| 【発明の名称】 |
防カビ剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 則行
【氏名】磯部 賢治
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| 【要約】 |
【課題】優れた防カビ性を示し、かつ、カビ臭の抑制効果に優れ、特に、金属部分に対する防カビ剤として好適な防カビ剤を提供する。
【解決手段】窒素含有ヘテロ環式抗菌剤と、対イオンがハロゲン以外の物質である第4級アンモニウム塩とを有効成分とすることを特徴とする防カビ剤。また、対イオンが炭素数1〜3の低級アルキルサルフェートである第4級アンモニウム塩を活性成分とすることを特徴とする防カビ剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 窒素含有ヘテロ環式抗菌剤と、対イオンがハロゲン以外の物質である第4級アンモニウム塩とを有効成分とすることを特徴とする防カビ剤。 【請求項2】 第4級アンモニウム塩の対イオンが、硫酸イオン、スルホン酸イオン、アルキル硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、リン酸イオン、カルボン酸イオン、硝酸イオン、アルキルアミンイオンの郡から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の防カビ剤。 【請求項3】 第4級アンモニウム塩の対イオンが炭素数1〜3の低級アルキルサルフェートである請求項1又は2記載の防カビ剤。 【請求項4】 対イオンが炭素数1〜3の低級アルキルサルフェートである第4級アンモニウム塩を有効成分とすることを特徴とする防カビ剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、優れた防カビ性を示し、かつ、カビ臭の抑制効果に優れ、特に、金属部分に対する防カビ剤として好適な防カビ剤に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、我が国は、鉄筋・鉄骨コンクリートを素材としたマンション等の集合住宅の割合が増加し、木造住宅においてもアルミサッシの普及により室内の気密性が高まっている。 【0003】このような事情から、暖房や冷房効率は向上したものの、我が国の高温多湿の気候条件では、住宅全体の湿度が上がり、比較的湿度の高い浴室やキッチンだけでなく、居住空間の至る所にカビの発生がみられるようになってきている。これにより美観を損ねるだけでなく、カビ胞子の飛散によるアレルギー等の疾患が大きな問題となっている。また、住居内で発生するカビの種類は多数存在するため、これらすべてを排除しない限り、カビの被害を免れることができないのが現状である。 【0004】そこで、例えば、特公昭62−3804号公報では、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールと長鎖アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩との組み合わせることにより、広範囲のカビに効果のある防カビ剤が得られている。また、特開昭63−196502号公報では、2−ピリジンチオール−1−オキシド又はその金属塩と、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールとの組み合わせからなる工業用殺菌組成物が開示されており、特開平3−251507号公報では、ベンゾイミダゾール系化合物の1種以上とメチレンビスチオシアネート化合物とを組み合わせた工業用防カビ組成物が開示されている。 【0005】一方、我が国のエアコン普及率は、上記住居環境の変化と同調し、経済企画庁調査局の調べでは平成11年には全国平均で84%を越えている。エアコンは、ドライあるいは冷房運転時に、室内の水分が冷却フィンに凝結することにより、室内の湿度を下げる働きをする。このため、室内のカビ発生を抑える効果がある反面、エアコン内の湿度は上昇するため、内部にカビの汚染が広がってしまうこととなる。このため、いわゆるカビ臭の発生や、送風口より飛散するカビの胞子が、近年、問題視され始めている。 【0006】このような事情から、最近では冷却フィン用の洗浄剤やエアコン内部用の防カビ剤が市販されているが、未だ十分な防カビ効果やカビ臭の抑制効果は得られていないのが現状である。