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【発明の名称】 水田用農薬組成物
【発明者】 【氏名】藤田 茂樹

【氏名】高柳 透

【氏名】加藤 進

【要約】 【課題】農薬活性成分を高濃度に担持し、水田等の水面に投げ込まれた製剤が土壌表面に沈降することなく、しかも風による吹き寄せの問題を生じることなく移動し、この間速やかに農薬活性成分を分散させ、または、遅効的に農薬活性成分を分散させ得る農薬製剤を提供すること。

【解決手段】農薬活性成分とアオイ科フヨウ属植物のケナフ(Hibiscus cannabinus Linn./Hibiscus Sabdariffa Linn.)の破砕または粉砕物とを含有することを特徴とする水田用農薬組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 農薬活性成分とアオイ科フヨウ属植物のケナフ(Hibiscus cannabinus Linn./Hibiscus Sabdariffa Linn.)の破砕または粉砕物を含有することを特徴とする水田用農薬組成物。
【請求項2】 さらに界面活性剤を含有することを特徴とする請求項第1項記載の水田用農薬組成物。
【請求項3】 農薬活性成分が常温で液体であるか、または固体の農薬活性成分を溶媒に溶解または分散したものである請求項第1項または第2項記載の水田用農薬組成物。
【請求項4】 複数の農薬活性成分を含有し、少なくともその内の一種がベンチオカーブまたはIBPである請求項第1項ないし第3項の何れかの項記載の水田用農薬組成物。
【請求項5】 ケナフの粉砕または粉砕物の短径が0.1から10mmで、その嵩比重が1以下である請求項第1項ないし第4項の何れかの項記載の水田用農薬組成物。
【請求項6】 界面活性剤が陰イオン型界面活性剤である請求項第2項ないし第5項の何れかの項記載の水田用農薬組成物。
【請求項7】 農薬組成物が固形農薬組成物である請求項第1項ないし第6項の何れかの項記載の水田用農薬組成物。
【請求項8】 固形農薬組成物が粒状である請求項第7項記載の水田用農薬組成物。
【請求項9】 ケナフの破砕または粉砕物を粒核として用いるものである請求項第1項ないし第8項の何れかの項記載の水田用農薬組成物。
【請求項10】 水溶性フィルムに包装し、水田へ投げ込む製剤である請求項第1項ないし第7項および第9項の何れかの項記載の水田用農薬組成物。
【請求項11】 ケナフの破砕または粉砕物を有効成分とする水中浮遊製剤用担体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水田用農薬組成物に関し、更に詳細には、アオイ科フヨウ属植物ケナフ(Hibiscus cannabinus Linn./Hibiscus Sabdariffa Linn)の破砕または粉砕物を使用することにより、農薬製剤の水中浮遊を可能とした水田用農薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、水田の農薬製剤としては、粒剤、粉剤、乳剤、水和剤、フロアプル剤、粒状水和剤等が知られている。しかしながら、粉剤および水和剤は、その製剤形態を原因とする粉立ちによる散布者や環境に対する影響が懸念され、また乳剤は、含有する有機溶媒の引火性および毒性が懸念されている。さらに、フロアブル剤は、容器から直接散布した場合に、薬液が散布者にかかる可能性があり、安全性が同様に懸念される。比較的これらの問題点の少ない粒剤においても、10アール当たり1〜4キログラムの散布が行われており、土地改良事業等による広い面積の水面に散布する場合には、散布者に対して大きな労力負担となっている。
【0003】このため、粒剤の施用量を減ずるための、少量散布粒剤の開発が求められている。しかしながら、粒剤の少量化は、農薬活性成分の含有量を高め、単位面積当たりの粒数を減少させることとなり、このために撒むらが生じ、粒剤中から農薬活性成分を水田水中に十分に均一に溶出および拡散させることが難しくなる。これにより、効果の低下や稲に対する薬害が生じることとなる。また、散布された粒剤は土壌表面に沈降し、農薬活性成分を分散させるため、土壌への残留濃度の増大が懸念されることとなる。
【0004】これに対し、粒剤に水面浮遊性を持たせることで、前記問題の回避が試みられている。すなわち、浮遊性粒核に農薬成分を担持させた浮遊性粒剤を水田等の水面に投入し、投入された粒剤が水面上を浮遊して農薬成分を均一に散布するという技術が開発されており、これにより均一散布のための労力が削減されている。この技術で用いられる浮遊性粒核としては、以前から無機または高分子ポリマーを用いた水面浮遊性粒核が多く用いられている。また、有機物を用いた浮遊性粒核の例として、たとえば、特開平10−316505号公報に、有機資材としてバインダーと比重調整材との混合物を多孔質の粒状物に造粒した農業用水面浮遊性粒状担体が記載され、水面浮遊性を有する有機資材として木粉が使用されている。また、特公平2−56323号公報および、特開平6−336403号公報に、水面浮遊性粒核としてコルク粉末を使用した水面浮遊性製剤が記載されている。
