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【発明の名称】 農作物用低温耐性向上剤
【発明者】 【氏名】鈴木 忠幸

【氏名】林 利夫

【氏名】栗田 和彦

【氏名】亀井 昌敏

【要約】 【課題】種々の農作物に顕著な低温耐性向上効果を示す農作物用低温耐性向上剤を提供する。

【解決手段】1)一般式1−1のアルコール、2)一般式2−1のエーテル化合物、3)一般式3−1の脂肪酸又はそのエステル化合物、4)2以上の官能基を有する有機酸の官能基の1以上にC1〜30の基が結合した有機酸誘導体及び5)グリセリン誘導体からなる農作物用低温耐性向上剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記(1)〜(5)から選ばれる一種以上の化合物(A)からなる農作物用低温耐性向上剤。
(1)下記一般式(1−1)で表される化合物【化1】

〔式中、R11は炭素数10〜22の炭化水素基、R12は水素原子、水酸基又は炭素数1〜24の炭化水素基、R13は水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基を表す。〕
(2)下記一般式(2−1)で表される化合物R21−O−(AO)m−R22 (2−1)
〔式中、R21は水酸基を1つ以上有していてもよい炭素数12〜24の炭化水素基、R22は水素原子又は水酸基を1つ以上有していてもよい炭素数1〜24の炭化水素基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、mは、アルキレンオキサイドの平均付加モル数であり、0〜5の数を表す(但し、mが0の場合はR22は水素原子ではない。)。〕
(3)下記一般式(3−1)で表される化合物R31−COO−(AO)n−R32 (3−1)
〔式中、R31は水酸基を1つ以上有していてもよい炭素数11〜29の炭化水素基、R32は水素原子、水酸基を1つ以上有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、−COR33(R33は炭素数11〜23の炭化水素基)又は対イオン、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは、アルキレンオキサイドの平均付加モル数であり、0〜5の数を表す。〕
(4)少なくとも2つの官能基を有する有機酸の前記官能基の少なくとも1つに1〜30の炭素原子を含む基が結合した有機酸誘導体(5)グリセリン誘導体【請求項2】 一般式(1−1)で表される化合物が、炭素数12〜24の1価アルコールである請求項1記載の農作物用低温耐性向上剤。
【請求項3】 更に、前記(1)〜(5)の化合物以外の界面活性剤(B)、キレート剤(C)及び肥料(D)の少なくとも1つを含有する請求項1又は2記載の農作物用低温耐性向上剤。
【請求項4】 請求項1〜3の何れか1項記載の農作物用低温耐性向上剤を農作物に供給することからなる農作物の低温耐性向上方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農作物用低温耐性向上剤に関する。
【0002】
【従来の技術】農作物は、栽培中の温度、水分等、環境の変化や、各種薬剤の添加等により、種々のストレスを受ける。一般に、農作物には適正な生育温度があり、その範囲を外れた場合、とりわけ低温領域への温度変化や、降雪、降霜などの低温ストレスは農作物にとって大きなストレスとなる。
【0003】農作物にはこのような低温ストレスに対してある程度の耐性があるが、その耐性を超えた低温ストレスが与えられると、農作物は死滅ないし病害を受け、甚大な被害(冷害、霜害、凍害等)が生じる。このため、ビニールハウス等の温室栽培により温度管理を行ったり、品種改良で低温ストレスに対する耐性を向上させたりして低温ストレスに対抗しているが、何れも簡易な方法であるとは言い難く、その改善策が望まれている。特開昭57−26608号には水溶性縮合リン酸塩の水溶液からなる耐寒性向上剤が開示されているが、その効果は十分でない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、種々の農作物に対して顕著な低温耐性向上効果を示す農作物用低温耐性向上剤を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(1)〜(5)から選ばれる一種以上の化合物(A)〔以下、(A)成分という〕からなる農作物用低温耐性向上剤に関する。
(1)下記一般式(1−1)で表される化合物〔以下、(A1)成分という〕
【0006】
【化2】

