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【発明の名称】 防虫用ロープ、防虫用ロープ装置及び防虫用ネット並びに簡易防虫装置
【発明者】 【氏名】武川 眞美

【氏名】岩澤 信夫

【要約】 【課題】例えば、稲などの農作物、果実の生育等に妨げとなるカメムシ等の害虫、害獣等を農薬を用いず、無毒の、簡単、適切な手段で防止すること。

【解決手段】植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものに、さらにcapsicumのエキス又は/及びガーリックのエキス等を含浸させた麻又は椰子或いは麻不織布、龍須草等の有機繊維より成る防虫用ロープ5を防虫用に用いるほか、この防虫用ロープ5を、水田、畝等の作付地面又は栽培地10の周囲にイネミズゾウムシ、カメムシ等の生態に合わせた地上高さに防虫用ロープ5の下段を合わせ支柱1〜4を介して1段、又は数段張り巡らすように構成した防虫用ロープ装置で、防虫用ロープに含浸したハーブのエキス等から発せられる刺激性の異臭により害虫に忌避作用を与えようとするものである。なお、防虫用ロープ装置としての形態のほか、防虫用ロープ、防虫用ネツトなどの形態の使用もある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを含浸させた天然の有機繊維より成る防虫用ロープ。
【請求項2】 さらに、capsicum(激辛トウガラシ)のエキスを含浸させた請求項1に記載の防虫用ロープ。
【請求項3】 capsicum(激辛トウガラシ)のエキスをHPLC法で測定したカプサイシン含量で表示される辛み度合いが1〜7%とするようにしたことを特徴とする請求項2に記載の防虫用ロープ。
【請求項4】 さらに、ガーリック(ニンニク)のエキスを含浸させた請求項1乃至3のいずれかに記載の防虫用ロープ。
【請求項5】 表面に、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを含浸或いは塗布した請求項1乃至4のいずれかに記載の防虫用ロープ。
【請求項6】 作付地面又は栽培地の周囲に、害虫の生態に合わせた地上高さに、請求項1乃至5のいずれかに記載の防虫用ロープを巡らすように付設したことを特徴とする防虫用ロープ装置。
【請求項7】 請求項6に記載の防虫用ロープ装置において、害虫の生態に合わせた地上高さに付設された防虫用ロープの上部に、さらに、請求項1乃至5のいずれかに記載の防虫用ロープを1段又は複数段付設するようにしたことを特徴とする防虫用ロープ装置。
【請求項8】 請求項6又は7に記載の防虫用ロープ装置において、当該防虫用ロープを、さらに、作付地面又は栽培地の上部に、作付地面又は栽培地の辺に平行な方向に付設したことを特徴とする防虫用ロープ装置。
【請求項9】 請求項6乃至8のいずれかに記載の防虫用ロープ装置において、当該防虫用ロープを、さらに、作付地面又は栽培地の対角線方向に付設したことを特徴とする防虫用ロープ装置。
【請求項10】 請求項1乃至5のいずれかに記載の防虫用ロープを用いて網状に形成した防虫用ネット。
【請求項11】 請求項10に記載の防虫用ネットを、作付地面又は栽培地内の全面若しくはその一部及び/又はこれらに近接した箇所にかぶせるようにしたことを特徴とする簡易防虫装置。
【請求項12】 野菜又は果実を栽培するビニールハウス又は温室内において、請求項1乃至5のいずれかに記載の防虫用ロープを誘引ロープとしてぶら下げたことを特徴とする簡易防虫装置。
【請求項13】 野菜又は果実を栽培するビニールハウス又は温室内において、請求項5に記載の防虫用ロープを固化して形成した簡易防虫装置を1個又は複数個配置するようにしたことを特徴とする簡易防虫装置。
【請求項14】 野菜又は果実を栽培するビニールハウス又は温室において、その外周の全面又は一部に、請求項10に記載の防虫用ネットを張り巡らすようにしたことを特徴とする簡易防虫装置。
【請求項15】 請求項14に記載の簡易防虫装置において、前記防虫用ネットは前記ビニールハウス又は温室の側面の換気口より高い部分から地面まで張り巡らすようにしたことを特徴とする簡易防虫装置。
【請求項16】 請求項14又は15に記載の簡易防虫装置において、前記防虫用ネットは前記ビニールハウス又は温室の天井部の換気口を内部より覆うように配置するようにしたことを特徴とする簡易防虫装置。
【請求項17】 穀物倉庫内の周囲に、請求項1乃至5のいずれかに記載の防虫用ロープ及び/又は請求項10に記載の防虫用ネットを設置するようにしたことを特徴とする簡易防虫装置。
【請求項18】 保護対象の周囲又は近傍に当該保護対象に対応した配置形態で、請求項1乃至5のいずれかに記載の防虫用ロープ及び/又は請求項10に記載の防虫用ネットを設置するようにしたことを特徴とする簡易防虫装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は稲等の穀物のほか、野菜、果実などの栽培の過程で問題となるカメムシ類を始めとする害虫、さらに穀物の貯蔵場所を含む広範囲の場所での害虫、害獣、害鳥からの予防に効果が大である防虫用ロープ、防虫用ロープ装置及び防虫用ネット並びに簡易防虫装置に関するもので、特に、有機無農薬栽培における害虫、害獣、害鳥からの予防に好適な手段を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】日本人の主食である米の生産面積は、統計によれば、200万haにも及び、1999年の稲作における1等米比率は60%台に落ち込んだことは記憶に新しい事実である。このような稲作における品質低下の主な原因として、カメムシ類(シラホシカメムシ、オオトゲシラホシカメムシ、トゲシラホシカメムシ、ホソハリカメムシ、アカヒメヘリカメムシなど;以下単にカメムシという)やイネミズゾウムシによる被害を挙げることができ、平年でもカメムシによる被害が2桁台に達している。ところで、現行の稲作におけるカメムシやイネミズゾウムシの防御対策としては、残念ながら殺虫剤の散布を行うことが主な方法として用いられており、広域な農耕地においては、ヘリコプターによる殺虫剤の空中散布も行われている。