| 【発明の名称】 |
抗菌抗カビ剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】長塚 路子
【氏名】石田 浩彦
【氏名】田中 成佳
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】抗菌抗カビ性アルデヒド化合物又は抗菌抗カビ性ケトン化合物のアセタール体、無機塩付加体又はシッフ塩基体を含有する抗菌抗カビ剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 抗菌抗カビ性アルデヒド化合物又は抗菌抗カビ性ケトン化合物のアセタール体、無機塩付加体又はシッフ塩基体を含有する抗菌抗カビ剤。 【請求項2】 抗菌抗カビ性アルデヒド化合物又は抗菌抗カビ性ケトン化合物の1気圧における沸点が、100〜300℃である請求項1記載の抗菌抗カビ剤。 【請求項3】 抗菌抗カビ性アルデヒド化合物又は抗菌抗カビ性ケトン化合物が、シトラール、シトロネラール、ペリラアルデヒド、シンナミックアルデヒド、サリチルアルデヒド、アニスアルデヒド、フルフラール、炭素数6〜10の脂肪族アルデヒド、カンファー、カルボン、メントン及びメチルノニルケトンから選ばれる化合物である請求項1又は2記載の抗菌抗カビ剤。 【請求項4】 抗菌抗カビ性アルデヒド化合物又は抗菌抗カビ性ケトン化合物のアセタール体、無機塩付加体又はシッフ塩基体が、抗菌抗カビ性アルデヒド化合物又は抗菌抗カビ性ケトン化合物と、アルコール、糖類、亜硫酸水素塩、硫酸塩又は一級アミンとの反応により得られるものである請求項1〜3のいずれか1項記載の抗菌抗カビ剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、湿度により抗菌抗カビ効果の制御された抗菌抗カビ剤に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、屋内密閉度が高まり、屋内における菌やカビの増殖により、異臭、食中毒、腐敗、アレルギー等が発生する等の問題が生じるようになった。その対処法としてプラスチック等の素材に抗菌性を付与する、目的とする場所に抗菌抗カビ剤をスプレーする等の方法が採られている。 【0003】一方、抗菌抗カビ剤は不揮発型と揮発型に分けられる。このうち、例えば抗カビ剤2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール(TBZ)や抗菌剤メチルパラベン等の不揮発型は、菌と直接接触することで抗菌性を発揮するものである。よって、菌やカビの繁殖が目視できない場合は繁殖していると思われる箇所に必要以上に広範囲に適用する必要があった。一方、特開平4−21606号で提案されているシトラール等は揮発型のため適用した周辺部や空間内部でも効果が得られる反面、揮発に伴う効果の低減が大きいという問題点があった。 【0004】従って、直接適用した箇所だけでなく、その周辺部でも優れた抗菌抗カビ効果が得られ、かつ持続的に効果が発揮される抗菌抗カビ剤が求められていた。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者は菌やカビの増殖が湿度増加に伴うことに着目し、抗菌抗カビ剤のプロドラッグ化を種々検討したうち、抗菌抗カビ性のアルデヒド又はケトン化合物をアセタール化、無機塩付加又はシッフ塩基化したものは、直接接触した箇所において抗菌抗カビ剤効果があるばかりでなく、周辺部においても湿度による適度な加水分解によって抗菌抗カビ効果が得られ、非常に広範囲で持続的な効果を有する抗菌抗カビ剤が得られることを見出した。 【0006】すなわち、本発明は抗菌抗カビ性アルデヒド化合物又は抗菌抗カビ性ケトン化合物のアセタール体、無機塩付加体又はシッフ塩基体を含有する抗菌抗カビ剤を提供するものである。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明の原料化合物である抗菌抗カビ性アルデヒド化合物及びケトン化合物は、1気圧における沸点が100〜300℃であるのが、揮散状態での抗菌抗カビ性発現の点から好ましい。 【0008】抗菌抗カビ性アルデヒド化合物の具体例としては、シトラール、シトロネラール、ペリラアルデヒド、シンナミックアルデヒド、サリチルアルデヒド、アニスアルデヒド、炭素数6〜10の脂肪族アルデヒド(オクチルアルデヒド、8−メチル−ノナナール、等)、フルフラールが挙げられる。