トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 抗菌性組成物及び抗菌性成形体
【発明者】 【氏名】名村 聡

【氏名】山腰 和夫

【氏名】大門 恵美子

【氏名】友滝 善久

【要約】 【課題】本発明は、抗菌、抗カビ効果に優れており、被処理体に対して着色を伴わない抗菌性組成物を提供することを課題とするものである。

【解決手段】結合剤に、固形分濃度20〜70重量%の銀クロロ錯塩を含有する水溶液又はスラリーを噴霧乾燥することにより得られる粉末を配合してなる抗菌性組成物を解決手段とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 結合剤に、粉末状銀クロロ錯塩系抗菌剤を配合してなる抗菌性組成物。
【請求項2】 結合剤に、固形分濃度20〜70重量%の銀クロロ錯塩を含有する水溶液又はスラリーを噴霧乾燥することにより得られる粉末を配合してなる抗菌性組成物。
【請求項3】 結合剤が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、無機質結合体及び含金属有機化合物から選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2記載の抗菌性組成物。
【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載の抗菌性組成物を成形加工してなる抗菌性成形体。
【請求項5】 基材表面の一部又は全部に、請求項1〜3の何れかに記載の抗菌性組成物からなる抗菌層を設けてなる抗菌性成形体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌性組成物及び抗菌性成形体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】最近、環境衛生への関心が著しく高まる中、台所、浴室、洗面所、トイレ等の水回り用の備品、家具やドア、玄関等の把手やノブ、電子電気製品、自動車等の輸送機器類の内装部品やハンドル、シフトレバーの把手、医療補助器具等については、抗菌抗カビ性を有するものが強く望まれている。そのため、合成樹脂に抗菌剤や抗カビ剤を配合してなる抗菌性組成物を成形加工して各種製品のハウジング又は部品を製造したり、前記抗菌性組成物に有機溶媒等を加えて塗料化し、これを各種製品のハウジング又は部品表面に塗布したり、化粧板や化粧紙に抗菌剤や抗カビ剤を配合し、各種製品のハウジング表面に貼着することが実施されている(例えば、特公昭63−54013号公報、特公平4−28646号公報、特開平1−313533号公報等)。
【0003】代表的な抗菌剤である銀系抗菌剤としては、水溶性銀ガラス等の水溶性銀化合物、リン酸カルシウム銀、酢酸亜鉛−銀、アルミノマグネシアケイ酸銀、リン酸亜鉛カルシウム銀、リン酸ジルコニウム銀、ケイ酸カルシウム銀、硝酸銀等の無機銀塩、チオ硫酸銀錯体、アンモニウム銀錯体、チオシアン酸銀錯体、アミノ酸銀錯体等の銀錯体、銀錯体担持シリカゲル等を挙げることができる。これらのうち、水溶性銀化合物は水溶性が高いので、物品の表面に存在すると水洗や雨等により溶出し、抗菌効果が失われてしまうという欠点がある。無機銀塩は、日常の環境下で普通に存在する塩化物と反応して塩化銀を生成し、塩化銀が酸化されて黒化し、物品表面を変色させるという欠点がある。また、銀錯体のうち、チオ硫酸銀錯体やチオシアン酸銀錯体は2価の硫黄イオンを含むため、酸や熱により分解して有毒ガスを発生すると共に、次第に硫化銀に変化して抗菌性能が低下する。アミノ酸銀錯体は錯安定度が比較的に低いため、塩化物と反応して塩化銀を生成し易く、抗菌性能が著しく低下するとともに、塩化銀が酸化されることによる着色が問題になる。更に無機銀塩に比べて合成が困難であり、製造コストが高くなるので、工業的にも好ましくない。
【0004】また、塩化アンモニウム、アルカリ金属叉はアルカリ土類金属の塩化物及び0.05mg/リットル以上の銀クロロ錯塩を含有する抗菌抗カビ水溶液が提案されている(特許第2907194号及び国際公開公報WO99/65317号)。該銀クロロ錯塩は該水溶液中では安定で、塩化物と反応し難いため、抗菌性能の低下や着色が少ないという好ましい特性を有する。しかしながら、水溶液の形態であるため、例えば熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂その他の結合剤に配合するのは非常に困難であり、その使用形態が著しく制限される。更に、上記公知文献には銀クロロ錯塩を粉末化することについて何らの示唆もないが、単に乾燥して粉末化するだけでは、銀クロロ錯塩の構造が破壊され易くなり、従来の粉末状銀系抗菌剤と同様の欠点を有する銀含有粉末が得られるに過ぎない。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特許第2907194号等に開示された抗菌抗カビ水溶液中の銀クロロ錯塩を、その構造を破壊することなく粉末化することに成功し、本発明を完成した。即ち本発明は、下記(1)〜(5)の抗菌性組成物及び抗菌性成形体を提供するものである。
