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【発明の名称】 殺ダニ組成物および殺ダニ方法
【発明者】 【氏名】桑原 保正

【氏名】野村 美治

【氏名】篠原 美千代

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 炭素数が4から18の直鎖脂肪酸(但し、オレイン酸を除く)から選ばれた1種以上の化合物を有効成分とする殺ダニ組成物。
【請求項2】 請求項1記載の殺ダニ組成物を用いる事を特徴とする殺ダニ方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、殺ダニ組成物および殺ダニ方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、建築技術の進歩に伴う住居の高い密閉性、エアコンの普及およびカーペット類の敷設等により、ダニ類の生息に好条件の環境が整えられ、ダニの繁殖を助長しているのが実状である。しかし、ダニ、シラミ等の衛生害虫と称される小動物は、伝染病の媒介の他に吸血、刺咬および寄生等の人体に対して、肉体的あるいは精神的苦痛を与え、また、このダニが小児喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎等のアレルギー源となる。このため、これらのダニの効果的な駆除が要望されている。
【0003】この要望に応えるため各種の化合物の殺ダニ活性が調べられている。例えば野田および弊社は培地混入法および角ろ紙法によるケナガコナダニ、コナヒョウヒダニに対する各種薬剤の効力比較を行っている(ペストロジー学会誌 6(1):50(1991))。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】前記のように一般家庭の室内に発生、生息するダニ類は、単に体が小さいだけでなく、一般に小さな隙間等に生息しているため肉眼により簡単に存在を確認することは非常に難しく、駆除は困難である。
【0005】
【問題点を解決するための手段】本発明は、上記のような事情に鑑みなされたもので、種特異性がなく、ダニ類全体に対して優れた殺ダニ活性を発揮する殺ダニ組成物の提供を目的として行った。その結果炭素数が4から18の直鎖飽和脂肪酸が殺ダニ活性を有することを発見し、それを利用して本発明を完成した。
【0006】すなわち本発明はつぎの(a)および(b)に係る。
【0007】(a)炭素数が4から18の直鎖脂肪酸(但し、オレイン酸を除く)から選ばれた1種以上の化合物を有効成分とする殺ダニ組成物。
【0008】(b)請求項1記載の殺ダニ組成物を用いる事を特徴とする殺ダニ方法。
【0009】本発明の炭素数が4から18の直鎖脂肪酸としては、飽和または不飽和の炭素数が4から18、好ましくは4から12、より好ましくは5から10の直鎖脂肪酸が例示できる。さらに直鎖脂肪酸に付与されたカルボキシル基の数は1個または複数でも良いが、好ましくは1個が良い。この直鎖脂肪酸としては、例えば炭素数13から18の直鎖脂肪酸ではステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸およびγ−,α−リノレン酸が示される。そして炭素数4から12の直鎖脂肪酸では吉草酸、カプロン酸、オクタン酸、ペラルゴン酸およびn−カプリン酸などが例示できる。
【0010】更に、これらの炭素数が4から18の直鎖脂肪酸は、従来例に記載の炭素数14から18までの直鎖脂肪酸のメチルエステルおよびエチルエステル、あるいは食品フレーバーであるチョコレートフレーバー、アーモンドフレーバー、チーズフレーバー、鰹フレーバー、バターフレーバーおよびごまフレーバーなどおよびトリグリセリドなどから選ばれる1種以上と混合して使用することができる。
【0011】本発明のダニ類としては、前気門亜目、中気門亜目、無気門亜目のダニ類があり、前気門亜目としてはフトツメダニあるいはミナミツメダニ等のツメダニ類、ホコリダニ類、中気門亜目としてはヤドリダニ類、トリサシダニ類、無気門亜目としてはコナヒョウヒダニあるいはヤケヒョウヒダニなどのヒョウヒダニ類、ケナガコナダニあるいはムギコナダニ等のコナダニ類やササラダニ類がある。特に無気門亜目は寝具類にいるダニ類の大多数を占めており、これはヒョウヒダニ類にあたるヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニあるいはコナダニ類にあたるケナガコナダニ、ニクダニなどが例示できる。また近年普及してきた羽毛ふとんなどに付着が見られるウモウダニも重要な対象ダニ類である。そして住居内に迷入してくるダニ類としてイエダニ、トリサシダニ、ワクモ類およびササラダニ類等が上げられる。
