| 【発明の名称】 |
低溶脱性グリコールエーテル系エマルジョン型防腐剤およびその製法 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐々木 清一
【氏名】雪谷 修治
【氏名】大橋 正宣
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| 【要約】 |
【課題】石油系防腐剤の防腐性能(JIS K 1571)を低下させることなく、色相、臭気、作業環境特性、安全性の1つ以上を改善し、木材含浸後の溶脱率を低くする。
【解決手段】(A)石油系防腐剤と、(B)該石油系防腐剤(A)100重量部に対して、分子量100以上のグリコールエーテル系化合物および水可溶性高分子よりなる群からえらばれた1種以上の水可溶性物質(b1)15〜55重量部ならびに分子量40〜95の水可溶性有機化合物(b2)45〜85重量部からなる合計100重量部に対して界面活性剤(b3)0.1〜15.0重量部を用いて製造したグリコールエーテル系エマルジョン42〜1330重量部とを混合してなる石油系防腐剤(A)を7〜70重量%含有し、木材含浸後の溶脱率が4.5重量%以下である低溶脱性グリコールエーテル系エマルジョン型防腐剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)石油系防腐剤と、(B)該石油系防腐剤(A)100重量部に対して、分子量100以上のグリコールエーテル系化合物および水可溶性高分子よりなる群からえらばれた1種以上の水可溶性物質(b1)15〜55重量部ならびに分子量40〜95の水可溶性有機化合物(b2)45〜85重量部からなる合計100重量部に対して界面活性剤(b3)0.1〜15.0重量部を用いて製造したグリコールエーテル系エマルジョン35〜1330重量部とを混合してなる石油系防腐剤(A)を7〜80重量%含有し、木材含浸後の溶脱率が4.5重量%以下である低溶脱性グリコールエーテル系エマルジョン型防腐剤。 【請求項2】 石油系防腐剤(A)がクレオソート油であり、水可溶性有機化合物(b2)がイソプロピルアルコールであり、界面活性剤(b3)がポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン系界面活性剤である請求項1記載の低溶脱性グリコールエーテル系エマルジョン型防腐剤。 【請求項3】 (A)石油系防腐剤と、(B)該石油系防腐剤100重量部に対して、分子量100以上のグリコールエーテル系化合物および水可溶性高分子よりなる群からえらばれた1種以上の水可溶性物質(b1)15〜55重量部ならびに分子量40〜95の水可溶性有機化合物(b2)45〜85重量部からなる合計100重量部に対して界面活性剤(b3)0.1〜15.0重量部を用いて、水可溶性物質(b1)および水可溶性有機化合物(b2)を水性媒体中に乳化した水性エマルジョン35〜1330重量部とを混合することを特徴とする請求項1記載の低溶脱性グリコールエーテル系エマルジョン型防腐剤の製法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は低溶脱性グリコールエーテル系エマルジョン型防腐剤およびその製法に関する。さらに詳しくは、主として木材の防腐剤に使用されている石油系防腐剤の防腐性能を実質的に低下させることなく、色相、臭気、作業環境特性、安全性の1つ以上を改善し、木材含浸後の溶脱率を4.5重量%(以下、%という)以下にしたグリコールエーテル系エマルジョン型防腐剤およびその製法に関する。 【0002】なお、前記溶脱率は、木材に石油系防腐剤またはグリコールエーテル系エマルジョン型防腐剤を浸透・含浸させたものを、所定の条件で水中に浸漬した場合に溶け出す石油系防腐剤またはグリコールエーテル系エマルジョン型防腐剤の重量割合として求められる値である。 【0003】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】現在、一般的に使用されている石油系木材防腐剤として、コールタールから得られるクレオソート油(危険物第4類第3石油類)がある。しかし、木材への浸透・含浸性、経済性および防腐性能は総合的にすぐれているが、臭気は鼻をつくような臭気であり、色も黒かっ色であり、さらに作業環境特性、安全性(発癌性含む)の点でも問題があり、色相を薄く(茶〜黄)、臭気を低く、さらに作業環境特性をよくし、安全性(発癌性含む)が高く、木材含浸後の溶脱の問題を少なくすることが望まれている。 【0004】これらの問題を解決するために、本発明者らは、クレオソート油の色相、臭気、作業環境特性、安全性、木材含浸後の溶脱の問題を少なくしたクレオソート油エマルジョンを開発し、すでに特許出願をしている(特願平11−307169号)。 