(1)結合剤に粉末状銀クロロ錯塩系抗菌剤を配合してなる抗菌性組成物。
(2)結合剤に、固形分濃度20〜70重量%の銀クロロ錯塩を含有する水溶液又はスラリーを噴霧乾燥することにより得られる粉末を配合してなる抗菌性組成物。
(3)結合剤が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、無機質結合体及び含金属有機化合物から選ばれる1種又は2種以上である前記抗菌性組成物。
(4)上記(1)〜(3)の抗菌性組成物を成形加工してなる抗菌性成形体。
(5)基材表面の一部又は全部に上記(1)〜(3)の抗菌性組成物からなる抗菌層を設けてなる抗菌性成形体。
【0006】本発明によれば、結合剤に粉末状銀クロロ錯塩系抗菌剤を配合してなる抗菌性組成物が提供される。該抗菌性組成物は、高い抗菌性能を示し、日常的な環境に長期間晒されても抗菌性能が殆ど低下することがなく、水洗したり或いは雨水に晒されても殆ど被処理体の着色を起こさないという、優れた特性を有する。本発明の抗菌性組成物は、合成樹脂等の成形性を有する結合剤を含む場合は任意形状の成形体とすることができる。また、フィルム状又はシート状に成形し、各種基材の表面に接着又は圧着することができる。更に、塗料、接着剤等の形態に調製して、紙類、木質材料、金属材料、セラミックス材料等の基材の表面を被覆することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の抗菌性組成物は、結合剤と粉末状銀クロロ錯塩系抗菌剤とを有効成分として含有する。結合剤としては、マトリックスとなり得るものであれば特に制限されず、公知のものをいずれも使用できるが、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、無機質結合体、含金属有機化合物等を挙げることができる。これらの中でも、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の合成樹脂を結合剤とした抗菌性樹脂組成物や無機質結合体を結合剤とした抗菌性無機組成物等が好ましく、合成樹脂を結合剤とした抗菌性樹脂組成物が特に好ましい。
【0008】熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂(MBS樹脂)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(MABS樹脂)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂(AAS樹脂)、アクリル樹脂、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリチオエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、液晶ポリマー、熱可塑性ポリウレタン等を挙げることができる。熱可塑性樹脂は1種を単独で使用でき、又は少なくとも1種、又は必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
【0009】熱硬化性樹脂性としては、例えば、ポリウレタン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂等)等を挙げることができる。熱硬化性樹脂は1種を単独で使用でき、又は少なくとも1種、又は必要に応じて2種以上を混合して用いることができる。
【0010】無機質結合体としては、例えば、珪酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩等の無機質硬化性物質等の1種又は2種以上の混合物やこれらの前駆体物質、含水和物質等を、熱、光、電子線、触媒等で硬化して、不溶性、不融性又は可塑性の結合剤としたもの等を挙げることができる。無機質結合体は1種を単独で使用でき、又は少なくとも1種、又は2種以上を併用できる。含金属有機化合物としては、例えば、有機珪素化合物、有機チタン化合物、有機リン化合物、有機ホウ素化合物等を挙げることができる。含金属有機化合物は1種を単独で使用でき、又は少なくとも1種、又は2種以上を併用できる。