そこで、上述の特公昭62−3804号公報、特開昭63−196502号公報及び特開平3−251507号公報に記載の2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール系等との組み合わせによる防カビ剤を用いることにより、エアコン内の広範囲のカビに対する抑制効果を有することが確認できたが、未だカビ臭の抑制効果は十分ではないという課題があるものである。また、これらの防カビ剤には、アンモニウム塩の塩素イオンによる金属腐食作用があり、金属部分を持つ電気製品などへの噴霧には適さないものである。 【0007】他方、特開平11−286405号公報では、防カビ成分と撥水性被膜形成成分として炭素鎖長10〜14のジアルキルジメチルアンモニウム塩を配合することが開示されているが、浴室などのタイル目地を主な使用場所として設計されているため、ジアルキルジメチルアンモニウム塩はいずれも塩化物であり、上記と同様に金属腐食の課題は解決されていないものである。 【0008】また、特開平9−77610号公報や特開平9−132504号公報では、皮膚刺激性が少なく金属腐食性の少ない抗菌剤組成物として対イオンがリン酸や有機カルボン酸である第4級アンモニウム塩を開示しているが、これらは未だ十分な防カビ効果やカビ臭の抑制効果は得られていないのが現状である。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術の課題及び現状について、これを解消しようとするものであり、幅広い抗カビスペクトルを持ち、いわゆるカビ臭を抑制する効果に優れ、金属の腐食性のない防カビ剤を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来技術の課題等に鑑み、鋭意研究を行った結果、第4級アンモニウム塩の対イオンをハロゲン以外の物質に置き換えると共に、窒素含有ヘテロ環式抗菌剤と組み合わせることにより、また、第4級アンモニウム塩の対イオンが炭素数1〜3の低級アルキルサルフェートである場合には、第4級アンモニウム塩単独でも上記目的を達成しうることを見いだし、この知見により本発明を完成するに至ったのである。すなわち、本発明の防カビ剤は、次の(1)〜(4)に存する。 (1) 窒素含有ヘテロ環式抗菌剤と、対イオンがハロゲン以外の物質である第4級アンモニウム塩とを有効成分とすることを特徴とする防カビ剤。 (2) 第4級アンモニウム塩の対イオンが、硫酸イオン、スルホン酸イオン、アルキル硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、リン酸イオン、カルボン酸イオン、硝酸イオン、アルキルアミンイオンの郡から選ばれる少なくとも1種である上記(1)記載の防カビ剤。 (3) 第4級アンモニウム塩の対イオンが炭素数1〜3の低級アルキルサルフェートである上記(1)又は(2)記載の防カビ剤。 (4) 対イオンが炭素数1〜3の低級アルキルサルフェートである第4級アンモニウム塩を有効成分とすることを特徴とする防カビ剤。 【0011】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。本第1発明の防カビ剤は、窒素含有ヘテロ環式抗菌剤と、対イオンがハロゲン以外の物質である第4級アンモニウム塩とを有効成分とすることを特徴とするものであり、また、第2発明の防カビ剤は、対イオンが炭素数1〜3の低級アルキルサルフェートである第4級アンモニウム塩を有効成分とすることを特徴とするものである。なお、以下において、「本発明」というときは、上記第1発明及び第2発明を含む場合をいう。 【0012】本第1発明に用いる窒素含有ヘテロ環式抗菌剤としては、例えば、ピロール系、ピリジン系、ピリミジン系、ピラゾール系、イミダゾール系、ベンズイミダゾール系、1,3,5−トリアジン系、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン系、トリアゾール系、イソオキサゾール系、チアゾール系、ベンゾチアゾール系、チアゾリン−2−オン系、イソチアゾリン−3−オン系、ベンゾイソチアゾリン−3−オン系、ベンゾチアゾリン−2−オン系、テトラヒドロチアジン−2−チオン系より選ばれる1種又は2種以上の抗菌剤の組み合わせが挙げられる。好ましい窒素含有ヘテロ環式抗菌剤としては、更なる安全性、コスト、抗カビ性、安定性の点から、ベンズイミダゾール系抗菌剤が望ましい。