【0005】しかし、前記クレオソート油エマルジョンは、色相、臭気、作業環境特性、安全性の点では目的とするレベルまで改善されているが、木材含浸後の溶脱率は、クレオソート油の約13%に対して約10%であり、充分満足のいくレベルに到達しているとはいい難い。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、前記クレオソート油エマルジョンの特徴(木材への浸透・含浸性、防腐性、経済性、臭気、色相、作業環境特性、安全性)を維持しながら、前記クレオソート油エマルジョンの木材含浸後の溶脱率を充分低くすることができていないという問題を改善することを主たる目的としてなされたものであり、(1)(A)石油系防腐剤と、(B)該石油系防腐剤(A)100重量部(以下、部という)に対して、分子量100以上のグリコールエーテル系化合物および水可溶性高分子よりなる群からえらばれた1種以上の水可溶性物質(b1)15〜55部ならびに分子量40〜95の水可溶性有機化合物(b2)45〜85部からなる合計100部に対して界面活性剤(b3)0.1〜15.0部を用いて製造したグリコールエーテル系エマルジョン35〜1330部とを混合してなる石油系防腐剤(A)を7〜80%含有し、木材含浸後の溶脱率が4.5%以下である低溶脱性グリコールエーテル系エマルジョン型防腐剤、(2)石油系防腐剤(A)がクレオソート油であり、水可溶性有機化合物(b2)がイソプロピルアルコールであり、界面活性剤(b3)がポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン系界面活性剤である(1)記載の低溶脱性グリコールエーテル系エマルジョン型防腐剤、および(3)(A)石油系防腐剤と、(B)該石油系防腐剤100部に対して、分子量100以上のグリコールエーテル系化合物および水可溶性高分子よりなる群からえらばれた1種以上の水可溶性物質(b1)15〜55部ならびに分子量40〜95の水可溶性有機化合物(b2)45〜85部からなる合計100部に対して界面活性剤(b3)0.1〜15.0部を用いて、水可溶性物質(b1)および水可溶性有機化合物(b2)を水性媒体中に乳化した水性エマルジョン35〜1330部とを混合することを特徴とする(1)記載の低溶脱性グリコールエーテル系エマルジョン型防腐剤の製法に関する。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明に使用される(A)成分である石油系防腐剤としては、代表的にはクレオソート油があげられるが、この他、コールタール、ペンタクロロフェノール(PCP)なども使用することができる。これらのうちでは、クレオソート油が、低価格で、防腐性能がすぐれるなどの点から多く使用されており、一般的である。 【0008】前記クレオソート油は、一般に木材の防腐剤として使用されており、JISK 2439−1983にクレオソート油(1号)、クレオソート油(2号)として規定されているものが好ましく使用される。 【0009】前記クレオソート油は、コールタールを蒸留して得られる中油以上の留出油の混合物で、中油、重油、アントラセン油などの各留分からナフタリン、アントラセンなどの結晶化したものを分離し、フェノール類、ピリジン類などを分離回収したのち、それらの留分を適宜配合して所定の規格に入るようにしたものである。タールからの直接の留出油のほかに、ピッチ油、コールタールなどの重質油を配合することもできる。 【0010】高温乾留コールタールから得られるクレオソート油は、木材防腐剤としてすぐれた特性をもっているために、石油などの混入をおそれ、クレオソート油の規格ではコールタール製品であることを保証するための規定が設けられている。 【0011】なお、クレオソート油(1号)およびクレオソート油(2号)の規格は表1のとおりである。 【0012】 【表1】
【0013】本発明の低溶脱性グリコールエーテル系エマルジョン型防腐剤(エマルジョン(II))は、分子量100以上の水可溶性有機化合物および水可溶性高分子よりなる群からえらばれた1種以上の水可溶性物質(b1)ならびに分子量40〜95の水可溶性有機化合物(b2)を、界面活性剤(b3)を用いて水性媒体中に乳化した水性エマルジョン(エマルジョン(I))と、石油系防腐剤(A)とを混合するなどの方法により得ることができる。 【0014】なお、前記水可溶性とは、20℃の水100gに20g以上の物質が溶解することを意味する。 【0015】本発明において用いられる水性媒体は、代表的には水である。 【0016】前記分子量100以上の水可溶性有機化合物および水可溶性高分子よりなる群からえらばれた1種以上の水可溶性物質(b1)ならびに分子量40〜95の水可溶性有機化合物(b2)は、もともと水可溶性であるため、界面活性剤を使用しなくても水性液に溶解するが、本発明では、クレオソート油のように石油系防腐剤の色相(黒かっ色)がわるい場合、それを改善する目的で水可溶性物質(b1)を、また、石油系防腐剤または石油系防腐剤エマルジョンの木材含浸後の溶脱率を低くする目的で水可溶性有機化合物(b2)を、界面活性剤(b3)を用いて乳化し、水性エマルジョン(エマルジョン(I))にして使用する。