【0011】本発明の組成物の第二成分である粉末状銀クロロ錯塩系抗菌剤は、例えば、水に塩化物及び銀化合物を順次添加及び溶解して、銀クロロ錯塩を含有する水溶液又はスラリーを得、該水溶液又はスラリーを噴霧乾燥する方法により製造できる。本発明では、銀クロロ錯塩の構造を壊すことなく粉末化するために、まず第一に、銀クロロ錯塩含有水溶液又はスラリーの固形分濃度が通常20〜70重量%、好ましくは25〜50重量%、より好ましくは30〜45重量%となるように、塩化物及び銀化合物を適宜使用することを必須とする。第二に、所定の固形分濃度を有する銀クロロ錯塩含有水溶液又はスラリーを、噴霧乾燥することを必須とする。この2つの条件が満たされないと、粉末化工程の際に、銀クロロ錯塩の構造が破壊されて単なる塩化銀等に変換され、所望の抗菌性能及びその他の効果を有する粉末状銀クロロ錯塩系抗菌剤を得ることができなくなる。
【0012】塩化物としては公知のものを使用でき、例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩化物、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等のアルカリ土類金属塩化物、塩化アンモニウム、炭素数12〜18の長鎖アルキル基を1個又は2個有する脂肪族4級アンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド等の脂肪族4級アンモニウム塩類、エチレンジアミン塩酸塩、ヘキサメチレンジアミン塩酸塩、ヘキサメチレントリアミン塩酸塩等のポリアミン塩酸塩類、メチルアミン塩酸塩、エチルアミン塩酸塩等の1級アミン塩酸塩類、ジメチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩等の2級アミン塩酸塩類、トリメチルアミン塩酸塩、トリエチルアミン塩酸塩等の3級アミン塩酸塩類、ピリジン塩酸塩、アニリン塩酸塩等の芳香族アミン塩酸塩類、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ピリジニウム、塩化イミダゾリニウム等の芳香族4級アンモニウム塩類等を挙げることができる。これらの中でも、アルカリ金属塩化物、アルカリ土類金属塩化物、塩化アンモニウム等が好ましく、アルカリ金属塩化物、アルカリ土類金属塩化物等が特に好ましい。塩化物は1種を単独で使用でき、又は少なくとも1種、又は2種以上を併用できる。尚、銀クロロ錯塩含有水溶液又はスラリーにおける塩化物濃度は、塩素イオン換算で、3×10-3モル/リットル以上、好ましくは5×10-2モル/リットル以上となるように調整する。これより低い濃度では塩化銀が生成し、銀クロロ錯塩が生成しない。
【0013】銀化合物としても公知のものを使用でき、例えば、硫酸銀、塩化銀等の銀塩等を挙げることができる。
【0014】この様にして得られる銀クロロ錯塩含有水溶液又はスラリーを噴霧乾燥することにより、粉末状銀クロロ錯塩系抗菌剤を得ることができる。噴霧乾燥は公知の方法に従って実施できる。例えば、一般的なスプレードライヤーを用い、通常80〜300℃程度、好ましくは150〜280℃程度に加熱した空気を通しながら行われる。霧化は、回転ディスク方式や2流体ノズル、加圧式高圧ノズル等を用いた方法等により行われる。得られる粉末状銀クロロ錯塩系抗菌剤の粒径は、水性スラリーの固形分濃度、スプレードライヤーのアトマイザー回転数などを適宜選択することにより、任意に調整でき、通常、0.1〜50μm、好ましくは1〜20μmとすればよい。
【0015】粉末状銀クロロ錯塩系抗菌剤は、公知の方法に従って、各種担体に担持してもよい。担体としてはこの分野で常用されているものをいずれも使用でき、例えば、ゼオライト、シリカゲル、アルミノシリケート、活性炭等を挙げることができる。粉末状銀クロロ錯塩系抗菌剤は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤で表面処理を施してもよい。結合剤に対する粉末状銀クロロ錯塩系抗菌剤の配合割合は特に制限されず、得ようとする抗菌性組成物の用途、結合剤の種類等の各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常結合剤100重量部に対して、0.05〜1000重量部程度、好ましくは0.1〜400重量部、より好ましくは0.5〜200重量部配合すればよい。
【0016】本発明の抗菌性組成物には、その優れた抗菌性能を損なわない範囲で、抗菌剤、無機質充填剤、顔料、有機溶剤、酸化防止剤、帯電防止剤、離型剤、潤滑剤、熱安定剤、難燃剤やドリップ防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、遮光剤、金属不活性剤、老化防止剤、可塑剤、衝撃強度改良剤、相溶化剤等の通常の樹脂添加剤の1種、又は少なくとも1種、又は2種以上が含まれていてもよい。合成樹脂等の成形可能な結合剤を含む本発明の抗菌性組成物は、例えば、結合剤に粉末状銀クロロ錯塩系抗菌剤及び必要に応じて他の樹脂添加剤の所定量又は適量を添加し、公知の方法で混合、混練することにより製造できる。例えば、粉末、ビーズ、フレーク又はペレット状の各成分を、1軸押出機、2軸押出機等の押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、2本ロール等の混練機を用いて混合・混練することにより、ペレット状の抗菌性樹脂組成物などの本発明の抗菌性組成物を製造することができる。該組成物を、プレス成形、射出成形、押出成形等の公知の成形手段により、任意形状の抗菌性成形体とすることができる。