【0005】しかし、上記の水面浮遊性製剤では、風による吹き寄せのため、農薬成分が均一に拡散されないという問題が新たに生じており、その改良が行われてはいるが、未だ十分とはいいがたい。また、農薬活性成分の含有量の増加という点からも上記技術は十分とはいいがたい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、農薬活性成分を高濃度に担持し、水田等の水面に投げ込まれた製剤が土壌表面に沈降することなく、しかも風による吹き寄せの問題を生じることなく移動し、この間速やかに農薬活性成分を分散させ、または、遅効的に農薬活性成分を分散させ得る製剤の提供が求められていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、農薬成分を担持する製剤に、散布直後は水面に浮遊するが、少なくとも24時間ないし48時間で沈降し、その後波風あるいは水の対流により水底上を漂うという性質を付与することにより、風による吹き寄せの問題を解消した水面投与製剤が得られることを着想した。そして、農薬粒剤に上記性質を与えうる担体について種々検索を行った結果、アオイ科フヨウ属植物ケナフ((Hibiscus cannabinus Linn./Hibiscus Sabdariffa Linn)の破砕または粉砕物がそのような性質を有することを見い出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち本発明は、農薬活性成分と、ケナフの破砕または粉砕物とを含有する水田用農薬組成物を提供するものである。
【0009】また本発明は、ケナフの破砕または粉砕物を粒核とする水田用農薬組成物を提供するものである。
【0010】更に本発明は、ケナフの破砕または粉砕物を有効成分とする水中浮遊製剤用担体を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で使用するアオイ科フヨウ属(Hibiscus)植物ケナフは、双子葉植物、アオイ科の1年草であり、原産地はアフリカまたはインドとされ、熱帯から温帯にかけて世界各地で栽培されているが、熱帯から亜熱帯で栽培される南方型と、温帯で栽培される北方型がある。本発明では、いずれのケナフも使用することができる。
【0012】本発明で使用するケナフの破砕または粉砕物(以下、「ケナフ片」という)は、ケナフの茎を皮ごとまたは皮を除いた芯の部分を通常用いられる木材裁断機等で機械的に裁断、破砕、粉砕することにより得られたものであり、その粒度は短径1mm以下のものから4mm以上のものを含むものまで各種のグレードがある。
【0013】このケナフ片は、まず、農薬活性成分を高濃度に担持することができるので、農薬の担体として使用可能である。特にケナフ片を粉砕したケナフ微粉はカオリン、ベントナイト、バームキュライト、アタパルジャイト、パイロフィライト、タルク、クレー、炭酸カルシウムや消石灰、ケイソウ土、ホワイトカーボン(合成ケイ酸)等と同程度の農薬活性成分担持能を有し、それらの代替えとして使用可能である。なお、ケナフ微粉はホワイトカーボンに比べ吸油能が若干少ない。
【0014】また、沈降したケナフ片は、水底上を漂うという特性がある。ケナフ片の粒の大きさにより水に投じた場合の浮遊率、浮遊時間が異なるが、一般に粒径の大きなものほど浮きやすくなる傾向が見られる。この性質を利用して、散布直後の水面浮遊時間を調整することができる。この点は、従来から使用されているコルク片に比べ、大きく異なる点である。すなわち、コルク片を含有した組成物は水に浮き、風の吹き寄せ等で、畦畔近くに吹き寄せられることがあるが、本発明のケナフ片を用いる製剤は水底上にただよい、風により吹き寄せられることは少ない。
【0015】上記のようなケナフ片の性質が、これを利用する製剤に農薬活性成分を高濃度に担持し、水田に投げ込まれた製剤が土壌表面下に沈降することなく、水底上を移動し、この間速やかに大部分の農薬活性成分を分散させ、また、一部の農薬活性成分を遅効的に溶出させ得るのである。
【0016】本発明の水田用農薬組成物に用いられるケナフ片の好ましい大きさは、含有する農薬有効成分の量、使用法により異なるが、例えば、ケナフ片の短径が0.01mm〜10mmのものを挙げることができる。より好ましくは短径が0.1mm〜10mmの範囲のものである。
