| 【発明の名称】 |
多機能型水処理剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】梶原 庄一郎
【氏名】後藤 敏之
【氏名】山田 洋三
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| 【要約】 |
【課題】スライム障害、スケール障害及び腐食障害が発生する水系に適用される多機能型水処理剤を提供する。
【解決手段】ハロゲン化脂肪族ニトロアルコールと、イソチアゾロン錯化合物の1種以上と、カルボン酸系低分子量ポリマーと、アゾール化合物及びエチレンカーボネートとを有効成分として含有することを特徴とする水処理剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式(1)で表されるハロゲン化脂肪族ニトロアルコールと、一般式(2)で表されるイソチアゾロン錯化合物の1種以上と、カルボン酸系低分子量ポリマーと、アゾール化合物及びエチレンカーボネートとを有効成分として含有することを特徴とする水処理剤。 【化1】
(式中R1は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはヒドロキシ低級アルキル基、R2は水素原子または低級アルキル基、Xはハロゲン原子を示す。) 【化2】
(式中Yは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはアラルキル基を示し、Rは水素原子またはハロゲン原子を示し、R'は水素原子又はハロゲン原子を示し、又RとR'とは結合してベンゼン環を形成することもある。Mはアルカリ土類金属、重金属及びアミンよりなる群から選ばれた陽イオン原子又は基を示し、Zは錯化合物を形成するのに十分な溶解度を有する陽イオンMとの化合物を形成する陰イオン原子又は基を示す。またaは1又は2の整数を示し、nは陰イオンZが陽イオンMの原子価を満たす整数を示す。) 【請求項2】 一般式(1)で表されるハロゲン化脂肪族ニトロアルコールが2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールまたは2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールである請求項1記載の水処理剤。 【請求項3】 一般式(2)で表されるイソチアゾロン錯化合物の1種以上が5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの金属塩コンプレックスである請求項1記載の水処理剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、水処理剤に関する。詳しくは、スライム障害、スケール障害及び腐食障害が発生する水系に適用される多機能型水処理剤に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、化学工業及びその他の諸工業の発展に伴い多量の工業用水が必用となっている。工業用水の水源としては、工業用水道水の他に海水、湖水、沼水、河川水などが使用されている。これらの工業用水中には各種の微生物が成育しており、この微生物類の中にはその存在する水質、環境によって更に増殖を続け、各種の障害を起こす原因となるものが多い。 【0003】たとえば、冷却用水として使用する場合に、水中に生息している微生物が増殖し用水設備の壁などに着生してスライムを形成し、これによる熱交換率の低下および流水不良などの障害が発生する。特に用水の循環使用において、開放型冷却塔等を用いた開放式の場合には系の一部で循環水が強制ばっ気されて空気に接触し、かつ太陽光線が照射されることにより細菌および藻類などの好気性微生物の繁殖が助長される。またビルや工場などの空調、冷暖房施設における小型冷却塔を設置した冷却水系などにおいても同様な障害が発生している。 【0004】また、一般用水系、特に冷却水系においては、スライム障害の他に水中の溶存酸素や塩素イオン、硫酸イオンなどの溶解塩類による腐食障害、さらに水中のカルシウムイオンなどの蓄積により、炭酸カルシウムや硫酸カルシウム、および重合リン酸塩系防食剤の使用に伴うリン酸カルシウムなどのスケール障害が起こる。特に近年の冷却水系の高濃度運転化に伴い、これらの障害はますます甚大となっている。 【0005】従来スライム処理剤と防食剤、スケール防止剤はそれらの効果を有効に発揮させるためにそれぞれを個別に用水に添加されてきているのが一般である。ところが、このような方法は管理する者にとっては極めて操作が煩雑であり、用水の各種障害を一剤で処理し得る薬剤が所望されていた。 【0006】かかる状況下において、スライム処理剤としてハロゲン化脂肪族ニトロアルコール及びイソチアゾロン錯化合物を使用し、これに銅用防食剤としてアゾール化合物、スケール防止剤としてカルボン酸系低分子量ポリマーを配合した混合剤からなる開放用水系障害防止剤が、多機能型水処理剤として提案されて実用化されている。この組成物はハロゲン化脂肪族ニトロアルコールやイソチアゾロン錯化合物を単独で配合した場合に較べて、微生物発生やスライム形成の抑制効果の点で相乗効果が得られる。 【0007】しかしながら、ハロゲン化脂肪族ニトロアルコールおよびイソチアゾロン錯化合物をスライム処理剤として、これにアゾール化合物、カルボン酸系低分子量ポリマーを配合すると早期に粘性の強い沈殿物が発生するという欠点を有している。これを防止するため多価アルコール類、ケトン類、芳香族系有機溶剤等の有機溶剤を安定剤として配合する技術が知られているが、これら有機溶剤を配合した混合剤を冷却水系に添加すると多量の発泡が起こり、発生した泡が周囲に飛散したり場合によっては循環ポンプが泡を巻き込み空転するという欠点を有している。また、安定剤として多価アルコールのような有機溶剤を使用した場合は微生物の栄養源となることがあり、これを防止するため薬注間隔を短くする等使用方法に制約を受けていた。 