| 【発明の名称】 |
抗菌性組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】三角 千夏
【氏名】山本 昇
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| 【要約】 |
【課題】コリネバクテリウム属菌(Corynebacterium sp.)または黄色ブドウ球菌に優れた殺菌、静菌作用を有する抗菌性組成物、並びに該抗菌性組成物を有する皮膚外用剤、防腋臭剤を提供する。
【解決手段】炭素数8〜22を有する脂肪酸のショ糖エステル及びパラオキシ安息香酸エステルを有効成分として含有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】炭素数8〜22を有する脂肪酸のショ糖エステル及びパラオキシ安息香酸エステルもしくはその塩を含有する抗菌性組成物。 【請求項2】コリネバクテリウム属菌(Corynebacterium sp.)に対して抗菌作用を有する請求項1記載の抗菌性組成物。 【請求項3】コリネバクテリウム属菌(Corynebacterium sp.)が腋臭の原因菌である請求項2記載の抗菌性組成物。 【請求項4】黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対して抗菌作用を有する請求項1記載の抗菌性組成物。 【請求項5】皮膚に対して用いられる請求項1乃至4のいずれかに記載の抗菌性組成物。 【請求項6】請求項1乃至4のいずれかに記載の抗菌性組成物を含有する皮膚外用剤。 【請求項7】請求項3に記載の抗菌性組成物を含有する防腋臭剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌性組成物、特にコリネバクテリウム属菌(Corynebacterium sp.)ならびに黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対して優れた殺菌ないし静菌効果を発揮する抗菌性組成物に関する。また本発明は、上記抗菌性組成物を含有する皮膚外用剤に関する。さらに本発明は、上記抗菌性組成物の腋臭原因菌に対する抗菌作用に基づいて、該抗菌性組成物を含有する防腋臭剤に関する。 【0002】 【従来の技術】発汗に伴う不快臭は、本来は無臭かつ無菌である汗が皮表の微生物によって分解されることによって生じることが知られており、これに皮表や汗中のアンモニアが加わるとさらに特有の臭気となる。とりわけ体臭の中でも鼻をつくような独特な臭いである腋臭は、腋窩部のアポクリン汗腺から分泌されるアポクリン汗が皮表に存在するコリネバクテリウム属菌やブドウ球菌によって分解されることによって発生する。そこで、体臭の発生を抑制するために従来より発汗防止剤、制汗収斂剤、抗生物質または抗菌剤などが使用されている。しかしながら、発汗防止剤や制汗収斂剤は汗の分泌量の多い人には余り効果がなく、特にヒドロキシ塩化アルミニウム(アルミニウム塩化水和物)のようなアルミニウム塩からなる制汗収斂剤はそのタンパク質変性作用のため皮膚への刺激性が強いという問題がある。また、塩化ベンゼトニウムや塩化ベンザルコニウムなどの抗菌剤や抗生物質は効果は高いものの、体臭の原因となる微生物だけでなく皮膚微生物叢を形成する微生物までも殺菌若しくは静菌してしまうため、健全な皮膚微生物叢形成による皮膚本来の自浄作用を損なってしまという危険性を有している。 【0003】そこで、不快な体臭を防止する方法を開発するためには、長期間使用しても健全な皮膚微生物叢には極力悪影響を与えず、不快臭を発生する原因のもととなる菌を選択的に殺菌もしくは静菌する作用を有する抗菌剤を見出すことが必要となる。 【0004】また、黄色ブドウ球菌等の化膿菌を殺菌除去する方法としても従来は抗生物質や抗菌剤などが使用されており、上記と同様の問題がある。 【0005】一方、ショ糖脂肪酸エステルは、耐熱性芽胞菌に対して静菌作用があることが知られており、このため従来より食品や化粧品分野において防腐剤や保存剤として用いられている非イオン性界面活性剤である。