水可溶性物質(b1)および水可溶性有機化合物(b2)を界面活性剤(b3)で乳化した水性エマルジョン(I)を石油系防腐剤(たとえばクレオソート油)と混合すると、色相が黒かっ色とわるい場合、色相が改善され、淡黄色〜淡黄土色にすることができ、木材含浸後の溶脱率を低くすることができる。この理由は定かではないが、水可溶性有機化合物(b2)を水可溶性物質(b1)とともに含有する水性エマルジョンにすることにより、クレオソート油エマルジョン(II)の分散粒子径が小さくなり、含浸しやすく、溶脱しにくくなるためと推定される。 【0017】なお、水可溶性物質(b1)および水可溶性有機化合物(b2)を界面活性剤(b3)で乳化することは、通常であれば必要のない界面活性剤を余分に用いることになり、常識からはずれることであり、従来、行なわれていないことである。 【0018】前記分子量100以上の水可溶性有機化合物における分子量100以上という要件は、実験的に得られたものである。分子量100未満の水可溶性有機化合物(b2)を用いた場合には、色相がわるく充分改善されず、充分安定なエマルジョン(II)が得られず、経時により二層分離する。好ましい分子量は100〜600である。 【0019】前記分子量100以上の水可溶性有機化合物の具体例としては、たとえばn−プロピルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、n−ブチルセロソルブ、イソブチルセロソルブなどのアルキル(炭素数3〜5)セロソルブ、モノブチルジエチレングリコールエーテル、モノヘキシルジエチレングリコールエーテルなどのモノアルキル(炭素数3〜8)ジエチレングリコールエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキル(炭素数1〜6)エーテル、カルビトールアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテートなどのモノアルキル(炭素数1〜6)ジエチレングリコールエーテル脂肪酸(炭素数1〜4)エステル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートなどのアルキレン(炭素数4〜10)グリコール脂肪酸(炭素数1〜4)エステル、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコールなどのジアルキレン(炭素数3〜4)グリコール、モノメチルジプロピレングリコールエーテル、モノエチルジプロピレングリコールエーテルなどのモノアルキル(炭素数1〜4)ジプロピレングリコールエーテル、分子量100〜600のポリ(オキシプロピレン/オキシエチレン)グリコール、分子量100〜600のポリ(オキシブチレン/オキシエチレン)グリコールなどの分子量100〜600のポリ(オキシアルキレン(炭素数3〜4)/オキシエチレン)グリコールなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 【0020】前記水可溶性高分子も実験的に有効であることが見出されたものであり、その具体例としては、たとえばポバール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリルアミド、エチレン−ビニルアセテート共重合体、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)などがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 【0021】前記水可溶性物質(b1)は単独で用いてもよく、2種を組み合わせて用いてもよい。水可溶性物質(b1)のうちでは、n−ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル)などのアルキル(炭素数3〜5)セロソルブ、ジエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテートなどのモノアルキル(炭素数1〜6)ジエチレングリコールエーテル脂肪酸(炭素数1〜4)エステルなどのグリコールエーテル化合物、グリコールエーテルエステル化合物(これらをあわせてグリコールエーテル系化合物という)が、石油系防腐剤の色相がわるい場合でも、色相を薄くしたものを安定に存在させることができる点から好ましい。とくに、n−ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテートが好ましい。 