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【発明の名称】 防汚剤
【発明者】 【氏名】三 上 憲 治

【要約】 【課題】水中生物の付着および繁殖の防止に優れ、長期間防汚効果が持続し、低公害性で安全性が高く、製剤化が容易な、実用的で作業性の良い防汚剤を提供する。

【解決手段】一般式1のウレア化合物を含有してなる防汚剤。ウレア化合物がN-[[[3-クロロ-4-[1,1,2 トリフルオロ-2-(トリフルオロメトキシ)エトキシ]フェニル]アミノ]カルボニル]-2,6-ジフルオロベンザミドであることが好ましい。防汚剤はさらにホウ素系有効成分、銅系有効成分、殺菌剤および除草剤のうち1種以上を含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記一般式(1)で表されるウレア化合物を含有してなることを特徴とする防汚剤。
【化1】

(式中、R1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基またはメチルチオ基を表し、R2は水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基またはメチルチオ基を表し、R3は1,1,2−トリフルオロ−2−トリフルオロメトキシエトキシ基を表し、R4は水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基またはメチルチオ基を表す。)
【請求項2】 前記ウレア化合物が、N-[[[3-クロロ-4-[1,1,2 -トリフルオロ-2-(トリフルオロメトキシ)エトキシ]フェニル]アミノ]カルボニル]-2,6-ジフルオロベンザミドである請求項1に記載の防汚剤。
【請求項3】 ホウ素化合物を含有する請求項1または2に記載の防汚剤。
【請求項4】 銅化合物を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の防汚剤。
【請求項5】 殺菌剤および/または除草剤を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の防汚剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防汚剤に関し、さらに詳しくは、海水、淡水と接触する物体表面に、水棲汚損生物が付着するのを防止し、しかも長期間付着防止効果が持続する低公害性の防汚剤に関する。
【0002】
【従来の技術】常時海水、淡海水と接触する部分には、フジツボ、カキ、ムラサキガイ、ヒドラ、セルプラ、ホヤ、コケムシ類、アオサ、ヒラアオノリ、シオミドロ等の貝類や藻類が付着繁茂する。これらの生物は船舶の底部に付着することにより流体抵抗の増加を引き起こし、燃料の損失をもたらしている。また、原子力発電所や火力発電所の復水器の冷却用水、または石油化学工業における熱交換器の冷却用水の取水路や、冷却用設備部分に付着すると、熱伝導性の低下を引き起こし、設備機器の能力を低下させる等、経済的に多大な被害を与えている。
【0003】従来から、このような淡水および海中有害生物の付着繁茂を防止するために各種の防汚剤が使用されている。このような防汚剤の有効成分としては、硫酸銅、亜酸化銅、有機錫化合物等が知られている。これらの有効成分を、塗料中に10〜50重量%含有させて船底等に塗布し、水中で連続的に溶出させることにより、有害生物の付着を防止している。
【0004】また、漁網防汚剤や船底防汚塗料などの水中防汚剤は、異なった種類の有効成分を組み合わせて使用することが通常行われている。これによってさらに広範囲の海棲汚損生物への効力を増強することができる。しかしながら、上記のような重金属や有害元素により河川または海水等の環境が汚染されたり、また、難分解性化合物や蓄積性の高い化合物であるため、魚介類を媒介として人体の健康を害する恐れがある。そのため、最も多く用いられていた有機錫化合物については、その使用について指導がなされている。
