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【発明の名称】 トラフグえらむし駆除剤及び駆除方法
【発明者】 【氏名】中川 敦史

【氏名】畑山 幸宏

【氏名】久保埜 和成

【要約】 【課題】トラフグえらむしの駆除剤及び駆除方法を提供する。

【解決手段】本発明によれば、ベンゾイミダゾール系薬剤を有効成分とするトラフグえらむしの駆除剤及び駆除方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ベンゾイミダゾール系薬剤を有効成分とするトラフグに寄生したえらむしの駆除剤。
【請求項2】 トラフグに寄生したえらむしがヘテロボツリウム・オカモトイである請求項1記載の駆除剤。
【請求項3】 ベンゾイミダゾール系薬剤を含有するトラフグに寄生したえらむしの駆除用魚類飼料。
【請求項4】 請求項1記載のベンゾイミダゾール系薬剤を魚類に経口投与することを特徴とするトラフグに寄生したえらむしの駆除方法。
【請求項5】 トラフグに寄生したえらむしがヘテロボツリウム・オカモトイである請求項4記載の駆除方法。
【請求項6】 請求項3記載の飼料を給餌することを特徴とするトラフグに寄生したえらむしの駆除方法。
【請求項7】 トラフグに寄生したえらむしがヘテロボツリウム・オカモトイである請求項6記載の駆除方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はヘテロボツリウム・オカモトイ(Heterobothrium okamotoi) 等のトラフグに寄生したえらむし(以下、特に断らない限りトラフグえらむしと略記する)の駆除剤および駆除用魚類飼料並びにそれらを用いたトラフグえらむしの駆除方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ベンゾイミダゾール(benzimidazole)系薬剤は、殺菌剤及び駆虫剤として広く使用されている薬剤で、駆虫剤としては線虫類及び吸虫類に対し広域活性スペクトルを有することが知られている。駆虫剤としてのベンゾイミダゾール系薬剤は、人や反芻動物あるいは犬及び猫の回虫や蟯虫等の線虫駆除剤及び肝蛭及び肺虫等の吸虫駆除剤として既に商品化されている。これら駆虫すべき線虫や吸虫の寄生部位は、主に消化管、肝臓及び肺であり、これら化合物を経口投与することにより、駆虫剤が直接又は血流等を介して間接的に作用し、寄生虫が駆虫される。
【0003】魚類の寄生虫の駆除剤の従来技術として、バックマンらは、Aquaculture, 118(1-2), 9-21(1993)の中で、鯉の鰓に寄生する寄生虫であるダクチロギルス・エクステンサス(Dactylogyrus extensus)及びダクチロギルス・ミヌーツス(Dactylogyrus minutes)の駆除を、感染させた鯉をメベンダゾール溶液へ浸漬することにより行い、効果があったことを報告した。キムらは、Aquaculture 167,115-121(1998)の中で、クロソイ(Sebastes schelegeli)の鰓に寄生する寄生虫であるミクロコチレ・セバスチスシ(Microcotyle sebustis)の駆除を、メベンダゾール及びビチオノールを添加した配合飼料を給餌することで実施した。その結果、メベンダゾールは効果があったが、ビチオノールは効果がなく、かつ毒性を示した。さらにキムらは、クロソイの鰓の寄生虫の駆除に、薬浴を用いた場合は、その手間が非常に大変であること及び魚へのストレスが大きいため好ましくないと報告している。また、東条らは、Dis. Aqua. Org. Vol.33, 187-193(1998)の中で、ニジマスの鰓および体表に寄生する寄生虫であるギロダクチルス(Gyrodactylus sp.)の駆除に、経口薬剤を用いる実験を行った。その結果、メベンダゾールは経口投与で効果が無かった。東条らは、ベンゾイミダゾール、フルベンダゾール、メベンダゾール、オキシベンダゾール、パーベンダゾール、およびトリクラベンダゾールを含む24種の薬剤を経口投与したが、そのうち22種の薬剤は効果が無く、僅か2種の薬剤(ニトロスカネートおよびトリクラベンダゾール)にのみ効果が認められたと報告している。
【0004】一方、トラフグえらむしの駆除については、従来、トラフグえらむしの寄生部位は鰓蓋内側及び鰓であり、トラフグえらむしに対してはホルマリンや過酸化水素水を溶かした飼育水に対象の魚類を浸漬する方法が取られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来から使用されていたホルマリンは環境等の影響から使用が禁止され、過酸化水素水への浸漬方法ではトラフグえらむしは確実に駆除できず、多大な被害を出している。また、魚の鰓の寄生虫に対する薬剤は、寄生虫の種類によって効いたり効かなかったりするため開発は容易ではなく、トラフグえらむしに対する駆除剤はまだ知られていない。
【0006】本発明の目的は、ベンゾイミダゾール系薬剤を有効成分とするトラフグえらむし駆除剤及びベンゾイミダゾール系薬剤を含有するトラフグえらむしの駆除用魚類飼料を提供すること、並びにベンゾイミダゾール系薬剤を魚類に投与することを特徴とするトラフグえらむしの駆除方法及びベンゾイミダゾール系薬剤を含有するトラフグえらむしの駆除用魚類飼料を給餌することを特徴とするトラフグえらむしの駆除方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の(1)〜(7)に関する。
(1)ベンゾイミダゾール系薬剤を有効成分とするトラフグに寄生したえらむしの駆除剤。
(2)トラフグに寄生したえらむしがヘテロボツリウム・オカモトイである(1)記載の駆除剤。
(3)ベンゾイミダゾール系薬剤を含有するトラフグに寄生したえらむしの駆除用魚類飼料。
(4)請求項1記載のベンゾイミダゾール系薬剤を魚類に経口投与することを特徴とするトラフグに寄生したえらむしの駆除方法。
(5)トラフグに寄生したえらむしがヘテロボツリウム・オカモトイである(4)記載の駆除方法。
(6)(3)に記載の飼料を給餌することを特徴とするトラフグに寄生したえらむしの駆除方法。
(7)トラフグに寄生したえらむしがヘテロボツリウム・オカモトイである(6)記載の駆除方法。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に用いる、ベンゾイミダゾール系薬剤としては、2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾール(チアベンダゾール)、2−(2−フラニル)−1H−ベンゾイミダゾール(フベリダゾール)、(5−ベンゾイル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−カルバミン酸メチルエステル(メベンダゾール)、[5−(プロピルチオ)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]カルバミン酸メチルエステル(アルベンダゾール)、[5−(フェニルチオ)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]カラバミン酸メチルエステル(フェンベンダゾール)、[5−(フェニルスルフィニル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]カルバミン酸メチルエステル(オクスフェンダゾール)、[5−(4−フルオロベンゾイル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