| 【発明の名称】 |
トロポロン化合物担持多孔質体の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】清水 克也
【氏名】山本 伸一
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| 【要約】 |
【課題】トロポロン化合物を無駄なくしかも細孔内部に確実に担持し該化合物の安定性改善効果、ならびに該化合物の多くが有する独特の臭気の抑制効果を得、しかも含浸させる液中のトロポロン化合物濃度が比較的高濃度で且つ多孔質体が微粒子である場合に特に顕在化する表面のべたつきや多孔質体同士の癒着といった課題を解決するための普遍的技術としての、トロポロン化合物担持多孔質体の製造方法を提供する。
【解決手段】トロポロン化合物含有液体を多孔質体に含浸させるに際し、トロポロン化合物濃度が0.01wt%以上であって、かつ、多孔質体の細孔容積以下の量のトロポロン化合物含有液体を多孔質体に含浸させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トロポロン化合物含有液体を多孔質体に含浸させるに際し、トロポロン化合物濃度が0.01wt%以上であって、かつ、多孔質体の細孔容積以下の量のトロポロン化合物含有液体を多孔質体に含浸させることを特徴とする、トロポロン化合物担持多孔質体の製造方法。 【請求項2】 多孔質体の細孔容積以下の量のトロポロン化合物含有液体を多孔質体に含浸させたのち、溶媒を蒸発させることを特徴とする、請求項1記載のトロポロン化合物担持多孔質体の製造方法。 【請求項3】 トロポロン化合物が、ヒノキチオールおよび/またはヒノキチオール誘導体であることを特徴とする、請求項1または2記載のトロポロン化合物担持多孔質体の製造方法。 【請求項4】 多孔質体が、下記の一般式で表される二酸化ケイ素と金属酸化物の複合酸化物であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のトロポロン化合物担持多孔質体の製造方法。 MmOn・xSiO2・yH2O(ただし、MはNa、Ag、Cu、Zn、Ca、Mg、Ba、Al、Ni、Mo、Ti、Zrの群より選ばれる1種または複数の金属を表し、mおよびnはMの価数に応じた整数を表す。また、XおよびYは任意の数値を表し、x>0、y≧0である。) 【請求項5】 多孔質体が、活性炭および/または炭であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のトロポロン化合物担持多孔質体の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はトロポロン化合物が担持された多孔質体の製造方法に関する。さらに詳しくは、優れた抗菌性を有するトロポロン化合物が、回収工程などの煩雑な操作を要することなく簡便に無駄なく、且つ多孔質体のべたつきや癒着などの問題なく多孔質体に担持され、徐放性や光安定性など該化合物の実用における特性改善、ならびに該化合物の多くが有する独特の臭気の抑制に有効なトロポロン化合物担持多孔質体の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】トロポロン化合物を多孔質体に吸着・担持させるという手法は種々知られている。特開平2−156876号公報にはゼオライト又はセラミックスにヒノキチオール(トロポロン化合物)を担持させる技術が開示されている。ここでは、それらの細孔容積には何ら言及されておらず、ヒノキチオールをそれらに吸着させる方法としては、大過剰のヒノキチオール溶液にそれらを加えるという方法が示されているのみである。 【0003】特開平6−206801号公報にはセルロース多孔質にヒノキチオールを担持させる技術が開示されている。ここでも、細孔容積と含浸させる溶液との量関係には何ら言及されておらず、ヒノキチオールを該多孔質体に吸着・担持させる方法としては、やはり大過剰のヒノキチオール溶液に該多孔質体を加えて含浸させたのち余剰の溶液を脱液するという方法を採っている。特開平5−105898号公報には、ヒバ油もしくはヒノキチオールの溶液に無定形重金属ケイ酸塩を加えてヒノキチオールを吸着させる技術が開示されている。この技術においても、ヒノキチオールを該多孔質体に吸着・担持させる方法としては、過剰の溶液に該ケイ酸塩を加えてヒノキチオールを吸着させたのち、溶媒で洗浄して非吸着のヒノキチオールを除去している。 【0004】これらの方法では、トロポロン化合物担持多孔質体を製造する工程において、余剰のトロポロン化合物(概して高価である)を分離回収する工程を要するという煩雑さと製造コスト面の不利益を伴う。