| 【発明の名称】 |
抗カビ香料組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】花田 実
【氏名】岩井 久夫
【氏名】藤ケ崎 淳
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| 【要約】 |
【課題】香料成分の香調に影響の少ない少量の添加で抗カビ活性を奏する組成物を提供すること【解決手段】 (a)炭素数が5〜16の脂肪族もしくは芳香族のアルデヒド類、炭素数が5〜16の脂肪族アルコールおよびフェノール類から選ばれる少なくとも1種の香料成分と(b)上記香料成分と共存して相乗効果をもたらす脂肪族もしくは芳香族のアルデヒド類、脂肪族アルデヒド類、フェノール類、アセタ−ル類およびエステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物とを有効成分として含有する組成物。
【解決手段】(a)炭素数が5〜16の脂肪族もしくは芳香族のアルデヒド類、炭素数が5〜16の脂肪族アルコールおよびフェノール類から選ばれる少なくとも1種の香料成分と(b)上記香料成分と共存して相乗効果をもたらす脂肪族もしくは芳香族のアルデヒド類、脂肪族アルデヒド類、フェノール類、アセタ−ル類およびエステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物とを有効成分として含有する組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)炭素数が5〜16の脂肪族もしくは芳香族のアルデヒド類、炭素数が5〜16の脂肪族アルコール類およびフェノール類から選ばれる少なくとも1種の香料成分と(b)上記香料成分と共存して相乗効果をもたらす脂肪族もしくは芳香族のアルデヒド類、脂肪族アルコール類、フェノール類、アセタール類およびエステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物とを有効成分として含有することを特徴とする抗カビ香料組成物。 【請求項2】 (a)成分の香料成分が、シトラール、シトロネラール、トランス−2−ヘキセナール、オクチルアルデヒド、トランス−2−ウンデセナール、ウンデシレンアルデヒド、ジメチルテトラハイドロベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、3−フェニルプロパナール、クミンアルデヒド、フルフラール、ゲラニオール、シトロネロール、9−デセノール、デカノール、オイゲノールから選択される請求項1記載の抗カビ香料組成物。 【請求項3】 (b)成分の相乗効果をもたらす化合物が、シトラール、シトロネラール、トランス−2−ヘキセナール、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、トランス−2−ウンデセナール、ウンデシレンアルデヒド、ジメチルテトラハイドロベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、3−フェニルプロパナール、クミンアルデヒド、フルフラール、フェニルアセトアルデヒド、アニスアルデヒド、ゲラニオール、シトロネロール、9−デセノール、デカノール、チモール、オイゲノール、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、シンナミックアルデヒドジメチルアセタール、サリチル酸メチルである請求項1又は2記載の抗カビ香料組成物。 【請求項4】 ゲル状体中に1〜50重量%含有された請求項1〜3のいずれか1項記載の抗カビ香料組成物。 【請求項5】 粉末または粒状体に1〜60重量%吸着または含浸された請求項1〜3にいずれか1項記載の抗カビ香料組成物。 【請求項6】 液状体中に1〜30重量%含有された請求項1〜3のいずれか1項記載の抗カビ香料組成物。 【請求項7】 請求項1〜3のいずれか1項記載の抗カビ香料組成物または揮発性の溶剤に溶解した前記組成物を通気性のある容器に収めたことを特徴とする抗カビ香料組成物包装体。 【請求項8】 通気性のある容器が、内面が通気性のある熱可塑性樹脂で外面が通気性のある支持体からなる積層体製の袋状物である請求項7記載の抗カビ香料組成物包装体。 【請求項9】 通気性のある支持体が不織布である請求項8記載の抗カビ香料組成物包装体。 【請求項10】 請求項1〜3の何れか1項記載の抗カビ香料組成物または揮発性の溶剤に溶解した前記抗組成物および噴射剤をスプレー缶に収めたことを特徴とする抗カビ香料組成物包装体。 