【0008】 【発明を解決するための課題】本発明の目的は、従来技術における上記したような課題を解決し、安定した効果を発揮し得る多機能型水処理剤を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、多機能型水処理剤組成について鋭意研究を重ねた結果、エチレンカーボネートを安定剤として配合することにより、冷却水系に添加する際に起こる発泡を回避できると共に保存時沈殿物の発生を長期間防止できることを見出し、本発明に到達した。さらに副次効果として、多価アルコール類を安定剤に使用したときに見られるような微生物類増殖の助長を防止できることを見出した。すなわち本発明は、一般式(1)で表されるハロゲン化脂肪族ニトロアルコール、一般式(2)で表されるイソチアゾロン錯化合物の1種以上、カルボン酸系低分子量ポリマー、アゾール化合物及びエチレンカーボネートを有効成分として含有することを特徴とする水処理剤に関するものである。 【0010】 【化3】
(式中R1は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはヒドロキシ低級アルキル基、R2は水素原子または低級アルキル基、Xはハロゲン原子を示す。) 【0011】 【化4】
(式中Yは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはアラルキル基を示し、Rは水素原子またはハロゲン原子を示し、R'は水素原子又はハロゲン原子を示し、又RとR'とは結合してベンゼン環を形成することもある。Mはアルカリ土類金属、重金属及びアミンよりなる群から選ばれた陽イオン原子又は基を示し、Zは錯化合物を形成するのに十分な溶解度を有する陽イオンMとの化合物を形成する陰イオン原子又は基を示す。またaは1又は2の整数を示し、nは陰イオンZが陽イオンMの原子価を満たす整数を示す。) 【0012】 【発明の実施の形態】本発明における一般式(1)で表されるハロゲン化脂肪族ニトロアルコールとしては、2−クロロ−2−ニトロエタノール、1−クロロ−1−ニトロプロパノール−2、3−クロロ−3−ニトロブタノール−2、2−クロロ−2−ニトロブタンジオール(1,3)、1−クロロ−1−ニトロブタノール−2、2−クロロ−2−ニトロブタノール、2−クロロ−2−ニトロペンタノール−3、2,2−ジクロロ−2−ニトロエタノール、2−クロロ−2−ブロモ−2−ニトロエタノール、3−クロロ−3−ニトロ−ペンタンジオール(2,4)、4−クロロ−4−ニトロヘキサノール−3、2−ブロモ−2−ニトロエタノール、2−ブロモ−2−ニトロプロパノール、2−ブロモ−2−ニトロプロパンジオール(1,3)、3−ブロモ−3−ニトロペンタンジオール(2,4)、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、4−ブロモ−4−ニトロヘキサノール−3、2−フルオロ−2−ニトロエタノール、2−フルオロ−2−ニトロブタンジオール(1,3)、3−ヨード−3−ニトロブタノール−2、2−フルオロ−2−クロロ−2−ニトロエタノール、2−ヨード−2−ブロモ−2−ニトロエタノール等があげられる。 【0013】これらの化合物の中で、性能及び製剤を市販品として入手し易い点から、2−ブロモ−2−ニトロプロパンジオール(1,3)(以下ブロノポールという)、または2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール(以下DBNEという)を用いるのが好ましい。 【0014】本発明における一般式(2)で表されるイソチアゾロン錯化合物としては2−メチル−3−イソチアゾロン、2−エチル−3−イソチアゾロン、2−オクチル−4−クロロ−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−4,5−ジクロロ−3−イソチアゾロン、2−アリル−3−イソチアゾロン、2−プロピニル−3−イソチアゾロン、1,2−ベンゾチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等の塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化銅、臭化銅、硝酸銅、塩化ニッケル、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化鉄、塩化マンガン、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化アンモン、その他のアミンクロライド等による錯化合物があげられる。 【0015】以上の内で特に好ましいイソチアゾロン錯化合物としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウム(II)クロライド及び5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウム(II)クロライドが挙げられる。【0016】本発明に使用されるカルボン酸系低分子量ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリル酸ソーダ、(メタ)アクリル酸−アクリルアミド共重合体などのアクリル酸と他のモノマーとの共重合体、ポリ無水マレイン酸、無水マレイン酸−イソブチレン共重合体などの無水マレイン酸と他の共重合体、さらにはアクリル酸−無水マレイン酸共重合体などである。 【0017】更に下記一般式(3)で示されるごときのホスフィン酸もしくはそのナトリウム塩を含有するカルボン酸系ポリマー、下記一般式(4)で示されるごときのホスフィノカルボン酸共重合物、ビス(ポリ−2−カルボキシエチル)ホスフィン酸またはこれらのナトリウム塩も使用できる。 【0018】 【化5】
