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【発明の名称】 加熱蒸散用マット
【発明者】 【氏名】岸 美絵

【要約】 【課題】マットの蒸散面を手で摘まずに、従って薬液に触れる心配なく加熱蒸散殺虫器に装着でき、しかも蒸散性能、殺虫効力や使用性の点でもすぐれた加熱蒸散用マットの提供。

【解決手段】殺虫成分を含有する薬液を含浸させ、加熱蒸散殺虫器の放熱板に装着させて用いる吸液質の加熱蒸散用マットにおいて、該マットの側部に、該マットをその蒸散面に手を触れることなく該放熱板に装着できるようにする摘み手段を設けたことを特徴とする加熱蒸散用マット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 殺虫成分を含有する薬液を含浸させ、加熱蒸散殺虫器の放熱板に装着させて用いる吸液質の加熱蒸散用マットにおいて、該マットの側部に、該マットをその蒸散面に手を触れることなく該放熱板に装着できるようにする摘み手段を設けたことを特徴とする加熱蒸散用マット。
【請求項2】 摘み手段は、加熱蒸散用マットの側方に付設された非吸液質でかつ耐熱性の高い摘み片であって、該マットの側部に固定されていることを特徴とする、請求項1記載の加熱蒸散用マット。
【請求項3】 非吸液質でかつ耐熱性の高い摘み片は、プラスチック樹脂製のものであって、加熱蒸散用マットの側部に、該マットと分離可能に固定されていることを特徴とする、請求項2記載の加熱蒸散用マット。
【請求項4】 非吸液質でかつ耐熱性の高い摘み片は、プラスチック樹脂製のものであって、加熱蒸散用マットの側部に、該摘み片の一部が該マット内部に挿入されて該マットと一体に固定されていることを特徴とする、請求項2記載の加熱蒸散用マット。
【請求項5】 非吸液質でかつ耐熱性の高い摘み片は、手で摘むのを容易ならしめる貫通穴、窪み部もしくは膨らみ部をさらに備えてなることを特徴とする、請求項2ないし4のうちいずれか一項記載の加熱蒸散用マット。
【請求項6】 摘み手段は、加熱蒸散用マットの一部を被覆する非吸液質でかつ耐熱性の高いシート材であって、該マットの表面に接着されていることを特徴とする、請求項1記載の加熱蒸散用マット。
【請求項7】 摘み手段は、加熱蒸散用マットの一部を被覆する非吸液質でかつ耐熱性の高いコーティング材であって、該マットの表面に塗着されていることを特徴とする、請求項1記載の加熱蒸散用マット。
【請求項8】 摘み手段は、加熱蒸散用マットを囲み保持する非吸液質でかつ耐熱性の高いプラスチック樹脂製枠部材からなることを特徴とする、請求項1記載の加熱蒸散用マット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加熱蒸散殺虫器の放熱板に装着させて用いる吸液質の加熱蒸散用マットの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱エネルギーを利用して薬剤を蒸散させる加熱蒸散方法としては、蚊取線香や電気蚊取マット、液体式電気蚊取(リキッド)が一般的で、このうち、電気蚊取マットは、殺虫成分等を含有する薬液を吸液質の長方状マットに含浸させ、加熱蒸散殺虫器の放熱板に装着させて用いるものである。通常家庭の交流電源を利用して蚊の駆除に用いられるが、屋外の害虫駆除用として、乾電池や化学反応熱等を利用したものも検討されている(以降“加熱蒸散用マット”と総称する)。いずれにしても、従来の加熱蒸散用マットを加熱蒸散殺虫器に装着する際は、マットの蒸散面を手で摘む必要があり、蒸散面に滲み出た薬液に触れるという不都合があった。
【0003】この問題を解決するため、例えば実公昭62−38543号公報には、拡散孔を多数穿設した外被でマット全体を覆った殺虫マットが開示されているが、蒸散性能や使用性の点で満足のいくものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、マットの蒸散面を手で摘まずに、従って薬液に触れる心配なく加熱蒸散殺虫器に装着でき、しかも蒸散性能、殺虫効力や使用性の点でも問題のない加熱蒸散用マットを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明者らは、鋭意研究を続けた結果、マットの側部に摘み手段を設けることにより目的を達しえることを知見し本発明を完成するに至ったものである。