【請求項11】 請求項7〜9のいずれか1項記載の抗カビ香料組成物包装体を任意の場所に放置することおよび前記包装体に収められた抗カビ香料組成物中の(a)成分および(b)成分を揮散させることを特徴とするカビ増殖抑制方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は抗カビ活性を有する香料組成物に係り、その目的は室内、押入れ内あるいは靴箱内において設置され、その中に任意の芳香を漂わせると同時にカビの増殖を抑制し、もってカビによる壁面、床面、靴表面等の汚れを防止する安全性の高い抗カビ香料組成物を提供することにある。 【0002】 【従来の技術】日本の住宅における有害なカビの生育の特性として一つには夏期の高温高湿があげられ、また冬には特にマンション等のコンクリート造り集合住宅の場合、断熱工事の施工が内断熱工法によることが多いことによる室内の結露があげられる。このような理由で夏期や冬期に多くのカビが室内より検出されている。室内や浴室から分離されるカビの種類は季節や、研究された地域などにより様々であることが報告されている(防菌防黴、19巻、127〜134頁、(1991)、防菌防黴、28巻、421~426頁、(2000)等)。 【0003】例えば、床の塵の中からはWallemia、Aspergillus、Cladosporium、Penicilliumなどが分離され、浴室のタイルの目地にはCladosporium、Phoma、Aureobasidium、Ochroconisなどの黒いシミ状のカビが多いといわれている。このようなカビが壁面や押入れ、靴箱内などで成長するとカビ臭などの不快臭の原因ともなり、白色、黄色、黒色などのシミを作り、また壁材を傷め、あるいは生成した胞子が室内に浮遊しアレルギーの原因になるなど多くの問題を引き起こしている。 【0004】このようなカビの増殖を防ぐ手段としては「抗カビ剤」が用いられることが多い。しかし一般に使用される「抗カビ剤」の多くは次亜塩素酸ナトリウム等を主成分として含む水性の噴霧剤であり、浴室、トイレなどの水周りであれば、使用後に洗い流すことなどができ使い勝手がよいが、一般の室内、押入れ、靴箱等では、その強い刺激臭と人体に対する安全性への懸念があり、さらには噴霧後に残る水分が次亜塩素酸ナトリウム等の活性成分の分解後にあらたな湿気としてカビの生育の温床となる恐れもある。 【0005】古くより精油やその成分である香料化学品に抗菌、抗カビ活性があることは広く知られており(浅越亨、日本化粧品技術者会誌、34巻、25〜46頁、(2000)およびその中の引用文献)、直接試験菌に接触する方法だけでなく、蒸気状態でも活性を示すことは多くの報告がある(Maruzzella J. C. et.al., American Perfumer and Aromatics 74(Aug), 21-22 (1959)、牛腸忍、防菌防黴 20巻, 585頁(1992);西村民雄、Aromatopia、10, 60-63, (1995) など)。 【0006】精油や香料化学品が蒸気状態で抗菌、抗カビ活性を示すことを記載した特許としては、非医療用抗菌剤(特公平3−77161号公報)、浴室用静菌芳香剤(特開平6−24952号公報)、抗微生物活性検出方法(特開平10−108691号公報)、精油を用いた真菌感染拡散防止剤(特開平10−338630号公報)、食品用抗菌・殺菌剤(特開平11−332534号公報)、冷蔵庫用殺菌剤(特開平11−335219号公報)などがあげられる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの香料成分の抗菌、抗カビ活性はあまり強いものではなく、活性を示すだけの量を調合すると活性成分特有の香りが際立ってしまい、全体としての香調がその活性成分の香りに支配されてしまうことが多く、特定の香調(シトラス調、フルーツ調、ウッディー調、ミント調など)を保ったまま抗菌、抗カビ活性を出させることは困難であった。 