【0017】また、水田用農薬組成物中でのケナフ片の含有量は、通常、約10〜90重量%であるが製剤中の農薬有効成分や、他種成分、例えば界面活性剤の濃度に応じて、変化させることが可能である。水中移行性の向上などの点から、約15〜50重量%を添加することが好ましい。
【0018】本発明の水田用農薬製剤の製造は、上記したケナフ片を利用する他、一般に製剤分野で用いられる水田用農薬製剤の製造法に準じて行うことができる。例えば、常温で液体状の農薬活性成分、界面活性剤および必要に応じて常温で固体の農薬活性成分、補助剤を加えて混合し、液状物または懸濁状液状物を得、それをケナフ片に加えて混合することにより、これら成分をケナフ片に担持させて水田用農薬製剤とする。この場合、液状農薬組成物を構成する必須成分は、必ずしも同時にケナフ片に担持させる必要はなく、順次担持させても良い。例えば、最初に常温で液体状の農薬活性成分にケナフ片を加え混合し、次いでこの混合物に界面活性剤を含む混合物を加え混合することによりケナフ片に順次各成分を担持させて水田用農薬製剤を得ることができる。
【0019】本発明の水田用農薬組成物で用いられる農薬活性成分としては、殺虫剤、殺菌剤、除草剤または植物成長調節剤などの一般に農薬として有用な化合物であれば特に制約はなく、またこれらの化合物を単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0020】本発明の農薬活性成分として具体的に例示するならば、次のものをあげることができるが、これらに限定されるものではない。また、それらの幾何異性体、光学異性体も含まれるものである。
【0021】( 除 草 剤 )2−メチル−4−クロロフェノキシチオ酢酸−S−エチル(フェノチオール)、S−(4−クロルベンジル)N,N−ジエチルチオカーバメート(ベンチオカーブ)、S−ベンジル=1,2−ジメチルプロピル(エチル)チオカルバマート(エスプロカルプ)、S−エチルヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−カーボチオエート(モリネート)、2−クロロ−2',6'−ジエチル−N−(ブトキシメチル)アセトアニリド(ブタクロール)、2−クロロ−2',6'−ジエチル−N−(2−プロポキシエチル)アセトアニリド(プレチラクロール)、エチル4−(4−クロロ−o−トリロキシ)ブチレート(MCPBエチル)、2,4,6−トリクロルフェニル−4'−ニトロフェニルエーテル(CNP)、α−(2−ナフトキシ)、プロピオンアニリド(ナプロアニリド)、5−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−ニトロ安息香酸メチル(ビフェノックス)、S−1−メチル−1−フェニルエチル=ピペリジン−1−カルボチオアート(ジメピペレート)、O−3−tert−ブチルフェニル=6−メトキシ−2−ピリジル(メチル)チオカルバマート(ピリブチカルプ)、(RS)−2−ブロモ−N−(α,α−ジメチルベンジル)−3,3−ジメチルブチルアミド(ブロモブチド)、2−ベンゾチアゾール−2−イルオキシ−N−メチルアセトアニリド(メフェナセット)、1−(α,α−ジメチルベンジル)−3−(パラトリル)尿素(ダイムロン)、メチル=α−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−o−トルアート(ベンスルフロンメチル)、1−(2−クロロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)尿素(イマゾスルフロン)、エチル=5−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−1−メチルピラゾール−4−カルボキシラート(ピラゾスルフロンエチル)、2メチルチオ−4,6−ビス(エチルアミノ)−s−トリアジン(シメトリン)、2−メチルチオ−4,6−ビス(イソプロピルアミノ)−s−トリアジン(プロメトリン)、2−メチルチオ−4−エチルアミノ−6−(1,2−ジメチルプロピルアミノ)−s−トリアジン(ジメタメトリン)、2,4−ジクロロフェニル−3'−メトキシ−4'−ニトロフェニルエーテル(クロメトキシニル)、5−ターシャリ−ブチル−3−(2,4−ジクロロ−5−イソプロポキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン(オキサジアゾン)、4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル−p−トルエンスルホネート(ピラゾレート)、2−[4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−13−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]アセトフェノン(ピラゾキシフェン)、(RS)