| 【発明の名称】 |
原虫用凍結保護剤及び凍結溶解後の希釈液 |
| 【発明者】 |
【氏名】竹森 隆弘
【氏名】宮原 徳治
【氏名】銀永 明弘
|
| 【要約】 |
【課題】原虫の凍結保存に有効な凍結保護剤及び凍結融解後の希釈液を提供する。
【解決手段】原虫の凍結保存液中に凍結保護剤として、グリセリン、トレハロース、さらに選択的にポリビニルピロリドンを用いることにより、原虫の凍結保護効果が認められた。さらに、当該凍結保存液の凍結融解後の希釈液として、上記と同組成の保護剤を添加させることにより、希釈後の原虫生存率の低下を防止することが可能となった。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 グリセリン及びトレハロースを含有することを特徴とする原虫用凍結保護剤。 【請求項2】 グリセリン、トレハロース、及び選択的にポリビニルピロリドンを含有することを特徴とする請求項1記載の凍結保護剤。 【請求項3】 各々終濃度として、グリセリン10%〜20%、トレハロース0.1M〜0.5M、ポリビニルピロリドン0.1%〜0.5%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の凍結保護剤。 【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載の凍結保護剤及び原虫を含有する凍結保存液の凍結融解後の希釈液において、グリセリン及びトレハロースを含有することを特徴とする希釈液。 【請求項5】 グリセリン、トレハロース、及び選択的にポリビニルピロリドンを含有することを特徴とする請求項4記載の希釈液。 【請求項6】 各々終濃度として、グリセリン10%〜20%、トレハロース0.1M〜0.5M、ポリビニルピロリドンまたはフィコール0.1%〜0.5%を含有することを特徴とする請求項4または5に記載の希釈液。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、原虫用凍結保存液及び凍結融解後の希釈液に関する。 【0002】 【従来技術及び発明が解決しようとする課題】従来、原虫を凍結保存する場合、その凍結保存液に凍結保護剤としてグリセリンが添加されているが、グリセリンのみでは凍結により原虫の生存率が低下し、十分な凍結保護効果が認められない。また原虫は、凍結保存後、融解し希釈されると、さらにその生存率が低下してしまう。従って、本発明は、原虫の凍結保存に有効な凍結保護剤及び凍結融解後の希釈液を提供することにある。 【0003】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明者らは、原虫の凍結保存液中に凍結保護剤として、グリセリン、トレハロース、さらに選択的にポリビニルピロリドン(以下、PVPと称することもある)を添加させることにより、原虫の凍結保護効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。さらに本発明者らは、当該凍結保存液の凍結融解後の希釈液として、上記と同様にグリセリンに加えトレハロース、さらに選択的にポリビニルピロリドンを含有する希釈液を使用することにより、希釈後の原虫生存率の低下を防止することが可能であることを見出した。 【0004】 【発明の実施の形態】本発明の原虫の凍結保存剤としての組成は、基礎浮遊液にグリセリン(終濃度10%〜20%)とトレハロース(終濃度0.1M〜0.5M)を含有することである。さらに、上記組成に選択的にポロビニルピロリドンなどの高分子剤(終濃度0.1%〜0.5%)を添加したものが使用される。その他の添加剤については凍結される原虫に応じて適宜選択することができる。また、基礎浮遊液としては、PBS-やハンクスあるいは、Lake液など特に限定はされるものではない。 【0005】凍結される原虫は、タイレリア属、バベシア属、トリパノソーマ属などであるが特に限定はされない。 【0006】また、凍結及び保存に用いる機材としては、プログラムフリーザーあるいは−80℃以下の保冷能力有するディープフリーザーが利用可能である。さらに凍結保存には液体窒素保存容器も使用可能である。 【0007】以下に実施例により本発明を詳述するが、本実施例に限定されるものではない。 【0008】 【実施例】《実施例1》表1に示すようにタイレリア属であるTheileria sergentiを用いて、グリセリンにトレハロースを加え更にポリビニルピロリドンを添加することによる凍結保存液としての効果を確認する実験を行った。基礎浮遊液のLake液に終濃度として、20%グリセリン、0.5Mトレハロース、及び0.5%ポリビニルピロリドンを添加した凍結保存液を用いた。また、対照として、20%グリセリンを含有するLake液を用いた。予め原虫に感染させたフタトゲチマダニより外科的に唾液腺を摘出し、基礎浮遊液中でホモジナイズした。本原虫浮遊液を上記各凍結保存液で、原虫の含有量が1×103〜5×103個/mlとなるように浮遊させた。この浮遊液を−80℃のディープフリーザーで急速凍結し、液体窒素内で1ヵ月以上保存した。 【0009】その後、融解し、同原虫に感染していない牛(2〜5カ月齢)5頭ずつに対してそれぞれ頸部皮下に注射した。原虫の凍結保存効果の判定は、注射した牛の血液を継時的に採取し血液塗抹した後ギムザ染色により原虫の有無を確認することにより行った。その結果は、表1に示す通り、グリセリンのみを凍結保護剤として使用した場合、原虫の凍結保存効果は低く1頭の牛も感染することはなかったが、グリセリン、トレハロース及びポリビニルピロリドンを添加した場合、5頭とも原虫感染が認められた。このように、グリセリン、トレハロース及びポリビニルピロリドンを凍結保護剤として添加することにより、原虫の凍結保存効果は向上した。 【0010】 【表1】
【0011】《実施例2》同凍結保存液が原虫の凍結融解後の希釈液としての効果について検討した。実施例1と同様に原虫を凍結保存後、融解し、同凍結保存液、またはPBS-で10倍に希釈したものを、それぞれ非感染牛4頭に注射した。原虫の生存確認の方法も実施例1と同法により実施した。その結果を表2に示す。グリセリン、トレハロース及びPVPを含有する希釈液で希釈後、接種した牛では4頭全てにおいて原虫感染が認められたが、PBS-で希釈した場合は、原虫感染は認められなかった。よって、グリセリン、トレハロースと選択的に添加したポリビニルピロリドンは原虫の凍結融解後の希釈液としても有効であることが明らかとなった。 【0012】 【表2】
【0013】 【発明の効果】本発明により、原虫の凍結保存に有効な凍結保護剤が提供される。また、凍結融解後の希釈操作において、希釈液に同様の凍結保護剤を添加することにより、原虫の生存率に悪影響を及ぼさない希釈液が提供される。本発明の発明の用途としては、研究以外にワクチンの製造等、獣医領域や畜産分野などに広く利用が期待される。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000173555 【氏名又は名称】財団法人化学及血清療法研究所
|
| 【出願日】 |
平成13年2月28日(2001.2.28) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2002−255701(P2002−255701A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月11日(2002.9.11) |
| 【出願番号】 |
特願2001−55123(P2001−55123) |
|