すなわち、多孔質体に吸着しきれなかったトロポロン化合物の溶液を多孔質体から分離回収するために濾過などの工程を必要とするのはもとより、該溶液が多孔質体と接触することに起因して、回収された溶液中に不純物(有機物や金属など)がとけ込むことがしばしば起こるので、それらを除去するために蒸留工程などが必要になる場合がほとんどである。これらの工程は製造効率とコストにとって大きな負担になることは自明である。しかも余剰の溶液の中に多孔質体を浸漬することに起因して多孔質体の細孔内部に限らず多孔質体の表面にもトロポロン化合物が付着した状態が必然的に形成されるため、トロポロン化合物の実用特性(徐放性、光安定性など)を改善する効果が損なわれる。さらに、多孔質体の表面にトロポロン化合物が付着していると、該化合物の多くが有する独特の臭気(利用上の障害になることがある)を抑制しにくい。 【0005】なぜならば、そうした改善効果は多孔質体の細孔内部にトロポロン化合物が担持されることにより初めて達成されることがほとんどであるからである。また、多孔質体表面にトロポロン化合物が付着していると、多孔質体表面がべたついたり、多孔質体同士が癒着したりという実用上好ましくない現象が発生する。このような現象は、含浸させるトロポロン化合物含有液体中のトロポロン化合物濃度が0.01wt%以上(特に0.1wt%以上)の比較的高濃度の場合、および多孔質体が3mm未満(特に1mm以下)の微粒子である場合に特に顕在化し、実用上の大きな弊害になる。 【0006】特公平7−51149号公報には、ヒノキチオール類を担持した木質炭素粒子が開示されている。この技術においては、細孔容積には言及しておらず、水分に対する平衡吸着量をもって木質炭素に含浸させるヒノキチオール溶液の量を規定している。平衡吸着量とは吸着させる液体の種類によって異なる固有量であるから、該公報の技術は水溶液を含浸する場合のみ、その適切な含有量に関してある意味を持つのであって、その他の溶媒を用いてトロポロン化合物を含浸させるもしくはトロポロン化合物の融液を含浸させる場合には何ら適切な量関係を示すことはできず、しかも木質炭素に含浸させる場合のみにしか言及しておらず、普遍的な技術とは言い難い。 【0007】また、該公報ではトロポロン化合物含有液体中のトロポロン化合物濃度が30〜50ppmと極めて希薄であるから、本発明が課題としているような多孔質体表面のべたつきという問題はそもそも発生しにくい。しかも多孔質体の粒子径が3〜10mmと粗大なものであるから、本発明が課題としているような多孔質体同士の癒着という弊害もそもそも発生しにくい。以上のように、多孔質体に対しトロポロン化合物を無駄なくしかも細孔内部に確実に担持する普遍的技術は未だ開示されていない。特に含浸させるトロポロン化合物濃度が0.01wt%以上と比較的高濃度で且つ多孔質体の粒子径が3mm未満の微粒子である場合に特に顕在化する多孔質体表面のべたつきや多孔質体同士の癒着といった課題を認識し、それに対する技術を提示した例は見られない。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、トロポロン化合物を無駄なくしかも細孔内部に確実に担持し該化合物の安定性改善効果、ならびに該化合物の多くが有する独特の臭気の抑制効果を得、しかも含浸させる液中のトロポロン化合物濃度が比較的高濃度で且つ多孔質体が微粒子である場合に特に顕在化する表面のべたつきや多孔質体同士の癒着といった課題を解決するための普遍的技術としての、トロポロン化合物担持多孔質体の製造方法を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、多孔質体の細孔容積に着目し、それにより一義的に決定される適正量のトロポロン化合物の溶液もしくは融液を多孔質体に含浸させることにより、該化合物を無駄なくしかも細孔内部に確実に担持できる普遍的原理を見出し、本発明を完成した。本発明は、多孔質体の細孔容積以下の量の溶液もしくは融液を多孔質体に含浸させるという一見自明な構成であるが、前述のように、トロポロン化合物担持物を製造する技術としてこのような概念は未だ開示されておらず、しかも驚くべきことにこのような平易な概念に基づく簡便な技術によりトロポロン化合物の特有の問題(安定性や臭気など)を安価且つ効率的に解決できるトロポロン化合物担持物の製造方法を提供することができる。 【0010】すなわち、本発明は以下のとおりである。 