではなく、1個でもよく、又5個以上でも良い。また、スリット孔に限らず、機能を満足する連通孔であれば他の形状でも良い。これらの芯部材11、案内部材13及びストッパ部材16は射出成形樹脂材からなるので、安定した形状を量産でき、さらに、遺体といっしょに焼却する時でも有害成分の発生問題はない。
【0044】作業時は、肛門封止部材10を肛門に押し込み、当て部材20の接触面材28が肛門周辺皮膚に当たるまで挿入する。その後、切込み30から注入器(図示せず)を筒部19の先端にセットし、注入器のピストンを押し込む。これにより、注入器内部の体液漏出防止材が導入通路27、芯部材11の中空部12、スリット孔25を通って、ゴム製バンド26を押し広げて調整室31に導入される。それによって、ゴム部材23が膨張し、体腔内壁に密着するようになる。
【0045】図1では鼻孔から導入し、咽喉部を封止する実施例で本発明を説明したが、遺体の口腔、鼻孔そのもの、耳孔、尿道、肛門、女性の膣に適用しても良い。また、事故や手術後の遺体の傷口や開口部分にも適用しても良い。
【0046】図示しないが、ゼリー状の体液漏出防止材8が水溶性フイルムに包まれて用意されているか、あるいはゼリー状の体液漏出防止材8を包むものが先端から滑らかな形状で膨らんで、その後後方に向けて滑らかに小径になったカプセル形状に形成され、その表面に潤滑剤が塗布されて用意されていることも可能である。特に肛門、女性の膣・尿道に対しては、座薬を挿入する感覚で装填でき、作業も比較的楽である。
【0047】
【発明の効果】本発明では、内部に粉体が分散したゼリー状の体液漏出防止材であるので、この体液漏出防止材は流動性があり、滑らかに体腔内に注入でき、必要部位に集中的に充填し留めることができる。それと同時に体液漏出防止材内部に粉体を分散保持しているので、この粉体により、体内から出てくる体液を吸収でき、体液が体外に漏出することを防止できる。
【出願人】 【識別番号】500329906
【氏名又は名称】西原 梨沙
【出願日】 平成13年3月19日(2001.3.19)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘 (外7名)
【公開番号】 特開2002−275001(P2002−275001A)
【公開日】 平成14年9月25日(2002.9.25)
【出願番号】 特願2001−78131(P2001−78131)