具体的には、特開平10-70971号公報によると、ショ糖脂肪酸エステルは Bacillus coagulans、B.circulans、B.cereus、B.licheniformis、B.stearothermophilus、B.subtilis、B.polymyxa、Clostridium sporogenes、C.perfringens、C.bifementans、C.butyricum、C.boturinum、C.pasteurianum、C.thermaceticum、C.thermosacharolyticum、C.thermohydrosulfricum、及びDesulfotomaculum nigrificans 等の耐熱性芽胞菌に対して抗菌作用があり、これらの微生物による食品の変敗を有意に防止することができることが記載されており、また特開平1-311014号公報によると、ショ糖脂肪酸エステルは Propionibacterium acnesやPropionibacterium avidamなどのプロピオニバクテリウム属に属する皮膚常在菌に対して抗菌作用があり、ニキビの悪化や皮膚炎症の防止に有用であることが記載されている。 【0006】また、パラオキシ安息香酸エステルは、細胞膜を破壊したり蛋白質を変性する作用があることから、防腐剤、保存剤、安定剤または殺菌剤等として医薬品(例えば点眼薬や点鼻薬等)、医薬部外品、香粧品(頭髪用化粧料、基礎化粧料、メークアップ化粧料、入浴剤)及び食品に広く使用されている化合物である。パラオキシ安息香酸エステルは皮膚に対する刺激性がほとんどなく比較的皮膚に優しい化合物であるが、なかには該化合物に対して過敏症を示す人もいる。 【0007】このようにショ糖脂肪酸エステルならびにパラオキシ安息香酸エステルの抗菌性は従来より公知であるが、これら両者を併用することによってコリネバクテリウム属菌(Corynebacterium sp.)や黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)といった特定の微生物に対して優れた殺菌作用を示すことについては知られていない。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明は抗菌性組成物を提供することを目的とする。より詳細には、本発明はコリネバクテリウム属菌(Corynebacterium sp.)、特に体臭の中でもとりわけ不快な臭いである腋臭の発生原因菌である腋臭菌に対して優れた殺菌効果を発揮する抗菌性組成物を提供することを目的とする、また本発明は化膿性疾患の原因菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対して優れた殺菌効果を発揮する抗菌性組成物を提供することを目的とする。さらに本発明は、コリネバクテリウム属菌の生育並びに増殖を防止することによって腋臭の発生を抑制する目的で、また傷口などの損傷部の化膿を防止する目的で使用される皮膚外用剤を提供することを目的とする。さらにまた本発明は上記作用に基づいて腋臭を防止する防腋臭剤を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成するための鋭意検討を重ねていたところ、パラオキシ安息香酸エステルと炭素数8〜22を有する脂肪酸のショ糖エステルとを併用することによって、少量でコリネバクテリウム属菌(Corynebacterium sp.)、特に腋臭の原因菌に対して優れた静菌作用を示すことを見出し、さらに該コリネバクテリウム属菌に対してパラオキシ安息香酸エステルが有する殺菌作用がショ糖脂肪酸エステルによって増強されることによってパラオキシ安息香酸エステルの使用量を顕著に低減できることを見出した。また、本発明者らは、パラオキシ安息香酸エステルと炭素数8〜22を有する脂肪酸のショ糖エステルとを併用することによって、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する静菌及び殺菌作用が相乗的に増強することを見出した。かかるパラオキシ安息香酸エステルとショ糖脂肪酸エステルとの併用による静菌及び殺菌作用の相乗的増強現象は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、バチラス菌(Bacillus subtilis)、大腸菌(Escherichea coli)、アスペルギルス菌(糸状菌)(Aspergillus nigar)、黒色真菌(Cladosporium cladosporiodides)、ペニシリウム菌(Penicillium citrinum)、カンジダ菌(Candida albicans)等の他の微生物に対しては認められず、コリネバクテリウム属菌及び黄色ブドウ球菌に対して特異的であることを確認したまた、本発明者らはさらなる実験によって、上記パラオキシ安息香酸エステルとショ糖脂肪酸エステルの併用は表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)に対しては静菌的に作用するだけで殺菌作用を示さないことを見出した。