ちなみに、2000年10月31日発行の化学工業日報の記事によれば、カメムシの全国的な発生のために、水稲用殺虫剤の需要が例年より大幅に増大し、単月で前年同月比倍以上の顕著な伸びを示していることが報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、日本の農業は、これまで、稲等の穀物につきものの害虫の予防に殺虫剤などの農薬を使用してきたが、これらの農薬は土壌等の生活環境を破壊し、且つ殺虫剤の散布は、カメムシ等が稲穂の出る頃に発生することを考慮し、刈り入れの直前に行われることになるため、この殺虫剤散布により収穫物に農薬残留の危険性があり、農薬が残留した米を食べる場合には、その毒性のため、人間の神経を損傷し、遺伝子にも悪影響を与えることが最近、識者から指摘されている。このため、農薬を使わない有機無農薬栽培が世界的な潮流となろうとしている。しかし、有機無農薬栽培では、天敵栽培による防虫対策がされているが、天敵栽培による防虫効果には限界があり、カメムシ類の害虫や貯蔵時にはコクゾウムシ等による被害は十分に防止できず、農薬には汚染されないものの、虫食いによる被害を受けた、いわゆる、斑点米の状態で米の品質表示を行わざるを得ないのが、今日の稲作農業の現実である。また、害虫による被害は、このような稲作作物等の他、野菜、園芸、苗木、穀物倉庫の保管穀物などの各種場所でも問題になっている。また、害虫のほか、ネズミやモグラ等の小動物やスズメやカラス等の害鳥による被害も問題にすべき事柄である。例えば、穀物倉庫では、コクゾウムシやノシメマダラメイガのような害虫のほかネズミによる被害もあり、また、水田における水漏れの原因として、モグラの出没用穴がその原因であることも判明しており、害虫のほか、モグラ駆除も水田栽培者の重要な課題となっている。このほか、刈り入れ時のスズメ、カラス等の対策には、古くから案山子等の対策が行われている。本発明は、上記課題を解決し、穀物等の農作物や野菜、果実等の栽培を有機無農薬栽培で行うことができ、かつ、これらの農作物等に何らの毒性を付加することなく、害虫、害獣、害鳥からの防御を適切に行うことができる防虫用ロープ、防虫用ロープ装置及び防虫用ネット並びに簡易防虫装置を提供することを目的とする。なお、本発明のものは、以下に述べるように、単にカメムシ等の昆虫の害虫だけでなく、農作物等に被害を及ぼす害獣や害鳥にも有効であるが、本明細書の記載では、記載を簡潔に行う目的のため、上述した発明の名称及び特許請求の範囲の記載及び以下の記載をも含め、「害虫、害獣、害鳥」と逐一併記すべきところ、多くの記述を、単に「害虫」と簡略化して主として記述し、そのために用いる本発明のロープやネット等も「防虫用、防獣用、防鳥用ロープ」又は「防虫用、防獣用、防鳥用ネット」とは記載せず、単に「防虫用ロープ」又は「防虫用ネット」と簡略的に記載するが、本発明は上記のように併記した場合の技術的機能を有し、害虫、害獣、害鳥の各場合に適用可能な発明であることを冒頭で説明しておく。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1記載の防虫用ロープは、植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを含浸させた天然の有機繊維より構成した。また、請求項2に記載の防虫用ロープは、請求項1記載の防虫用ロープにおいて、さらに、capsicum(激辛トウガラシ)のエキスを含浸させるようにした。また、請求項3に記載の防虫用ロープは、請求項1又は2に記載の防虫用ロープにおいて、capsicum(激辛トウガラシ)のエキスをHPLC法で測定したカプサイシン含量で表示される辛み度合いが1〜7%であるようにした。また、請求項4に記載の防虫用ロープは、請求項1乃至3のいずれかに記載の防虫用ロープにおいて、さらに、ガーリック(ニンニク)のエキスを含浸させるようにした。さらに、請求項5に記載の防虫用ロープは、請求項1乃至4のいずれかに記載の防虫用ロープにおいて、表面に、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを含浸或いは塗布するようにした。
【0005】また、請求項6に記載の防虫用ロープ装置は、作付地面又は栽培地の周囲に、害虫の生態に合わせた地上高さに、請求項1乃至5のいずれかに記載の防虫用ロープを巡らすように付設することで構成した。この場合、請求項7に記載のように、害虫の生態に合わせた地上高さに付設された防虫用ロープの上部に、さらに、請求項1乃至5のいずれかに記載の防虫用ロープを1段又は複数段付設することが望ましい。
【0006】また、請求項8に記載のように、請求項6又は7に記載の防虫用ロープ装置において、当該防虫用ロープを、さらに、作付地面又は栽培地の上部に、作付地面又は栽培地の辺に平行な方向に付設するのが望ましい。
【0007】さらに、請求項9に記載のように、請求項6乃至8のいずれかに記載の防虫用ロープ装置において、当該防虫用ロープを、さらに、作付地面又は栽培地の対角線方向に付設することも考えられる。
【0008】また、請求項10に記載の防虫用ネットは、請求項1乃至5のいずれかに記載の防虫用ロープを用いて網状に形成して構成した。
【0009】また、請求項11に記載の簡易防虫装置は、請求項10に記載の防虫用ネットを、作付地面又は栽培地内の全面若しくはその一部及び/又はこれらに近接した箇所にかぶせるように構成した。
【0010】また、請求項12に記載の簡易防虫装置は、野菜又は果実を栽培するビニールハウス又は温室内において、請求項1乃至5のいずれかに記載の防虫用ロープを誘引ロープとしてぶら下げて構成した。
【0011】また、請求項13に記載の簡易防虫装置は、野菜又は果実を栽培するビニールハウス又は温室内において、請求項5に記載の防虫用ロープを固化して形成した簡易防虫装置を1個又は複数個配置するように構成した。
【0012】また、請求項14に記載の簡易防虫装置は、野菜又は果実を栽培するビニールハウス又は温室において、その外周の全面又は一部に、請求項10に記載の防虫用ネットを張り巡らすように構成した。
【0013】また、この場合、請求項15に記載のように、前記防虫用ネットは前記ビニールハウス又は温室の側面の換気口より高い部分から地面まで張り巡らすように構成するのが望ましい。
