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【発明の名称】 屋外飛翔昆虫の防除方法
【発明者】 【氏名】河盛 英夫

【氏名】杉浦 正昭

【要約】 【課題】人が屋外活動を行う際、その行為環境を衛生的かつ快適に保つ目的で、一定時間の間、飛翔昆虫からの被害を最小限にとどめるための屋外飛翔昆虫の防除方法を提供すること。

【解決手段】蒸気圧が0.1mPa(20℃)以上であり、蒸気が殺虫効果を持つピレスロイド系殺虫剤を含有する薬剤組成物を担体に担持させた薬剤担持体を、昆虫の飛翔する環境の固相面上に散布することを特徴とする屋外飛翔昆虫の防除方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 蒸気圧が0.1mPa(20℃)以上であり、蒸気が殺虫効果を持つピレスロイド系殺虫剤を含有する薬剤組成物を担体に担持させた薬剤担持体を、昆虫の飛翔する環境の固相面上に散布することを特徴とする屋外飛翔昆虫の防除方法。
【請求項2】 担体が溶剤である請求項1記載の屋外飛翔昆虫の防除方法。
【請求項3】 担体が多孔質物質である請求項1記載の屋外飛翔昆虫の防除方法。
【請求項4】 固相面が、屋外地面、床面または壁面である、請求項1〜3いずれか記載の屋外飛翔昆虫の防除方法。
【請求項5】 蒸気圧が0.1mPa(20℃)未満であるピレスロイド系殺虫剤が、薬剤組成物にさらに配合されてなる、請求項1〜4いずれか記載の屋外飛翔昆虫の防除方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋外飛翔昆虫の防除方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のアウトドアライフの流行に伴い、余暇を屋外で過ごす人口は年々増加の傾向を顕してきており、殊に春から秋にかけては、キャンプ、バーベキュー等の屋外レジャー活動が盛んになる。このような屋外娯楽において、蚊をはじめとする各種飛翔性の衛生害虫及び不快害虫に被害を受けたり、娯楽を妨害されたりすのは常であり、そのために充分に楽しめないといったような身体的又は精神的被害は免れなかった。
【0003】このような問題を解決するような屋外飛翔昆虫の駆除方法は、これまでにも各種提案されている。例えば、屋外での蚊の駆除又は防除方法としては、蚊取り線香や、リキッド剤、マット剤、ファン式、エアゾール剤等の屋外用や車用の殺虫剤製品又は携帯式殺虫剤製品の使用、肌へ塗布する忌避剤の使用等が挙げられる。
【0004】しかしながら、前記リキッド剤、マット剤等の加熱蒸散剤は、交流電源を必要とするため、電源を確保できない条件では使用不可能である。交流電源の代わりに、化学反応を利用した発熱機構や充電式も提案されたが、その効率の低さから実用的ではない。また、ファン式では乾電池による作動が可能であるが、使用後の乾電池の処理が面倒であるばかりか、重量がかさむ上、経済効率が悪い。蚊取線香は簡便であり、屋外使用に適しているが、煙や臭いに対する嫌悪感、火災の原因となる可能性、大量に使用しなくてはいけないといった問題点を有している。さらに、上記いずれの剤も多かれ少なかれ「ピンポイント設置」であるため、風向きによって効き目が大きく変化するといった決定的な問題を有している。
【0005】その他、エアゾール、燻蒸剤等を用いた一斉駆除は、即効性があり、極初期には効果的であるが、持続性が期待できない。肌へ塗布する忌避剤の場合は、体質に合わない、塗りむらによって効力を完全に求めることが困難である、発汗との関係で不快感を伴うといった問題がある。
【0006】以上を鑑みると、これまで、衛生面で害を及ぼす又は不快感を催す屋外飛翔昆虫全般に対する防除策の提案は、特になされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、人が屋外活動を行う際、その行為環境を衛生的かつ快適に保つ目的で、一定時間の間、飛翔昆虫からの被害を最小限にとどめるための屋外飛翔昆虫の防除方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、蒸気圧が0.1mPa(20℃)以上であり、蒸気が殺虫効果を持つピレスロイド系殺虫剤を含有する薬剤組成物を担体に担持させた薬剤担持体を、昆虫の飛翔する環境の固相面上に散布することを特徴とする屋外飛翔昆虫の防除方法、に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるピレスロイド系殺虫剤としては、蒸気圧が0.1mPa(20℃)以上であるため常温で蒸散し、その蒸気が殺虫効果を持つものであれば何ら限定されない。