ところで、かかる表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)は皮膚常在菌であり、皮膚はこのような皮膚常在菌によって形成される皮膚微生物叢によって自浄性や保護作用が保たれていることが知られている。このことからパラオキシ安息香酸エステルとショ糖脂肪酸エステルを含有する抗菌性組成物は、健全な皮膚微生物叢を保護しながらも、腋臭をもたらすコリネバクテリウム属菌や化膿の原因菌である黄色ブドウ球菌の選択的除菌に有効であり、そのため皮膚に優しい皮膚外用剤として応用できることを確認した。本発明は、かかる知見に基づいて開発されたものである。 【0010】すなわち、本発明は下記(1)〜(5)に掲げる抗菌性組成物である:(1)炭素数8〜22を有する脂肪酸のショ糖エステル及びパラオキシ安息香酸エステル若しくはその塩を含有する抗菌性組成物。 (2)コリネバクテリウム属菌(Corynebacterium sp.)に対して抗菌作用を有する(1)記載の抗菌性組成物。 (3)コリネバクテリウム属菌(Corynebacterium sp.)が腋臭の原因菌である(2)記載の抗菌性組成物。 (4)黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対して抗菌作用を有する(1)記載の抗菌性組成物。 (5)皮膚に対して用いられる(1)乃至(4)のいずれかに記載の抗菌性組成物。 【0011】さらに本発明は上記抗菌性組成物を有効成分として含有する下記(6)または(7)に掲げる製剤である:(6)皮膚外用剤、特に上記(3)の抗菌性組成物を含有する皮膚外用剤は腋臭防止用(腋臭症用)皮膚外用剤として、また上記(4)の抗菌性組成物を含有する皮膚外用剤は化膿防止用皮膚外用剤として有用である。 (7)防腋臭剤。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明の抗菌性組成物はショ糖脂肪酸エステル及びパラオキシ安息香酸エステルを有効成分とすることを特徴とする。 【0013】本発明で用いられるショ糖脂肪酸エステルは、炭素数8〜22を有する脂肪酸のショ糖エステルである。ここで脂肪酸は、炭素数8〜22,好ましくは12〜18の飽和または不飽和の脂肪酸を挙げることができる。具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルカ酸を挙げることができる。好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸である。なお、本発明で使用するショ糖脂肪酸エステルは、上記脂肪酸の1種からなるものであってもまた2種以上を任意に混合して含有するものであってもよい。 【0014】また、本発明で使用するショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖のモノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタまたはオクタの脂肪酸エステルであることができ、これら2種以上の混合物であってもよい。好ましくはエステル組成100%あたりモノエステルが50%以上の割合で含まれていることが望ましく、その割合は70%以上、特に75%以上であることがより好ましい。またそのHLBとしては、通常9〜20の範囲を挙げることができる。好ましくは11〜20、より好ましくは15〜20である。 【0015】また本発明においてパラオキシ安息香酸エステルは、医薬品、医薬部外品、化粧品及び食品の分野で使用されているものを広く使用することができる。具体的には、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソブチル等を例示することができる。中でも好ましくはパラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルであり、より好ましくはパラオキシ安息香酸プロピルである。なお、これらのパラオキシ安息香酸エステルは塩の形態であってもよく、かかる塩としてはパラオキシ安息香酸メチルナトリウム等のパラオキシ安息香酸エステルのアルカリ金属塩を例示することができる。パラオキシ安息香酸エステルまたはその塩は、1種単独で使用してもまた2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。 【0016】本発明の抗菌性組成物は、コリネバクテリウム属菌(Corynebacterium sp.)に対して殺菌作用並びに静菌作用を有することを特徴とする。ここでコリネバクテリウム属菌(Corynebacterium sp.)としては、当該属の範疇にあるグラム陽性桿菌であれば特に制限されないが、好ましくは腋臭発生の原因となる菌(以下、本発明において腋臭菌ともいう。)