| 【発明の名称】 |
切り花の品質改良剤及び品質改良方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】永友 清
【氏名】高田 正保
【氏名】山本 幹男
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| 【要約】 |
【課題】切り花の見栄えを良くすると共に、延命効果をも有し、かつ安全性が高く、安価な、切り花の品質改良剤及び品質改良方法を提供する。
【解決手段】切り花の品質改良剤の有効成分としてニゲロオリゴ糖を含有させる。この品質改良剤を希釈して、ニゲロオリゴ糖を含有する水溶液を調製し、この水溶液に切り花の切り口を浸漬させるか、又は前記水溶液を切り花に噴霧することにより、前記水溶液を切り花に接触させる。これにより、切り花の開花数の増大、花のサイズ及び質量の増大、及び花穂の伸長効果を付与すると共に、切り花の延命効果を付与する。この切り花の品質改良剤及び品質改良方法は、ゴマノハグサ科又はリンドウ科に属する切り花に特に好ましく適用される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有することを特徴とする切り花の品質改良剤。 【請求項2】 ニゲロオリゴ糖を0.01〜50質量%含有し、使用時に1〜50倍の間で希釈して使用するものである請求項1記載の切り花の品質改良剤。 【請求項3】 ゴマノハグサ科又はリンドウ科に属する切り花に適用される請求項1又は2記載の切り花の品質改良剤。 【請求項4】 切り花の開花数の増大、花のサイズ及び質量の増大、及び花穂の伸長効果から選ばれた少なくとも1種の効果を付与するために用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の切り花の品質改良剤。 【請求項5】 切り花の延命効果を付与するために用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の切り花の品質改良剤。 【請求項6】 切り花にニゲロオリゴ糖を含有する水溶液を接触させることを特徴とする切り花の品質改良方法。 【請求項7】 前記水溶液がニゲロオリゴ糖を0.01〜50質量%含有するものである請求項6に記載の切り花の品質改良方法。 【請求項8】 ニゲロオリゴ糖を含有する前記水溶液に切り花の切り口を浸漬させるか、又は前記水溶液を切り花に噴霧することにより、前記水溶液を切り花に接触させる請求項6又は7に記載の切り花の品質改良方法。 【請求項9】 前記切り花がゴマノハグサ科又はリンドウ科に属するものである請求項6〜8のいずれか一つに記載の切り花の品質改良方法。 【請求項10】 切り花の開花数の増大、花のサイズ及び質量の増大、及び花穂の伸長効果から選ばれた少なくとも1種の効果を付与するための方法である請求項6〜9のいずれか1つに記載の切り花の品質改良方法。 【請求項11】 切り花の延命効果を付与するための方法である請求項6〜9のいずれか1つに記載の切り花の品質改良方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、切り花の開花数の増大、花のサイズ及び質量の増大、花穂の伸長効果、更には切り花の延命効果等を付与する切り花の品質改良剤及び品質改良方法に関する。 【0002】 【従来の技術】切り花は、生産農家から販売業者を経て一般消費者の手に渡るまでに相当の日数を要するため、その間に萎れたり、褐変しないように保持管理がなされている。また、一般消費者により購入された後も、比較的長期間、生気を失うことなく鑑賞に耐える必要がある。 【0003】従来、切り花の寿命を短くする要因として、■雌ずいや花弁から発生するエチレンガスによる老化、■腐朽菌の繁殖による導管の閉塞(水上げの不良)、■養分の不足が指摘されており、種々の切り花延命剤が開発されている。 【0004】例えば、エチレンガスによる老化への対応としては、銀イオンや銀錯イオンが用いられており、その中でも、チオ硫酸銀錯塩(以下、STSという)を主成分とした延命剤がよく知られている(市村一雄、「切り花の鮮度保持」、25〜34頁、2000、筑波書房)。このSTSを主成分とした延命剤は、植物体内でのエチレンの生合成を阻害して、老化を防止するといわれており、現在、延命剤の主流を占めている。また、腐朽菌の繁殖を防止するために、抗菌剤として硫酸アルミニウムを主体としたものも知られている。 