【0010】ピレスロイド系殺虫剤の代表例としては、アレスリン〔dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル dl−シス/トランス−クリサンテマート〕、dl・d−T80−アレスリン〔dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−シス/トランス−クリサンテマート〕、dl・d−T−アレスリン〔dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−トランス−クリサンテマート〕、d・d−T−アレスリン〔d−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−トランス−クリサンテマート〕、d・d−T80−プラレトリン〔(+)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテニル (+)−シス/トランス−クリサンテマート〕、レスメトリン〔5−ベンジル−3−フリルメチル dl−シス/トランス−クリサンテマート〕、dl・d−T80−レスメトリン〔5−ベンジル−3−フリルメチル d−シス/トランス−クリサンテマート〕、エンペントリン〔1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニルdl−シス/トランス−3−(2,2−ジメチルビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート〕、テラレスリン〔dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル−dl−シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチル−シクロプロパンカルボキシラート〕、トランスフルトリン〔d−トランス−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート〕、エトフェンプロックス〔2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジルエーテル〕、テフルスリン〔2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート〕、フェンプロパトリン〔α−シアノ−3−フェノキシベンジル−シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラート〕、フェンフルスリン〔2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル−dl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2’−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート〕、フラメトリン〔5−プロパギル−2−フリルメチル d−シス/トランス−クリサンテマート〕、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル3−(2−クロロ−2−フルオロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(2−クロロ−2−フルオロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジフルオロビニル)シクロプロパンカルボキシレート、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート、2,3,5,6−ペンタフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2−クロロ−2−トリフルオロメチルビニル)シクロプロパンカルボキシレート、4−プロパルギル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、4−プロパルギル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート等が挙げられる。これらの中では、エンペントリン、トランスフルトリン、テラレスリン、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラートが好ましい。