であり、このような腋臭菌としては例えばCorynebacterium minutissimum、Corynebacterium xerosis、または Corynebacterium tenuis 等が知られている。中でも好ましくは Corynebacterium minutissimum である。 【0017】かかるコリネバクテリウム属菌に対する殺菌作用は、ショ糖脂肪酸エステルとパラオキシ安息香酸エステルとから抗菌性組成物を調製した場合、最小殺菌濃度(MBC)として100〜1000ppm、好ましくは150〜500ppmとして示すことができる。 【0018】またその静菌作用はショ糖脂肪酸エステルとパラオキシ安息香酸エステルとから抗菌性組成物を調製した場合、最小発育阻止濃度(MIC)として4〜100ppm、好ましくは5〜40ppmとして示すことができる。本発明の抗菌性組成物中に含まれるショ糖脂肪酸エステルとパラオキシ安息香酸エステルとの割合は、上記の殺菌作用並びに静菌作用を保有するように適宜調整設定することができ、特に制限されることなく、通常ショ糖脂肪酸エステル:パラオキシ安息香酸エステル=1:99〜99:1の範囲から選択することができる。 【0019】さらに本発明の抗菌性組成物は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対して優れた殺菌作用と静菌作用を示すことを特徴とする。その殺菌作用は、ショ糖脂肪酸エステルとパラオキシ安息香酸エステルとから抗菌性組成物を調製した場合、最小殺菌濃度(MBC)として150〜10000ppm、好ましくは200〜5000ppmとして示すことができる。またその静菌作用はショ糖脂肪酸エステルとパラオキシ安息香酸エステルとから抗菌性組成物を調製した場合、最小発育阻止濃度(MIC)として40〜1000ppm、好ましくは60〜500ppmとして示すことができる。本発明の抗菌性組成物中に含まれるショ糖脂肪酸エステルとパラオキシ安息香酸エステルとの割合は、上記の殺菌作用並びに静菌作用を保有するように適宜調整設定することができ、特に制限されることなく、通常ショ糖脂肪酸エステル:パラオキシ安息香酸エステル=1:99〜99:1の範囲から選択することができる。 【0020】本発明の抗菌性組成物は、本発明の効果を妨げないことを限度として上記ショ糖脂肪酸エステル及びパラオキシ安息香酸エステル以外の成分として他の抗菌成分を含有することもできる。かかる抗菌成分としては、具体的にはトリクロサン、トリクロロカルバニリド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ハロカルバン、塩酸クロルヘキシジン、ジヒドロファルネソール、イソプロピルメチルフェノール、チモールなどを例示することができる。 【0021】本発明の抗菌性組成物は、皮膚に存在するコリネバクテリウム属菌(Corynebacterium sp.)に対して抗菌作用(殺菌、静菌作用)を有することから、抗菌成分として皮膚外用剤に配合して用いることができる。特に本発明の抗菌性組成物は、腋臭菌に対して優れた殺菌作用を発揮することから腋臭症のための皮膚外用剤の抗菌成分として用いることができる。この場合、本発明の抗菌性組成物の皮膚外用剤への配合割合としては、有効成分であるショ糖脂肪酸エステル及びパラオキシ安息香酸エステルがコリネバクテリウム属菌に対して抗菌効果を発揮する量であればよく、この範囲において特に制限されないが、具体的には皮膚外用剤中にショ糖脂肪酸エステルが0.0004〜20重量%、より好ましくは0.015〜5重量%の範囲で、またパラオキシ安息香酸エステルが0.0001〜1.5重量%、より好ましくは0.015〜1重量%の範囲で含まれることが望ましい。 【0022】また本発明の抗菌性組成物は、その黄色ブドウ球菌に対する抗菌作用(殺菌、静菌作用)から、抗菌成分として皮膚外用剤に配合して用いることができ、化膿防止用皮膚外用剤を調製することができる。この場合、本発明の抗菌性組成物の皮膚外用剤への配合割合としては、有効成分であるショ糖脂肪酸エステル及びパラオキシ安息香酸エステルが黄色ブドウ球菌に対して抗菌効果を発揮する量であればよく、この範囲において特に制限されないが、具体的には皮膚外用剤中にショ糖脂肪酸エステルが0.004〜20重量%、より好ましくは0.1〜5重量%の範囲で、またパラオキシ安息香酸エステルが0.004〜1.5重量%、より好ましくは0.05〜1重量%の範囲で含まれることが望ましい。 【0023】本発明は、かくして調製される皮膚外用剤をも提供するものである。当該皮膚外用剤は、腋臭を防止する目的または化膿を防止する目的で、医薬品、医薬部外品及び化粧料(香粧料)の分野において広く用いることができる。