【0014】さらに、請求項16に記載のように、防虫用ネットは請求項14又は15に記載の簡易防虫装置において、前記ビニールハウス又は温室の天井部の換気口を内部より覆うように配置するように構成するのが望ましい。
【0015】また、請求項17に記載の簡易防虫装置では、穀物倉庫内の周囲に、請求項1乃至5のいずれかに記載の防虫用ロープ及び/又は請求項10に記載の防虫用ネットを設置するように構成した。
【0016】さらに、請求項18に記載の簡易防虫装置では、保護対象の周囲又は近傍に当該保護対象に対応した配置形態で、請求項1乃至5のいずれかに記載の防虫用ロープ及び/又は請求項10に記載の防虫用ネットを設置するように構成した。
【0017】上記のように構成される防虫用ロープ、防虫用ロープ装置及び防虫用ネット並びに簡易防虫装置では、これらの構成要素であるハーブ等から発せられる刺激的な異臭、刺激色によって、害虫、害獣及び害鳥に対して忌避作用を及ぼすものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下図示する本発明の各実施の形態により本発明を具体的に説明する。
第1の実施の形態:図1(A)及び(B)は夫々第1の実施の形態である本発明の防虫用ロープ装置の構成を示す平面図及び正面図である。同図において、1乃至4は稲苗が植えられた水田等の作付地面10の4隅に設けられた篠竹等から成る支柱、5乃至7は、後述するように形成される本発明の防虫用ロープで、ロープ5は支柱1、2、3及び4間に亙って保護地域を囲むように張り巡らせるようにする。なお、支柱の材質は篠竹に限定されない。この場合、各支柱1〜4間に設けられるロープは、図1(B)に示すように、複数段のロープ5〜7を各支柱1〜4間に亙って張り巡らせるように設けるものとする。この場合の防虫用ロープの地上での高さは、イネミズゾウムシ、カメムシ等の害虫の生態に合わせた下段の防虫用ロープ7の地上高さを設定し、さらに、数段の防虫用ロープ例えば、防虫用ロープ6、5を張るように構成するものである。このような防虫用ロープ装置を使用する期間としては、稲作の場合でいえば、稲穂が出始める直前に設け、後述する刺激性の異臭の効果が維持される15日から1カ月程度使用するのが適当である。しかし、本発明の防虫用ロープの場合は、この使用期間が経過したときに、各支柱から取り外さなくとも天然の有機繊維を素材とする組成の性質上、自然崩壊し、その過程で、地面に落下した場合には、肥料となるので、環境破壊の恐れは生じない。ところで、各ロープ5〜7が防虫用ロープとしての機能を発揮できるために、次のような構成要件を必要とするもので、次に、その実用可能な本発明の防虫用ロープの構成要件について説明する。
【0019】(1)基本構成これは、防虫用ロープの材質として、麻又は椰子或いは麻不織布又は龍須草等の天然の有機繊維を用い、これに植物精油のエキスを含浸させて防虫用ロープを構成するものである。植物精油のエキスは、一般にハーブと称せられものであり、防虫効果のあるものであれば任意のものが使用される。なお、本明細書に記載の「龍須草」(一般名)は、中華人民共和国における主として河川の空地に野生する野生植物で、その学名は「Chinese Alpine Rush」で植物稲科(The Grass Pamily)に属するものである。この龍須草はそれ自体でも、害虫を近付けない機能があるので、この龍須草を用い、ハーブと称せられる植物精油のエキスを含浸した場合には、他の天然の有機繊維に比べ、防虫効果はさらに、助長される。植物精油のエキスは、1種のみを単独で使用しても良いし、複数のものをブレンドしたものを使用しても良い。ハーブと称される植物精油の具体例としては、シトロネラ等のカンキツ系の植物精油、カユプテ等の樹木類の植物精油、ゼラニウム等の花の植物精油、パチェリ等のエキゾチック植物精油、テレビン等の樹脂類の植物精油、シナモン等のスパイス類の植物精油、ニームオイル等のセンダン科、スペアミント等のシソ科の植物精油が挙げられる。また、複数のブレンド例としては、例えば、カンキツ系の植物精油とセンダン科の植物精油とのブレンド例、カンキツ系の植物精油とスパイス類の植物精油、特に、シトロネラとニームオイルとのブレンド例及びシトロネラとシナモンとのブレンド例が効果的である。カンキツ系の植物精油とセンダン科の植物精油をブレンドする場合の混合比は6:1〜5:1.5程度が好ましい。また、カンキツ系の植物精油とスパイス類の植物精油をブレンドする場合の混合比も前記と同様の範囲程度が好ましい。なお、ロープの直径は小径のものを使用すればよく、例えば数mmから数10mm程度の範囲で、適用場所の環境条件を考慮して設定するものとする。イネミズゾウムシやカメムシの大半は、水田の畦畔際から侵入する性質があるが、上記のような防虫用ロープを畦畔際の低い位置に支柱を介して張るようし、また、カメムシに対しては、出穂時の稲穂の位置に合わせて張るというように、これらの害虫の生態に合わせて数段の防虫用ロープを張ることにより、イネミズゾウムシやカメムシ等の害虫はロープから発せられるシトロネラ等のハーブ特有の刺激臭のため侵入が防止される。また、防虫用ロープによるハーブの刺激臭はモグラに対しても忌避作用があるから、水田の水漏れも防止できる。このように、本発明の防虫用ロープ装置は水田の水位を適正に保持し、稲に害を及ぼそうとするイネミズゾウムシやカメムシに忌避作用を与えるから、本発明の防虫用ロープ装置に囲まれた作地にあるすべての稲の生育を適正に行わせることができる。
【0020】なお、ここで、ハーブと称されている植物精油として本発明の防虫用ロープ装置に適用して特に有効なシトロネラと、またシトロネラにブレンドして特に有効なニームオイルのサンプルの組成成分を示すと次の通りである。
A.シトロネラ説明:シンボパゴン ナルダス(Cymbopagon nardus)の乾燥した草を蒸留して得られるもの。
