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【発明の名称】 殺菌剤組成物
【発明者】 【氏名】岡野 哲也

【氏名】吉川 清章

【氏名】松尾 登

【氏名】伊藤 純稔

【氏名】田村 成

【要約】 【課題】簡易な処理により、高い殺菌効果が得られ、且つ安全性、作業性に優れた殺菌剤組成物を提供する。

【解決手段】次亜塩素酸塩及び次亜塩素酸から選ばれる一種以上(A)と、多価アルコール誘導体型界面活性剤(B)と、pH調整剤(C)とを含有し、有効塩素濃度125ppmの水溶液とした時にpH(20℃)が3〜8である殺菌剤組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 次亜塩素酸塩及び次亜塩素酸から選ばれる一種以上(A)と、多価アルコール誘導体型界面活性剤(B)と、pH調整剤(C)とを含有し、有効塩素濃度125ppmの水溶液とした時にpH(20℃)が3〜8である殺菌剤組成物。
【請求項2】 有効塩素濃度が1〜5000ppmである請求項1記載の殺菌剤組成物。
【請求項3】 次亜塩素酸塩及び次亜塩素酸から選ばれる一種以上(A)と多価アルコール誘導体型界面活性剤(B)の重量比が、(A)/(B)=1/50〜50/1である請求項1又は2記載の殺菌剤組成物。
【請求項4】 pH調整剤(C)が、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、無機酸又はその塩及び有機酸又はその塩からなる群から選ばれる一種以上である請求項1〜3の何れか1項記載の殺菌剤組成物。
【請求項5】 pH調整剤(C)が、カルボキシル基を有する酸及びその塩から選ばれる一種以上である請求項1〜4の何れか1項記載の殺菌剤組成物。
【請求項6】 次亜塩素酸塩及び次亜塩素酸から選ばれる一種以上(A)を含む成分の製品(I)と、多価アルコール誘導体型界面活性剤(B)を含む成分の製品(II)と、pH調整剤(C)を含む成分の製品(III)とからなり、使用時に(A)、(B)及び(C)を含有する水溶液として用いられる殺菌剤。
【請求項7】 次亜塩素酸塩及び次亜塩素酸から選ばれる一種以上(A)を含む成分の製品(IV)と、多価アルコール誘導体型界面活性剤(B)及びpH調整剤(C)を含む成分の製品(V)とからなり、使用時に(A)、(B)及び(C)を含有する水溶液として用いられる殺菌剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は殺菌剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、広範な環境における殺菌消毒剤として、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤が広く用いられている。中でも次亜塩素酸ナトリウム等の次亜塩素酸塩は、価格面と効果の点で汎用されているが、医療、食品工業等、種々の分野で要求される微生物の殺菌、滅菌に対して、更にその効力を向上させるための多くの提案がなされている。例えば、特開昭57−61099号には、次亜塩素酸塩、アルカリ性物質及び特定の第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を、それぞれ特定の重量比で含有する液体殺菌漂白剤組成物が、特開平7−233396号には、次亜塩素酸塩、陰イオン界面活性剤、アルカリ剤及びキレート剤を含有する人工透析機等の医療機器用の殺菌洗浄剤が開示されている。
【0003】しかしながら、従来の次亜塩素酸塩系殺菌剤は、一般細菌やカビ(菌糸)についてはある程度の効果があるものの、薬品耐性のより高いウイルス、桿菌の形成する芽胞、カビ胞子に対しては簡易な操作では十分な効果が期待できない。例えば、特開平8−131143号には、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はグリセリン脂肪酸エステルを含有する食品用洗浄剤と殺菌料を用いて食品を洗浄する方法が開示されているが、殺菌対象は食品のみであり、耐性の高い芽胞やウイルスの殺菌に関しての言及はない。
【0004】本発明は、簡易な処理により、高い殺菌効果が得られ、且つ安全性、作業性に優れた殺菌剤組成物を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、次亜塩素酸塩及び次亜塩素酸から選ばれる一種以上(A)〔以下、(A)成分という〕と、多価アルコール誘導体型界面活性剤(B)〔以下、(B)成分という〕と、pH調整剤(C)〔以下、(C)成分という〕とを含有し、有効塩素濃度125ppmの水溶液とした時にpH(20℃)が3〜8である殺菌剤組成物に関する。
【0006】また、本発明は、(A)成分を含む成分の製品(I)と、(B)成分を含む成分の製品(II)と、(C)成分を含む成分の製品(III)とからなり、使用時に(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する水溶液として用いられる殺菌剤に関する。