1)トロポロン化合物含有液体を多孔質体に含浸させるに際し、トロポロン化合物濃度が0.01wt%以上であって、かつ、多孔質体の細孔容積以下の量のトロポロン化合物含有液体を多孔質体に含浸させることを特徴とする、トロポロン化合物担持多孔質体の製造方法。 2)多孔質体の細孔容積以下の量のトロポロン化合物含有液体を多孔質体に含浸させたのち、溶媒を蒸発させることを特徴とする、1)記載のトロポロン化合物担持多孔質体の製造方法。 3)トロポロン化合物が、ヒノキチオールおよび/またはヒノキチオール誘導体であることを特徴とする、1)または2)記載のトロポロン化合物担持多孔質体の製造方法。 【0011】4)多孔質体が、下記の一般式で表される二酸化ケイ素と金属酸化物の複合酸化物であることを特徴とする、1)から3)のいずれかに記載のトロポロン化合物担持多孔質体の製造方法。 MmOn・xSiO2・yH2O(ただし、MはNa、Ag、Cu、Zn、Ca、Mg、Ba、Al、Ni、Mo、Ti、Zrの群より選ばれる1種または複数の金属を表し、mおよびnはMの価数に応じた整数を表す。また、XおよびYは任意の数値を表し、x>0、y≧0である。) 5)多孔質体が、活性炭および/または炭であることを特徴とする、1)から3)のいずれかに記載のトロポロン化合物担持多孔質体の製造方法。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明においてトロポロン化合物含有液体とは、該化合物を溶媒に溶解した溶液、もしくは該化合物を融解した融液を意味し、該液体中のトロポロン化合物濃度は0.01wt%以上であることが必須要件である。該濃度が0.01wt%未満ではそもそもトロポロン化合物の性能(抗菌性や防虫性など)が不足するのはもとより、本発明が課題とする多孔質体表面のべたつきや癒着といった問題は発生しにくく、本発明の意義が失われる。本発明においては、多孔質体の細孔容積以下の量のトロポロン化合物含有液体を多孔質体に含浸させることが必須要件である。細孔容積を超える容量の該溶液もしくは融液を多孔質体に含浸させた場合には、細孔に入りきれないトロポロン化合物含有液体を分離する工程が必要になる。トロポロン化合物は概して高価であるから、こうした分離工程は回収工程を伴うことが多く、いきおいコスト面での不利益が発生する。 【0013】また、細孔容積を超える容量のトロポロン化合物含有液体を多孔質体に含浸させた場合には、細孔に入りきれなかったトロポロン化合物が多孔質体の表面に付着してしまうので、その分については期待される安定化効果やトロポロン化合物の臭気抑制効果が得られにくい。なぜならば、多孔質体の細孔内部にトロポロン化合物が担持されて初めてそうした効果が得られることがほとんどだからである。また、多孔質体の表面に付着したトロポロン化合物は、得られた担持物をべたつかせたり癒着を引き起こしたりするなどの取り扱い上の不利益をももたらす。本発明でいう多孔質体の細孔容積とは、水銀圧入法などの一般的な方法で測定することができる量である。実用的には、含浸させる液を多孔質体に徐々に加えていき、それ以上液が浸透しなくなる液量をもって知ることができる。例えば粉体状の多孔質体の場合には、液を徐々に加えて行ったときに、粉体が塊状に変化したときの液量をもって細孔容積を知ることができる場合がある。 【0014】本発明において、細孔容積以下のトロポロン化合物含有液体を多孔質体に含浸させる方法は、多孔質体と該液体が満遍なく接触する方法であれば特に制限はなく、多孔質体の形状や性状に応じ汎用の方法の中から適宜選択すればよいが、過剰のトロポロン化合物含有液体と多孔質体との接触を避け、本発明の効果をより得やすくするという意味で、多孔質体に対し該液体(融液の場合はその融点以上の温度で)を徐々に加える方法が好ましい。 【0015】例えば多孔質体が粉体であれば、多孔質体を振とう・攪拌した状態でそこに該液体(融液の場合にはその融点以上で)加える方法などがあげられる。一方、多孔質体が板状や布帛状などの場合には、それらに対して該液体(融液の場合はその融点以上の温度で)を噴霧して含浸させる方法などがあげられる。本発明においては、多孔質体に含浸させる液、すなわちトロポロン化合物含有液体としてはトロポロン化合物の溶液もしくは該化合物の融液を用いることができるが、室温で簡便に含浸操作が実施できるという点で溶液を用いるのが好ましい。その場合には含浸操作ののち溶媒を蒸発させることが、その後様々な用途に該多孔質体を利用する上で好ましい。 【0016】トロポロン化合物の溶液を用いる場合の溶媒は特に制限はなく、水や有機溶媒など汎用のものの中から選択すればよいが、トロポロン化合物の溶解度が高くより多くの該化合物を含浸させることができ、蒸発操作も容易という意味で、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などが好ましい。 