【0005】更に、切り花の見栄えを良くするために、ジベレリン等の植物ホルモンを主成分とする品質改良剤も使用されている。ジベレリンには、花弁を大きくする、葉の黄化を抑制するといった作用がある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、STSは銀製剤であるため、安全性や使用後の廃棄、環境汚染の懸念等の問題があった。 【0007】一方、ジベレリンは植物ホルモンという性質上非常に高価であり、切り花の品質改良剤として頻繁に、また多量に使用することはコスト的に困難であった。 【0008】したがって、本発明の目的は、切り花の見栄えを良くすると共に、延命効果をも有し、かつ安全性が高く、安価な、切り花の品質改良剤及び品質改良方法を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、切り花の優れた品質改良方法を開発すべく鋭意検討した結果、オリゴ糖の1種であるニゲロオリゴ糖を含有する水溶液で切り花を処理することにより、切り花の品質が改良されるとともに延命効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0010】すなわち、本発明の切り花の品質改良剤は、ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有することを特徴とする。 【0011】なお、本発明の切り花の品質改良剤においては、ニゲロオリゴ糖を0.01〜50質量%含有し、使用時に1〜50倍の間で希釈して使用するものであることが好ましい。また、ゴマノハグサ科又はリンドウ科に属する切り花に適用されるものであることが好ましい。更に、切り花の開花数の増大、花のサイズ及び質量の増大、及び花穂の伸長効果から選ばれた少なくとも1種の効果を付与するために用いられるものであることが好ましい。更にまた、切り花の延命効果を付与するために用いられるものであることが好ましい。 【0012】一方、本発明の切り花の品質改良方法は、切り花にニゲロオリゴ糖を含有する水溶液を接触させることを特徴とする。 【0013】なお、本発明の切り花の品質改良方法においては、前記水溶液がニゲロオリゴ糖を0.01〜50質量%含有するものであることが好ましい。また、ニゲロオリゴ糖を含有する前記水溶液に切り花の切り口を浸漬させるか、又は前記水溶液を切り花に噴霧することにより、前記水溶液を切り花に接触させることが好ましい。更に、前記切り花がゴマノハグサ科又はリンドウ科に属するものであることが好ましい。更に、切り花の開花数の増大、花のサイズ及び質量の増大、及び花穂の伸長効果から選ばれた少なくとも1種の効果を付与するために行われる方法であることが好ましい。更にまた、切り花の延命効果を付与するために行われる方法であることが好ましい。 【0014】このような本発明の切り花の品質改良剤及び品質改良方法によれば、切り花の開花数の増大、花のサイズ及び質量の増大、及び花穂の伸長効果などをもたらすことができると共に、切り花の延命効果をも付与することができる。また、ニゲロオリゴ糖は、食用可能な糖類であって安全性の高いものであり、ジベレリン等に比べてコストも安い。 【0015】 【発明の実施の形態】本発明において、切り花の品質改良効果とは、切り花の開花数の増大、切り花のサイズ及び質量の増大、花穂の伸長等の見栄えを良くする効果に加えて、切り花の日持ちを良くする延命効果も含めた効果を意味する。 【0016】本発明の切り花の品質改良剤の有効成分であるニゲロオリゴ糖は、ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトース等のように、分子中に少なくとも1つ以上のα−1,3グルコシド結合を含むグルコース重合度2以上のオリゴ糖(α−1,3グルコシド結合のみからなるオリゴ糖の他に、α−1,3グルコシド結合とそれ以外の結合(例えばα−1,1、α−1,2、α−1,4、α−1,6グルコシド結合等)とからなるオリゴ糖を包含する)を意味し、好ましくはグルコース重合度2〜10、より好ましくは重合度2〜7のオリゴ糖である。なお、本発明に供するニゲロオリゴ糖は、重合度の異なる混合オリゴ糖を含むものであってもよく、必要に応じて所望の単一重合度を有するオリゴ糖を分離(クロマト分画、酵母等による醗酵処理及び酵素処理等)して用いることもできる。また、上記ニゲロオリゴ糖を、常法により還元して得られるニゲロオリゴ糖アルコールであってもよい。 