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【発明の名称】 害虫防除用加熱蒸散体
【発明者】 【氏名】岩崎 智則

【要約】 【課題】長時間にわたって害虫を防除するのに有効な害虫防除用加熱蒸散体を提供する。

【解決手段】加熱蒸散性害虫防除剤を含有する板状担体が、該担体の片面のうちの0.1〜70%を除き防除剤非透過性層によって被覆されてなる害虫防除用加熱蒸散体及び該蒸散体を用いる害虫防除方法。好ましくは、非透過性層が金属層であり、害虫防除剤がピレスロイド化合物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】加熱蒸散性害虫防除剤を含有する板状担体が、該担体の片面のうちの0.1〜70%を除き加熱蒸散性害虫防除剤非透過性層によって被覆されてなる害虫防除用加熱蒸散体。
【請求項2】該非透過性層が金属層を含むものである請求項1に記載の加熱蒸散体。
【請求項3】該非透過性層がアルミニウム層を含むものである請求項1または2に記載の加熱蒸散体。
【請求項4】該非透過性層がアルミニウム層及び樹脂層からなる積層体を含むものである請求項1〜3のいずれかに記載の加熱蒸散体。
【請求項5】加熱蒸散性害虫防除剤が、ピレスロイド化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の加熱蒸散体。
【請求項6】加熱蒸散性害虫防除剤が、Donovan法による25℃における蒸気圧が1×10-6mmHg以上のピレスロイド化合物である請求項1〜5のいずれかに記載の加熱蒸散体。
【請求項7】加熱蒸散性害虫防除剤が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、トランスフルスリン、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート及びプラレトリンから選ばれる少なくとも1種類である請求項1〜6のいずれかに記載の加熱蒸散体。
【請求項8】加熱蒸散性害虫防除剤が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラートから選ばれる少なくとも1種類である請求項1〜7のいずれかに記載の加熱蒸散体。
【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載の加熱蒸散体を、加熱蒸散性害虫防除剤を含有する担体のうち、約0.1〜約70%が加熱蒸散性害虫防除剤非透過性層によって被覆されていない片面と対向する面から加熱することを特徴とする害虫防除方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は害虫防除のための加熱蒸散体および害虫防除方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】電気蚊取り用マットは、害虫防除剤を繊維質や多孔質担体に保持させたもので、通常約140〜200℃に加熱して蚊などの害虫防除に用いられている。電気蚊取り用マットは使用し易い製剤である反面、害虫防除剤の揮散をコントロールするのが非常に困難であるため、長期間にわたって効果的に害虫を防除しうる製品の開発はなされていないのが現状である。本発明は、長時間にわたって、害虫を防除するのに有効な害虫防除用加熱蒸散体を提供することを課題とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、加熱蒸散性害虫防除剤を含有しかつ特定構造を有する加熱蒸散体により前述の課題が解決できることを見出し本発明を完成するに至った。即ち本発明は、加熱蒸散性害虫防除剤を含有する板状担体(以下、本担体と記す。)が、該担体の片面のうちの0.1〜70%を除き本防除剤非透過性層によって被覆されてなる害虫防除用加熱蒸散体(以下、本蒸散体と記す。)及び本蒸散体を用いる害虫防除方法を提供するものである。
【0004】
【発明の実施の形態】本蒸散体における板状担体は、加熱蒸散性害虫防除剤を保持することができ、かつ、加熱により該防除剤を適度に揮散させ得るものでる。かかる担体としては、繊維質担体や多孔質担体等があげられる。具体的に繊維質担体としては、例えばパルプ、セルロース、綿等の天然繊維、ポリエステル、アクリル等の合成繊維、ガラス繊維、石綿などの無機繊維等を用いた担体を挙げることができ、多孔質担体としては、例えばケイソウ土等の多孔質無機物質、素焼等の多孔質磁性物質、発泡ウレタン、発泡ポリプロピレン等の多孔質樹脂等を用いた担体を挙げることができる。
【0005】本蒸散体は、一般的にはそのための加熱装置に装着して使用されるので、担体としては、通常、平板状に成形されたものが使用され、その大きさは加熱装置により変わり得るが、例えば約2cm(縦)×約3cm(横)×約3mm(厚み)程度のものが挙げられる。本明細書において、板状担体あるいは本担体における片面とは、板状担体或いは本担体の面のうち、面積の大きな対向する2つの面のいずれかを言い、上面及び下面とは、該面積の大きな対向する2つの面を平面に置いたときのそれぞれ上側及び下側の面を言う。そして該面積の大きな対向する2つの面以外の面を側面と言う。例えば前記した約2cm(縦)×約3cm(横)×約3mm(厚み)の板状担体において、約2cm(縦)×約3cm(横)の2面の一方が片面であり、これを平面上においたときの上側の面が上面、下側の面が下面、約2cm×約3mmの2面及び約3cm×約3mmの2面が側面となる。