【0012】本発明の殺ダニ組成物としては、当該脂肪酸から選ばれた少なくとも1種の脂肪酸をそのまま用いることができるが、通常は固体担体または液体担体に保持させた後、必要に応じ塗膜形成剤、乳化剤、固着剤、分散剤、湿潤剤、安定剤、噴射剤、揮散調整剤等を適宜添加することにより、油剤、乳剤、水和剤、噴霧剤、エアゾール剤、燻煙剤、塗布剤、洗浄剤、シャンプー、粉剤、粒剤、カプセル剤等の製剤として用いることができる。
【0013】ここで製剤に用いられる固体担体としては、例えばケイ酸、カオリン、活性炭、ベントナイト、ケイソウ土、タルク、炭酸カルシウム等の鉱物性粉末;小麦粉、澱粉等の植物性粉末;ポリ塩化ビニル粉末等の合成ポリマーの粉末などが挙げられ、また液体担体としては、例えば、水;ヘキサン、ケロシン、灯油等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭素水素類;エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル等のエステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルホルムアミド等の酸アミド類;大豆油、綿実油等の植物油などが挙げられる。
【0014】また、塗膜形成剤としては、例えば、セルロース誘導体、ビニル系樹脂、アルキッド系樹脂、ユリア系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ゴムおよびポリビニルアルコール等が挙げられ、乳化剤、固着剤、分散剤としては、例えば、石けん類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、高級アルコールの硫酸エステルおよびアルキルアリルスルホン酸塩等の界面活性剤が挙げられ、噴射剤としては、例えば、液化石油ガス、ジメチルエーテル、窒素ガス、液化炭酸ガスおよびペンタン(iso−,n−などの異性体を含む)等が挙げられ、揮散調整剤としては、例えば、トリシクロデカン、シクロドデカン、2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンおよびトリメチレンノンボルネン等が挙げられる。
【0015】また、上述の有効成分をパラジクロロベンゼン、ナフタリン、トリオキサンまたは樟脳等の昇華性防虫剤と併用することにより、昇華性固剤とすることもできる。
【0016】さらに本発明の殺ダニ組成物には、従来より用いられている各種殺虫剤、殺ダニ剤、共力剤、害虫およびげっ歯類忌避剤、殺菌剤、防黴剤、消臭剤、芳香剤および着色料を配合することもできる。例えば共力剤または殺ダニ剤として、ピペロニルブトキサイド、オクタクロロジプロピルエーテル、N−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ〔2,2,2〕オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチニル)−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドなどが用いることができ、害虫およびげっ歯類忌避剤として2,3,4,5−ビス(△−ブチレン)−テトラヒドロフルフラール、N,N−ジエチル−m−トルアミド、ジ−n−プロピルイソシンコロメート、ジ−n−ブチル酢酸、2−ハイドロキシエチルオクチル硫酸、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、シクロヘキシミド、β−ニトロスチレンシアノアクリルニトリル、トリブチル錫塩酸塩、トリニトロベンゼン−アニリン複合体、ナフタリン等を用いることができる。