【0011】蒸気圧が0.1mPa(20℃)未満であるピレスロイド系殺虫剤としては、例えば、フタルスリン〔N−(3,4,5,6−テトラヒドロフタリミド)−メチル dl−シス/トランス−クリサンテマート〕、dl・d−T80−フタルスリン〔1,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−インドリル)メチル dl−シス/トランス−クリサンテマート〕、ペルメトリン〔3−フェノキシベンジル dl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート〕、フェノトリン〔3−フェノキシベンジル d−シス/トランス−クリサンテマート〕、イミプロスリン〔2,4−ジオキソ−1−(プロプ−2−イニル)−イミダゾリジン−3−イルメチル(1R)−シス/トランス−クリサンテマート〕、フェンバレレート〔α−シアノ−3−フェノキシベンジル−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート〕、シペルメトリン〔α−シアノ−3−フェノキシベンジルdl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート〕、シフェノトリン〔(±)α−シアノ−3−フェノキシベンジル (+)−シス/トランス−クリサンテマートが挙げられる。
【0012】薬剤組成物には、各種添加剤を配合してもよい。例えば、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、オイゲノール、メチルオイゲノール、ゲラニオール、シンナミックアルデヒド、リナロール、ペリラアルデヒド、ネペタリック酸、メチルヘプテノン、デシルアルデヒド、ミルセン、酢酸ゲラニオール、チモール、リモネン、シネオール、ピネン、シメン、テルピネン、サビネン、エレメン、セドレン、エレモール、ビドロール、セドロール、ヒノキチオール、ツヤプリシン、トロポロイド、ヒノキチン、ツヨプセン、ボルネオール、カンフェン、テルピネオール、テルピニルエステル、ジペンテン、ファランドレン、シネオール、カリオレフィン、バニリン、フルフラール、フルフリルアルコール、ピノカルベオール、ピノカルボン、ミルテノール、ベルベノン、カルボン、オイデスモール、ピペリトン、ツエン、ファンキルアルコール、メチルアンスラニレート、ビサボレン、ベルガプトール、ノニルアルデヒド、ノニルアルコール、ヌートカトン、オクチルアルデヒド、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、ネロリドール、オシメン、アンスラニル酸メチル、インドール、ジャスモン、ベンズアルデヒド、プレゴン等の天然精油;ブチルカルビトール 6−プロピル−ピペロニル エーテル、オクタクロロジプロピルエーテル、イソボルニルチオシアナアセテート、N−オクチルビシクロヘプテンカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ(2,2,2)オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等の共力剤;その他、酸化防止剤、界面活性剤、安定化助剤、可溶化剤、補助溶剤、紫外線防止剤、香料、色素等を任意に配合することができる。それらの配合量比は特に限定するものではないが、標的害虫、目的、相乗効果、所望の物理的形状又は外観等を考慮した処方であることが望ましい。
【0013】さらに、ピレスロイド系殺虫剤を含有する薬剤組成物において、ピレスロイド系以外の殺虫剤を、本発明にかかるピレスロイド系殺虫剤と併用し、共力的に用いることについては、所望の殺虫効力、人畜毒性、標的成分の選択等に合致させたものであれば何ら制限はない。
【0014】本発明に用いられる担体としては、溶剤又は多孔質物質が好ましい。
【0015】担体として溶剤を用いる場合、溶剤は、水、アルコール又は灯油が好ましい。前記のいずれを選択するかは、薬剤担持体が散布される固相面(以下、処理面という)の性状等の環境的因子により決定できる。
【0016】担体として水を用いることが好ましい場合としては、周囲に植物の植え込みがありこれらに有機溶剤を付着させたくない場合、処理面が芝生でありこれに害を与えたくない場合、周囲に引火物があり危険性を回避する必要がある場合等が挙げられる。なお、ピレスロイド系殺虫剤を水に可溶化する為にアルコール系、グリコール系等の溶剤を任意に混合して使用することも可能である。
【0017】担体としてアルコールを用いることが好ましい場合としては、薬剤担持体の散布直後のべたつきを極力抑えたい場合等が挙げられる。この理由は、アルコールの揮発性の高さによるところが大きいが、アルコールの高溶解能から界面活性剤や補助溶剤を用いずにすむ点も、大きく寄与している。
【0018】担体として灯油を用いることが好ましい場合としては、処理面が、例えば、ウッドデッキのように撥水性材質である時に薬剤担持体の付着性を高めたい場合、降雨等による流出を防止して長期間にわたって効力を持続させたい場合等が挙げられる。