また抗菌抗カビ性ケトン化合物としてはカンファー、カルボン、メントン、メチルノニルケトンが挙げられる。 【0009】本発明に用いられるアセタール体は、上記のアルデヒド化合物又はケトン化合物にアルコール又は糖類を反応させることにより得られる。ここでアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ゲラニオール、シトロネロール、シスー3−ヘキセノール、シクロヘキサノール、メントール、グリコールエーテル、エチレングリコールモノエーテル等の一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、糖アルコール、グリセリルエーテル等の多価アルコール;単糖、オリゴ糖、多糖等の糖類等が挙げられる。またこれらのアルコール、糖類はその一部が、エーテル化、エステル化、アミノ化又はアミド化されていてもよい。なお、ケトン化合物のアセタール体は、ケタール体とも称されるが、本発明にはこれも含まれることは言うまでもない。 【0010】アセタール化反応は、例えば実験化学講座(第4版、20巻、245ページ)記載の方法で実施できる。具体的には塩酸又はp−トルエンスルホン酸のような無機酸、有機酸、あるいはアンバーリスト15のようなポリスチレン担持スルホン酸触媒を用いてアルデヒドとアルコールとの反応により製造できる。この反応は平衡反応であるので平衡をアセタール側へ移動させるには、ベンゼン、トルエン、石油エーテルなどと共沸により水を除去するか、硫酸マグネシウムなどの脱水剤共存下に反応させればよい。また、α,β−不飽和アルデヒドのアセタールは酸触媒で二重結合の異性化などの好ましくない反応が起こるのでその場合にはクエン酸などの温和な酸を用いることができる。 【0011】無機塩付加体は、上記のアルデヒド化合物又はケトン化合物に例えば亜硫酸水素塩、硫酸塩を反応させることにより得られる。ここで亜硫酸塩としては亜硫酸水素ナトリウムが、硫酸塩としては硫酸ナトリウムが好ましい。 【0012】このうち、亜硫酸水素ナトリウム付加体は、例えばOrganic Synthesis collective VolumeIV 903ページ(John Wiley & Sons, Inc.)に記載の方法で製造できる。具体的には飽和の亜硫酸水素ナトリウム・エタノール水溶液とアルデヒドを混合し得られた結晶を濾別乾燥して製造できる。 【0013】シッフ塩基体は、上記のアルデヒド化合物又はケトン化合物に一級アミノ基を有する化合物を反応させることにより得られる。一級アミノ基を有する化合物としては、炭素数5〜22の直鎖又は環状のアルキル基、アリールアルキル基又はアリール基を有する1級アミン;アミノ酸のt−ブチルエステル、アミノ酸のイソプロピルエステル等のアミノ酸エステル類;又はグルコサミン等のアミノ誘導体が挙げられる。このうち炭素数5〜22の直鎖又は環状のアルキルアミンが好ましい。 【0014】シッフ塩基化反応は、例えば実験化学講座(第4版、20巻、366ページ)記載の方法で実施できる。具体的には硫酸又はp−トルエンスルホン酸のような無機酸、有機酸を用いてアルデヒドと一級アミンを反応させることにより、又は無触媒で100〜180℃にて加熱脱水させる事により製造できる。この反応は平衡反応であるので平衡をイミン(シッフ塩基)側へ移動させるには、ベンゼン、トルエンなどと共沸により水を除去する方法が好ましい。 【0015】かくして得られるアセタール体、無機塩付加体又はシッフ塩基体は、直接接触した箇所において抗菌抗カビ剤効果があるばかりでなく、周辺部においても湿度による適度な加水分解によって抗菌抗カビ効果が得られ、これを用いれば非常に広範囲で持続的な効果を有する抗菌抗カビ剤が得られる。 【0016】本発明の抗菌抗カビ剤中の前記アセタール体、無機塩付加体又はシッフ塩基体の含有量は、その抗菌抗カビ効果及び持続性の点から、0.1〜90重量%、特に0.5〜50重量%が好ましい。 【0017】本発明抗菌抗カビ剤は、上記した有効成分を適宜固体状、液体状又はゲル状の担体に保持させて構成するのが好ましい。 【0018】固体状担体としては、濾紙等の紙、セルロース加工品、木材加工品、ポプリ(乾燥した草木、花卉等)、不織布、織布、プラスチックフィルム等のシート状やビーズ状、パウダー状物を使用することができ、上記有効成分を適宜溶剤等とともにシート状物等に含浸、塗布等により保持させる。 【0019】また、固体状担体としては、無機又は有機多孔性物質を使用することができ、このような多孔性物質としては、ケイソイ土、黄土、粘土、素焼き物、タルク、ゼオライト、アタパルジャイト、セピオライト等の粘土又は粘土鉱物の他、活性炭、シリカ、シリカゲル、アルミナ、マグネシア、シリカアルミナ、シリカマグネシア、合成アルミノシリケート等が挙げられる。