【0022】前記分子量40〜95の水可溶性有機化合物(b2)という要件も、実験的に得られたものであり、分子量46〜90が好ましく、50〜80がさらに好ましい。分子量40〜95の水可溶性有機化合物(b2)のみを水可溶性物質として用いた場合には、石油系防腐剤の色相がわるい場合でも充分色相が改善されず、充分安定なエマルジョン(II)が得られず、経時により二層分離する。しかし、水可溶性有機化合物(b2)を分子量100以上の水可溶性有機化合物および水可溶性高分子よりなる群からえらばれた1種以上の水可溶性物質(b1)とともに含有する場合には、製造される石油系防腐剤エマルジョン(グリコールエーテル系エマルジョン型防腐剤)を木材に含浸させたのちの溶脱率を低くすることができ、石油系防腐剤の色相がわるい場合でも充分に色相を改善することができ、充分に安定なエマルジョンを得ることができる。 【0023】前記水可溶性有機化合物(b2)の分子量とは、水可溶性有機化合物(b2)が単一物の場合、その分子量になるが、混合物の場合、混合物の平均分子量になる。ただし、混合物として含まれる化合物の分子量は、100未満である。 【0024】前記水可溶性有機化合物(b2)の具体例としては、たとえばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルキル(炭素数1〜4)アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールなどのアルキレン(炭素数2〜4)グリコール、メチルセロソルブ、セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルなどのアルキレン(炭素数2〜3)グリコールアルキル(炭素数1〜3)エーテル、アリルアルコールなどの不飽和脂肪族(炭素数3〜4)アルコールなど、さらには前記分子量の範囲内のケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、アルデヒド類、カルボン酸類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。水可溶性有機化合物(b2)のうちでは、分子量50〜80のアルコール、とくにイソプロピルアルコールが、石油系防腐剤エマルジョンを木材に含浸させたのちの溶脱率を低くすることができ、石油系防腐剤の色相がわるい場合でも充分に色相を改善することができ、充分に安定なエマルジョンを得ることができる点から好ましい。 【0025】前記水可溶性物質(b1)および水可溶性有機化合物(b2)の使用割合としては、合計量が100部になるように、水可溶性物質(b1)15〜55部、好ましくは25〜40部、水可溶性有機化合物(b2)45〜85部、好ましくは60〜75部であるのが、製造される石油系防腐剤エマルジョンを木材に含浸させたのちの溶脱率を低くすることができ、石油系防腐剤の色相がわるい場合でも充分に色相を改善することができ、充分に安定なエマルジョンを得ることができる点から好ましい。水可溶性物質(b1)の量が多すぎる場合や少なすぎる場合には、前記効果が充分得られにくくなる。 【0026】本発明に使用する乳化剤としては、非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤などがあげられる。 【0027】前記非イオン系界面活性剤の例としては、プルロニックタイプの界面活性剤、第1級または第2級アルコールのエチレンオキサイド付加物などがあげられる。 【0028】前記プルロニックタイプの界面活性剤としては、たとえばポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン付加物、エチレンジアミンのポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン付加物などがあげられ、分子量が1,500〜30,000程度で、HLBが8〜16、さらには12〜16程度のものがあげられる。 【0029】前記ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン付加物の具体例としては、たとえばアデカ(登録商標)プルロニックL−44(HLB 13.5、粘度(25℃)300〜500cP、流動点16℃、pH6〜8(25%溶液、25℃))、同L−64(HLB 12.5、粘度(25℃)400〜700cP、流動点16℃、pH6〜8(25%溶液、25℃))、同F−68(HLB 16.0、融点50℃(最低値)、pH6〜8(25%溶液、25℃))、同P−84(HLB 13.3、pH6〜8(25%溶液、25℃))、同P−85(HLB 13.9、pH6〜8(25%溶液、25℃))、同L−31、同L−34、同L−61、同L−62、同L−71、同L−72、同L−101、同L−121、同P−103、同F−88、同F−108、同25R−1、同25R−2、同17R−3などのアデカ(登録商標)プルロニックL・P・Fシリーズ(いずれも旭電化工業(株)製)などがあげられる。 