【0006】すなわち、本発明は、殺虫成分を含有する薬液を含浸させ、加熱蒸散殺虫器の放熱板に装着させて用いる吸液質の加熱蒸散用マットにおいて、該マットの側部に、該マットをその蒸散面に手を触れることなく該放熱板に装着できるようにする摘み手段を設けたことを特徴とする加熱蒸散用マットに係る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の吸液質の加熱蒸散用マットの材質としては、パルプ、リンター、あるいはその混成品、ビスコース等のセルロース系のものが一般的であるが、吸液質でかつ多孔質であれば、合成繊維、不織布素材等も適用しうる。大きさ、形状についても任意であり、例えば縦10〜30mm、横10〜50mm、厚さ0.5〜3.0mm程度のものが使いやすい。
【0008】本発明で用いる殺虫成分としては、殺虫効力と安全性の点からピレスロイド系殺虫剤が好ましく、例えばアレスリン、フラメトリン、プラレトリン、テラレスリン、テフラメトリン、エムペントリン、あるいは次の一般式(1)で表される化合物【化1】

(式中、X、Yは同一または相異なって水素原子、メチル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基又はメトキシカルボニル基を表し、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基又はプロパルギル基を表す。)を例示できる。
【0009】一般式(1)の具体例としては、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル・3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下「化合物1」という)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル・3−(2,2−ジフルオロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下「化合物2」という)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル・3−(2−クロロ−2−フルオロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下「化合物3」という)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル・クリサンテマート(以下「化合物4」という)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル・3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下「化合物5」という)、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル・クリサンテマート(以下「化合物6」という)、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル・3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下「化合物7」という)、4−エトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル・クリサンテマート(以下「化合物8」という)、4−プロパルギル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル・3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下「化含物9」という)、4−プロパルギル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル・クリサンテマート(以下「化合物10」という)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル・3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下「化合物11