【0019】溶剤への薬剤組成物の担持方法としては、灯油、アルコールのようにピレスロイド系殺虫剤の溶解性が高い場合は単に希釈するだけでよく、水のようにピレスロイド系殺虫剤の溶解性が低い場合は界面活性剤や補助溶剤を添加して分散させることが好ましい。
【0020】担体が溶剤である場合の薬剤組成物の配合量は、薬剤組成物を広範囲に亘り均一にむらなく散布するという観点から、0.0001〜3重量%が好ましい。尚、製剤形がエアゾール剤である場合、液剤を散布する場合よりも均一性が得られやすいため、薬剤組成物の配合量は0.01〜10重量%が好ましい。
【0021】担体として多孔質物質を用いる場合、多孔質物質は、散布しやすく、ピレスロイド系薬剤組成物を担持しかつ徐放する能力を有するものであれば何ら限定されず、例えば、各種の無機物質や有機高分子物質が挙げられる。多孔質物質としては、環境への負荷を考慮する観点から、例えば、鉱物質やその焼成物の粉粒体、木材や植物体の粉砕物やその炭化物等の自然環境下において元来存在しうるもの、又は、例えば、生分解性樹脂の発泡体を粉砕したもの、セルロース、綿、パルプ等の造粒物等の元来存在しなくとも容易に環境中に還元すると考えられるものが好ましい。多孔質物質の材質としては、加工、人工、天然を問わず、石材、木材、パルプ材、クレー材、コルク材、ゲル材等が挙げられ、所望する目的、仕様などに合わせて、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】多孔質物質の大きさは、取り扱いが容易であり、内部に取り込まれた薬剤組成物が十分に蒸散する観点から、粉砕物の場合0.5〜10mm、粉粒体の場合0.01〜5mm、造粒物の場合0.5〜10mmの平均粒径が好ましい。
【0023】多孔質物質への薬剤組成物の担持方法としては、ピレスロイド系殺虫剤を含有する薬剤組成物を直接多孔質物質へ吹き付ける方法、一旦有機溶剤や水等に分散させた後に多孔質物質に担持させる方法等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0024】担体が多孔質物質である場合の薬剤組成物の配合量は、薬剤組成物を広範囲に亘り均一にむらなく散布するという観点から、0.001〜3重量%が好ましく、0.001〜1重量%がさらに好ましい。
【0025】薬剤担持体の処理面への散布量は、担体として溶剤を用いる場合、溶剤の種類、目的とする効力持続時間、処理面の状態及び材質、並びにピレスロイド系殺虫剤の種類にもよるが、供された薬剤組成物が処理面に吸着されることなく実質的に蒸散し、例えば、非通水性の処理面の場合、薬剤組成物の無駄な流出を防ぎ、例えば、土壌等の通水性の処理面である場合、処理面下への浸透を防ぐ観点から、10〜1000ml/m2 が好ましい。尚、製剤形がエアゾール剤である場合、液剤を散布する場合よりも均一性が得られやすいため、薬剤担持体の処理面への散布量は1〜20ml/m2 が好ましい。
【0026】担体が溶剤である場合、製剤形としては、油剤、乳剤、エアゾール剤等が挙げられる。また、散布方法としては、ハンドスプレー、動力噴霧器、じょうろ等を任意に選択することが可能である。薬剤担持体の流通方法としては、濃縮液の状態で流通させ、使用時に、現場で水等を用いて希釈する方式も経済的で好ましい。エアゾール剤は通常、空間噴霧と塗布噴霧の用法が用いられるが、本発明に適した用法としては塗布噴霧が好ましい。
【0027】担体として多孔質物質を用いる場合の散布量は、多孔質物質の種類、目的とする効力持続時間、処理面の状態及び材質、並びにピレスロイド系殺虫剤の種類にもよるが、処理面に均一に散布して効力の均一性を維持する、効力を発揮した後の残渣により環境的美観を損なわないという観点から、10〜1000g/m2が好ましい。
【0028】これらの薬剤担持体の散布により、蒸気圧が0.1mPa(20℃)以上であり、蒸気が殺虫効果を持つピレスロイド系殺虫剤として処理面に散布される量は、0.5〜500mg/m2 が好ましく、10〜500mg/m2 がより好ましい。なお、害虫が潜んでいると思われる個所を選択しながら散布することができれば、この量は0.05〜20mg/m2 に低減できる。
【0029】また、蒸気圧が0.1mPa(20℃)未満であるピレスロイド系殺虫剤がさらに配合された薬剤組成物を使用する場合、薬剤担持体の散布により、蒸気圧が0.1mPa(20℃)未満であるピレスロイド系殺虫剤として処理面に散布される量は、1〜1,000mg/m2 が好ましく、10〜500mg/m2 がより好ましい。
【0030】昆虫の飛翔する環境の固相面は、屋外地面、床面または壁面等が好ましい。屋外地面としては、土壌、石、芝生または舗装された地面等が挙げられる。屋外地面には、植物の植え込み等があってもよい。床面としては、コンクリート面等が挙げられる。