工業的データ:■特徴:柑橘類の臭い、特別な刺激臭を有する黄色〜青黄色の液体■20℃の比重:0.880〜0.922■20℃の屈折率:1.466〜1.1475■合計のゼラニオール(Geraniol)(%W/W):最低値85■シトロネリアル(Citronelial)(%W/W):最低値35■80%エタノールにおける溶解度(V/V) :1.2クリア【0021】B.ニームオイル:このサンプルは、ニーム ケルネル オイル(Neem Kernel Oil)と称されるもので、次の組成のものである。
■質量中の水分及び不純物の割合:0.176■40℃における屈折率:1.456■鹸化値:1.87■ヨウ化物値(Iodine value):73■酸化値:8.62■質量中の反鹸化値の割合:0.53【0022】(2)改良構成1これは、防虫用ロープの材質として、麻又は椰子或いは麻不織布又は龍須草等の天然の有機繊維を用い、これに(1)の基本構成で説明した植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものに、さらにcapsicum(激辛トウガラシ)のエキス(液状)を所定量加えて含浸させて防虫用ロープを構成するもので、防虫用ロープ装置としての構成や、防虫用ロープの地上高さ等は、(1)の基本構成と同様に構成配置するものとする。この場合、ハーブを構成するカンキツ系の植物精油と、センダン科の植物精油の混合比は、例えば、6:1〜5:1.5程度であることが好ましい。なお、この場合、センダン科の植物精油に代え、スパイス類の植物精油をセンダン科の植物精油と同比率の混合比で使用しても良い。また、ハーブとcapsicumの各エキスの混合比は、例えば、7:3〜6.5:2.5程度であることが好ましい。ここで、混合されるcapsicumのエキスをHPLC(高速液体クラマトグラフィ)法で測定したカプサイシン含量で表示される辛み度合いで1〜7%とするのが適当である。なお、カプサイシン含有量の測定方法としては、周知のようにUV法、PC法、TLC法、HPLC法などの各種の測定方法がある。出願人は、これらの測定方法の内、本発明の作用効果を確認するために行った試料としては、次に述べるようにHPLC法により測定したものを使用した。即ち、本発明で用いられるcapsicumの試料の分析結果を示すと、次の通りである。
生産物 :capsicum含油樹脂(capsicum oleoresin)
外 観 :半粘性の液体色 彩 :赤褐色(brownish red)
(a)色 :2000cu(b)辛み度合い:HPLC法による測定により5.08%(c)残余物 :30PPM以下なお、出願人は、このようにHPLC法による測定結果に基づき検出されたカプサイシン含有量(5.08%)の試料のほか、他のカプサイシン含有量のものについても、本発明の適用についてのサンプルテストをした結果、本発明で有用なcapsicumのエキスの辛み度合いを前記のように1〜7%が適当であると判定したものである。このような防虫用ロープの構成では、防虫用ロープから発せられるシトロネラ等のハーブの特有の臭いに加え、capsicumの刺激性の臭いと赤色(赤褐色)が相乗して前記(1)の基本構成の防虫用ロープよりも、さらに増大した防虫作用及び忌避作用を発揮する。従って、モグラの出没を防止し、水田の水位を適正に保ち、稲穂がでかかったときに発生し、害を及ぼそうとするイネミズゾウムシやカメムシ等の害虫に忌避作用を与えるから、本発明の防虫用ロープ装置に囲まれた作地にあるすべての稲の生育を、より適正に行わせることができる。
【0023】(3)改良構成2これは、防虫用ロープの材質として、麻又は椰子或いは麻不織布又は龍須草等の天然の有機繊維を用い、これに(1)の基本構成で説明した植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドし、必要に応じてcapsicum(激辛トウガラシ)のエキスを加えたものに、ガーリック(ニンニク)のエキスを所定量加えたものを含浸させて防虫用ロープを構成するもので、防虫用ロープ装置としての構成や、防虫用ロープの地上高さ等は、(1)の基本構成と同様に構成配置するものとする。この場合、ハーブを構成するカンキツ系の植物精油と、センダン科の植物精油の混合比は、例えば、5:1程度であることが好ましい。この場合もセンダン科の植物精油に代え、スパイス類の植物精油をセンダン科の植物精油と同比率の混合比で使用しても良い。また、ハーブとガーリックとの各エキスの混合比は、例えば、6:4程度とすることが好ましい。さらに、ハーブとcapsicumとガーリックの三者を組み合わせる場合には各エキスの混合比は、例えば、6:2:2程度とすることが好ましい。なお、capsicumを用いる場合には、そのエキスは、前記の(2)の改良構成1の場合と同様に、HPLC法で測定したカプサイシン含量で表示される辛み度合いで1〜7%のものが適当であり、前記仕様のものが適当と考えられる。このような、防虫用ロープの構成では、当該防虫用ロープから発せられるシトロネラ等のハーブの特有の臭いに加え、ガーリックのエキスの臭いが各別又は相乗して作用し、さらにcapsicumを併用した場合には、その刺激性の臭い及び赤色(赤褐色)も各別又は相乗して作用するので、前記(1)の基本構成及び前記(2)の改良構成1の防虫用ロープよりも、さらに顕著な防虫作用及び忌避作用を発揮する。
【0024】(4)改良構成3この場合は、防虫用ロープの材質として、上記の基本構成又は改良構成1又は2における防虫用ロープを用い、そのロープの表面に、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを含浸或いは塗布して防虫用ロープを構成し、改良構成3の防虫用ロープ装置を構成するものである。なお、これらの場合の防虫用ロープ装置としての構成や、防虫用ロープの地上高さ等は、(1)の基本構成と同様に構成配置するものとする。また、capsicumとしては、前記の改良構成1又は2の場合と同様に、HPLC法で測定したカプサイシン含量で表示される辛み度合いで1〜7%のものが適当であり、前記仕様のものが適当と考えられる。このような防虫用ロープの構成では、当該防虫用ロープから発せられるシトロネラ等のハーブ特有の臭いが作用し、またcapsicumやガーリックを併用して用いる場合には、capsicumの刺激性の臭い及び赤色(赤褐色)やガーリックのエキスの臭いが各別又は相乗して作用するので、顕著な防虫作用及び忌避作用を発揮する。しかも、本場合には、上記のように当該防虫用ロープの表面に、融点が40℃〜90℃である適量のパラフィン又はワックスが防虫用ロープに対して含浸或いは塗布されているから、揮発性であるハーブ、capsicumのエキス、ガーリックの刺激臭の保持期間を、上記の基本構成や改良構成1、2の場合に比べて適正な期間の範囲で延長して持続できる効果がある。なお、パラフィン又はワックスの含浸条件としては、次の含浸条件で行うのが適当であることが確認されている。