【0006】本蒸散体における加熱蒸散性害虫防除剤(以下、本防除剤と記す。)としては、通常、約50〜200℃において揮散してその効力を発揮し得る化合物を使用することができ、代表的にはピレスロイド化合物を挙げることができる。ピレスロイド化合物の具体例としては、アレスリン(蒸気圧5.9×10-6mmHg(25℃))、プラレトリン(蒸気圧4.8×10-6 mmHg(25℃))、フラメトリン(蒸気圧2.5×10-5 mmHg(25℃))、トランスフルスリン(蒸気圧2.6×10-6 mmHg(25℃))、テラレトリン(蒸気圧3.5×10-6 mmHg(25℃))、エンペントリン(蒸気圧1.6×10-4 mmHg(25℃))、5−プロパルギル−2−フルフリル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラート(蒸気圧1.6×10-4 mmHg(25℃))、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(蒸気圧3.1×10-5 mmHg(25℃))、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(蒸気圧7.7×10-5 mmHg(25℃))、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(蒸気圧4.9×10-6 mmHg(25℃))、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(蒸気圧4.1×10-6 mmHg(25℃))、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−メトキシイミノメチル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(蒸気圧5.8×10-6 mmHg(25℃))、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(蒸気圧6.8×10-6 mmHg(25℃))、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(蒸気圧1.4×10-5 mmHg(25℃))、天然ピレトリン等を挙げることができる(化合物名の後の括弧内の値はその化合物の25℃の蒸気圧を意味する。)。
【0007】中でもその害虫防除活性、揮散性の観点から、25℃の蒸気圧が1×10-6mmHg以上のピレスロイド化合物が好ましい。尚、本発明において25℃の蒸気圧とは、Stephen F. Donovanによって報告された方法(New method for estimating vapor pressure by the use of gas chromatography: Journal of Chromatography A. 749(1996)123-129、以下、Donovan法と記す。)により求められる蒸気圧を意味する。
【0008】さらに、その害虫防除活性、揮散性の観点から2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、トランスフルスリン、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート及び2−メチル−3−プロパルギル−4−オキソ−2−シクロペンテン−1−イル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラートが好ましく、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラートがより好ましい。
【0009】本防除剤の担体中の含有量は、使用する担体の材質、目標とする害虫防除効果持続期間、使用する害虫防除剤等により適宜決めることができるが、担体1cm3あたり通常は0.02〜0.5g程度である。
【0010】本担体は、本防除剤のほかに、必要により溶剤、色素、酸化防止剤、共力剤、安定化剤、香料などを含有していてもよい。
【0011】溶剤としては、例えばノルマルパラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤、ナフテン系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤等が挙げられ、これらを単独で、或いは2種以上の混合物で使用してもよい。