【0005】たとえば、米国においては、「有機錫防汚塗料規制法」(1987年)によって65フィート以下の船舶への有機錫船舶塗料の使用が禁止され、英国においては、「食品環境保護令」(1987年)によってトリブチル錫含有防汚剤は、25メートル以下の船舶および海洋漁業への使用が禁止されている。日本においては、「化学物質の審査及び製造の規制に関する法律」(1990年)によって、トリブチルスズオキシドが第1種特定化学物質に、トリフェニルスズ化合物およびトリブチルスズ化合物が第2種特定化合物に指定され、漁網用に関しては使用が禁止されている。
【0006】さらに、「トリブチルスズ系の船底塗料の使用抑制の措置」(運輸省通達1990年)もとられている。銅化合物は、取水路および船底部用の防汚塗料に広く使用されているが、スズ化合物と同様に重金属であるため、将来の環境汚染が懸念され使用量を低減する必要がある。また、銅化合物は有機溶剤に溶けにくいため、漁網防汚剤として実用的で作業性の良い製剤化とすることは困難である。
【0007】一方、重金属を含まない低公害性の水中防汚剤も開発されている。たとえば、特公昭51−10849号公報には、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、またはベンゾイミダゾール化合物を有効成分とする防汚塗料が示され、特開昭60−38306号公報には、テトラアルキルチウラムジスルフィドおよび/またはジアルキルポリスルフィドと特定の低毒性の有機化合物とを有効成分として含有してなる漁網用防汚剤が示されている。
【0008】特開昭63−284275号公報には、ベンゾチアゾール化合物、テトラアルキルチウラムジスルフィド化合物とN−ハロアルキルチオ化合物のうちから選ばれる2種以上の化合物を有効成分とする防汚塗料組成物、特公昭64−11606号公報には、テトラクロロイソフタロニトリル、テトラアルキルチウラムジスルフィド化合物とこれらを溶解するキシレン、ソルベントナフサなどの有機溶剤にプソイドクメン、メシチレンなどのメチル基、エチル基を有するベンゼン環化合物を含有する漁網防汚溶液、特公昭61−50984号公報には、3-イソチアゾロン化合物を有効成分とする海洋構築物の汚染防止剤が示されている。
【0009】また、特表平9-507084号公報には、殺虫剤を含む防汚組成物や、これにさらに殺藻剤、除草剤、殺菌・殺カビ剤、殺軟体動物剤などを含む防汚組成物が開示されている。上記殺虫剤として、トリフルムロン、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、ヘキサフルムロン、ベンフルロン、テフルベンズロンなどの特定のベンゾイルウレア、その他が挙げられている。
【0010】これらの有機系防汚剤は、有機溶剤への溶解度が比較的高く、製剤化は容易ではあるが、いずれも汚損生物に対する付着防止効果が弱い。さらに、多種多様な汚損生物に対して、広範囲な付着防止効果(防汚効果)を発揮する実用的な防汚剤の開発が望まれている。本発明者は、このような現状に鑑み、安全性が高く、優れた防汚効果を有する化合物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、上記特表平9-507084号公報には開示されていない特定のウレア化合物が水棲汚損生物に対して優れた防汚効果を示すとともに、低公害性で安全性が高く、さらに優れた製剤特性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するもので、水中生物の付着および繁殖の防止に優れ、長期間防汚効果が持続し、しかも低公害性で安全性が高く、製剤化が容易な、実用的で作業性の良い防汚剤を提供することを目的としている。
【0012】
【発明の概要】本発明の防汚剤は、下記一般式(1)で表されるウレア化合物を含有してなることを特徴としている。
【0013】
【化2】