その形態も特に制限されることなく、クリーム、軟膏、ローション、スプレー、エアゾール、乳液、フォーム、洗浄料、並びに上記抗菌剤をシート状基材に含浸させたシート剤、貼付剤またはパップ剤、ロールオン剤等の使用形態に合わせて液状、半固形状、気泡状及び固形状に適宜調製される。 【0024】当該皮膚外用剤は、ショ糖脂肪酸エステル及びパラオキシ安息香酸エステルを成分とする上記抗菌性組成物に加えて、各種形態に応じて、通常外用剤に使用される担体並びに防腐剤、保存剤、安定剤、沈殿防止剤、pH調整剤、香料、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性界面活性剤)、着色剤、清澄剤、粘度調整剤、殺菌抗菌剤、精油等の各種添加剤を配合することができる。かかる担体並びに添加剤としては、人体に安全なものが好ましく、より好ましくは皮膚等に対して刺激性のないものである。 【0025】担体としては、例えば液状形態の場合は、水(例えばイオン交換水)、アルコール(例えばエタノール)、並びに水溶性溶剤(例えばプロピレングリコールやグリセリン等)などを、また固体形態の場合は各種のゲル化剤(例えば、カラギーナンやアルギン酸ナトリウム等の海藻多糖類;グアーガムやタマリンドシードガム等の種子多糖類;アラビアガムやトラガントガムなどの植物樹液多糖類;キサンタンガムやジェランガム等の発酵多糖類;ゼラチン等の蛋白質;カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等);タルクやシリカ等の無機材などを挙げることができる。 【0026】防腐剤としては、安息香酸、ソルビン酸、プロピオン酸、デヒドロ酢酸、サルチル酸、エデト酸及びそれら塩;亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等の無機塩類;ペクチン抽出物などの植物由来成分などを例示することができる。 【0027】沈殿防止剤としては、二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム等の微粒子粉体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等の界面活性剤及びキサンタンガム、ポリエチレングリコール等のゲル化剤等を例示することができる。 【0028】pH調整剤としては、クエン酸、フマル酸、DL-リンゴ酸並びにその塩類;炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸塩類;リン酸、リン酸二水素ナトリウム等のリン酸塩などを例示することができる。 【0029】前述する各種の成分は単に一例を記載したに過ぎず、本発明はこれらの成分に何ら限定されることはない。すなわち本発明の皮膚外用剤には、他の添加成分も含めて、通常外用剤の成分として使用される各種の成分が使用できる。 【0030】本発明の抗菌性組成物は、汗や皮脂分泌物を分解することによって不快臭源を生じるコリネバクテリウム属菌を殺菌し、かつ表皮ブドウ球菌(Staphylococcusepidermidis)の生育を阻止する作用(静菌作用)を有するので、腋臭や汗臭等の体臭の発生の防止に有用である。また、本発明の抗菌性組成物は、化膿菌である黄色ブドウ球菌に対する殺菌作用に優れているので、傷口等の化膿防止に有用である。さらに本発明の抗菌性組成物は、皮膚常在菌である表皮ブドウ球菌に対して静菌的に作用するだけで殺菌作用はないので、該常在菌によって形成される健全な皮膚微生物叢に悪影響を与えず、皮膚本来の自浄機能やバリア機能を損なわない皮膚に優しい皮膚用の抗菌成分として有用である。 【0031】本発明の皮膚外用剤、特に腋臭症用の皮膚外用剤は、コリネバクテリウム属菌、特に腋臭の発生の原因となる腋臭菌に対する殺菌作用ならびに表皮ブドウ球菌に対する静菌作用に基づいて、腋臭や汗臭の発生を防止する効果に優れている。従って、当該皮膚外用剤は、別の観点から腋臭や汗臭の発生を抑制するために使用される防臭剤(防体臭剤)、特に防腋臭剤として位置づけることもできる。 【0032】さらに本発明の抗菌性組成物は、上記皮膚外用剤の形態に調製することによってコリネバクテリウム属菌や表皮ブドウ球菌が存在する皮膚(皮表)に直接塗布する使用態様のほか、スプレーやエアゾールなどの形態や洗濯仕上げ剤やコーティング剤などの形態に調製することによってコリネバクテリウム属菌や表皮ブドウ球菌が付着した(または付着する可能性のある)下着やシャツ等の衣類に噴霧、浸漬またはコーティングする使用態様で用いることができる。 