【0008】そこで、本発明においては、香料成分の香調に影響の少ない少量の添加で抗カビ活性を発現することのできる抗カビ香料組成物を提供することを課題とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者等は香料蒸気の抗菌、抗カビ活性について鋭意研究を重ねた結果、炭素数が5〜16の脂肪族もしくは芳香族のアルデヒド類、炭素数が5〜16の脂肪族アルコール類およびフェノール類から選ばれる少なくとも1種の香料成分と脂肪族もしくは芳香族のアルデヒド類、脂肪族アルコール類、フェノール類、アセタール類およびエステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物とを混合使用することにより、その活性が相乗的に高まり、単独の香料だけでは活性を示さないような低濃度同士の混合比でも抗カビ活性を示させることができ、もって特定の香調を乱すことのないことを見出し本発明にいたった。 【0010】すなわち、本発明は1)(a)炭素数が5〜16の脂肪族もしくは芳香族のアルデヒド類、炭素数が5〜16の脂肪族アルコール類およびフェノール類から選ばれる少なくとも1種の香料成分と(b)上記香料成分と共存して相乗効果をもたらす脂肪族もしくは芳香族のアルデヒド類、脂肪族アルコール類、フェノール類、アセタール類およびエステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物とを有効成分として含有することを特徴とする抗カビ香料組成物、【0011】2)(a)成分の香料成分が、シトラール、シトロネラール、トランス−2−ヘキセナール、オクチルアルデヒド、トランス−2−ウンデセナール、ウンデシレンアルデヒド、ジメチルテトラハイドロベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、3−フェニルプロパナール、クミンアルデヒド、フルフラール、ゲラニオール、シトロネロール、9−デセノール、デカノール、オイゲノールから選択される前記1)記載の抗カビ香料組成物、【0012】3)(b)成分の相乗効果をもたらす化合物が、シトラール、シトロネラール、トランス−2−ヘキセナール、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、トランス−2−ウンデセナール、ウンデシレンアルデヒド、ジメチルテトラハイドロベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、3−フェニルプロパナール、クミンアルデヒド、フルフラール、フェニルアセトアルデヒド、アニスアルデヒド、ゲラニオール、シトロネロール、9−デセノール、デカノール、チモール、オイゲノール、シトラールジメチルアセタール(以後シトラールDMAと略す)、シトラールジエチルアセタール(以後シトラールDEAと略す)、シンナミックアルデヒドジメチルアセタール(以後シンナミックアルデヒドDMAと略す)、サリチル酸メチルである前記1)又は2)記載の抗カビ香料組成物、【0013】4)ゲル状体中に1〜50重量%含有された前記1)〜3)のいずれか1項記載の抗カビ香料組成物、5)粉末または粒状体に1〜60重量%吸着または含浸された前記1)〜3)のいずれか1項記載の抗カビ香料組成物、6)液状体中に1〜30重量%含有された前記1)〜3)のいずれか1項記載の抗カビ香料組成物、【0014】7)前記1)〜3)のいずれか1項記載の抗カビ香料組成物または揮発性の溶剤に溶解した前記組成物を通気性のある容器に収めたことを特徴とする抗カビ香料組成物包装体、8)通気性のある容器が、内面が通気性のある熱可塑性樹脂で外面が通気性のある支持体からなる積層体製の袋状物である前記7)記載の抗カビ香料組成物包装体、9)通気性のある支持体が不織布である前記8)記載の抗カビ香料組成物包装体、【0015】10)前記1)〜3)の何れか1項記載の抗カビ香料組成物または揮発性の溶剤に溶解した前記抗カビ香料組成物および噴射剤をスプレー缶に収めたことを特徴とする抗カビ香料組成物包装体、および11)前記7)〜9)のいずれか1項記載の抗カビ香料組成物包装体を任意の場所に放置することおよび前記包装体に収められた抗カビ香料組成物中の(a)成分および(b)成分を揮散させることを特徴とするカビ増殖抑制方法である。 【0016】本発明においては、抗カビ活性を有する(a)成分の香料成分とそれと共存して相乗効果を奏する(b)成分を併用することにより、活性を示す香料成分の配合量を単独で用いるときよりもはるかに少量にすることを可能にしたものである。これにより他の香料に配合した場合にも、その香料成分に対する影響が少なく、任意の香りを保持した抗カビ香料組成物を提供でき、かつ、人体に対して極めて安全性の高い抗カビ香料組成物を提供することができる。 