【0014】(式中、R1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基またはメチルチオ基を表し、R2は水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基またはメチルチオ基を表し、R3は1,1,2-トリフルオロ−2−トリフルオロメトキシエトキシ基を表し、R4は水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基またはメチルチオ基を表す。)
上記ウレア化合物は、N-[[[3-クロロ-4-[1,1,2 -トリフルオロ-2-(トリフルオロメトキシ)エトキシ]フェニル]アミノ]カルボニル]-2,6-ジフルオロベンザミドであることが好ましい。
【0015】上記防汚剤は、ホウ素化合物を含有することが好ましい。また、上記防汚剤は、銅化合物を含有することが好ましい。さらに、上記防汚剤は、殺菌剤および/または除草剤を含有することが好ましい。
【0016】
【発明の具体的説明】次に、本発明の防汚剤について具体的に説明する。本発明に係る防汚剤は、下記一般式(1)で表されるウレア化合物を含有してなることを特徴とする。
【0017】
【化3】

【0018】(式中、R1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基またはメチルチオ基を表し、R2は水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基またはメチルチオ基を表し、R3は1,1,2−トリフルオロ−2−トリフルオロメトキシエトキシ基を表し、R4は水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基またはメチルチオ基を表す。)
ウレア化合物本発明におけるウレア化合物は、上記一般式(1)で表されるように、R3が1,1,2−トリフルオロ−2−トリフルオロメトキシエトキシ基である2,6−ジフルオロベンザミドである。
【0019】具体的には、たとえば、N-[[[3-クロロ-4-[1,1,2-トリフルオロ-2-(トリフルオロメトキシ)エトキシ]フェニル]アミノ]カルボニル]-2,6-ジフルオロベンザミド、N-[[[3,5-ジクロロ-4-[1,1,2-トリフルオロ-2-(トリフルオロメトキシ)エトキシ]フェニル]アミノ]カルボニル]-2,6-ジフルオロベンザミドなどが挙げられる。
【0020】中でも、N-[[[3-クロロ-4-[1,1,2-トリフルオロ-2-(トリフルオロメトキシ)エトキシ]フェニル]アミノ]カルボニル]-2,6-ジフルオロベンザミドが好ましい。このウレア化合物は、ノバルロンの名で知られており、農業、林業、民生、獣医学の分野において殺虫剤として用いられている(The Pesticide Manual; British Crop Protection Council発行)。
【0021】上記のような構造を有するウレア化合物は、殺虫性、キチン合成阻害性、発育阻害性があり水棲汚損生物に対して優れた防汚効果を示すとともに、低公害性で安全性が高く、さらに優れた製剤特性を示す。このようなウレア化合物は、公知の方法により製造することができる。たとえば、特開昭63−165356号公報、特開昭61−280465号公報に記載の方法によって、ベンゾイルイソシアネート;たとえば、2,6-ジフルオロベンゾイルイソシアネートと、芳香族アミン;たとえば、3-クロロ-4-[1,1,2-トリフルオロ-2-(トリフルオロメトキシ)エトキシ]アニリンとを、不活性溶剤中、0℃と反応混合物の沸点の間の温度で反応させることによりウレア化合物;たとえば、N-[[[3-クロロ-4-[1,1,2-トリフルオロ-2-(トリフルオロメトキシ)エトキシ]フェニル]アミノ]カルボニル]-2,6-ジフルオロベンザミドを得ることができる。
防汚剤上記ウレア化合物を含有してなる本発明の防汚剤は、海水、淡水と接触する部分、たとえば、船舶、橋梁、リグなどの海上輸送物や海洋構造物、原子力発電所や火力発電所の海水導入管、石油化学工業における熱交換器の冷却用水などの配管、定置網、養殖用魚網、ロープ類などの海水、淡水に接触する物体表面に水棲生物が付着するのを防止できる。
【0022】このような水棲生物としては、たとえば、バクテリア、珪藻、フジツボ類、カキ、ムラサキガイ等の貝類、ヒドラ虫類、セルプラ類、ホヤ類、コケムシ類、アオサ、ヒラアオノリ、シオミドロ等の海藻類、軟体動物類などが挙げられる。本発明の防汚剤は、目的や対象に応じて、塗料、溶液、ペレット、フレーク、シート等の適当な形態で、水棲生物の付着防止が必要とされる広範な対象に使用できる。