−2−(2,4−ジクロロ−m−トリルオキシ)プロピオンアニリド(クロメプロップ)、2−[4−[2,4−ジクロロ−m−トルオイル]−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]−4'−メチルアセトフェノン(ベンゾフェナップ)、S,S'−ジメチル=2−ジフルオロメチル−4−イソブチル−6−トリフルオロメチルピリジン−3,5−ジカルボチオアート(ジチオピル)、2−クロロ−N−(3−メトキシ−2−テニル)−2',6'−ジメチルアセトアニリド(テニルクロール)、n−ブチル−(R)−2−[4−(2−フルオロ−4−シアノフェノキシ)フェノキシ]プロピオネート(シハロホップブチル)、3−[1−(3,5−ジクロルフェニル)−1−メチルエチル]−2,3−ジヒドロ−6−メチル−5−フェニル−4H−1,3−オキサジン−4−オン(オキサジクロメホン)、3−(4−クロロ−5−シクロペンチルオキシ−2フリオロフェニル)−5−イソプロピリデン−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン(ペントキサゾン)、1−(ジエチルカルボモイル)−3−(2,4,6−トリメチルフェニルスルフォニル)−1,2,4−トリアゾール(カフェンストロール)、N−{[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル]}−1−メチル−4−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)(アジムスルフロン)、メチル2−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)オキシ]−6−[(E)−1−(メトキシイミノ)エチル]ベンゾエイト(ピリミノバックメチル)、4−(2−クロロ−フェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−テトラゾール−1−カルボン酸シクロヘキシル−エチル−アミド(フェントラザミド)等【0022】( 殺 菌 剤 )O,O−ジイソプロピル−s−ベンジルチオフォスフェート(IBP)、3'−イソプロポキシ−2−メチルベンズアニリド(メプロニル)、α,α,α−トリフルオロ−3'−イソプロポキシ−o−トルアニリド(フルトラニル)、3,4,5,6−テトラクロロ−N−(2,3−ジクロロフェニル)フタルアミド酸(テクロフタラム)、1−(4−クロロベンジル)−1−シクロペンチル−3−フェニル尿素(ペンシクロン)、6−(3,5−ジクロロ−4−メチルフェニル)−3(2H)−ピリダジノン(ジクロメジン)、メチル=N(2−メトキシアセチル)−N−(2,6−キシリル)−DL−アラニナート(メタラキシル)、(E)−4−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−N−(1−イミダゾール−1−イル−2−プロポキシエチリデン)−o−トルイジン(トリフルミゾール)、〔5−アミノ−2−メチル−6−(2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシシクロヘキシロキシ)テトラヒドロピラン−3−イル〕アミノ−α−イミノ酢酸(カスガマイシン)、バリダマイシン、3−アリルオキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド(プロペナゾール)、ジイソプロピル−1,3−ジチオラン−2−イリデン−マロネート(イソプロチオラン)、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ[3,4−b]ベンゾチアゾール(トリシクラゾール)、1,2,5,6−テトラヒドロピロロ[3,2,1−ij]キノリン−4−オン(ピロキロン)、5−エチル−5,8−ジヒドロ−8−オキソ[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−7−カルボン酸(オキソリニック酸)、(Z)−2'−メチルアセトフェノン=4,6−ジメチルピリミジン−2−イルヒドラゾン4,5,6,7−テトラクロロフタリド(フェリムゾン)、3−(3,5−ジクロロフェニル)−N−イソプロピル−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−カルボキサミド(イプロジオン)等【0023】( 殺 虫 剤 )O,O−ジメチル−O−(3−メチル−4−ニトロフェニル)チオホスフェート(MEP)、(2−イソプロピル−4−メチルピリミジル−6)−ジエチルチオホスフェート(ダイアジノン)、ジメチルジカルぺトキシエチルジオホスフェート(マラソン)、O,O−ジプロピル−O−4−メチルチオフェニルホスフェート(プロパホス)、2,3−ジヒドロ−22−ジメチル−7−ベンゾ[b]フラニル=N−ジブチルアミノチオ−N−メチルカルバマート(カルボスルファン)、エチル=N−[2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イルオキシカルボニル(メチル)アミノチオ]−N−イソプロピル−β−アラニナート(ベンフラカルブ)、(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル=(RS)−2,2−ジクロロ−1−(4−エトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシラート(シクロプロトリン)、1−ナフチル−N−メチルカーバメート(NAC)、O,O−ジエチル−O−(3−オキソ−2−フェニル−2H−ピリダジン−6−イル)ホスホロチオエート(ピリダフェンチオン)、O,O−ジメチル−O−3,5,6−トリクロロ−2−ピリジルホスホロチオエート(クロルピリホスメチル)、O,O−ジメチル−S−(N−メチルカルバモイルメチル)ジチオホスフェート(ジメトエート)、O,S−ジメチル−N−アセチルホスホロアミドチオエート(アセフェート)、エチルパラニトロフェニルチオノベンゼンホスホネート(EPN)、2−セカンダリーブチルフェニル−N−メチルカーバメート(BPMC)、2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル=3−フェノキシベンジル=エーテル(エトフェンプロックス)、1,3−ビス(カルバモイルチオ)−2−(N,N−ジメチルアミノ)プロパン塩酸塩(カルタップ)、5−ジメチルアミノ−1,2,3−トリチアンシュウ酸塩(チオシクラム)、S,S'−2−ジメチルアミノトリメチレン=ジ(ベンゼンチオスルホナート)(ベンスルタップ)、2−ターシャリ−ブチルイミノ−3−イソプロピル−5−フェニル−1,3,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3,5−チアジアジン−4−オン(ブプロフェジン)等【0024】( 植物成長調節剤 )4'−クロロ−2'−(α−ヒドロキシベンジル)イソニコチンアニリド(イナベンフィド)、(2RS,3RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オール(パクロブトラゾール)、(E)−(S)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタ−1−エン−3−オール(ウニコナゾール)等をそれぞれ挙げることができる。
【0025】本発明の上記農薬活性成分は、複数を組み合わせて使用することができるが、その好ましい具体例としては、その農薬活性成分の一部としては、上記の除草剤のうちベンチオカーブまたはIBPを配合したものが挙げられる。
【0026】これらの農薬活性成分の製剤中の濃度については、特に限定されるものではないが、水中移行性および生物活性の点から、水田用農薬組成物100重量部に対して、通常、0.1重量部〜70重量部とすることが好ましい。
【0027】なお、本発明の水田用農薬組成物において、農薬活性成分が常温で液状の場合、そのまま使用することができるが、常温で固体の場合は、溶媒に溶解或いは分散させて液体としてから使用することが必要である。固体の農薬活性成分の溶解或いは分散に用いることのできる溶媒としては、溶質と反応しないものであれば、農薬製剤に一般的に用いられるものが使用できる。具体的な溶媒の例としては、ジオクチルフタレート、メチルナフタレン、アルキルピロリドン、ジメチルスルフォキシド、ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、フェニルキシリールエタン、グリセリン、アルキレングリコール、キシレン、ケロシン、メタン列炭化水素、脂肪酸エステル、多塩基酸等の有機溶剤、シリコーンオイル、水溶性フィルムを不溶とするのに十分な量の水溶性塩類の水溶液、さらには前記の常温で液体の農薬活性成分を挙げることができる。これら溶媒の配合量は、農薬活性成分100重量部に対して、通常10重量部〜200重量部とすることが好ましい。
【0028】本発明の水田用農薬組成物においは、界面活性剤を配合することがより好ましい。使用される界面活性剤としては、農薬製剤に一般的に用いられるものを挙げることができ、これらを単独で、または2種類以上を混合して用いてもよい。