(1)ワックスを溶融槽に入れ、温度80℃でゆっくり溶融する。
(2)このワックスの溶融槽に防虫用ロープを含浸する。
(3)防虫用ロープを入れても温度が75℃〜80℃に保持されるように温度コントロールを行う。
(4)防虫用ロープの浸漬時間は、90分〜120分程度とする。
(5)上記浸漬時間経過後に、ワックスが含浸された防虫用ロープを引き上げ、ワックスを切る。この場合のワックス切りは、防虫用ロープを揺すった後、2分程度吊るす。
(6)その後、ビニール袋等の密封容器に入れて、使用する迄保管する。
【0025】第2の実施の形態:図2(A)乃至(C)は夫々第2の実施の形態である本発明の防虫用ロープ装置の構成を示す平面図である。これらの各図において、第1の実施の形態と同等な構成については、図1(A)、(B)と同一の符号を付して示した。図2(A)において、1乃至4は稲苗が植えられた水田等の作付地面10の4隅に設けられた篠竹等から成る支柱、さらに、本実施の形態では、同図に示すように支柱1乃至4の中間に支柱11〜16を設け、支柱11、15間に防虫用ロープ5aを、支柱12、14間に防虫用ロープ5bを、支柱13、16間に防虫用ロープ5cを夫々周囲相互に向かって、平行方向に補助的に張るようにする。
【0026】図2(B)では、周囲全体を囲む防虫用ロープ5に加えて、さらに、支柱1〜3間及び支柱2〜4間を結ぶ対角線方向に向かって張るロープ8a及び8bを設けるようにしたものである。また、図2(C)の場合には、図2(B)に記載した防虫用ロープに加えて、さらに5本の支柱17〜21を設け、周囲相互に向かって中間位置での補助的なロープ9a、9bを設けるようにしたものである。図2(A)乃至(C)に示す各場合でも、防虫用ロープ5及び/又は補助的な防虫用ロープ5a〜5c、8a、8b及び9a、9bは、本例に示す1段のほか、本発明の適用場所の状況に応じて、第1の実施の形態のように、数段設けるようにすることが考えられる。
【0027】また、第2の実施の形態の場合も、第1の実施の形態の場合の基本構成や改良構成1〜3における防虫用ロープを使用するものである。即ち、ロープに防虫作用を持たせるために、麻又は椰子或いは麻不織布又は竜髪草等の天然の有機繊維より成るロープに対して、ハーブのエキス及び必要に応じ、capsicum(激辛トウガラシ)のエキス、ガーリック(ニンニク)のエキスを単独又は組み合わせて含浸させ、さらに、必要に応じて当該ロープの表面に、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを含浸或いは塗布して防虫用ロープを構成するものとする。本実施の形態の場合の防虫作用及び忌避作用も、第1の実施の形態と同様、防虫用ロープの状態が基本構成や改良構成1〜3の各状態により第1の実施の形態と同様の機能を有するが、特筆すべき点は、飛来性のカメムシ等の害虫に対しては、水田等の作地を横切る防虫用ロープの存在は効果的である点である。また、モグラに対しての忌避作用も当然増大するので、水田の水位保持には効果的であることは勿論である。さらに、スズメ、カラス等の害鳥に対しても有効である。
【0028】第3の実施の形態:図3(A)及び(B)は夫々第3の実施の形態の簡易防虫装置の構成を示す平面図及び正面図である。本実施の形態の簡易防虫装置は、同図(A)、(B)に示すように、上述してきた防虫用ロープ装置を構成する本発明の防虫用ロープを用いて網状に形成した防虫用ネット31aを、平面的に配置して用いる場合を示すものである。即ち、防虫用ネット31aを作付地面又は栽培地30内に近接した河川又は道路の法面32にかぶせると共に、同様に構成した防虫用ネット31b及び31cを作付地面又は栽培地30内の畦33a及び33bの上面に対してもかぶせるようにして構成するものである。さらに、場所によっては、畝も含めて地面全体に防虫用ネットをかぶせる構成も考えられる。この場合の畝部分の防虫用ネットについては後述する。このように構成すれば、前述したように防虫用ネットから出るハーブほかの刺激臭の故に、防虫の対象とする作付地面又は栽培地30内にて育成又は栽培される稲、野菜その他の農作物の部分に害虫がよりつけないから、これらの農作物を害虫の被害から予防することができる。なお、本実施の形態の場合では、法面と畦又は畝の両者がある作付地面又は栽培地30内の場合で説明したが、法面が存在しない場合の栽培地の場合等では、畦又は畝の部分のみに、防虫用ネットを設けるだけでも、上記の防虫効果が発揮できるものである。
【0029】本発明のものは、上記の各実施の形態のものには、限定されない。例えば、第1乃至第2の実施の形態では本明細書の段落番号0019乃至0027で説明した防虫用ロープを防虫用ロープ装置として適用した場合で説明したが、段落番号0019乃至0027で説明した防虫用ロープ単独でも本発明としての商品価値を生じるものであるので、請求項1乃至5に記載した。同様な理由から、第3の実施の形態の防虫用ネットも、簡易防虫装置として適用する場合のほか、防虫用ネット単独としても商品価値を有するものであるので、請求項10に記載した。また、図1(A)、(B)に示す第1の実施の形態では、防虫用ロープを複数段設ける場合を例示したが、防虫用ロープを設ける場所の立地条件や広さ、及び害虫の種別などの本発明の適用条件によって、防虫用ロープを1段だけ設けるようにしてもよい。なお、防虫効果をより高めるためには、前記のように複数段とする方が望ましい。さらに、第1及び第2の実施の形態では、保護の対象とする農作物を稲を代表例に挙げて説明したが、これに限定されないことは勿論である。また、農作物を被害対象として、主として、その害虫と一部の小動物や害鳥の防御機能のみを説明したが、本発明の機能はこれに限定されず、この他の害獣、害鳥に対しても忌避作用を有するものである。