【0023】たとえば、船底、水中構築物、水路等に使用する場合には塗料として使用し、漁網、ロープ等に使用する場合には溶液あるいは低粘性の塗料として使用し、冷却配管等の塗装困難な設備にはペレットとして必要とする箇所に設置して使用することができる。本発明の防汚剤中の上記ウレア化合物の配合量は0.1〜100重量%の範囲で選定することができる。防汚剤の形態によるウレア化合物の配合量を例示すれば、たとえば、塗料であれば1〜50重量%、溶液であれば0.1〜30重量%、ペレットであれば30〜100重量%の範囲が好ましいが、この範囲を超えても何ら差し支えない。
他の有効成分本発明の防汚剤は、一般式(1)で表されるウレア化合物を含有するだけでも充分な防汚効果を発揮するが、必要に応じて、従来から水中付着生物防汚剤に用いられている他の有効成分と併用することができる。このような他の有効成分としては、たとえば、銅および銅化合物、ホウ素およびホウ素化合物、殺菌剤、除草剤などを挙げることができる。これらの有効成分のうち、1種を上記ウレア化合物と併用してもよく、また、2種以上を組合わせてウレア化合物と併用することもできる。
【0024】銅および銅化合物として具体的には、銅紛、銅-ニッケル合金紛などの銅系金属紛、酸化第一銅、チオシアン酸第一銅、塩基性炭酸銅、ピロリン酸銅、ナフテン酸銅、アビエチン酸銅、銅オキシキノリン、硫酸銅、亜酸化銅、酸化第二銅、硝酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅などの銅化合物が挙げられ、これらのうちの1種を用いてもよく、また2種以上を用いてもよい。中でも、銅化合物が好ましく、より好ましくは亜酸化銅である。
【0025】ホウ素およびホウ素化合物として具体的には、ホウ素以外に、ホウ砂、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンモニウム、過ホウ酸ソーダ、ホウ化クロム、ホウ化ジルコニウム、ホウ化タングステン、ホウ化タンタル、ホウ化チタン、ホウ化ニオブ、ホウ化モリブデン、ホウ化ランタン、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチル、ホウ酸マンガン、ホウ弗化アンモニウム、ホウ弗化カリウム、ホウ弗化ソーダなどのホウ素化合物が挙げられる。これらのうちの1種を用いてもよく、また2種以上を併用することもできる。中でも、ホウ酸化合物などのようなホウ素化合物が好ましく、より好ましくはホウ酸亜鉛である。
【0026】殺菌剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラ-n-プロピルチウラムジスルフィド、テトライソプロピルチウラムジスルフィド、テトラ-n-ブチルチウラムジスルフィド、テトライソブチルチウラムジスルフィド、N,N'-エチレンビスチオカルバモイルサルファイド、N,N'-プロピレンビスチオカルバモイルサルファイド、N,N'-ブチレンビスチオカルバモイルサルファイドなどのチウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、エチレンビスジチオカルバミン酸亜鉛、プロピレンビスジチオカルバミン酸亜鉛、ビス(ジメチルジチオカルバモイル)エチレンビスジチオカルバミン酸亜鉛、エチレンビスジチオカルバミン酸マンガン、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジエチルジチオカルバミン酸鉄、ジブチルジチオカルバミン酸鉄などのジチオカルバメート系化合物;2-(4-チアゾリル)ベンズイミダゾール、メチル-1-(ω-シアノペンチルカルバモイル)-2-ベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール亜鉛、2-チオシアノメチルチオベンズイミダゾールなどのベンズイミダゾール系化合物;2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2-(チオシアノメチルスルフォニル)ベンゾチアゾール、2-チオシアノエチルチオ-4-クロロベンゾチアゾール、2-チオシアノプロピルチオ-5' 