【0007】〔式中、R11は炭素数10〜22の炭化水素基、R12は水素原子、水酸基又は炭素数1〜24の炭化水素基、R13は水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基を表す。〕
(2)下記一般式(2−1)で表される化合物〔以下、(A2)成分という〕
21−O−(AO)m−R22 (2−1)
〔式中、R21は水酸基を1つ以上有していてもよい炭素数12〜24の炭化水素基、R22は水素原子又は水酸基を1つ以上有していてもよい炭素数1〜24の炭化水素基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、mは、アルキレンオキサイドの平均付加モル数であり、0〜5の数を表す(但し、mが0の場合はR22は水素原子ではない。)。〕
(3)下記一般式(3−1)で表される化合物〔以下、(A3)成分という〕
31−COO−(AO)n−R32 (3−1)
〔式中、R31は水酸基を1つ以上有していてもよい炭素数11〜29の炭化水素基、R32は水素原子、水酸基を1つ以上有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、−COR33(R33は炭素数11〜23の炭化水素基)又は対イオン、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは、アルキレンオキサイドの平均付加モル数であり、0〜5の数を表す。〕
(4)少なくとも2つの官能基を有する有機酸の前記官能基の少なくとも1つに1〜30の炭素原子を含む基が結合した有機酸誘導体〔以下、(A4)成分という〕
(5)グリセリン誘導体〔以下、(A5)成分という〕。
【0008】また、本発明は、上記本発明の農作物用低温耐性向上剤を農作物に供給することからなる農作物の低温耐性向上方法に関する。
【0009】本発明において「農作物」とは、栽培の目的や肥培管理の程度の如何を問わず、人が栽培している植物を総称するものであり、普通に田畑で栽培される作物の他、庭園樹、花卉、芝生、街路樹等も含み、また肥培の殆ど行われない山林樹木も含まれる。
【0010】また、「低温耐性」とは、低温によりもたらされる生物的ストレス、非生物的ストレス、生物的・非生物的複合ストレスに対する耐性である。耐性とは、ストレス下で農作物が軽度又は無害のままで生存する能力であり、不適な環境に遭遇した場合に組織体が生育したり、生長したり、生存したりする相対的受容力を言う。本発明では特に低温によりもたらされるストレスに対する耐性を意味する。なお、本発明では、耐性には抵抗性も含まれる。具体的な低温耐性としては、耐冷性、耐寒性、耐凍性、耐氷性、耐雪性、耐霜性、耐冬性、冬季乾燥耐性、雪腐病抵抗性、越冬性などが挙げられ、本発明の農作物用低温耐性向上剤は、これらの低温耐性の向上を目的として農作物に供給されるものである。
【0011】耐冷性(chilling tolerance(resistance))は、広義には水稲・マメ類などの冷温に対する耐性を意味している。しかし、耐冷性品種といえば、減数分裂期ごろの冷温による不稔障害の発生しにくい品種、つまり障害型冷害抵抗性品種を指すことが多い。また、イネの障害型冷害は主に花粉の形成・発達が低温によって阻害されることにより生じる。この時期(穂ばらみ期(豆類は蕾期))における低温耐性は、特に穂ばらみ期耐冷性(chilling tolerance at booting(bud)stage)と呼ばれる。また、充実花粉が正常に形成されても、開花期に低温に遭遇すると受精が阻害され、不稔が生ずる。これに対する耐性は特に開花期耐冷性(chilling tolerance at flowering stage)と呼ばれる。また、イネの直播栽培では、低温下における発芽直後の生育の良否がその後の生育に大きな影響を及ぼす。この初期生育時期の耐冷性は、特に初期耐冷性(幼苗期耐冷性)(chilling tolerance at seedling stage)と呼ばれる。
【0012】耐寒性(cold tolerance(resistance))は、作物体が凍結する寒さに対して生存できる性質をいう。広義には耐雪性、耐霜性を含むが、狭義には耐凍性を指す。植物や昆虫などが低温下で生き残るためには、細胞内を過冷却できる能力が高くて凍結が起こりにくいか、または細胞外凍結の状態が続いても被害を受けない耐性が必要である。
【0013】耐凍性(freezing tolerance(resistance))は、耐寒性に包含される性質で、植物体が氷点下の低温による凍結に耐える性質をいう。少雪地帯の厳寒地において特に重要であるが、北海道やカナダなどの多雪地帯でも根雪前に植物は凍結温度に曝されるので、秋播コムギや多年生牧草などは耐凍性が重要である。
【0014】耐霜性(frost tolerance(resistance))は、初霜や晩霜時の低温(−1℃〜−3℃)に対する作物の耐性をいい、作物体の凍結が起こるような低温への抵抗性をいう点では耐寒性と同じである。とくに、夏作物では幼苗期の低温によって茎葉に障害を受けたり、秋期の低温によって登熟障害を受ける。
【0015】耐氷性(encasting tolerance(resistance))は、寒地において、本格的な低温降雪前の降雨や春先の融雪期の降雨により冠水し、その後の気温の急激な低下により作物が冠水して窒息したり、組織が破壊されることがあり、これに対する耐性をいう。
【0016】冬季乾燥耐性(winter drought tolerance(resistance))は、作物が冬季の凍結・強風などによる水分欠乏に耐える性質をいう。一般には水分欠乏を起こさないための機能や構造を備えている場合(気孔の開閉や根系の発達など)と、水欠乏による障害あるいは再び吸水した時の障害に対する抵抗性の両者を含み、耐凍性と密接な関連がある。