【0017】 【発明の実施例の形態】本発明において用いられる脂肪族もしくは芳香族のアルデヒド類については、シトラール、シトロネラール、トランス−2−ヘキセナール、オクチルアルデヒド、トランス−2−ウンデセナール、ウンデシレンアルデヒド(10−ウンデセナールまたはウンデセノイックアルデヒド)、ジメチルテトラハイドロベンズアルデヒド(トリプラール)、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、3−フェニルプロパナール、クミンアルデヒド、フルフラールなどの他にノニルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、シンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、ペリラアルデヒド、ヘリオナールなども用いることができる。またこれらアルデヒドのジメチルアセタール、ジエチルアセタールなどのアセタール類も同様に用いることができる。またさらにこれら香料化学品だけではなく、これらの物質を成分として含む天然香料や精油を用いることもできる。 【0018】本発明において用いられるアルコール類、フェノール類については、ゲラニオール、シトロネロール、9−デセノール、デカノール、オイゲノールなどの他にチモール、イソオイゲノール、ヒノキチオール、ペリラアルコールなどと、さらにはこれらの物質を成分として含む天然香料や精油も用いることもできる。 【0019】アセタール類としては、シトラールDMA、シトラールDEA、シンナミックアルデヒドDMAを用いることができ、エステル類としてはサリチル酸メチルを用いることができる。 【0020】本発明の抗カビ香料組成物中、(a)成分と(b)成分との配合割合は、各成分の種類に応じて異なり、一概に決定できないが、通常(a):(b)=1:0.01〜50が好ましく、例えば、(a)成分がシトラールで(b)成分がシトロネラールの場合、シトラール1重量部に対し、シトロネラール1〜20重量部程度配合するとよい。 【0021】本発明の抗カビ香料組成物は、ゲル状、粉末状、粒状、液状などの形態にすることができる。ゲル状体とする場合、ゲル化剤を用いるのが一般的であるが、ゲル化剤に限定はなく、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、アルギン酸、セルローズ、デンプン等とそれらの誘導体あるいはその塩などの水溶性有機高分子から形成されたもの、酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、酢酸ビニルと塩化ビニルなどの共重合体系樹脂エマルジョンなどの合成樹脂系エマルジョン、ゴム系ラテックスなどの水性エマルジョン、カラギーナン、寒天、ゼラチン、ペクチン等の各種動物、植物、藻類、微生物から抽出される天然物由来のゲル化剤を挙げることができる。ゲル状体中に抗カビ香料成分を分散、乳化させるためにはステアリン酸ナトリウム、イソステアリン酸ナトリウム等の界面活性剤を用いるとよい。ゲル状体とする場合、抗カビ香料組成物は1〜50重量%含有させるとよい。 【0022】また、粉末状または粒状体とする場合、抗カビ香料組成物1〜60重量%を吸着または含浸させるとよい。粉末または粒状の担体としては、シリカゲル、ゼオライト、珪酸カルシウム、珪藻土、活性炭、アルミナ、アロフェン、バーミキュライトなどがあげられる。 【0023】また、本発明の抗カビ香料組成物は液体であってもよく、この場合、抗カビ香料成分の可溶化剤としてポリオキシエチレン硬化ひまし油等の界面活性剤、1〜40%のエタノール水、ジブチルヒドロキシトルエン等の抗酸化剤、ウロカニン酸、オキシベンゾン等の紫外線吸収剤、色素等で構成されることができ、抗カビ香料成分は1〜30重量%配合するとよい。 【0024】本発明においては前記抗カビ香料組成物を容器に収めた抗カビ香料組成物包装体を提供する。抗カビ香料組成物はそのまま、またはアルコールなどの揮発性の溶剤に溶解して、液状のまま、または前記したゲル状、粉末状、粒状体として通気性のある容器に収める。通気性のある容器としては、例えば通気性のある素材で構成された不織布を支持体とし、内面がポリエチレンフィルム等の通気性のある熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせて作られたラミネート紙を袋状にしたものを好ましく使用する。 【0025】また、本発明の抗カビ香料組成物をそのまま、またはアルコールなどの揮発性の溶剤に溶解して手動式スプレー容器に入れ、またはLPG、ジメチルエーテル、液化炭酸ガスなどの噴射剤と共にスプレー缶に封入して抗カビ香料組成物包装体とすることもできる。 