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【発明の名称】 燻煙剤組成物の安定剤及び安定化方法
【発明者】 【氏名】小椋 一輝

【氏名】西田 信行

【要約】 【課題】式Iの化合物を有効成分とし、かつ発泡剤としてアゾジカルボンアミドを含有する燻煙剤組成物において、有効成分の分解を抑制する燻煙剤組成物の安定剤及びその安定化方法の提供。

【解決手段】カルボン酸エステル類、ジグリコールエーテル類、シロキサン類、植物油及び流動パラフィンから選ばれた1種又は2種以上を安定化作用成分として含む、式I(R1はハロゲン原子、R2はC1〜C4アルキル基。)で表される化合物を有効成分とし、かつ発泡剤としてアゾジカルボンアミドを含有する燻煙剤組成物の安定剤及びその安定化方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カルボン酸エステル類、ジグリコールエーテル類、シロキサン類、植物油及び流動パラフィンから選ばれた1種又は2種以上を安定化作用成分として含む、式I【化1】

(式中、R1はハロゲン原子を表わし、R2はC1〜C4アルキル基を表わす。)で表される化合物を有効成分とし、かつ発泡剤としてアゾジカルボンアミドを含有する燻煙剤組成物の安定剤。
【請求項2】 カルボン酸エステル類、ジグリコールエーテル類、シロキサン類、植物油及び流動パラフィンから選ばれた1種又は2種以上を0.5〜10.0重量%配合することを特徴とする式I[化1](式中、R1はハロゲン原子を表わし、R2はC1〜C4アルキル基を表わす。)で表される化合物を有効成分とし、かつ発泡剤としてアゾジカルボンアミドを含有する燻煙剤組成物の安定化方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カルボン酸エステル類、ジグリコールエーテル類、シロキサン類、植物油及び流動パラフィンから選ばれた1種又は2種以上を安定化作用成分として含む、式I[化1](式中、R1はハロゲン原子を表わし、R2はC1〜C4アルキル基を表わす。)で示される化合物を有効成分とし、かつ発泡剤としてアゾジカルボンアミドを含有する燻煙剤組成物の安定剤及びその安定化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】家庭内に生息するゴキブリ、ナンキンムシ、シラミ、イエダニ、屋内塵性ダニ類などの害虫、ダニ類の駆除や防除のために燻煙剤が使用されてきた。燻煙剤は短時間高濃度空間処理剤に該当し、手間をかけずに広い空間を処理できる長所がある反面、効力、人体に対する安全性、火災に対する安全性など十分な配慮が要求される。現在市販されている燻煙剤には二つのタイプがあり、一つは可燃物と酸素遊離物質、例えば硝酸塩、クロム酸塩、過塩素酸塩などを含むもので、点火した位置から適宜の速度で燃焼し、その燃焼部にある揮散されるべき物質が空中に揮散するものである。他方は、殺虫成分と有機発泡剤、更に必要に応じて増量剤(有機物または無機物)を加えて調製したものであり、有機発泡剤の熱分解の際発生するガスの力を利用して殺虫成分を揮散させるものである。そして、有機発泡剤としては、臭いが少なくガス量の多いアゾジカルボンアミドが代表的である。
【0003】本発明者らは先に、特開平11−92312号公報で、ピレスロイド系殺虫剤と、アゾジカルボンアミドと、酸化亜鉛及び炭酸亜鉛を含有する燻煙剤組成物を、緩燃焼性材料よりなる点火具を接触させた時その接触させた部分にのみ穴が開く合成樹脂フィルムに袋詰めすることを特徴とする燻煙剤、及びこれを用いた燻煙方法を開示した。これらの燻煙剤、及び燻煙方法は簡便かつ効率よく殺虫成分を燻煙せしめるシステムを提供するものであったが、近年特にアレルギー性疾患の原因の一つとされる屋内塵性ダニ類に対し、更に十分な効力を発揮する燻煙剤の開発が切望されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】式Iで示される化合物は、高い殺ダニ効力と人畜に対する低毒性を兼備したスルホンアニリド系化合物として既に公知である(特開平8−319202号公報)。この化合物は、特にツメダニ類及び屋内塵性ダニ類に対し際立った効力を有するため家庭用殺虫剤として実用化が進められているが、例えば燻煙剤組成物の発泡剤であるアゾジカルボンアミド及び発泡助剤である酸化亜鉛と混合し、粉剤に製剤化すると経時的に分解する現象がみられ、種々の製剤改良が必要であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、式Iで表されるトリフルオロメタンスルホンアニリド化合物(以下化合物Aと称す)を有効成分とし、発泡剤としてアゾジカルボンアミドを含有する燻煙剤組成物の調製において、カルボン酸エステル類、ジグリコールエーテル類、シロキサン類、植物油及び流動パラフィンから選ばれた1種又は2種以上を安定剤として配合することにより本発明の目的を達成しえることを知見し、本発明を完成した。
【0006】すなわち請求項1の発明は、カルボン酸エステル類、ジグリコールエーテル類、シロキサン類、植物油及び流動パラフィンから選ばれた1種又は2種以上を安定化作用成分として含む、化合物Aを有効成分とし、かつアゾジカルボンアミドを発泡剤として含有する燻煙剤組成物の安定剤に係る。
【0007】本発明は、化合物Aの安定剤としてカルボン酸エステル類、ジグリコールエーテル類、シロキサン類、植物油及び流動パラフィンから選ばれた1種又は2種以上を配合したことに特徴を有する。特開平8−319202号公報には、化合物Aの安定剤として、PAP(酸性リン酸トリフェニル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)、植物油、鉱物油、界面活性剤、脂肪酸またはそのエステル等が記載されているが、これらを化合物A及びアゾジカルボンアミドからなる燻煙剤組成物へ適用した場合、例えばBHTやBHAでは安定化効果が十分ではなく、また界面活性剤の一種であるソルビタンの脂肪酸エステルでは、逆に化合物Aの分解を促進する結果となった。従って、化合物Aを含む燻煙剤組成物における、前記カルボン酸エステル類、ジグリコールエーテル類、シロキサン類、植物油及び流動パラフィンの化合物Aに対する安定化作用は、従来の知見からは全く想到しえないものである。本発明で配合されるカルボン酸エステル類、ジグリコールエーテル類、シロキサン類、植物油の代表例を挙げれば次の如くであるが、もちろんこれらのみに限定されるものではない。