」という)、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル・3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下「化合物12」という)、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル・3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下「化合物13」という)、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル・3−(3−メトキシ−3−オキソ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下「化合物14」という)があげられる。なお、上記ピレスロイド系化合物の酸部やアルコール部に、不斉炭素や二重結合に基づく光学異性体や幾何異性体が存在する場合は、これらの各々や任意の混合物も本発明に含まれるのはもちろんである。また、殺虫成分として、ピレスロイド系殺虫剤以外に、有機リン剤、カーバメイト剤、昆虫成長阻害剤等の他のタイプの殺虫成分を適宜配合しても構わない。
【0010】加熱蒸散用マットの形態には、1日(12時間)有効なものと、120時間以上にわたり殺虫効力を持続させるように処方化したものがある。例えば、上記ピレスロイド系殺虫剤の場合は、前者の1日用マットには5mg以上、一方後者の長時間用マットには50mg以上配合される。そして、マットには前記殺虫成分とともに、必要に応じ安定化剤、揮散調整剤、共力剤、希釈剤、基剤、着色剤、香料、殺菌・抗菌剤、消臭剤、他の活性成分等を担持させることができる。
【0011】殺虫成分の安定化剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン〔BHT〕、ジブチルハイドロキノン〔DBHQ〕、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)〔ヨシノックス425〕、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、亜リン酸トリノニルフェニル等があげられる。これらは単独で用いても2種以上で併用してもよいが、70〜150℃の加熱温度で実質的に揮散しないものが好ましい。また揮散調整剤としては、例えばピペロニルブトキサイド、N−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ(2,2,2)オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド〔サイネピリン500〕、N−(2−エチルヘキシル)−メチルビシクロ(2,2,1)へプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド〔サイネピリン222〕、ステアリン酸ブチル、シリコーン、ワックス等があげられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。更に、殺菌・抗菌剤としては、例えばヒノキチオール、リナロール、シトラール、カルボン、ピネン、テルペンアルコール等があげられる。
【0012】本発明は、加熱蒸散用マットの側部に、該マットをその蒸散面に手を触れることなく放熱板に装着できるようになしたことに特徴を有するものである。該摘み手段としては、例えば次のような方法があるがこれらに限定されるものではない。
■マットの側部の外方に非吸液質でかつ耐熱性の摘み片を設け、該マットの側縁部の一部を介して摘み片を固定する。
■マットの一部を被覆するように非吸液質でかつ耐熱性のシートもしくはコーテングを設け、この部分を摘み部とする。
■マットの周囲を保持するように非吸液質でかつ耐熱性のプラスチック製枠部材からなる摘み枠を設ける。
【0013】本発明では上記したように、加熱蒸散用マットの一部に摘み手段を設けているので、該マットの蒸散面に手を触れることなく加熱蒸散殺虫器の放熱板に装着できる。加熱蒸散殺虫器としては、マットのタイプ、すなわち、1日用又は長期間用に合わせて2種類のタイプが用いられる。前者の1日用の場合は、従来の電気蚊取器に準じ、その放熱板の面積はマットの底面積と略同等で、一方、後者の長時間用の場合は、その放熱板の面積はマットの底面積の0.2〜0.6倍が適当である。放熱板の加熱温度は、用いる殺虫成分の種類、物性等に応じて、70〜180℃の範囲で適宜決定すればよく、また熱源として、一般の交流電源の外、乾電池や触媒式の加熱器ももちろん利用可能である。