以下この点について、補足説明を行うと、次の通りである。即ち、一般野菜、果樹、花卉、穀物栽培のような路地栽培では、第1及び第2の実施の形態で述べた防虫用ロープ装置の構成を水田における場合のように支柱を立てて行うほか、各畝間に又は数条間隔の施用すれば、路地栽培の対象物を害虫の被害から防止できる。同様に、第3の実施の形態の場合に準じて、防虫用ネットを路地栽培や果樹等における簡易防虫装置として使用できる。花卉やトマト類(トマト、トマピー、パプリカ等)に被害を及ぼし易いスリップムシも完全に防除できるので、開花時点に最大の効果を発揮でき、品質の高い花卉やトマト類の栽培が可能となる。この場合、果樹などの高木には、着果後の果実の位置を想定して、数箇所の位置に、さらに交差するように防虫用ロープ装置を設けるようにすればよい。この場合の使用期間は、数カ月が適当である。なお、このような使用期間の調整は、防虫用ロープの径の調整(段落番号0019)やパラフィン又はワックスの混入度合いの調整により調整可能である。
【0030】また、施設園芸栽培の場合のように、ビニール製、ガラス製、又は硬質樹脂製、或いは軟質樹脂製の温室施設(以下ビニールハウスと総称する)では、施設内が換気口の部分を除き閉鎖状態なので、本発明の防虫用ロープの効果が一番発揮され易い場所といえる。即ち、最近の施設園芸は、暖房施設の常設により、施設内の害虫は季節性や地域性を無視し、南日本に特有の害虫(ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ等)や外来虫(オンシツコナジラミ等)の被害が、季節を問わず発生し、園芸農家を苦しめている。このような害虫に対しても、防虫用ロープ装置を虫媒花の時期を除き、且つ、これら害虫の菜餌行動の抑制に合わせて施設内に数条張り巡らすことにより、これらの害虫を施設内から適正に放逐することができる。なお、虫媒花の時期には、施設外の周囲の場所に防虫用ロープ装置を設置すれば、害虫(タバコガ、ヨトウムシ等の成虫)の飛来からも防御し、これら害虫の施設内への接近を抑制できる。また、苗床等に本発明の防虫用ロープ装置を用いれば、虫媒花の時期に関係なく、苗による本畑への害虫(ダニ等)の持ち込みを完全に防止できる。上記した育成施設内での本発明の防虫用ロープ装置の使用は、路地栽培の苗にも適用可能である。
【0031】また、本発明の防虫用ロープ装置は、施設栽培に準ずるビニール被覆のトンネル栽培にも、虫媒花の時期を除けば、常時施行して使用することができる。例えば、メロン、スイカ等の果実では、着果が完了すれば収穫までは虫媒花を行わないから、本発明の防虫用ロープ装置の使用が有効である。また、このトンネル栽培でのやり方に代えて、前記のビニールハウス内に、メロン、トマピー等の栽培をビニールハウス内で行うようにし、前記した防虫用ロープを誘引ロープとして用いメロン、トマピー、パプリカ、ナス等をぶら下げて栽培するようにした簡易防虫装置としての適用が考えられる。この場合、従来の誘引ロープの場合は、素材が塩化ビニールであったため、誘引ロープをハサミで切断して落下したものや、自然切断されたものを低温で焼却処理するときに光化学反応等でダイオキシンが発生する恐れがあったが、本発明の誘引ロープの場合は、有機性繊維の素材であるから数カ月で自然崩壊し、また、その過程では肥料としての機能も発揮するので、極めて有用である。なお、この場合、上記の誘引ロープの他に、ビニールハウスの各コーナ又は中央部分に前記の天然の有機繊維にシトロネラ等のハーブのエキス、capsi−cumのエキス又は/及びガーリックのエキスを含浸し、さらに融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスで固めた防虫用ロープを簡易防虫装置として配置するようにすれば、防虫効果は大幅に増進させることができる。この場合、防虫用の異臭の保持期間は、前記のようにパラフィン又はワックスの混入度合いの調整により調整可能である。
【0032】前述のように、虫媒花の時期には、ビニールハウスの施設外の周囲の場所に防虫用ロープ装置を設置すれば、害虫(タバコガ、ヨトウムシ等の成虫)の飛来からも防御し、これら害虫の施設内への接近を抑制できるが、さらに、有効な方法としては、次のように防虫用ネットを設ける手段が考えられる。図4(A)及び(B)は、この場合の一実施の形態を示すもので、同図(A)は正面図、同図(B)は平面図である。同図(A)及び(B)において、50はビニールハウス、51a〜51cは右方側の防虫用ネット52の取り付け用の支持柱で、例えば、篠竹が用いられ、防虫用ネットを紐等の取り付け具52a〜52cを用いて、各支持柱51a〜51cに取り付けられる。この場合の防虫用ネットとしては、請求項10に記載のように請求項1乃至5のいずれかに記載の防虫用ロープを用い、網状に形成して構成するが、この網目は少し粗い目であってもよい。また、ビニールハウスの外周に配置する場合には、防虫用ネットを垂直方向に配置する点に特徴がある。そして、防虫用ネット52の範囲としては、高さとしては、図示のようにビニールハウス50の外周の側壁近傍の位置で、ビニールハウス50の側壁に設けられる通気用の換気口55を覆って対向する高さから地上まで垂らすようにし、また、各支持柱51a〜51cを用いてビニールハウス50の外周の側壁に沿って張るようにすれば十分である。