【0017】本発明で用いる多孔質体の材質は特に制限はなく、一般的なものを使用すればよい。無機物としては、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、トバモライト、ゾノライト、ウオラストナイト、モンモリナイト、ハイドロキシアパタイト、リン酸ジルコニウム、シリカアルミナマグネシア、リン酸カルシウム、タルク、ガラス、Ca・Zn・Alリン酸複塩など汎用の多孔質体を用いることができるが、下記一般式で表される二酸化ケイ素と金属酸化物の複合酸化物が本発明の多孔質体として好ましい。 MmOn・xSiO2・yH2O(ただし、MはNa、Ag、Cu、Zn、Ca、Mg、Ba、Al、Ni、Mo、Ti、Zrの群より選ばれる1種または複数の金属を表し、mおよびnはMの価数に応じた整数を表す。また、XおよびYは任意の数値を表し、x>0、y≧0である。) この複合酸化物を本発明の多孔質体として用いた場合には、該酸化物に含まれる金属とトロポロン化合物が相互作用することに起因し、該化合物の安定性改善効果ならびに該化合物の臭気抑制効果が良好である。 【0018】一方、本発明の多孔質体として用いる有機物としては、セルロース(ビスコース法、銅アンモニア法)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリアクリロニトリルポリアアクリル酸、ポリアミド、ポリエステル、各種イオン交換樹脂などの他これらの混合物や共重合体などがあげられる。また、各種活性炭の他、木材や竹より得られる炭(例えば備長炭)も本発明の多孔質体として好ましい。 【0019】多孔質体の形態、大きさも特に制限はなく、粒子状、板状、針状、柱状、布帛状、中空糸状など使用目的に応じ適宜選択すればよいが、多孔質体の比表面積が高く(細孔の利用率が高く)、しかも様々な形態の製品に練り混み、付着などの方法で応用しやすいという意味で、粒子径1mm以下の微粒子状の多孔質体が好ましく、前述のとおり、そうした微粒子状の多孔質体において本発明の有効性が発揮されやすい。本発明で言うトロポロン化合物とは、一般式(1)で表される置換もしくは非置換のトロポロン自身、もしくはその誘導体である。 【0020】 【化1】
【0021】ただし、R1、R2、R3は、水素、または直鎖または分岐のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基を表し、直鎖状または分岐状を問わない。また不飽和結合が含まれていてもかまわない。また酸素、ケイ素、ハロゲンなどのヘテロ原子が含まれていてもかまわない。R1、R2、R3は、それぞれ同一でもよく、異なってもよい。アルキル基としては例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニルなどが挙げられる。 【0022】アルケニル基としては一般式−CH=CR6R7で表され、アルキニル基としては一般式−CH=C−R6で表される。R6、R7は、それぞれ同一でも異なってもよく、水素または炭化水素基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、2−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニルなどが挙げられる。シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンテン−1−イル、2−シクロペンテン−1−イル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、1,3−シクロヘキサジエン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、シクロヘプチル、1−シクロヘプテン−1−イル、2−シクロヘプテン−1−イル、3−シクロヘプテン−1−イル、4−シクロヘプテン−1−イル、シクロオクチル、1−シクロオクテン−1−イル、2−シクロオクテン−1−イル、シクロノニル、シクロデシルなどが挙げられる。また酸素が含まれるものとしては、今まで述べた基に一般式−OR8や一般式−COOR9で表される置換基を有するものが挙げられる。R8やR9は、それぞれ同一でも異なってもよく、水素または炭化水素基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、2−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニルなどが挙げられる。