【0017】基材に抗菌性成形体を接着又は積層する抗菌性成形体の製造方法としては、任意形状の抗菌性成形体のうち、特にフィルム状又はシート状に成形された抗菌性成形体を、合成樹脂、紙類、木質材料、金属材料、セラミックス材料等の基材の1種又は2種以上から構成された各種の基材の表面の一部又は全部に接着又は積層することが好ましく例示される。該基材としては、例えば、平板、曲面板等の板材、シート、フィルム、立体形状物品等を挙げることができる。より具体的には、例えば、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木材板、木質繊維板等の木質板、鉄、アルミニウム等の金属からなる板材、アクリル、ポリカーボネート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアセテート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ABS、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂からなるフィルムやシート、ガラス、陶磁器等のセラミックス、ALC(発砲軽量コンクリート)等のセメント、硅酸カルシウム、石膏等の非セメント系材料等からなる板材や立体形状物品、上質紙、和紙等の紙、炭素、石綿、チタン酸カリウム、ガラス、合成樹脂等の繊維からなる不織布や織布等を挙げることができる。積層方法としては公知の方法を採用でき、例えば、接着剤層を間に介して、上記抗菌性成形体を板状基材に加圧ローラーで加圧して積層する方法、シート又はフィルムを射出成形の雌雄両金型間に挿入して、両金型を閉じ、雄型のゲートから溶融樹脂を射出充填した後、冷却して樹脂成形品の成形と同時にその表面にシート又はフィルム(抗菌性成形体)を接着積層する射出成形同時ラミネート法(特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等)、シート又はフィルム(抗菌性成形体)を成形品の表面に接着剤を介して対向なしいは載置し、成形品側からの真空吸引による圧力差によりシート又はフィルムを成形品表面に積層する真空プレス積層方法(特公昭56−45768号公報、特公昭60−58014号公報等)、円柱、多角柱等の柱状基材の長軸方向に、シート又はフィルム(抗菌性成形体)の間に接着剤層を介してこれを供給しつつ、多数の向きの異なるローラーにより、柱状体を構成する複数の側面に順次シート又はフィルムを加圧接着して積層してゆくラッピング加工方法(特公昭61−5895号公報、特公平3−2666号公報等)、先ずシート(抗菌性成形体)を板状基材に接着剤層を介して積層し、次いで板状基材のシートとは反対側の面に、シートと板状基材との界面に到達する、断面がV字状、又はU字状溝を切削し、次いで該溝内に接着剤を塗布した上で、該溝を折り曲げ、箱体又は柱状体を成形するいわゆる、Vカット又はUカット加工方法(特開昭48−47972号公報等)等を挙げることができる。
【0018】また、本発明の抗菌性組成物は、結合剤の種類及びその他の成分を適宜選択することにより、接着剤、塗料、インク又はペーストの形態に調製することもできる。さらに、基材に上記銀系抗菌剤を塗布、接着又は含浸などする抗菌性成形体の製造方法としては、例えば、接着剤、塗料、インク又はペーストの形態に調製された本発明の抗菌性組成物を、合成樹脂、紙類、木質材料、金属材料、セラミックス材料等の基材の1種又は2種以上から構成される任意形状の各種の基材表面の一部又は全面に、塗布、接着又は含浸などすることにより製造できる。かかる製法によれば、効率よく抗菌性塗膜を形成することができる。抗菌性塗膜の形成には公知の方法を採用でき、例えば、グラビアコート、ロールコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、ホイラーコート、カーテンフローコート、刷毛塗り、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、凹版印刷、シルクスクリーン印刷等を挙げることができる。
【0019】本発明の抗菌性成形体は、上記結合剤が用いられる実質的に全ての用途に適用できる。該用途の具体例としては、例えば、エアコン、掃除機、電話機、携帯端末、洗濯機、ドライヤー、換気扇、食器洗浄乾燥器、加湿器、電気シェーバー、炊飯器、冷蔵庫、リモコン等の各種家電製品のハウジングや構成部品(フィルターも含む)、電子機器やOA機器類のキーボード、システムキッチン等の台所用品のハウジングや構成部品、洗面台、浴槽、便座、便器等のサニタリー用品のハウジングや構成部品、壁紙、天井材、合板、床材、石膏ボード等の建材の構成材料、窓枠、扉、手すり等の建具類の構成材料、自動車、飛行機等の輸送機器類の構成部品や内装部品等を挙げることができる。