【0033】なお、防虫用ネット52を粗い目とした場合には、図示のように支持柱の最上端では、防虫用ネットの網目の部分を利用して各支持柱に取り付ければよい。左方側の防虫用ネット54も右方側の防虫用ネット52と同様に、各支持柱53a〜53cを用いてビニールハウス50の左方側外周の側壁近傍の位置で側壁に沿って張るようにすればよい。なお、符号54a〜54cは防虫用ネット54の支持柱53a〜53cに対する取り付け具である。この場合も、防虫用ネット54の材質、構成は第3の実施の形態に記載の防虫用ネットと同等のものを使用し、その高さは、ビニールハウスの左側壁に設けられる換気口56に対向する位置を覆う高さとする。このようにビニールハウス50の外部に防虫用ネット52、54を設けるだけでも有効であるが、さらに、天井の換気口59の部分にはビニールハウス50の内側から支持具60を用いて、防虫用ネット61を配置して換気口59を覆うようにするのが望ましい。この場合の防虫用ネット61も防虫用ネット52、54と同等に構成すればよい。なお、符号58はビニールハウス50の出入り口である。また、図示のものでは、ビニールハウス50の換気口が側壁と天井の部分に設けられ、後壁側(図4(B)で上側の壁面)には設けられない場合を想定して図示したが、もし、後ろ壁にも換気口が設けらる場合には、この換気口に対向する場所に対しても、上記の防虫用ネットを支持柱を用いて配置することが望ましい。このことは、出入り口側に設けられる場合も同様である。したがって、本実施の形態での本発明の態様は、請求項14又は15に記載のものでは、ビニールハウスの外周の要部(換気口の設けられる側壁に亙る部分を意味する)または、略全周に沿って防虫用ネットを配置することで簡易防虫装置を構成するものであり、また、請求項16に記載のものでは、これに加えて、さらに、天井の換気口に対しても、防虫用ネットを配置するものである。
【0034】このように各防虫用ネット52、54及び61を設けるようにすれば、ビニールハウス自体は閉鎖状態であっても、室内の温度を所定の値に保持するために設けられる通気用の換気口に対して、外来虫であるタバコガ、ヨトウムシのほかミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザイウマ、オンシツコナジラミ等の害虫が外部から飛来してきても、上記防虫用ネットから発せられるハーブ、cap−sicum、ガーリック等による刺激性の異臭によりこれらの害虫に忌避作用を付与するので、ビニールハウスには寄せ付けず、害虫による被害を防止できる。このように防虫用ネットを簡易防虫装置として用いるときは、防虫用異臭の発揮度合いが大となるから、防虫用ロープ装置の場合よりも害虫予防に対しては有効である。なお、支持柱は篠竹以外の材質を用いても良いことは勿論であり、また、ビニールハウスの形状、広さにより、支持柱の設置数も適応数に変更することになる。また、適応されるビニールハウスの形状も図示の正面がカマボコ形のもの、また、平面形状が長方形のものには限定されない。
【0035】また、本発明の防虫用ロープ又は防虫用ネットは、ネズミ、モグラ等の小動物により農作物の被害の防御に対しても有効である。即ち、前述の水田でのモグラへの防止策としての防虫用ロープ装置の設置のほか、既に、モグラの出没用の穴ができている場合の穴やネズミの出入りの穴に本発明の防虫用ロープ又は防虫用ネットの適当量のもの(防虫資材という)を纏めて差し込むようして、簡易防虫用装置として使用することにより、この防虫資材からの刺激性の臭いのため、モグラ、ネズミに対して忌避効果を与えるから、その被害を軽減することができる。即ち、米の貯蔵は玄米の段階では、現在、15°C以下での低温倉庫で保存され、白米流通の段階では穀物倉庫で保存されることになるが、このとき問題となるのが、ノシメマダラメイガやコクゾウムシ等の害虫やネズミによる被害である。そこで、穀物倉庫の内側の周囲、即ち、床と壁の接点の場所に、本発明の防虫資材を簡易防虫装置として設置すれば、ネズミの他、穀物害虫であるノシメマダラメイガやコクゾウムシ等の害虫も寄り付かなくなるので、これらからの被害を大幅に軽減できる。
【0036】また、本発明の防虫用ロープ又は防虫用ネットは、保護すべき山林の苗木等の保護対象の周囲に設けるようにした簡易防虫及び防獣装置としての適用も考えられる。即ち、猪、猿、鹿、ハクビシン等は、前記したものよりは、直径の大きい防虫用ロープから成る本発明の防虫用ロープ装置を農園の周囲に設置することにより、これらの動物の農園内への侵入を防御できる。これらの動物は、非常に臭いには敏感であり、警戒心が強いから、本発明の資材の刺激性の異臭により、農園に寄り付かなくすることができるから、農園の作物をこれらの動物から防御できる。また、山野に植樹する際に、苗木に本資材の防虫用ロープを縛りつければ、鹿等からの被害も軽減できる。
【0037】家庭用園芸の資材として用いるときは、含浸させる成分と前記パラフィン又はワックスの量を軽減し、園芸対象の作物の周囲に支柱を介して張り巡らすか、又は支柱等に対して結束紐の状態で使用するだけでも、害虫被害を軽減できる。なお、本発明で用いるハーブとして、シトラネラを用いるときは、シトロネラはイネ科のものであるから、このシトロネラを希釈すると芳香剤の役目も果たし、化粧品や食品としても利用されているものであるから、公害の恐れは生ぜず、最適といえる。
【0038】さらに、本発明の防虫用ロープを、家庭内の居間の適所に直接またはドライフラワーの結束紐等と結合してぶらさげることにより、蚊等の防虫装置として使用するようにした簡易防虫装置としての適用も考えられる。なお、段落番号0035、0036では防虫用ロープ又は防虫用ネットと選択的な使用形態で記載したが、これらを併用してもよい。
【0039】
【発明の効果】本発明の防虫用ロープ、防虫用ロープ装置、防虫用ネット及び簡易防虫装置は、上記のように構成されるから、次のような優れた効果を有する。
(1)基本となる請求項1に記載の防虫用ロープは、素材である麻、椰子或いは麻不織布又は龍須草等の天然の有機繊維に含浸されているハーブのエキスが発する刺激臭により、各種の農作物、農栽培における害虫や鳥獣の被害の防止に対しても有効である。
【0040】(2)請求項2に記載の防虫用ロープでは、ハーブのエキスほか、capsi−cum(激辛トウガラシ)のエキスが所定量含浸しているから、ハーブの刺激臭に、さらにcapsicumの刺激性の異臭と赤褐色が相乗するので、防虫、防獣、防鳥効果は増大する。
【0041】(3)請求項3に記載の防虫用ロープのように、capsicum(激辛トウガラシ)のエキスをHPLC法で測定したカプサイシン含量で表示される辛み度合いが1〜7%となるようにすると、本発明の防虫用ロープとしての防虫、防獣、防鳥効果を適正に発揮するので、その実用性が増大される。
【0042】(4)請求項4に記載の防虫用ロープでは、ハーブのエキス、必要に応じてc−apsicum(激辛トウガラシ)のエキスのほか、ガーリック(ニンニク)のエキスが所定量含浸しているから、ガーリックの刺激性の異臭が、さらに相乗するので、防虫、防獣、防鳥効果は、さらに増大する。