【0033】本発明の抗菌性組成物を、後者のいわゆる衣類用の防臭剤(防体臭剤、防腋臭剤)として使用する場合、当該防臭剤に配合する抗菌性組成物の割合としては、ショ糖脂肪酸エステルの量として0.0004〜20重量%、好ましくは0.1〜5重量%、パラオキシ安息香酸エステルの量として0.0001〜3重量%、より好ましくは0.015〜1重量%の範囲を挙げることができる。 【0034】また本発明の防臭剤(防体臭剤、防腋臭剤)には、本発明の効果を妨げないことを限度として、上記その他の抗菌成分に加えて、衣類用のスプレー剤やエアゾール剤等に配合される公知の防腐剤、保存剤、安定剤、沈殿防止剤、pH調整剤、香料、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性界面活性剤)、清澄剤、粘度調整剤、殺菌抗菌剤等の各種添加剤を配合することができる。かかる担体並びに添加剤としては、人体に安全なものが好ましく、より好ましくは皮膚等に対して刺激性のないものである。 【0035】 【実施例】以下、実験例及び実施例により本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明はかかる実施例等によって何ら制限されるものではない。なお、特に言及しないかぎり、以下に示す%は重量%を意味するものとする。 【0036】実験例1 各種菌に対する殺菌作用(MBC) 表1に示す割合(重量比)でショ糖脂肪酸エステル(脂肪酸の炭素数12〜18)とパラオキシ安息香酸エステル(プロピル)を混合して、これを試験用の抗菌性組成物(No.1〜No.12)として用いて、各種の菌(腋臭菌[Corynebacterium minutissimum](IFO15361)、黄色ブドウ球菌[Staphylococcus aureus](IFO13276)、表皮ブドウ球菌[Staphylococcus epidermidis](ATCC12228))に対する最小殺菌濃度(MBC)を求めた。 【0037】 【表1】
【0038】具体的には、倍数希釈法により、表1記載の割合で混合したショ糖脂肪酸エステルとパラオキシ安息香酸プロピルを配合した Mueller Hinton Broth 液体培地(DIFCO製)に、上記各細菌を接種して35℃で24時間培養し、次いで得られた菌液をSCD寒天培地(Soybean-Casein Digest Agar、日本製薬(株))に接種し再度37℃で24時間培養して、その菌の生育状況から、菌が生育しない抗菌性組成物の最低濃度(最小殺菌濃度、MBC)を求めた。腋臭菌(Corynebacterium minutissimum)に対する結果を図1に、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する結果を図2に示す。なお、図中、パラオキシ安息香酸プロピル単独を用いた実験の結果は「パラベン単独」と、各ショ糖脂肪酸エステル単独を用いた対照実験の結果は脂肪酸の炭素数に合わせて「C12単独」、「C14単独」、「C16単独」または「C18単独」と記載する(以下の図においても同様)。 【0039】腋臭菌(Corynebacterium minutissimum)等のコリネバクテリウム属菌については、図1からわかるようにパラオキシ安息香酸エステルにショ糖脂肪酸エステルを併用することによって、過敏症が懸念されるパラオキシ安息香酸エステルの量をその殺菌効果を損なうことなく顕著に軽減することができ、少量の使用で該菌を殺菌除去できることがわかった。また黄色ブドウ球菌については、図2からわかるようにショ糖脂肪酸エステルとパラオキシ安息香酸エステルとを併用することによって、黄色ブドウ球菌に対する殺菌作用が相乗的に増強することがわかった。一方、表皮ブドウ球菌に対しては特筆すべき殺菌効果は認められなかった(結果示さず)。 【0040】実験例2 各種菌に対する静菌作用(MIC) 実験例1と同様に上記表1に示す割合(重量比)でショ糖脂肪酸エステル(脂肪酸の炭素数12〜18)とパラオキシ安息香酸エステル(プロピル)を混合して、これを試験用の抗菌性組成物として用いて、各種の菌(腋臭菌[Corynebacterium minutissimum](IFO15361)、黄色ブドウ球菌[Staphylococcus aureus](IFO13276)、表皮ブドウ球菌[Staphylococcus epidermidis](ATCC12228)、緑膿菌[Pseudomonas aeruginosa](IFO13275)、バチラス菌[Bacillus subtilis](IFO3134)、大腸菌[Escherichea coli](IFO3972)<以上、細菌>;アスペルギルス菌(糸状菌)[Aspergillus nigar](IFO9455)、黒色真菌[Cladosporium cladosporioides](IFO30313)、カンジダ菌[Candida albicans](IFO1594)<以上、真菌>)に対する最小発育阻害濃度(MIC)を求めた。 