]カルバミン酸メチルエステル(フルベンダゾール)、(5−プロポキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)カルバミン酸メチルエステル(オキシベンダゾール)、(5−ブチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−カルバミン酸メチルエステル(パーベンダゾール)、5−クロロ−6−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−メチルチオ−1H−ベンゾイミダゾール(トリクラベンダゾール)、[5−(サイクロプロピルカルボニル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]カルバミン酸メチルエステル(サイクロベンダゾール)、[2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル]カルバミン酸1−メチルエチルエステル(カンベンダゾール)、4−フルオロ−ベンゼンスルフォン酸2−[(メトキシカルボニル)アミノ]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルエステル(ルクサベンダゾール)、[5−(プロピルスルフィニル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]カルバミン酸メチルエステル(リコベンダゾール)等があげられる。
【0009】本発明の駆除剤はトラフグえらむしに対する駆除剤であり、当該トラフグえらむしとは、トラフグの鰓蓋内側及び鰓に寄生する単生類であり、例えばヘテロボツリウム・オカモトイ(Heterobothrium okamotoi)を挙げることができる。本発明に用いられるベンゾイミダゾール系薬剤は、単独でも用いることができるが、他の添加物と混合して用いることもできる。当該添加物としては、賦形剤、展着剤、安定剤等があげられる。賦形剤としては乳糖、澱粉、ブドウ糖、デキストリン、セルロース、ゼラチン、ゼイン等があげられる。展着剤としてはアルギン酸ナトリウム、グルテン、第一リン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、グァガム、ポリアクリル酸ナトリウム、天然ガム類等があげられ、これらの成分を単独及び組み合わせて使用することができる。組み合わせの展着剤としては、例えばアルギン酸ナトリウム、グァガム、キサンタンガム、ドウカストビーンガム及びコンニャク粉を含有するエアバリン(協和醗酵工業社製)が挙げられる。安定剤としては、プロピレングリコール、塩化マグネシウム、アスコルビン酸カルシウム、酢酸トコフェロール、エトキシキン、ピロ亜硫酸ナトリウム等があげられる。また、ドライペレットで投薬するために溶媒および溶解補助剤を加えても良い。溶媒としてはぎ酸、氷酢酸、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。溶解補助剤としてはポリビニルピロリドン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリビニルアルコール等があげられる。
【0010】本発明は、またベンゾイミダゾール系薬剤を含有するトラフグえらむし駆除用魚類飼料に関する。該魚類用飼料は、ベンゾイミダゾール系薬剤の0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜4.0重量部を、魚類飼料80.0〜99.99重量部、好ましくは96.0〜99.95重量部に添加することにより製造することができる。必要に応じて、更に前述の安定剤0.1〜5.0重量部、展着剤0.1〜10.0重量部を添加してもよい。
【0011】魚類飼料としては、魚粉、イカミール、カイミール、オキアミミール、飼料用酵母、イワシミンチ、アジミンチ、サバミンチ、イカナゴミンチ、モイストペレット等があげられる。ベンゾイミダゾール系薬剤の魚類に対する投与は経口により行うことができる。経口投与は、本発明の駆除剤を投与するか、本発明の魚類飼料を給餌することにより行うことができる。投与量としては、一日当たり魚体重1Kgに対してベンゾイミダゾール系薬剤として1mg〜1g、好ましくは50〜200mg投与する。投与期間は1〜10日間、好ましくは3〜7日間である。
【0012】本発明の駆虫剤を投与、又は魚類飼料を給餌する魚としてはトラフグ(Fugu rubripes rubripes)が好ましい。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例及び試験例を示す。
実施例1メベンダゾール(ヤンセン社製)を1重量部又は2重量部、配合飼料(ハマチモイストM−80、マルハ社製)40重量部、冷凍アジ59重量部又は58重量部をケンミキサー(ケンミックスアイコー プロKM−230、愛工舎製作所製)で混合し、メベンダゾール含有飼料A及びBを作成した。
【0014】実施例2フェンベンダゾール(トランスケム社製)を2重量部、配合飼料(ハマチモイストM−80、マルハ社製)40重量部、冷凍アジ58重量部をケンミキサー(ケンミックスアイコー プロKM−230、愛工舎製作所製)で混合し、フェンベンダゾール含有飼料Cを作成した。
実施例3アルベンダゾール(トランスケム社製)を2重量部、配合飼料(ハマチモイストM−80、マルハ社製)40重量部、冷凍アジ58重量部をケンミキサー(ケンミックスアイコー プロKM−230、愛工舎製作所製)で混合し、アルベンダゾール含有飼料Dを作成した。
【0015】実施例4フルベンダゾール(トランスケム社製)を2重量部、配合飼料(ハマチモイストM−80、マルハ社製)40重量部、冷凍アジ58重量部をケンミキサー(ケンミックスアイコー プロKM−230、愛工舎製作所製)で混合し、フルベンダゾール含有飼料Eを作成した。
実施例5オキシベンダゾール(トランスケム社製)を2重量部、配合飼料(ハマチモイストM−80、マルハ社製)40重量部、冷凍アジ58重量部をケンミキサー(ケンミックスアイコー プロKM−230、愛工舎製作所製)で混合し、オキシベンダゾール含有飼料Fを作成した。
【0016】実施例6オクスフェンダゾール(トランスケム社製)を2重量部、配合飼料(ハマチモイストM−80、マルハ社製)40重量部、冷凍アジ58重量部をケンミキサー(ケンミックスアイコー プロKM−230、愛工舎製作所製)で混合し、オクスフェンダゾール含有飼料Gを作成した。
試験例1ヘテロボツリウム・オカモトイに感染した平均体重240gのトラフグ養魚60尾を3水槽に分け(20尾/水槽)、その内水槽1の魚には、実施例1で作成した飼料Aを給餌し1日に魚体重1Kgあたりメベンダゾールとして100mg投与した。飼料は、最初の3日間は飼料48g/水槽/日を給餌した。投薬期間3日後に水槽から5尾を取り上げ左鰓に寄生したヘテロボツリウム・オカモトイの寄生数を計測した。次の2日間は飼料36g/水槽/日を給餌した。投薬期間5日後に水槽から5尾を取り上げ左鰓に寄生したヘテロボツリウム・オカモトイの寄生数を計測した。別の水槽2の魚には、実施例1で作成した飼料Bを給餌し、1日に魚体重1Kgあたりメベンダゾールとして200mg、5日間投与した。飼料の給餌方法及びボツリウム・オカモトイの寄生数の計数方法は水槽1と同様の方法で行った。水槽3の魚にはベンゾイミダゾール系薬剤を含まない飼料を給餌した。投薬期間3日後、5日後に、各水槽から5尾ずつ取り上げ、ボツリウム・オカモトイの寄生数を計数した。結果を表1に示す。
【0017】
【表1】