【0020】
【実施例】以下に合成例、比較合成例、実施例、比較例及び試験例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
合成例1水1500ミリリットルに塩化カリウム500g(約6.71モル)(大塚化学(株)製)及び塩化銀1.3g(約0.009モル)(試薬、和光純薬工業(株)製)を順次添加及び溶解し、固形分濃度25重量%、銀含有量500ppmの銀クロロ錯塩含有水溶液を調製した。この銀クロロ錯塩水溶液1000ミリリットルをスプレードライヤー(商品名:マイクロミストドライヤーMDP−050、藤崎電機(株)製)に供給し、250℃に加熱した乾燥空気を流しながら噴霧乾燥し、銀クロロ錯塩含有粉末185gを製造した。
【0021】合成例2水1500ミリリットルに塩化カリウム500g(約6.71モル)及び塩化銀117g(約0.82モル)を順次添加及び溶解し、固形分濃度29重量%、銀含有量42000ppmの銀クロロ錯塩含有スラリーを調製した。この銀クロロ錯塩スラリー1000ミリリットルを合成例1と同様にして噴霧乾燥し、銀クロロ錯塩含有粉末232gを製造した。
【0022】比較合成例1合成例1と同様にして調製した銀クロロ錯塩含有水溶液1000ミリリットルを400℃で強熱乾燥し、得られた固形物をジェットミル((株)セイシン企業製)で粉砕し、223gの銀含有粉末を製造した。尚、比較合成例1で得られる粉末は、銀クロロ錯塩構造が破壊され、銀クロロ錯塩となっていなかった。
比較合成例2合成例2と同様にして調製した銀クロロ錯塩含有スラリー1000ミリリットルを吸引濾過し、残渣を150℃の恒温器に入れて2時間乾燥し、得られた固形物をジェットミルで粉砕し、38gの銀含有粉末を製造した。尚、比較合成例2で得られる粉末は、銀クロロ錯塩構造が破壊され、銀クロロ錯塩となっていなかった。
【0023】実施例1〜2及び比較例1〜4アクリロニトリル−スチレン樹脂100重量部と下記に示す抗菌剤(実施例1〜2及び比較例1〜4)1重量部とをドライブレンドした後、二軸押出機(商品名:PCM−45、池貝鉄工(株)製)を用いて溶融混練し、ストランドカットしてペレットを作成した。得られたペレットを、射出成形機(商品名:FN−4000、日精樹脂工業(株)製)により、シリンダー温度220℃、金型温度50℃で射出成形し、直径50mm、厚さ2mmの円盤状物を製造した。得られた円盤状物を試験片とし、25℃に保持した細菌(大腸菌)又はカビ(Aspergillus niger)を接種したツァペック寒天培地に載置し、48時間後の阻止円の発生状態を観察し、抗菌性及び抗カビ性を判定した。判定基準は下記の通りである。更に、実施例1〜2及び比較例1〜2の試験片については、上記抗菌性能試験実施後屋外で3ヶ月間放置し、同様の抗菌性能試験に供した。結果を表1に示す。
【0024】[抗菌剤]
実施例1:合成例1の銀クロロ錯塩含有粉末実施例2:合成例2の銀クロロ錯塩含有粉末比較例1:比較合成例1の銀含有粉末比較例2:比較合成例2の銀含有粉末比較例3:金属系抗菌剤(商品名:ゼオミック、シナネンゼオミック(株)製、ゼオライトに銀及び亜鉛を担持させた金属系抗菌剤)
比較例4:金属系抗菌剤(商品名:ノバロンAGZ330、東亜合成(株)製、リン酸ジルコニウムに銀及び亜鉛を担持させた金属系抗菌剤)
[判定基準]
◎:十分な阻止円が確認できる状態○:若干の阻止円が確認できる状態△:阻止円は出ないが試験片上での供試菌の繁殖がなく、抵抗性が確認される状態×:供試菌が培地上に均一に繁殖し、抵抗性が確認できない状態【0025】
【表1】

【0026】以上の結果から、本発明の粉末状銀クロロ錯塩系抗菌剤が、従来のものよりも抗菌性及び抗カビ性の面でも同等又は以上の効果を示す、しかもその効果が長期的に持続することが明かである。また、3ヶ月放置後の試験片を目視で観察したところ、実施例1〜2の試験片には変化が認められなかったが、比較例1〜2の試験片は薄い褐変が見られた。
【0027】
【発明の効果】本発明に係る抗菌性組成物は、抗菌、抗カビ効果に優れており、かかる組成物を成形などされた成形体は、抗菌性に優れ且つ着色を伴わないものとすることができる。
【出願人】 【識別番号】000206901
【氏名又は名称】大塚化学株式会社
【出願日】 平成12年12月5日(2000.12.5)
【代理人】 【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇 (外1名)
【公開番号】 特開2002−173406(P2002−173406A)
【公開日】 平成14年6月21日(2002.6.21)
【出願番号】 特願2000−369817(P2000−369817)