【0017】ニゲロオリゴ糖は、合目的的な任意の方法により製造することができるが、例えば、下記のような公知の方法によって調製することができる。 【0018】■微生物の生産する多糖類であるニゲラン、エルシナン等を基質として、酵素又は酸類等を用いて加水分解して、ニゲロオリゴ糖を製造する方法(M. Staceyand J. M. Webber : Methods In Carbohydrate Chemistry., 1, 339-341, Academic Press(1962))。 【0019】■公知のα−グルコシダーゼの糖転移・縮合反応を用いてニゲロースを調製する方法(金谷憲一他、日本農芸化学会誌, 53, 385-390(1979)、H. Fujimoto et al., Agric. Biol. Chem., 52, 1345-1351(1988)等)。 【0020】■澱粉加水分解物に、サイクロデキストリン生成酵素を作用させてニゲロースを製造する方法(特開平3−22958号公報)。 【0021】■α−1,4グルコシド結合したポリサッカライド又はオリゴサッカライドを含む基質に、α−1,3グルコシド結合をもたらす糖転移酵素(具体的にはAcremonium属に属する真菌、例えばAcremonium sp. S4G13(FERM BP-4373)を常法に従い、培養することによって調製される糖転移酵素)のうち1種又は2種以上を作用させてニゲロオリゴ糖を製造する方法(特開平7−59559号公報)。 【0022】本発明においては、現在までに知られているニゲロオリゴ糖の製造方法の中で最も経済的な面で優れていると考えられる上記■の方法で調製したニゲロオリゴ糖を使用するのが好ましい。 【0023】本発明の品質改良剤の形態としては、特に制限はなく、例えば粉末状でも、溶液状でもよいが、上記ニゲロオリゴ糖を0.01〜50質量%含有することが好ましく、1.0〜3.0質量%含有することがより好ましい。また、本発明の品質改良剤を使用する際には、ニゲロオリゴ糖濃度が0.01〜50質量%、好ましくは1.0〜3.0質量%となるように、1〜50倍の間で希釈して使用することが好ましい。使用時における水溶液のニゲロオリゴ糖濃度が0.01質量%未満であると充分な切り花の品質改良効果が得られず、50質量%超であると浸透圧が高くなり過ぎて切り花の寿命を縮めてしまうため好ましくない。 【0024】本発明の品質改良剤は、ニゲロオリゴ糖の他に、更に公知の切り花の品質改良剤(延命剤を含む)に適用される成分を必要に応じて配合してもよい。このような成分としては、例えば、次亜塩素酸ソーダ、硫酸アルミニウムのような殺菌剤、エチオニン又はノルロイシンのようなアミノ酸、リン酸等の栄養剤、ジベレリンのような植物ホルモン等が挙げられる。特に、エチオニン又はノルロイシンを配合することが好ましい。 【0025】また、従来の切り花の品質改良剤(延命剤を含む)に、ニゲロオリゴ糖を添加して用いてもよい。添加方法としては、ニゲロオリゴ糖水溶液の形で添加してもよく、ニゲロオリゴ糖の粉末を従来の切り花の品質改良剤に直接添加し、溶解させてもよい。なお、ニゲロオリゴ糖の添加量は、前述した範囲内であることが好ましい。 【0026】一方、本発明の品質改良方法は、ニゲロオリゴ糖を含有する水溶液(以下、ニゲロオリゴ糖含有水溶液という)を切り花に接触させることにより行なわれる。具体的には、ニゲロオリゴ糖含有水溶液に切り花の切り口を浸漬させる方法、前記水溶液を切り花に噴霧する方法等が挙げられる。 【0027】上記ニゲロオリゴ糖含有水溶液の濃度は、前述した理由から、0.01〜50質量%が好ましく、1.0〜3.0質量%がより好ましい。 【0028】本発明の品質改良剤及び品質改良方法は、切り花の種類を問わず、その品質を改良、延命するために適用できるが、中でもキンギョソウ(Antirrhinum majusL.)やトルコギキョウ(Eustoma grandiflorum(Raf.)Shinn.)等のゴマノハグサ科やリンドウ科の切り花に効果がある。上記の切り花はエチレンに対する感受性が高いが、本発明の品質改良剤を用いることにより、STS等のエチレン阻害剤を使用することなく切り花の品質を改良、延命することができる。 【0029】 【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。 【0030】実施例1表2に示す各種切り花について、成長状態及び鮮度状態が同程度のものを使用し、水中で茎をハサミで直角に切断して試験に供した。 【0031】これらの切り花を、23℃、12時間日長、光強度10,000Lx、相対湿度70%の条件下で、表1に示す組成の各水溶液に10本ずつ挿して、切り花の萎れ具合を観察した。 【0032】この結果を表2に示す。なお、表中のスコアは、純水に浸漬した切り花が完全に萎れた時点を±とし、純水に浸漬した切り花が萎れてから5日以内に萎れたものを+、5日以上開花が持続していたものを++で表した。 【0033】 【表1】
