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【発明の名称】 繊維製品含浸用薬液組成物
【発明者】 【氏名】大川 雅之

【氏名】大辻 一也

【要約】 【課題】不織布製品などの繊維製品に含浸された薬液の対象物への移行が十分に行われる繊維製品含浸用薬液組成物を提供すること。

【解決手段】油剤からなる有効成分、非イオン界面活性剤及び粘度調整剤を含有し、前記有効成分1重量部に対して前記非イオン界面活性剤が0.5〜4重量部含まれると共に前記粘度調整剤が0.5〜4重量部含まれ、25℃における粘度が10〜40mPa・sである繊維製品含浸用薬液組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 油剤からなる有効成分、非イオン界面活性剤及び粘度調整剤を含有し、前記有効成分1重量部に対して前記非イオン界面活性剤が0.5〜4重量部含まれると共に前記粘度調整剤が0.5〜4重量部含まれ、25℃における粘度が10〜40mPa・sである繊維製品含浸用薬液組成物。
【請求項2】 前記繊維製品が不織布製ブラシである請求項1記載の繊維製品含浸用薬液組成物。
【請求項3】 前記有効成分が、ピレスロイド系殺虫剤、防腐剤、殺菌剤、共力剤、忌避剤及び保留剤の何れか一種以上である請求項1又は2記載の繊維製品含浸用薬液組成物。
【請求項4】 前記非イオン界面活性剤が、脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキレン型非イオン界面活性剤又はアルキルアルカノールアミド型非イオン界面活性剤である請求項1〜3の何れかに記載の繊維製品含浸用薬液組成物。
【請求項5】 前記粘度調整剤は、25℃における粘度が3〜25mPa・sである請求項1〜4の何れかに記載の繊維製品含浸用薬液組成物。
【請求項6】 請求項1記載の繊維製品含浸用薬液組成物が含浸された不織布製ブラシに、水分が70重量%以上である希釈液を所定量付与した後、該不織布製ブラシで対象物をブラッシングして該対象物に前記薬液組成物を施す薬液組成物の付与方法。
【請求項7】 請求項1記載の繊維製品含浸用薬液組成物が所定量含浸されてなる不織布製ブラシ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不織布製品などの各種繊維製品に含浸されて用いられる繊維製品含浸用薬液組成物に関する。また本発明は、前記薬液組成物が含浸された不織布製ブラシ、及び該不織布ブラシを用いて対象物に該薬液組成物を付与する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】出願人は先に特開平11−332650号公報において、動物の皮毛や人体の頭髪のブラッシングに用いられる不織布製のブラシを提案した。このブラシは、安価で実用性が高く、ブラッシング感に優れたものである。
【0003】前記のブラシによれば、該ブラシに各種の効能を有する薬液を含浸させておき、ブラッシングによって該薬液を動物の皮毛や人体の頭髪へ付与することが可能である。しかし薬液に含まれている有効成分は油剤からなるものが多く、該油剤は皮毛や頭髪へ移行しずらい場合があり、また移行したとしても毛の付け根や皮膚まで十分に到達しにくい。
【0004】油剤からなる有効成分を含む薬液としては、例えば特開平4−54104号公報に記載の農園芸用乳剤組成物がある。しかし、この組成物は、水に希釈させ乳化させて用いられるものであり、繊維製品に含浸されて用いられることは全く想定されていない。
【0005】従って、本発明は、不織布製品などの繊維製品に含浸された薬液の対象物への移行が十分に行われる繊維製品含浸用薬液組成物を提供することを目的とする。また本発明は、不織布製品などの繊維製品に含浸された薬液を、対象物へ十分に移行させ得る薬液の付与方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、油剤からなる有効成分、非イオン界面活性剤及び粘度調整剤を含有し、前記有効成分1重量部に対して前記非イオン界面活性剤が0.5〜4重量部含まれると共に前記粘度調整剤が0.5〜4重量部含まれ、25℃における粘度が10〜40mPa・sである繊維製品含浸用薬液組成物を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0007】また本発明は、前記繊維製品含浸用薬液組成物が含浸された不織布製ブラシに、水分が70重量%以上である希釈液を所定量付与した後、該不織布製ブラシで対象物をブラッシングして該対象物に前記薬液組成物を施す薬液組成物の付与方法を提供するものである。