そして、各種殺虫剤または殺ダニ剤としては、d−フェノトリン(3−フェノキシベンジル d−シス/トランス−クリサンテマート)、ペルメトリン(3−フェノキシベンジル dl−シス/トランス−2,2−ジメチル−3−(2’,2’−ジクロロビニル)−シクロプロパンカルボキシレート)、レスメトリン((5−ベンジル−3−フリル)メチル dl−シス/トランス−クリサンテマート)、アレスリン(dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル dl−シス/トランス−クリサンテマート)、フタルスリン((N−3,4,5,6,7−テトラヒドロ−フタルイミド)メチル dl−シス/トランス−クリサンテマート)、エムペントリン(1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル dl−シス/トランス−クリサンテマート)、1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル−2,2,3,3,−テトラメチル−シクロプロパンカルボキシレート、1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル−2,2−ジメチル−3−(2’,2’−ジクロロビニル)−シクロプロパンカルボキシレート、d,dT80−プラレトリン (d−2−メチル−4−オキソ−3−プロパルギルシクロペント−2−エニル d−シス/トランス−クリサンテマート)およびテフルスリン(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル−3−(2’−クロロ−3’,3’,3’−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート)、ベンフルスリン(2,3,5,6−テトラフルオロベンジル d−トランス−クリサンテマート)などおよびこれらの幾何異性体および光学異性体や誘導体、類縁体などが用いられる。さらに従来より用いられている殺ダニ剤、例えば特願平4−300636号に記載されているパラオキシ安息香酸エステル、ヨウ素化ホルマール、フェノール類、フタル酸エステル、3−ブロモ−2,3−ヨード−2−プロペニル−エチルカルボナート、モノテルペン系ケトン類、モノテルペン系アルデヒド類、モノテルペン系エポキサイド類、サリチル酸フェニルなどが用いられる。
【0017】そして、殺菌剤、防黴剤としては、2,4,4’−トリクロロ−2’−ハイドロキシジフェニルエーテル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロライド、ベンジルメチル−{2−〔2−(p−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノキシ)エトキシ〕エチル}アンモニウムクロライド、4−イソプロピルトロポロン、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルフォンアミド、2−(4’−チアゾリル)ベンズイミダゾール、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、6−アセトキシ−2,4−ジメチル−m−ジオキシン、イソプロピルメチルフェノール、0−フェニルフェノール、p−クロロ−m−キシレノール等が用いられ、消臭剤としては、ラウリル酸メタアクリレートなど、そして、芳香剤としてはイグサの精油成分、シトロネラ、レモン、レモングラス、オレンジ、ユーカリ、ラベンダー等が用いられる。
【0018】本発明の殺ダニ組成物中の前記有効成分の配合量はその剤型、適用方法及び適用場所等に応じて適宜決定することができるが、全組成中に有効成分を合計で、水和剤や乳剤の場合は0.01〜50重量%、油剤やエアゾール剤の場合は0.01〜40重量%配合するのが好ましく、この収納容器も適用にあった形式が好ましい。例えば、エアゾール剤においては適用場所に噴霧・塗布し易いよう、針状あるいは小径のチューブ状のノズルを採用したり、微細な粉剤においてはその飛散を押さえうる形状が好ましい。
【0019】かくして、上記のとおり調製された本発明の殺ダニ組成物を、床面、畳、カーペット、布団、ソファー、枕、押し入れなどには散布、噴霧、塗布、蒸散又は設置したり、あるいは人やペットなどの洗浄剤等として用いることで殺ダニ処理できる。