【0026】前記抗カビ香料組成物包装体は、室内、押し入れ内または靴箱内などの場所に設置すると、それらの場所に香料成分からの芳香を漂わせるとともに、カビの増殖を抑制し、カビによる壁面、床面、靴箱内面、靴表面等のしみや汚れを防止することができる。本発明はこのようなカビの増殖抑制方法をも提供する。 【0027】 【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。 【0028】(実施例1) 香料蒸気抗カビ活性の確認香料蒸気の活性の確認用には牛腸等(防菌防黴 19巻、511-515頁、(1991))の方法を少し改変して行なった。試験菌のよく生育したスラントにTween-80を0.05%含む生理食塩水を加え、常法により1x106CFU(Colony Forming Unit)/mlの胞子けんだく液を作成した。培地はポテトデキストロース寒天(PDA:日水製薬)を使用し、まず10mlの滅菌PDAをシャーレに分注し、これが固化した後、胞子けんだく液1%を添加したPDA 6mlをその上に重ね、テスト用の寒天平板とした。香料サンプルは常温で液体のものはそのまま20μlをペーパーデスク(アドバンテック製、直径8mm厚手)にしみ込ませ、結晶、または粉末のものは50重量%のエタノール溶液を調製、その40μlをしみ込ませて使用した。なお40μlのエタノールはカビの生育には全く影響を与えなかった。 【0029】試験用寒天平板を倒置し、香料サンプルをしみ込ませたペーパーデスクを寒天平板の蓋の中央に置き、そのまま72時間27℃で培養した。判定はカビの生育阻止円の直径(mm)で行い、寒天平板内全面で生育を阻止している時は>85mmと記載した。阻止円の外側のカビが生育している所では胞子形成の阻止円の直径と生育の度合いをコントロールと比較して記録した。試験に用いたカビを表1に示すが、これらのカビは室内や浴室から高い頻度で分離されるカビの種類である。また、調べた香料蒸気の抗カビ活性を表2に示す。 【0030】 【表1】
【0031】 【表2】
【0032】IZ:生育阻止円径(mm)、SI:胞子形成阻止円径(mm)、生育:阻止円外側の生育状態(良:コントロールとほぼ同じ、弱:やや弱い生育、微弱:より弱い生育、稀:生育密度が低くコロニー状に弱く生育、無:生育見られず、またIZが>85で生育が「稀」となっている時は阻止円は形成しないが試験菌が弱くまばらに生育していることを示す) 【0033】(実施例2) 相乗作用の確認試験菌としてAn−1(Aspergillus niger)を用い、実施例1の方法で作製した寒天平板を用いた。まず各香料単独のAn−1に対する生育阻止円が0~30mmになる量を求め、その量が10μl以下のときはエタノールを用いて希釈し、その10μlをペーパーデスクにしみ込ませた時に所定の量になるように調整した。試験用寒天平板を倒置し、蓋の中央にそれぞれの香料を単独にしみ込ませたペーパーデスク、2種の香料を同時にしみ込ませたペーパーデスクを置き、27℃で72時間培養し、生じた生育阻止円の直径を測定した。2種の香料の併用が単独での生育阻止円の和より20mm以上大きい阻止円を示した時は相乗作用あり、20mm以上小さい時は拮抗作用、その間の阻止円を示した時は相加作用と判定した。この結果の一部を相乗作用、相加作用、拮抗作用に分けて表3に示す。 【0034】 【表3】 サンプル名 サンプル量 IZ SI 生育 判定結果A:シトラール 2μl 0 20 弱B:ベンズアルデヒド 10μl 15 >85 微弱A+B 2+10μl >85 − 無 相乗作用A:ジメチルテトラハイドロベンズアルデヒド 20μl 0 >85 弱B:ゲラニオール 10μl 30 45 弱A+B 20+10μl >85 − 無 相乗作用A:オクチルアルデヒド 20μl 10 35 弱B:9-デセノール 0.5μl 0 − 弱A+B 20+0.5μl 15 30 弱 相加作用A:トランス-2-ウンデセナール 3μl 30 >85 微弱B:フェニルアセトアルデヒド 5μl 25 30 良A+B 3+5μl 35 65 弱 拮抗作用IZ、SI、生育の各欄は表2に同じ【0035】実施例2で得られた結果を各香料化学品(a)に対する相乗、相加、拮抗の各作用の組合せ例で表4〜7に示す。本発明における(a)成分の各香料成分に対し相乗作用をもたらす(b)成分はこられの表の「相乗作用」欄に示されている化合物群である。なお、表には表をスリムにするため、一度挙げた組み合わせについては他方の欄には挙げてない。したがって、例えば、表7のオイゲノールが(a)成分である場合、相乗作用を示した化合物は、表4〜7の「相乗作用」欄の他の香料名を見ることになる。 【0036】 【表4】
【0037】 【表5】
【0038】 【表6】
【0039】 【表7】
【0040】(実施例3) 抗カビ香料組成物の作成実施例1、2の結果によりシトラス調の香りを持つベース香料(シトラスベース)とフローラル調の香りを持つベース香料(フローラルベース)の2種のベース((a)成分(b)成分とも含有しない)を基に調合香料(抗カビ香料組成物)4種を処方した。その処方内容を表8(数値は重量比)に示す。 【0041】 【表8】 実施例3-1 比較例1 実施例3-2 比較例2 シトラスベース 695 695 0 0フローラルベース 0 0 647 647(a)成分 シトラール 250 0 170 0 ウンデシレンアルデヒド 50 0 30 0(b)成分 ベンズアルデヒド 0 0 150 0 ノニルアルデヒド 5 0 0 0 3-フェニルプロパナール 0 0 3 0エタノール(バランス) 0 305 0 353 【0042】(実施例4) 調合香料の抗カビ活性実施例3で作製した調合香料(抗カビ香料組成物)の活性を実施例1の方法で確認した。結果を表9に示す。ペーパーデスクに対する調合香料の添加量はそれぞれ20μlで、結果は阻止円の直径(mm)のみを記載した。 【0043】 【表9】
【0044】表9に見られるとおり(a)成分および(b)成分(活性成分)を加えた実施例3−1と3−2の調合香料は強い活性を3種の試験菌に対して示したが、活性成分添加前のベースには抗カビ活性は見られなかった。 【0045】また、これとは別に、調合香料の香りを以下のように評価した。すなわち、男女20人を被験者として、実施例3−1と比較例1および実施例3−2と比較例2の香りを嗅いでもらい、下記の評価基準に基づいて評価し、その平均点を求めた。 【0046】
【0047】実施例3−1の調合香料の平均評価点は3.8であり、実施例3−2の調合香料のそれは3.1であった。実施例3−1の調合香料は比較例1の香りを保ったまま抗カビ活性を獲得した。実施例3−2の調合香料は香調に変化が認められたが、その差はわずかであった。 【0048】(実施例5) 粒状芳香剤の調製実施例3で作製した調合香料を用いて粒状の芳香剤を調製した。粒状タイプの芳香剤は粒状珪酸カルシウム(フローライト、徳山ソーダ)を用い、これに実施例3の各調合香料を60重量%含浸させることにより作成した。実施例3−1の調合香料を含む粒状芳香剤を実施例5−1、比較例1の香料を含む粒状芳香剤を比較例3、実施例3−2の調合香料を含む粒状芳香剤を実施例5−2、比較例2の香料を含む粒状芳香剤を比較例4と呼ぶ。 【0049】(実施例6) 粒状芳香剤の抗カビ活性内容積78リットルの塩化ビニール製(ID30cm x 110cm、ステンレス内張り)の容器を用いて、粒状芳香剤の評価を行った。テスト法は以下のとおりである。長さ32cmに切った板を十字に組み,その端より2cmの所に4本の鎖を吊るして直径25cmの円形の金網を4段に吊り下げた。一段目の金網は容器の上端より10cmの所に、以下25cm、65cm、105cmの高さになるようにした。各金網には実施例1に用いたのと同じ試験菌の寒天平板を各一枚ずつ置いた。実施例の芳香剤はそれに含まれる活性成分が10μg/cm3となるように秤量して用いた。つまり表8に示す活性成分の総計が780mg(10μg/cm3)となるように芳香剤への賦香率より計算した。芳香剤の重量は実施例5−1の例でいうと4.62g、実施例5−2で3.68gとなる。比較例ではそれぞれの実施例と同じ重量の芳香剤を用いた。各芳香剤はティッシューにくるみ、それぞれ2段目の金網の中心に置いた。これは香料蒸気が上にも拡散するかどうかを確認するためである。 【0050】芳香剤と寒天平板をセットしたのち容器の中に入れ、容器の口を2重のラップでくるみ、27℃で3日間培養し、各寒天平板内の試験菌の生育状態をコントロールと比較した。実施例6の結果を表10に示す。 【0051】 【表10】 実施例5-1 比較例3 実施例5-2 比較例4 1段目 生育せず 生育 生育せず 生育 2段目 生育せず 生育 生育せず 生育 3段目 生育せず 生育 生育せず 生育 4段目 生育せず 生育 生育せず 生育 【0052】実施例5−1と5−2の粒状芳香剤は4段の高さに置いた寒天平板内の試験菌(An−1、Ap−1、Cc−1)の生育を全て阻止していた。