【0014】以下、本発明の具体的な実施形態について、図面をもとに説明する。
《実施形態1》本発明の加熱蒸散用マットの実施形態1を図1に示す。本実施形態では、加熱蒸散用マット1は、マット2およびこれらの側方に付設されたポリプロピレン、ポリカーボネート等の非吸液質でかつ耐熱性の高いプラスチック樹脂製の摘み片3からなるものである。摘み片3は、マット2の側縁部を挟持するようにしてマット2の側部に固定されている。これは、摘み片3の端部5が、マット側縁部の一部の上面および下面に積層するように流し込み成形されることにより形成され得る。図1(B)の矢印方向Pから、摘み片3の他端部を上下から指で摘むことにより、マット蒸散面4を摘まずに取り扱えるため、薬液に触れる心配がない。
【0015】《実施形態2》本発明の加熱蒸散用マットの実施形態2を図2に示す。本実施形態では、加熱蒸散用マット1は、マット2およびこれらの側方に付設されたポリプロピレン、ポリカーボネート等の非吸液質でかつ耐熱性の高いプラスチック樹脂製の摘み片6からなるものである。摘み片6は、マット2の長手方向の両側面を挟持するようにしてマット2の側部に固定されている。これは、摘み片6の端部5が、マット2の長手方向の両側面を挟むように流し込み成形されることにより形成され得る。図2(B)の矢印方向Pから、摘み片6の他端部を上下から指で摘むことにより、マット蒸散面4を摘まずに取り扱えるため、薬液に触れる心配がない。
【0016】《実施形態3》本発明の加熱蒸散用マットの実施形態3を図3に示す。本実施形態では、加熱蒸散用マット1は、マット2およびこれらの側方に付設されたポリプロピレン、ポリカーボネート等の非吸液質でかつ耐熱性の高いプラスチック樹脂製の摘み片7からなるものである。摘み片7は、マット2の側面から、その内部に圧入されるようにしてマット2の側部に固定されている。これは、摘み片7の端部5が、マットの側縁部からマット内部に圧入されることにより形成され得る。図3(B)の矢印方向Pから、摘み片7の他端部を上下から指で摘むことにより、マット蒸散面4を摘まずに取り扱えるため、薬液に触れる心配がない。
【0017】《実施形態4》本発明の加熱蒸散用マットの実施形態4を図4に示す。本実施形態の加熱蒸散用マット1は、マット2およびこれらの側方に付設された実施形態3と同様の摘み片7aからなるものであるが、特に摘み片が、取り扱い時の摘み易さを更に向上させるために、摘み部に膨らみ部8を有することを特徴としている。図4(B)の矢印方向Pから、摘み片7aの膨らみ部8を上下から指で摘むことにより、マット蒸散面4を摘まずに取り扱えるため、薬液に触れる心配がない。
【0018】《実施形態5》本発明の加熱蒸散用マットの実施形態5を図5に示す。本実施形態の加熱蒸散用マット1は、マット2およびこれらの側方に付設された実施形態3と同様の摘み片7bからなるものであるが、特に摘み片が、取り扱い時の摘み易さを更に向上させるために、摘み部に、くぼみ部9を有することを特徴としている。図5(B)の矢印方向Pから、摘み片7bのくぼみ部9を上下から指で摘むことにより、マット蒸散面4を摘まずに取り扱えるため、薬液に触れる心配がない。
【0019】《実施形態6》本発明の加熱蒸散用マットの実施形態6を図6に示す。本実施形態の加熱蒸散用マット1は、マット2およびこれらの側方に付設された実施形態3と同様の摘み片7cからなるものであるが、特に摘み片が、取り扱い時の摘み易さを更に向上させるために、摘み部に貫通穴10を有することを特徴としている。図6(B)の矢印方向Pから、摘み片7cの貫通穴10を上下から指で摘むことにより、マット蒸散面4を摘まずに取り扱えるため、薬液に触れる心配がない。