【0007】更に本発明は、(A)成分を含む成分の製品(IV)と、(B)成分及び(C)成分を含む成分の製品(V)とからなり、使用時に(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する水溶液として用いられる殺菌剤に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】殺菌効果を発現させる(A)成分としては、次亜塩素酸アルカリ金属塩が好ましい。次亜塩素酸アルカリ金属塩としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸リチウムが挙げられるが、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
【0009】濡れ性を向上させる(B)成分としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド等が挙げられ、前記各種脂肪酸エステルの脂肪酸部分の炭素数又はアルキルポリグリコシドのアルキル基の炭素数は6〜24が好ましく、6〜18がより好ましい。(B)成分としては、製剤化を容易にする観点から、ポリグリセリン(好ましくは縮合度2〜50)脂肪酸(好ましくは炭素数6〜24)エステル、アルキル(好ましくは炭素数6〜24)ポリグリコシドが好ましい。
【0010】また、本発明の組成物は、(A)成分と(B)成分の重量比が、(A)/(B)=1/50〜50/1であることが好ましく、より好ましくは20/1〜1/20、更に好ましくは20/1〜1/5、特に好ましくは20/1〜1/2である。
【0011】(C)成分としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、無機酸又はその塩、有機酸又はその塩等が挙げられる。これらの中でも殺菌効果向上の観点から有機酸又はその塩が好ましい。アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。無機酸又はその塩としては、塩酸、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、ポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。有機酸又はその塩としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸等の飽和二塩基酸又はその塩や、フマル酸、マレイン酸等の不飽和二塩基酸又はその塩、更にクエン酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸等が挙げられる。好ましくは飽和二塩基酸又はその塩、より好ましくは炭素数3〜10の飽和二塩基酸又はその塩であり、製剤安定性の観点から、特にコハク酸又はその塩が好ましい。
【0012】また、(C)成分は、食品添加物公定書記載の酸及びその塩から選ばれる一種以上が好ましい。また、(C)成分はカルボキシル基を有する酸及びその塩から選ばれる一種以上が好ましい。なお、(A)成分は、(C)成分とは区別される。
【0013】本発明の組成物は、有効塩素濃度が125ppmの水溶液とした時に、pH(20℃)が3〜8であり、5〜8、更に5〜7、特に6以上7未満であることが好ましい。(C)成分はpHがこの範囲となるように含有することが好ましい。なお、ここでいう水溶液とは、組成物中の成分のうち一部が未溶解であるものを含む。
【0014】本発明の組成物は、使用時に有効塩素濃度が1〜5000ppm、更に5〜2000ppm、特に5〜1000ppmで用いられるのが好ましい。
【0015】また、本発明の組成物は、更に次亜塩素酸及び/又はその塩と安定な配合が可能で、洗浄効果を高めるために、陰イオン界面活性剤(D)〔以下、(D)成分という〕を含有することができる。(D)成分の配合量は、重量比で(B)成分の10倍以下、更に5倍以下、特に2倍以下が好ましい。
【0016】なお、本発明の殺菌剤組成物の対象となる微生物とは、一般細菌、糸状菌、ウイルス、カビ胞子、細菌芽胞等を意味する。
【0017】本発明の殺菌剤組成物は、殺菌スペクトルが広く、細菌(カビ)のみならず、ウイルスや芽胞に対する効果も高いため、幅広い分野での殺菌に有用である。例えば、病院、養護施設、食品加工工場、クリーニング施設、厨房等の壁、床、窓等あるいはそれらで用いられる器具、備品、及び製品用(例えば飲料液用)容器等の殺菌に用いられる。
【0018】本発明の組成物は、食器等の洗浄に用いられる自動洗浄機用として好適である。ここで、自動洗浄機とは、コップ等の食器、プラスチックコンテナ等の搬送用容器等の硬質表面を連続的又はバッチ式に洗浄できる装置全体を意味し、大きさ、方法等は特に限定されない。これを用いた殺菌は、汚れを除去した後に行うとより効果的であり、例えばベルトコンベア式自動食器洗浄機の場合、洗浄後、最終すすぎの前に本発明の組成物をスプレーする方法が最適である。
【0019】本発明の殺菌剤は、(A)成分を含む成分の製品(I)と、(B)成分を含む成分の製品(II)と、(C)成分を含む成分の製品(III)とからなり、使用時に(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する、好ましくは有効塩素濃度が1〜5000ppmの水溶液として用いられる。
【0020】また、別の態様として、(A)成分を含む成分の製品(IV)と、(B)成分及び(C)成分を含む成分の製品(V)とからなり、使用時に(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する、好ましくは有効塩素濃度が1〜5000ppmの水溶液として用いられる殺菌剤が挙げられる。