■ カルボン酸エステル類ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、オレイン酸デシル、ステアリン酸エチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、フタル酸ジオクチル■ ジグリコールエーテル類エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル■ シロキサン類オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン■ 植物油コーン油、大豆油、ゴマ油、ナタネ油、オリーブ油【0008】本発明では、安定剤として前述のカルボン酸エステル類、ジグリコールエーテル類、シロキサン類、植物油及び流動パラフィンから選ばれた1種又は2種以上を0.5〜10.0重量%配合するのが好ましい。0.5重量%以下の場合、安定化作用が十分ではなく、逆に10.0重量%以上の場合、発泡剤の噴出力が不足し、殺虫成分が十分拡散しないことがある。なお、本発明の燻煙剤組成物に、有機発泡剤の分解温度を下げるものとして知られている補助剤、例えば酸化亜鉛、炭酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、尿素、メラミン、グアニジン等を配合してもよい。配合量は、全体量当たり好ましくは1〜15重量%、更に好ましくは2〜5重量%の範囲で選択される。
【0009】また、本発明燻煙剤組成物の有効成分として化合物Aの他に、他のタイプの殺虫剤や殺ダニ剤、カビ類、菌類などを対象とした防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤、共力剤、安定剤、香料、賦形剤等を配合してもよい。殺虫剤としては、フェノトリン、ペルメトリン、シフェノトリン、シペルメトリン、アレスリン、プラレトリン、フラメトリン、レスメトリン、エトフェンプロックス等のピレスロイド系殺虫剤、メトキサジアゾン等のカーバメート系殺虫剤、フェニトロチオン、ジクロルボス、ダイアジノン、トクチオン等の有機リン系殺虫剤、あるいはシラフルオフェン、ハイドロプレン、ピリプロキシフェン等の化合物を例示できる。また、殺ダニ剤としては、サリチル酸フェニル、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート等があり、一方、防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール、トリホリン、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、o−フェニルフェノールなどを例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0010】請求項2の発明は、カルボン酸エステル類、ジグリコールエーテル類、シロキサン類、植物油及び流動パラフィンから選ばれた1種又は2種以上を0.5〜10.0重量%配合することを特徴とする、化合物Aを有効成分とし、かつ発泡剤としてアゾジカルボンアミドを含有する燻煙剤組成物の安定化方法に係る。
【0011】
【発明の実施の形態】請求項1の構成によると、化合物Aを有効成分とし、発泡剤としてアゾジカルボンアミドを含有し、カルボン酸エステル類、ジグリコールエーテル類、シロキサン類、植物油及び流動パラフィンから選ばれた1種又は2種以上を安定化成分として配合した有用な燻煙剤組成物が提供される。従来方法に比べ有効成分である化合物Aの分解が少なく、ツメダニ及び屋内塵性ダニ類の防除に極めて有効であるので家庭用として特にメリットが大きい。
【0012】請求項2の構成によると、カルボン酸エステル類、ジグリコールエーテル類、シロキサン類、植物油及び流動パラフィンから選ばれた1種又は2種以上を0.5〜10.0重量%配合することにより、化合物Aの分解が極めて少なく、かつ実用的な燻煙剤組成物の安定化方法が提供される。
【0013】
【実施例】つぎに具体的実施例ならびに試験例に基づいて、本発明を更に詳細に説明する。
【0014】実施例1.化合物A2.0重量%、アゾジカルボンアミド90重量%、酸化亜鉛3.0重量%に、安定剤としてミリスチン酸イソプロピル5.0重量%を混合した燻煙剤組成物12gをポリエチレンラミネートセロハンフィルム製袋に封入して燻煙殺虫剤を得た。この燻煙殺虫剤を棒状発熱剤とアルミ製発熱剤収納管からなる点火具を装着した金属製容器の中に入れ、閉め切った6畳の部屋の中央に置き、発熱剤に点火して噴煙を開始させたのち退出し、5時間放置した。処理前後の屋内塵性ダニ類の密度の推移を調べたところ、著しく減少していることが認められた。
【0015】実施例2.化合物A2.0重量%、メトキサジアゾン10.0重量%、アゾジカルボンアミド80重量%、酸化亜鉛3.0重量%に、安定剤としてメチルポリシロキサン5.0重量%を混合した燻煙剤組成物12gをポリエチレン製フィルム袋に封入して燻煙殺虫剤を得た。この燻煙殺虫剤を、棒状発熱剤とアルミ製発熱剤収納管からなる点火具を装着した陶器製容器の中に入れ10畳の部屋の中央に置き、部屋を閉め切った。発熱剤に点火して噴煙を開始させたのち退出し、一昼夜放置した。処理前後のゴキブリ、屋内塵性ダニ類の密度の推移を調べたところ、いずれの密度も著しく減少していることが認められた。
【0016】試験例1.実施例1に準じて表1に示す各種燻煙剤組成物を調製し、この粉剤をガラス瓶に入れて60℃恒温槽に保存した。2週間後、粉剤中の有効成分量をガスクロマトグラフィで分析し、初期含量に対する回収率を求めたところ表1の如くであった。なお調製粉剤の燻煙時における有効成分揮散率も併せて示す。
【0017】
【表1】