【0020】そして、本発明の殺ダニ組成物は上述の剤型の他に、当該脂肪酸を適当な基材に保持させることによって、殺ダニ成分を有するフィルム、シート、建築、構築材料などの殺ダニ材とすることも可能である。ここで用いられる基材としては例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の合成樹脂シート:動植物繊維又は無機質繊維体(紙、布、不織布、皮革等):上記合成樹脂と動植物繊維体又は無機質繊維との混合シート、混紡布、又は、不織布:アルミニウム、ステンレス銅、亜鉛などの金属の箔又はフィルム:上記各種シートの積層物:及び建築・構築材料とする各種天然木材やプラスチックの成型物などが挙げられる。これらの基材に、本発明の殺ダニ組成物またはダニ類の誘殺組成物を塗布、含浸、滴下、混練等により保持させれば殺ダニ材が得られる。基材中の保持量は特に制限はなく適宜決定でき、上記基材への含浸による場合は、通常飽和含浸量となる量で用いることができる。さらに、殺ダニ材として本発明の殺ダニ組成物またはダニ類の誘殺組成物で処理した繊維もしくはウレタンを、寝具類、ソファーまたはぬいぐるみなどの充填物として入れて使用することもできる。
【0021】かくして得られた殺ダニ材の好ましい実施態様としては、例えば畳、カーペット、ソファー、寝具、ぬいぐるみ等の下に設置する方法が挙げられる。この場合設置面積1m2 当り有効成分を約0.3から20g、好ましくは0.5から5g保持させることによって、有効成分の徐放化が可能となり殺ダニ効果を長持ちさせることができる。
【0022】
【作用】本発明は、殺ダニ組成物を処理した周辺のダニ類を処理した場所に誘引して、殺ダニ成分に容易に接触させることができる。
【0023】
【実施例】次に、試験例および実施例にて本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。そして本実施例に用いたダニ類はコナヒョウヒダニ(以下「D.f.」という)、ケナガコナダニ(以下「T.p.」という)、およびコオノホシカダニ(以下「L.k.」という)を用いた。
【0024】(試験例1)黒紙(10×5cm)に脂肪酸のアセトン溶液を0.5/m2 となるように均一に滴下処理し、室内に数時間放置した。そしてその黒紙を二つ折りにして折り目以外の2辺をクリップで留め、折った黒紙中に生ダニを約50頭入れ、残りを辺をクリップで留め完全に密封した。24時間後にこのクリップをはずし、実体顕微鏡下でダニの生死を判定した。
【0025】そして致死率およびノックダウン率を下記の式1(ノックダウン率を求める場合は、式中の「致死」を「ノックダウン」に読みかえる)により求め、結果は2回の試験の平均を表1に示す。
【0026】
【式1】

【0027】
【表1】

【0028】(実施例1)乳剤ペラルゴン酸10重量%を、乳化剤のソルビタンモノステアレート10重量%と、溶剤の灯油70重量%と混合して均一な殺ダニ組成物を調製した。
【0029】(実施例2)粉剤ペラルゴン酸1重量%およびd−フェノトリン1重量%を、基材の無水ケイ酸1重量%およびタルク97重量%の混合物中にを混合して、均一な殺ダニ組成物を調製した。
【0030】(実施例3)エアゾール剤n−カプリン酸1g、サリチル酸フェニル10gおよびフタル酸ジエチル4gを1号灯油200mlに混合撹拌して原液を調製し、エアゾール容器に充填して、バルブ部分を取付けた後、該バルブ部分を通して液化石油ガス100ml及び液化炭酸ガス5mlを加圧充填して殺ダニ組成物を調製した。
【0031】(実施例4)エアゾール剤ペラルゴン酸1g、サリチル酸フェニル15g、フタル酸ジエチル8gおよびd−フェノトリン0.9gを、更に灯油200mlに溶解して原液調製し、エアゾール容器に充填して、バルブ部分を取付けた後、該バルブ部分を通してジメチルエーテル100mlを加圧充填して殺ダニ組成物を調製した。
【0032】
【発明の効果】以上のように、この発明は、特定の脂肪酸を有効成分とするものであり、その殺ダニ組成物を用いることで殺ダニ処理すべき処理範囲を小さくすることができ、室内に処理した場合、人と殺ダニ成分が接触する機会を少なくすることができる。
【出願人】 【識別番号】000100539
【氏名又は名称】アース製薬株式会社
【出願日】 平成5年3月9日(1993.3.9)
【代理人】 【識別番号】100072213
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義
【公開番号】 特開2002−249405(P2002−249405A)
【公開日】 平成14年9月6日(2002.9.6)
【出願番号】 特願2001−395760(P2001−395760)