【0008】また本発明は、前記繊維製品含浸用薬液組成物が所定量含浸されてなる不織布製ブラシを提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の繊維製品含浸用薬液組成物(以下、単に薬液組成物もという)は、油剤からなる有効成分、非イオン界面活性剤及び粘度調整剤を含有している。繊維製品に含浸された本発明の薬液組成物が対象物へ円滑に移行するためには、薬液組成物における各成分の配合割合が重要であることを本発明者らは知見した。具体的には、本発明の薬液組成物においては、有効成分1重量部に対して非イオン界面活性剤0.5〜4重量部が、好ましくは0.8〜2重量部、更に好ましくは1〜1.5重量部含まれると共に、粘度調整剤が0.5〜4重量部、好ましくは1〜3.5重量部、更に好ましくは2〜3重量部含まれることで、繊維製品に含浸された本発明の薬液組成物が対象物へ円滑に移行するようになる。
【0010】前記配合割合について更に詳述すると、有効成分1重量部に対する非イオン界面活性剤の配合量が0.5重量部未満であると、本発明の薬液組成物が含浸された繊維製品に後述する希釈液を付与して該薬液組成物を対象物へ移行させる際に、該薬液組成物中の有効成分が確実に乳化せず、ブラッシング等の移行操作によって該有効成分を対象物へ移行させようとしても移行し難い。一方、4重量部超であると、薬液組成物の粘度が高くなり、所定量の希釈液を付与しても該薬液組成物が繊維製品から溶出し難くなる。その結果、ブラッシング等の移行操作によっても、やはり有効成分が対象物に移行し難くなる。
【0011】また有効成分1重量部に対する粘度調整剤の配合量が0.5重量部未満であると、薬液組成物の粘度が高くなり、所定量の希釈液を付与しても繊維製品から薬液組成物が溶出し難くなる。一方、4重量部超であると、溶出物中における有効成分の絶対量が減少し、結果として、ブラッシング等の移行操作1回当たり対象物へ移行する有効成分の量が減るため、移行操作の回数が多くなってしまう。
【0012】本発明の薬液組成物全体における各成分の濃度は次の通りであることが好ましい。即ち、有効成分は、本発明の薬液組成物中に5〜50重量%、特に20〜45重量%含有されることが、有効成分の繊維製品からの溶出性の点から好ましい。同様の理由により、非イオン界面活性剤は、本発明の薬液組成物中に15〜45重量%、特に25〜33重量%含有されることが好ましく、粘度調整剤は、20〜65重量%、特に23〜50重量%含有されることが好ましい。
【0013】繊維製品に含浸された本発明の薬液組成物が対象物へ円滑に移行するためには、薬液組成物の粘度も重要な因子であることが本発明者らの検討により判明した。具体的には、薬液組成物の25℃における粘度が10〜40mPa・s、好ましくは15〜30mPa・s、更に好ましくは20〜25mPa・sであると、繊維製品に含浸された本発明の薬液組成物が対象物へ円滑に移行する。
【0014】薬液組成物の粘度は次の方法で測定される。即ち、B形粘度計を用い、ローターの回転速度60回転/分、温度25℃の条件下で測定する。使用するローターの種類はNo.1ローターある。
【0015】次に、本発明の薬液組成物に配合される各成分の詳細について説明する。有効成分は油剤からなり、対象物に対して何らかの効能を発現するものが用いられる。有効成分としては、ピレスロイド系殺虫剤、防腐剤、殺菌剤、共力剤、忌避剤及び保留剤の何れか一種以上を用いることが好ましい。
【0016】ピレスロイド系殺虫剤としては、ピレスリン、アレスリン、フタルスリン、レスメトリン、ペルメトリン及びフェノトリン(3−フェノキシベンジル−d−シス/トランス−クリサンテマート)などが安全性の点から好ましく用いられる。防腐剤としては、ブチルパラベン、エチルパラベン、レゾルシンなどが用いられる。殺菌剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジンなどが用いられる。共力剤は、他の有効成分、例えば殺虫剤などの分解を抑制するために該他の有効成分と共に用いられるものであり、サイネピリン222、サイネピリン500、ピペロニルブトキシド、セサミンなどが用いられる。忌避剤としては、ディート(N,N−ジエチル−m−トルアミド)、フタル酸ジメチル、シクロヘキサノール、精油などが用いられる。保留剤は、他の有効成分の保留性を良くし、長期間所望の効能を持続させるために該他の有効成分と共に用いられるものであり、ヤシ油、パーム核油、牛脂などの硬化油の水素添加油脂、ステアリン酸グリセリド、軽質流動イソパラフィンなどの揮発性炭化水素油が用いられる。