また今まで述べた基にケイ素やフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のようなハロゲンが含まれていてもかまわない。 【0023】上記式(1)で表されるトロポロン類の中で、4位にイソプロピル基を有する4−イソプロピルトロポロン(β−ツヤプリシン、別名ヒノキチオール)、4−位にイソプロペニル基を有するβ−ドラブリン、3位にイソプロピル基を有するα−ツヤプリシン、5位にイソプロピル基を有するγ−ツヤプリシンは、青森ヒバや台湾ヒノキの精油中に含まれる天然物であり、その安全性の高さから本発明で用いるトロポロンとして好ましい。最も好ましいのは、4−イソプロピルトロポロン(ヒノキチオール)である。 【0024】ヒノキチオール(4−イソプロピルトロポロン)とは、前述のようにタイワンヒノキや青森ヒバの精油中に含まれる天然物であり、幅広い菌種に対し優れた抗菌性を有し、しかも抗カビ、防虫性などの特性をも併せ持つ極めて有用な結晶性物質である。また、ヒノキチオールは耐性菌が極めて生じにくいことも知られている。さらにヒノキチオールはアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患に有効でありかつ皮膚刺激性が極めて少ないことが知られている。ヒノキチオールは近年、化学合成によっても製造され、様々な用途に使用されている。本発明で用いる場合、ヒノキキチオールは、天然品でも化学合成品でもかまわない。 【0025】本発明でいうところのトロポロン化合物とは、前記式(1)で表されるトロポロン自身、もしくはトロポロンより一般的な化学変換により得られる誘導体などが包含される。誘導体としては例えば、トロポロンの金属塩または金属錯体、トロポロンのアシル体、トロポロンの配糖体などがあげられる。本発明でいうところのトロポロンの金属塩または金属錯体とは下記式(2)で表される。 【0026】 【化2】
【0027】ただし、式中Mは金属元素を表し、例えばNa、K、Mg、Ca、Zn、Ni、Cu、Al、Agなどがあげられる。式中nは金属の価数を表す。トロポロンの金属塩および金属錯体の製法はとくに制限はなく、公知の方法で合成すればよい。例えば、トロポロンと水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを反応させればトロポロンのナトリウム塩またはカリウム塩を合成することができるし、トロポロン単体もしくはトロポロンのナトリウム塩またはカリウム塩を塩化銅、塩化亜鉛、塩化カルシウムなどの金属塩と反応させればトロポロンの金属錯体が合成できる。 【0028】本発明でいうところのトロポロンのアシル体とは、トロポロンの水酸基の水素原子をアシル基で置換したものであり、下記式(3)または(4)で表される。 【0029】 【化3】
【0030】 【化4】
【0031】ただし、R4は置換または無置換のアルキル基を表す。トロポロンのアシル体への変換は一般的な手法で実施すればよく、例えば脂肪酸などのカルボン酸の酸塩化物とトロポロンを反応させる方法や、酵素の存在下で脂肪酸などのカルボン酸とトロポロンを反応(エステル化)させる方法などがあげられる。例えば、酪酸、吉草酸、カプロン酸、オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸などの不飽和脂肪酸などの酸塩物とトロポロンを反応させる方法や、それらの酸とトロポロンをリパーゼやエステラーゼなどの酵素の存在下でエステル化する方法などがあげられる。 【0032】本発明でいうところのトロポロンの配糖体とは、トロポロンの水酸基と糖類(R5OH)の水酸基を脱水縮合させてエーテル結合を形成せしめたものであり、下記式(5)または(6)で表される。 【0033】 【化5】
【0034】 【化6】
【0035】トロポロンに結合させる糖類(R5OH)としては特に制限はなく、一般的なものを用いればよく、例えばグルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトースなどのヘキソース、キシロース、アラビノースなどのペントソースなどの単糖類、プリメベロース、ゲンチオビオース、ルチノース、ストロファントビオース、セロビオースなどの二糖類、その他の多糖類あるいはそれらの誘導体を用いることができる。 【0036】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。 