7-ジクロロベンゾチアゾール、2-チオシアノメチルチオ-4,5,6,7-テトラクロロベンゾチアゾールなどのベンゾチアゾール系化合物;テトラクロロイソフタロニトリル、5-クロロ-2,4-ジフルオロ-6-メトキシイソフタロニトリルなどのニトリル系化合物;4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-3-イソチアゾロンなどのイソチアゾリン系化合物;1-〔2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-プロピル-1,3-ジオキソラニル-2-メチル〕-1H-1,2,4-トリアゾール、4,4-ジメチル-2-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)-1-(4-トリフルオルメチル-2-クロロフェニル)-1-ペンテン-2-オールなどのトリアゾール系化合物;2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルフォニル)ピリジン、2,3,6-トリクロロ-4-(プロピルスルフォニル)ピリジン、2,6-ジクロロ-3,5-ジシアノ-4-フェニルピリジン、トリフェニル硼素ピリジンなどのピリジン系化合物;2,4-ジクロロ-6-(α-クロロアニリノ)-s-トリアジン、2-クロロ-4-メチルアミノ-6-イソプロピルアミノ-s-トリアジン、2-クロロ-4,6-ビス(エチルアミノ)-s-トリアジン、2-クロロ-4,6-ビス(イソプロピルアミノ)-s-トリアジン、2-メチルチオ-4,6-ビス(エチルアミノ)-s-トリアジン、2-メチルチオ-4-エチルアミノ-6-イソプロピルアミノ-s-トリアジン、2-メチルチオ-4-t-ブチルアミノ-6-シクロプロピルアミノ-s-トリアジンなどのトリアジン化合物;3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1-メトキシ-1-メチル尿素、1-(α, α'-ジメチルベンジル)-3-メチル-3-フェニル尿素、1-(2-メチルシクロフェニル)-3-フェニル尿素などの尿素化合物;2-アミノ-3-クロロ-1,4-ナフトキノン、2,3-ジシアノ-ジチアアントラキノンなどのキノン系化合物;N-トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド、N-1,1,2,2-テトラクロロエチルチオテトラヒドロフタルイミド、N-トリクロロメチルチオフタルイミド、N-フルオロジクロロメチルチオフタルイミド、N,N-ジメチル-N'-フェニル-N'-(フルオロジクロロメチルチオ)スルフリルアミド、トリクロロメチルチオメタンスルフォン-P-クロロアニリド、N-(1,1,2,2-テトラクロロ-2-フルオロエチルチオ)メタンスルフォンアニリド、N-フルオロジクロロメチルチオ-N-3-クロロフェニル-N'-ジメチル尿素、N-フルオロジクロロメチルチオ-N-3,4-ジクロロフェニル-N'-ジメチル尿素、N-フルオロジクロロメチルチオ-N-トリススルフォニル-N-メチルアミンなどのN-ハロアルキルチオ系化合物などが挙げられる。
【0027】これらのうちの1種を用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。中でも、チウラム系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ニトリル系化合物、イソチアゾリン系化合物を用いることが好ましい。具体的には、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドなどのチウラム系化合物、2-(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾールなどのベンゾチアゾール系化合物、テトラクロロイソフタロニトリルなどのニトリル系化合物、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-3-イソチアゾロンなどのイソチアゾリン系化合物がより好ましく、さらに好ましくはテトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラクロロイソフタロニトリルが挙げられる。
【0028】除草剤として具体的には、N-(2-クロロフェニル)マレイミド、N-(3,5-ジクロロフェニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-4-トリルマレイミド、N-2,4-キシリルマレイミドなどのマレイミド系化合物;3,5-ジメチル-テトラヒドロ-1,3,5,2(H)-チアジアジン-2-オン、3,3'-エチレンビステトラヒドロ-4,6-ジメチル-2H-1,3,5-チアジアジン-2-オン、3,5-ジメチル-チオテトラヒドロ-1,3,5-チアジアジン、3,5-ジベンジル-テトラヒドロ-1,3,5-チアジアジン-2-オンなどのチアジアジン系化合物;チオシアン化メチル、チオシアン化クロロメチル、チオシアン化エチル、メチレンビスチオシアネート、クロロメチレンビスチオシアネート、エチレンビスチオシアネート、クロロエチレンビスチオシアネート、イソボルニルチオシアナセテート、メチルチオイソチオシアネート、アリルイソチオシアネート、フェニルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネートなどのチオシアン化合物;カプリルフェノール、ノニルフェノールなどのアルキルフェノール化合物;トリス(オクチルフェニル)フォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、トリス(ジノニルフェニル)フォスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)フォスファイトなどのアルキルフェニルフォスファイト化合物;トリス(オクチルフェニル)フォスフェート、トリス(ノニルフェニル)フォスフェート、トリス(ジノニルフェニル)フォスフェート、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)フォスフェートなどのアルキルフェニルフォスフェート化合物などが挙げられる。
【0029】これらのうちの1種を用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。中でも、マレイミド系化合物を用いることが好ましく、より好ましくはN-(2-クロロフェニル)マレイミドである。併用できる他の有効成分である、上記のような銅および銅化合物、ホウ素およびホウ素化合物、殺菌剤、除草剤などの防汚に有効な成分(生物活性を有する防汚成分)の防汚剤中の配合量としては、対象とする汚損生物、付着防止箇所などに応じて選定すればよい。
【0030】また、上記ウレア化合物と上記のような他の有効成分(生物活性を有する防汚成分)とともに、ワセリン、シリコン、ポリブデン、塩化パラフィン、ポリスルフィド化合物などの溶出調整剤を併用することもできる。
製剤化本発明の防汚剤には、剤形(防汚剤の形態)に応じて、塗膜形成樹脂、顔料、可塑剤、はっ水性付与剤、界面活性剤、沈降防止剤、増粘剤、有機溶剤、水等の従来の水中付着生物防汚剤に用いられる資材を適宜配合できる。
【0031】塗膜形成樹脂としては、たとえば、アクリル樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、ポリブテン樹脂、ビニル樹脂、スチレン-ブタジエン樹脂、クマロン樹脂、ロジン樹脂、エポキシ樹脂、生分解性エステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリプロピレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、水性エマルジョン等が挙げられる。
【0032】顔料としては、たとえば、弁柄、カーボンブラック、二酸化チタン、シアニンブルー等の着色顔料、タルク、酸化亜鉛、硫酸バリウム等の体質顔料を挙げることができる。可塑剤としては、塩素化パラフィン、トリクレジルフォスフェート、ジオクチルフタレート等を挙げることができる。
【0033】はっ水性付与剤としては、流動パラフィン、変成シリコーンオイル等が挙げられる。界面活性剤、沈降防止剤、増粘剤、有機溶剤についても特に使用が制限されるものはない。たとえば、有機溶媒としては、使用する有効成分、樹脂成分等に応じて、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、プソイドクメン、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、アルキルセロソルブ、クロロホルム等を単独で用い、または2種以上の混合溶剤として用いることができる。
【0034】本発明の防汚剤を製剤化する方法は剤形に応じて適宜選択できる。たとえば、塗料とする場合には、一般式(1)で表されるウレア化合物および必要に応じて他の有効成分(生物活性を有する防汚成分)と、さらに塗料として必要な各種資材のうち分散機で分散しても変化しない資材とを、ディゾルバー等の攪拌機で混合し、サンドミール、三本ロール、ペイントシェーカー等の分散機で分散し、その後、残りの資材を添加して攪拌機で混合すれば良い。
【0035】ペレットとする場合には、一般式(1)で表されるウレア化合物および必要に応じて他の有効成分や界面活性剤などを混合し、溶解冷却または加圧等により成型すれば良い。
【0036】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0037】
【処方例1〜9】本発明の防汚剤を防汚塗料として用いる場合の処方例1〜9を以下に示す。なお、以下の処方例において本発明における「ウレア化合物」として、N-[[[3-クロロ-4-[1,1,2-トリフルオロ-2-(トリフルオロメトキシ)エトキシ]フェニル]アミノ]カルボニル]-2,6-ジフルオロベンザミド(以下、「化合物1」と表す。)を用いた。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
【表3】