【0030】また、前記エチレンジアミンのポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン付加物の具体例としては、たとえばアデカ(登録商標)プルロニックTR−701、同TR−702、同TR−704、同TR−913R(以上、いずれも旭電化工業(株)製)などがあげられる。 【0031】前記第1級アルコールのエチレンオキサイド付加物の具体例としては、たとえばアデカトールLO−3、同LO−7、同LO−9(以上、旭電化工業(株)製)、前記第2級アルコールのエチレンオキサイド付加物の具体例としては、たとえばアデカトールSO−80、同SO−105、同SO−120、同SO−135、同SO−145、同SO−160(以上、旭電化工業(株)製)があげられる。 【0032】前記界面活性剤のうちでは、プルロニックタイプのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン付加物が、水可溶性物質(b1)および水可溶性有機化合物(b2)を乳化した水性エマルジョンをクレオソート油と混合した場合の安定性がよい点から好ましい。 【0033】本発明に使用する水可溶性物質(b1)、水可溶性有機化合物(b2)および界面活性剤(b3)を含むエマルジョン(エマルジョン(I))としては、たとえば水可溶性物質(b1)および水可溶性有機化合物(b2)の合計100部に対して界面活性剤(b3)0.1〜15.0部、さらには0.3〜8.0部を使用して乳化した水性エマルジョンで、水可溶性物質(b1)、水可溶性有機化合物(b2)および界面活性剤(b3)(有効成分)の割合が10〜73%、さらには12〜55%の水性エマルジョンがあげられる。前記界面活性剤の使用割合が低すぎる場合には、充分安定なエマルジョンが得られず、逆に高すぎる場合には、エマルジョン作成直後の乳化性はよいが、経時においてエマルジョンが液層分離(2層分離)する傾向が生じる。 【0034】前記エマルジョンの製造方法にはとくに限定はなく、使用するものがいずれも相溶性があるものであるため、どのような順序で混合してもよい。一般的には界面活性剤溶液に水可溶性物質(b1)および水可溶性有機化合物(b2)の混合物を混合するのが順序であるが、界面活性剤(有効成分)が7%(7部)をこえる場合には、水可溶性物質(b1)および水可溶性有機化合物(b2)の混合物に界面活性剤溶液を混合するのが、製造するエマルジョン(II)の経時乳化安定性の点から好ましい。 【0035】前記エマルジョン(エマルジョン(I))の特性としては、有効成分濃度が10〜73%、さらには12〜55%である他、通常、粘度(25℃)が3〜12cP、さらには4〜6cP程度で、外観が乳白色〜淡乳白色のものである。 【0036】本発明の低溶脱性グリコールエーテル系エマルジョン型防腐剤は、石油系防腐剤100部とエマルジョン(I)35〜1330部、好ましくは42〜500部、さらに好ましくは42〜100部とを混合し、石油系防腐剤の含有率が7〜80%、好ましくは30〜75%、さらに好ましくは40〜70%にしたものである。臭気が強く、危険物第4類第3石油類のクレオソート油などの石油系防腐剤の含有率を7〜80%、好ましくは30〜75%、さらに好ましくは40〜70%にし、かつエマルジョンタイプにするため、臭気、作業環境特性および安全性を改善することができる。また、石油系防腐剤とエマルジョン(I)とを混合してグリコールエーテル系エマルジョン型防腐剤にするため、コーヒーにミルクを入れたような色相になり、クレオソート油のように黒かっ色の色相を有する石油系防腐剤の場合にも、ミルク入りコーヒー程度に改善される。さらに、水可溶性物質(b1)とともに水可溶性有機化合物(b2)を使用しているため、木材含浸後の溶脱率を4.5%以下、さらには2.5%以下、とくには1.8%以下にすることができる。 【0037】石油系防腐剤の含有率が低くなりすぎると、石油系防腐剤エマルジョンを石油系防腐剤と同様の使用方法で使用した場合に、所望の効果を得ることができなくなり、重ね塗りなどが必要になる。一方、石油系防腐剤の含有率が高くなりすぎると、エマルジョン化したことによる効果、すなわち、色相、臭気、作業環境特性、安全性(発癌性含む)などの改善が充分でなくなる。 【0038】石油系防腐剤とエマルジョン(I)とを混合して石油系防腐剤エマルジョン(エマルジョン(II))を製造する方法としては、石油系防腐剤を、撹拌下にあるエマルジョン(I)に加える、またはラインミキサーを用いてこれら2つを混合するのが、容易に水中油滴(O/W)型のエマルジョン(II)を得ることができる点から好ましい。