【0041】具体的には、倍数希釈法により、細菌については表1記載の各抗菌性組成物を配合した Mueller Hinton Broth 液体培地(DIFCO製)に、上記各細菌を接種して35℃で24時間培養し、菌液の濁度(630nm)がコントロール培地(菌体を入れずに同様に培養した培地)の濁度を超えない抗菌性組成物の最低濃度(最小発育阻害濃度、MIC)を求めた。また真菌については表1記載の各抗菌性組成物を配合したSabouraud Liquid Broth Modified Antibiotic Medium 13 (BBL)培地に、上記各真菌を接種して37℃で培養し、48時間後に発育が認められない抗菌性組成物の最低濃度(最小発育阻害濃度、MIC)を求めた。なお、対照実験として各ショ糖脂肪酸エステル単独、並びにパラオキシ安息香酸プロピル単独についても、同様にして各菌に対する最小発育阻害濃度を測定し、両者の併用による効果を評価した。 【0042】腋臭菌(Corynebacterium minutissimum)に対する結果を図3に、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する結果を図4に、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)に対する結果を図5に、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に対する結果を図6に、バチラス菌(Bacillus subtilis)に対する結果を図7に、大腸菌(Escherichea coli)に対する結果を図8に、アスペルギルス菌(Aspergillus nigar)に対する結果を図9に、黒色真菌(Cladosporium cladosporioides)に対する結果を図10に、及びカンジダ菌(Candida albicans)に対する結果を図11に、それぞれ示す。なお、各図中、各ショ糖脂肪酸エステル単独を用いた対照実験の結果は脂肪酸の炭素数に合わせて「C12単独」、「C14単独」、「C16単独」及び「C18単独」と、またパラオキシ安息香酸プロピル単独を用いた対照実験の結果は「パラベン単独」と記載する。 【0043】この結果からわかるように、ショ糖脂肪酸エステルとパラオキシ安息香酸エステルとを併用することによって、腋臭菌(Corynebacterium minutissimum)等のコリネバクテリウム属菌(図3)、黄色ブドウ球菌(図4)及び表皮ブドウ球菌(図5)に対しては、静菌作用が相乗的に増強することがわかる。特に腋臭菌(Corynebacterium minutissimum)には極めて低い濃度で静菌作用が認められた。このような静菌作用の相乗的な増強は腋臭菌、黄色ブドウ球菌及び表皮ブドウ球菌に対して選択的であった。 【0044】以上の実験例1及び2の結果を総合して考えるに、本発明の抗菌性組成物はショ糖脂肪酸エステルとパラオキシ安息香酸エステルとの併用による相乗効果に基づいて、低濃度で腋臭菌等のコリネバクテリウム属菌に対する殺菌力に優れており、コリネバクテリウム属菌、特に腋臭菌用の抗菌剤として、また腋臭症用の皮膚外用剤として、さらに腋臭防止剤(防腋臭剤)として有用であると考えられる。また、本発明の抗菌性組成物は、汗臭の原因となる表皮ブドウ球菌に対する静菌作用を有しその増殖を有意に抑制できるために、汗臭の発生の防止に使用することもできる(防臭剤(防汗臭剤)等)。さらに本発明の抗菌性組成物は黄色ブドウ球菌の生育や増殖を有意に抑制できるので傷口の化膿防止にも有用であると考えられる。しかも、本発明の抗菌性組成物は表皮ブドウ球菌に対しては高濃度にしても殺菌効果を発揮しないため、皮膚微生物叢を破壊せず皮膚本来の自浄機能やバリア機能を維持することができる。 【0045】ところで、アトピー性皮膚炎患者の皮疹部には黄色ブドウ球菌が高い確率で検出され、またその存在菌数も多いことが知られており、その除菌が必要とされるが、一方でアトピー性皮膚炎患者においては健全な皮膚微生物叢の維持形成を促すことによって皮膚を正常化することも有用であると考えられる。本発明の抗菌性組成物は、前述するように皮膚微生物叢を損なわずに黄色ブドウ球菌に対して選択的に作用することから、アトピー性皮膚炎患者のための皮膚外用剤としても有用である。 