これらの多孔性物質としては、粉末状の他、ペレット状、球状、円柱状、円筒状物等の種々の形状のものを用いることができる。 【0020】本発明では、これらの多孔性物質に有効成分を含浸等により保持させるのが好ましいが、有効成分を保持させた多孔性物質が粉末状の場合は、これを慣用の成形法により成形し、タブレット状、球状、円柱状、ペレット状等の各種形状の成形品とすることもできる。この場合の成形法としては、打錠成形法、押出成形法等が用いられる。この成形を行う場合、成形助剤が用いられるが、このような成形助剤としては、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダ等の有機系バインダーや、ベントナイト、カオリン、アルミナヒドロゲル、ケイ酸ヒドロゲル等の無機系バインダーが挙げられる。さらに、成形助剤として、各種短繊維、例えば、石こうウィスカー等を用いることができる。さらに、これらの有効成分を含む多孔性物質は、有効成分の蒸散性をコントロールする目的で、多孔性物質の表面を、有効成分の蒸気を透過させる樹脂でコーティングすることもできる。 【0021】また、固体状担体として各種の合成樹脂を使用し、有効成分を合成樹脂中に含浸あるいは練り込み等によって保持させることもできる。その際に、有効成分として多孔性物質に保持させたものや、カプセル化したものを使用することもできる。 【0022】液体状担体としては、水;各種アルコール、エステル等の有機溶剤;各種油脂類;液状ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、流動ポリイソブチレン、スクワラン等の炭化水素油;オレイン酸、リノール酸、リシノール酸等の高級脂肪酸油並びに香料等を使用することができ、上記有効成分をこれらの液体中に溶解あるいは分散させる。有効成分をこれらの液体中に溶解あるいは分散させる際には、必要に応じて各種の補助成分を添加溶解させることができる。このような補助成分としては、界面活性剤、高分子物質、常温で固体状を示す高級アルコール、高級脂肪酸、脂肪酸エステルもしくは油脂、着色剤、粘度調節剤、酸化防止剤等を挙げることができる。 【0023】ゲル状担体としては、公知の各種のゲル状物質を使用することができ、例えば、寒天、カラギーナン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、糊、アルギン酸、ポリビニルアルコール、デキストリン、金属石けんゲル等が挙げられる。有効成分をゲル状物質に保持させる方法としては、あらかじめ生成したゲル状物質に有効成分を混合分散させる方法の他、ゲル状物質の製造時、特にゲル状物質を製造するための原料に有効成分を添加する方法等がある。 【0024】本発明の抗菌抗カビ剤は種々の形態で製品化することができ、具体的には例えば濾紙、発泡体等のシート状物に有効成分を保持させた貼付け型、固体状あるいはゲル状担体に有効成分を保持させ必要に応じて容器に収納した据え置き型、液体状担体に有効成分を保持させスプレー容器に収納したスプレー型等の製品とすることができる。 【0025】 【実施例】参考例1(シトラールグリセリンアセタール(化合物1)の製造)シトラール30.5g(0.2mol)、グリセリン27.7g(0.3mol)、トルエン300mL、クエン酸5.8gを110℃で水を共沸留去しながら加熱した。シトラール消失を確認した後、常法にて処理後、減圧蒸留して8gのシトラールグリセリンアセタールを得た。 【0026】参考例2(シトラールペンチルグリセリルエーテルアセタール(化合物2)の製造)シトラール45.6g(0.3mol)、ペンチルグリセリルエーテル53.5g(0.33mol)、トルエン300mL、クエン酸5.8gを110℃で水を共沸留去しながら加熱した。前記参考例2に準じて処理し、13.4gのシトラールペンチルグリセリルエーテルアセタールを得た。 【0027】参考例3(メチル4,6−O−p−メトキシベンジリデン−α−D−グルコピラノシド(化合物3)の製造)アニスアルデヒドジメチルアセタール18.2g(0.1mol)、メチル−α−D−グルコピラノシド19.4g(0.1mol)、p−トルエンスルホン酸0.5gを混合処理し、前記参考例に準じて処理することにより30gのメチル4,6−O−p−メトキシベンジリデン−α−D−グルコピラノシドを得た。 