もちろん、石油系防腐剤にエマルジョン(I)を加えてO/W型エマルジョン(II)を製造するなどしてもよいが、この場合には、転層させるまでに加えるエマルジョン(I)の量が転層させない場合よりも多くなる傾向にある。転層しない場合には、色相、臭気、作業環境特性、安全性(発癌性含む)などの改善効果を充分得ることができなくなる。 【0039】エマルジョン(I)と石油系防腐剤とを混合する温度は常温付近でよい。乳化性の点から、使用する乳化剤の曇点未満であることが好ましい。 【0040】このようにして得られるエマルジョン(II)は、石油系防腐剤を7〜80%、好ましくは30〜75%含有し、粘度(25℃)が15〜180cP、さらには50〜90cP、色相が淡黄色〜淡黄土色程度以上、臭気が弱いクレゾール臭程度以上で、危険物(消防法)非該当程度のものである。また、前記エマルジョン(II)を木材に浸透、含浸させた場合の木材含浸後の溶脱率は4.5%以下、さらには2.5%以下とすぐれたものである。 【0041】 【実施例】本発明を実施例、比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0042】なお、実施例および比較例で用いた評価方法を以下にまとめて示す。 【0043】(クレオソート油とエマルジョン(I)との混和安定性)クレオソート油とエマルジョン(I)またはエマルジョン(i)とを表2に記載の割合(重量比)で混合し、室温で72時間放置後の色相、分離の有無、凝集状態を目視観察した。 【0044】(木材の防腐性、鉄腐蝕性、乳化持続性)JIS K−1571に準じた。 【0045】(溶脱率) (1)試験片(28mm×28mm×15mmの杉材木片、n数6)を120℃で1時間乾燥させ、室温(20℃)で30分間放置して重量を測定したのち、常圧下、室温(20℃)で30分間エマルジョン(II)、エマルジョン(ii)または1号クレオソート油に浸漬させた。そののち、試験片を取り出し、30分間室内につるし、表面にのこっている薬液をふきとった。ついで、120℃の雰囲気中に1時間つるして乾燥させたのち、室温(20℃)で30分間放置してから重量を測定した。 【0046】得られた試験片を100ml容器(ポリエチレン製、36mmφ)に入れ、常温水に浸漬させたのち、シェイキングバス(200回振動/分)で24時間シェイクした。シェイク後、試験片を取り出し、120℃で1時間乾燥させたのち室温(20℃)で30分間放置してから重量を測定し、エマルジョン(II)または1号クレオソート油の溶脱量を求め、溶脱率を算出した。 (2)(1)における常圧下、室温(20℃)で30分間エマルジョン(II)または1号クレオソート油に浸漬のかわりに、ウェットバキュームによる前排気60分(到達所要時間5分)ののち、28℃のエマルジョン(II)または1号クレオソート油を供給して浸漬させ、ついで、空圧19kgf/cm2での加圧120分(到達所要時間48分)を行なった他は、(1)と同様にして溶脱率を算出した。 【0047】また、実施例および比較例で用いた主要原料を以下にまとめて示す。 【0048】クレオソート油:JIS K 2439−1983のクレオソート油(1号) L−64:旭電化工業(株)製、プルロニック型非イオン界面活性剤、商品名アデカプルロニックL−64、HLB 12.5、25℃粘度400〜700cPF−68:旭電化工業(株)製、プルロニック型非イオン界面活性剤、商品名アデカプルロニックF−68、HLB 16.0、白色フレークBCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテル酢酸エステル、協和発酵工業(株)製IPA:イソプロピルアルコール【0049】実施例1ブチルセロソルブ 100部およびIPA 200部の混合物に、撹拌下、L−64の3%水溶液 350部およびF−68の3%水溶液 350部の混合物を加え、エマルジョン(I−1)を製造した。 【0050】得られたエマルジョン(I−1)に、撹拌下、クレオソート油 1500部を加え、エマルジョン(II−1)を製造した。 【0051】得られたエマルジョン(II−1)を用い、各評価を行なった。結果を表2、3、4に示す。 【0052】なお、表4の溶脱率は、(1)の溶脱率である。 【0053】実施例2ブチルセロソルブ 100部およびIPA 200部の混合物に、撹拌下、F−68の3%水溶液 700部を加え、エマルジョン(I−2)を製造した。 【0054】得られたエマルジョン(I−2)に、撹拌下、クレオソート油 1500部を加え、エマルジョン(II−2)を製造した。 【0055】得られたエマルジョン(II−2)を用い、各評価を行なった。結果を表2、3、4に示す。 【0056】実施例3ブチルセロソルブ 100部およびIPA200部の混合物に、撹拌下、F−68の1%水溶液 700部を加え、エマルジョン(I−3)を製造した。 