これに対して比較例3と4の粒状芳香剤と一緒に置いた寒天平板では試験菌はコントロールと同じ生育を示し、比較例3と4の粒状芳香剤の抗カビ活性は認められなかった。 【0053】(実施例7) 水溶性ゲルタイプ芳香剤の調製実施例3で作製した調合香料を用いて以下の処方でゲル状芳香剤を調製した。 水溶性ゲルタイプ芳香剤の処方カッパカラギーナン 2.0%ローカストビーンガム 0.4%ポリエチレングリコール 3.0%塩化カルシウム 0.4%防腐剤(メチルパラベン) 0.1%実施例−3の調合香料 5.0%ツイーン80 0.5%水 88.6%【0054】実施例3−1の調合香料を含むゲル状芳香剤を実施例7−1、比較例1の香料を含むゲル状芳香剤を比較例5、実施例3−2の調合香料を含むゲル状芳香剤を実施例7−2、比較例2の香料を含むゲル状芳香剤を比較例6と呼ぶ。 【0055】(実施例8) ゲル状芳香剤の抗カビ活性実施例6と同じ方法でゲル状芳香剤の抗カビ活性を調べた。使用したゲルの重量は実施例7−1で51.15g、実施例7−2では44.19gであり、それぞれの比較例も同じ重量のゲルを使用した。ゲルは32mm口径の広口瓶に入れ、実施例6と同様に2段目の金網の中央に設置した。その他は実施例6と同様に行いゲル状芳香剤の抗カビ活性を調べた。その結果を表11に示す。 【0056】 【表11】 実施例7-1 比較例5 実施例7-2 比較例6 1段目 生育せず 生育 生育せず 生育 2段目 生育せず 生育 生育せず 生育 3段目 生育せず 生育 生育せず 生育 4段目 生育せず 生育 生育せず 生育 【0057】実施例6と同様に実施例7−1と7−2のゲル状芳香剤は4段の高さに置いた寒天平板内の試験菌(An−1、Ap−1、Cc−1)の生育を全て阻止していた。これに対して比較例5と6のゲル状芳香剤には抗カビ活性は認められなかった。 【0058】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明の抗カビ香料組成物は(a)シトラール、シトロネラール、トランス−2−ヘキセナール、オクチルアルデヒド、トランス−2−ウンデセナール、ウンデシレンアルデヒド、ジメチルテトラハイドロベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、3−フェニルプロパナール、クミンアルデヒド、フルフラール、ゲラニオール、シトロネロール、9−デセノール、デカノール、オイゲノールから選択される少なくとも1種の香料成分と(b)上記香料成分と共存して相乗効果をもたらす脂肪族若しくは芳香族のアルデヒド類、脂肪族アルコール類、フェノール類、アセタール類およびエステル類とから選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分として含有することを特徴とする抗カビ香料組成物であり、もって活性成分の含有量を単独で用いるよりも少なくすることを可能としたものである。 【0059】これにより任意の香りを保持した抗カビ香料組成物を作製することができ、且つ人体に対してきわめて安全性の高い抗カビ香料組成物を提供することができる。またこれらの抗カビ香料組成物を芳香剤などに配合することにより室内、押入れ内あるいは靴箱内においてカビの増殖を抑制し、もってカビによる壁面、床面、靴表面等の汚れを防止し、あるいは飛散するカビ胞子によるアレルギーを防止することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000169466 【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年12月12日(2000.12.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095968 【弁理士】 【氏名又は名称】坂口 啓子
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| 【公開番号】 |
特開2002−179509(P2002−179509A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月26日(2002.6.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−376958(P2000−376958) |
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