【0017】雪腐病抵抗性(snow mold resistance(tolerance))は、冬季積雪下で作物に寄生・加害する各種の雪腐病菌によって発生する雪腐病抵抗性をいう。雪腐病害が積雪条件で目立つことから、耐雪性を雪腐病抵抗性と同義語的に使う場合もあるが、厳密にはこれらは異なる性質である。
【0018】耐雪性(snow tolerance(resistance,endurance))は、越年生作物が積雪下で越冬する能力の強さをいう。厳寒地でも積雪が50cm以上にもなると温度は0℃程度で暗黒状態となり、光合成ができなくなり、貯蔵養分を消耗する。その結果耐凍性、雪腐病抵抗性が低下するとともに、融雪時の湿害等の生理的障害を受けやすくなる。さらに、果樹などが豪雪に見舞われると機械的雪害が生じる。これらの雪に関わる複合的なストレスに対して耐える性質をいう。
【0019】耐冬性(winter hardiness)は、冬季に起こるストレス全体に耐える性質である。越年生作物は低温(耐寒性(耐凍性を含む))、積雪(耐雪性)及び病害(雪腐病抵抗性)など冬季低温環境下で起こる種々のストレスを受けるが、これら個々のストレスが作物に与える影響は区別しにくいため、冬季に起こるストレス全体に耐える性質を総称して耐冬性という。
【0020】越冬性(winter survival)は、耐冬性に加え、冬枯れの被害を回復する能力、萌芽力まで含めた性質をいい、越冬後の枯死程度、葉枯程度、その後の再生状況などにより判定する。
【0021】
【発明の実施の形態】<(A)成分>(A1)成分一般式(1−1)において、R11、R12、R13の炭化水素基は、それぞれ飽和、不飽和の何れでも良く、好ましくは飽和であり、また直鎖、分岐鎖、環状の何れでも良く、好ましくは直鎖又は分岐鎖、特に好ましくは直鎖である。また、炭化水素基の総炭素数は奇数でも偶数でもよいが、偶数が好ましい。
【0022】また、R11、R12、R13の炭素数の合計は、何れも50以下が好ましく、より好ましくは12〜48、更に好ましくは16〜44である。
【0023】一般式(1−1)において、R11の炭素数は14〜22が好ましく、より好ましくは14〜20、更に好ましくは14〜18である。また、一般式(1−1)で表される化合物は、総炭素数が12〜48、更に16〜28、特に16〜24であることが好ましい。更に、総炭素数が12〜24で水酸基を1個有するものが好ましく、特に総炭素数が16〜22で水酸基を1個有するものが好ましい。一般式(1−1)で表される化合物の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
【0024】(A1−1)CH3(CH2)o-1OH(oは12〜24、好ましくは16〜24、更に好ましくは16〜20の整数)で表される1−アルカノールが挙げられる。すなわち、一般式(1−1)で表される化合物として、炭素数12〜24の1価アルコールが挙げられる。具体的には、1−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、1−ノナデカノール、1−イコサノール、1−ヘンイコサノール、1−ドコサノール、1−トリコサノール、1−テトラコサノールが挙げられる。
【0025】(A1−2)CH3CH(OH)(CH2)p-3CH3(pは12〜24、好ましくは16〜24、更に好ましくは16〜20の整数)で表される2−アルカノールが挙げられる。具体的には、2−ドデカノール、2−トリデカノール、2−テトラデカノール、2−ペンタデカノール、2−ヘキサデカノール、2−ヘプタデカノール、2−オクタデカノール、2−ノナデカノール、2−イコサノール等が挙げられる。
【0026】(A1−3)CH2=CH(CH2)q-2OH(qは12〜24、好ましくは16〜24、更に好ましくは16〜20の整数)で表される末端不飽和アルコールが挙げられる。具体的には、11−ドデセン−1−オール、12−トリデセン−1−オール、15−ヘキサデセン−1−オール等が挙げられる。
【0027】(A1−4)その他の不飽和長鎖アルコールとして、オレイルアルコール、エライジルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、エレオステアリルアルコール(α又はβ)、リシノイルアルコール等が挙げられる。
【0028】(A1−5)HOCH2CH(OH)(CH2)r-2H(rは12〜24、好ましくは16〜24、更に好ましくは16〜20の整数)で表される1,2−ジオールが挙げられる。具体的には、1,2−ドデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール等が挙げられる。
【0029】上記(A1−1)〜(A1−5)のうち、(A1−1)、(A1−2)、(A1−4)、(A1−5)が好ましく、(A1−1)、(A1−2)、(A1−4)がより好ましく、(A1−1)、(A1−4)が更に好ましく、(A1−1)が特に好ましい。
【0030】(A2)成分(A2)成分の一般式(2−1)において、R21、R22の炭化水素基は、それぞれ飽和、不飽和の何れでも良く、好ましくは飽和であり、また直鎖、分岐鎖、環状の何れでも良く、好ましくは直鎖又は分岐鎖、特に好ましくは直鎖である。また、R21、R22の炭化水素基は、水酸基を1つ以上有していてもよい。また、R21、R22の炭素数の合計は、50以下が好ましく、より好ましくは12〜48、更に好ましくは16〜44である。また、一般式(2−1)で表される化合物は、総炭素数が13〜48、更に24〜48、特に32〜40であることが好ましい。一般式(2−1)中のAOは、オキシエチレン基、オキシプロプレン基及びオキシブチレン基から選ばれる1つ以上の基が好ましく、m個のAOは同一でも異なっていても良く、ランダム、ブロックいずれでも良い。一般式(2−1)で表される化合物の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。中でも、(A2−1)の化合物が好ましい。