このベンズイミダゾール系抗菌剤しては、特に、安全性、抗カビ性の点から、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールが望ましい。 【0013】また、本発明に用いる対イオンがハロゲン以外の第4級アンモニウム塩としては、例えば、ジアルキルエチルメチルアンモニウム塩、ジアルキルジエチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム、アルキルフェノキシエトキシアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩などより選ばれる1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。これらの第4級アンモニウム塩の対イオンとしては、ハロゲン以外の物質であれば、本発明の効果を発揮するが、特に、金属腐食性の低さ、製造性の点から、硫酸イオン、スルホン酸イオン、アルキル硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、リン酸イオン、カルボン酸イオン、硝酸イオン、アルキルアミンイオン、炭素数1〜3の低級アルキルサルフェートから選ばれる少なくとも1種(単独又は2種以上の混合物)が望ましい。これらの第4級アンモニウム塩として、更に好ましくは、製造性の点からジアルキルエチルメチルアンモニウム塩が、とりわけジアルキルエチルメチルアンモニウムエトサルフェートが望ましい。 【0014】本第1発明における、窒素含有ヘテロ環式抗菌剤の配合量は、防カビ剤全量に対して、0.002〜20質量%(以下、単に「%」という)、好ましくは、0.02%〜10%、より好ましくは、0.1%〜5%が望ましい。また、本第1発明における、対イオンがハロゲン以外の第4級アンモニウム塩の配合量は、防カビ剤全量に対して、0.002〜20%、好ましくは、0.02%〜10%、より好ましくは、0.1%〜5%が望ましい。上記窒素含有ヘテロ環式抗菌剤の配合量及び対イオンがハロゲン以外の第4級アンモニウム塩の配合量のどちらか一方又は両方が0.002%未満であると、本発明の効果を発揮することができず、また、これらの配合量のどちらか一方又は両方が20%を越えても、本発明の効果は変わらないが、保管条件によっては溶媒への溶解性の問題があるため、好ましくない。更に、本発明の効果を更に向上させるために、具体的には、低い濃度で、しかも、長期間に亘って、優れた防カビ効果及びカビ臭の抑制効果を発揮させるために、本第1発明における、窒素含有ヘテロ環式抗菌剤と、対イオンがハロゲン以外の第4級アンモニウム塩との配合比(質量比)は、好ましくは、1:9〜9:1、更に好ましくは、1:4〜4:1とすることが望ましい。 【0015】本第2発明の防カビ剤は、対イオンが炭素数1〜3の低級アルキルサルフェートである第4級アンモニウム塩を有効成分とすることを特徴とするものである。本第2発明では、対イオンが炭素数1〜3の低級アルキルサルフェートである第4級アンモニウム塩であるものが挙げられ、具体的には、対イオンが炭素数1〜3の低級アルキルサルフェートとなるジアルキルエチルメチルアンモニウム塩、ジアルキルジエチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム、アルキルフェノキシエトキシアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩などより選ばれる1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。これらの第4級アンモニウム塩として、好ましくは、製造性の点からジアルキルエチルメチルアンモニウム塩、とりわけジアルキルエチルメチルアンモニウムエトサルフェートが望ましい。 【0016】本第2発明では、上記第1発明と較べ、炭素数1〜3の低級アルキルサルフェートが対イオンの場合には、窒素含有ヘテロ環式抗菌剤と組み合わせずとも、単独で本発明の効果、すなわち、金属腐食の課題を発生させることなく、長期間に亘って、優れた防カビ効果及びカビ臭の抑制効果を発揮するものとなる。また、本第2発明における、対イオンが炭素数1〜3の低級アルキルサルフェートである第4級アンモニウム塩の配合量は、防カビ剤全量に対して、0.002〜20%、好ましくは、0.02%〜10%、より好ましくは、0.1%〜5%が望ましい。