【0046】なお、他の細菌、特にアスペルギルス菌、黒色真菌およびカンジダ菌等の真菌(図9〜11)に対してもパラオキシ安息香酸エステルにショ糖脂肪酸エステルを併用することによる抗菌効果が認められることから、ショ糖脂肪酸エステルの併用は、パラオキシ安息香酸エステルの防腐効果を低下させずに該パラオキシ安息香酸エステルの量を低減することが出来る点で有用と考えられた。 【0047】実施例3 防臭力試験ボランティア12名に温度40℃、湿度75%の環境下で運動をしてもらってかいた汗を採取した。これらの汗を4等分(検体1〜4)して、検体1はそのまま(抗菌剤未添加)、検体2には本発明の抗菌性組成物(ショ糖パルミチン酸エステル1000ppm+パラオキシ安息香酸プロピル1000ppm)を添加し、検体3にはショ糖パルミチン酸エステル1000ppmを添加し、検体4にはパラオキシ安息香酸プロピル1000ppmを添加してそれぞれ防臭試験用の試験体1〜4とした。これら試験体1〜4を37℃で1晩振盪培養し、培養後、臭いの専門パネラー11名によって各培養液の臭いを嗅いでもらって、本発明の抗菌性組成物の防臭効果を評価した。結果を図12に示す。 【0048】この結果から、ショ糖脂肪酸エステル、パラオキシ安息香酸エステルの各単独使用、並びにショ糖脂肪酸エステルとパラオキシ安息香酸エステルとの併用によって微生物分解による臭いの発生が有意に抑制され、優れた防臭効果を発揮することがわかった。 【0049】 実施例1 クリーム ショ糖パルミチン酸エステル 0.8% (サーフホープSE COSME C-1616、三菱化学フーズ) ショ糖ミリスチン酸エステル 3.0% (サーフホープSE COSME C-1416、三菱化学フーズ) パラオキシ安息香酸プロピル 0.2% ステアリン酸 13.2% モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 2.0% プロピレングリコール 24.0% グリセリン 6.0% 水酸化ナトリウム 0.6% 精製水 50.2% 合 計 100.0%。 【0050】 実施例2 ローション スクアレン 2.0% グリセリルモノステアレイト 1.2% ステアリン酸 0.8% セタノール 0.4% ショ糖パルミチン酸エステル 1.0% (サーフホープSE COSME C-1616、三菱化学フーズ) パラオキシ安息香酸プロピル 0.2% 1,3-ブチレングリコール 3.0% トリエタノールアミン 0.2% 精製水 91.2% 合 計 100.0%。 【0051】 実施例3 ポンプスプレー ショ糖ラウリン酸エステル 0.8% (サーフホープSE COSME C-1216、三菱化学フーズ) パラオキシ安息香酸ブチル 0.2% エタノール 79.0% イソプロパノール 20.0% 合 計 100.0%。 【0052】 【発明の効果】本発明の抗菌性組成物は、コリネバクテリウム属菌または黄色ブドウ球菌に対して優れた殺菌及び静菌作用を有する。特に本発明の抗菌性組成物は、皮膚常在菌である表皮ブドウ球菌を殺菌することなくその生育を阻止する作用を有するため、皮膚に直接塗布しても該皮膚常在菌による皮膚バリア機能性を損なうことなく、腋臭の発生または傷口等の化膿を防止することができる。このため、本発明の抗菌性組成物は皮膚に優しい腋臭防止用(腋臭症用)の皮膚外用剤の抗菌成分として、防臭剤(防体臭剤、防腋臭剤)の抗菌成分として、また化膿防止用の抗菌成分として有用である。 【0053】本発明の皮膚外用剤及び防腋臭剤は、上記抗菌剤を抗菌成分として含有するため、コリネバクテリウム属菌や黄色ブドウ球菌に対する選択的な抗菌(殺菌・静菌)効果に優れ、かつ表皮ブドウ球菌に対して静菌的に作用する皮膚に優しい製剤である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000186588 【氏名又は名称】小林製薬株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年2月28日(2001.2.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065215 【弁理士】 【氏名又は名称】三枝 英二 (外8名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−255711(P2002−255711A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月11日(2002.9.11) |
| 【出願番号】 |
特願2001−53564(P2001−53564) |
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