【0020】《実施形態7》本発明の加熱蒸散用マットの実施形態7を図7に示す。本実施形態では、加熱蒸散用マット1は、マット2およびこれらの側方に付設されたポリプロピレン、ポリカーボネート等の非吸液質でかつ耐熱性の高いプラスチック樹脂製のクリップ型摘み片11からなるものであり、摘み片11のクリップ先端部12を押し開き、そこにマット2の側縁部を導入することにより形成され得、マット2はクリップ部のバネ圧により固定されている。図7(B)の矢印方向Pから、摘み片11を上下から指で摘むことにより、マット蒸散面4を摘まずに取り扱えるため、薬液に触れる心配がない。
【0021】《実施形態8》本発明の加熱蒸散用マットの実施形態8を図8に示す。本実施形態では、加熱蒸散用マット1は、マット2およびこれらの側方に付設された実施形態7と同様のクリップ型摘み片11からなるものであるが、摘み片11はクリップ先端部12の対向する内面に特設された突部13をマット2に突き刺すことにより、マットの側部に固定されている。図8(B)の矢印方向Pから、摘み片11を上下から指で摘むことにより、マット蒸散面4を摘まずに取り扱えるため、薬液に触れる心配がない。
【0022】《実施形態9》本発明の加熱蒸散用マットの実施形態9を図9に示す。本実施形態の加熱蒸散用マット1は、マット2およびこれらの側方に付設されたマットの一部を被覆するように設けられたシート材14からなるものである。シート材14の材質としては、非吸液質でかつ耐熱性の高いプラスチック樹脂が適当であり、その幅はマット2の長手方向全長の四分の一以下であることが好ましい。また、図9(B)の矢印方向Pから、シート材14を上下から指で摘むことにより、マット蒸散面4を摘まずに取り扱えるため、薬液に触れる心配がない。
【0023】《実施形態10》本発明の加熱蒸散用マットの実施形態10を図10に示す。本実施形態の加熱蒸散用マット1は、マット2およびこれらの側方に付設されたマットの一部を被覆するように設けられたコーティング材15からなるものである。コーティング材15の材質としては、アルミニウム等の金属箔や、金属または金属酸化物の蒸着フィルムが適当であり、その幅はマット2の長手方向全長の四分の一以下であることが好ましい。また、図10(B)の矢印方向Pから、コーティング材15を上下から指で摘むことにより、マット蒸散面4を摘まずに取り扱えるため、薬液に触れる心配がない。
【0024】《実施形態11》本発明の加熱蒸散用マットの実施形態11を図11に示す。本実施形態の加熱蒸散用マット1は、マット2およびマット2周囲を保持するように設けられたポリプロピレン、ポリカーボネート等の非吸液質でかつ耐熱性の高いプラスチック樹脂製枠部材16からなるものである。枠部材16を指で摘むことにより、マット蒸散面4を摘まずに取り扱えるため、薬液に触れる心配がない。
【0025】かかる構成の本発明の加熱蒸散用マットは、マット蒸散面を手で摘まずに加熱蒸散殺虫器に装着、あるいは脱着できるなど使用性にすぐれ、しかも高い殺虫効力を奏するので、蚊、ハエ等の衛生害虫、ブユ、ユスリカ、イガ、コイガ、カツオブシムシ等の不快害虫等の防除用途に極めて有用なものである。
【0026】
【実施例】次に本発明を実施例ならびに試験例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1.縦22mm×横35mm×厚さ2.8mmで、重量が約840mgの繊維質製マット(パルプファイバー50%、コットンファイバー50%)に、ポリプロピレン樹脂を用いてインサート成形を施し、図1に示す摘み片付きマットを作製した。該マット1枚あたり殺虫成分としてd−T80フラメトリンを20mg、揮散調整剤としてサイネピリン500を100mg、安定化剤を15mg、色素を0.5mg、IPソルベント2028(出光石油化学株式会社製、主成分はイソパラフィン)150mgを含浸させ、1日用タイプの本発明加熱蒸散用マットを調製した。得られたマットの摘み片を持って、放熱板の面積が該マットの底面積と略同等で、かつ加熱温度が160℃の加熱蒸散殺虫器に装着し、6畳の部屋(約25m3)で12時間連続して加熱蒸散を行ったところ、使用時間内において十分な蚊防除効果を示した。なお、本発明のマットは、マットの蒸散面を摘まずに取り扱えるため薬液に触れる心配がなく、使用性の点でも満足のいくものであった。