【0037】 【実施例1】SiO2:60wt%とZnO2:20wt%を主成分とする複合酸化物の粉体(ラサ工業(株)製、シュークレンズKD211G、粒径≦0.01mm)に対し徐々にエタノール加えてゆき、該粉体が塊状になるエタノール量(細孔容積)を求めたところ、0.80ml/gであった。上記の細孔容積に相当する容積の4−イソプロピルトロポロン(ヒノキチオール)溶液(50wt%エタノール溶液)を該複合酸化物に加え振とうしたところ、すべての溶液が該複合酸化物に吸収され、溶液の残存は認められなかった。その後熱風乾燥機でエタノールを蒸発させ(60℃×3Hr)、トロポロン化合物担持物を得た。 【0038】得られた担持物はさらっとした粉体の性状を保っていたとともに、ヒノキチオールの特有の臭気が全く認められなかった。また、本実施例は細孔容積以下の液を含浸させるという本発明の必須要件を満足しているので、担持物を得る過程において余剰の溶液が発生しておらず、回収操作を何ら要しない簡便な操作で担持物が製造できている。 【0039】 【実施例2】SiO2:57wt%、CaO:32wt%、Al2O3:3.5wt%、Fe2O3:2.0wt%、MgO:0.8wt%を主成分とするトバモライト(旭化成工業(株)製、サンパルファー、粒径≦0.1mm )に対し徐々にエタノール加えてゆき、該粉体が塊状になるエタノール量(細孔容積)を求めたところ、0.52ml/gであった。上記の細孔容積に相当する容積の4−イソプロピルトロポロン(ヒノキチオール)溶液(50wt%エタノール溶液)を、該トバモライトに加え振とうしたところ、すべての溶液が該複合酸化物に吸収され、溶液の残存は認められなかった。その後熱風乾燥機でエタノールを蒸発させ(60℃×3Hr)、トロポロン化合物担持物を得た。 【0040】得られた担持物はさらっとした粉体の性状を保っていたとともに、ヒノキチオールの特有の臭気が全く認められなかった。また、本実施例は細孔容積以下の液を含浸させるという本発明の必須要件を満足しているので、担持物を得る過程において余剰の溶液が発生しておらず、回収操作を何ら要しない簡便な操作で多孔質担持物が製造できている。 【0041】 【実施例3】活性炭(武田薬品工業(株)製、カルボラフィン、粒径≦0.1mm )に対し徐々にエタノール加えてゆき、該粉体が塊状になるエタノール量(細孔容積)を求めたところ、1.2ml/gであった。上記の活性炭に対し、1.1ml/gの割合で4−イソプロピルトロポロン(ヒノキチオール)溶液(50wt%エタノール溶液)を加え振とうしたところ、すべての溶液が該活性炭に吸収され、溶液の残存は認められなかった。その後熱風乾燥機でエタノールを蒸発させ(60℃×3Hr)、トロポロン化合物担持物を得た。 【0042】得られた担持物はさらっとした粉体の性状を保っていたとともに、ヒノキチオールの特有の臭気が全く認められなかった。また、本実施例は細孔容積以下の液を含浸させるという本発明の必須要件を満足しているので、担持物を得る過程において余剰の溶液が発生しておらず、回収操作を何ら要しない簡便な操作で多孔質担持物が製造できている。 【0043】 【実施例4】4−イソプロピルトロポロンの代わりにトロポロンを用いた以外は実施例1と同様の方法で担持物を得た。実施例1と同様、すべての溶液が該複合酸化物に吸収され、溶液の残存は認められなかった。得られた担持物はさらっとした粉体の性状を保っていたとともに、トロポロンの特有の臭気が全く認められなかった。また、本実施例は細孔容積以下の液を含浸させるという本発明の必須要件を満足しているので、担持物を得る過程において余剰の溶液が発生しておらず、回収操作を何ら要しない簡便な操作で担持物が製造できている。 【0044】 【実施例5】4−イソプロピルトロポロン溶液(50wt%エタノール溶液)の代わりに4−イソプロピルトロポロン銅錯体溶液(2wt%エタノール溶液)を用いた以外は、実施例2と同様の方法で担持物を得た。実施例2と同様、すべての溶液が該トバモライトに吸収され、溶液の残存は認められなかった。得られた担持物はさらっとした粉体の性状を保っていた。また、本実施例は細孔容積以下の液を含浸させるという本発明の必須要件を満足しているので、担持物を得る過程において余剰の溶液が発生しておらず、回収操作を何ら要しない簡便な操作で担持物が製造できている。 【0045】 【実施例6】4−イソプロピルトロポロン溶液(50wt%エタノール溶液)の代わりに4−イソプロピルトロポロンのアシル体(n−オクタノエート)の溶液(5wt%エタノール溶液)を用いた以外は実施例1と同様の方法で担持物を得た。実施例1と同様、すべての溶液が該複合酸化物に吸収され、溶液の残存は認められなかった。 【0046】得られた担持物はさらっとした粉体の性状を保っていた。