(式中MはHまたはNaを示す。) 【0019】 【化6】
(式中、Mは水素原子又はアルカリ金属原子、X、Yは各々次式を示す。) 【0020】 【化7】
又は【0021】 【化8】
(式中、M'はMと同意義、n+m+n'+m'=16、但しn+m=0であってもよい。)で示される基を示す。 【0022】これらのカルボン酸系ポリマーは一般に分子量500〜50,000の範囲のものが使用される。なお、混合剤として特に好ましいカルボン酸系ポリマーは、ポリ無水マレイン酸及びビス(ポリ−2−カルボキシエチル)ホスフィン酸である。 【0023】本発明のアゾール化合物としては、ベンゾトリアゾール、O−トリルトリアゾール、m−トリルトリアゾール、p−トリルトリアゾール、5−エチルベンゾトリアゾール、5−n−プロピルベンゾトリアゾール、5−イソブチルベンゾトリアゾール、4−メチルベンゾトリアゾール、5−クロロベンゾトリアゾール、4−ニトロベンゾトリアゾール、5−メトキシベンゾトリアゾール、5−ヒドロキシベンゾトリアゾール又は1−(置換アミノメチル)−トリルトリアゾールがあげられ、そのうち、市販品として入手し易い点からベンゾトリアゾールを用いるのが好ましい。本発明の混合剤を得るにはそれぞれの化合物を所望の割合で配合し、必要に応じpHを調整したり、適宜水で希釈することにより容易に調製することができる。 【0024】本発明に係る混合剤は通常液状で得られ、配合される化合物の配合量は、原則的には従来それぞれの目的で使用される範囲内で使用されるが、好ましい配合割合は、ブロノポール1〜20重量%、イソチアゾロン錯化合物0.1〜1.5重量%、カルボン酸系低分子量ポリマー5〜20重量%、ベンゾトリアゾール0.5〜5重量%、エチレンカーボネート5〜20重量%である。 【0025】以下に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。 【0026】 【実施例】実施例1以下に示す液状の各本発明剤及び比較試料を調製し、加速条件に相当する50℃で保存したときの外観変化を目視で観察した。試験結果を表−1に示す。 本発明剤1ブロノポール 5重量部5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウム(II)クロライド 1重量部ポリ無水マレイン酸 9重量部ビス(ポリ−2−カルボキシエチル)ホスフィン酸 3重量部ベンゾトリアゾール 2重量部エチレンカーボネート 8重量部水 72重量部 合計100重量部本発明剤2DBNE 5重量部5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウム(II)クロライド 1重量部ポリ無水マレイン酸 9重量部ビス(ポリ−2−カルボキシエチル)ホスフィン酸 3重量部ベンゾトリアゾール 2重量部エチレンカーボネート 8重量部水 72重量部 合計100重量部【0027】比較例1実施例1と同様にして、組成中に安定剤を配合しない場合とエチレンカーボネート以外の溶剤を配合した場合の保存安定性を試験した。この結果を表−1に示す。 比較試料1ブロノポール 5重量部5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウム(II)クロライド 1重量部ポリ無水マレイン酸 9重量部ビス(ポリ−2−カルボキシエチル)ホスフィン酸 3重量部ベンゾトリアゾール 2重量部水 80重量部 合計100重量部比較試料2ブロノポール 5重量部5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウム(II)クロライド 1重量部ポリ無水マレイン酸 9重量部ビス(ポリ−2−カルボキシエチル)ホスフィン酸 3重量部ベンゾトリアゾール 2重量部ジエチレングリコール 8重量部水 72重量部 合計100重量部【0028】 【表1】
【0029】実施例21L耐圧瓶に上水500mlを入れ、実施例1及び比較例1同様の本発明剤及び比較試料を各々500mg/L相当量添加した後、ポンプを用いて通気量1L/分でエアを吹き込んだときに発生した泡の高さを測定した。試験結果を表−2に示す。 【0030】 【表2】
【0031】実施例3実施例1と同様の本発明剤及び比較試料を調製し、開放型循環式冷却水系のモデルプラントで試験した。モデルプラントは、保有水量1m3、循環水量4m3/hrであり、系内には熱交換器(SUS304製、伝熱面積0.707m2)を設け、出口温度を50℃に調製した。さらに系内にはバイパスを設け、冷却塔の戻水温度を37〜38℃、送水温度を30℃に調整した。モデルプラントの補給水には工業用水を使用した。実験は、1試験について20日間ずつ実施し、冷却水の濃縮倍数は5とした。薬効の評価は5日毎に冷却塔下部水槽に発生した泡の高さ及び冷却水中の一般細菌数を測定した。試験結果を表−3に示す。 【0032】 【表3】
【0033】 【発明の効果】本発明の多機能型水処理剤は、従来の多機能型水処理剤に見られるような保存時早期沈殿の発生、冷却水系に添加した時の使用時濃度おける発泡現象を回避できる。また、微生物増殖の栄養源になることもなく薬剤の添加方法に制約を受けない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004466 【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年12月22日(2000.12.22) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−193707(P2002−193707A) |
| 【公開日】 |
平成14年7月10日(2002.7.10) |
| 【出願番号】 |
特願2000−389877(P2000−389877) |
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