【0031】本発明の屋外飛翔昆虫としては、飛翔し、屋外において人間に被害や不快感を与える昆虫全てが挙げられる。例えば、ハエ、アブ、カ、チョウバエ、ユスリカ等の双翅目;ハチ、アリ等の膜翅目;ハムシ、コガネムシ、ハネカクシ、カナブン、カミキリモドキ等の鞘翅目;ガ等の鱗翅目;ウンカ、アブラムシ、カメムシ等の半翅目等が挙げられるが、これらの害虫に限定されるものではない。
【0032】本発明の蒸気圧が0.1mPa(20℃)以上であり、蒸気が殺虫効果を持つピレスロイド系殺虫剤を含有する薬剤組成物を担体に担持させた薬剤担持体を、昆虫の飛翔する環境の固相面上に散布し、薬剤組成物の蒸気による蒸気バリヤーを形成することで、屋外飛翔昆虫を防除することができる。また、本発明の方法では、昆虫の飛翔する環境の固相面上に散布された薬剤担持体からピレスロイド系殺虫剤が空中へ蒸散する際、散布された面積そのものが薬剤組成物の蒸散の面積になるため、多くの蒸散有効面積を確保し、薬剤組成物が自然蒸散するうえで好ましい条件下で、散布された領域の上方空間において有効成分バリヤーを形成し、飛翔昆虫から人を防除することができる。
【0033】また、蒸気圧が0.1mPa(20℃)未満であるピレスロイド系殺虫剤がさらに配合された薬剤組成物を使用することにより、飛翔昆虫を駆除できることに加えて、蒸気圧が0.1mPa(20℃)未満であるピレスロイド系殺虫剤を処理面上に滞留させて、該処理面上で行動したり、該処理面上を居住区とするアリ等の匍匐昆虫を殺虫及び忌避して駆除することも可能である。
【0034】
【実施例】以下に、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
【0035】実施例1及び比較例1トランスフルトリン〔蒸気圧:0.4mPa(20℃)〕0.01重量%、界面活性剤0.03重量%、イオン交換水99.96重量%の重量比率で混合乳化して調製した水性乳剤を500ml/m2 となるように芝生面(3×5mの矩形範囲)にじょうろを用いて均一に散布し、実施例1とした。夜、処理区域にて、花火を1時間程度行い、蚊による刺咬人数及び飛翔昆虫の数を観察した。
【0036】また、数日後、同じ場所で、比較例1として、トランスフルトリン0.01重量%、界面活性剤0.03重量%を含むエアゾールを作製し、ほぼ同じ時間帯に空間へ実施例の処理量とほぼ同じ量を噴霧して、同じく花火を行い、蚊による刺咬人数及び飛翔昆虫の数を観察した。(被験者:親子4名)
【0037】その結果、表1に示されるように、実施例1では蚊による刺咬が全くなく、また蛾等の飛翔昆虫も見られなかったが、比較例1では、全員蚊に刺咬され、蛾等の飛翔昆虫が確認されることがわかる。
【0038】
【表1】

【0039】実施例2及び比較例2トランスフルトリン0.05重量%、エチルアルコール99.95重量%の重量比率で混合して調製した溶剤を100ml/m2 となるように、野外ガーデンの地面(20×40mの矩形範囲)に手動噴霧器を用いて均一に散布し、実施例2とした。夜間の営業時間の19〜22時の3時間内に飲食されたお客へのアンケートにより、蚊による刺咬人数を調査した。(回収アンケート記載人数:43名)
【0040】また、1週間後同じ場所で、比較例2として、実施例2のトランスフルトリンの代わりにペルメトリン〔蒸気圧:0.07mPa(20℃)〕を用いた他は実施例2と同様にして、蚊による刺咬人数を調査した。(回収アンケート記載人数:51名)
【0041】その結果、表2に示されるように、実施例2では比較例2に比べて、蚊に刺咬された人が非常に少なく、蒸気圧が0.1mPa(20℃)以上であるピレスロイド系殺虫剤を用いると飛翔昆虫の防除に優れることがわかる。
【0042】
【表2】

【0043】実施例3及び比較例3トランスフルトリン0.5重量%、エチルアルコール9.5重量%、セルロースビーズ(平均粒径5mm)90重量%の重量比率で浸漬含浸して、粒剤を調製した。得られた粒剤を100g/m2 となるようにキャンプ場に設営したテント(3×3m)の周辺に約2mの幅で均一に散布し、実施例3とした。18〜22時の4時間、テント内での蚊による刺咬人数及びテント内に進入した害虫の数を調査した。
【0044】また、1〜2日後、比較例3として、含有濃度がトランスフルトリン0.02重量%、アレスリン0.1重量%である蚊取線香を、実施例3と同じ時間帯に、同じテントの周辺で、間隔をあけて6〜8本設置して燃焼させ続けている状態で、実施例3と同様の調査を行った。(被験者:親子3名、2世帯)
【0045】その結果、表3に示されるように、実施例3では2世帯とも蚊による刺咬及び進入害虫が全くなかったが、比較例3では、2世帯とも蚊による刺咬があり、テント内への進入害虫が認められることがわかる。
【0046】
【表3】