【0012】色素としては、例えば、1,4−ジブチルアミノアントラキノン、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン、1,4−ビス(2,6−ジエチル−4−メチルフェニルアミノ)アントラキノン、1−メチルアミノ−4−オルトトリルアミノアントラキノン、1−メチルアミノ−4−メタトリルアミノアントラキノン、1−メチルアミノ−4−パラトリルアミノアントラキノン等のアントラキノン系青色色素等があげられる。これらを単独で、或いは2種以上の混合物で使用してもよく、また色の異なる他の色素との混合物として使用することもできる。
【0013】酸化防止剤としては、例えばジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノ−ル等のフェノール系抗酸化剤等が挙げられる。
【0014】共力剤としては、例えばビス−(2,3,3,3−テトラクロロプロピル)エ−テル(S−421)、N−(2−エチルヘキシル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3ジカルボキシイミド(MGK264)、α−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエン(PBO)等が挙げられる。
【0015】安定化剤としては、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0016】板状担体へ本防除剤を含有させるには、例えば、本防除剤を、或いは本防除剤その他を含有する溶剤液を、該担体に含浸させることにより行うことができる。
【0017】本蒸散体は、本防除剤非透過性層(以下、本非透過層と記す。)によって本担体が被覆されている構造をとる。本非透過層とは、本防除剤の蒸気を実質的に透過させない層である。実質的に透過させないとは、本蒸散体使用時において、殺虫効力に影響を与える量の本防除剤を透過させないということを意味する。具体的には、本蒸散体を本非透過層で全て覆って、試験例1で説明している殺虫効力試験を行い、30分間観察してもノックダウンしている蚊を1匹も認められないレベルの非透過性を備えた層のことである。そして、本非透過層としては、本蒸散体を使用する温度(例えば、50〜200℃程度)において、その使用期間中(例えば50時間程度以上)は、破れ、融解等による本担体の露出を生じない程度の耐熱性を備えていることが好ましい。
【0018】本非透過層としては、例えば本防除剤蒸気を実質的に透過させない材質を用いたフィルムやシートを挙げることができ、かかる材質としては、例えば鉄、ニッケル、クロム、亜鉛、モリブデン、チタン、銅、アルミニウム、すず、鉛、銀、白金、金等の金属;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合、エチレン−メチルアクリレ−ト共重合体、エチレン−メチルメタアクリレ−ト共重合体、エチレン−エチルアクリレ−ト共重合体等の共重合体、ナイロン等のポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラ−ト、ポリブチレンテレフタラ−ト等のポリエステル、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルスルホン等のポリエーテル、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等のプラスチック等が挙げられる。
【0019】本非透過層は、フィルム、シートとして成形可能である限りにおいて前記材質が組み合わせられた複合材質であってもよいし、2層以上重ねた積層体であってもよい。また、強度、耐熱性、接着性等を付与するために本非透過層に、例えば紙等の本防除剤蒸気の透過性の高い層を1層以上重ねた積層体であってもよい。耐熱性、加工性等の観点から、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属層とポリエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合、エチレン−メチルアクリレ−ト共重合体、エチレン−メチルメタアクリレ−ト共重合体、エチレン−エチルアクリレ−ト共重合体等の共重合体、ナイロン等のポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラ−ト、ポリブチレンテレフタラ−ト等のポリエステル、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルスルホン等のポリエーテル等の樹脂層からなる積層体を用いるのが好ましく、アルミニウム層と、ポリエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン等のポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラ−ト、ポリブチレンテレフタラ−ト等のポリエステル、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルスルホン等のポリエーテル等の樹脂層からなる積層体を用いるのがさらに好ましい。