【0017】非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミドなどが挙げられる。これらの非イオン界面活性剤は、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、人や動物に対する安全性の点から、脂肪酸エステル型、ポリオキシエチレンアルキレン型又はアルキルアルカノールアミド型の非イオン界面活性剤を用いることが好ましい。特に好ましい非イオン界面活性剤は、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。
【0018】粘度調整剤としては、流動パラフィン、プロピレンカーボネート、スクアラン、プリスタン等の飽和炭化水素などが挙げられる。これらの粘度調整剤は、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。特に、粘度調整剤は、25℃における粘度が3〜25mPa・s、とりわけ5〜10mPa・sであることが、有効成分の繊維製品からの溶出性の点から好ましい。
【0019】本発明の薬液組成物には、前述の各成分に加えて、香料、着色剤、消炎剤、抑痒剤、保湿剤、育毛剤などを配合することもできる。これらの成分は、薬液組成物中にそれぞれ0.1〜5重量%、特に0.5〜2重量%配合されることが好ましい。
【0020】次に、本発明の薬液組成物が含浸される繊維製品について説明する。繊維製品としては、各種合成樹脂の繊維から構成される製品、及びパルプ繊維などの天然繊維から構成される製品の双方が包含される。合成樹脂の繊維から構成される製品としては、不織布製のブラシや不織布製のシートなどが挙げられる。一方、天延繊維から構成される製品としては、パルプ製のブラシやティッシュペーパーなどが挙げられる。特に、使い勝手や有効成分の溶出性の点から、繊維製品は不織布製品であることが好ましい。以下、本発明の薬液組成物が含浸される繊維製品として不織布製のブラシを例にとり図1及び図2を参照しながら説明する。
【0021】図1及び図2に示すブラシ1は、動物の皮毛や人間の頭髪のブラッシングに好適に用いられるものであり、不織布製のブラシ基板11及び該基板11の一面に該基板11の一部を突出させて形成した多数の突起12を有している。突起12は、ブラシ基板11の一面に互いに等間隔に形成されており、それぞれ、同じ大きさで内部が中空の山型形状をしている。基板11における突起形成面と反対側の面は、液不透過性のフィルム13で被覆されている。
【0022】突起12は、2〜40個/10cm2、特に3〜20個/10cm2の密度で形成されていることが好ましい。突起12の高さは3〜30mm、特に5〜20mmであることが髪が整えられる感覚が良好であることや薬液組成物が毛の付け根又は皮膚まで到達し易い点から好ましい。突起12はその基部における直径が5〜15mm、特に7〜12mmであることが、突起12の強度保持及び髪が整えられる感覚が良好である点から好ましい。突起12間の距離は、その大きさ及び密度により自ずと決定されるが、5〜22mm、特に10〜18mmであることが好ましい。
【0023】ブラシ基板11は縦長形状であり前後端縁が円弧状となっている。基板11の前端部11aには、長さの短い切り込み21a,21aが左右それぞれに設けられている。一方、基板11の後端部11bには、後端縁に沿った形状の長い切り込み21bが設けられている。ブラシ1の使用時には、切り込み21bに手のひら全体を通し、ブラシ基板11の裏面側を手のひら全体で支え、且つ切り込み21a,21aに人差し指及び薬指を通し、ブラシ1を把持する。
【0024】ブラシ1を構成する不織布としては、例えばスパンレース不織布、スパンボンド不織布、サクション不織布、ヒートボンド不織布、メルトブローン不織布、及びニードルパンチ不織布が挙げられる。これらの不織布の坪量は、好ましくは50〜500g/m2 、更に好ましくは200〜300g/m2 である。