【0027】実施例2.縦22mm×横35mm×厚さ2.8mmで、重量が約840mgの繊維質製マット(パルプファイバー50%、コットンファイバー50%)に、ポリカーボネート樹脂を用いてインサート成形を施し、図2に示す摘み片付きマットを作製した。該マット1枚あたり殺虫成分として化合物2を20mg、揮散調整剤としてピペロニルブトキサイドを60mg、安定化剤を15mg、色素を0.5mg、IPソルベント2028 150mgを含浸させ、1日用タイプの本発明加熱蒸散用マットを調製した。得られたマットの摘み片を持って、放熱板の面積が該マットの底面積と略同等で、かつ加熱温度が90℃の加熱蒸散殺虫器に装着し、6畳の部屋(約25m3)で12時間連続して加熱蒸散を行ったところ、使用時間内において十分な蚊防除効果を示した。なお、本発明のマットは、マットの蒸散面を摘まずに取り扱えるため薬液に触れる心配がなく、使用性の点でも満足のいくものであった。
【0028】実施例3.縦22mm×横35mm×厚さ2.8mmで、重量が約840mgの繊維質製マット(パルプファイバー50%、コットンファイバー50%)に、ポリプロピレン製樹脂を用いてインサート成形を施し、図3に示す摘み片付きマットを作製した。該マット1枚あたり殺虫成分として化合物5を20mg、揮散調整剤としてピペロニルブトキサイドを80mg、安定化剤を15mg、色素を0.5mg、IPソルベント2028 150mgを含浸させ、1日用タイプの本発明加熱蒸散用マットを調製した。得られたマットの摘み片を持って、放熱板の面積が該マットの底面積と略同等で、かつ加熱温度が120℃の加熱蒸散殺虫器に装着し、6畳の部屋(約25m3)で12時間連続して加熱蒸散を行ったところ、使用時間内において十分な蚊防除効果を示した。なお、本発明のマットは、マットの蒸散面を摘まずに取り扱えるため薬液に触れる心配がなく、使用性の点でも満足のいくものであった。
【0029】実施例4.縦22mm×横35mm×厚さ2.8mm、重量約840mgの繊維質製マット(パルプファイバー50%、コットンファイバー50%)において、マット端部から7mm間にアルミニウム蒸着によりコーティングを施し、図10に示すコーティング加工マットを作製した。このマット1枚あたり、殺虫成分として化合物7を20mg、揮散調整剤としてステアリン酸ブチル150mg、安定化剤を15mg、色素を0.5mg、イソパラフィン130mgを含浸させ、1日用タイプの本発明加熱蒸散用マットを調製した。得られたマットのコーティング部分を持って、放熱板の面積が該マットの底面積と略同等で、かつ加熱温度が90℃の加熱蒸散殺虫器に装着し、6畳の部屋(約25m3)で12時間連続して加熱蒸散を行ったところ、使用時間内において十分な蚊防除効果を示した。なお、本発明のマットは、マットの蒸散面を摘まずに取り扱えるため薬液に触れる心配がなく、使用性の点でも好ましいものであった。
【0030】実施例5.縦22mm×横35mm×厚さ2.8mmで、重量が約840mgの繊維質製マット(パルプファイバー50%、コットンファイバー50%)に、マット1枚あたり、殺虫成分として化合物12を20mg、揮散調整剤としてサイネピリン222を100mg、安定化剤を15mg、色素を0.5mg、IPソルベント2028 150mgを含浸させた。図11に示すポリカーボネート製の額縁状枠部材に該マットを収納し、その四隅を挟持するように形成して、1日用タイプの本発明加熱蒸散用マットを調製した。得られたマットの枠部材を持って、放熱板の面積が該マットの底面積と略同等で、かつ加熱温度が100℃の加熱蒸散殺虫器に装着し、6畳の部屋(約25m3)で12時間連続して加熱蒸散を行ったところ、使用時間内において十分な蚊防除効果を示した。なお、本発明のマットは、マットの蒸散面を摘まずに取り扱えるため薬液に触れる心配がなく、使用性の点でも満足のいくものであった。
【0031】比較例1.縦22mm×横35mm×厚さ2.8mmで、重量が約840mgの繊維質製マット(パルプファイバー50%、コットンファイバー50%)に、このマット1枚あたり、殺虫成分として化合物2を20mg、揮散調整剤としてピペロニルブトキサイドを60mg、安定化剤を15mg、色素を0.5mg、IPソルベント2028 150mgを含浸させ、1日用タイプの本発明加熱蒸散用マットを調製した。得られたマットを、放熱板の面積が該マットの底面積と略同等で、かつ加熱温度が90℃の加熱蒸散殺虫器に装着し、6畳の部屋(約25m3)で12時間連続して加熱蒸散を行ったところ、使用時間内において十分な蚊防除効果を示した。しかし、マットを殺虫器に装着の際、直接手で取り扱わなければならないため、手に薬液が付着した。