【0043】(5)請求項5に記載の防虫用ロープでは、ハーブのエキス、必要に応じてc−apsicum(激辛トウガラシ)のエキス、及び/又はガーリック(ニンニク)のエキスが所定量含浸しているほか、当該防虫用ロープの表面に融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを含浸しているから、揮発性であるハーブ、capsicum及びガーリックの刺激性の異臭の保持期間が延長されるので、防虫、防獣、防鳥効果は、さらに増大する。
(6)また、請求項1乃至5のいずれかに記載の防虫用ロープを用いて請求項6又は7に記載のように防虫用ロープ装置を構成すると、稲にとって有害なカメムシ、イネミズゾウムシ等の害虫に対して忌避作用を及ぼすので、稲の生育を適正とし、主食となる米の品質を向上できる。また、水田の水漏れの原因となっていたモグラの侵入も防止できるので、水田の水位も適正に保持できる。また、稲のほか、野菜を始め各種の農作物、農栽培における害虫や鳥獣の被害の防止に対しても有効である。なお、このような防虫、防獣、防鳥効果を有する防虫用ロープは、天然の有機繊維を素材としており主として小径のものであるから、必要な使用期間(例えば、0.5〜3ケ月)が経過すると自然崩壊する。
【0044】また、自然崩壊に至る過程で地面に落ちた防虫用ロープは、有機肥料として機能する。また、上記防虫用ロープの支柱の素材として篠竹を用いると、支柱を放置しておいても強度低下して自然崩壊する。よって、これら防虫用ロープや支柱は、農薬等のような環境破壊のような問題を生じない。なお、有機無農薬栽培は、現在、世界的な潮流となりつつあり、また、日本でも平成11年7月に改正された農林物資の規格化及び品質表示に関する法律(JAS法)のもとで、有機食品の表示の規制も平成13年4月1日から実施され、有機農産物等の検査認証制度(有機認証制度)も発足している。従って、本発明は、このような情勢下での日本の有機無農薬栽培における無化学肥料、無農薬で、しかも無毒の防虫、防獣、防鳥対策として、極めて有効であり、日本の今後の農業を変革するための画期的な発明といえる。
【0045】(7)請求項8又は9に記載の発明では、上記(6)の効果に加え、次のような優れた効果を有する。即ち、請求項8又は9の防虫用ロープ装置では、防虫用ロープを、図2(A)〜(C)に示すように保護対象を囲む地面の周囲相互に向かって平行方向又は/及び対角線方向に向かって張られる防虫用ロープが付設されているので、地面や水田を伝わって侵入するカメムシ等の害虫のほかモグラ等の害獣に加えて、飛来性の害虫(飛来性のカメムシ等)やカラス、スズメ等の害鳥に対しても、これらの侵入を防止できる効果が増大できる。また、異臭の強度も増大するので、害虫、害獣への忌避作用も増大される。
【0046】(8)請求項10又は11に記載の発明では、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の防虫用ロープに相当する機能を防虫用ネットが有するので、請求項1〜請求項5の効果と同等の優れた効果を有する。
【0047】(9)請求項12に記載の発明のように、請求項1〜5の防虫用ロープを、パプリカ、トマピー、メロン、イチゴ、ナス等の栽培に使用する誘引ロープとして用いるようにすると、これら野菜、果実等の栽培に有害な害虫、害鳥、害獣の被害を適切に防止できる。
【0048】(9)請求項13に記載の発明のように、ビニールハウス内に誘因ロープのほかに、前記パラフィン又はワックスで固化した簡易防虫装置を1個又は複数個配置するようにすると、害虫への防虫効果はさらに増大されるし、防虫作用を必要としない場合は容易に取り除けるので、設置の是非の選択が可能であるから実用性が向上される。
【0049】(10)請求項14又は15に記載の発明のように、ビニールハウスの外周の全面又は一部に沿って、防虫用ネットを、支柱を用いて上記温室の側面の換気口に対向する高さで張り巡らすようにすると、外来虫(タバコガ、ヨトウムシ、ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザイウマ、オンシツコナジラミ等)等の被害からの予防に効果的である。
【0050】(11)また、請求項16に記載の発明のように、請求項14又は15に記載の簡易防虫装置において、さらに、上記温室の天井に設けた換気口に対しても内部から上記のように構成した防虫用ネットを配置するようにすると、外来虫等に対する予防効果は、さらに増大できる。
【0051】(12)また、請求項17に記載の発明のように、穀物倉庫内の周囲の適所に、防虫用ロープ又は防虫用ネットを配置すると、ノシメマダラメイガ、コクゾウムシ等の害虫の被害は勿論、ネズミによる被害も大幅に軽減できる。
【0052】(13)さらに、請求項18に記載の発明のように、上述した請求項1〜5の防虫用ロープ装置の構成に使用される防虫用ロープ及び/又は防虫用ネットを、保護対象の防御に対応した設置形態で保護対象の周囲または近傍に配置するようにすると、上述した稲等の農作物、野菜、果実は勿論のこと段落番号0029〜0038に補充記載したような花卉、園芸植物、穀物倉庫の穀物、山林の苗木、居室の人間等を含めた広範囲の場所に亙る保護対象に対する害虫、害獣、害鳥の防御を適切に行うことができ、本発明の実利は極めて大である。
(14)なお、上記の各場合において、有機繊維として、龍須草を用いた場合には、段落番号0019に述べたように、それ自体で害虫に対する忌避機能を有するので、他の有機繊維を用いる場合よりも、防虫効果は、さらに、助長される。
【出願人】 【識別番号】591080483
【氏名又は名称】武川 眞美
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】日石三菱株式会社
【出願日】 平成13年5月28日(2001.5.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−220306(P2002−220306A)
【公開日】 平成14年8月9日(2002.8.9)
【出願番号】 特願2001−158502(P2001−158502)