【0025】不織布を構成する繊維としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドの単独繊維若しくは2以上の混合繊維、及びこれらの繊維から形成された芯鞘構造又はサイドバイサイド構造を有する複合繊維が挙げられる。特に、突起の成形性及び嵩高さの点から芯鞘構造の複合繊維が好ましい。不織布を構成する繊維の径は、突起12に適度な圧縮強度を与える上で1〜100デニールが好ましい。
【0026】本発明の薬液組成物は、ブラシ1の重量に対して20〜200%、特に50〜120%含浸されることが、有効成分の繊維製品からの溶出性の点から好ましい。含浸の方法に特に制限はなく、例えば噴霧、塗布、ディッピングなどの方法を用いることができる。
【0027】本発明の薬液組成物が所定量含浸されたブラシ1は、そのまま動物の皮毛や人間の頭髪のブラッシングに供することができる。しかしながら、薬液組成物が含浸されたブラシ1に、水分が70重量%以上である希釈液を噴霧等の手段によって所定量付与した後、該ブラシ1で対象物である動物の皮毛や人間の頭髪をブラッシングして、これらに前記薬液組成物を施すことが、効率的に薬液組成物を付与できることから好ましい。通常、油剤からなる有効成分を含む薬液組成物に単に水を加えただけでは該薬液組成物が乳化しないが、本発明の薬液組成物は前述の配合割合で構成されているので、本発明の薬液組成物が含浸されたブラシ1に単に希釈液を付与するだけで薬液組成物が自己乳化し、油剤からなる有効成分が毛や皮膚に円滑に移行する。また、この場合、ブラシ1の裏面側には液不透過性のフィルムが貼り付けられているので、ブラシ1に含浸された薬液組成物が手に付着して手が汚れることもない。
【0028】希釈液の付与量は、薬液組成物の移行に臨界的なものではなく、適量でよいが、一般に、薬液組成物の重量に対して100〜1700%、特に400〜800%であることが経済性などの点から適当である。
【0029】希釈液としては、水分が70重量%以上のものであれば、その種類に特に制限はない。勿論、水分が100重量%であってもよい。水分が70重量%未満では、有効成分の繊維製品からの溶出性が低下する。希釈液に消臭効果やブラシ1の櫛通りの良さを付与するためには、希釈液が、水溶性金属塩0.03〜5重量%、非イオン界面活性剤0.01〜5重量%、シリコーンオイル0.1〜10重量%及び水残部からなることが好ましい。
【0030】水溶性金属塩としては、好ましくは25℃における溶解度が0.1g/(100g水)以上のものが用いられる。金属塩を構成する金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、IIIA族金属又は周期律表の第4周期の遷移金属が好ましく用いられる。アルカリ金属としてはナトリウム及びカリウム等が用いられ、アルカリ土類金属としてはマグネシウム及びカルシウム等が用いられる。IIIA族金属としてはアルミニウム等が用いられ、また周期律表の第4周期の遷移金属としては鉄、銅及び亜鉛等が用いられる。金属塩を構成する塩としては、1価ないし3価のアニオンを形成するものが用いられ、特に塩化物、水酸化物及び炭酸化合物等が好ましく用いられる。金属塩の好ましい具体例としては、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸マグネシウム等が挙げられる。
【0031】非イオン界面活性剤としては、脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤、ポリオキシアルキレン型非イオン界面活性剤、アルキルアルカノールアミド型非イオン界面活性剤又はアルキルグルコシド型非イオン界面活性剤が好ましく用いられる。
【0032】シリコーンオイルとしては、ポリシロキサン等が用いられる。ポリシロキサンの具体例としては、ジメチルポリシロキサン及びメチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。また、各種変性シリコーンオイル、例えばフッ化変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル及びアルキル変性シリコーンオイル等を用いることもできるが、人体や動物への安全性の点から未変性シリコーンオイルを用いることが好ましい。シリコーンオイルとしてポリシロキサンが用いられる場合、その重合度は30〜20000、特に80〜3000であることが、使用するときに低粘度で取り扱い易く、且つ皮膚や毛にさらさらした感覚を与える点から好ましい。