【0031】(A2−1)CH3(CH2)s-1−O−(CH2)s-1CH3(sは12〜24、好ましくは16〜24、更に好ましくは16〜20の整数)で表されるジ−n−アルキルエーテルが挙げられる。具体的には、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル等が挙げられる。
【0032】(A2−2)CH2=CH−OR3a(R3aは炭素数12〜24、好ましくは16〜24のアルキル基又はアルケニル基)で表されるビニルエーテルが挙げられる。具体的には、ビニルラウリルエーテル、ビニルミリスチルエーテル、ビニルセチルエーテル、ビニルステアリルエーテル、ビニルオレイルエーテル、ビニルリノレイルエーテル等が挙げられる。
【0033】また、一般式(2−1)の化合物が親水基と疎水基を持つ場合、グリフィンのHLBが10未満、さらに8以下、より更に7以下、特に5以下が好ましい。このグリフィンの式は、HLB=(親水基部分の分子量/界面活性剤の分子量)×(100/5)で表されるものである(「新・界面活性剤入門」三洋化成工業株式会社、昭和60年11月1日発行、第128頁)。
【0034】(A3)成分(A3)成分の一般式(3−1)において、R31、R32の炭化水素基は、それぞれ飽和、不飽和の何れでも良く、好ましくは飽和であり、また直鎖、分岐鎖、環状の何れでも良く、好ましくは直鎖又は分岐鎖、特に好ましくは直鎖である。また、R31、R32の炭素数の合計は、50以下が好ましく、より好ましくは12〜48、更に好ましくは16〜44である。
【0035】一般式(3−1)中のR31の炭化水素基は、水酸基を1つ以上有していてもよく、好ましくは炭素数11〜29、より好ましくは炭素数13〜21、更に好ましくは炭素数15〜19である。また、飽和、不飽和何れでも良く、好ましくは飽和であり、直鎖、分岐鎖、環状の何れでも良く、好ましくは直鎖、分岐鎖、さらに好ましくは直鎖である。R31の具体例は、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、ノナデシル基、ヘンイコシル基などのアルキル基;ペンタデセニル基、ヘプタデセニル基、ノナデセニル基などのアルケニル基である。好ましくは、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、ノナデシル基などのアルキル基;ペンタデセニル基、ヘプタデセニル基、ノナデセニル基などのアルケニル基である。特に好ましくは、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、ノナデシル基などのアルキル基である。
【0036】また、一般式(3−1)中のR32は、水素原子、水酸基を1つ以上有していてもよい炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜22の炭化水素基(好ましくはアルキル基又はアルケニル基)、−COR33(R33は炭素数11〜23の炭化水素基)又は対イオンである。R32の具体例は、ラウリル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アラキニル基、ベヘニル基などのアルキル基;ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、アラキドイル基、ベヘノイル基などのアシル基;テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オレイル基、コドイル基、ドコセニル基などのアルケニル基である。好ましくは、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アラキニル基などのアルキル基;パルミトイル基、ステアロイル基、アラキドイル基などのアシル基;ヘキサデセニル基、オレイル基、コドイル基などのアルケニル基である。特に好ましくは、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アラキニル基などのアルキル基である。対イオンとしての具体例は、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのアルキルアミン塩、エタノールアミンなどのアルカノールアミン塩の何れでも良く、好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属である。
【0037】一般式(3−1)中のAOは、オキシエチレン基、オキシプロプレン基及びオキシブチレン基から選ばれる1つ以上の基が好ましく、n個のAOは同一でも異なっていても良く、ランダム、ブロックいずれでも良い。
【0038】本発明では、農作物の低温耐性向上促進の観点から、一般式(3−1)のnが0〜5で、R31が炭素数13〜21のアルキル基又はアルケニル基で、R32が水素原子、炭素数1〜22のアルキル基もしくはアシル基、炭素数2〜22のアルケニル基又は対イオンのもの(但し、nが0でない場合は対イオンを除く)が好ましい。
【0039】また、一般式(3−1)の化合物が親水基と疎水基を持つ場合、前記したグリフィンのHLBが10未満、さらに8以下、より更に7以下、特に5以下が好ましい。
【0040】(A4)成分(A4)成分の官能基としては、カルボキシル基、水酸基、アミノ基等が挙げられ、有機酸は、少なくとも1つの水酸基を有することが好ましい。また、官能基に結合する基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキルアミノ基、オキシアルキレン基等が挙げられる。(A4)成分としては、下記一般式(4−1)で表される化合物が好ましい。
A−(B)a−C (4−1)
【0041】
【化3】