【0034】 【表2】
【0035】表2から、ニゲロオリゴ糖含有水溶液に浸漬した切り花は、純水に浸漬したものに比べて萎れにくいことが分かる。この延命効果はキンギョソウ及びトルコギキョウにおいて特に顕著であった。また、その他の切り花においても、ニゲロオリゴ糖含有水溶液に浸漬した切り花は、グルコース含有水溶液に浸漬した切り花に比べて、スコア的に同等ではあっても、その期間内の切り花の状態は、より観賞に耐えうるものであった。 【0036】実施例2キンギョソウの切り花について、成長状態及び鮮度状態が同程度のものを使用し、水中で茎をハサミで直角に切断して試験に供した。 【0037】これらの切り花を、23℃、12時間日長、光強度10,000Lx、相対湿度70%の条件下で、表3に示す組成の水溶液に10本ずつ挿して、開花数及び花穂の長さを測定した。 【0038】この結果として、表4には、10本のキンギョソウの開花数を各時点で数えたものの平均値を示し、表5には、10本のキンギョソウの花穂の長さの平均値を示す。 【0039】 【表3】
【0040】 【表4】
【0041】 【表5】
【0042】表4から、ニゲロオリゴ糖含有水溶液に浸漬したキンギョソウの切り花は、開花数が増大していることが分かる。また、表5から、同様にニゲロオリゴ糖含有水溶液に浸漬したキンギョソウの切り花は、花穂が伸長していることが分かる。 【0043】実施例3トルコギキョウの切り花について、成長状態及び鮮度状態が同程度のものを使用し、水中で茎をハサミで直角に切断して試験に供した。 【0044】これらの切り花を、23℃、12時間日長、光強度10,000Lx、相対湿度70%の条件下で、表6に示す組成の水溶液に10本ずつ挿して、トルコギキョウ切り花のサイズ(cm)、質量(g)及び上記条件で12日間保持したときの花数を測定した。 【0045】この結果として、表7には、各時点における10本のトルコギキョウ切り花のサイズ及び質量の平均値(カッコ内の数値は花びらの平均質量を表す)を示し、表8には、上記条件で12日間保持したときの10本のトルコギキョウ切り花の花数の平均値を示す。 【0046】 【表6】
【0047】 【表7】
【0048】 【表8】
【0049】表7から、ニゲロオリゴ糖含有水溶液に浸漬したトルコギキョウ切り花は、そのサイズが増大し、質量も増加していることが分かる。また、表8から、実験開始12日目の切り花の枯れ数からも明らかなように、トルコギキョウ切り花をニゲロオリゴ糖含有水溶液に浸漬することにより、切り花の日持ちが向上していることが分かる。 【0050】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有させることにより、切り花の開花数の増大、サイズ及び質量の増大、花穂の伸長等の見栄えをよくする効果と共に、切り花の延命効果をも付与することができ、しかも安全性が高く、安価な、切り花の品質改良剤及び切り花の品質改良方法を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000231453 【氏名又は名称】日本食品化工株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年2月21日(2001.2.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086689 【弁理士】 【氏名又は名称】松井 茂
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| 【公開番号】 |
特開2002−249401(P2002−249401A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月6日(2002.9.6) |
| 【出願番号】 |
特願2001−44872(P2001−44872) |
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