【0018】試験の結果、化合物Aにカルボン酸エステル類、ジグリコールエーテル類、シロキサン類、植物油及び流動パラフィンを添加して粉剤を調製することにより安定性にすぐれた粉剤を得ることができた。一方、安定剤を含まない粉剤(対照例1)の場合、有効成分は分解し、またグリコール類(対照例2)や、界面活性剤の一種であるソルビタンの脂肪酸エステル類(対照例3)等の水酸基をもつ化合物の場合には、さらに急激な分解が認められた。
【0019】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、カルボン酸エステル類、ジグリコールエーテル類、シロキサン類、植物油及び流動パラフィンから選ばれた1種又は2種以上を安定化作用成分として配合したので、従来方法に比べ有効成分の分解の少ない燻煙剤組成物の安定剤が提供される。
【0020】請求項2の発明によれば、カルボン酸エステル類、ジグリコールエーテル類、シロキサン類、植物油及び流動パラフィンから選ばれた1種又は2種以上を0.5〜10.0重量%配合したので、より実用性の高い有用な燻煙剤組成物の安定化方法が提供される。
【出願人】 【識別番号】000207584
【氏名又は名称】大日本除蟲菊株式会社
【出願日】 平成12年12月28日(2000.12.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−193702(P2002−193702A)
【公開日】 平成14年7月10日(2002.7.10)
【出願番号】 特願2000−400940(P2000−400940)