【0042】X、Y、Z:それぞれ独立して、水素原子又は対イオンR41、R44、R49:それぞれ独立して、炭素数1〜30の炭化水素基【0043】
【化4】

【0044】R42、R43、R46、R47、R48、R4a、R4b、R4c、R4d、R4e、R4f:それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基a:0又は1以上の数l、m、n、o、p、q、r、s、t:それぞれ独立して、0〜10の数u、v:それぞれ独立して、1〜50の数を示し、これらは分子中の官能基の少なくとも1つに1〜30の炭素原子を含む基が結合するように選択され、また、A、Cの両方が、−R44、−OH及び−OR45から選ばれる基である場合は、【0045】
【化5】

【0046】一般式(4−1)中のR41、R44、R49は、それぞれ炭素数1〜30の炭化水素基であり、R41とR49は、好ましくは炭素数12〜26、更に好ましくは炭素数14〜22の炭化水素基である。また、R44は好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基である。R41、R44、R49は、好ましくはアルキル基及びアルケニル基である。また、R41、R44、R49の炭化水素基、好ましくはアルキル基やアルケニル基は、飽和、不飽和の何れでも良く、好ましくは飽和であり、また、直鎖、分岐鎖、環状の何れでも良く、好ましくは直鎖、分岐鎖、さらに好ましくは直鎖である。R41、R44、R49の具体例としてはラウリル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基(炭素数20のアルキル基)、ベヘニル基(炭素数22のアルキル基)などのアルキル基;C14F1基(Cの次の数字は炭素数を、Fの次の数字は不飽和結合の数を意味する。以下同様。)、C16F1基、C18F1基、C20F1基、C22F1基などのアルケニル基が挙げられる。
【0047】また、一般式(4−1)中のR42、R43、R46、R47、R48、R4a、R4b、R4c、R4d、R4e、R4fは、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜30好ましくは12〜26、更に好ましくは14〜22の炭化水素基であり、好ましくは炭化水素基である。炭化水素基は好ましくはアルキル基及びアルケニル基である。炭化水素基、好ましくはアルキル基やアルケニル基は、飽和、不飽和の何れでも良く、好ましくは飽和であり、また、直鎖、分岐鎖、環状の何れでも良く、好ましくは直鎖、分岐鎖、さらに好ましくは直鎖である。
【0048】また、一般式(4−1)中のX、Y、Zは、それぞれ、水素原子又は対イオンであり、対イオンの具体例としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのアルキルアミン塩、エタノールアミンなどのアルカノールアミン塩などが挙げられる。好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属である。
【0049】また、一般式(4−1)中のaは、Bの総数であり、一般式(4−1)中のBが2つ以上存在する場合、すなわちa≧2の場合は、Bは、上記に定義される基のうち、同一又は異なる種類であってもよい。
【0050】(A4)成分を形成する有機酸は、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸などのヒドロキシカルボン酸が好ましく、さらに好ましくはクエン酸である。
【0051】(A4)成分が親水基と疎水基を持つ場合、前記したグリフィンのHLBが10未満のものが好ましく、さらに8以下が好ましく、特に5以下が好ましい。
【0052】(A5)成分(A5)成分のグリセリン誘導体としては、グリセリンと酸とのエステル(以下、グリセリンエステルという)、グリセリンと水酸基含有化合物とのエーテル(以下、グリセリンエーテルという)、グリセリンの縮合物もしくはその誘導体及びグリセリン酸もしくはその誘導体からなる群から選ばれるものが好ましい。
【0053】グリセリンエステルを構成する酸は有機酸、無機酸のいずれでもよい。有機酸としては、炭素数1〜30、好ましくは炭素数4〜30、より好ましくは炭素数12〜24の有機酸が挙げられる。また、無機酸としてはリン酸、硫酸、炭酸等が挙げられ、無機酸エステルでは塩となっていてもよい。グリセリンエステルとしては、グリセリンと有機酸とのエステル、すなわち、グリセリンと有機酸とのモノエステル、ジエステル、トリエステルが好ましい。グリセリン有機酸トリエステルとしては、合成されたトリエステルや、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物性油脂、ヤシ油、パーム油、パームステアリン油、ヒマシ油、ダイズ油、オリーブ油等の植物性油脂のような油脂を用いることができ、油脂が好ましい。
【0054】グリセリンエーテルを構成する水酸基含有化合物としては、炭素数1〜30、好ましくは炭素数4〜30、より好ましくは炭素数12〜24のアルコールが挙げられる。グリセリンエステルとしては、バチルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテル、ベヘニルグリセリルエーテル等のグリセリンモノアルキルエーテルが挙げられる。なお、ジエーテル、トリエーテルであってもよい。また、本発明のグリセリンエーテルには、グリセリンのアルキレンオキサイド(以下AOと表記する)付加物が含まれる。ここで、該付加物のAO平均付加モル数は1〜30、更に1〜10、特に1〜5が好ましい。更に、油脂とグリセリンの混合物のAO付加物を用いることもでき、該付加物のAO平均付加モル数は1〜30、更に1〜10、特に1〜5が好ましい。
【0055】グリセリンの縮合物もしくはその誘導体としては、下記一般式(5−1)で表されるポリグリセリンもしくはその誘導体が挙げられる。
【0056】
【化6】