この第4級アンモニウム塩の配合量が0.002%未満であると、本発明の効果を発揮することができず、また、20%を越えても、本発明の効果は変わらないが、保管条件によっては、溶媒への溶解性の問題があるため、好ましくない。 【0017】このように構成される本発明の防カビ剤には、更に、基剤臭のマスキングや、使用実感の向上を目的として、例えば、ラベンダーオイル、シス−3−ヘキセノール、α−ピネン、パインオイル、ユーカリオイル、ローズマリーオイル、ハッカオイル、オレンジオイル、レモンオイル、リモネン、メントール、テルピネオール、リナロール、酢酸リナリル、酢酸テルピニル、リリアールなどの各種香料成分を配合することができる。また、本発明の防カビ剤には、容器として用いる金属缶の防錆と防カビ対象物の防錆を目的として、アミノ酸系カチオン界面活性剤、有機アミンのカルボン酸塩、ベンゾトリアゾール誘導体などの各種の防錆剤を配合することができる。更に、本発明の防カビ剤には、カビ臭と共に家庭での生活臭(タバコ臭、調理臭、油脂酸化臭、靴のムレ臭、冷蔵庫臭、生ゴミ臭、排水口から出る臭いなど)の消臭を目的として、各種植物抽出物(茶、リンゴ、柿、トウモロコシ、竹、サトウキビ、ゲンノショウコ、フキ、ササ、ヨモギ、針葉樹など)、カテキン、炭、活性炭、サイクロデキストリン、リシノール酸亜鉛などの各種消臭剤を配合することもできる。なお、これらの香料、防錆剤、消臭剤は単独(1種)あるいは2種以上を複合して用いることもできる。 【0018】本発明では、上記第4級アンモニウム塩の他に、界面活性剤として、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を配合することによって、洗浄効果を付与することもできる。 【0019】本発明の防カビ剤は、水(精製水、イオン交換水、純水等)又は炭素数(C1〜C3)のアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解あるいは懸濁あるいは乳化させた液状にすることができる。これにより、通常用いられる噴射容器に充填され、霧状又は泡状に噴射されることにより用いられ、この噴射様式としてはトリガー式タイプやエアゾール式タイプ、ディスペンサー式タイプ等が挙げられる。 【0020】また、本発明の防カビ剤を高粘度の基材に混合することによりペースト、ジェルなどの高粘度の製剤を調製することもできる。更に、本発明の防カビ剤を電動あるいは機械式で定期的あるいは不定期に噴射あるいは噴霧する装置に充填し、エアコンや電気掃除機、冷蔵庫などの電器製品や下駄箱、浴槽、洗面台などに設置することにより、防カビ効果を継続的に発揮させることもできる。 【0021】本発明の防カビ剤は、ポリビニルアルコールやポリビニルブチラールのような粘着効果を有する材料を配合することにより、防カビ剤の剥離を防ぎ、効果の持続性を持たせることができる。具体的には、本発明の防カビ剤をポリビニルアルコールやポリビニルブチラール等の基材を用いて糊状にし、使用時に直接刷毛などを用いて塗布することもできる。また、本発明の防カビ剤には、液剤付着面の乾燥による白色化現象を防止するために、ポリプロピレングリコールなどの溶剤を添加することができる。 【0022】更に、本発明の防カビ剤を充填する噴射容器のノズルをストロー状に延長することによって、複雑な構造内部にスプレーすることもできる。更にまた、ストロー状のノズル先端に防カビ剤を霧状にする構造物を取り付けることにより、防カビ液が微粒子になり、複雑な構造物内部に効果的に噴霧することができ、防カビ剤を広範囲に行き渡らせることができる。 【0023】このように構成される本発明の防カビ剤は、幅広い抗カビスペクトルを持ち、優れた防カビ性を示し、かつ、カビ臭の抑制効果に優れ、特に、金属の腐食性のない防カビ剤を提供することができることとなる。このような作用効果を有する本発明の防カビ剤は、例えば、プラスチックやタイル、タイルの目地、ホーロー、木材、紙、壁紙、絨毯、畳、塗装部、皮革製品等の非金属だけでなく、流し台や蛇口などの金属部品、あるいは金属部品の混在するエアコンや電気掃除機、冷蔵庫、電子レンジ、オーブン等の電気製品、下駄箱や洗面台等の家具、アルミサッシや排水口等の建築物、自動車、自転車の金属部品に使用することができることとなる。 【0024】なお、本発明の防カビ剤は、真核生物のカビや酵母に対しての抑制効果だけでなく、原核生物の細菌や放線菌に対しても効果が得られるため、防カビ剤としてだけではなく、防菌剤として用いることもできる(この点等については更に後述する試験例等で詳しく説明する)。 