【0020】本発明において、「被覆されてなる」とは、被覆対象物(担体)の表面に被覆物(本非透過層)が密着している状態はもちろんのこと、幾分か(例えば5mm以下程度)の隙間を隔てて被覆対象物を被覆物が覆っている状態をも含む。担体と本非透過層との隙間は、通常5mm以下、好ましくは3mm以下である。
【0021】また、本非透過層の厚さは特に制限はないが、通常は0.0001〜5mmであり、好ましくは、0.001〜2mmである。
【0022】また、本蒸散体において本担体の片面のうちの約0.1〜約70%は本非透過層によって被覆されておらず、それ以外の面は本非透過層で被覆されている。例えば、該片面を上面としておいたとき、本担体の下面及び側面については全面が本非透過層で被覆されているが、本担体の上面についてはその約0.1〜約70%は本非透過層で被覆されていない。
【0023】本担体が本非透過層で被覆されていない状態としては、本担体の片面を被覆した本非透過層が部分的に開口部を有している状態や、本担体の片面を被覆した本非透過層が多数の例えば0.01〜0.1mm程度の小孔を有している状態、本担体の片面を被覆した本非透過層の一部が本防除剤の蒸気透過性層で置き換えられた状態等が挙げられる。
【0024】本非透過層により本担体を被覆する方法としては、例えば、フィルム状またはシート状の本非透過層をヒートシール、超音波シール、高周波シール、接着剤等により本担体の各面に貼り付ける方法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、はけ塗り法等の通常の樹脂コーティング方法により樹脂膜を本担体面上に形成させる方法、本非透過層からなる袋に本担体入れて該袋の口をヒートシール、超音波シール、高周波シール、接着剤等により閉じる方法等が挙げられる。
【0025】また、他の面は本非透過層で全面が実質的に被覆され、本担体の片面のうちの約0.1〜約70%が本非透過層で被覆されていない本蒸散体を製造する方法としては、本非透過層として、その本担体の片面を被覆する部分に対応する箇所に所定の開口を有しているもの、小孔を有しているもの、本防除剤透過性層を有しているもの等を用いて該開口、小孔、本防除剤透過性層を有する部分が本担体の片面になるように被覆する方法や、本担体表面の全体を本非透過層で被覆後、本担体の片面を被覆する箇所の本非透過層を一部除去(剥ぎ取り、切り取り)したり、孔あけしたり、一部除去後、該除去部分を本防除剤透過性層で覆うように貼り付ける方法等を挙げることができる。
【0026】本蒸散体を加熱装置に装着する際、前記本非透過層部分を持つことにより、本防除剤を指等に付着させることなく取扱うことが可能であり便利である。
【0027】また、本蒸散体を使用(加熱)する前、あるいは使用を中断する場合は、本防除剤の不必要な揮散を防ぎ、かつ害虫防除剤が手などに付着する可能性を減少させるために、本非透過層で被覆されていない部分を本防除剤非透過性のシールなどによって塞いでいてもよい。また、該シールは繰り返し着脱可能なように片面に貼り付け/剥がしが容易に行える接着層を備えたものが好ましい。特に最初の使用開始前は、本蒸散体の非透過層で被覆されていない部分を本防除剤非透過性のシール等で被覆しておき、使用開始時に該シールを剥がす、破く、切り取る等の方法により除去して用いることが好ましい。
【0028】本蒸散体は、特に長時間の使用に適した蒸散体であるため、害虫防除効果の低下あるいは消失を使用者に知らしめうるインジケーター機能が備わっていることが好ましい。インジケーターとしては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
・板状担体に色素を保持させて、その退色を観察する。
・板状担体に蒸散性酸または塩基およびPH指示薬を保持させて、その退色を観察する(参考 特開昭56−53461)。
・担体に蒸散性酸または塩基およびPH指示薬を保持させて、本蒸散体表面に貼り付け、その退色を観察する(参考 特開昭56−53461)。
・板状担体に電子供与性呈色有機化合物、顕色剤を保持させて、その退色を観察する(参考 特開昭63−60901)。
・担体に電子供与性呈色有機化合物、揮散性減感剤及び顕色剤を保持させて、本蒸散体表面に貼り付け、その退色を観察する(参考 特開昭63−60901)。
【0029】本蒸散体を、加熱装置により約50〜約200℃程度に加熱することによって、害虫を防除することができる。該防除は本蒸散体を、約0.1〜約70%が本非透過層によって被覆されていない片面と対向する面から加熱ことにより行うことができる。本蒸散体を用いる害虫防除における具体的な本蒸散体の加熱装置による加熱は、通常、加熱装置のヒーター面に接する(または近接する)面を下面とすると、前記約0.1〜約70%が本非透過層によって被覆されていない片面が上面となるように装着され、本蒸散体の下面側から該ヒーターにより加熱されることにより行うことができる。