また、本実施例は細孔容積以下の液を含浸させるという本発明の必須要件を満足しているので、担持物を得る過程において余剰の溶液が発生しておらず、回収操作を何ら要しない簡便な操作で担持物が製造できている。 【0047】 【実施例7】4−イソプロピルトロポロン溶液(50wt%エタノール溶液)の代わりに4−イソプロピルトロポロンの配糖体(グルコース配糖体)の溶液(10wt%エタノール溶液)を用いた以外は実施例1と同様の方法で担持物を得た。実施例1と同様、すべての溶液が該複合酸化物に吸収され、溶液の残存は認められなかった。 【0048】得られた担持物はさらっとした粉体の性状を保っていた。また、本実施例は細孔容積以下の液を含浸させるという本発明の必須要件を満足しているので、担持物を得る過程において余剰の溶液が発生しておらず、回収操作を何ら要しない簡便な操作で担持物が製造できている。 【0049】 【比較例1】4−イソプロピルトロポロンの2wt%n−ヘキサン溶液1リットルに対し、実施例1で用いたのと同様の複合酸化物の粉体10gを加え室温で30分間攪拌したのち濾過し、トロポロン化合物担持物を得たとともに、余剰のn−ヘキサン溶液を回収した。回収したn−ヘキサン溶液中に4−イソプロピルトロポロンが初期仕込に対し約20%回収された。 【0050】一方、得られた担持物は湿潤状態で、これを室温で風乾したのち熱風乾燥機で乾燥(60℃×3Hr)したが、べとつき感があっただけでなく融着して塊状になっている部分があった。また、4−イソプロピルトロポロンの特有の臭気が残存していた。本比較例は細孔容積を越える容積の溶液を多孔質体に含浸させており、本発明の必須要件を満たしていないので、用いたトロポロン化合物の全量を多孔質体に担持することができないという非効率が余儀なくされていることに加え、トロポロン化合物の回収工程を要するという不利益が発生している。また、得られた担持物の表面にもトロポロン化合物が付着していることに起因し、べとつき感があり部分的に融着して塊状になった担持物しか得られていない。またトロポロン化合物の特有の臭気を抑制する効果も不十分である。 【0051】 【比較例2】実施例3で用いた活性炭10gに対し、減圧下で4−イソプロピルトロポロン溶液(20wt%エタノール溶液)100ml加えて担持させた。担持物を遠心脱水機にて2000rpm×2分脱液した。脱液の結果回収されたエタノール溶液中に4−イソプロピルトロポロンが初期仕込に対し約50%回収された。一方、得られた担持物は湿潤状態で、これを熱風乾燥機で乾燥(60℃×3Hr)したが、べとつき感があっただけでなく融着して塊状になっている部分があった。また、4−イソプロピルトロポロンの特有の臭気が残存していた。 【0052】本比較例は細孔容積を越える容積の溶液を多孔質体に含浸させており、本発明の必須要件を満たしていないので、用いたトロポロン化合物の全量を多孔質体に担持することができないという非効率が余儀なくされていることに加え、トロポロン化合物の回収工程を要するという不利益が発生している。また、得られた担持物の表面にもトロポロン化合物が付着していることに起因し、べとつき感があり部分的に融着して塊状になった担持物しか得られていない。またトロポロン化合物の特有の臭気を抑制する効果も不十分である。 【0053】 【発明の効果】本発明により、トロポロン化合物を無駄なくしかも細孔内部に確実に担持し該化合物の安定性改善効果、ならびに該化合物の多くが有する独特の臭気の抑制効果を得、しかも含浸させる液中のトロポロン化合物濃度が比較的高濃度で且つ多孔質体が微粒子である場合に特に顕在化する表面のべたつきや多孔質体同士の癒着といった課題を解決するための普遍的技術、及びそれにより得られるトロポロン化合物担持多孔質体の製造方法を提供することが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000033 【氏名又は名称】旭化成株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年12月13日(2000.12.13) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−179510(P2002−179510A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月26日(2002.6.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−378673(P2000−378673) |
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