【0033】本発明の薬液組成物が所定量含浸されたブラシ1に前述の希釈液を付与した後に、該ブラシ1によって対象物をブラッシングすることで、該対象物に所望の効能が発現する。例えば、薬液組成物に有効成分として殺虫剤及び/又は忌避剤が含有されている場合には、該薬液組成物が含浸されたブラシによって動物の皮毛をブラッシングすることで、動物に付着している蚤の殺虫及び/又は忌避をすることができる。
【0034】本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、前記実施形態においては不織布製のブラシに薬液組成物を含浸させたが、これに代えて不織布シートや紙に薬液組成物を含浸させてもよい。薬液組成物が含浸された不織布シートや紙は、例えば有効成分として忌避剤が用いられている場合には虫よけシートとして使用できる。
【0035】
【実施例】〔実施例1〜5及び比較例1〜3〕表1に示す成分を、同表に示す重量部数で配合して薬液組成物を調製した。得られた薬液組成物の25℃における粘度は表1に示す通りである。得られた薬液組成物を、図1及び図2に示す不織布製のブラシに含浸させた。含浸量はブラシの重量に対して58%であった。
【0036】ブラシは次の方法で製造した。芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維とポリプロピレン繊維とを混綿し、カード機を用いてウエブを製造した。このウエブを一対のヒートロール間に通して坪量275g/m2の不織布となし、更に雄雌金型を用いてプレス成形して得た。金型温度は120〜200℃、プレス圧力は0.5〜20kgf/cm2、プレス時間は3〜15秒とした。ブラシの裏面側(突起形成面と反対側)には、ポリエチレン製のフィルムをヒートシールで貼り付けた。
【0037】薬液組成物が含浸されたブラシについて、次の方法で薬液組成物の溶出性及び殺虫効果を評価した。その結果を表1に示す。
【0038】〔薬液組成物の溶出性〕薬液組成物が含浸されたブラシを25℃で24時間放置後、ブラシに希釈液を3g噴霧した(含浸された薬液組成物の重量に対して90%)。希釈液は、塩化カルシウム0.5重量%、アルキルグルコシド0.05重量%、ジメチルポリシロキサン(重合度2700)0.7重量%、エタノール5重量%、メチルパラベン0.3重量%及び残部水からなっていた。30cm×30cmの大きさのセントバーナード皮革に、希釈液が噴霧された後のブラシを、塗擦長さ30cmで10回塗擦した。この操作を5回繰り返した後のブラシの重量を測定し、塗擦前のブラシ重量との重量差を算出した。サンプルを3個用いて測定を行い、重量差の平均値を求めた。重量差の平均値が1g以上である場合を◎、0.6g以上1g未満である場合を○、0.2g以上0.6g未満である場合を△、0.2g未満である場合を×として薬液組成物の溶出性を評価した。
【0039】〔殺虫効果〕薬液組成物が含浸されたブラシを25℃で24時間放置後、ブラシに前述の組成を有する希釈液を3g噴霧した(含浸された薬液組成物の重量に対して90%)。10匹の蚤を付着させた生後2ヶ月の日本猫の体に、希釈液が噴霧された後のブラシを10回塗擦した。この操作を3回繰り返した。猫を一日放置後、ヤハシ(株)製の蚤取り櫛を用いて、猫の体に付着している蚤を採集し、殺蚤率を求めた。サンプルを3個用いて測定を行い、殺蚤率の平均値を算出した。殺蚤率の平均値が90%以上である場合を◎、70%以上90%未満である場合を○、50%以上70%未満である場合を△、50%未満である場合×として殺虫効果を評価した。
【0040】
【表1】

【0041】表1に示す結果から明らかなように、各実施例においては、薬液組成物が対象物へ効率よく移行し、所望の効能が発現していることが判る。これに対して比較例では薬液組成物の移行が十分でなく、所望の効能が十分に発現していない。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、不織布製品などの繊維製品に含浸された薬液組成物が、動物の皮毛や人間の頭髪などの対象物へ十分に移行する。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成13年3月2日(2001.3.2)
【代理人】 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修 (外1名)
【公開番号】 特開2002−255702(P2002−255702A)
【公開日】 平成14年9月11日(2002.9.11)
【出願番号】 特願2001−57560(P2001−57560)