【0025】 【実施例】次に、試験例による実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。 【0026】〔試験例1〕下記表1に示す、配合比例1〜5、すなわち、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール(以下、「TBZ」と略記する)、塩化ベンザルコニウム(以下、「AMB」と略記する)、ジデシルジメチルアンモニウムフォスフェイト(以下、「DDAP」と略記する)、ジデシルエチルメチルアンモニウムエトサルフェート(以下、「DEMAS」と略記する)、上記TBZとAMBとの混合物と、上記TBZとDEMASとの混合物について、JIS Z2911− 1992「カビ抵抗性試験法、7、塗料の試験」の項に準拠して、抗カビ性試験を行った。すなわち、各試料のエタノール溶液に濾紙(東洋濾紙、No.2、直径30mm)を浸して引き上げ、室内に2時間放置した後、シャーレに入れた所定の培養基の培養面中央に配置し、試験用カビ胞子懸濁液1mLをその上に均一に散布し、次いで、シャーレに蓋をして、温度28℃において7日間培養した。この際の培養基としては、蒸留水1000mL、ブドウ糖40g、ペプトン10gおよび寒天25gの組成のものを用いた。また、試験用のカビとしては、以下に示すものを用いた。 I.Aspergillus niger IAM3001II.Penicillium citrinum IAM7316III.Cladosporium cladosporioides IFO6348IV.Aspergillus sp.(カビの被害発生部から分離したもの) V.Trichoderma sp.(カビの被害発生部から分離したもの) これらの結果を、各菌株に対する有効成分の最少有効濃度として下記表2に示す。 【0027】 【表1】
【0028】 【表2】
【0029】上記表1及び表2の結果から明らかなように、本発明の範囲外(比較例)となるTBZ、AMB、DDAPの各単独では、0.4%でもこれらの住環境被害部位で分離される頻度の高い5菌株の発育を完全には抑制することはできないが、本発明範囲となるDEMAS単独では、0.4%以下となり、また、比較参考例(特公昭62−3804号公報記載)となるTBZ+AMBと同様に、本発明範囲(実施例)となるTBZ+DEMASを併用することにより、0.16%という低濃度でこれらの発育を完全に抑制することができることが判った。 【0030】〔試験例2〕下記表3に示す配合例1〜5の防カビ剤について、下記方法により、金属腐食性の試験を行った。下記の各金属の試験片(2.5cm×6cm)に、下記表3に示す配合例1〜5の防カビ剤混合物のエタノール溶液を0.2mL塗布した。この塗布金属試験片を温度40℃、湿度75%の高温高湿槽に3ヶ月放置し、塗布表面の様子を肉眼と実体顕微鏡(倍率:20倍、オリンパス社製)にて観察し、下記評価基準により評価した。 評価基準:++:著しく腐食+:腐食あり±:わずかに腐食−:腐食なしまた、試験用の金属片としては、以下に示すものを用いた。 I.鉄II.銅III.アルミニウムIV.ステンレス(SUS304) V.黄銅これらの結果を、各金属片に対する錆発生度合いとして下記表4に示す。 【0031】 【表3】
【0032】 【表4】
【0033】〔試験例3〕上記表3の配合例1、3、5(本発明範囲)の組成をエアゾール缶(容量:220ml)に充填し、カビ臭のするエアコン保有者81人に対して、それぞれの防カビ剤について三グループの27人ずつテストを実施した。このテストの評価は、以下の方法により行った。カビの汚染度の評価は、上記の防カビ剤を使用する前と1ヶ月後のカビ数をエアコンの冷却フィンにフードスタンプ「ニッスイ」CP加ポテトデキストロース寒天(日水製薬社製)を押し当てたものを25℃で5日間培養し、発育した集落数を計測することにより判定した。カビ臭抑制効果の確認は、エアコンの保有者が上記の防カビ剤を使用する前と1ヶ月後のカビ臭の強さを官能評価により判定した。エアコン内部のサビの状態は、防カビ剤を使用する前と1ヶ月後のエアコンの金属部分のサビの状態を官能評価により評価した。いずれのエアコンも、使用開始から2年目以降のものを用いた。これらの結果を下記表5に示す。 【0034】 【表5】