【0021】何れの殺菌剤においても、それぞれの製品には安定性等を損なわない限り任意成分を含んでいても良い。また、製品(I)、(II)及び(III)あるいは製品(IV)及び(V)と、更にこれら以外の製品により構成されていてもよい。
【0022】製品(I)〜(V)の形態は限定されず、好ましくはガラス、金属、プラスチック、紙等の材質を用いた種々の包装容器に各成分を充填したものである。また、製品(I)〜(V)の内容物はそのままでも、あるいは希釈して用いることができる。
【0023】各製品中の有効分の濃度は、製品(I)、(IV)では(A)成分が0.1〜12重量%、製品(II)、(V)では(B)成分が0.1〜30重量%、製品(III)、(V)ではpH調整剤が0.1〜30重量%が好ましい。また、製品は、使用時の水溶液において、(A)成分と(B)成分の重量比が、(A)/(B)=1/50〜50/1となるように(A)成分と(B)成分を含むことが好ましい。また、いずれの形態の場合も、有効塩素濃度125ppmの水溶液とした時にpH(20℃)が3〜8であることが好ましい。
【0024】これら、製品(I)と(II)と(III)、又は製品(IV)と(V)とから本発明の殺菌剤組成物を調製することができる。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、殺菌効果が高く、且つ安全性、作業性に優れた殺菌剤組成物が得られる。
【0026】
【実施例】実施例1〜20及び比較例1〜4表1、2に示す成分からなる組成物の希釈水溶液(試験水溶液)を用いて、以下の試験を行った。結果を表1、2に示す。なお、表1、2中の有効塩素濃度は、JIS K−0101“ヨウ素法”により測定したものである。
【0027】なお、各試験水溶液は、(A)成分と(B)成分を所定量混合し得られたものを最終配合濃度の2倍までイオン交換水で希釈したものと(C)成分を最終配合濃度の2倍までイオン交換水で希釈したものを等量混合して、表1、2に示す有効塩素濃度を有する試験水溶液として調製した。これらを用いて、以下の方法で殺菌力の試験を行った。結果を表1、2に示す。なお、実施例1〜16、19、20、比較例1〜4の組成物は、有効塩素濃度125ppmの水溶液においても、表1、2の有効塩素濃度1000ppmの試験水溶液と同じpH(20℃)であった。
【0028】(1−1)殺芽胞試験芽胞形成菌である枯草菌(Bacillus subtilis ATCC6633)とセレウス菌(Bacillus cereus IFO13494)を、それぞれSCD寒天培地(日本製薬(株)製)に前培養した菌を一白金耳かきとり、1mlの滅菌水に懸濁し、65℃、30分間の熱処理後、2回遠心分離洗浄を行ったものを試験に用いた(菌濃度は何れも105cell/ml)。
【0029】この試験用芽胞菌液を0.1mlとり、表1、2の成分からなる試験水溶液を滅菌したイオン交換水で段階稀釈した水溶液(温度25℃)10mlに接種し、室温にて3分間作用させた。10秒以内に菌接触液を50μlを採取し、後培養用SCDLP培地(チオ硫酸ナトリウム3.3%含有)0.2mlの入ったミクロシャーレ(CORNING社製、96-Cell Wells)へ接種した。30℃で48時間培養し、菌の発育を肉眼で観察し、ミクロシャーレ上で菌が生育しているかどうかを観察し、菌の生育がない(つまり100%殺菌できる)最小の希釈倍率(最小殺菌有効塩素濃度)を求めた。なお、有効塩素濃度は、JIS K−0101“ヨウ素法”により測定したものである。
【0030】(1−2)殺カビ試験被験菌としてカビ(真菌、Aspergillus niger IFO6341)を、PDA培地を用い、25℃で7日間培養した。得られた菌体をガラス玉法を用い、均一にした後、滅菌ガーゼで異物を除去し、菌液を得た(菌濃度約105cell/ml)。この菌液を0.1mlとり、表1、2の成分からなる試験水溶液を滅菌したイオン交換水で段階希釈した水溶液(温度25℃)10mlに接種し、室温で10秒間作用させた後、0.1mlを採取し、後培養用PDA培地(チオ硫酸ナトリウム3.3%含有)へ接種した。25℃で7時間培養し、菌の発育を肉眼で観察し、上記同様に評価した。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】(1):エキセルVS−95(花王(株)製)
(2):MCA−750(阪本薬品工業(株)製)
(3):ホモテックスPS−200(花王(株)製)
(4):LWA1570(三菱化学フーズ(株)製)
(5):エマゾールO−10(花王(株)製)
(6):マイドール12(花王(株)製)
なお、実施例17、18の(C)成分の「pH調整量」は試験水溶液のpHが表1の数値となる量である。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成12年11月10日(2000.11.10)
【代理人】 【識別番号】100063897
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 馨 (外4名)
【公開番号】 特開2002−145710(P2002−145710A)
【公開日】 平成14年5月22日(2002.5.22)
【出願番号】 特願2000−343460(P2000−343460)