【0041】
【表4】

【0042】
【表5】

【0043】
【表6】

【0044】
【表7】

【0045】
【表8】

【0046】
【表9】

【0047】
【処方例10〜17】本発明の防汚剤を防汚剤溶液として用いる場合の処方例10〜17を以下に示す。
【0048】
【表10】

【0049】
【表11】

【0050】
【表12】

【0051】
【表13】

【0052】
【表14】

【0053】
【表15】

【0054】
【表16】

【0055】
【表17】

【0056】
【比較処方例1〜11】公知の防汚剤の有効成分である銅化合物、または前述の特表平9-507084号公報に記載された防汚剤の有効成分である殺虫剤;ジフルベンズロン、テフルベンズロン、ルフェヌロン、トリフルムロン、ピリプロキシフェン、メトプレン、クロロフルアズロン、シロマジン、フェノキシカルブまたはフルフェノクスロンを防汚塗料として用いる比較処方例1〜11を以下に示す。
【0057】
【表18】

【0058】
【表19】

【0059】
【表20】

【0060】
【表21】

【0061】
【表22】

【0062】
【表23】

【0063】
【表24】

【0064】
【表25】

【0065】
【表26】

【0066】
【表27】

【0067】
【表28】

【0068】
【比較処方例12〜22】公知の防汚剤の有効成分であるテトラエチルウラムジスルフィド、または前述の特表平9-507084号公報に記載された防汚剤の有効成分である上記殺虫剤を防汚剤溶液として用いる比較処方例12〜22を以下に示す。
【0069】
【表29】

【0070】
【表30】

【0071】
【表31】

【0072】
【表32】

【0073】
【表33】

【0074】
【表34】

【0075】
【表35】

【0076】
【表36】

【0077】
【表37】

【0078】
【表38】

【0079】
【表39】

【0080】
【実施例1】本発明の船底防汚塗料として処方例1の防汚塗料を用いた。予め防錆塗料を塗布した試験鋼板に、処方例1の防汚塗料を刷毛で均一に2回塗布して風乾して、処方例1の防汚塗料を塗布した各試験鋼板を得た。得られた試験鋼板を神奈川県横浜市神奈川区恵比寿町8番地付近の深度約1.5mの海中に平成11年8月より1年間保持し、2ヶ月毎に試験鋼板について汚損生物の付着状況を調査した。
【0081】その結果を表1に示す。なお、表中の数字は汚損生物の付着面積(%)を表す。また、防汚塗料による塗布を行わないで、防錆塗料を塗布した試験鋼板を、上記と同様にして汚損生物の付着状況を調査した結果を無塗装例として表1に示す。
【0082】
【実施例2〜9】実施例1において、処方例1の防汚塗料に代えて、処方例2〜9の防汚塗料をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして汚損生物の付着状況を調査した。その結果を表1に示す。
【0083】
【比較例1〜11】実施例1において、処方例1の防汚塗料に代えて、比較処方例1〜11の防汚塗料をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして汚損生物の付着状況を調査した。その結果を表1に示す。
【0084】
【表40】

【0085】表1から明らかなように、本発明のウレア化合物(化合物1)を有効成分とする船底防汚塗料(実施例1〜9)は、従来の亜酸化銅のみを有効成分とする防汚塗料(比較例1)および特表平9-507084号公報に記載された殺虫剤を有効成分とする防汚塗料(比較例2〜11)に比べて、汚損生物の付着防止効果が著しく高く、しかもその効果は持続性があり、実用的な防汚剤であることが分かる。
【0086】また、ウレア化合物(化合物1)と亜酸化銅とを有効成分とする本発明の船底防汚塗料(実施例5)は、亜酸化銅からなる従来の防汚塗料(比較例1)に比べて、防汚効果が長く持続することから、防汚効果の低い有効成分(亜酸化銅)からなる従来の防汚塗料に、本発明におけるウレア化合物を存在させることにより、防汚効果が著しく改善されることが分かる。
【0087】さらに、本発明の船底防汚塗料においては、ウレア化合物(化合物1)を単独で用いることにより(実施例1、2)、およびテトラエチルウラムジスルフィド、亜酸化銅、2-(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、テトラクロロイソフタロニトリルおよび4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-3-イソチアゾロンのうちの1種以上の有効成分と併用することによっても(実施例3〜9)、高い防汚効果と持続性のある効果を示すことが分る。
【0088】また、ウレア化合物(化合物1)を有効成分とする本発明の船底防汚塗料は、高い防汚効果を有するとともに、毒性が低く安全性が高いので、環境負荷の少ない防汚塗料が提供できる。
【0089】
【実施例10】本発明の漁網用防汚剤として処方例10の防汚剤溶液を用いた。処方例10の防汚剤溶液をポリエチレン製無結節網(6節、400デニール/60本)に浸漬塗布し風乾して、処方例10の防汚剤溶液を塗布した各試験鋼板を得た。得られた試験用漁網を神奈川県横浜市神奈川区恵比寿町8番地付近の深度約0.5mの海中に平成11年8月より4ヶ月間保持した。
【0090】1ヶ月毎に試験漁網について汚損生物の付着状況を調査した。その結果を表2の基準により評価し、表3に示す。また、防汚剤溶液を塗布しないポリエチレン製無結節網を、上記と同様にして汚損生物の付着状況を調査した結果を無塗装例として表3に示す。
【0091】
【実施例11〜17】実施例10において、処方例10の防汚剤溶液に代えて、処方例11〜17の防汚剤溶液をそれぞれ用いた以外は、実施例10と同様にして汚損生物の付着状況を調査した。その結果を表3に示す。
【0092】
【比較例12〜22】実施例10において、処方例10の防汚剤溶液に代えて、比較処方例12〜22の防汚剤溶液を用いた以外は、実施例10と同様にして汚損生物の付着状況を調査した。その結果を表3に示す。
【0093】
【表41】