【0035】上記表5の結果から明らかなように、本発明の防カビ剤となる配合例1,3,5は、エアコン内のカビ抑制作用により、カビ臭を効果的に抑制する効果に優れており、かつ金属に対する腐食性も低いことが判った。 【0036】〔試験例4〕上記表3の配合例1、3、5の組成をトリガー容器(容量:220ml)に充填し、家庭内のカビの発生しやすい場所に約10mlスプレーし、3ヶ月後のカビ発生状況を下記評価基準で評価した。これらの結果を下記表6に示す。 評価基準:−:カビが発生せず±:ごくわずかのカビが発生+:カビが発生【0037】 【表6】
【0038】上記表6の結果から明らかなように、本発明の防カビ剤となる配合例1,3,5は、実際の家庭において長期間にわたってカビの発生を抑制する効果に優れていることが判った。 【0039】〔試験例5〕DEMAS単独、TBZとDEMASの1:1の混合物、TBZとAMBの1:1の混合物について細菌とカビに対する最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。すなわち、上記の防カビ剤及びその混合物についてエタノールを用いて、培地中で試験菌と作用させるときの濃度を考慮して希釈した。この場合、培地中のエタノールの濃度を1%以下とし、エタノールのみの対照についても同様の試験を行った。接種菌は、細菌の場合Soybean casein digest(SCDと略す)培地で30℃・18〜24時間培養後、その菌液を一定量薬剤添加および無添加対照SCD寒天平板培地上に塗末接種した。カビの場合には、Glucose peptone agar(GPAと略す)培地で25℃・7日間培養後、1白金耳量を5mLの懸濁溶液(生理食塩水)を用いて胞子浮遊液をつくり、その一定量を薬剤添加および無添加対照GPA平板培地上に塗末接種した。判定は、細菌では30℃・72時間、カビでは25℃・7日間培養後、完全に発育が阻止された最低濃度をもって、その防カビ剤のMICとした。 【0040】この試験例5で使用する培地の組成を以下に示す。 ■Soybean casein digest(SCD)培地カゼイン製ペプトン 17gダイズ製ペプトン 3g塩化ナトリウム 5gK2HPO4 2.5gブドウ糖 2.5g蒸留水 1000mL■Glucose peptone agar(GPA)培地ブドウ糖 20g酵母エキス 2gMgSO4・7H2O 0.5gポリペプトン 5gK2HPO4 1g寒天 20g蒸留水 1000mL【0041】また、試験例5で用いたの細菌、カビとしては、以下に示すものを用いた。 I.Staphylococcus aureusII.Escherichia coliIII.Pseudomonas aeruginosaIV.Aspergillus sp.(カビの被害発生部から分離したもの) V.Trichoderma sp.(カビの被害発生部から分離したもの) これらの結果を、各菌株に対するMICとして下記表7に示す。 【0042】 【表7】
【0043】上記表7の結果から明らかなように、本発明範囲となるDEMAS単独、TBZとDEMASの混合物の混合物は、カビと同様に、細菌の生育を低濃度で抑制することができることが判った。 【0044】〔試験例6〕次に、実際のエアコンに対して、下記に示す実施形態I〜IVを用いて本発明となる防カビ剤を噴霧し、下記評価方法により、エアコン深層部への付着状態と防カビ効果、カビ臭抑制効果を確認した。これらの結果を下記表9及び表10に示す。 I.組成として、TBZ(ホクスターHP:北興産業社製)0.5%、DEMAS(ライオンアクゾ社製)0.2%、消臭剤(さとうきび抽出物MSX−245:三井製糖社製)1.0%、香料0.05%、エタノール(99.5%ビトレックス変性:日本アルコール販売社製)残部の原液を65%、噴射剤として液化石油ガス(LPG)(0.25MPa)を35%を含む防カビ剤組成物を、ベーパータップ付きバルブ(ステム径φ0.4mm、アンダータップ径φ0.8mm、ベーパータップ径φ0.35mm:三谷バルブ社製)と先端で霧状に噴霧する構造物を設けたストロー状ノズル型ボタン(三谷バルブ社製)を取り付けたエアゾール缶(AE220 ネックイン缶 コート無し:東洋製罐社製)に充填し、家庭用の壁面設置タイプのエアコン(東芝社製)に噴霧した。 II.