【0057】〔式中、nは2〜50の数を示し、Rは水素原子又は炭素数2〜31のアシル基であり、Xは炭素数2〜4のアルキレン基であり、m1、m2及びm3は各々0〜30の数である。〕。
【0058】グリセリン酸は、グリセリンやグリセルアルデヒドの酸化等により得られる。本発明では、グリセリン酸エステル、グリセリン酸アミド等のグリセリン酸誘導体も使用できる。
【0059】なお、本発明のグリセリン誘導体が親水基と疎水基を持つ場合、前記したグリフィンのHLBが10未満のものが好ましく、さらに8以下が好ましく、特に5以下が好ましい。
【0060】本発明において、(A)成分は、上記(A1)成分を必須とすることが好ましく、特に(A1)成分と、(A2)〜(A5)成分から選ばれる一種以上とを併用することが好ましい。
【0061】本発明の農作物用低温耐性向上剤は、上記(A)成分と共に、更に、前記(1)〜(5)の化合物以外の界面活性剤(B)〔以下、(B)成分という〕、キレート剤(C)〔以下、(C)成分という〕及び肥料(D)〔以下、(D)成分という〕の少なくとも1つを含有することが好ましい。特に、(B)成分と(C)成分の両者を併用することが好ましい。施用時期に肥料を必要とする場合は、例えば本発明の(A)成分に、(B)、(C)及び(D)成分を併用するのが好ましい。また、施用時期に肥料を必要としない場合は、例えば(A)成分に、(B)、(C)成分を併用するのが好ましい。
【0062】<(B)成分>(B)成分としては、以下のような界面活性剤を(A)成分の乳化、分散、可溶化又は浸透促進の目的で用いるのが好ましい。
【0063】非イオン界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、樹脂酸エステル、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、アルキル(ポリ)グリコシド、ポリオキシアルキレンアルキル(ポリ)グリコシド、アルキルアルカノールアミド、糖系脂肪酸アミド等が挙げられる。ここで、糖系脂肪酸アミドとしては、糖又は糖アルコールに疎水基がアミド結合した構造を有するもの、例えばグルコースやフルクトースの脂肪酸アミド等の糖系脂肪酸アミドが挙げられる。また、アミノ基を有する糖又は糖アルコールに疎水基がアミド結合した構造を有するもの、例えばN−メチルグルカミンの脂肪酸アミド等の糖系脂肪酸アミドを用いることもできる。非イオン界面活性剤としては、窒素原子を含まないエーテル基含有非イオン界面活性剤及びエステル基含有非イオン界面活性剤から選ばれる一種以上が好ましい。具体的には、ポリオキシアルキレン(特にエチレン)ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン(特にエチレン)グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが好ましい。
【0064】陰イオン界面活性剤としては、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系及びリン酸エステル系界面活性剤が挙げられるが、カルボン酸系及びリン酸エステル系界面活性剤から選ばれる一種以上が好ましい。
【0065】カルボン酸系界面活性剤としては、例えば炭素数6〜30の脂肪酸又はその塩、多価カルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルアミドエーテルカルボン酸塩、ロジン酸塩、ダイマー酸塩、ポリマー酸塩、トール油脂肪酸塩等が挙げられる。
【0066】スルホン酸系界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ジフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸の縮合物塩、ナフタレンスルホン酸の縮合物塩等が挙げられる。
【0067】硫酸エステル系界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、トリスチレン化フェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェノール硫酸エステル塩、アルキルポリグリコシド硫酸塩等が挙げられる。
【0068】リン酸エステル系界面活性剤として、例えばアルキルリン酸エステル塩、アルキルフェニルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0069】塩としては、例えば金属塩(Na、K、Ca、Mg、Zn等)、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、脂肪族アミン塩等が挙げられる。
【0070】両性界面活性剤としては、アミノ酸系、ベタイン系、イミダゾリン系、アミンオキサイド系が挙げられる。