【0028】参考例4(アニスアルデヒドシクロヘキシルイミン(化合物4)の製造)アニスアルデヒド21.8g(0.16mol)、シクロヘキシルアミン22.4g(0.2mol)、トルエン800mLを加え、110℃で水を共沸留去しながら加熱した。前記各参考例に準じて処理し、35gのアニスアルデヒドシクロヘキシルイミンを得た。 【0029】参考例5(シトロネラール亜硫酸水素ナトリウム付加体(化合物5)の製造)30%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液を110gと192gのシトロネラール(純度80%、0.1mol)を攪拌して260gのシトロネラール亜硫酸水素ナトリウム付加体(白色結晶)を得た。 【0030】参考例6(シトラール2−エチルヘキシルグリセリルエーテルアセタール(化合物6)の製造)前記参考例2において、ペンチルグリセリルエーテルに代えて2-エチルヘキシルグリセリルエーテルを61.2g用いた以外、同様に反応させ、目的のアセタール化合物を71.4g得た。 【0031】実施例1(徐放性の測定)被験化合物を1gを5mLのエタノールに溶解し直径10cmの濾紙全体に均一にのせ、30℃湿度70%の雰囲気下に14日放置した。濾紙をデシケーターに入れ、7.5kPaで24時間真空引きし、被験化合物を留去した。濾紙に残留しているアルデヒド化合物又はケトン化合物をジクロロメタンで抽出し、1N塩酸水溶液で加水分解して生成するアルデヒドをGLCで定量した。14日後の徐放率を下記式にて算出した。結果を表1に示す。 【0032】(数1) 徐放率%=100−(加水分解により生成するアルデヒド又はケトンのモル数)×100/(被験化合物1gのモル数)【0033】 【表1】
【0034】実施例2(抗菌性の測定) (1)直接接触時での抗菌抗カビ性細菌に対してはJIS L 1902に準じてろ紙(径28mm)からのハロー幅(mm)及びろ紙下の生育をみた。カビに対しては、0.05%のTween80を含有する5mLの生理食塩水に2白金耳量の胞子を懸濁させた胞子液を、被験化合物各50mgを含浸したろ紙(径28mm)に0.5mLずつ滴下し、PDA培地にて30℃、4日間培養しろ紙(径28mm)からのハロー幅(mm)及びろ紙上の生育をみた。結果を表2及び表3に示す。 【0035】 【表2】
【0036】 【表3】
【0037】(2)揮散時(非接触時)での抗菌抗カビ性被験化合物1gをろ紙全体に均一にのせろ紙含浸タイプの揮散型抗カビ剤を作成した。これを30℃湿度70%の雰囲気下に14日放置した後、各抗カビ剤を21Lステンレス容器天井部に貼り付け、一緒に各胞子液を塗布したポテトデキストロース寒天培地(日水製薬)を置いて30℃にて培養し、1週間後に底面においたシャーレ上のカビの繁殖状況を評価した。結果を表4に示す。 【0038】 【表4】
【0039】実施例3本発明に係る化合物を使って表5のような抗カビスプレーを作成した。風呂場にカビが生えている20人を対象にして試験を行った。風呂場の壁や床のカビスポットを一旦除去した後に比較例と実施例のスプレーをそれぞれ塗布し、2週間後の生育状況を評価した。結果は、それぞれのカビの生育状況に該当する人数で表した。結果を表6に示す。 【0040】 【表5】
【0041】 【表6】
【0042】 【発明の効果】本発明の抗菌抗カビ剤は、直接適用した箇所だけでなく、その周辺部でも優れた持続的抗菌抗カビ効果が得られる。さらに、放出された抗菌抗カビ成分が、芳香成分であるときは、その環境に抗菌抗カビ性だけでなく、良好な香りも付与できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000918 【氏名又は名称】花王株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年10月17日(2000.10.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068700 【弁理士】 【氏名又は名称】有賀 三幸 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−128610(P2002−128610A) |
| 【公開日】 |
平成14年5月9日(2002.5.9) |
| 【出願番号】 |
特願2000−316079(P2000−316079) |
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