組成として、TBZ(メルク社製)0.4%、DEMAS(ライオンアクゾ社製)0.3%、消臭剤(リシレイン酸亜鉛TEGO Sorb80:ゴールドシュミット社製)0.3%%、香料0.1%、エタノール(99.5%未変性:日本アルコール販売社製)残部の原液を84%、噴射剤としてLPG(0.45MPa)4.8%、ジメチルエーテル(DME)11.2%を含む防カビ剤組成物を、バルブ(ステム径φ0.4mm、アンダータップ径φ0.8mm:三谷バルブ社製)と先端で霧状に噴霧する構造物を設けたストロー状ノズル型ボタン(三谷バルブ社製)を付けたエアゾール缶(AE220 ネックイン缶 コート無し:東洋製罐社製)に充填し、家庭用の壁面設置タイプのエアコン(松下電器社製)に噴霧した。 III.組成として、TBZ(三愛石油社製)0.2%、DEMAS(ライオンアクゾ社製)0.5%、消臭剤(針葉樹抽出物 スーパーピュリエールA−10、松下電工化研社製)0.5%、香料0.1%、水40%、エタノール(95%ビトレックス変性:日本アルコール販売社製)残部の防カビ剤組成物を先端で霧状に噴霧する構造物を設けたストロー状ノズルを設けたトリガー型容器(吉野工業社製、一部改造)に充填し、家庭用の壁面設置タイプのエアコン(日立製作所社製)に噴霧した。 IV.組成として、TBZ(ホクスターHP:北興産業社製)0.5%、DEMAS(ライオンアクゾ社製)0.2%、消臭剤(さとうきび抽出物MSX−245:三井製糖社製)1.0%%、香料0.05%、エタノール(99.5%ビトレックス変性:日本アルコール販売社製)残部の原液を65%、噴射剤として液化石油ガス(LPG)(0.25MPa)を35%を含む防カビ剤組成物をベーパータップ付きバルブ(ステム径φ0.4mm、アンダータップ径φ0.8mm、ベーパータップ径φ0.35mm:三谷バルブ社製)と通常の霧状噴霧ボタン(三谷バルブ社製)を取り付けたエアゾール缶(AE220 ネックイン缶 コート無し:東洋製罐社製)に充填し、家庭用の壁面設置タイプのエアコン(富士通ゼネラル社製)に噴霧した。なお、上記実施形態I〜IVに用いた香料は、下記表8の香料成分を混合したものを用いた。また、いずれのエアコンも、使用開始から一度も清掃せず、2〜3年目のものを用いた。 【0045】 【表8】
【0046】〔エアコン深層部への付着状態の評価方法〕エアコンへの付着状態の評価は、エタノールの付着により変色する感熱紙を用いて、その変色状態を目視で下記評価基準で観察することにより評価した。 評価基準:〇:良好に付着、△:付着していない部位有り×:薬剤の液だれが生ずる【0047】〔エアコン深層部への防カビ効果評価方法〕防カビ効果の評価は、エアコンのカビの発生しやすい部位にフードスタンプ「ニッスイ」CP加ポテトデキストロース寒天(日水製薬社製)を押し当てたものを25℃で5日間培養し、発育した集落数を計測してカビの汚染度を集落数で判定した。 【0048】〔カビ臭抑制効果の評価方法〕カビ臭抑制効果の評価は、上記の防カビ剤を使用する前後の臭いの強さを7人の評価者が下記6段階の絶対評価にて判定した。 臭気の強さの評価点:0:無臭1:やっと感知できる臭い2:弱い臭い3:楽に感知できる臭い4:強い臭い5:強烈な臭い【0049】 【表9】
【0050】 【表10】
【0051】上記表9、表10の結果から明らかなように、本発明となる防カビ剤について、ストロー型ノズルなどを用いることにより、本発明の防カビ剤をエアコン内に行き渡らせることが可能となることが判った。これにより、エアコン深層部のカビの汚染度を低下させることが可能となるため、エアコンのカビ臭を効果的に抑制することができることが判った。 【0052】 【発明の効果】本発明によれば、優れた防カビ性を示し、かつ、カビ臭の抑制効果に優れ、特に、金属部分に対する防カビ剤として好適な防カビ剤が提供される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006769 【氏名又は名称】ライオン株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年12月18日(2000.12.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100112335 【弁理士】 【氏名又は名称】藤本 英介 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−187803(P2002−187803A) |
| 【公開日】 |
平成14年7月5日(2002.7.5) |
| 【出願番号】 |
特願2000−383972(P2000−383972) |
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