【0057】得られたエマルジョン(I−3)に、撹拌下、クレオソート油 2300部を加え、エマルジョン(II−3)を製造した。 【0058】得られたエマルジョン(II−3)を用い、各評価を行なった。結果を表2、3、4に示す。 【0059】実施例4ブチルセロソルブ 100部およびIPA 200部の混合物に、撹拌下、F−68の3%水溶液 700部を加え、エマルジョン(I−4)を製造した。 【0060】得られたエマルジョン(I−4)に、撹拌下、クレオソート油 2300部を加え、エマルジョン(II−4)を製造した。 【0061】得られたエマルジョン(II−4)を用い、各評価を行なった。結果を表2、3、4に示す。 【0062】比較例1ブチルセロソルブ 300部に、撹拌下、L−64の3%水溶液 350部およびF−68の3%水溶液 350部の混合物を加え、エマルジョン(i−1)を製造した。 【0063】得られたエマルジョン(i−1)に、撹拌下、クレオソート油 1000部を加え、エマルジョン(ii−1)を製造した。 【0064】得られたエマルジョン(ii−1)を用い、各評価を行なった。結果を表2、3、4に示す。 【0065】比較例2ブチルセロソルブ 200部およびBCA 100部の混合物に、撹拌下、L−64の3%水溶液 350部およびF−68の3%水溶液 350部の混合物を加え、エマルジョン(i−2)を製造した。 【0066】得られたエマルジョン(i−2)に、撹拌下、クレオソート油 1000部を加え、エマルジョン(ii−2)を製造した。 【0067】得られたエマルジョン(ii−2)を用い、各評価を行なった。結果を表2、3、4に示す。 【0068】比較例3ブチルセロソルブ 300部に、撹拌下、F−68の1%水溶液 700部を加え、エマルジョン(i−3)を製造した。 【0069】得られたエマルジョン(i−3)に、撹拌下、クレオソート油 1000部を加え、エマルジョン(ii−3)を製造した。 【0070】得られたエマルジョン(ii−3)を用い、各評価を行なった。結果を表2、3に示す。 【0071】比較例4ブチルセロソルブ 200部およびBCA 100部の混合物に、撹拌下、F−68の1%水溶液 700部を加え、エマルジョン(i−4)を製造した。 【0072】得られたエマルジョン(i−4)に、撹拌下、クレオソート油 1000部を加え、エマルジョン(ii−4)を製造した。 【0073】得られたエマルジョン(ii−4)を用い、各評価を行なった。結果を表2、3に示す。 【0074】比較例5〜6ブチルセロソルブ 200部およびBCA 100部の混合物に、撹拌下、L−64の3%水溶液 350部およびF−68の3%水溶液 350部の混合物を加え、エマルジョン(i−2)を製造した。 【0075】得られたエマルジョン(i−2)に、撹拌下、表2に記載の量のクレオソート油を加え、エマルジョン(ii−5)およびエマルジョン(ii−6)を製造した。 【0076】得られたエマルジョン(ii−5)およびエマルジョン(ii−6)を用い、各評価を行なった。結果を表2、3、4に示す。 【0077】比較例7〜8市販JIS 1号クレオソート油をそのまま用いたもの、なにも用いないものについても防腐性、鉄腐蝕性、乳化持続性を評価した。結果を表3に示す。 【0078】また、市販JIS 1号クレオソート油をそのまま用いたものの溶脱率を評価した。結果を表4に示す。 【0079】 【表2】
【0080】 【表3】
【0081】 【表4】
【0082】実施例5実施例2で製造したエマルジョンII−2を用い、加圧含浸させた試料を作成し、溶脱率を求めたところ、1.48%であった。 【0083】 【発明の効果】本発明によると、石油系防腐剤の防腐性能(JIS K 1571)を低下させることなく、色相、臭気、作業環境特性、安全性の問題の1つ以上を改善することができるとともに、木材含浸後の溶脱率を4.5%以下にすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】399011254 【氏名又は名称】木材耐久性向上技術研究組合
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| 【出願日】 |
平成13年1月23日(2001.1.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065226 【弁理士】 【氏名又は名称】朝日奈 宗太 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−212014(P2002−212014A) |
| 【公開日】 |
平成14年7月31日(2002.7.31) |
| 【出願番号】 |
特願2001−14823(P2001−14823) |
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