【0030】防除し得る害虫としては、例えば、各種の有害昆虫、ダニ類等の節足動物を挙げることができ、特に飛翔性害虫、例えばアカイエカ、コガタアカイエカ等のイエカ類、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等のヤブカ類、シナハマダラカ等のハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ、オオイエバエ、ヒメイエバエ等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ノミバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類、ヌカカ類等の双し目害虫が挙げられる。
【0031】
【実施例】以下、製造例及び試験例をあげて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
実施例12,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート20重量%、ジブチルヒドロキシトルエン10重量%、1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン0.5重量%及びジイソノニルアジペ−ト69.5重量%からなる溶液900mgを2.2cm×3.5cm×0.31cmのパルプ、コットンリンターからなる繊維質板状担体に含浸させ、該担体を4.1cm×2.8cmのアルミラミネ−ト袋に入れ、該袋の口をヒ−トシ−ルして密閉した。該担体とアルミラミネート袋の隙間は2mm以下である。該アルミラミネ−ト袋の片面の中央部を切り取って0.3cm×0.3cmの四角形の開口部を形成させて、本蒸散体1を得た。
【0032】実施例2繊維質板状担体に含浸させる溶液の量を600mgとし、アルミラミネ−ト袋の片面の中央部に形成させる開口部を0.3cm×0.6cmとした以外は実施例1と同様にして本蒸散体2を得た。
【0033】実施例32,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート150mgを2cm×3cmの濾紙に含浸させ、該濾紙を2.3cm×3.3cmのアルミラミネ−ト袋に入れ、該袋の口をヒ−トシ−ルして密閉した。該担体とアルミラミネート袋の隙間は2mm以下である。アルミラミネ−ト袋の片面の中央部を切り取って0.3cm×0.3cmの四角形の開口部を形成させ、本発明マット3を得た。
【0034】実施例4四角形の開口部の大きさを0.6cm×0.6cmとした以外は実施例3と同様にして本蒸散体4を得た。
【0035】実施例5四角形の開口部の大きさを0.9cm×0.9cmとした以外は実施例3と同様にして本蒸散体5を得た。
【0036】実施例6四角形の開口部の大きさを1.0cm×2.0cmとした以外は実施例3と同様にして本蒸散体6を得た。
【0037】試験例1アカイエカ(Culex pipiens pallens)雌成虫10頭を入れたガラス管(高さ12cm、内径4cm、両端を16メッシュナイロンネットで閉じたもの)を2本準備した。高さ80cm、直径20cmの試験用シリンダーの上部に直径方向、中心部分に巾7.8cmの金属製の上記ガラス管用台座を渡した。この台座にはシリンダーの中心より4cmの位置にガラス管内径と同じ直径4cmの穴が対称に2個開いており、この台座にアカイエカ雌成虫を入れた上記ガラス管を置き、試験用シリンダーの下からの気流がガラス管内を通り抜ける状態とした。直径20cm、高さ30cmの観察用の透明樹脂製円筒を試験用シリンダーの上部に、両者の外径が重なるように設置した。
【0038】一方、本蒸散体1を電気蚊取り器に装着して別途試験用シリンダー外で約170℃加熱を行い、該加熱が168時間経過した時点でこれを上記した試験用シリンダー内の底面に移動し、該電気蚊取り器による加熱を継続し、経過時間ごとのノックダウンしたアカイエカ雌成虫数をカウントし、供試したアカイエカ雌成虫の50%がノックダウンする時間(KT50値)を求めた。該ガラス管を取り除き、さらに該電気蚊取り器による加熱を継続した。最初に加熱を開始した時点(上記した試験用シリンダー外で約170℃での加熱を開始した時点)から288、528、673及び819時間後に新たなアカイエカを用いて同様の試験を行なった。また、本蒸散体2、3、4、5、6および表2〜6に示すヒ−タ−温度の電気蚊取り器を用いて、表2〜6に示す時間経過後にアカイエカのノックダウン試験を、上述の方法と同様にして行った。結果を表1〜6に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
【表3】

【0042】
【表4】

N.D.:測定せず【0043】
【表5】

【0044】
【表6】

【0045】
【発明の効果】本発明によれば、長時間にわたって、極めて効果的に害虫、特に蚊等の飛翔性害虫を防除することができる。
【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学工業株式会社
【出願日】 平成13年3月8日(2001.3.8)
【代理人】 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆 (外2名)
【公開番号】 特開2002−265304(P2002−265304A)
【公開日】 平成14年9月18日(2002.9.18)
【出願番号】 特願2001−64618(P2001−64618)