【0071】アミノ酸系としては、例えばアシルアミノ酸塩、アシルサルコシン酸塩、アシロイルメチルアミノプロピオン酸塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、アシルアミドエチルヒドロキシエチルメチルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0072】ベタイン系としては、アルキルジメチルベタイン、アルキルヒドロキシエチルベタイン、アシルアミドプロピルヒドロキシプロピルアンモニアスルホベタイン、アシルアミドプロピルヒドロキシプロピルアンモニアスルホベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルジメチルカルボキシメチルアンモニアベタイン等が挙げられる。
【0073】イミダゾリン系としては、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルエトキシカルボキシメチルイミダゾリウムベタイン等が挙げられる。
【0074】アミンオキサイド系としては、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルジエタノールアミンオキサイド、アルキルアミドプロピルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0075】(B)成分は1種でも、2種以上混合して使用しても良い。また、これらの(B)成分がポリオキシアルキレン基を含む場合は、好ましくはポリオキシエチレン基を有し、その平均付加モル数が1〜300、好ましくは5超100以下であることが挙げられる。
【0076】また、(B)成分は、前記したグリフィンのHLBが10以上のものが好ましく、さらに12以上のものが好ましい。
【0077】なお、(A)成分として、炭素数12〜24の1価アルコールを用いる場合は、(B)成分としては、エステル基含有非イオン界面活性剤、窒素原子を含まないエーテル基含有非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、カルボン酸系陰イオン界面活性剤及びリン酸系陰イオン界面活性剤から選ばれる一種以上が好ましい。特に、エステル基含有非イオン界面活性剤及び窒素原子を含まないエーテル基含有非イオン界面活性剤から選ばれる一種以上が好ましい。すなわち、本発明の農作物用低温耐性向上剤としては、炭素数12〜24の1価アルコールと、エステル基含有非イオン界面活性剤、窒素原子を含まないエーテル基含有非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、カルボン酸系陰イオン界面活性剤及びリン酸系陰イオン界面活性剤から選ばれる一種以上の界面活性剤とを含有するものが挙げられる。
【0078】<(C)成分>(C)成分として、以下のようなキレート能を有する有機酸又はその塩を併用すると、農作物の低温耐性向上効果がさらに改善される。具体的にはクエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、ヘプトン酸、シュウ酸、マロン酸、乳酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸等のオキシカルボン酸、多価カルボン酸や、これらのカリウム塩、ナトリウム塩、アルカノールアミン塩、脂肪族アミン塩等が挙げられる。また、有機酸以外のキレート剤の混合でも農作物の低温耐性が改善される。混合するキレート剤としてEDTA、NTA、CDTA等のアミノカルボン酸系キレート剤が挙げられる。
【0079】<(D)成分>また、(D)成分としては、具体的には、N、P、K、Ca、Mg、S、B、Fe、Mn、Cu、Zn、Mo、Cl、Si、Na等、特にN、P、K、Ca、Mgの供給源となる無機物及び有機物が挙げられる。そのような無機物としては、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸ソーダ、尿素、炭酸アンモニウム、リン酸カリウム、過リン酸石灰、熔成リン肥(3MgO・CaO・P25・3CaSiO2)、硫酸カリウム、塩カリ、硝酸石灰、消石灰、炭酸石灰、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。また、有機物としては、鶏フン、牛フン、バーク堆肥、アミノ酸、ペプトン、ミエキ、発酵エキス、有機酸(クエン酸、グルコン酸、コハク酸等)のカルシウム塩、脂肪酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、カプリル酸、カプリン酸、カプロン酸等)のカルシウム塩等が挙げられる。これら肥料成分は界面活性剤と併用することもできる。肥料成分は、稲や野菜の露地栽培のように、土壌中に元肥として肥料成分が十分施用されている場合にはあえて配合する必要はない。また、養液土耕や水耕栽培のように元肥の過剰施用を避け肥料成分をかん水と同じに与えるようなタイプの栽培形態には肥料成分を配合することが好ましい。
【0080】本発明の農作物用低温耐性向上剤において、(B)〜(D)成分を併用する場合、各成分の比率は、(A)成分100重量部に対して、(B)成分10〜20000重量部、特に100〜2000重量部、(C)成分0〜50000重量部、特に10〜5000重量部、(D)成分0〜1000000重量部、更に0〜100000重量部、特に10〜100000重量部が好ましい。また、本発明の農作物用低温耐性向上剤は、(A)成分100重量部に対して、その他の栄養源(糖類、アミノ酸類、ビタミン類等)0〜5000重量部、特に10〜500重量部を含有することもできる。