【0018】試験例2ヘテロボツリウム・オカモトイに感染した平均体重260gのトラフグ養魚105尾を7水槽に分け、その内6水槽の魚に、実施例1〜6でそれぞれ作成した飼料B、飼料C、飼料D、飼料E、飼料F及び飼料Gをそれぞれ39g/水槽/日で3日間、その後26g/水槽/日で2日間給餌することにより、1日に魚体重1Kgあたりベンゾイミダゾール系薬剤として200mgを投与した。また、残り1水槽の魚にはベンゾイミダゾール系薬剤を含まない飼料(コントロール)を給餌した。投薬3日間及び5日間終了後1日目に、各水槽から5尾ずつ取り上げ、左鰓に寄生したヘテロボツリウム・オカモトイの寄生数を計測した。結果を表2に示す。
【0019】
【表2】

【0020】
【発明の効果】本発明により、ベンゾイミダゾール系薬剤を有効成分とするトラフグに寄生したえらむしの駆除剤及び駆除方法並びにベンゾイミダゾール系薬剤を含有する魚類飼料が提供される。本発明の駆除剤及び飼料はトラフグに寄生したえらむしを駆除することができる。
【出願人】 【識別番号】000001029
【氏名又は名称】協和醗酵工業株式会社
【出願日】 平成13年1月29日(2001.1.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−220308(P2002−220308A)
【公開日】 平成14年8月9日(2002.8.9)
【出願番号】 特願2001−20245(P2001−20245)