【0047】実施例4及び比較例4エンペントリン〔蒸気圧:14mPa(20℃)〕3重量%、灯油97重量%の重量比率で溶解して調製した油剤を10g/m2 となるように木造家屋2階の窓に隣接するテラス床面(2×5m)に散布し、実施例4とした。夕方17時に散布した後、18〜23時の5時間、窓から進入する飛翔昆虫の数を調査した。
【0048】また、数日後、比較例4として、実施例4の処理量と同量のエンペントリンを5枚の紙製シート(10×10cm)に等量に分別して塗布したものを、実施例4と同じ場所で、同じ時間帯にテラスに吊り下げ、実施例4と同様の調査を行なった。
【0049】その結果、表4に示されるように、実施例4では飛翔昆虫の進入が少なかったが、比較例4では多くの飛翔昆虫が進入することがわかる。
【0050】
【表4】

【0051】実施例5トランスフルトリン0.5重量%、フェノトリン〔蒸気圧:0.02mPa(20℃)〕0.5重量%、エチルアルコール9.0重量%、セルロースビーズ(平均粒径5mm)90重量%の重量比率で浸漬含浸して、粒剤を調製した。得られた粒剤を、実施例3と同様に、100g/m2 となるようにキャンプ場に設営したテント(3×3m)の周辺に約2mの幅で均一に散布し、実施例5とした。18〜22時の4時間、テント内での蚊による刺咬人数を調査した。また、10〜14時の4時間、テント内に進入したアリ等の匍匐昆虫の数を調査した。(被験者:親子3名、2世帯)
【0052】その結果、表5に示されるように、2世帯とも蚊による刺咬、アリ等の進入害虫が全くなかった。実施例5により、飛翔昆虫及び匍匐昆虫の両昆虫による被害を防止できることが確認される。
【0053】
【表5】

【0054】実施例6〜7トランスフルトリン0.1重量%、灯油系溶剤4.78重量%、界面活性剤0.79重量%、水59.43重量%、液化石油ガス35重量%からなるエアゾール剤を調製した。ヤブカの発生している屋外(10×10mの矩形範囲)で、地面、塀、草木に対して、得られたエアゾールを4.0〜8.0ml/m2 (実施例6)または1.5〜3.0ml/m2 (実施例7)の割合でヤブカが発生しているところに噴霧塗布し、ヤブカの飛来数を調査した。処理前後のヤブカの飛来数(匹/10分)を表6に示す。
【0055】
【表6】

【0056】その結果、表6に示されるように、ヤブカの発生している屋外でエアゾール剤を噴霧塗布することにより、ヤブカの防除を行なうことができる。
【0057】実施例8〜92,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート〔蒸気圧:0.2mPa(20℃)〕0.1重量%、灯油系溶剤4.78重量%、界面活性剤0.79重量%、水59.43重量%、液化石油ガス35重量%からなるエアゾール剤を調製した。ヤブカの発生している屋外(10×10mの矩形範囲)で、地面、塀、草木に対して、得られたエアゾールを3.9〜7.8ml/m2 (実施例8)または1.6〜3.2ml/m2 (実施例9)の割合でヤブカが発生しているところに噴霧塗布し、ヤブカの飛来数を調査した。処理前後のヤブカの飛来数(匹/10分)を表7に示す。
【0058】
【表7】

【0059】その結果、表7に示されるように、ヤブカの発生している屋外でエアゾール剤を噴霧塗布することにより、ヤブカの防除を行なうことができる。
【0060】表1〜7の結果から、各実施例では飛翔昆虫の数又は蚊の刺咬人数が非常に減少しており、本発明の屋外飛翔昆虫の防除方法が優れたものであることがわかる。
【0061】
【発明の効果】本発明の方法により、屋外飛翔昆虫が殺虫成分に直接的又は間接的に接触することを想定して薬剤処理を施すという従来の視点から離れ、人が屋外活動を行う際、その行為環境を衛生的かつ快適に保つ目的で、一定時間の間、屋外飛翔昆虫からの被害を最小限にとどめることができる。本発明による屋外飛翔昆虫の防除方法は、緩やかな薬剤徐放化により殺虫効力が長期持続する、使用が簡便である、忌避剤のように薬剤が直接身体に接しないため人にやさしい、かつ環境還元型であるため事後処理の心配が不必要であり環境にやさしいという効果を奏するものである。また、蒸気圧が0.1mPa(20℃)未満であるピレスロイド系殺虫剤がさらに配合された薬剤組成物を使用することにより、屋外飛翔昆虫を駆除できるだけでなく、アリ等の匍匐昆虫を殺虫及び忌避して駆除することも可能である。
【出願人】 【識別番号】000112853
【氏名又は名称】フマキラー株式会社
【出願日】 平成13年11月29日(2001.11.29)
【代理人】 【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
【公開番号】 特開2002−234804(P2002−234804A)
【公開日】 平成14年8月23日(2002.8.23)
【出願番号】 特願2001−365111(P2001−365111)