【0029】具体的な界面活性剤の例としては、ポリエチレングリコール高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオシエチレンアリールフェニルエーテル、ソルビタンモノアルキレート、アセチレンアルコールおよびアセチレンジオール並びにそれらのアルキレンオキシドを付加物等のノニオン性界面活性剤や、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩およびその縮合物、アルキル硫酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩、アルキルアリール硫酸エステル塩、アルキルアリール燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリカルボン酸型高分子活性剤等のアニオン性界面活性剤等を挙げることができる。さらにはシリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を使用することもできる。
【0030】これらの界面活性剤の配合割合は、組成物100重量部に対して、通常、0.1重量部〜30重量部、好ましくは0.5重量部〜20重量部、さらに好ましくは1重量部〜10重量部である。
【0031】本発明においては、ケナフ片を水溶性高分子あるいは水膨潤性物質で被覆していても良い、この場合、水溶性高分子あるいは水膨潤性物質は粒核であるケナフ片の表層から内部にかけて単独で存在しているものであって、農薬活性成分をケナフ片に固着しているものではない。
【0032】本発明において使用できる水溶性高分子は、好ましくは常温で固体であり、前述の常温で液体状の農薬活性成分に溶解しない物質であるならば何れでも良く、特に、1%水溶液の粘度が100mPa・s以上であるものが望ましく、さらに好ましくは500mPa・s以上であるものが良い。水溶液の粘度は、例えば回転粘度計等で測定することができる。
【0033】この水溶性高分子の具体例としては、分子量5000以上のポリアクリル酸ナトリウム、デキストリン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、アラビアガム、ポリビニルピロリドン、分子量10万以上のポリアルキレングリコール等が挙げられるが限定されない。これら水溶性高分子は、単独あるいは2種以上を混合して用いても良い。
【0034】また、本発明において使用できる水膨潤性物質は、常温で固体であり、前述の常温で液体状の農薬活性成分に溶解しない物質が望ましく、具体的にはベントナイトが良い。ベントナイトは粘土を構成する代表的な鉱物の一群であり、モンモリロン石群鉱物及びこれを主成分とする鉱物群を意味し、その構造は三層構造をとるフィロケイ酸塩鉱物からなり、その一部がナトリウム、カルシウム、マグネシウム等の金属に置換されている場合がある。特に、本発明においては、ナトリウムを含有するベントナイトが好ましい。
【0035】さらに本発明の水田用農薬製剤には、農薬活性成分の活性や製剤の水中移行性に影響を与えない程度に、一般に水田用農薬製剤の製造に用いられる他の添加剤を種々の目的でその他の補助剤を加えることができる。その他の補助剤は、結合剤、比重調整剤、崩壊剤、(分散剤、湿潤剤)、増量剤、(溶剤)、乳化剤、滑沢剤、撥水剤、(発泡剤)、その他の水面拡展剤、粒子成長防止剤、安定剤等である。
【0036】本発明の水田用農薬組成物は水溶性フィルムに包装し、使用することができる。本発明において用いることができる水溶性フィルムとしては、水に迅速に溶解し、分散するフィルムが適当であり、フィルムの材質としては、ポリビニルアルコール、ポリオキシポリアルキレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸、ゼラチン、プルラン、可溶性デンプン等、更には、水溶紙、水解紙等が例示されるが、前記の液状農薬組成物中の常温で液体状の農薬活性成分に溶解されるものでなければ特に限定されるものではない。
【0037】また、用いられる水溶性フィルムの厚さは特に限定されないが、一般に20から100μm程度が好ましい。更に、同一の組成あるいは異なる組成の水溶性フィルムを用いて多重包装しても良い。また、処理した際、エアドームの生成を抑制し、水溶性フィルムの溶解を良好とするために、直径0.1から1mm程度の穴を、製剤一袋当たり1から100個程度開けても良い。あるいは、ヒートシールを行う際、ヒートシール部分に空気が抜ける隙間を設けても良い。
【0038】本発明において、他の添加剤を配合する場合の製剤中での含有量は、通常約0〜30重量%、好ましくは約0〜20重量%、さらに好ましくは約0〜10重量%であるが、特に、添加剤が例えばバインダーである場合は、製剤中での含有量を、通常約0〜10重量%、好ましくは約0〜5重量%、さらに好ましくは約0〜2重量%に調製するのがよい。
【0039】本発明の水田用農薬製剤のより具体な配合例としては、たとえば農薬活性成分を約1〜80量%、好ましくは約5〜50%重量、ケナフ片を約10〜90重量%、好ましくは約15〜50重量%、界面活性剤を約0.1〜30重量%、好ましくは約5〜20重量%、他の添加剤を約0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%を配合したものを挙げることができる。