【0032】比較例2.縦22mm×横35mm×厚さ2.8mm、重量約840mgの繊維質製マット(パルプファイバー50%、コットンファイバー50%)において、直径5mmの孔を5箇所有するアルミフィルムでマット全面にコーティングを施した。該マット1枚あたり殺虫成分として化合物2を20mg、揮散調整剤としてピペロニルブトキサイドを60mg、安定化剤を15mg、色素を0.5mg、イソパラフィン130mgを含浸させ、1日用タイプの本発明加熱蒸散用マットを調製した。得られたマットのコーティング部分を持って、放熱板の面積が該マットの底面積と略同等で、かつ加熱温度が90℃の加熱蒸散殺虫器に装着し、6畳の部屋(約25m3)で12時間連続して加熱蒸散を行った。本発明のマットは、マットの蒸散面を摘まずに取り扱えるため薬液に触れる心配がなく、使用性の点で好ましいが、使用時間内において十分な蚊防除効果が得られなかった。
【0033】実施例6.マット(パルプファイバー50%、コットンファイバー50%)に、マット1枚あたり、殺虫成分として化合物6を200mg、揮散調整剤としてサイネピリン500を600mg、安定化剤を15mg、色素を0.5mg、n−パラフィン系灯油約50mgを含浸させた。図11に示すポリカーボネート製の額縁状枠部材に該マットを収納し、その四隅を挟持するように形成して、長時間用タイプの本発明加熱蒸散用マットを調製した。得られたマットの枠部材を摘んで、帯状の放熱板(面積:マット底面積の0.5倍、加熱温度:120℃)を中央に配設した加熱蒸散殺虫器に装着した。6畳の部屋(約25m3)で、12時間通電と12時間体止のサイクルを30日間繰り返したところ、使用時間内において十分な蚊防除効果を示し、使用後のマットの脱着も蒸散面を摘まずに行うことができ便利であった。
【0034】試験例1.実施例1ないし5、ならびに比較例1および2の各種1日用タイプの加熱蒸散用マットを調製した。このマットを、放熱板の面積が該マットの底面積と略同等の加熱蒸散殺虫器(加熱温度は殺虫成分の種類等に応じて調整)に装着し、12時間使用した。使用開始から5時間目に、下記の試験方法による殺虫効力試験を行った結果を併せて表1に示す。なお、殺虫効力は、dl,d−シス,トランス−アレスリン(ピナミンフォルテ)40mgを含有する蚊取マットを発熱体放熱板温度160℃の条件で蒸散させた時の仰転効果を1.00として相対有効比で示した。
【0035】(連続通気法)内径20cm、高さ43cmのプラスチック製円筒を2段に重ね、その上に16メッシュの金網で上下に仕切った内径及び高さが共に20cmの円筒(供試蚊を入れる場所)を載せ、さらに内径20cm、高さ20cmの円筒を載せる。この4段重ねの円筒を台に載せ、台の中央に揮散装置を置いて薬剤含浸体中の殺虫成分を揮散させる。そして、上部円筒に供試蚊約20匹を放ち、時間の経過に伴う該供試蚊の仰転数を観察する。暴露20分後に全供試蚊を清潔なポリエチレン容器に移し、3%砂糖水を与え、保存24時間後に死虫率を調べる。
【0036】
【表1】

*:マットの大きさ:22×35×2.8mm**:マットを殺虫器に装着の際、手に薬液が付着【0037】表1に示すとおり、本発明の加熱蒸散用マットは、使用時間内において高い殺虫効力を示し、更にマット蒸散面に手を触れずに取り扱えるなど、使用性の点でもすぐれた。これに対し、比較例1の従来品ではマットの薬液に手が触れる不都合があり、また、比較例2のようにマット全面を被覆するような構成では蒸散性能が劣るため殺虫効力的に問題があった。
【0038】
【発明の効果】本発明の加熱蒸散用マットは、マットの蒸散面を手で摘まずに、従って薬液に触れる心配なく加熱蒸散殺虫器に装着でき、しかも蒸散性能、殺虫効力や使用性の点でもすぐれているので、特に蚊の防除用途に極めて有用なものである。
【出願人】 【識別番号】000207584
【氏名又は名称】大日本除蟲菊株式会社
【出願日】 平成13年2月26日(2001.2.26)
【代理人】 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫 (外3名)
【公開番号】 特開2002−212005(P2002−212005A)
【公開日】 平成14年7月31日(2002.7.31)
【出願番号】 特願2001−50136(P2001−50136)