【0081】上記(A)成分からなる本発明の農作物用低温耐性向上剤の形態は、液体、フロワブル、ペースト、水和剤、粒剤、粉剤、錠剤等いずれでも良く、使用に際しては、通常(A)成分の濃度が1〜500ppmの水溶液、水性分散液あるいは乳化液として植物の葉面や根へ散布される。
【0082】本発明の農作物用低温耐性向上剤の植物への供給方法としては色々な手段を使うことができる。例えば、粉剤や粒剤を直接肥料のように施肥したり、希釈された水溶液を葉面、茎、果実等直接植物に散布したり、土壌中に注入する方法や水耕栽培やロックウールのように根に接触している水耕液や供給水に希釈混合して供給する方法が挙げられる。
【0083】通常、肥料のように粉剤、粒剤のような状態で土壌施用する場合は、水以外の上記成分が同様の比率で含まれる粉剤又は粒剤を使用することが好ましい。この粉剤又は粒剤にケーキングを防止するための賦形剤を含んでいてもかまわない。
【0084】本発明の農作物用低温耐性向上剤により処理できる農作物としては、果菜類では、キュウリ、カボチャ、スイカ、メロン、トマト、ナス、ピーマン、イチゴ、オクラ、サヤインゲン、ソラマメ、エンドウ、ダイズ(エダマメ)、トウモロコシ等が挙げられる。葉菜類では、ハクサイ、ツケナ類、チンゲンサイ、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、メキャベツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ラッキョウ、ニラ、アスパラガス、レタス、サラダナ、セルリー、ホウレンソウ、シュンギク、パセリ、ミツバ、セリ、ウド、ミョウガ、フキ、シソ等が挙げられる。根菜類としては、ダイコン、カブ、ゴボウ、ニンジン、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモ、ヤマイモ、ショウガ、レンコン等が挙げられる。また、タバコ、稲、麦類等の穀物類、キク、バラ、カーネーション、トルコギキョウ、スイトピー、シクラメン、チューリップ、パンジー、フリージア、ファレノプシス、マーガレット、ユリ、ベコニア等の花卉類等にも使用が可能である。
【0085】
【実施例】実施例1(1−1)ダイズに対する効果ダイズを1/5000aワグネルポットに播種し、培土はクレハ園芸培土を使用した。本葉展開後に、表1〜3の農作物用耐寒性向上剤を1回葉面散布した。農作物用耐寒性向上剤は、(A)成分が50ppm(重量比)となる濃度で用い、散布水量は100L/10aとした。処理後、温度15℃条件下で管理し2週間後に草丈、葉の緑色度を示すSPAD値(ミノルタ社SPAD502)の調査を行った。尚、測定値は無処理区を100としたときの相対値で比較した。結果を表1〜3に示すが、ダイズの初期生育の適正な栽培温度は15℃以上であり、本発明品を使用した場合は、低温による生育遅滞が抑制されることが分かった。
(1−2)キクに対する効果キク‘秀芳の力’を定植後、月2回の間隔で、表1〜3の農作物用低温耐性向上剤で4回葉面散布処理を行った。農作物用低温耐性向上剤は(A)成分が60ppm(重量比)となる濃度で用い、処理水量は100L/10aとした。収穫期に入り2回降霜し葉枯れが発生した。この降霜による葉枯れ率を、下記の方法で測定した。結果を表1〜3に示す。
葉枯れ率(%)=[(葉枯れした葉の枚数)/(全体の葉の枚数)]×100【0086】
【表1】

【0087】
【表2】

【0088】
【表3】

【0089】なお、表1〜3中POEはポリオキシエチレンの略であり、( )内の数字はエチレンオキサイドの平均付加モル数である(以下同様)。
【0090】実施例2(タバコに対する効果)
タバコの育苗時に、表4の農作物用耐寒性向上剤を週1回の間隔で2回土壌潅水した。農作物用耐寒性向上剤は、(A)成分が50ppmとなる濃度で用い、散布量は3L/m2とした。育苗した苗を本圃に定植したが7日後に降霜した。降霜直後の枯死葉面積を測定し、下記式により枯死葉面積比を算出した。結果を表4に示す。
枯死葉面積比=[(枯死部位の葉面積)/(全体の葉面積)]×100【0091】
【表4】

【0092】
【発明の効果】本発明の農作物用低温耐性向上剤によれば、果樹、野菜、穀物等、各種の農作物の顕著な低温耐性向上効果を安全に得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成13年3月9日(2001.3.9)
【代理人】 【識別番号】100063897
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 馨 (外4名)
【公開番号】 特開2002−265307(P2002−265307A)
【公開日】 平成14年9月18日(2002.9.18)
【出願番号】 特願2001−67545(P2001−67545)