【0094】
【表42】

【0095】表3から明らかなように、本発明のウレア化合物(化合物1)を有効成分とする漁網防汚剤(実施例10〜17)は、従来のテトラエチルウラムジスルフィドのみを有効成分とする漁網防汚剤(比較例12)および特表平9-507084号公報に記載された殺虫剤を有効成分とする漁網防汚剤(比較例13〜22)に比べて、汚損生物の付着防止効果が高く、しかもその効果は持続性があり、実用的な防汚剤であることが分かる。
【0096】また、ウレア化合物(化合物1)とテトラエチルウラムジスルフィドとを有効成分とする本発明の漁網防汚剤(実施例13、14)は、テトラエチルウラムジスルフィドからなる従来の防汚剤(比較例12)に比べて、防汚効果が長く持続することから、防汚効果の低い有効成分(テトラエチルウラムジスルフィド)からなる従来の防汚剤に、本発明における特定のウレア化合物を存在させることにより、防汚効果が著しく改善されることが分かる。
【0097】さらに、本発明の漁網防汚剤においては、ウレア化合物(化合物1)を単独で用いることにより(実施例10〜12)、および2-(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、テトラクロロイソフタロニトリル、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-3-イソチアゾロンおよびテトラエチルウラムジスルフィドのうちの1種以上の有効成分と併用することによっても(実施例13〜17)、高い防汚効果と持続性のある実用的な効果を示す。
【0098】また、ウレア化合物(化合物1)を有効成分とする本発明の漁網防汚剤は高い防汚効果のみならず、毒性が低く安全性が高いので、環境負荷の少ない漁網防汚剤を提供できることが分かる。
【0099】
【発明の効果】一般式(1)のウレア化合物を有効成分とする本発明の防汚剤は、安全性が高く、水中生物の付着および繁殖を防止する優れた生物付着防止能(防汚能)を有するとともに、その防汚能は長期間持続するので、実用的である。また、本発明の防汚剤は、目的や対象に応じて、塗料、溶液、ペレット、フレーク、シート等の適当な形態で使用できるので、水棲生物の付着防止が必要とされる広範な対象に適用することができる。また、上記製剤化を容易に行うことができる。
【0100】本発明の防汚剤においては、上記ウレア化合物と、銅系有効成分、ホウ素系有効成分、殺菌剤や除草剤のような他の有効成分とを併用することにより、さらに多種多様な汚損生物に対して、より効果的な防汚能を発揮することができる。さらに、本発明の上記ウレア化合物を、防汚効果の低い他の有効成分からなる従来の防汚剤に含有させることにより、従来の防汚剤の防汚効果を改善することができる。
【出願人】 【識別番号】000127879
【氏名又は名称】株式会社エス・ディー・エス バイオテック
【出願日】 平成13年1月26日(2001.1.26)
【代理人】 【識別番号】100081994
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊一郎 (外3名)
【公開番号】 特開2002−220310(P2002−220310A)
【公開日】 平成14年8月9日(2002.8.9)
【出願番号】 特願2001−18921(P2001−18921)