【0040】上記のようにして得られた本発明の水田用農薬製剤は、安全で低毒性な農薬活性成分、ケナフ片、界面活性剤、その他の添加剤(例えば、結合剤、比重調整剤など)を使用して製造されるので、安全で低毒性な農薬として用いることができる。
【0041】かくして得られる本発明の水田用農薬製剤は、同種の水面投与用製剤と同様にして使用できる。すなわち、水田等への投入量は、含まれる農薬活性成分の種類、含量などによって異なるが、通常、水面10アールあたり約10〜2000g、好ましくは約20〜1500gである。また、投入方法は、一般に農薬散布に用いられる公知の方法を用いることができ、例えば、水田にそのまま散布することも、また、水溶性フィルムに包装した本発明の水田用除草剤を水田に投げ込んで使用することもできる。尚、本発明の水田用農薬製剤は湿気を避けるため、たとえば乾燥剤入りの容器などに保存するのが好ましい。この様な容器としては、たとえば、防湿クラフト紙の袋、ポリエチレン製の袋などが簡便である。
【0042】
【実施例】次に、実施例、比較例および試験例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、部は重量部を表す。
【0043】実 施 例 1IBP 51部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 2.5部及びリグニンスルホン酸塩 4部を混合して液状農薬組成物を得た。これとケナフ片(短径0.5mm〜2mm、長径2mm〜10mm、嵩比重0.06)42.5部と混合して、本発明の水田用農薬組成物を得た。
【0044】実 施 例 2ベンチオカーブ 30部、MCPBエチル 4.8部、シメトリン 9部、メフェナセット 9部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩 1部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩 1部、ジオクチルスルホサクシネート 0.2部及びアセチレンアルコール 2部を混合して液状農薬組成物を得た。これとケナフ片(短径0.5mm〜2mm、長径2mm〜10mm、嵩比重0.06)43部と混合して、本発明の水田用農薬組成物を得た。
【0045】実 施 例 3ベンチオカーブ 42.9部、ベンスルフロンメチル 1.5部、メフェナセット8.6部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩 1.2部、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩 1.5部、ジアルキルスルホサクシネート 2.3部を混合して液状農薬組成物を得た。これとケナフ片(短径0.5mm〜2mm、長径2mm〜10mm、嵩比重0.06)42部と混合して、本発明の水田用農薬組成物を得た。
【0046】実 施 例 4ベンチオカーブ 42.9部、ベンスルフロンメチル 1.5部、メフェナセット8.6部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩 1.2部、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩 1.5部、ジアルキルスルホサクシネート 2.3部、分子量100万の粉末状ポリアクリル酸ナトリウム 1部を混合して液状農薬組成物を得た。これとケナフ片(短径0.5mm〜2mm、長径2mm〜10mm、嵩比重0.06)41部と混合したものを、ポリビニルアルコール製の水溶性フィルムに、1袋当り35gを入れ、ヒートシールして閉じ、本発明の水田用農薬組成物を得た。本農薬組成物は、10a当り10個を散布する。
【0047】比 較 例 1IBP 51部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 2.5部及びリグニンスルホン酸塩 4部を混合して液状農薬組成物を得た。これと軽石(短径0.2mm〜0.5mm、嵩比重0.66)42.5部と混合して、農薬組成物を得た。
【0048】比 較 例 2ベンチオカーブ 30部、MCPBメチル 4.8部、シメトリン 9部、メフェナセット 9部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩 1部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩 1部、ジオクチルスルホサクシネート 0.2部及びアセチレンアルコール 2部を混合して液状農薬組成物を得た。これと木片(短径0.2mm〜0.5mm、嵩比重0.23)43部と混合して、農薬組成物を得た。
【0049】比 較 例 3ベンチオカーブ 42.9部、ベンスルフロンメチル 1.5部、メフェナセット8.6部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩 1.2部、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩 1.5部、ジアルキルスルホサクシネート 2.3部を混合して液状農薬組成物を得た。これと木片(短径0.2mm〜0.5mm、嵩比重0.23)42部と混合して、農薬組成物を得た。
【0050】試 験 例 1水中移行性試験:実施例1から3で得た水田用農薬製剤および市販の代表的水面施用剤(プロスパー1キロ粒剤)について、以下に示す方法でその水中移行性を測定した。まず、2000mlのビーカーに水田土を約1cmの厚さに敷き詰め、水道水500mlを入れ静置した。これに各水田用農薬製剤0.5gを投入し、12時間後の水中落下性を観察し、さらにビーカー内の水を揺らしたときの状態を目視で観察した。
【0051】この結果、実施例1〜3の製剤では、いずれも薬剤投入12時間後に約90%の製剤が土壌表面まで落下した。また、24時間後にはすべてが、水田土壌表面に落下していた。ビーカー内の水の振動により、水田土の表面に置かれていたけケナフ片が移動するのが観察された。これに対し、市販の水面施用粒剤では、このような現象は認められなかった。
【0052】試 験 例 2図1に示す水深5cmとした2m×20mの水田のA地点に、直径50cmの網の枠を設置し、その枠内に実施例1〜3及び比較例1〜3の農薬組成物を14g処理した。散布24時間後(実施例1〜3の農薬組成物が水底に沈降した後)、網の枠を取り除き、さらに24時間後に、農薬組成物が水田内に散らばった様子を肉眼観察した。なお、試験の期間中の水温は20℃〜27℃で、A地点からB地点に向かって、風速3〜5mの風が吹いていた。この結果を表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】試 験 例 3均一拡散性試験:水深を5cmとした図2に示す10m×10mの水田を2面用意した。それらのE地点に、実施例4で得た水田用農薬組成物35gを投入した。一方の水田は、投入後、そのままの状態で放置した。また、他方の水田は、投入したケナフ片が移動しないように直径1mの円筒状の網をかぶせておいた。投入24時間後に、そのままの状態で放置した水田の、A〜I部分での水および土壌を採取し、その中の農薬成分含量を測定し、理論上農薬活性成分が均一に散布された場合の土壌中の成分濃度を100%とした時の比率を求めた。なお、試験の期間中の水温は20〜25℃で、A地点からI地点に向かって、風速2〜5mの風が吹いていた。また、網をかぶせた水田の処理地点(E地点)土壌を半径10cm、深さ5cmの範囲でケナフ片を含むものケナフ片を除いたものを一部の水とともに採取して分析した。この結果を表2、3に示す。
【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】この結果より、大部分の農薬活性成分は短時間で水中に拡散するが、一部はケナフ片に留まり、水底上を移動しながら農薬活性成分を溶出する残効性を有することがわかる。また、水底表面に存在していても、農薬活性成分はケナフ片の内部に存在しているため、土壌の残留の影響は少ないことがわかる。
【0058】
【発明の効果】本発明の水田用農薬製剤で使用するケナフ片は、水底上を漂うという特性を有するものである。また、ケナフ片は優れた含油性を有するため、農薬活性成分を高濃度に担持することができるものである。
【0059】従って、ケナフ片を含有する本発明の水田用農薬製剤は、大部分の農薬活性成分は短時間で水中に拡散するが、一部はケナフ片に留まり、水底上を移動しながら農薬活性成分を放出する残効性を有するため、風による吹き寄せの問題を生じることなく、良好な水中移行性を有するので、農薬製剤として有利に使用できるものである。
【0060】よって、新しいタイプの水中投入型の水田用農薬製剤として広く利用できるものである。
【出願人】 【識別番号】000000169
【氏名又は名称】クミアイ化学工業株式会社
【出願日】 平成12年10月25日(2000.10.25)
【代理人】 【識別番号】100086324
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 信夫 (外1名)
【公開番号】 特開2002−128602(P2002−128602A)
【公開日】 平成14年5月9日(2002.5.9)
【出願番号】 特願2000−325215(P2000−325215)